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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-109256(P2017-109256A)
(43)【公開日】2017年6月22日
(54)【発明の名称】搬送ロボット及び搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20170526BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20170526BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20170526BHJP
【FI】
   B25J9/06 D
   B65G1/00 501C
   C12M1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-243770(P2015-243770)
(22)【出願日】2015年12月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三重野 靖理
(72)【発明者】
【氏名】占部 雄士
【テーマコード(参考)】
3C707
3F022
4B029
【Fターム(参考)】
3C707AS14
3C707BS15
3C707BT11
3C707CT02
3C707CT05
3C707CV07
3C707CW07
3C707CY10
3C707CY36
3C707HS27
3C707HT20
3F022BB09
3F022EE09
3F022HH02
3F022JJ13
3F022KK02
3F022KK20
3F022MM01
4B029AA08
4B029AA27
4B029BB01
4B029GB10
(57)【要約】
【課題】搬送ロボットの小型化(ひいては搬送ロボットを含む搬送装置の小型化)を実現する。
【解決手段】搬送ロボット10は、細胞が収容された細胞容器を搬送するためのものであり、アーム部11と、アーム部11を昇降可能且つ回転可能に支持する支持部12とを含む。支持部12をアーム部11と共に水平面に沿った走行方向に走行させるための走行モータ12M1、支持部12に対してアーム部11を昇降させるための昇降モータ12M2、及び、支持部12に対してアーム部11を回転させるための回転モータ12M3は、鉛直方向から見て互いに重ならず、且つ、鉛直方向と走行方向との両方と直交する直交方向から見て互いに重ならない。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞が収容された細胞容器を搬送するための搬送ロボットにおいて、
前記細胞容器を保持するためのアームを有するアーム部と、
前記アーム部を支持する支持部と、
前記支持部を前記アーム部と共に水平面に沿った走行方向に走行させるための走行モータと、
前記支持部に対して前記アーム部を昇降させるための昇降モータと、
前記支持部に対して前記アーム部を回転させるための回転モータとを備え、
前記走行モータ、前記昇降モータ及び前記回転モータは、鉛直方向から見て互いに重ならず、且つ、鉛直方向と前記走行方向との両方と直交する直交方向から見て互いに重ならないことを特徴とする、搬送ロボット。
【請求項2】
前記アーム部は、前記アームと、前記アームを支持するアームベースとを有し、
前記アームベースは、前記回転モータの駆動により、前記アームベースにおける前記水平面の中央において鉛直方向に延在したベース軸線を中心として、前記支持部に対して回転し、
前記アームは、前記アームを駆動させるためのアームモータの駆動により、鉛直方向に延在したアーム軸線を中心として前記アームベースに対して回転し、
前記アーム軸線は、鉛直方向から見て前記ベース軸線と重ならないことを特徴とする、請求項1に記載の搬送ロボット。
【請求項3】
前記アームベースは、前記アームモータを支持し、鉛直方向から見て前記搬送ロボットをガイドするための前記走行方向に延在したガイド部材と重なることを特徴とする、請求項2に記載の搬送ロボット。
【請求項4】
前記走行モータは、前記走行方向に前記支持部と隣接していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送ロボット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送ロボットと、
