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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-110260(P2017-110260A)
(43)【公開日】2017年6月22日
(54)【発明の名称】成膜装置および成膜方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20170526BHJP
   C23C 14/12 20060101ALI20170526BHJP
【FI】
   C23C14/24 C
   C23C14/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-245171(P2015-245171)
(22)【出願日】2015年12月16日
(71)【出願人】
【識別番号】300075751
【氏名又は名称】株式会社オプトラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094053
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 隆久
(74)【代理人】
【識別番号】100135828
【弁理士】
【氏名又は名称】飯島 康弘
(72)【発明者】
【氏名】範 賓
(72)【発明者】
【氏名】金澤 尚
(72)【発明者】
【氏名】小島 岳
(72)【発明者】
【氏名】長家 武彦
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029BA46
4K029BA48
4K029BA62
4K029BB02
4K029BC07
4K029CA01
4K029DB05
4K029DB06
4K029DB07
4K029DB14
4K029DB18
4K029DB21
4K029DB23
4K029JA02
(57)【要約】
【課題】蒸着材料供給源による蒸着材料の一部が成膜に供されることなく飛散してしまうことを防止することができ、ひいては成膜チャンバ内の汚染を抑止することが可能な成膜装置および成膜方法を提供する。
【解決手段】成膜チャンバ10は、たとえば、内部の上方側に成膜対象基板を保持する基板ホルダ20が配置され、内部の下方側に成膜対象基板200に、光学多層膜を成膜するために第1蒸着材料を供給する第1蒸着材料供給源30が配置されている。そして、供給チャンバ40は、成膜チャンバ10の内部と連通可能に形成され、連通時に第2蒸着材料を含む第2蒸着材料供給源を成膜チャンバ10内の基板ホルダ20に対して第1蒸着材料供給源30より近い、たとえば基板ホルダ20の直下の所定位置PS1に配置可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜チャンバと、
前記成膜チャンバ内に配置され、成膜対象基板を保持する基板ホルダと、
前記成膜チャンバの内部と連通可能に形成され、連通時に蒸着材料を含む蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記基板ホルダに対して近づけた所定位置に配置可能な供給チャンバと、
前記成膜チャンバにおいて非成膜時に、前記供給チャンバに、前記成膜チャンバの内部と連通させた状態で前記蒸着材料を含む前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記所定位置に配置させ、前記蒸着材料供給源による前記蒸着材料を気化させて前記成膜対象基板に成膜させる制御部と
を有する成膜装置。
【請求項2】
前記成膜チャンバ内に配置され、前記成膜対象基板に成膜する第1蒸着材料を含む少なくとも1つの第1蒸着材料供給源を有し、
前記供給チャンバは、
前記成膜チャンバの内部と連通可能に形成され、連通時に第2蒸着材料を含む第2蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記基板ホルダに対して前記第1蒸着材料供給源より近い所定位置に配置可能であり、
前記制御部は、
前記第1蒸着材料供給源の非作動時に、前記供給チャンバに、前記成膜チャンバの内部と連通させた状態で前記第2蒸着材料を含む前記第2蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記所定位置に配置させ、前記第2蒸着材料供給源による前記第2蒸着材料を気化させて前記成膜対象基板に成膜させる
請求項1記載の成膜装置。
【請求項3】
前記制御部は、
第1モード時には、
前記供給チャンバに、移動配置対象の前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内で前記所定位置に固定させて前記蒸着材料を前記成膜対象基板に成膜させ、
第2モード時には、
前記供給チャンバに、移動配置対象の前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内で前記所定位置を含む領域で所定の動きをさせて前記蒸着材料を前記成膜対象基板に成膜させる
請求項1または2記載の成膜装置。
【請求項4】
前記第2モード時の前記所定の動きは、移動、搖動、振動、および移動途中に停止状態を含む寸動のうちの少なくともいずれかである
請求項3記載の成膜装置。
【請求項5】
前記供給チャンバは、
当該供給チャンバ内と前記成膜チャンバ内との連通状態、非連通状態を切り替えるように開閉可能な仕切り部と、
前記蒸着材料供給源を、当該供給チャンバ内から前記成膜チャンバ内の前記所定位置に移動可能な駆動部と、を含む
請求項1から4のいずれか一に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記成膜チャンバおよび前記供給チャンバを真空引き可能で、
前記制御部は、
前記供給チャンバによる前記蒸着材料を成膜する場合、
前記仕切り部を閉じた状態で前記成膜チャンバおよび前記供給チャンバを真空引きさせ、前記仕切り部を開けて前記供給チャンバと前記成膜チャンバを連通させ、前記駆動部により前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内に移動させて、前記蒸着材料供給源による前記蒸着材料を気化させて前記成膜対象基板に成膜させる
請求項5記載の成膜装置。
【請求項7】
前記供給チャンバは、
当該供給チャンバ内と前記成膜チャンバ内との連通状態、非連通状態を切り替えるように開閉可能な仕切り部と、
前記蒸着材料供給源を、当該供給チャンバ内から前記成膜チャンバ内の前記所定位置に移動可能な駆動部と、
当該供給チャンバ内にある前記蒸着材料供給源に、蒸着材料溶液を供給可能な蒸着材料溶液供給部と、を含む
請求項1から4のいずれか一に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記成膜チャンバおよび前記供給チャンバを真空引き可能で、
前記制御部は、
