荷物受渡しシステム1は、コンテナボックス10及びエリア設備30を備える。コンテナボックス10には、荷物Nが載置される複数の荷載置棚11が互いに独立して設けられている。荷載置棚11は、コンテナボックス10の側面に、外側に向けて開口するように設けられている。エリア設備30は、設置されたコンテナボックス10の側面に対面する壁材33と、壁材33に設けられ複数の当該荷載置棚11のそれぞれを開閉する複数の引取用扉35と、複数の引取用扉35を施錠すると共に引取者5を認識することによって複数の引取用扉35のうち当該引取者5に対応する引取用扉35を開錠する施錠管理部42と、を有する。
前記壁材は、前記コンテナボックスを収容する第1エリアと、引取者による前記荷物の引取りに供される第2エリアと、を仕切るように立設されている、請求項1〜6の何れか一項に記載の荷物受渡しシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、例えば近年において荷物の配送需要が益々高まる中、荷物を引取者に対して間違えることなく受け渡すことが望まれる。さらに、人手不足の解消や人件費の抑制等のために、荷物の納入を簡便に行うことが求められる。
【0006】
本発明は、荷物を間違えることなく受け渡すことができ、且つ、荷物の納入を簡便に行うことが可能な荷物受渡しシステム及び荷物受渡しシステムのエリア設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る荷物受渡しシステムは、荷物が載置される複数の荷載置棚が互いに独立して設けられたコンテナボックスと、コンテナボックスが設置されるエリアに備え付けられたエリア設備と、を備え、荷載置棚は、コンテナボックスにおける少なくとも1つの側面に、外側に向けて開口するように設けられ、エリア設備は、設置されたコンテナボックスの少なくとも1つの側面に対面する壁材と、壁材において当該コンテナボックスにおける複数の荷載置棚に対応する位置にそれぞれ設けられ、複数の当該荷載置棚のそれぞれを開閉する複数の扉部と、複数の扉部を施錠すると共に、引取者を認識することによって複数の扉部のうち当該引取者に対応する扉部を開錠する施錠管理部と、を有する。
【0008】
この荷物受渡しシステムでは、施錠管理部で施錠を管理した扉部により、荷載置棚に載置された荷物を間違えることなく引取者に受け渡すことができる。また、コンテナボックスを用いることにより、複数の荷物を一括して納入することができ、荷物の納入を簡略に行うことが可能となる。
【0009】
本発明に係る荷物受渡しシステムにおいて、壁材は、設置されたコンテナボックスの外形に合わせて設けられていてもよい。この構成によれば、コンテナボックスの複数の側面に壁材が対面する構成を、簡易に実現することができる。
【0010】
本発明に係る荷物受渡しシステムは、コンテナボックスを移載及び移動させるコンテナボックス搬送装置と、コンテナボックスを格納するラックと、を備えていてもよい。この構成によれば、コンテナボックスの入替えを容易に行うことができ、多量の荷物の受渡しに対応することが可能となる。
【0011】
本発明に係る荷物受渡しシステムにおいて、コンテナボックスには、載置空間の大きさが互いに異なる複数種の荷載置棚が設けられていてもよい。この構成によれば、荷物に対して載置空間が広すぎて無駄なスペースが生じたり、載置空間が狭くて大きい荷物を格納できなかったりすることを抑制できる。スペースを無駄にすることなく多種の荷物を格納できる。
【0012】
本発明に係る荷物受渡しシステムにおいて、設置されたコンテナボックスの側面と壁材との間には、隙間が形成されていてもよい。この構成によれば、隙間を利用してコンテナボックスを容易に移載することが可能となる。
【0013】
本発明に係る荷物受渡しシステムにおいて、エリア設備は、設置されたコンテナボックスを、開錠される扉部側に向かってスライド可能なスライド機構をさらに有していてもよい。この構成によれば、引取者が扉部を開けて荷物を荷載置棚から引き取る際、コンテナボックスの側面と壁材との間にて当該扉部を介して露出する隙間を減らすことができる。
【0014】
本発明に係る荷物受渡しシステムにおいて、壁材は、コンテナボックスを収容する第1エリアと、引取者による荷物の引取りに供される第2エリアと、を仕切るように立設されていてもよい。この構成によれば、壁材を利用して、第1エリアと第2エリアとを区画することができる。
