【解決手段】第1自動ワインダ10は、複数の第1ワインダユニット11、第1玉揚台車13、第1制御部18、及び第1通信部16を備える。第1ワインダユニット11は、X方向に沿って並設され、糸を巻き取る。第1玉揚台車13は、X方向に沿って走行可能に設けられ、第1ワインダユニット11に対して玉揚作業を行う。第1制御部18は、第1玉揚台車13の走行を制御する。第1通信部16は、Y方向に隣接する第2自動ワインダ20に対して通信を行い、第2自動ワインダ20の動作状況及び/又は周辺状況に関する隣接装置情報を取得する。第1制御部18は、第1通信部16で取得した隣接装置情報に基づいて、第1玉揚台車13の走行を制御する。
前記制御部は、前記並設方向において、前記サービス台車と前記他の糸巻取装置が備える他のサービス台車とで作業エリアの少なくとも一部が同じにならないように、前記サービス台車の走行を制御する、請求項1〜5の何れか一項に記載の糸巻取装置。
前記並設方向において、前記サービス台車と前記他の糸巻取装置が備える他のサービス台車とで走行位置又は作業エリアの少なくとも一部が同じになる場合に、警告を発する警告部を更に備える、請求項1〜7の何れか一項に記載の糸巻取装置。
前記サービス台車は、前記巻取ユニットで巻き取られたパッケージの排出と当該巻取ユニットへの巻管の供給とを実行する玉揚台車である、請求項1〜10の何れか一項に記載の糸巻取装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来技術では、糸巻取装置に隣接して他の糸巻取装置が配置される場合がある。この場合、他の糸巻取装置における動作状況及び/又は周辺状況によっては、サービス台車に作業者が接触する接触可能性(以下、単に「接触可能性」ともいう)が高まることが懸念される。例えば、他の糸巻取装置が備える他のサービス台車が糸巻取装置のサービス台車と対面するように走行する状況、又は、他の糸巻取装置の周辺にて作業者が作業している状況においては、接触可能性が高まることが懸念される。
【0005】
そこで、本発明は、サービス台車に作業者が接触する接触可能性を低減することが可能な糸巻取装置及び糸巻取システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る糸巻取装置は、所定の並設方向に沿って並設され、糸を巻き取る複数の巻取ユニットと、並設方向に沿って走行可能に設けられ、巻取ユニットに対してサービスを行うサービス台車と、サービス台車の走行を制御する制御部と、直接的又は間接的に通信を行う通信部と、を備えた糸巻取装置であって、通信部は、並設方向に直交する方向に隣接する他の糸巻取装置に対して通信を行い、他の糸巻取装置の動作状況及び/又は周辺状況に関する隣接装置情報を取得し、制御部は、通信部で取得した隣接装置情報に基づいてサービス台車の走行を制御する。
【0007】
本発明の糸巻取装置では、通信部によって通信が行われて隣接装置情報が取得され、この隣接装置情報に基づき制御部によってサービス台車の走行が制御される。これにより、隣接する他の糸巻取装置の動作状況及び/又は周辺状況を考慮してサービス台車を走行させることができ、サービス台車の走行に、当該動作状況及び/又は周辺状況による接触可能性を考慮することが可能となる。したがって、サービス台車に作業者が接触する接触可能性を低減することが可能となる。
【0008】
本発明に係る糸巻取装置において、隣接装置情報は、他の糸巻取装置が備える他のサービス台車の走行に関する走行情報を含んでいてもよい。この構成によれば、糸巻取装置のサービス台車を、隣接する他の糸巻取装置が備える他のサービス台車の走行を考慮して走行させることができる。
【0009】
本発明に係る糸巻取装置において、隣接装置情報は、他の糸巻取装置が備える他のサービス台車の位置に関する位置情報を含んでいてもよい。この構成によれば、糸巻取装置のサービス台車を、隣接する他の糸巻取装置が備える他のサービス台車の位置を考慮して走行させることができる。
【0010】
本発明に係る糸巻取装置において、隣接装置情報は、他の糸巻取装置の周辺に存在している人に関する人情報を含んでいてもよい。この構成によれば、糸巻取装置のサービス台車を、隣接する他の糸巻取装置の周辺における人の存在を考慮して走行させることができる。
【0011】
本発明に係る糸巻取装置は、並設方向に沿って配置された走行路を更に備え、サービス台車は、巻取ユニットの本体部よりも正面側に突き出た状態で走行路に沿って走行してもよい。この場合、サービス台車に作業者が接触しやすい構成であることから、上記効果、すなわち、サービス台車に作業者が接触する接触可能性を低減する効果は特に有効である。
【0012】
本発明に係る糸巻取装置において、制御部は、並設方向において、サービス台車と他の糸巻取装置が備える他のサービス台車とで作業エリアの少なくとも一部が同じにならないように、サービス台車の走行を制御してもよい。並設方向において走行位置又は作業エリアがサービス台車と他のサービス台車とで同じであると、例えばこれらサービス台車の双方に作業者の注意が分散してしまいやすくなり、サービス台車に作業者が接触する接触可能性が高まることが見出される。この知見の下、本発明の糸巻取装置によれば、並設方向における作業エリアの少なくとも一部が他のサービス台車と同じにならないようにサービス台車を走行させることで、サービス台車に作業者が接触する接触可能性を低減することが可能となる。