前記搬送ロボットが配置される搬送空間を画定し、前記搬送空間の周辺に配置された前記搬送ロボットによる前記細胞容器の搬送先となる複数の周辺空間のそれぞれと前記搬送空間とを連通させる複数の連通口が形成された筐体とを備えたことを特徴とする、搬送装置。
【請求項6】
前記筐体は、前記搬送空間を挟んで対向し且つそれぞれ前記走行方向に延在した一対の側壁を有し、
前記一対の側壁の一方の内側面に、前記搬送ロボットをガイドするための前記走行方向に延在したガイド部材が設けられたことを特徴とする、請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記一対の側壁の他方に、前記搬送ロボットのメンテナンスを行うためのメンテナンス開口が設けられ、
前記支持部において前記メンテナンス開口と対向し得る位置に、開閉可能なメンテナンス用カバーが設けられたことを特徴とする、請求項6に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞が収容された細胞容器を搬送するための搬送ロボット及びこれを備えた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、細胞培養を行うための清浄空間を維持する筐体と、筐体内において培養器具の搬送を行うロボットとを備えた自動細胞培養装置が開示されている。特許文献1のロボットは、筐体に設けられたレールに沿って水平方向に走行し(図1参照)、また、昇降ポストがレールに対して鉛直方向に移動することで高さ調節される(図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5416919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の自動細胞培養装置のような、細胞容器を搬送するための搬送ロボットを備えた搬送装置は、実用化を検証するため、病院や大学の研究室のような比較的小さな空間に設置される。さらに、当該空間には、搬送装置とは別に、細胞の培養や試験の検証等を行うための作業エリアを最大限確保する必要がある。そのため、搬送装置には小型化が望まれている。
【0005】
ここで、搬送装置における搬送ロボットが配置される搬送空間の周辺に複数の周辺空間が設けられ、搬送ロボットが(特に、水平面に沿って走行して)複数の周辺空間に細胞容器を搬送する構成の場合、搬送ロボットが複数の周辺空間にアクセス可能なように、搬送空間における搬送ロボットの作業領域を比較的大きく確保する必要がある。
【0006】
また、搬送空間に滅菌ガスを供給し、搬送空間を無菌化する場合がある。この場合、搬送空間の容積が大きいほど、ガスの使用量が多くなり、コストが増大する。
【0007】
以上のように、搬送装置及び搬送空間を小さくするため、搬送装置には小型化が望まれている。しかしながら、特許文献1では、この点が考慮されておらず、ロボットを水平方向に走行させるための走行モータやロボットを昇降させるための昇降モータ等の配置が何ら示されていない。そのため、各モータの配置次第で、搬送ロボットの小型化(ひいては搬送ロボットを含む搬送装置の小型化)が困難になり得る。
【0008】
本発明の目的は、小型化を実現可能な搬送ロボット及び搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1観点によると、細胞が収容された細胞容器を搬送するための搬送ロボットにおいて、前記細胞容器を保持するためのアームを有するアーム部と、前記アーム部を支持する支持部と、前記支持部を前記アーム部と共に水平面に沿った走行方向に走行させるための走行モータと、前記支持部に対して前記アーム部を昇降させるための昇降モータと、前記支持部に対して前記アーム部を回転させるための回転モータとを備え、前記走行モータ、前記昇降モータ及び前記回転モータは、鉛直方向から見て互いに重ならず、且つ、鉛直方向と前記走行方向との両方と直交する直交方向から見て互いに重ならないことを特徴とする、搬送ロボットが提供される。
【0010】
本発明の第2観点によると、第1観点に係る搬送ロボットと、前記搬送ロボットが配置される搬送空間を画定し、前記搬送空間の周辺に配置された前記搬送ロボットによる前記細胞容器の搬送先となる複数の周辺空間のそれぞれと前記搬送空間とを連通させる複数の連通口が形成された筐体とを備えたことを特徴とする、搬送装置が提供される。