【0015】
本発明に係る荷物受渡しシステムにおいて、コンテナボックスは、建屋内に設置され、エリア設備は、建屋に設けられ、引取者を建屋内へ入室及び建屋外へ退室させるエントランス扉をさらに有し、施錠管理部は、扉部が開かれている場合にエントランス扉を施錠してもよい。この構成によれば、引取者が扉体を閉め忘れて建屋外へ退室することを抑制することができる。
【0016】
本発明に係る荷物受渡しシステムのエリア設備は、荷物が載置される複数の荷載置棚が互いに独立して設けられたコンテナボックスが設置されるエリアに備え付けられたエリア設備であって、前記荷載置棚は、前記コンテナボックスにおける少なくとも1つの側面に、外側に向けて開口するように設けられており、設置された前記コンテナボックスの少なくとも1つの前記側面に対面する壁材と、前記壁材において当該コンテナボックスにおける複数の前記荷載置棚に対応する位置にそれぞれ設けられ、複数の当該荷載置棚のそれぞれを開閉する複数の扉部と、複数の前記扉部を施錠すると共に、前記引取者を認識することによって複数の前記扉部のうち当該引取者に対応する扉部を開錠する施錠管理部と、を備える。
【0017】
この荷物受渡しシステムのエリア設備では、施錠管理部で施錠を管理した扉部により、荷載置棚に載置された荷物を間違えることなく引取者に受け渡すことができる。また、コンテナボックスを用いることが可能であり、コンテナボックスを用いた場合には、複数の荷物を一括して納入でき、荷物の納入を簡略に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、荷物を間違えることなく受け渡すことができ、且つ、荷物の納入を簡便に行うことが可能な荷物受渡しシステム及び荷物受渡しシステムのエリア設備を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」の語は図示する状態に基づいており、便宜的なものである。「上」、「下」の語は、鉛直方向の上方及び下方に対応する。図中における「X方向」、「Y方向」、「Z方向」は、左右方向、前後方向、上下方向にそれぞれ対応する。
【0021】
図1及び
図2に示される荷物受渡しシステム1は、宅配物等の荷物の受渡しに利用されるシステムである。ここでの荷物受渡しシステム1は、宅配ロッカーシステムであって、所定の距離離れた各地域毎に設けられる。荷物受渡しシステム1による受渡しの態様としては、特に限定されず、例えば、配送業者から不特定の引取者への荷物の受渡し、及び、個人的な預入者から引取者への受渡し等が挙げられる。荷物としては、特に限定されず、様々な種類、形状及び大きさの荷物を適用できる。荷物受渡しシステム1は、コンテナボックス10と、エリア設備30と、自動倉庫50と、を備えている。
【0022】
図3及び
図4に示されるように、コンテナボックス10は、複数の荷物Nを格納可能なコンテナである。コンテナボックス10は、直方体状の外形形状を呈している。コンテナボックス10には、荷物Nが載置される複数の荷載置棚11が互いに独立して設けられている。複数の荷載置棚11は、その間で荷物Nが移動しないように構成されている。複数の荷載置棚11は、その間で載置空間Rが互いに連通しないように仕切られている。載置空間Rは、荷載置棚11内の荷物Nが載置される空間であって、直方体状とされている。なお、複数の荷載置棚11の間には、荷物Nが通過しない程度の孔等が設けられていてもよい。
【0023】
複数の荷載置棚11は、コンテナボックス10における前側面10a、右側面10b及び左側面10cに、外側に向けて矩形形状で開口するように設けられている。複数の荷載置棚11には、そのそれぞれを特定する識別子が設けられている。識別子は、例えばバーコード等が用いられ、荷載置棚11の周辺に設けられている。荷載置棚11の識別子に係る識別子情報は、格納する荷物Nの情報と関連付けられてコントロール装置40により記憶されて管理される(詳しくは、後述)。
【0024】
複数の荷載置棚11は、第1載置空間R1を有する複数の第1荷載置棚12、第2載置空間R2を有する複数の第2荷載置棚13、第3載置空間R3を有する複数の第3荷載置棚14、第4載置空間R4を有する第4荷載置棚15、及び、第5載置空間R5を有する第5荷載置棚16を含んでいる。