【0013】
本発明に係る糸巻取装置において、制御部は、並設方向において、サービス台車の走行位置と他の糸巻取装置が備える他のサービス台車の走行位置とが同じではない場合に、第1速度で走行するようにサービス台車の走行を制御し、並設方向において、サービス台車の走行位置と他のサービス台車の走行位置とが同じになる場合に、第1速度よりも遅い第2速度で走行するようにサービス台車の走行を制御してもよい。上記知見の下、本発明の糸巻取装置では、並設方向における走行位置が他のサービス台車と同じになる場合に、サービス台車の速度が第1速度から第2速度へ減速される。これにより、サービス台車に作業者が接触する接触可能性を低減することが可能となる。
【0014】
本発明に係る糸巻取装置は、並設方向において、サービス台車と他の糸巻取装置が備える他のサービス台車とで走行位置又は作業エリアの少なくとも一部が同じになる場合に、警告を発する警告部を更に備えていてもよい。上記知見の下、本発明の糸巻取装置によれば、並設方向における走行位置又は作業エリアの少なくとも一部が他のサービス台車と同じになる場合に警告を発することで、サービス台車に作業者が接触する接触可能性を低減することが可能となる。
【0015】
本発明に係る糸巻取装置において、サービス台車は、当該サービス台車の周辺の人を検知するセンサを有し、制御部は、センサで人を検知した場合に、サービス台車の走行を停止させる、又は、当該人から離れるようにサービス台車の走行を制御してもよい。この場合、サービス台車に作業者が接触する接触可能性を一層低減することが可能となる。
【0016】
本発明に係る糸巻取装置において、制御部は、第3速度で走行するようにサービス台車の走行を制御すると共に、他の糸巻取装置の周辺に人が存在している場合に、第3速度よりも遅い第4速度で走行するようにサービス台車の走行を制御してもよい。この場合、他の糸巻取装置の周辺に人が存在している場合に速度を遅くしてサービス台車を走行させることができ、サービス台車に作業者が接触する接触可能性を低減することが可能となる。
【0017】
本発明に係る糸巻取装置において、サービス台車は、巻取ユニットで巻き取られたパッケージの排出と当該巻取ユニットへの巻管の供給とを実行する玉揚台車であってもよい。これにより、玉揚台車によって巻取ユニットの玉揚げを自動的に実行することができる。
【0018】
本発明に係る糸巻取装置において、巻取ユニットは、給糸ボビンから糸を巻き取ってパッケージを形成するワインダユニットであってもよい。これにより、自動ワインダとしての糸巻取装置において、サービス台車に作業者が接触する接触可能性を低減することができる。
【0019】
本発明に係る糸巻取装置において、巻取ユニットは、空気の力で糸の紡績を行う紡績部を有する空気精紡ユニットであってもよい。これにより、空気精紡機としての糸巻取装置において、サービス台車に作業者が接触する接触可能性を低減することができる。
【0020】
本発明に係る糸巻取システムにおいて、第1糸巻取装置と、第1糸巻取装置に隣接する第2糸巻取装置と、を具備する糸巻取システムであって、第1糸巻取装置は、所定の並設方向に沿って並設され、糸を巻き取る複数の第1巻取ユニットと、並設方向に沿って移動可能に設けられ、第1巻取ユニットに対してサービスを行う第1サービス台車と、第1サービス台車の走行を制御する第1制御部と、第2糸巻取装置に対して直接的又は間接的に通信を行い、第2糸巻取装置の動作状況及び/又は周辺状況に関する第1隣接装置情報を取得する第1通信部と、を備え、第2糸巻取装置は、並設方向に沿って並設され、糸を巻き取る複数の第2巻取ユニットと、並設方向に沿って移動可能に設けられ、第2巻取ユニットに対してサービスを行う第2サービス台車と、第2サービス台車の走行を制御する第2制御部と、第1糸巻取装置に対して直接的又は間接的に通信を行い、第1糸巻取装置の動作状況及び/又は周辺状況に関する第2隣接装置情報を取得する第2通信部と、を備え、第1制御部は、第1通信部で取得した第1隣接装置情報に基づいて第1サービス台車の走行を制御し、第2制御部は、第2通信部で取得した第2隣接装置情報基づいて第2サービス台車の走行を制御する。
【0021】
本発明の糸巻取システムでは、第1通信部によって通信が行われて第1隣接装置情報が取得され、この第1隣接装置情報に基づき第1制御部によって第1サービス台車の走行が制御される。これにより、隣接する第2糸巻取装置の動作状況及び/又は周辺状況を考慮して第1サービス台車を走行させることができ、第1サービス台車の走行に、当該動作状況及び/又は周辺状況による接触可能性を考慮することが可能となる。また、第2通信部によって通信が行われて第2隣接装置情報が取得され、この第2隣接装置情報に基づき第2制御部によって第2サービス台車の走行が制御される。これにより、隣接する第1糸巻取装置の動作状況及び/又は周辺状況を考慮して第2サービス台車を走行させることができ、第2サービス台車の走行に、当該動作状況及び/又は周辺状況による接触可能性を考慮することが可能となる。したがって、第1及び第2サービス台車に作業者が接触する接触可能性を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、サービス台車に作業者が接触する接触可能性を低減できる糸巻取装置及び糸巻取システムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