前記仕切り部を閉じた状態で前記成膜チャンバを真空引きさせ、前記仕切り部を閉じた状態で前記供給チャンバにおいて前記蒸着材料供給源に前記蒸着材料溶液供給部から蒸着材料溶液を供給させ、前記供給チャンバの真空引きにより、前記蒸着材料供給源に供給された前記蒸着材料溶液に含有される蒸着材料を残して前記蒸着材料溶液の溶媒を除去させ、前記仕切り部を開けて前記供給チャンバと前記成膜チャンバを連通させ、前記駆動部により前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内に移動させて、前記蒸着材料供給源による前記蒸着材料を気化させて前記成膜対象基板に成膜させる
請求項7記載の成膜装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記供給チャンバの内部を大気圧下、加圧下、または減圧下にさせた状態で、前記蒸着材料供給源に前記蒸着材料溶液供給部から蒸着材料溶液を供給させる
請求項8記載の成膜装置。
【請求項10】
前記供給チャンバは、
前記蒸着材料供給源の移動に付随して移動可能で、前記蒸着材料供給源が前記成膜チャンバ内に移動された際に前記成膜チャンバ内と前記供給チャンバ内とを遮蔽可能な遮蔽部を含む
請求項1から9のいずれか一に記載の成膜装置。
【請求項11】
前記供給チャンバの前記蒸着材料供給源による前記蒸着材料は防汚性の蒸着材料を含む
請求項1から10のいずれか一に記載の成膜装置。
【請求項12】
成膜チャンバと、
前記成膜チャンバ内に配置され、成膜対象基板を保持する基板ホルダと、
前記成膜チャンバの内部と連通可能に形成され、連通時に蒸着材料を含む蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記基板ホルダに対して近づけた所定位置に配置可能な供給チャンバと、を有する成膜装置を用いて、
前記成膜チャンバにおいて非成膜時に、
前記供給チャンバ内と前記成膜チャンバ内とを連通させる工程と、
前記蒸着材料を含む前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記所定位置に配置する工程と、
前記蒸着材料供給源による前記蒸着材料を気化させて前記成膜対象基板に成膜する工程と
を有する成膜方法。
【請求項13】
前記成膜装置は、
前記成膜チャンバ内に配置され、前記成膜対象基板に成膜する第1蒸着材料を含む少なくとも1つの第1蒸着材料供給源を有し、
前記供給チャンバは、
前記成膜チャンバの内部と連通可能に形成され、連通時に第2蒸着材料を含む第2蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記基板ホルダに対して前記第1蒸着材料供給源より近い所定位置に配置可能であり、
前記第1蒸着材料供給源の非作動時に、
前記供給チャンバ内と前記成膜チャンバ内とを連通させる工程と、
前記第2蒸着材料を含む前記第2蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記所定位置に配置する工程と、
前記第2蒸着材料供給源による前記第2蒸着材料を気化させて前記成膜対象基板に成膜する工程と
を有する請求項12記載の成膜方法。
【請求項14】
第1モード時には、
前記供給チャンバに、移動配置対象の前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内で前記所定位置に固定させて前記蒸着材料を前記成膜対象基板に成膜し、
第2モード時には、
前記供給チャンバに、移動配置対象の前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内で前記所定位置を含む領域で所定の動きをさせて前記蒸着材料を前記成膜対象基板に成膜する
請求項12または13載の成膜方法。
【請求項15】
前記第2モード時の前記所定の動きは、前記所定位置を基準に移動させる移動、搖動、振動、および移動途中に停止状態を含む寸動のうちの少なくともいずれかである
請求項14記載の成膜方法。
【請求項16】
前記供給チャンバによる前記蒸着材料を成膜する場合、
前記供給チャンバ内と前記成膜チャンバ内との連通状態、非連通状態を切り替えるように開閉可能な仕切り部を閉じた状態で前記成膜チャンバおよび前記供給チャンバを真空引きする工程と、
前記仕切り部を開けて前記供給チャンバと前記成膜チャンバを連通させる工程と、
前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内に移動する工程と、
前記蒸着材料供給源による前記蒸着材料を気化させて前記成膜対象基板に成膜する工程と
を有する請求項12から15のいずれか一に記載の成膜方法。
【請求項17】
前記供給チャンバ内と前記成膜チャンバ内との連通状態、非連通状態を切り替えるように開閉可能な仕切り部を閉じた状態で前記成膜チャンバを真空引きする工程と、
前記仕切り部を閉じた状態で前記供給チャンバにおいて前記蒸着材料供給源に蒸着材料溶液供給部から蒸着材料溶液を供給する工程と、
前記供給チャンバの真空引きにより、前記蒸着材料供給源に供給された前記蒸着材料溶液に含有される蒸着材料を残して前記蒸着材料溶液の溶媒を除去する工程と、
前記仕切り部を開けて前記供給チャンバと前記成膜チャンバを連通させる工程と、
前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内に移動する工程と、
前記蒸着材料供給源による前記蒸着材料を気化させて前記成膜対象基板に成膜する工程と
を有する請求項12から15のいずれか一に記載の成膜方法。
【請求項18】
前記供給チャンバの内部を大気圧下、加圧下、または減圧下にさせた状態で、前記蒸着材料供給源に前記蒸着材料溶液供給部から蒸着材料溶液を供給する
請求項17記載の成膜方法。
【請求項19】
前記供給チャンバの前記蒸着材料供給源による前記蒸着材料は防汚性の蒸着材料を含む
請求項12から18のいずれか一に記載の成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置および成膜方法に関し、特に、たとえば防汚膜として機能する有機膜形成用蒸着材料の真空蒸着を行う成膜装置および成膜方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空蒸着は無機膜および有機膜を形成する方法として広く用いられており、真空蒸着により、光学部品、たとえば屈折率など光学特性の異なる誘電体の薄膜を多層積層した光学多層膜などの表面に防汚膜として機能する有機膜を形成する方法が知られている。
たとえば、真空蒸着装置を構成するチャンバ中に設けられたヒーターで有機膜形成用蒸着材料を加熱して気化させ、成膜対象物の表面に蒸着材料の蒸気を噴出して蒸着材料を堆積させ、有機膜を形成する。
【0003】
有機膜を形成するための蒸着装置としては、種々の構成のものが知られている。
たとえば、特許文献1には、固体あるいは粉体の有機膜形成用蒸着材料を用いて真空蒸着により有機膜を成膜する成膜装置が記載されている。
【0004】