【0025】
第2載置空間R2の大きさ(容積)は、第1載置空間R1よりも大きい。第2載置空間R2の間口(開口面積)は、第1載置空間R1の間口よりも大きい。第3載置空間R3の大きさは、第2載置空間R2よりも大きい。第3載置空間R3の間口は、第2載置空間R2の間口よりも大きい。第4載置空間R4の大きさは、第3載置空間R3よりも大きい。第4載置空間R4の間口は、第3載置空間R3の間口よりも大きい。第5載置空間R5の大きさは、第4載置空間R4よりも大きい。第5載置空間R5の間口は、第4載置空間R4の間口よりも大きい。すなわち、コンテナボックス10には、載置空間Rの大きさ及び間口が互いに異なる複数種の荷載置棚11が設けられている。
【0026】
図4(a)に示されるように、複数の第1荷載置棚12は、コンテナボックス10の前側面10a側に、当該前側面10aに開口した状態で上下左右に隣接して配列されている。複数の第2荷載置棚13は、コンテナボックス10の前側面10a側における第1荷載置棚12の下方に、当該前側面10aに開口した状態で上下左右に互いに隣接して配列されている。
図4(b)に示されるように、複数の第3荷載置棚14は、コンテナボックス10の右側面10b側に、当該右側面10bに開口した状態で上下に互いに隣接して配列されている。第4荷載置棚15は、コンテナボックス10の右側面10b側における第3荷載置棚14の後方に、当該右側面10bに開口した状態で配置されている。
図4(d)に示されるように、第5荷載置棚16は、コンテナボックス10の左側面10c側に、当該左側面10cに開口した状態で配置されている。
図1及び
図2に示されるように、コンテナボックス10は、建屋31内に設置されている。
【0027】
図1、
図2、
図5及び
図6に示されるように、エリア設備30は、コンテナボックス10が設置されるエリア(ここでは、建屋31)に備え付けられた設備である。エリア設備30は、壁材33、引取用扉35、エントランス扉36、納入用扉37、引取者認識用パネル38、スライド機構39、及びコントロール装置40を有している。なお、敷地2内の建屋31の周囲には、複数の駐車スペースPが設けられている。
【0028】
壁材33は、コンテナボックス10の外形に合わせて設けられている。壁材33は、上方から見て、左右に延在すると共に、その中央部分には、コンテナボックス10の外形に沿った矩形形状で正面側に張り出して成る張出部33aが設けられている。張出部33aは、コンテナボックス10が設置される設置領域Zを画する。張出部33aは、設置領域Zに配置されたコンテナボックス10における前側面10aと右側面10bと左側面10cとを覆うように屈折している。このような壁材33は、設置領域Zに配置されたコンテナボックス10における前側面10aと右側面10bと左側面10cとに対面する。
【0029】
図6に示されるように、設置領域Zに設置されたコンテナボックス10の前側面10aと壁材33との間、当該コンテナボックス10の右側面10bと壁材33との間、及び、当該コンテナボックス10の左側面10cと壁材33と間のそれぞれには、水平方向において隙間Gが形成されている。隙間Gの長さとしては、例えば後述の移載装置59のスライドフォークの大きさに対応する長さとされている。
【0030】
図1及び
図2に示されるように、壁材33は、第1エリアA1と第2エリアA2とを仕切るように立設されている。第1エリアA1は、コンテナボックス10を収容するバックエンドエリアである。第1エリアA1では、例えば入荷トラックにより納入された複数の荷物Nが、納入者により一括してコンテナボックス10へ格納される。あるいは、第1エリアA1では、例えば荷物Nが既に格納されたコンテナボックス10が、建屋31外から納入される。第2エリアA2は、引取者5による荷物Nの引取りに供される引取エリアである。第2エリアA2は、建屋31内における第1エリアA1よりも正面側に設けられている。
【0031】
なお、張出部33aの第2エリアA2側には、その壁面毎に識別表示が付されている。
図5に示される例では、張出部33aの第2エリアA2側において、前側面10aに対応する壁面、右側面10bに対応する壁面、及び、左側面10cに対応する壁面のそれぞれに、文字からなる識別表示4が付されている。
