【解決手段】包装袋は、樹脂シートからなる袋状の袋本体10と、袋本体10の側縁部を補強する柱状の補強部材30と、袋本体10に取り付けられたキャップ21を有する口具20と、口具20を被覆する包装材40とを備える。包装材40は、熱収縮樹脂からなる筒状のフィルムであり、袋本体10は、その側縁部同士が互いに接近するように屈曲した屈曲形状をなし、袋本体10及び補強部材30が口具20と共に、包装材40に密着して被覆されることによって屈曲形状に固定されている。
前記包装材には、前記袋本体及び前記補強部材を被覆する部分を残しつつ、前記口具を被覆する部分を除去するための破断誘導部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
前記補強部材における前記包装材に接触する部分には、前記包装材を係止する補強部材側係止部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装袋。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記包装袋は樹脂シートから形成されていることから、剛性が低く変形させやすいという性質を有する。こうした性質を有する上記包装袋には、廃棄時に空の包装袋を小さく折り畳むことができる等の利点がある一方で、内容物を取り出すために包装袋を把持した際に、包装袋が潰れやすくなって把持状態の安定性が低下するという問題もある。
【0006】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、把持した際の安定性を向上させた包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための包装袋は、シート材からなる袋状の袋本体と、前記袋本体の側縁部を補強する柱状の補強部材と、前記袋本体に取り付けられた、キャップを有する口具と、前記口具を被覆する包装材とを備える包装袋であって、前記包装材は、熱収縮樹脂からなる筒状のフィルムであり、前記袋本体は、その側縁部同士が互いに接近するように屈曲した屈曲形状をなし、前記袋本体及び前記補強部材が前記口具と共に、前記包装材に密着して被覆されることによって前記屈曲形状に固定されている。
【0008】
上記構成によれば、袋本体が屈曲形状とされる、即ち上面視において丸められたような形状とされることにより、厚さ方向に重なる樹脂シートの枚数が多くなって、袋本体の厚さ方向の剛性が高められる。これにより、包装袋を把持した際に袋本体が容易に潰れてしまうことが抑制され、一定の反力を感じつつ安定して把持することができるようになる。また、袋本体が屈曲形状とされていない包装袋と比較して、袋本体が屈曲形状とされて丸められた包装袋は、掌の中に収まりやすくなって持ちやすくなる。包装袋の持ちやすさが良好となることによっても、包装袋を把持した際の安定性が向上する。
【0009】
また、口具を被覆して保護する包装材を利用して袋本体を屈曲形状に固定しているため、屈曲形状に固定するための構成を新たに設ける必要がない。なお、包装袋は、包装材における袋本体及び補強部材を被覆する部分を残しつつ、口具を被覆する部分を除去した状態として使用することにより、口具のキャップを開けた状態においても袋本体の屈曲形状が維持される。
【0010】
上記包装袋において、前記包装材には、前記袋本体及び前記補強部材を被覆する部分を残しつつ、前記口具を被覆する部分を除去するための破断誘導部が設けられていることが好ましい。
【0011】
この場合には、袋本体及び補強部材を被覆する部分を残しつつ、口具を被覆する部分を除去した状態、即ち袋本体の屈曲形状を維持しつつ、キャップを取り外すことのできる状態となるように包装材を破断することが容易になる。
【0012】
上記包装袋において、前記口具は、前記包装袋が固定される取付部を備え、前記口具における前記キャップと前記取付部との間には、前記包装材を係止する口具側係止部が設けられていることが好ましい。
【0013】
この場合には、口具側係止部に包装材が係止されることにより、口具及び袋本体を被覆する包装材の位置がずれることを抑制できる。そのため、袋本体の屈曲形状を安定して維持することができる。
【0014】
上記包装袋において、前記補強部材における前記包装材に接触する部分には、前記包装材を係止する補強部材側係止部が設けられていることが好ましい。
この場合には、補強部材側係止部に包装材が係止されることにより、口具及び袋本体を被覆する包装材の位置がずれることを抑制できる。そのため、袋本体の屈曲形状を安定して維持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の包装袋によれば、把持した際の安定性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1及び
図3に示すように、包装袋は、樹脂シートにより袋状に形成された袋本体10と、袋本体10の上縁部分に取り付けられた口具20とを備えている。