一方、たとえば特許文献2の図4および対応する明細書の記載には、液状の防汚剤を含浸させた多孔性タブレットあるいは液状の防汚剤そのものをボートで加熱して蒸着する蒸着装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、多孔性無機酸化物マトリックスにパーフルロロアルキル基を有するシラン化合物などのオルガノシラン化合物を含浸させてなる蒸着材料を用いて高真空下で真空蒸着することで撥水性コーティングを施す方法が開示されている。
【0006】
上記の真空蒸着で用いられる従来の成膜装置は、成膜チャンバ(真空チャンバ)内の上方(または下方)に、多層膜を成膜するために第1蒸着材料を供給する第1蒸着材料供給源、および防汚膜として機能する有機膜を成膜するための第2蒸着材料を供給する第2蒸着材料供給源が配置される。
そして、成膜チャンバ(真空チャンバ)内の下方(または上方)に、多層膜および有機膜を成膜する成膜対象基板を保持するたとえばドーム状の基板ホルダが配置される。
【0007】
このように、従来の成膜装置においては、多層膜を成膜するために第1蒸着材料を供給する第1蒸着材料供給源と防汚膜として機能する有機膜を成膜するための第2蒸着材料を供給する第2蒸着材料供給源とが、同一の成膜チャンバ内に常設され、また、第1蒸着材料供給源および第2蒸着材料供給源は基板ホルダからある程度距離を隔てて、離間した位置に配置される。
【0008】
蒸着材料供給源には、たとえば抵抗加熱、電子ビーム加熱、レーザビーム加熱などの加熱手段が設けられており、蒸着材料供給源において蒸着材料が加熱されて気化すると、蒸着材料の蒸気が噴出する。
蒸着材料供給源から噴出された蒸着材料の蒸気が基板ホルダに保持された成膜対象基板の表面に達して固化すると、成膜対象基板の表面に蒸着材料の薄膜が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−263751号公報
【特許文献2】特開2002−155353号公報
【特許文献3】特開平9−137122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記したように、従来の成膜装置においては、第1蒸着材料供給源と第2蒸着材料供給源とが、同一の成膜チャンバ内に常設され、また、第1蒸着材料供給源および第2蒸着材料供給源は基板ホルダからある程度距離を隔てて、離間した位置に配置されることから、次のような不利益がある。
【0011】
すなわち、従来の成膜装置においては、成膜チャンバ中に第2蒸着材料供給部から蒸着材料を供給したときに、第2蒸着材料供給源による蒸着材料の一部が成膜に供されることなく飛散してしまい、蒸着材料が無駄になってしまうことがあり、これは製造コストを高める要因となり、さらに成膜チャンバの汚染にも繋がるという不利益がある。
【0012】
本発明は、蒸着材料供給源による蒸着材料の一部が成膜に供されることなく飛散してしまうことを防止することができ、ひいては成膜チャンバ内の汚染を抑止することが可能な成膜装置および成膜方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の観点の成膜装置は、成膜チャンバと、前記成膜チャンバ内に配置され、成膜対象基板を保持する基板ホルダと、前記成膜チャンバの内部と連通可能に形成され、連通時に蒸着材料を含む蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記基板ホルダに対して近づけた所定位置に配置可能な供給チャンバと、前記成膜チャンバにおいて非成膜時に、前記供給チャンバに、前記成膜チャンバの内部と連通させた状態で前記蒸着材料を含む前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記所定位置に配置させ、前記蒸着材料供給源による前記蒸着材料を気化させて前記成膜対象基板に成膜させる制御部とを有する。
【0014】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記成膜チャンバ内に配置され、前記成膜対象基板に成膜する第1蒸着材料を含む少なくとも1つの第1蒸着材料供給源を有し、前記供給チャンバは、前記成膜チャンバの内部と連通可能に形成され、連通時に第2蒸着材料を含む第2蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記基板ホルダに対して前記第1蒸着材料供給源より近い所定位置に配置可能であり、前記制御部は、前記第1蒸着材料供給源の非作動時に、前記供給チャンバに、前記成膜チャンバの内部と連通させた状態で前記第2蒸着材料を含む前記第2蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記所定位置に配置させ、前記第2蒸着材料供給源による前記第2蒸着材料を気化させて前記成膜対象基板に成膜させる。
【0015】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記制御部は、第1モード時には、前記供給チャンバに、移動配置対象の前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内で前記所定位置に固定させて前記蒸着材料を前記成膜対象基板に成膜させ、第2モード時には、前記供給チャンバに、移動配置対象の前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内で前記所定位置を含む領域で所定の動きをさせて前記蒸着材料を前記成膜対象基板に成膜させる。
【0016】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記第2モード時の前記所定の動きは、移動、搖動、振動、および移動途中に停止状態を含む寸動のうちの少なくともいずれかである。
【0017】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記供給チャンバは、当該供給チャンバ内と前記成膜チャンバ内との連通状態、非連通状態を切り替えるように開閉可能な仕切り部と、前記蒸着材料供給源を、当該供給チャンバ内から前記成膜チャンバ内の前記所定位置に移動可能な駆動部と、を含む。
【0018】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記成膜チャンバおよび前記供給チャンバを真空引き可能で、前記制御部は、前記供給チャンバによる前記蒸着材料を成膜する場合、前記仕切り部を閉じた状態で前記成膜チャンバおよび前記供給チャンバを真空引きさせ、前記仕切り部を開けて前記供給チャンバと前記成膜チャンバを連通させ、前記駆動部により前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内に移動させて、前記蒸着材料供給源による前記蒸着材料を気化させて前記成膜対象基板に成膜させる。
【0019】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記供給チャンバは、当該供給チャンバ内と前記成膜チャンバ内との連通状態、非連通状態を切り替えるように開閉可能な仕切り部と、前記蒸着材料供給源を、当該供給チャンバ内から前記成膜チャンバ内の前記所定位置に移動可能な駆動部と、当該供給チャンバ内にある前記蒸着材料供給源に、蒸着材料溶液を供給可能な蒸着材料溶液供給部と、を含む。