【0032】
引取用扉35は、コンテナボックス10の荷載置棚11から荷物Nを引き取る際に使用される扉部である。引取用扉35は、壁材33に複数設けられ、設置領域Zに設置されたコンテナボックス10における複数の荷載置棚11のそれぞれを開閉する。複数の引取用扉35は、壁材33において、複数の荷載置棚11に対応する各位置にそれぞれ設けられている。引取用扉35は、連通口35a及び扉体35bを含んでいる。
【0033】
連通口35aは、壁材33に複数設けられた貫通孔である。連通口34は、荷載置棚11と同数設けられている。複数の連通口34のそれぞれは、設置領域Zに設置されたコンテナボックス10における複数の荷載置棚11のそれぞれに対して連通可能とされている。各連通口34は、対応する荷載置棚11の開口形状に合わせた矩形形状とされている。扉体35bは、壁材33に複数取り付けられている。扉体35bは、複数の連通口35aと同数設けられている。各扉体35bは、対応する連通口35aの開口形状に合わせた矩形形状とされている。
【0034】
引取用扉35には、その施錠を行う施錠装置が搭載されている。引取用扉35には、その開閉を検知する開閉センサが取り付けられている。引取用扉35は、コントロール装置40に有線又は無線で接続されている。これにより、引取用扉35は、当該施錠装置による施錠及び開錠がコントロール装置40により制御される。また、引取用扉35は、開扉されている場合、開閉センサにより開状態を示す開信号がコントロール装置40へ出力されると共に、閉扉されている場合、開閉センサにより閉状態を示す閉信号がコントロール装置40へ出力される。なお、各引取用扉35は、その扉体35bの外側の表面に、引取用扉35を識別するための扉番号が付されている。
【0035】
エントランス扉36は、引取者5を建屋31外から第2エリアA2へ入室及び第2エリアA2から建屋31外へ退室させる扉である。エントランス扉36は、例えば建屋31の正面側に設けられている。エントランス扉36には、その施錠を行う施錠装置が搭載されている。エントランス扉36は、コントロール装置40に有線又は無線で接続されており、当該施錠装置による施錠及び開錠がコントロール装置40により制御される。納入用扉37は、荷物Nを建屋31内の第1エリアA1へ納入する扉である。納入用扉37は、建屋31の背面側に設けられている。
【0036】
引取者認識用パネル38は、引取者5を認識する操作パネルである。引取者認識用パネル38は、建屋31の外部(ここでは、外壁)におけるエントランス扉36の周辺に設けられている。引取者認識用パネル38は、タッチパネルを有し、このタッチパネルを介してキー情報が入力されることで当該キー情報に対応する引取者5を認識する。キー情報としては、パスワード又は暗号等が挙げられ、引取者5に対して事前通知される。また、引取者認識用パネル38は、読取装置を有し、この読取装置でコード情報又はICカード等を読み取ることで引取者5を認識してもよい。引取者認識用パネル38による引取者5の認識手法は特に限定されず、公知の手法を採用できる。引取者認識用パネル38は、コントロール装置40に有線又は無線で接続されており、認識した引取者5に関する引取者情報をコントロール装置40へ送信する。
【0037】
引取者認識用パネル38は、レシートを発券する発券部を有している。引取者認識用パネル38は、認識した引取者5が開くべき引取用扉35(つまり、引取対象とする荷物Nが格納されている荷載置棚11の引取用扉35)の位置に関する扉位置情報を、コントロール装置40から取得する。引取者認識用パネル38は、扉位置情報を印字したレシートを発券部から発券する。扉位置情報は、引取者5が開くべき引取用扉35の扉番号と、壁材33の張出部33aにおいて引取者5が開くべき引取用扉35が存在する壁面の識別表示4と、を含んでいる。
【0038】
スライド機構39は、設置領域Zに設置されたコンテナボックス10を、開錠された引取用扉35側に向かってスライド可能とする機構である(
図6参照)。スライド機構39は、設置領域Z、すなわち、壁材33の張出部33a内に配置されている。スライド機構39上には、コンテナボックス10が載置される。スライド機構39は、例えばローラ機構及びXYテーブルを含んで構成されている。なお、スライド機構39の構成としては特に限定されず、公知の構成を採用できる。スライド機構39は、コントロール装置40に有線又は無線で接続されており、その駆動がコントロール装置40により制御される。