【0018】
図3に示すように、袋本体10は、折り目が上方を向くように二つ折りにされた横長の略長方形状の底面シート11と、その底面シート11を挟み込むように対向配置された一対の縦長の長方形状の側面シート12とから構成されている。そして、口具20の下部(取付部23)及び二つ折りにされた底面シート11全体を挟んで一対の側面シート12を重ね合わせた状態として、側面シート12の上下及び左右の各縁部がそれぞれ接着されて、上方に口具20を有する袋状に形成されている。
【0019】
具体的には、
図4に示すように、袋本体10の上縁においては、口具20の下部(取付部23)の外周面と側面シート12の内面とが接着されるとともに、側面シート12の内面同士が一定幅で接着されている。袋本体10の左右の両側縁においては、側面シート12の内面同士が一定幅で接着されている。袋本体10の下縁においては、側面シート12の内面と底面シート11の外面とが、上下方向において円弧状に凹んだ曲線と側面シート12の左縁、右縁及び下縁とによって囲まれた領域にて接着されている。
【0020】
なお、袋本体10には内容物が収容されている。袋本体10に収容される内容物は特に限定されるものではない。袋本体10に収容される内容物としては、例えば、液体状、粒子状、ゼリー状等の流動性を有する内容物が挙げられる。
【0021】
図5(a),(b)に示すように、口具20は、キャップ21を有するキャップ付きの口具である。口具20は、上下に開口する円筒状の筒部22を備えている。筒部22の下部には、半径方向に突出するとともに、袋本体10の上縁が接着されて固定される取付部23が設けられている。筒部22の上部の外周には、キャップ21が係合する雄螺子22aが設けられている。なお、キャップ21の内周には、雄螺子に係合する雌螺子が設けられている(図示略)。
【0022】
また、筒部22の中央部の外周には、キャップ21の下端を支持するフランジ24が設けられている。そして、筒部22におけるフランジ24と取付部23との間の部分には、半径方向に凹んだ溝状の凹部25が設けられている。
【0023】
図3及び
図4に示すように、袋本体10の両側縁部分には、一対の補強部材30が取り付けられている。補強部材30は、袋本体10の縁部の接着部分を外側から覆う横断面コ字状(溝状)をなす柱状の部材である。また、補強部材30は、袋本体10の側縁全体を補強する側縁補強部31と、袋本体10の上縁の端部を補強する上縁補強部32とを備え、全体としてL字状に形成されている。そして、両補強部材30は、袋本体10の上縁及び側縁の接着部分に対して一体に固定されている。なお、袋本体10の上縁の中央部には、補強部材30が取り付けられていない非補強部13が設けられている。
【0024】
図1及び
図2に示すように、上記のとおり構成された袋本体10は、両側縁部分を接近させるように屈曲させた屈曲形状、即ち上面視において略C字状に丸められたような形状とされている。具体的には、袋本体10の両側縁部分の上部を、袋本体10を構成する一方の側面シート12側に屈曲させて、両側縁部分に取り付けられている補強部材30を互いに接近させた状態とされている。袋本体10の上縁については、非補強部13において屈曲されている。そして、上記屈曲形状とされている袋本体10の上部、及び口具20に対して、これらの各部位を被覆する包装材40が取り付けられている。
【0025】
図6(a),(b)に示すように、包装材40としては、熱収縮樹脂からなる筒状のフィルム(所謂、チューブタイプのシュリンクフィルム)が用いられている。包装材40を構成する熱収縮樹脂は特に限定されるものではなく、熱収縮することにより対象物を包装する用途に利用可能な熱収縮樹脂であればよい。
【0026】
取り付け前の包装材40は、屈曲形状とした袋本体10の上部を収容可能な程度の内径を有する筒状とされる。包装材40には、ミシン目状に並ぶ複数の孔からなる破断誘導部41が設けられている。破断誘導部41は、包装材40の中央部分において、その周方向に一周する横破断誘導部41aと、所定の間隔をあけて平行に設けられ、横破断誘導部41aから一方の縁(上縁)まで延びる一対の縦破断誘導部41bとからなる。
【0027】
図6(b)に示すように、包装材40は、その内側に、口具20の全体、及び屈曲形状とした袋本体10の上部を収容させた状態として、加熱により熱収縮することによって、口具20、袋本体10の上部、及び補強部材30の上部を密着した状態で被覆するように取り付けられる。
【0028】
図2に示すように、包装材40は、口具20に対しては、キャップ21の上面周縁部分及び外周面、フランジ24の外周面、凹部25を、これらの各部位の凹凸形状に沿って密着した状態で被覆する。袋本体10の上部及び補強部材30の上部に対しては、屈曲形状としたときに外側に位置する側面シート12、及び補強部材30における屈曲形状としたときに外側に位置する部位を、これらの各部位の凹凸形状に沿って密着した状態で被覆する。特に、口具20の凹部25、及び袋本体10と補強部材30との間の段差部分において、包装材40は、これらの各部位の凹凸形状に沿って密着した状態とされている。