【0020】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記成膜チャンバおよび前記供給チャンバを真空引き可能で、前記制御部は、前記仕切り部を閉じた状態で前記成膜チャンバを真空引きさせ、前記仕切り部を閉じた状態で前記供給チャンバにおいて前記蒸着材料供給源に前記蒸着材料溶液供給部から蒸着材料溶液を供給させ、前記供給チャンバの真空引きにより、前記蒸着材料供給源に供給された前記蒸着材料溶液に含有される蒸着材料を残して前記蒸着材料溶液の溶媒を除去させ、前記仕切り部を開けて前記供給チャンバと前記成膜チャンバを連通させ、前記駆動部により前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内に移動させて、前記蒸着材料供給源による前記蒸着材料を気化させて前記成膜対象基板に成膜させる。
【0021】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記制御部は、前記供給チャンバの内部を大気圧下、加圧下、または減圧下にさせた状態で、前記蒸着材料供給源に前記蒸着材料溶液供給部から蒸着材料溶液を供給させる。
【0022】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記供給チャンバは、前記蒸着材料供給源の移動に付随して移動可能で、前記蒸着材料供給源が前記成膜チャンバ内に移動された際に前記成膜チャンバ内と前記供給チャンバ内とを遮蔽可能な遮蔽部を含む。
【0023】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記供給チャンバの前記蒸着材料供給源による前記蒸着材料は防汚性の蒸着材料を含む。
【0024】
本発明の第2の観点の成膜方法は、成膜チャンバと、前記成膜チャンバ内に配置され、成膜対象基板を保持する基板ホルダと、前記成膜チャンバの内部と連通可能に形成され、連通時に蒸着材料を含む蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記基板ホルダに対して近づけた所定位置に配置可能な供給チャンバと、を有する成膜装置を用いて、前記成膜チャンバにおいて非成膜時に、前記供給チャンバ内と前記成膜チャンバ内とを連通させる工程と、前記蒸着材料を含む前記蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記所定位置に配置する工程と、前記蒸着材料供給源による前記蒸着材料を気化させて前記成膜対象基板に成膜する工程とを有する。
【0025】
好適には、前記成膜装置は、前記成膜チャンバ内に配置され、前記成膜対象基板に成膜する第1蒸着材料を含む少なくとも1つの第1蒸着材料供給源を有し、前記供給チャンバは、前記成膜チャンバの内部と連通可能に形成され、連通時に第2蒸着材料を含む第2蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記基板ホルダに対して前記第1蒸着材料供給源より近い所定位置に配置可能であり、前記第1蒸着材料供給源の非作動時に、前記供給チャンバ内と前記成膜チャンバ内とを連通させる工程と、前記第2蒸着材料を含む前記第2蒸着材料供給源を前記成膜チャンバ内の前記所定位置に配置する工程と、前記第2蒸着材料供給源による前記第2蒸着材料を気化させて前記成膜対象基板に成膜する工程とを有する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、蒸着材料供給源による蒸着材料の一部が成膜に供されることなく飛散してしまうことを防止することができ、ひいては成膜チャンバ内の汚染を抑止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は本発明の第1実施形態に係る成膜装置を模式的に示す構成図である。
図2図2は基板ホルダの一例を示す図である。
図3図3は本第1実施形態の成膜装置において制御部の制御の下、供給チャンバを用いて第2蒸着材料を成膜する処理の概要を説明するためのフローチャートである。
図4図4は本発明の第1実施形態に係る成膜方法の成膜工程を模式的に示す第1図である。
図5図5は本発明の第1実施形態に係る成膜方法の成膜工程を模式的に示す第2図である。
図6図6は本発明の第1実施形態に係る成膜方法の成膜工程を模式的に示す第3図である。
図7図7は本発明の第1実施形態に係る成膜方法の成膜工程を模式的に示す第4図である。
図8図8は本発明の第1実施形態に係る成膜方法の成膜工程を模式的に示す第5図である。
図9図9は本発明の第1実施形態に係る成膜方法の成膜工程を模式的に示す第6図である。
図10図10は本発明の第2実施形態に係る成膜装置を模式的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の成膜装置並びにそれを用いた成膜方法の実施の形態について、図面に関連付けて説明する。
【0029】
<第1実施形態>
[成膜装置の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る成膜装置を模式的に示す構成図である。
成膜装置1は、たとえば、成膜チャンバ10、成膜チャンバ10内に配置された基板ホルダ20、成膜チャンバ10内に配置された第1蒸着材料供給源30、成膜チャンバ10の外部に設けられた供給チャンバ40、および制御部50を有する。
【0030】
成膜チャンバ10は、たとえば、排気管111を介して真空ポンプ112が接続されており、内部を所定の圧力に減圧可能となっている。真空蒸着による成膜時における成膜チャンバ10内の背圧は、たとえば10−2〜10−5Pa程度である。
【0031】
成膜チャンバ10は、たとえば、内部の上方側に成膜対象基板を保持する基板ホルダ20が配置されている。
【0032】
図2は、基板ホルダの一例を示す図である。
図2の例では、ドーム状の形状を有してドームの頂部を回転中心として回転される基板ホルダ20に、膜形成面が成膜材料、すなわち蒸着材料供給源側に臨むように複数枚の成膜対象基板200が保持されている。
【0033】
本例では、基板ホルダ20として、回転駆動するドーム型の基板ホルダが示されているが、これにドーム型以外のドラム型等の基板ホルダも用いることができる。
本実施形態の成膜装置は、たとえば、バッチ方式で成膜対象基板に成膜する成膜装置として構成可能であり、これに合致した基板ホルダが用いられる。
なお、成膜を断続的に行うバッチ方式以外の装置および方法にも適用可能である。
【0034】
成膜チャンバ10は、たとえば、内部の下方側に、成膜対象基板200に、光学多層膜を成膜するために第1蒸着材料を供給する第1蒸着材料供給源30が配置されている。
第1蒸着材料供給源30は基板ホルダ20からある程度距離を隔てて、離間した位置に配置される。
【0035】
たとえば、成膜チャンバ10の内部の下方側に、第1蒸着材料供給源30として、2つの第1蒸着材料供給源310,320が配置され、第1蒸着材料供給源310の内部に第1蒸着材料311が収容されており、第1蒸着材料供給源320の内部に第1蒸着材料321が収容されている。