【0039】
コントロール装置40は、荷物受渡しシステム1を集中的に管理する制御装置である。コントロール装置40は、外部との信号の入出力などを行う入出力インターフェースI/O、処理を行うためのプログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(RandomAccess Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体、CPU(Central Processing Unit)、及び、通信回路等を有する。コントロール装置40は、CPUが出力する信号に基づいて、入力データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで、各種機能を実現する。コントロール装置40の機能構成については、後述する。
【0040】
図1及び
図2に示されるように、自動倉庫50は、第1ラック51、第2ラック52及びスタッカクレーン53を有している。第1ラック51及び第2ラック52は、コンテナボックス10を格納するラックである。第1ラック51は、スタッカクレーン53の正面側に立設され、第2ラック52は、スタッカクレーン53の背面側に立設されている。第1ラック51及び第2ラック52は、互いに対向するように配置されている。第1ラック51及び第2ラック52のそれぞれには、コンテナボックス10が載置される棚部55が複数設けられている。棚部55は、第1ラック51及び第2ラック52それぞれにおいて上下方向に沿って複数段設けられている。
【0041】
第1ラック51の最下段には、コンテナボックス10を配置可能なステーションとして、上記設置領域Zが設けられている。第2ラック52の最下段には、荷物Nをコンテナボックス10へ納入するためのステーションとして、納入ステーションSTが設けられている。納入ステーションSTでは、コンテナボックス10の各荷載置棚11への荷物Nの納入が行われる。なお、納入ステーションSTには、荷物Nが既に格納されているコンテナボックス10ごと納入されてもよい。
【0042】
納入ステーションSTには、コンテナボックス10が載置されるターンテーブル56が設けられている。ターンテーブル56は、上下方向を回転軸として回転可能なテーブルである。ターンテーブル56は、載置されたコンテナボックス10を、当該回転軸を中心に180°回転させる。これにより、コンテナボックス10の前後の向きを入れ替える。例えばターンテーブル56は、載置されたコンテナボックス10の各荷載置棚11への荷物Nの納入前もしくは納入後に、前側面10aが正面側を向く状態から背面側を向く状態へ、もしくは前側面10aが背面側を向く状態から正面側を向く状態へ、当該コンテナボックス10を回転させる。
【0043】
スタッカクレーン53は、コンテナボックスを移載及び移動させるコンテナボックス搬送装置である。スタッカクレーン53は、複数の棚部55と納入ステーションST及び設置領域Zとの間でコンテナボックス10を搬送し、棚部55に対するコンテナボックス10の出入れを行う。スタッカクレーン53は、マスト57と、昇降台58と、移載装置59と、を備えている。
【0044】
マスト57は、上下方向に沿って延在している。昇降台58は、マスト57に沿って上下方向に昇降する。移載装置59は、コンテナボックス10を持ち上げて移載可能な装置であり、昇降台58上に設けられている。ここでの移載装置59は、スライドフォーク式移載装置であり、コンテナボックス10の底面を掬うように持ち上げるスライドフォークを備えている。このようなスタッカクレーン53は、コントロール装置40に有線又は無線で接続されている。これにより、スタッカクレーン53は、その駆動(昇降台58及び移載装置59の駆動)がコントロール装置40により制御される。
【0045】
図7に示されるように、コントロール装置40は、施錠管理部42、荷物管理部44、スタッカクレーン駆動制御部46及びスライド機構駆動制御部48を有している。
【0046】
