(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-109964(P2017-109964A)
(43)【公開日】2017年6月22日
(54)【発明の名称】洗浄料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20170526BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20170526BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20170526BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20170526BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/46
A61K8/81
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-246760(P2015-246760)
(22)【出願日】2015年12月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】新間 優子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC022
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC482
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD091
4C083BB07
4C083CC23
4C083DD31
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】
水とのなじみ及び泡立ちが良く、エモリエント効果の優れた、安定性の高い洗浄料を提供する。
【解決手段】
下記の(A)〜(D)を含有することを特徴とする洗浄料。
(A)エステル油
(B)スルホコハク酸エステル系アニオン界面活性剤を二種以上
(C)両性界面活性剤
(D)ポリアクリレートクロスポリマー−6
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)〜(D)を含有することを特徴とする洗浄料。
(A)エステル油
(B)スルホコハク酸エステル系アニオン界面活性剤を二種以上
(C)両性界面活性剤
(D)ポリアクリレートクロスポリマー−6
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗浄料として、種々の商品が開発されており、高級脂肪酸石鹸を基剤とするものは、洗浄力に優れ、泡立ちが良く、さっぱりとした感触があるため、洗顔料(クレンジングフォーム)や全身洗浄料(ボディソープ)等に用いられている。しかし、その強力な洗浄力により、皮膚に必要な皮脂等まで落としてしまい、洗浄後に、肌が、かさつき、つっぱるといった問題が生じている。
【0003】
洗浄後の肌のかさつきや、つっぱり感の改善のために、ジグリセリンのポリオキシプロピレン付加物と併用した例(特許文献1)、植物エキスと併用した例(特許文献2)があるが、いずれも効果が不十分で、問題を解決するには、至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−116135号公報
【特許文献2】特開平10−88193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記の課題を解決した、水とのなじみ及び泡立ちが良く、エモリエント効果の優れた、安定性の高い洗浄料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、下記の(A)〜(D)を含有することを特徴とする洗浄料を提供する。
(A)エステル油
(B)スルホコハク酸エステル系アニオン界面活性剤を二種以上
(C)両性界面活性剤
(D)ポリアクリレートクロスポリマー−6
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、水とのなじみ及び泡立ちが良く、エモリエント効果の優れた、安定性の高い洗浄料が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いられる成分(A)エステル油は、エステル基を有する油剤であり、油脂、トリグリセリド、脂肪酸とアルコールのエステル等を挙げることができる。具体的には、オリーブ油、カカオ油、サフラワー油、シア脂、ツバキ油、パーム油、ヒマワリ油、ヒマシ油、ヤシ油、トリアラキドン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリエイコサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリエルカ酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリパーム油脂肪酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリヒドロキシステアリン酸グリセリル、トリべへン酸グリセリル、トリヤシ油脂肪酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリリノール酸グリセリル、イソステアリン酸イソステアリル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、エチルへキサン酸イソステアリル、エチルへキサン酸ステアリル、エチルヘキサン酸セチル、エルカ酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オクチルドデシル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ステアリン酸硬化ヒマシ油、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、ピバリン酸イソステアリル、ホホバ種子油、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。これらの中でも、ホホバ種子油(化粧品表示名称)を用いるのが好ましい。
【0009】
成分(A)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の洗浄料全量に対し、30〜50質量%の配合量が好ましい。配合量が30質量%未満であると、エモリエント効果に影響を及ぼす場合があり、50質量%を超えると、水とのなじみ及び泡立ちに影響を及ぼす場合がある。市販品としては、NIKKOL ホホバ油 S(日光ケミカルズ株式会社製)、ホホバール(ミツバ貿易株式会社製)等を挙げることができる。
【0010】
本発明で用いられる成分(B)スルホコハク酸エステル系アニオン界面活性剤は、スルホコハク酸とエステル結合したアニオン界面活性剤であれば、特に制限されずに使用することができる。具体的には、スルホコハク酸ジエステル系アニオン界面活性剤として、スルホコハク酸ジアミル、スルホコハク酸ジイソデシル、スルホコハク酸ジイソステアリル、スルホコハク酸ジオレイル、スルホコハク酸ジエチルヘキシル、スルホコハク酸ジカプリル、スルホコハク酸ジステアリル、スルホコハク酸ジセチル、スルホコハク酸ジトリデシル、スルホコハク酸ジラウリル及びこれらの塩等が、スルホコハク酸モノエステル系アニオン界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸及びこれらの塩等が挙げられる。