図1に示されるように、本実施形態の自動ワインダシステム(糸巻取システム)100は、第1自動ワインダ(第1糸巻取装置)10と、第2自動ワインダ(第2糸巻取装置)20と、を備えている。第1自動ワインダ10及び第2自動ワインダ20は、互いに対面して隣接するように並置されている。第1自動ワインダ10及び第2自動ワインダ20の間には、作業者Oが通行する作業者通路Tが形成されている。つまり、第1自動ワインダ10及び第2自動ワインダ20は、ともに正面側が作業者通路T側となる向きにした状態で並べられ、作業者通路Tを介して互いに対面している。
【0026】
なお、以下の説明では、高さ方向をZ方向とし、第1自動ワインダ10及び第2自動ワインダ20が並ぶ方向(対面する方向)をY方向とし、作業者通路Tが延びる方向をX方向として説明する。X方向とY方向とZ方向とは、互いに直交する方向である。
【0027】
図1及び
図2に示されるように、第1自動ワインダ10は、複数の第1ワインダユニット11と、第1走行レール12と、第1玉揚台車13と、第1機台制御装置14と、を主要な構成として備えている。第2自動ワインダ20は、第1自動ワインダ10と同様に構成されており、複数の第2ワインダユニット21と、第2走行レール22と、第2玉揚台車23と、第2機台制御装置24と、を主要な構成として備えている。
【0028】
第1ワインダユニット11は、糸を巻き取る第1巻取ユニットである。第1ワインダユニット11は、所定の並設方向としてのX方向に沿って並設されている。第1ワインダユニット11は、給糸ボビンBから解舒された糸を綾振り(トラバース)しながら巻取ボビンに巻き取ってパッケージPを形成する。
【0029】
第1ワインダユニット11は、第1ユニット本体(本体部)11aを有する。第1ユニット本体11aは、不図示のボビン支持部、糸解舒補助装置、糸張力付与装置、テンションセンサ、糸継装置、糸監視装置及び巻取部を主要な構成として備えている。第1ユニット本体11aは、筐体フレーム11bに取付けられている。第1ワインダユニット11は、パッケージPが満巻となった場合、第1機台制御装置14へ玉揚要求を出力する。
【0030】
第1走行レール12は、X方向に沿って配置された走行路である。第1走行レール12は、第1玉揚台車13の走行を案内する。第1走行レール12は、第1ユニット本体11aの上方において、X方向の一端側の第1ワインダユニット11から他端側の第1ワインダユニット11に亘って延在している。
【0031】
第1玉揚台車13は、第1ワインダユニット11に対してサービスを行う第1サービス台車である。第1玉揚台車13は、パッケージPが満巻になって玉揚作業が必要になった旨の玉揚要求があった第1ワインダユニット11に対して、玉揚作業を実行する。すなわち、第1玉揚台車13は、パッケージPが満巻となった第1ワインダユニット11の位置まで走行し、当該第1ワインダユニット11から満巻のパッケージPを排出させると共に、当該第1ワインダユニット11に空の巻取ボビン(巻管)を供給する。第1玉揚台車13は、第1機台制御装置14の後述の第1制御部18により動作が制御される。
【0032】
第1玉揚台車13は、X方向に沿って走行可能(移動可能)に設けられている。換言すると、第1玉揚台車13は、複数の第1ワインダユニット11に渡るように、第1走行レール12に沿って走行可能に構成されている。第1玉揚台車13は、不図示の走行モータを有し、この走行モータの駆動力により第1走行レール12に沿って走行する。第1玉揚台車13は、第1ユニット本体11aの上方において、第1ユニット本体11aよりも正面側に突き出た状態で第1走行レール12に沿って走行する。
【0033】
第1玉揚台車13は、人感センサ13aを有している。人感センサ13aは、第1玉揚台車13の周辺の人を検知するセンサである。例えば人感センサ13aとしては、光学式センサ又は赤外線センサを用いることができる。人感センサ13aは、例えば第1玉揚台車13の外面の複数個所に設けられている。人感センサ13aは、人を検知した場合、その検知信号を第1機台制御装置14に送信する。
【0034】
人感センサ13aは、人を検知した場合、第1自動ワインダ10の周辺に人が存在していることを表す情報を、第1通信部16へ出力する。当該情報には、存在している人の位置を関連付けてもよい。「位置」は、例えば、任意の基準点からの距離によって表してもよいし、各第1ワインダユニット11に割り当てられたユニット番号に基づき表してもよい(以下の「位置」において同様)。
【0035】
第1機台制御装置14は、第1設定部15、第1通信部16、第1警告部17及び第1制御部18を有している。第1設定部15は、複数の第1ワインダユニット11と接続されており、複数の第1ワインダユニット11を集中的に管理する。第1設定部15は、作業者Oが所定の設定値を入力したり適宜の制御方法を選択したりすることで、各第1ワインダユニット11に対する設定を行う。第1設定部15は、表示部を含み、この表示部には、各第1ワインダユニット11の糸の巻取状況、及び、発生したトラブルの内容等が表示される。第1設定部15は、例えばタッチパネルにより構成することができる。