施錠管理部42は、複数の引取用扉35の施錠装置を制御し、複数の引取用扉35の施錠を管理する。具体的には、施錠管理部42は、通常時、複数の引取用扉35を施錠してロック状態とする。施錠管理部42は、引取者認識用パネル38で引取者5が認識された場合、複数の引取用扉35のうち当該引取者5に対応する引取用扉35を開錠する。例えば施錠管理部42は、引取者認識用パネル38から入力された引取者5に関する引取者情報に基づいて、その引取者5に関連付けられている荷物Nと当該荷物Nが載置されている荷載置棚11とを、荷物管理部44において検索する。そして、施錠管理部42は、検索した荷載置棚11に対応する引取用扉35を開錠(ロック解除)する。
【0047】
施錠管理部42は、引取者認識用パネル38で引取者5が認識された場合、検索した荷載置棚11に対応する引取用扉35の扉位置情報を、引取者認識用パネル38へ送信する。施錠管理部42は、開錠した引取用扉35が開かれた後に閉じられた場合、その引取用扉35を施錠してロック状態とする。例えば施錠管理部42は、開錠した引取用扉35から開信号が入力された後に閉信号が入力された場合に、その引取用扉35を施錠する。
【0048】
また、施錠管理部42は、エントランス扉36の施錠装置を制御し、エントランス扉36の施錠を管理する。具体的には、施錠管理部42は、引取用扉35から開信号が入力されている場合、エントランス扉36を施錠する。施錠管理部42は、引取用扉35から閉信号が入力されている場合、エントランス扉36を開錠する。
【0049】
荷物管理部44は、引取者と、その引取者が引取対象とする荷物Nと、その荷物Nが格納されているコンテナボックス10と、そのコンテナボックス10の荷載置棚11と、を互いに関連付けて記憶して管理する。荷物管理部44で管理する荷物管理情報は、納入者が用いる納入用入力端末7を利用して取得できる。すなわち、例えば荷物Nの納入時において、引取者を関連付けて当該荷物Nの情報を納入用入力端末7で読み取る。コンテナボックス10における当該荷物Nを載置する荷載置棚11の上記識別子情報を、納入用入力端末7で読み取る。これにより、引取者と荷物Nとコンテナボックス10の荷載置棚11とが互いに関連付けられて成る荷物管理情報が、納入用入力端末7から荷物管理部44へ送信されて荷物管理部44にて記憶される。
【0050】
また、荷物管理部44は、複数のコンテナボックス10それぞれが現在位置する場所に関する情報を、荷物管理情報に含んで記憶する。荷物管理部44は、引取者認識用パネル38で引取者5が認識された場合、荷物管理情報に基づいて、引取者5が引取対象とする荷物Nが格納されたコンテナボックス10の現在位置を特定する。
【0051】
スタッカクレーン駆動制御部46は、スタッカクレーン53の駆動を制御し、設置領域Zと第1ラック51及び第2ラック52との間でコンテナボックス10を入れ替える。具体的には、スタッカクレーン駆動制御部46は、荷物管理部44で特定されたコンテナボックス10の現在位置に関する情報に基づいて、設置領域Zに設置されているコンテナボックス10に引取対象の荷物Nが格納されているか否かを判定する。設置領域Zのコンテナボックス10に引取対象の荷物Nが格納されていない場合、スタッカクレーン53を駆動させ、設置領域Zのコンテナボックス10を第1ラック51又は第2ラック52へ移載させた後、該当するコンテナボックス10を第1ラック51又は第2ラック52から設置領域Zへ移載させる。
【0052】
スライド機構駆動制御部48は、スライド機構39の駆動を制御し、設置領域Zに設置されたコンテナボックス10を、開錠する引取用扉35側に向かってスライドさせる。例えば、スライド機構駆動制御部48は、施錠管理部42で開錠した引取用扉35を認識し、認識した引取用扉35が設けられた壁材33の壁面にコンテナボックス10の側面が当接するまで、スライド機構39を駆動してコンテナボックス10を水平方向に移動させる。これにより、コンテナボックス10は、認識した引取用扉35が設けられた壁材33の壁面との間に隙間Gが無くなるように、XY平面上をスライドする。
【0053】
次に、荷物受渡しシステム1において荷物Nを引き取る場合の動作の一例について、
図8のフローチャートを参照しつつ例示説明する。
【0054】