【0011】
第1及び第2観点によれば、走行モータ、昇降モータ及び回転モータを上記のように配置することで、搬送ロボットの鉛直方向及び直交方向のサイズを小さくすることができ、搬送ロボットの小型化を実現することができる。さらに第2観点によれば、搬送ロボットの小型化により、搬送装置自体の小型化をも実現することができる。
【0012】
第1観点において、前記アーム部は、前記アームと、前記アームを支持するアームベースとを有し、前記アームベースは、前記回転モータの駆動により、前記アームベースにおける前記水平面の中央において鉛直方向に延在したベース軸線を中心として、前記支持部に対して回転し、前記アームは、前記アームを駆動させるためのアームモータの駆動により、鉛直方向に延在したアーム軸線を中心として前記アームベースに対して回転し、前記アーム軸線は、鉛直方向から見て前記ベース軸線と重ならなくてよい。この場合、アーム軸線が鉛直方向から見てベース軸線と重なる場合に比べ、アームが縮んだ状態(アームを折り畳んだ状態)における搬送ロボットの水平方向の面積を小さくすることができる。
【0013】
第1観点において、前記アームベースは、前記アームモータを支持し、鉛直方向から見て前記搬送ロボットをガイドするための前記走行方向に延在したガイド部材と重なってよい。この場合、搬送ロボットの直交方向のサイズを確実に小さくすることができる。
【0014】
第1観点において、前記走行モータは、前記走行方向に前記支持部と隣接してよい。この場合、搬送ロボットの直交方向のサイズを確実に小さくすることができる。
【0015】
第2観点において、前記筐体は、前記搬送空間を挟んで対向し且つそれぞれ前記走行方向に延在した一対の側壁を有し、前記一対の側壁の一方の内側面に、前記搬送ロボットをガイドするための前記走行方向に延在したガイド部材が設けられてよい。筐体の下壁にガイド部材を設けた場合、ガイド部材があるために搬送ロボットの作業領域を低く設定し難い。これに対し、上記構成によれば、筐体の側壁にガイド部材を設けたことで、搬送ロボットの作業領域を低くしつつ、搬送ロボットの走行部(ガイド部材、ラックアンドピニオン等)を比較的低い部分にまとめることができる。(搬送ロボットの走行部は、摩擦が発生し易く、クリーン度を高く保つことが困難な領域である。上記構成によれば、走行部を筐体内の比較的低い部分にまとめることができ、それ以外の領域のクリーン度を高く保つことができる。)
【0016】
第2観点において、前記一対の側壁の他方に、前記搬送ロボットのメンテナンスを行うためのメンテナンス開口が設けられ、前記支持部において前記メンテナンス開口と対向し得る位置に、開閉可能なメンテナンス用カバーが設けられてよい。この場合、搬送ロボットのメンテナンスを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、走行モータ、昇降モータ及び回転モータを上記のように配置することで、搬送ロボットの鉛直方向及び直交方向のサイズを小さくすることができ、搬送ロボットの小型化(ひいては搬送ロボットを含む搬送装置の小型化)を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る搬送装置の水平方向に沿った断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る搬送ロボット及びガイド部材を示す斜視図である。
図3】(a)は、本発明の一実施形態に係る搬送ロボット及びガイド部材を示す平面図である。(b)は、本発明の一実施形態に係る搬送ロボット及びガイド部材を示す直交方向から見た側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る搬送ロボット及びガイド部材を示す走行方向から見た側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る搬送ロボットを示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る搬送ロボットを示す平面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る搬送ロボットにおける図6(a)のVII−VII線に沿った断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る搬送ロボット及びガイド部材における図3(a)に示す領域VIIIの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る搬送装置1は、細胞の培養や試験に用いられるものであり、図1に示すように、搬送ロボット10と、搬送ロボット10が配置される搬送空間20xを画定する筐体20とを有する。