【0036】
第1設定部15は、作業者Oによる設定が行われている場合、第1自動ワインダ10の周辺に人が存在していることを表す情報を、第1通信部16へ出力する。なお、作業者Oによる第1設定部15の設定が行われていなくても、第1設定部15の前に作業者Oが存在することを人感センサ等で検知した場合(又は、第1設定部15が省エネモードから通常モードへ切り替わった際)、第1自動ワインダ10の周辺に人が存在していることを表す情報を、第1通信部16へ出力してもよい。当該情報には、存在している人の位置を関連付けてもよい。
【0037】
第1通信部16は、第2自動ワインダ20との間で通信を行い、第2自動ワインダ20の動作状況及び/又は周辺状況に関する第1隣接装置情報を取得する。具体的には、第1通信部16は、第2自動ワインダ20の第2通信部26から送信された第1隣接装置情報を受信する。一方、第1通信部16は、第1自動ワインダ10の動作状況及び/又は周辺状況に関する第2隣接装置情報を、第2自動ワインダ20の第2通信部26へ送信する。
【0038】
第1警告部17は、作業者Oに対して警告を発する装置である。第1警告部17としては、例えばスピーカ及び/又は表示灯を用いることができ、この場合、警告として、スピーカからの音声の出力及び/又は表示灯の点灯が実行される。第1警告部17を第1玉揚台車13に設け、作業者Oに対して警告を発してもよい。なお、第1警告部17は、警告を発することができれば、その他の様々な公知の装置であってもよい。
【0039】
第1制御部18は、プロセッサを含むコンピュータにより構成されている。第1制御部18は、第1玉揚台車13(ここでは、第1玉揚台車13の走行モータ)と接続されており、第1ワインダユニット11からの玉揚要求に応じて第1玉揚台車13の動作を制御する。
【0040】
具体的には、第1制御部18は、ある第1ワインダユニット11から玉揚要求が入力されると、当該第1ワインダユニット11に対して玉揚作業を実行させるタスク(以下、単に「タスク」という)を生成する。そして、第1玉揚台車13の動作を制御して、生成したタスクを実行する。すなわち、生成したタスクに応じて第1玉揚台車13を走行させる走行パターンを生成する。生成した走行パターンで走行するように第1玉揚台車13を制御する。当該第1ワインダユニット11から満巻のパッケージPを排出させると共に、当該第1ワインダユニット11に空の巻取ボビンを供給させる。
【0041】
第1制御部18は、複数の第1ワインダユニット11から玉揚要求が入力され、複数のタスクが生成された場合には、現在の第1玉揚台車13の位置から近い第1ワインダユニット11に対するタスクから先に実行する。換言すると、生成した複数のタスクについて、玉揚要求のある複数の第1ワインダユニット11間を第1玉揚台車13が走行するに際して走行距離が最短となるように、実行順に優先付けをして実行する。
【0042】
第1制御部18は、第1通信部16で取得した第1隣接装置情報に基づいて、第1玉揚台車13の走行を制御する。第1制御部18は、X方向において第1玉揚台車13と第2玉揚台車23とで作業エリアの少なくとも一部が同じにならないように、第1玉揚台車13の走行を制御する。第1制御部18は、X方向において第1玉揚台車13の走行位置と第2玉揚台車23の走行位置とが同じではない場合に、標準速度で走行するように第1玉揚台車13の走行を制御すると共に、X方向において第1玉揚台車13の走行位置と第2玉揚台車23の走行位置とが同じになる場合に、標準速度よりも遅い低速度で走行するように第1玉揚台車13の走行を制御する。また、第1制御部18は、標準速度で走行するように第1玉揚台車13の走行を制御すると共に、第2自動ワインダ20の周辺に人が存在している場合には、低速度で走行するように第1玉揚台車13の走行を制御する。標準速度は、通常時における第1玉揚台車13の速度である。標準速度及び低速度は、例えば予め設定された固定値であってもよいし、変動値であってもよい。第1玉揚台車13の走行制御の詳細については、後述する。
【0043】
第1制御部18は、人感センサ13aと接続されている。第1制御部18は、人感センサ13aで人を検知した場合に、第1玉揚台車13の走行を停止、又は、当該人から離れるように第1玉揚台車13の走行を制御する。
【0044】
第1制御部18は、第1警告部17と接続されている。第1制御部18は、X方向において走行位置又は作業エリアの少なくとも一部が、第1玉揚台車13と第2玉揚台車23とで重なる場合に、第1警告部17から警告を発生させる。
【0045】
第2ワインダユニット21は、第1ワインダユニット11と同様に構成されており、筐体フレーム21bに取付けられた第2ユニット本体(本体部)21aを有する。第2走行レール22は、第1走行レール12と同様に構成されている。第2玉揚台車23は、第1玉揚台車13と同様に構成されており、人感センサ23aを有する。第2機台制御装置24は、第1機台制御装置14と同様に構成されており、第2設定部25、第2通信部26、第2警告部27及び第2制御部28を有する。
【0046】
次に、自動ワインダシステム100における第1玉揚台車13及び第2玉揚台車23の走行制御について、