【0011】
成分(B)は、二種以上、併用して使用する必要があり、本発明の洗浄料全量に対し、合計1.5〜15.5質量%の配合量が好ましい。配合量が1.5質量%未満であると、水とのなじみ、泡立ち及び安定性に影響を及ぼす場合があり、15.5質量%を超えると、安定性に影響を及ぼす場合がある。
【0012】
成分(B)としては、スルホコハク酸ジエチルヘキシルNa(化粧品表示名称)とスルホコハク酸(C12−14)パレス−2Na(化粧品表示名称)又はスルホコハク酸ラウレス2Na(化粧品表示名称)を併用して使用することが好ましい。市販品としては、スルホコハク酸ジエチルヘキシルNaとして、NIKKOL OTP−75(日光ケミカルズ株式会社製)、スルホコハク酸(C12−14)パレス−2Naとして、ビューライト ESS(三洋化成工業株式会社製)及びコハクール L−400(東邦化学工業株式会社製)、スルホコハク酸ラウレス2Naとして、ビューライト LSS(三洋化成工業株式会社製)等を挙げることができる。
【0013】
本発明で用いられる成分(C)両性界面活性剤は、特に制限されずに使用することができ、具体的には、オレイルベタイン、(カプリル/カプラミド)プロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸Na、ココアンホジ酢酸2Na、ココアンホプロピオン酸Na、ココベタイン、ステアリルベタイン、パーム核脂肪酸アミドエチルヒドロキシエチルアミノプロピオン酸Na、パーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヒドロキシアルキル(C12,14)ヒドロキシエチルアラニン、ミリスタミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウラミノプロピオン酸Na、ラウリミノジプロピオン酸Na、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルベタイン、ラウロアンホ酢酸Na等が挙げられる。これらの中でも、コカミドプロピルベタイン(化粧品表示名称)を用いるのが好ましい。
【0014】
成分(C)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の洗浄料全量に対し、0.5〜5.5質量%の配合量が好ましい。配合量が0.5質量%未満であると、水とのなじみ及び泡立ちに影響を及ぼす場合があり、5.5質量%を超えると、安定性に影響を及ぼす場合がある。市販品としては、ソフタゾリン CPB(川研ファインケミカル株式会社製)、アノン BDF−R(日油株式会社製)等を挙げることができる。
【0015】
本発明で用いられる成分(D)ポリアクリレートクロスポリマー−6は、化粧品表示名称が、ポリアクリレートクロスポリマー−6で表されるものをいい、特に制限されずに使用することができる。
【0016】
成分(D)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の洗浄料全量に対し、0.1〜3質量%の配合量が好ましい。配合量が0.1質量%未満であると、安定性に影響を及ぼす場合があり、3質量%を超えると、水とのなじみ及び泡立ちに影響を及ぼす場合がある。市販品としては、SEPIMAX ZEN(成和化成株式会社製)等を挙げることができる。
【0017】
本発明の洗浄料には、上述の成分の他に、通常の化粧料分野等に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、精製水、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【0018】
本発明の洗浄料は、常法により製造され、O/W乳化型、W/O乳化型、非乳化型とすることができ、O/W乳化型のものが好ましい。剤型としては、固形状、液状、乳液状、クリーム状、ジェル状、軟膏状等の剤型とすることができ、その中でも、クリーム状のものが好ましい。本発明の洗浄料は、洗顔料、全身洗浄料、ハンドソープ、シャンプー等として使用することができ、全身洗浄料として使用することが好ましい。
【実施例】
【0019】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、これにより、本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は、特に断りのない限り質量%である。
【0020】
表1及び表2の実施例及び比較例のO/W乳化型クリーム状全身洗浄料を、下記の製造方法で製造した。
<製造方法>
(1)成分(A)を80〜85℃に加温し、均一に混合した。ただし、成分(B)のスルホコハク酸ジエチルヘキシルNaを配合する場合は、成分(A)とスルホコハク酸ジエチルヘキシルNaを80〜85℃に加温し、均一に混合した。
(2)成分(B)、成分(C)、成分(D)及びその他成分を80〜85℃に加温し、均一に混合した。
(3)上記(1)に上記(2)を加え、真空ポンプで脱泡しながら、ホモミキサーで均一に混合し、室温まで冷却して、表1及び表2の実施例及び比較例のO/W乳化型クリーム状全身洗浄料を製造した。
【0021】
そして、表1及び表2の実施例及び比較例について、下記の方法で水とのなじみ、泡立ち、エモリエント効果及び安定性の評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。なお、製造直後に分離したものについては評価は行わず、判定欄の記載は全て「−」とした。
【0022】
a)水とのなじみ、泡立ち
専門パネラー10名による、手での使用テストを行い、下記の評価基準に従って、表の洗浄料の水とのなじみ及び水となじませた時の泡立ちについて、絶対評価をし、更にその10人の評点の平均点を下記判定基準により判定した。
<評価基準>
3点:水と非常に良くなじむ/泡立ちが非常に良い
2点:水と良くなじむ/泡立ちが良い
1点:水とのなじみが少し悪い/泡立ちが少し悪い
0点:水とのなじみが悪い/泡立ちが悪い
<判定基準>
◎:2.5点以上
○:1.8点以上2.5点未満
△:1.0点以上1.8点未満
×:1.0点未満
【0023】
b)エモリエント効果
専門パネラー10名による、全身での使用テストを行い、下記の評価基準に従って、表の洗浄料のエモリエント効果について、絶対評価をし、更にその10人の評点の平均点をa)と同様の判定基準により判定した。
<評価基準>
3点:エモリエント効果が非常に高い
2点:エモリエント効果が高い
1点:エモリエント効果が低い
0点:エモリエント効果がほとんど感じられない
【0024】
c)安定性
専門評価員3名で、表の洗浄料を5℃、25℃、40℃で3カ月保管した際の外観の状態を下記の判定基準により判定した。
<判定基準>
◎:変化がない
○:変化がほとんどない
△:やや分離が見られる
×:分離が見られる
【0025】
表1及び表2に示された結果から明らかなように、各実施例の洗浄料は、水とのなじみ、泡立ち、エモリエント効果及び安定性すべての面で優れていた。一方、各比較例の洗浄料は水とのなじみ、泡立ち、エモリエント効果及び安定性の面で劣っていた。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】