【0029】
そして、袋本体10は、口具20に加えて、袋本体10の上部に対しても筒状の包装材40に被覆されることによって、屈曲形状に固定されている。袋本体10をより安定して屈曲形状に固定する観点において、包装材40における袋本体10を被覆する部分の長さLを、10mm以上に設定することが好ましく、12mm以上に設定することがより好ましい。また、包装材40を取り付けた状態において、横破断誘導部41aは、キャップ21とフランジ24との境、又はその近傍に位置している。
【0030】
次に、本実施形態の作用について記載する。
本実施形態の包装袋は、包装材40に被覆されることによって、袋本体10が上面視において丸められた屈曲形状に固定されている。屈曲形状とされた包装袋は、厚さ方向に重なる側面シート12の枚数が多くなって、袋本体10の厚さ方向の剛性が高められる。これにより、包装袋を把持した際に袋本体10が容易に潰れてしまうことが抑制され、一定の反力を感じつつ安定して把持することができるようになる。
【0031】
また、袋本体10が非屈曲形状である包装袋と比較して、袋本体10が屈曲形状とされて丸められた包装袋は、掌の中に収まりやすくなって持ちやすくなる。包装袋の持ちやすさが良好となることによっても、包装袋を把持した際の安定性が向上する。さらには、丸められた形状となることによって、包装袋の自立性も向上する。また、袋本体10が屈曲形状とされた包装袋は、側面視においてビンのような外観形状(略円錐状や略円筒形状)となり、意匠性にも優れている。
【0032】
なお、
図2及び
図7に示すように、包装袋から内容物を取り出す際には、破断誘導部41に沿って包装材40を破断する。これにより、包装材40の上部、即ち包装材40における口具20のキャップ21を被覆する部分が分離及び除去されて、口具20からキャップ21を取り外すことが可能になる。そして、キャップ21を取り外すことにより、口具20の筒部22を通じて袋本体10内に収容された内容物を取り出すことが可能になる。
【0033】
このとき、包装材40の一部が除去されて、キャップ21を取り外すこと及び内容物を取り出すことが可能になった後も、包装材40における袋本体10の上部及び補強部材30の上部を被覆する部分については、そのまま残存する。そのため、包装袋から内容物を取り出し可能な状態とした後も、残存する包装材40によって、袋本体10の屈曲形状は維持される。
【0034】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)包装袋は、樹脂シートからなる袋状の袋本体10と、袋本体10の側縁部を補強する柱状の補強部材30と、袋本体10に取り付けられたを有する口具20と、口具20を被覆する包装材40とを備える。包装材40は、熱収縮樹脂からなる筒状のフィルムであり、袋本体10は、その側縁部同士が互いに接近するように屈曲した屈曲形状をなし、袋本体10及び補強部材30が口具20と共に、包装材40に密着して被覆されることによって屈曲形状に固定されている。
【0035】
上記構成によれば、包装袋を把持した際の安定性が向上する。また、口具20を被覆して保護する包装材40を利用して屈曲形状に固定したことにより、屈曲形状に固定するための構成を新たに設ける必要がない。
【0036】
(2)包装材40には、袋本体10及び補強部材30を被覆する部分を残しつつ、口具20のキャップ21を被覆する部分を除去するための破断誘導部41が設けられている。
上記構成によれば、袋本体10及び補強部材30を被覆する部分を残しつつ、口具20のキャップ21を被覆する部分を除去した状態、即ち袋本体10の屈曲形状を維持しつつ、キャップ21を取り外すことのできる状態となるように包装材40を破断することが容易になる。
【0037】
(3)口具20は、包装袋が固定される取付部23を備え、口具20におけるキャップ21と取付部23との間には、凹部25が設けられている。包装材40は、凹部25に沿って密着した状態で口具20を被覆している。
【0038】
上記構成によれば、包装材40に対して、包装材40が抜ける方向へ動かす力が作用した場合に、凹部25に包装材40が引っ掛かることにより包装材40が係止される。これにより、包装材40の位置がずれることを抑制できる。その結果、袋本体10の屈曲形状を安定して維持することができる。本実施形態においては、凹部25が口具側係止部として機能する。
【0039】
(4)補強部材30は、袋本体10の上縁の端部を補強する上縁補強部32を備えている。包装材40は、上縁補強部32に密着した状態で口具20を被覆している。
上記構成によれば、包装材40の軸方向において、補強部材30(上縁補強部32)と袋本体10との間に段差が形成される(