【0020】
筐体20は、鉛直方向に延在した側壁20a〜20dと、水平方向に延在した下壁及び上壁(図示略)とを有する。一対の側壁20a,20bは、搬送空間20xを挟んで対向し、且つ、それぞれ搬送ロボット10が走行する方向(水平面に沿った方向であり、以下、「走行方向」という。)に延在している。一対の側壁20c,20dは、搬送空間20xを挟んで対向し、且つ、それぞれ鉛直方向と走行方向との両方と直交する方向(以下、「直交方向」という。)に延在している。
【0021】
搬送空間20xの周辺には、搬送ロボット10による細胞容器(細胞が収容された容器)の搬送先となる複数の周辺空間50が配置されている。本実施形態では、一対の側壁20a,20bに対してそれぞれ4つの周辺空間50が対向するように配置されている。搬送空間20xは、一対の側壁20a,20bのそれぞれに形成された4つの連通口21を介して、各周辺空間50と連通している。
【0022】
一対の側壁20a,20bの一方(側壁20a)の内側面には、搬送ロボット10をガイドするための走行方向に延在したガイド部材30が設けられている。また、図2及び図3に示すように、搬送空間20xにおいてガイド部材30の近傍には、搬送ロボット10のケーブル保護のためのケーブルベア(登録商標)40が走行方向に延在している。
【0023】
一対の側壁20a,20bの他方(側壁20b)には、4つのメンテナンス開口22が設けられている。メンテナンス開口22は、搬送ロボット10のメンテナンスを行うためのものであり、図3(b)に示すように、各連通口21の下方に設けられている。メンテナンス開口22は、鉛直方向に移動可能な扉(図示略)によって開放又は閉鎖される。当該扉は、ガス供給工程において搬送空間20xに供給されたガスが無害化されるまで(例えば、過酸化水素ガスの場合、過酸化水素ガスが水及び酸素に分解されるまで)、開放されないようにロックされる。
【0024】
搬送ロボット10は、図2図8に示すように、アーム部11と、アーム部11を昇降可能且つ回転可能に支持する支持部12と、支持部12をアーム部11と共に走行方向に走行させるための走行モータ12M1と、支持部12に対してアーム部11を昇降させるための昇降モータ12M2と、支持部12に対してアーム部11を回転させるための回転モータ12M3と、アームモータ11Mとを有する。支持部12においてメンテナンス開口22と対向し得る位置(本実施形態では、支持部12における走行方向に延在した一対の側壁20a,20bの他方(側壁20b:図1参照)と対向する側壁の下部)に、開閉可能なメンテナンス用カバー12cが設けられている(図2及び図3(b)参照)。
【0025】
アーム部11は、細胞容器を保持するためのアーム11aと、アーム11aを回転可能に支持するアームベース11bとを有する。
【0026】
アーム11aは、図5図7に示すように、互いに回転可能に連結された3つのアーム要素11a1〜11a3と、細胞容器が載置されるプレート11xとを含む。アーム要素11a1は、一端がアームベース11bの上面に取り付けられており、当該一端を通って鉛直方向に延在したアーム軸線11ax(図6(a),(b)及び図7参照)を中心として、アームベース11bに対して回転可能である。アーム要素11a2は、一端がアーム要素11a1の他端の上面に取り付けられており、当該一端を通って鉛直方向に延在した軸線を中心として、アーム要素11a1に対して回転可能である。アーム要素11a3は、一端がアーム要素11a2の他端の上面に取り付けられており、当該一端を通って鉛直方向に延在した軸線を中心として、アーム要素11a2に対して回転可能である。プレート11xは、アーム要素11a3の他端の側面に固定されている。
【0027】