一例ではあるが、第1蒸着材料311はたとえばSiOであり、第1蒸着材料321はたとえば、TiO等である。
【0036】
各蒸着材料供給源には、たとえば不図示の抵抗加熱、電子ビーム加熱、レーザビーム加熱などの加熱手段が設けられており、真空蒸着源である蒸着材料供給源において蒸着材料が加熱されて気化すると蒸着材料の蒸気が噴出する。
【0037】
第1蒸着材料供給源30による第1蒸着材料の成膜対象基板200への成膜処理は、成膜チャンバ10内の圧力等を含めて、制御部50の制御の下に行われる。
【0038】
供給チャンバ40は、基本的に、成膜チャンバ10の内部と連通可能に形成され、連通時に第2蒸着材料を含む第2蒸着材料供給源401を成膜チャンバ10内の基板ホルダ20に対して近づけた所定位置PS1に配置可能に構成されている。
換言すると、供給チャンバ40は、成膜チャンバ10の内部と連通可能に形成され、連通時に第2蒸着材料を含む第2蒸着材料供給源を成膜チャンバ10内の基板ホルダ20に対して第1蒸着材料供給源30より近い所定位置PS1に配置可能に構成されている。
【0039】
ここで、所定位置PS1は、図1の例では基板ホルダ20の直下であり、第2蒸着材料供給源401による第2蒸着材料の一部が成膜に供されることなく飛散してしまうことを防止することができ、ひいては成膜チャンバ10内の汚染を抑止することが可能な位置である。
【0040】
供給チャンバ40の具体的な構成例については、後で詳述する。
【0041】
制御部50は、成膜装置1の成膜処理全体の制御を司る。
制御部50は、第1蒸着材料供給源30による第1蒸着材料の成膜対象基板200への成膜処理を制御する。
制御部50は、第1蒸着材料供給源の非作動時に(第1蒸着材料の成膜を行わないときに)、供給チャンバ40に、成膜チャンバ10の内部と連通させた状態で第2蒸着材料を含む第2蒸着材料供給源401を成膜チャンバ10内の基板ホルダ20直下の所定位置PS1に配置させ、第2蒸着材料供給源401による第2蒸着材料を気化させて成膜対象基板200に成膜させる。
【0042】
[供給チャンバの具体的な構成例]
次に、本第1実施形態に係る供給チャンバ40の具体的な構成例について説明する。
【0043】
供給チャンバ40は、図1に示すように、接続部402と、制御部50の制御の下、開閉可能な仕切り部であるゲートバルブ403を介して、成膜チャンバ10の内部と連通可能に構成されている。
ゲートバルブ403は、たとえば、ゲート部404の移動により、供給チャンバ40側と、接続部402および成膜チャンバ10の内部側を連通状態とし、または非連通状態となるように仕切ることができる。
【0044】
また、たとえば、供給チャンバ40は、接続部(排気管)405により真空ポンプ406が接続されており、制御部50の制御の下、供給チャンバ40の内部を所定の圧力に減圧可能となっている。
また、真空ポンプ406と一体に供給チャンバ40に雰囲気ガスを導入する構成が設けられている、あるいは、真空ポンプ406と独立の装置であってもよい。
真空蒸着による成膜時における供給チャンバ40内の背圧は、たとえば10−2〜10−5Pa程度である。
また、蒸着材料供給時における供給チャンバ40内の雰囲気ガスは、たとえば大気、Ar、N、Heあるいはドライエアであり、背圧は、たとえば大気圧、加圧、1kPa〜大気圧程度の減圧である。
【0045】
供給チャンバ40は、たとえば、蒸着材料溶液供給部407と、供給チャンバ40の内部における蒸着材料溶液供給部407と対向する基準位置BPSから成膜チャンバ10の内部の所定位置PS1へと移動可能に設けられた第2蒸着材料供給源401とを有する。
【0046】
蒸着材料溶液供給部407は、たとえば第2蒸着材料408を溶媒に溶解してなる蒸着材料溶液408Sを第2蒸着材料供給源401の受け部に供給する。
たとえば、蒸着材料溶液供給部407は、ニードルバルブ、ディスペンサ、スクリューポンプなどの手段で構成でき、蒸着材料溶液408Sを第2蒸着材料供給源401に供給することができる。
【0047】
第2蒸着材料供給源401は、たとえばシリンダ型駆動部409などにより、蒸着材料溶液供給部407の配置位置と対向する基準位置BPSから成膜チャンバ10の内部の基板ホルダ20直下の所定位置PS1へと移動可能に設けられている。シリンダ型駆動部以外に、モータ方式駆動部などを用いてもよい。
第2蒸着材料供給源401は、たとえばステンレススチールやなどの耐熱性および耐蝕性を有する材料で形成されている。
【0048】
また、たとえば、第2蒸着材料供給源401の移動に付随して(連動して)移動するように第2蒸着材料供給源401に接続された遮蔽板410が設けられている。
遮蔽板410により、成膜チャンバ10内と供給チャンバ40の間を遮蔽することで、加熱により第2蒸着材料供給源401の第2蒸着材料408を蒸発させる際に、気化した第2蒸着材料408の供給チャンバ40への進入を抑制することができる。
ここで、接続部402の一部において内側の寸法が、遮蔽板410の寸法に適合した構成とすることにより、遮蔽板410が接続部402に移動したときの成膜チャンバ10の内部と供給チャンバ40の間の遮蔽をより精密に行うことができる。
【0049】
本実施形態においては、たとえば、第2蒸着材料供給源401が加熱可能に構成されている。
蒸着材料溶液408Sを供給する工程から第2蒸着材料408を成膜対象基板200上に成膜する工程までの少なくともいずれかの工程において、第2蒸着材料供給源401により直接蒸着材料溶液または蒸着材料溶液から溶媒が除去されてなる蒸着材料を加熱することができる。
【0050】
図3は、本第1実施形態の成膜装置において制御部の制御の下、供給チャンバを用いて第2蒸着材料を成膜する処理の概要を説明するためのフローチャートである。
ここで、図3に関連付けて、制御部50の制御の下、供給チャンバ40を用いて第2蒸着材料408を成膜する処理の概要を説明する。
【0051】
上記の構成の成膜装置1においては、たとえば、制御部50の制御の下、以下の処理を行うことが可能である。
たとえば、成膜チャンバ10において、成膜対象基板200が保持された基板ホルダ20が回転駆動され、仕切り部であるゲートバルブ403を閉じた状態で(ステップST1)、成膜チャンバ10が真空引きされる(ステップST2)。
【0052】
仕切り部であるゲートバルブ403を閉じた状態で、供給チャンバ40において、蒸着材料溶液供給部407の配置位置に対向する基準位置BPSに配置された第2蒸着材料供給源401に蒸着材料溶液供給部407から蒸着材料溶液408Sを供給する(ステップST3)。
そして、供給チャンバ40の真空引きにより(ステップST4)、第2蒸着材料供給源401に供給された蒸着材料溶液408Sに含有される第2蒸着材料408を残して蒸着材料溶液の溶媒を除去する(ステップST5)。
蒸着材料溶液408Sを供給する際の供給チャンバ40の内部は、たとえば大気、Ar、N、Heあるいはドライエアの雰囲気ガスで、背圧は、たとえば大気圧、加圧、1kPa〜大気圧程度の減圧とする。