図3を参照して説明する。
【0047】
第2自動ワインダ20では、第2通信部26から第1自動ワインダ10の第1通信部16へ第1隣接装置情報を送信する(S1)。この送信に応じて、第1自動ワインダ10では、第1通信部16により第1隣接装置情報を取得する(S2)。第1自動ワインダ10では、第1通信部16から第2自動ワインダ20の第2通信部26へ第2隣接装置情報を送信する(S3)。この送信に応じて、第2自動ワインダ20では、第2通信部26により第2隣接装置情報を取得する(S4)。なお、上記S3及び上記S4は、上記S1及び上記S2の後に実施してもよいし、上記S1及び上記S2と並列的に実施してもよい。
【0048】
第1隣接装置情報は、第2自動ワインダ20の第2玉揚台車23の走行パターンを含んでいる。第2玉揚台車23の走行パターンは、第2玉揚台車23の走行に関する走行情報である。具体的には、当該走行パターンは、第2自動ワインダ20で玉揚作業を実行させる1又は複数のタスクに応じて第2玉揚台車23を走行させるために予定される、第2玉揚台車23の走行の推移を表す情報である。例えば当該走行パターンは、第2玉揚台車23の位置及び速度が時間に関連づけられて成る情報である。
【0049】
第1隣接装置情報は、第2自動ワインダ20の周辺に存在している人に関する人情報を含んでいる。例えば人情報は、第2設定部25で設定が行われている場合、又は、人感センサ23aで人を検知した場合に取得された情報であって、第2自動ワインダ20の周辺に人が存在していることを表す情報である。また、第1隣接装置情報には、第2玉揚台車23の1又は複数のタスクに関する情報、第2玉揚台車23の現在位置に関する情報、及び、第2玉揚台車23の現在速度に関する情報が含まれていてもよい。第2玉揚台車23の現在位置及び現在速度は、例えば第2玉揚台車23に搭載された公知のセンサ(位置センサ又は速度センサ等)によって検出できる。
【0050】
第2隣接装置情報は、第1自動ワインダ10の第1玉揚台車13の走行パターンを含んでいる。第1玉揚台車13の走行パターンは、第1玉揚台車13の走行に関する走行情報である。具体的には、当該走行パターンは、第1自動ワインダ10で玉揚作業を実行させる1又は複数のタスクに応じて第1玉揚台車13を走行させるために予定される、第1玉揚台車13の走行の推移を表す情報である。例えば当該走行パターンは、第1玉揚台車13の位置及び速度が時間に関連づけられて成る情報である。
【0051】
第2隣接装置情報は、第1自動ワインダ10の周辺に存在している人に関する人情報を含んでいる。例えば人情報は、第1設定部15で設定が行われている場合、又は、人感センサ13aで人を検知した場合に取得された情報であって、第1自動ワインダ10の周辺に人が存在していることを表す情報である。また、第2隣接装置情報には、第1玉揚台車13の1又は複数のタスクに関する情報、第1玉揚台車13の現在位置に関する情報、及び、第1玉揚台車13の現在速度に関する情報が含まれていてもよい。第1玉揚台車13の現在位置及び現在速度は、例えば第1玉揚台車13に搭載された公知のセンサ(位置センサ又は速度センサ等)によって検出できる。
【0052】
上記S2の後、第1自動ワインダ10では、第1制御部18において、第1通信部16で取得した第1隣接装置情報に応じた走行パターンによって第1玉揚台車13の走行を制御する(S5)。
【0053】
上記S4の後、第2自動ワインダ20では、第2制御部28において、第2通信部26で取得した第2隣接装置情報に応じた走行パターンによって第2玉揚台車23の走行を制御する(S6)。上記S6では、第2玉揚台車23の走行を制御するために、第2玉揚台車23の現在位置及び現在速度を検出してもよい。なお、上記一連の処理は、例えば所定周期で繰り返し実行してもよい。
【0054】
次に、第1玉揚台車13の走行制御(上記S5)に関連する第1制御部18による制御について、
図4〜
図8を参照して例示する。なお、第2玉揚台車23の走行制御(上記S6)に関連する第2制御部28による制御については、同様のために説明を省略する。
【0055】
図4は、第1制御部18による制御の第1例を示すフローチャートである。
図4に示される例では、まず、1又は複数の第1ワインダユニット11から入力された1又は複数の玉揚要求に応じて、玉揚作業を実行させる1又は複数のタスクを生成する(S11)。生成した1又は複数のタスクに応じて、当該1又は複数のタスクを標準条件に沿った順(ここでは、上述のように現在の第1玉揚台車13の位置から近い第1ワインダユニット11に対するタスク順)で実行させる走行パターンを生成する(S12)。
【0056】
続いて、取得した第1隣接装置情報に基づいて、次に実行するタスクの作業エリアが、第1玉揚台車13と第2玉揚台車23とで重なるか否かを判定する(S13)。作業エリアは、玉揚作業を実施するワインダユニットの周辺領域である。例えば作業エリアは、当該ワインダユニットを中心として、X方向の一方側と他方側とに複数ユニット分(2ユニット分等)だけ拡がる領域とすることができる。作業エリアが重なる場合は、Y方向から見たときに作業エリアの一部又は全部が重複する場合である。作業エリアが重なる場合には、作業エリアが完全に同じ場合だけでなく、その少なくとも一部が同じ場合が含まれる。