まず、例えば、荷物Nが荷物受渡しシステム1に届いた旨の通知が、引取者5に対して電子メール、電話、FAX又は郵送等で行われる。引取者5は、荷物受渡しシステム1に荷物Nを引き取るために来訪する。引取者5は、引取者認識用パネル38においてキー情報の入力又はICカード等の読取りを行う(S1)。これにより、引取者5が認識され、引取者5に関する引取者情報が引取者認識用パネル38からコントロール装置40へ送信される(S11)。
【0055】
コントロール装置40では、引取者情報に基づいて、引取者5が引取対象とする荷物Nが格納されたコンテナボックス10の現在位置が特定される。当該コンテナボックス10における当該荷物Nが載置されている荷載置棚11が、荷物管理情報から検索される。検索された荷載置棚11に対応する引取用扉35(開錠される引取用扉35)の扉位置情報が、引取者認識用パネル38へ送信される。扉位置情報が印字されたレシートが荷物管理部44から発券される(S12)。施錠管理部42によりエントランス扉36が開錠される(S13)。
【0056】
続いて、コントロール装置40において、設置領域Zに設置されているコンテナボックス10に、引取対象の荷物Nが格納されているか否かが判定される(S14)。S14でNOの場合、スタッカクレーン53により、設置領域Zのコンテナボックス10が第1ラック51又は第2ラック52へ移載され、引取対象の荷物Nが格納されているコンテナボックス10が第1ラック51又は第2ラック52から設置領域Zへ移載されて設置される(S15)。
【0057】
上記S14でYes又は上記S15の後、スライド機構駆動制御部48によりスライド機構39の駆動が制御され、設置領域Zに設置されたコンテナボックス10が、開錠される引取用扉35側に向かってスライドされる(S16)。施錠管理部42により、複数の引取用扉35のうち、引取対象の荷物Nが載置されている荷載置棚11に対応する引取用扉35が開錠される(S17)。なお、上記S12の処理と上記S13の処理と上記S14〜S15の処理とは、順不同であり、もしくは、同時並列的に実行してもよい。
【0058】
一方、引取者5は、上記S12で発券されたレシートを受け取った後、上記S13でエントランス扉36が開錠されると、建屋31の第2エリアA2内に入室する(S2)。引取者5は、レシートの扉位置情報を参照しつつ、開扉すべき引取用扉35まで向かい、当該引取用扉35を開く(S3)。これにより、引取用扉35の開信号がコントロール装置40により取得される(S18)。そして、施錠管理部42によりエントランス扉36が施錠される(S19)。
【0059】
引取者5は、荷物Nを荷載置棚11から引き取った後、引取用扉35を閉める(S4,S5)。これにより、引取用扉35の閉信号がコントロール装置40により取得される(S20)。施錠管理部42により引取用扉35が施錠される(S21)。そして、施錠管理部42によりエントランス扉36が開錠される(S22)。引取者5は、上記S22でエントランス扉36が開錠された後、荷物Nを持って建屋31外へと退出する(S2)。
【0060】
以上、荷物受渡しシステム1によれば、施錠管理部42で施錠を管理した引取用扉35により、荷載置棚11に載置された荷物Nを間違えることなく引取者5に受け渡すことができる。また、コンテナボックス10を用いることにより、複数の荷物Nを一括して納入することができ、荷物Nの納入を簡略に行うことが可能となる。
【0061】
荷物受渡しシステム1において、壁材33は、設置されたコンテナボックス10の外形に合わせて設けられている。この構成によれば、コンテナボックス10の前側面10a、右側面10b及び左側面10cに壁材33が対面する構成を、簡易に実現することができる。
【0062】
荷物受渡しシステム1は、コンテナボックス10を移載及び移動させるスタッカクレーン53と、コンテナボックス10を格納する第1ラック51及び第2ラック52と、を備えている。この構成によれば、コンテナボックス10の入替えを容易に行うことができ、多量の荷物Nの受渡しに対応することが可能となる。
【0063】
荷物受渡しシステム1におけるコンテナボックス10には、載置空間Rの大きさが互いに異なる複数種の荷載置棚12〜16が設けられている。この構成によれば、大きい荷物Nを基準にして荷載置棚11の載置空間Rを設計した結果、荷物Nに対して載置空間Rが広すぎて無駄なスペースが生じることを抑制できる。また、通常サイズの荷物Nを基準にして荷載置棚11の載置空間Rを設計した結果、載置空間Rが狭くて大きい荷物Nを格納できないことを抑制できる。よって、スペースを無駄にすることなく多種の荷物Nを格納できる。