図2参照)。そのため、包装材40に対して、包装材40が抜ける方向へ動かす力が作用した場合に、上記段差に包装材40が引っ掛かることにより包装材40が係止される。これにより、包装材40の位置がずれることを抑制できる。その結果、袋本体10の屈曲形状を安定して維持することができる。本実施形態において、上縁補強部32は、包装材40を係止する補強部材側係止部として機能する。
【0040】
(5)補強部材30は、袋本体10の側縁を補強する側縁補強部31を備えている。包装材40は、側縁補強部31に密着した状態で口具20を被覆している。
上記構成によれば、包装材40の周方向において、補強部材30(側縁補強部31)と袋本体10との間に段差が形成される(
図2参照)。そのため、包装材40に対して、包装材40を回転させる方向へ動かす力が作用した場合に、上記段差に包装材40が引っ掛かることにより包装材40が係止される。これにより、包装材40の位置がずれることを抑制できる。その結果、袋本体10の屈曲形状を安定して維持することができる。本実施形態において、側縁補強部31は、包装材40を係止する補強部材側係止部として機能する。
【0041】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・袋本体10の屈曲形状は、上記実施形態の形状に限定されるものではない。例えば、上面視において略C字状に丸めたような形状から更に各側縁部分が内側又は外側に屈曲されたような形状(例えば、Ω字状やS字状)であってもよい。また、少なくとも袋本体10の上部が屈曲されていればよく、全体として略円錐状になるように上側部分のみを屈曲させた屈曲形状であってもよいし、全体として略円筒状になるように袋本体10を全体的に屈曲させた屈曲形状であってもよい。
【0042】
・袋本体10は、樹脂シートにより袋状に形成されるものであればよく、袋本体10を構成する各樹脂シートの具体的構成は特に限定されるものではない。例えば、底面シート11を省略して一対の側面シート12のみから袋本体10を形成してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、袋本体10を構成するシート材として樹脂シートを用いたが、樹脂シート以外のシート材、例えば、アルミ箔や紙等をラミネート加工してなるシート材を用いてもよい。
【0044】
・上記実施形態では、口具20に設けられるキャップ21として、螺子構造により係合する別体型のキャップ21(所謂、スクリューキャップ)を採用していたが、キャップ21の構成はこれに限定されるものではない。例えば、筒部22に対してヒンジを介して開閉動作する一体型のキャップ21を採用してもよい。
【0045】
・口具20に設けられる口具側係止部は、凹部25に限定されるものではなく、口具20に対して包装材40が相対移動しようとした際に、包装材40が引っ掛かって係止される凹凸構造であればよい。口具側係止部をキャップ21に設けてもよい。また、口具側係止部を省略してもよい。
【0046】
・補強部材30について、上縁補強部32を省略してもよい。
・補強部材側係止部として、口具20に対して包装材40が相対移動しようとした際に、包装材40が引っ掛かって係止される凹凸構造を、補強部材30における包装材40に接触する部分に更に設けてもよい。
【0047】
例えば、
図8(a)に示す例では、補強部材30に対して、補強部材側係止部としての突起33を設けている。また、
図8(b)に示す例では、補強部材30に対して、補強部材側係止部としての段差34を設けている。これらの構成によれば、補強部材30における突起33や段差34に密着して包装材40が被覆される。そのため、包装材40に対して包装材40を動かす力が作用した場合に、突起33や段差34に包装材40が引っ掛かることにより包装材40が係止される。
【0048】
・包装材40に設けられる破断誘導部41は、ミシン目状に並ぶ複数の孔に限定されるものではなく、特定形状への破断を誘導する構成であればよい。例えば、切り込み等の薄肉部であってもよい。また、破断誘導部41を省略してもよい。この場合には、使用者がナイフ等を用いて、
図7に示す形状となるように包装材40を破断すればよい。
【0049】
・屈曲形状にある袋本体10及び補強部材30の各上部が口具20と共に被覆されていれば、包装材40により被覆される袋本体10及び補強部材30の範囲は特に限定されるものではない。例えば、屈曲形状にある袋本体10及び補強部材30の全体を包装材40により被覆した構成としてもよい。
【0050】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記口具側係止部は、前記キャップと前記取付部との間に設けられた凹部である前記包装袋。
【0051】
(ロ)前記補強部材側係止部は、前記袋本体の上縁の端部を補強する上縁補強部、及び袋本体10の側縁を補強する側縁補強部である前記包装袋。
(ハ)前記補強部材側係止部は、前記補強部材における前記包装材に接触する部分に設けられた凹凸構造である前記包装袋。