【0057】
上記S13でYESの場合、上記S11で生成したタスクのうち、第2玉揚台車23の作業エリアと重ならない作業エリアを有する他のタスクが存在するか否かを判定する(S14)。上記S14でYESの場合、当該他のタスクについて次に実行されるように優先して実行させる走行パターンへ、走行パターンを変更する(S15)。上記S13でNOの場合、又は、上記S15の後、走行パターンに沿って第1玉揚台車13の走行を制御する(S16)。
【0058】
例えば、X方向一方側に位置する第1ワインダユニット11の玉揚作業を行う第1タスクの後に、X方向他方側に位置する第1ワインダユニット11の玉揚作業を行う第2タスクを実行させる走行パターンが生成されているとする。このとき、第1タスクを実行させると第1玉揚台車13と第2玉揚台車23とで作業エリアが重なる場合には、タスク順が入れ替えられ、第2タスクの後に第1タスクを実行させる走行パターンへ、走行パターンが変更される。
【0059】
上記S14でNOの場合、走行パターンに沿って第1玉揚台車13の走行を制御する(S17)。そして、第1玉揚台車13と第2玉揚台車23とで作業エリアが重なっている間、第1警告部17から警告を発生させる(S18)。
【0060】
図5は、第1制御部18による制御の第2例を示すフローチャートである。
図5に示される例では、まず、上記S11及び上記S12と同様に、入力された玉揚要求に応じてタスクを生成し、生成したタスクに応じて走行パターンを生成する(S21,S22)。続いて、取得した第1隣接装置情報に基づいて、第1玉揚台車13が第2玉揚台車23とすれ違うか否かを判定する(S23)。
【0061】
上記S23でNOの場合、走行パターンに沿って第1玉揚台車13の走行を制御する(S24)。一方、上記S23でYESの場合、すれ違い時に減速する走行パターンへ、走行パターンを変更する(S25)。すれ違い時に減速する走行パターンとしては、例えば、標準速度で走行させると共に、すれ違い時において一時的に速度を低速度とする速度パターンを採用することができる。すれ違い時には、すれ違うタイミングだけでなく、当該タイミングの一定時間前、及び、当該タイミングの一定時間後を含んでいてもよい。続いて、変更した走行パターンに沿って第1玉揚台車13の走行を制御する(S26)。そして、第1玉揚台車13が第2玉揚台車23とすれ違うすれ違い時において、第1警告部17から警告を発生させる(S27)。
【0062】
なお、例えば、X方向において第1玉揚台車13が第2玉揚台車23を追い越す又は追い越される場合においても、
図5に例示した制御と同様に制御することができる。X方向において第1玉揚台車13と第2玉揚台車23で走行位置が同じになる場合であれば、
図5に例示した制御と同様に制御することができる。
【0063】
図6は、第1制御部19による制御の第3例を示すフローチャートである。
図6に示される例では、まず、上記S11及び上記S12と同様に、入力された玉揚要求に応じてタスクを生成し、生成したタスクに応じて走行パターンを生成する(S31,S32)。続いて、取得した第1隣接装置情報に基づいて、第2自動ワインダ20の周辺に人が存在するか否かを判定する(S33)。
【0064】
上記S33でYESの場合、標準速度よりも遅い低速度で走行させる低速走行の走行パターンへ、走行パターンを変更する(S34)。上記S33でNOの場合、又は、上記S34の後、走行パターンに沿って第1玉揚台車13の走行を制御する(S35)。その結果、上記S35では、上記33でNOであって走行パターンが変更されないと、走行速度を標準速度として第1玉揚台車13が走行される一方、上記S33でYESであって低速走行の走行パターンへ変更されると、走行速度を低速度として第1玉揚台車13が走行される。
【0065】
図7は、第1制御部19による制御の第4例を示すフローチャートである。
図7に示される例では、まず、上記S11及び上記S12と同様に、入力された玉揚要求に応じてタスクを生成し、生成したタスクに応じて走行パターンを生成する(S41,S42)。続いて、取得した第1隣接装置情報に基づいて、第1玉揚台車13が第2玉揚台車23と対面した状態で同方向(同じX方向)に走行するか否かを判定する(S43)。
【0066】
上記S43でYESの場合、X方向において第1玉揚台車13と第2玉揚台車23とを離間させる走行パターンへ、走行パターンを変更する(S44)。第1玉揚台車13と第2玉揚台車23とを離間させる走行パターンとしては、例えば、第2玉揚台車23の走行速度に対して差を有する走行速度で走行させる走行パターン、一時的に減速させる走行パターン、一時的に加速させる走行パターン、及び、走行開始時期を遅らせた走行パターン等を採用することができる。上記S43でNOの場合、又は、上記S44の後、走行パターンに沿って第1玉揚台車13の走行を制御する(S45)。
【0067】
図8は、第1制御部19による制御の第5例を示すフローチャートである。
図8に示される例では、まず、上記S11及び上記S12と同様に、入力された玉揚要求に応じてタスクを生成し、生成したタスクに応じて走行パターンを生成する(S51,S52)。続いて、人感センサ13aにより人を検知したか否かを判定する(S53)。
【0068】