【0064】
荷物受渡しシステム1では、設置領域Zに設置されたコンテナボックス10の側面と壁材33との間に、隙間Gが形成されている。この構成によれば、スタッカクレーン53によってコンテナボックス10を設置領域Zとの間で移載する際、この隙間Gを利用してコンテナボックス10を容易に移載することが可能となる。
【0065】
荷物受渡しシステム1におけるエリア設備30は、スライド機構39を有している。スライド機構39は、設置領域Zに設置されたコンテナボックス10を、開錠される引取用扉35側に向かってスライド可能に構成されている。この構成によれば、引取者5が引取用扉35を開けて荷物Nを荷載置棚11から引き取る際、引取用扉35を介して露出する隙間Gを減らす、ひいては、当該隙間Gを無くすことができる。
【0066】
荷物受渡しシステム1における壁材33は、第1エリアA1と第2エリアA2とを仕切るように立設されている。この構成によれば、壁材33を利用して、第1エリアA1と第2エリアA2とを区画することができる。
【0067】
荷物受渡しシステム1では、コンテナボックス10は、建屋31内に設置されており、エリア設備30は、建屋31に設けられたエントランス扉36をさらに有している。施錠管理部42は、引取用扉35が開かれている場合にエントランス扉36を施錠する。この構成によれば、引取者5が引取用扉35を閉め忘れて建屋31外へ退室することを抑制することができる。
【0068】
荷物受渡しシステム1のエリア設備30によれば、施錠管理部42で施錠を管理した引取用扉35により、荷載置棚11に載置された荷物Nを間違えることなく引取者5に受け渡すことができる。また、コンテナボックス10を用いることが可能であり、コンテナボックス10を用いた場合には、複数の荷物Nを一括して納入でき、荷物Nの納入を簡略に行うことが可能となる。
【0069】
なお、荷物受渡しシステム1では、荷物Nの入庫(納入)は、入荷トラックの到着時に複数のコンテナボックス10分を人手で一気に行うことができる。例えば、スタッカクレーン53によって第1ラック51及び第2ラック52から納入ステーションSTへ複数のコンテナボックス10を順に出し入れし、このときに、納入ステーションST上にてコンテナボックス10の各荷載置棚11に複数の荷物Nを納入することにより、多量の複数Nの納入を一気に行うことができる。また、例えば配送センターの自動倉庫において移載装置で荷物Nを予め格納した複数のコンテナボックス10を、納入ステーションSTを介して第1ラック51及び第2ラック52へ格納することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0071】
上記実施形態の荷物受渡しシステム1では、コンテナボックス10における前側面10a、右側面10b及び左側面10cのそれぞれに複数の荷載置棚11を設けたが、前側面10a、右側面10b及び左側面10cの少なくとも何れかに複数の荷載置棚11を設けてもよい。要は、コンテナボックス10における少なくとも1つの側面に荷載置棚11が設けられていればよく、この場合、荷載置棚11が設けられた当該側面に壁材33が対面すればよい。
【0072】
上記実施形態の荷物受渡しシステム1は、コンビニエンスストアや駅等の既設の施設における建屋に設けられていてもよい。荷物受渡しシステム1は、いわゆる街ロッカーシステムあるいは貸ロッカーシステムとして構成することもできる。上記実施形態の荷物受渡しシステム1は、スタッカクレーン53を備えず、1つのコンテナボックス10のみが設置されたシステムであってもよい。
【0073】
上記実施形態の荷物受渡しシステム1は、スライド機構39に代えてもしくは加えて、引取用扉35の内側に設けられた懸架部を備えていてもよい。懸架部は、開かれた引取用扉35を介して露出する隙間Gを閉塞するように当該隙間Gに架け渡される。これにより、開かれた引取用扉35から隙間Gに通じることを抑制できる。なお、上記実施形態では、コンテナボックス10と壁材33との間に隙間Gが形成されなくてもよい。