蒸着材料溶液408Sに含有される第2蒸着材料408を残して蒸着材料溶液の溶媒の除去時における供給チャンバ40内の背圧は、100〜10−5Pa程度である。
【0053】
仕切り部であるゲートバルブ403を開けて(ステップST6)、供給チャンバ40と成膜チャンバ10の内部を連通させ、第2蒸着材料供給源401を蒸着材料溶液供給部407の配置位置に対向する基準位置BPSから成膜チャンバ10の内部の基板ホルダ20直下の所定位置PS1に移動する(ステップST7)。
【0054】
次に、加熱により、第2蒸着材料供給源401の第2蒸着材料408を気化させ(ステップST8)、第2蒸着材料408を成膜対象基板200上に成膜する(ステップST9)。
【0055】
[蒸着材料溶液を構成する蒸着材料]
第2蒸着材料は、目的とする膜の特性に応じて適宜選択可能であり、たとえば防汚膜を形成するための蒸着材料としては、フッ化炭化水素系化合物およびシリコーン樹脂などを用いることができ、たとえば、パーフロロアルキルシラザンを好ましく用いることができる。
また、防汚膜以外の用途の蒸着材料を用いることも可能である。
【0056】
また、特許文献3に開示されたオルガノシラン化合物を好ましく用いることができる。
たとえば、下記式(1)で示されるパーフロロアルキル基を有するシラン化合物である。
【0057】
(化1)
2n+1−(CH−Si(R) …(1)
【0058】
式(1)中、Rは1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであるか、またはC2n+1−(CH−Si(R)−O−であり、R,Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシであり、nは1〜12であり、およびmは1〜6である。
【0059】
式(1)の化合物として、たとえば、トリエトキシ(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−ウンデカフルオロヘプチル)シラン;トリエトキシ(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)シラン;トリエトキシ(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)シラン;ジエトキシメチル(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)シラン;ビス[エトキシメチル(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)]シリルエーテルを用いることができる。
【0060】
[蒸着材料溶液を構成する溶媒]
蒸着材料溶液を構成する溶媒としては、上記の第2蒸着材料を溶解するものであり、蒸着材料より少なくとも低温および低真空のいずれかで蒸発する特性を有していれば特に制限はない。
たとえば、パーフルオロ炭化水素などの蒸着材料より少なくとも低温および低真空のいずれかで蒸発しやすい溶媒を好ましく用いることができる。
【0061】
たとえば、蒸着材料溶液として、フッ化炭化水素系化合物20%、溶媒としてパーフルオロヘキサン80%を含有する「オプツールDSX(商品名、ダイキン工業株式会社製)」を好ましく用いることができる。
たとえば、供給チャンバ40の背圧を1×10−1Paとすることで供給チャンバ40においてパーフルオロヘキサンを完全に分離し、成膜チャンバ10においてフッ化炭化水素系化合物のみを蒸着させることができる。
【0062】
[具体的な成膜方法]
図4から図9は、本発明の第1実施形態に係る成膜方法の各成膜工程を模式的に示す図である。
次に、本第1実施形態の成膜装置1において制御部50の制御の下、供給チャンバ40を用いて第2蒸着材料408を成膜する具体的な処理を、図4から図9に関連付けて図解しながら説明する。
【0063】
上述したように、本第1実施形態に係る成膜装置1は、成膜対象基板200を保持した基板ホルダ20と第1蒸着材料の第1蒸着材料供給源30が内部に設けられた成膜チャンバ10と、成膜チャンバ10の外部に設けられた供給チャンバ40を有している。
供給チャンバ40と成膜チャンバ10の内部とが開閉可能な仕切り部であるゲートバルブ403を介して連通状態と非連通状態を切り替え可能に構成されており、供給チャンバ40は蒸着材料溶液供給部407と、供給チャンバ40の内部における蒸着材料溶液供給部407の配置位置と対向する基準位置BPSから成膜チャンバ10の内部の基板ホルダ20直下の所定位置PS1へと移動可能に設けられた第2蒸着材料供給源401とを有する。
この成膜装置1を用いて成膜処理が以下のように行われる。
【0064】
まず、図4に示すように、たとえば、成膜チャンバ10において、成膜対象基板200が保持された基板ホルダ20を回転駆動し、仕切り部であるゲートバルブ403を閉じた状態で、すなわち、ゲート部404により、供給チャンバ40側と、接続部402および成膜チャンバ10の内部側を仕切った状態で、成膜チャンバ10を真空引きする。
【0065】
次に、図5に示すように、たとえば、仕切り部であるゲートバルブ403を閉じた状態で供給チャンバ40において蒸着材料溶液供給部407の配置位置に対向する基準位置BPSに配置された第2蒸着材料供給源401に蒸着材料溶液供給部407から蒸着材料溶液408Sを供給する。
蒸着材料溶液408Sを供給する際の供給チャンバ40の内部は、たとえば大気、Ar、N、Heあるいはドライエアの雰囲気ガスで、背圧は、たとえば大気圧、加圧、1kPa〜大気圧程度の減圧とする。
【0066】
次に、図6に示すように、たとえば、真空ポンプ406の駆動による供給チャンバ40の真空引きにより、第2蒸着材料供給源401に供給された蒸着材料溶液408Sに含有される第2蒸着材料408を残して蒸着材料溶液408Sの溶媒を除去する。
蒸着材料溶液408Sに含有される第2蒸着材料408を残して蒸着材料溶液408Sの溶媒の除去時における供給チャンバ40内の背圧は、たとえば100〜10−5Pa程度である。
【0067】
次に、図7に示すように、たとえば、仕切り部であるゲートバルブ403を開けて、すなわち、ゲート部404の移動により、供給チャンバ40と、接続部402および成膜チャンバ10の内部を連通させる。
【0068】
次に、図8に示すように、たとえば、シリンダ型駆動部409の駆動により、第2蒸着材料供給源401を蒸着材料溶液供給部407の配置位置に対向する基準位置BPSから成膜チャンバ10の内部の基板ホルダ20直下の所定位置PS1へと移動する。
【0069】
次に、図9に示すように、たとえば、第2蒸着材料供給源401をヒーター411により加熱し、第2蒸着材料供給源401の第2蒸着材料408を気化させ、第2蒸着材料を成膜対象基板200上に成膜する。
【0070】
以降の工程として、たとえば、第2蒸着材料供給源401への蒸着材料溶液408Sの供給とその溶媒の除去、成膜チャンバ10内の基板ホルダ20直下の所定位置PS1またはその近傍領域での蒸着材料の蒸発による成膜を繰り返し行うことができる。
たとえば、図9に示す工程の後、シリンダ型駆動部409の駆動により、第2蒸着材料供給源401を成膜チャンバ10の内部から蒸着材料溶液供給部407の配置位置と対向する基準位置BPSへと移動し、ゲートバルブ403を閉じる。