アームモータ11Mは、アーム要素11a1の一端の下方におけるアームベース11bの内部に配置されており、アームベース11bに支持されている(図7参照)。また、図示は省略するが、アーム要素11a1,11a2の一端及び他端のそれぞれにプーリが配置され、アーム要素11a1の一端及び他端のプーリにベルトが巻回され、アーム要素11a2の一端及び他端のプーリにベルトが巻回され、アーム要素11a1の一端のプーリがアームモータ11Mの駆動軸に固定され、アーム要素11a1の他端のプーリがシャフトを介してアーム要素11a2の一端のプーリに固定され、アーム要素11a2の他端のプーリがシャフトを介してアーム要素11a3の一端に固定されている。
【0028】
アームモータ11Mの駆動力がアーム要素11a1〜11a3に順次伝達され、各アーム要素11a1〜11a3が回転することで、アーム11aの伸縮動作が実現される(図6(a),(b)参照)。搬送ロボット10を連通口21と対向させた状態でアーム11aを伸長させることで、プレート11xが連通口21を通過し、周辺空間50に細胞容器を搬送することができる。
【0029】
アームベース11bは、図7に示すように、アーム11aと支持部12との間に介在し、アーム11aと共に昇降可能且つ回転可能に支持部12に支持されている。アーム部11は、プレート11xが連通口21の鉛直方向の範囲内となるように昇降する。
【0030】
アームベース11bは、回転モータ12M3の駆動により、ベース軸線11bxを中心として支持部12に対して回転する。回転モータ12M3は、アームベース11b及び支持部12の内部であって、アームベース11bにおける水平面の中央に配置されている。ベース軸線11bxは、アームベース11bにおける水平面の中央において鉛直方向に延在している。アーム軸線11axとベース軸線11bxとは、走行方向及び直交方向に互いに離隔しており、鉛直方向から見て互いに重ならない。
【0031】
支持部12には、図7及び図8に示すように、昇降機構13が設けられている。昇降機構13は、プーリ13p、プーリ13pと昇降モータ12M2とに巻回されたベルト13b、プーリ13pの回転軸に固定され且つ鉛直方向に延在したボールねじ13x、ボールねじ13xの周面に形成された雄ねじ部に噛み合う雌螺子部が内周面に形成された筒部13y、及び、筒部13yとアームベース11bとを連結する連結部13zを含む。昇降モータ12M2の駆動により、プーリ13p及びボールねじ13xが回転し、連結部13zが昇降するのに伴い、アーム部11が昇降する。
【0032】
なお、昇降モータ12M2とボールねじ13xとは、直交方向に互いに離隔している。この場合、昇降モータ12M2とボールねじ13xとを直交方向に離隔させず鉛直方向に並んで配置した場合に比べて、搬送ロボット10の鉛直方向のサイズを小さくすることができる。
【0033】
支持部12には、さらに、ガイド部材30のラック30R(図2及び図3参照)と噛合するピニオン(図示略)が設けられている。走行モータ12M1の駆動によってピニオンが回転し、ピニオンがラック30R上を移動することで、搬送ロボット10が走行方向に移動する。
【0034】
支持部12は、走行モータ12M1、昇降モータ12M2及び回転モータ12M3を支持している。走行モータ12M1、昇降モータ12M2及び回転モータ12M3は、図7及び図8に示すように、走行方向に互いに離隔しており、鉛直方向から見て互いに重ならず、且つ、直交方向から見て互いに重ならない。走行モータ12M1は、支持部12における直交方向に延在した一側壁の外面に固定されており、走行方向に支持部12と隣接している。昇降モータ12M2及び回転モータ12M3は、支持部12の内部に設けられている。鉛直方向から見て、昇降モータ12M2は支持部12の角部、回転モータ12M3は支持部12の略中央にそれぞれ配置されている。
【0035】
また、図4に示すように、支持部12における走行方向に延在した一対の側壁20a,20bの一方(側壁20a:図1参照)と対向する側壁に、ガイド部材30の一対のレール30x(図2及び図4参照)と係合する一対のブロック12xが設けられている。一対のレール30xは、それぞれ走行方向に延在し、互いに鉛直方向に離隔している。ここで、支持部12にあるアームベース11bは、鉛直方向から見てガイド部材30と重なる(図4及び図8参照)。
【0036】
以上に述べたように、本実施形態によれば、走行モータ12M1、昇降モータ12M2及び回転モータ12M3が、鉛直方向及び直交方向のいずれから見ても互いに重ならない(図7及び図8参照)。これにより、搬送ロボット10の鉛直方向及び直交方向のサイズを小さくすることができ、搬送ロボット10の小型化を実現することができる。さらに、搬送ロボット10の小型化により、搬送装置1自体の小型化をも実現することができる。