上記S53でYESの場合、第1玉揚台車13の走行を停止、又は、当該人から離れるように走行させる走行パターンへ、走行パターンを変更する(S54)。上記S53でNOの場合、又は、上記S54の後、走行パターンに沿って第1玉揚台車13の走行を制御する(S55)。
【0069】
以上、第1自動ワインダ10では、第1通信部16によって通信が行われて第1隣接装置情報が取得され、この第1隣接装置情報に基づき第1制御部18によって第1玉揚台車13の走行が制御される。また、第2自動ワインダ20では、第2通信部26によって通信が行われて第2隣接装置情報が取得され、この第2隣接装置情報に基づき第2制御部28によって第2玉揚台車23の走行が制御される。これにより、第2自動ワインダ20の動作状況及び/又は周辺状況を考慮して第1玉揚台車13を走行でき、第1玉揚台車13の走行に、当該動作状況及び/又は周辺状況による接触可能性を考慮可能となる。第1自動ワインダ10の動作状況及び/又は周辺状況を考慮して第2玉揚台車23を走行でき、第2玉揚台車23の走行に、当該動作状況及び/又は周辺状況による接触可能性を考慮可能となる。
【0070】
したがって、第1自動ワインダ10、第2自動ワインダ20、及び、これらを備えた自動ワインダシステム100によれば、第1及び第2玉揚台車13,23に作業者Oが接触する接触可能性を低減することが可能となり、作業者Oの安全性を高めることが可能となる。接触可能性を低減できることから、第1及び第2自動ワインダ10,20の間隔(Y方向の距離)を詰めることができ、効率的作業環境を提供することが可能となる。また、接触可能性を低減できることから、多機能を備えた大型の第1及び第2玉揚台車13,23を搭載することが可能となる。
【0071】
第1自動ワインダ10において、第1隣接装置情報は、第2玉揚台車23の走行に関する走行情報を含む。これにより、第2玉揚台車23の走行を考慮して、第1玉揚台車13を走行させることができる。第2自動ワインダ20において、第2隣接装置情報は、第1玉揚台車13の走行に関する走行情報を含む。これにより、第1玉揚台車13の走行を考慮して、第2玉揚台車23を走行させることができる。
【0072】
第1自動ワインダ10において、第1隣接装置情報は、第2自動ワインダ20の周辺に存在している人に関する人情報を含む。これにより、第1玉揚台車13を、第2自動ワインダ20の周辺における人の存在を考慮して走行させることができる。第2自動ワインダ20において、第2隣接装置情報は、第1自動ワインダ10の周辺に存在している人に関する人情報を含む。これにより、第2玉揚台車23を、第1自動ワインダ10の周辺における人の存在を考慮して走行させることができる。
【0073】
第1自動ワインダ10において、第1玉揚台車13は、第1ワインダユニット11の第1ユニット本体11aよりも正面側に突き出た状態で第1走行レール12に沿って走行する。第2自動ワインダ20において、第2玉揚台車23は、第2ワインダユニット21の第2ユニット本体21aよりも正面側に突き出た状態で第2走行レール22に沿って走行する。この場合、第1及び第2玉揚台車13,23に作業者Oが接触しやすい構成であることから、上記効果、すなわち、第1及び第2玉揚台車13,23に作業者Oが接触する接触可能性を低減する効果は特に有効である。
【0074】
ここで、第1及び第2玉揚台車13,23のX方向における走行位置又は作業エリアが同じであると、例えばこれら第1及び第2玉揚台車13,23の双方に作業者の注意が分散してしまいやすくなる場合がある。また、例えば、作業者通路Tを作業者Oが通行する際、第1及び第2玉揚台車13,23が邪魔になる(通り抜けし難くなる等)、及び、作業者Oに与える威圧感又は圧迫感が高まる場合がある。そのため、第1及び第2玉揚台車13,23に作業者が接触する接触可能性が高まることが懸念される。
【0075】
そこで、第1自動ワインダ10の第1制御部18は、X方向において第1玉揚台車13と第2玉揚台車23とで作業エリアの少なくとも一部が同じにならないように、第1玉揚台車13の走行を制御する。これにより、第1玉揚台車13に作業者Oが接触する接触可能性を低減することが可能となる。同様に、第2自動ワインダ20においても、第1及び第2玉揚台車13,23の作業エリアの少なくとも一部が同じにならないように第2玉揚台車23の走行を制御することにより、第2玉揚台車23に作業者Oが接触する接触可能性を低減することが可能となる。その結果、作業者通路Tを作業者Oが通行する際、第1及び第2玉揚台車13,23が邪魔になること、及び、作業者Oに与える威圧感又は圧迫感が高まることを抑制できる。
【0076】
第1自動ワインダ10の第1制御部18は、X方向において第1及び第2玉揚台車13,23の走行位置が同じでない通常時には、標準速度で第1玉揚台車13を走行させる。一方、X方向において第1及び第2玉揚台車13,23の走行位置が同じになる場合(すれ違い時、追い越し時、又は追い越され時)には、第1玉揚台車13の速度を減速させ、低速度で第1玉揚台車13を走行させる。これにより、第1玉揚台車13に作業者が接触する接触可能性を低減することが可能となる。同様に、第2自動ワインダ20においても、X方向の第1及び第2玉揚台車13,23の走行位置が同じになる場合に第2玉揚台車23の速度を標準速度から減速させ、低速度で第2玉揚台車23を走行させる。これにより、第2玉揚台車23に作業者Oが接触する接触可能性を低減することが可能となる。