【0071】
次に、真空ポンプ406の弁を解放して供給チャンバ40内に大気を導入するか、あるいは真空ポンプ406と一体にあるいは独立して設けられた供給チャンバ40に雰囲気ガスを導入する構成により、供給チャンバ40内に、たとえば大気、Ar、N、Heあるいはドライエアの雰囲気ガスを大気圧、加圧、1kPa〜大気圧程度の減圧条件として導入する。
次に、図5に示す蒸着材料溶液408Sを供給する工程から、図9に示す第2蒸着材料408を気化させ、成膜対象基板200上に成膜する工程を繰り返す。
なお、第2蒸着材料供給源401への蒸着材料溶液の供給とその溶媒の除去、成膜チャンバ10内での第2蒸着材料の蒸発による成膜の繰り返しは、1回あるいは複数回行うことができる。
【0072】
本実施形態においては、たとえば、第2蒸着材料供給源401を蒸着材料溶液供給部407の配置位置と対向する基準位置BPSから成膜チャンバ10の内部に移動する際に、第2蒸着材料供給源401の移動に付随して移動するように第2蒸着材料供給源401に接続して設けられている遮蔽板410により成膜チャンバ10の内部と供給チャンバ40の間を遮蔽することが好ましい。
これにより、加熱により第2蒸着材料供給源401の第2蒸着材料408を蒸発させる際に、気化した第2蒸着材料の供給チャンバ40への進入を抑制することができる。
ここで、接続部402の一部において内側の寸法が、遮蔽板410の寸法に適合した構成であることが好ましく、これにより、遮蔽板410が接続部402に移動したときの成膜チャンバ10の内部と供給チャンバ40の間の遮蔽をより精密に行うことができる。
【0073】
本実施形態においては、たとえば、第2蒸着材料が防汚性の蒸着材料であり、成膜対象基板上に防汚膜を成膜する。
防汚性の蒸着材料は、材料の安定性のため溶液の状態で保存されており、真空蒸着する場合蒸着材料に溶媒が混入して成膜されやすく、防汚膜の耐久性および耐摩擦性などの膜質が劣化してしまうという不利益がある。
これに対して、本実施形態によれば、供給チャンバ40において溶媒を蒸発させて分離した後、成膜チャンバ10内の基板ホルダ20直下の所定位置PS1において気化させることができ、形成される膜の膜質の劣化を防止することができる。
【0074】
本実施形態においては、たとえば、第2蒸着材料供給源401に蒸着材料溶液408Sを供給する工程から気化した第2蒸着材料を成膜対象基板200上に成膜する工程までを、1組の成膜対象基板ごとにバッチ方式で行うことができる。
供給チャンバ40において蒸着材料溶液供給部407から供給された蒸着材料溶液408Sのうちの第2蒸着材料408を第2蒸着材料供給源401に残して溶媒を蒸発させた後、第2蒸着材料408を成膜に供するので、バッチ方式などの成膜を断続的に行う装置および方法に適している。
【0075】
本実施形態においては、たとえば、第2蒸着材料供給源401に蒸着材料溶液408Sを供給する工程を、供給チャンバ40の内部を大気圧下、加圧下、または1kPa〜大気圧程度の減圧下で行う。
供給チャンバ40において蒸着材料溶液供給部407から供給された蒸着材料溶液408Sのうちの第2蒸着材料408を第2蒸着材料供給源401に残して溶媒を蒸発させる工程においては、蒸着材料溶液408Sの特性に応じて、供給チャンバ40の内部を溶媒のみの蒸発に適した圧力条件に設定でき、たとえば、100〜10−5Pa程度とすることができる。
【0076】
本実施形態においては、たとえば、第2蒸着材料供給源401が加熱可能な構成とすることができる。
これにより、蒸着材料溶液408Sを供給する工程から気化した第2蒸着材料を成膜対象基板200上に成膜する工程までの少なくともいずれかの工程において、第2蒸着材料供給源401により、直接蒸着材料溶液408Sまたは蒸着材料溶液から溶媒が除去されてなる第2蒸着材料408を加熱することができる。
【0077】
以上説明したように、本第1実施形態によれば、成膜チャンバ10は、たとえば、内部の上方側に成膜対象基板を保持する基板ホルダ20が配置され、内部の下方側に成膜対象基板200に、光学多層膜を成膜するために第1蒸着材料を供給する第1蒸着材料供給源30が配置されている。
そして、供給チャンバ40は、成膜チャンバ10の内部と連通可能に形成され、連通時に第2蒸着材料を含む第2蒸着材料供給源を成膜チャンバ10内の基板ホルダ20に対して第1蒸着材料供給源30より近い、たとえば基板ホルダ20の直下の所定位置PS1に配置可能に構成されている。
【0078】
その結果、本第1実施形態によれば、第2蒸着材料供給源401による第2蒸着材料の一部が成膜に供されることなく飛散してしまうことを低減することができ、これにより蒸着材料の節約が可能で製造コストを低減し、ひいては成膜チャンバ10内の汚染を抑止することが可能となる。
また、第2蒸着材料の成膜を行わない場合は、第2蒸着材料供給源401を供給チャンバ40の基準位置BPSに退避させることが可能なことから、第1蒸着材料供給源30による光学多層膜の成膜、試料の取り付け、取り外し等へ影響を及ぼすことがなく、ひいては作業効率の向上を図ることができる。
【0079】
また、本第1実施形態によれば、バッチ方式あるいはその他の方式で溶液の状態の蒸着材料を用いて真空蒸着する場合に、供給チャンバ40において第2蒸着材料供給源401に蒸着材料溶液供給部から蒸着材料溶液を供給した後、供給チャンバ40を真空引きすることが可能となり、結果として上述したと同様に、第2蒸着材料供給源401の供給口近傍で蒸着材料の一部が成膜に供されることなく飛散してしまうことを防止することができ、これにより蒸着材料の節約が可能で製造コストを低減できる。
【0080】
また、バッチ方式あるいはその他の方式で溶液の状態の蒸着材料を用いて真空蒸着する場合であっても、供給チャンバ40において蒸着材料溶液供給部から供給された蒸着材料溶液のうちの第2蒸着材料を第2蒸着材料供給源401に残して溶媒を蒸発させて分離した後、成膜チャンバにおいて蒸着材料を気化し、得られた蒸着材料の蒸気を成膜基板に噴出して堆積させ、蒸着材料の膜を形成することにより、形成される膜の膜質の劣化を防止することができる。
たとえば防緒膜を形成する場合、防汚幕の耐久性及び耐摩擦性などの高い膜質を実現できる。
これは、成膜チャンバ10から独立して設けられた供給チャンバ40を採用することで、少なくとも圧力および温度のいずれかの異なる2箇所以上の領域を設けることができ、これにより、蒸着材料溶液から溶媒を分離した後で、成膜に供することが可能となる。
【0081】
また、本装置では蒸発した有機蒸着材料の多くが基板および基板ホルダ20に堆積される。この特徴を利用して、たとえば図1に示すように、成膜チャンバ10に設けられるイオンビームソース330またはプラズマソース等により効果的に基板ホルダ20、基板冶具等に付着、堆積した蒸着材料を除去または失活させることができる。これにより、有機蒸着材料に対するクリーニングを定期的かつ効果的に実施できる。
【0082】
<第2実施形態>
図10は、本発明の第2実施形態に係る成膜装置を模式的に示す構成図である。
【0083】