【0037】
アーム軸線11axは、鉛直方向から見てベース軸線11bxと重ならない(図6(a),(b)参照)。この場合、アーム軸線11axが鉛直方向から見てベース軸線11bxと重なる場合に比べ、アーム11aが縮んだ状態(アーム11aを折り畳んだ状態)における搬送ロボット10の水平方向の面積を小さくすることができる。
【0038】
アームベース11bは、鉛直方向から見て、ガイド部材30と重なっている(図8参照)。この場合、搬送ロボット10の直交方向のサイズを確実に小さくすることができる。
【0039】
走行モータ12M1は、走行方向に支持部12と隣接している。この場合、搬送ロボット10の直交方向のサイズを確実に小さくすることができる。
【0040】
筐体20における走行方向に延在した一対の側壁20a,20bの一方(側壁20a)の内側面に、ガイド部材30が設けられている。筐体20の下壁にガイド部材30を設けた場合、ガイド部材30があるために搬送ロボット10の作業領域を低く設定し難い。これに対し、上記構成によれば、筐体20の側壁20aにガイド部材30を設けたことで、搬送ロボット10の作業領域を低くしつつ、搬送ロボット10の走行部(ガイド部材30、ラックアンドピニオン等)を比較的低い部分にまとめることができる。(搬送ロボット10の走行部は、摩擦が発生し易く、クリーン度を高く保つことが困難な領域である。上記構成によれば、走行部を筐体20内の比較的低い部分にまとめることができ、それ以外の領域のクリーン度を高く保つことができる。)
【0041】
筐体20における走行方向に延在した一対の側壁20a,20bの他方(側壁20b)にメンテナンス開口22が設けられ、支持部12においてメンテナンス開口22と対向し得る位置に開閉可能なメンテナンス用カバー12cが設けられている。この場合、搬送ロボット10のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、例えば以下のように、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0043】
アームは、複数のアーム要素で構成されることに限定されず、1つのアーム要素で構成されてもよい。また、単数又は複数のアーム要素で構成されたアームを複数設けてもよい。
アーム部は、鉛直方向と交差する方向に延在する軸線を中心として支持部に対して回転してもよい。(換言すると、アーム軸線は、鉛直方向と交差する方向に延在してもよい。)
アーム軸線は、鉛直方向から見てベース軸線と重ならない限りは、走行方向又は直交方向から見てベース軸線と重なってもよい。例えば、アーム軸線とベース軸線とは、走行方向に互いに離隔せず、直交方向に並んで配置されてもよい。
ガイド部材は、筐体の側壁に設けられることに限定されず、例えば筐体の下壁に設けられてもよい。
メンテナンス開口は、複数に限定されず、単数であってもよい。例えば、搬送空間において搬送ロボットのメンテナンスを行う位置(メンテナンス位置)を予め定めておき、搬送ロボットをメンテナンス位置に配置したときに搬送ロボットに設けられたメンテナンス用カバーと対向する位置に、1つのメンテナンス開口を設けてよい。
複数の周辺空間は、搬送空間の周辺の任意の位置に配置されてよい。例えば、複数の周辺空間は、搬送空間の周囲全体に亘って配置されてもよい。或いは、複数の周辺空間は、搬送空間の一方側のみに設けられてもよい。複数の周辺空間は、互いに異なる構成であってもよいし、互いに同じ構成であってもよい。
ケーブルベア(登録商標)は、本発明に係る搬送装置において必須の要素ではなく、例えば搬送ロボットに対する給電を無線で行う場合や、ケーブル自体が保護性能を有する場合、省略してよい。
【符号の説明】
【0044】
1 搬送装置
10 搬送ロボット
11 アーム部
11a アーム
11ax アーム軸線
11b アームベース
11bx ベース軸線
11M アームモータ
12 支持部
12c メンテナンス用カバー
12M1 走行モータ
12M2 昇降モータ
12M3 回転モータ
20 筐体
20a,20b 一対の側壁
20x 搬送空間
21 連通口
22 メンテナンス開口
30 ガイド部材
50 周辺空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8