【0077】
第1自動ワインダ10では、X方向において第1玉揚台車13と第2玉揚台車23とで走行位置又は作業エリアの少なくとも一部が同じになる場合に、第1警告部17により警告を発する。これにより、第1玉揚台車13に作業者が接触する接触可能性を低減することが可能となる。同様に、第2自動ワインダ20においても、第2警告部27により警告を発することで、第2玉揚台車23に作業者Oが接触する接触可能性を低減することが可能となる。
【0078】
第1自動ワインダ10において、第1玉揚台車13は人感センサ13aを有し、第1制御部18は、人感センサ13aで人を検知した場合、第1玉揚台車13の走行を停止させる、又は、当該人から離れるように第1玉揚台車13の走行を制御する。これにより、第1玉揚台車13に作業者が接触する接触可能性を一層低減することが可能となる。同様に、第2自動ワインダ10においても、人感センサ23aで人を検知した場合、第2玉揚台車23の走行を停止させる、又は、当該人から離れるように第2玉揚台車23の走行を制御することにより、第2玉揚台車23に作業者Oが接触する接触可能性を一層低減することが可能となる。
【0079】
第1自動ワインダ10において、第1制御部18は、標準速度で走行するように第1玉揚台車13の走行を制御すると共に、第2自動ワインダ20の周辺に人が存在している場合に、標準速度よりも遅い低速度で走行するように第1玉揚台車13の走行を制御する。これにより、第2自動ワインダ20の周辺に人が存在している場合に速度を遅くして第1玉揚台車13を走行させることができ、第1玉揚台車13に作業者Oが接触する接触可能性を低減することが可能となる。同様に、第2自動ワインダ20においても、第1自動ワインダ10の周辺に人が存在している場合に速度を遅くして第2玉揚台車23を走行させることができ、第2玉揚台車23に作業者Oが接触する接触可能性を低減することが可能となる。
【0080】
第1自動ワインダ10は、第1ワインダユニット11で巻き取られたパッケージPの排出と第1ワインダユニット11への巻取ボビンの供給とを実行する第1玉揚台車13を、サービス台車として備えている。これにより、第1ワインダユニット11の玉揚げを自動的に実行することができる。同様に、第2自動ワインダ20は、第2玉揚台車23をサービス台車として備えており、これにより、第2ワインダユニット21の玉揚げを自動的に実行することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0082】
上記実施形態では、巻取ユニットとして第1及び第2ワインダユニット11,21を適用したが、これに限定されない。例えば
図9に示されるように、巻取ユニットは、空気の力で糸の紡績を行う紡績部32を有する空気精紡ユニット31であってもよい。この場合、糸巻取システムは空気精紡システムとされ、糸巻取装置は空気精紡機とされる。図示する空気精紡ユニット31は、玉揚作業を実行する玉揚台車33を備えている。玉揚台車33は、紡績部32の正面側に配置され、走行レール34,35にガイドされてX沿って走行する。
【0083】
上記実施形態では、第1自動ワインダ10の第1通信部16と第2自動ワインダ20の第2通信部26との間で直接的に通信したが、上位コントローラ等の上位装置を介して第1通信部16と第2通信部26との間で通信してもよい。第1通信部16と第2通信部26との間で、直接的又は間接的に通信を行えばよい。
【0084】
上記実施形態では、玉揚作業(玉揚サービス)を行う第1玉揚台車13及び第2玉揚台車23をサービス台車として設けたが、サービス台車は限定されない。例えばサービス台車は、糸継ぎ作業(糸継ぎサービス)を行う糸継台車であってもよい。巻取ユニットに対して何らかのサービスを行うあらゆるサービス台車を適用することが可能である。
【0085】
上記実施形態において、隣接装置情報は、隣接する他の糸巻取装置の動作状況及び/又は周辺状況に関する情報であれば特に限定されない。例えば隣接装置情報は、隣接する他の糸巻取装置が備える他のサービス台車の位置に関する位置情報を含んでいてもよい。この場合、糸巻取装置のサービス台車を、隣接する他の糸巻取装置が備える他のサービス台車の位置を考慮して走行させることができる。これにより、走行(移動)していない他のサービス台車が作業者Oの邪魔になることを抑制できる。また、例えば隣接装置情報は、隣接する他の糸巻取装置において稼働が停止している巻取ユニットのユニット番号に関する情報、隣接する他の糸巻取装置のロットチェンジに関する情報、及び/又は、隣接する他の糸巻取装置のメンテナンスに関する情報を含んでいてもよい。
【0086】
上記実施形態において、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。上記実施形態において、標準速度は第1速度及び第3速度に対応し、標準速度よりも遅い低速度は第2速度及び第4速度に対応するが、これに限定されず、第1速度と第3速度とは互いに異なる速度であってもよいし、第2速度と第4速度とは互いに異なる速度であってもよい。要は、第2速度が第1速度よりも遅く、第4速度が第3速度よりも遅ければよい。