本第2実施形態の成膜装置1Aが第1実施形態の成膜装置1と異なる点は、以下の通りである。
第1実施形態の成膜装置1は、供給チャンバ40の第2蒸着材料供給源401の成膜チャンバ10内の移動先は、所定位置PS1に固定であった。
これに対して、本第2実施形態の成膜装置1Aは、モード信号MODに応じて、第2蒸着材料供給源401の成膜チャンバ10内の移動先を、所定位置PS1に固定させる第1モードか、成膜チャンバ10内で所定の動きをさせる第2モード化を選択可能である。
【0084】
制御部50A、第1モード時には、供給チャンバ40に、移動配置対象の第2蒸着材料供給源401を成膜チャンバ10内で所定位置PS1に固定させて第2蒸着材料を成膜対象基板200に成膜させる。
【0085】
一方、制御部50Aは、第2モード時には、供給チャンバ40に、移動配置対象の第2蒸着材料供給源401を成膜チャンバ10内で所定位置PS1を含む領域で所定の動きをさせて第2蒸着材料を成膜対象基板200に成膜させる。
たとえば、第2モード時には、供給チャンバ40に、移動配置対象の第2蒸着材料供給源401を成膜チャンバ10内で所定位置PS1に配置させた後、所定の動きをさせて第2蒸着材料を成膜対象基板200に成膜させるように構成することも可能である。
【0086】
なお、第2モード時の所定の動きは、たとえば所定位置を基準に移動させる移動、搖動、振動、および移動途中に停止状態を含む寸動のうちの少なくともいずれかである。
【0087】
制御部50は、第2モード時には、これらの動きの一つ、あるいは複数の動きを組みあわせて、たとえば第2蒸着材料供給源401を最適な位置に位置決めした後に、第2蒸着材料を成膜対象基板200に成膜させるように構成することも可能である。
また、位置決め後にさらに所定の動きをさせながら、第2蒸着材料を成膜対象基板200に成膜させるように構成することも可能である。
また、所定位置PS1に配置後に、所定の動きをさせながら、第2蒸着材料を成膜対象基板200に成膜させるように構成することも可能である。
【0088】
本第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本第2実施形態によれば、移動配置対象の第2蒸着材料供給源401を成膜チャンバ10内で基板ホルダ20に近い領域で自由な位置決め可能となる。
その結果、基板ホルダの種類や成膜環境に即した位置決めを行うことが可能となり、成膜精度の向上を図ることが可能となる。
【0089】
<第3実施形態>
[成膜装置]
本発明の第3実施形態に係る成膜装置は、図1の模式構成図と同様である。
本第3実施形態に係る成膜装置は、蒸着材料溶液を供給する蒸着材料溶液供給部の代わりに、溶媒を含まない蒸着材料を供給する蒸着材料供給部が設けられている。
上記を除いて第1実施形態と同様である。
【0090】
[成膜方法]
本実施形態の成膜方法は、上述の本実施形態に係る成膜装置を用いて行う。
まず、図4と同様に、たとえば、成膜チャンバ10において、成膜対象基板200が保持された基板ホルダ20を回転駆動し、仕切り部であるゲートバルブ403を閉じた状態で、すなわち、ゲート部404により、供給チャンバ40側と、接続部402および成膜チャンバ10の内部側を仕切った状態で、成膜チャンバ10を真空引きする。
【0091】
次に、図5と同様に、たとえば、仕切り部であるゲートバルブ403を閉じた状態で供給チャンバ40において蒸着材料供給部の配置位置に対向する基準位置BPSに配置された第2蒸着材料供給源401に蒸着材料供給部から液体の蒸着材料を供給する。
【0092】
次に、図6と同様に、たとえば、真空ポンプ406の駆動による供給チャンバ40の真空引きを行う。
以降は、第1実施形態と同様にして行う。
【0093】
本第3実施形態によれば、溶媒を含まない液体の状態の蒸着材料を用いて真空蒸着する場合に、供給チャンバにおいて第2蒸着材料供給源に蒸着材料供給部から液体の蒸着材料を供給した後、供給チャンバの真空引きすることが可能となり、蒸着材料供給部による蒸着材料の一部が成膜に供されることなく飛散してしまうことを防止することができ、これにより蒸着材料の節約が可能で製造コストを低減し、さらに真空チャンバの汚染を抑制できる。
【0094】
<第4実施形態>
第1および第2実施形態に対して、蒸着材料溶液を供給する蒸着材料溶液供給部の代わりに、溶媒を含まない蒸着材料を供給する蒸着材料供給部が設けられている構成とすることができる。
この場合、成膜方法としては、たとえば、成膜チャンバにおいて、成膜対象基板が保持された基板ホルダを回転駆動し、仕切り部であるゲートバルブを閉じた状態で成膜チャンバを真空引きし、供給チャンバにおいて蒸着材料供給部の配置位置に対向する基準位置BPSに配置された第2蒸着材料供給源401に蒸着材料供給部から液体の蒸着材料を供給した後に、真空ポンプの駆動による供給チャンバの真空引きを行うことを除いて、第1及び第2実施形態と同様にして行う。
【0095】
本第4実施形態によれば、溶媒を含まない液体の状態の蒸着材料を用いて真空蒸着する場合に、供給チャンバにおいて第2蒸着材料供給源に蒸着材料供給部から液体の蒸着材料を供給した後、供給チャンバの真空引きすることが可能となり、第2蒸着材料供給部による蒸着材料の一部が成膜に供されることなく飛散してしまうことを防止することができ、これにより蒸着材料の節約が可能で製造コストを低減し、さらに真空チャンバの汚染を抑制できる。
【0096】
なお、基本的に、第2蒸着材料を含む第2蒸着材料供給源を、成膜チャンバ10内の所定位置PS1に移動する際には、仕切り部であるゲートバルブを閉じた状態で成膜チャンバおよび供給チャンバを真空引きさせ、仕切り部であるゲートバルブを開けて供給チャンバと成膜チャンバを連通させる。
【0097】
本発明は上記の説明に限定されない。
たとえば、第2蒸着材料としては、防汚膜のほか、防汚膜以外の用途の蒸着材料を用いることも可能である。
蒸着材料が溶媒に溶解された溶液のほか、蒸着材料が分散媒に分散されて保存される蒸着材料にも適用可能であり、供給チャンバにおいて分散媒を除去してから蒸着させることが可能である。
上記の実施形態では、いわゆるバッチ方式の成膜装置および成膜方法のみならず、バッチ方式以外の方式での成膜装置および成膜方法に適用可能である。
たとえば、純粋なバッチ方式以外に、成膜対象基板が保持された基板ホルダの搬出入および真空排気および大気解放可能なロードロック室が成膜チャンバに設けられているロードロック方式にも適用可能である。
また、複数個の成膜チャンバが互いに仕切り可能に接続されて設けられており、複数個の成膜チャンバ間に搬送されてくる基板ホルダに保持された成膜基板に断続的に成膜する枚葉方式(マルチチャンバー方式)に適用可能である。
さらに、移動する成膜対象基板に対して断続的に成膜を行うインライン方式に適用可能である。
バッチ方式以外の方式の場合、その成膜方式に合致した基板ホルダが用いられる。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
1,1A・・・成膜装置、10・・・成膜チャンバ、12・・・真空ポンプ、20・・・基板ホルダ、200・・・成膜対象基板、30・・・第1蒸着材料供給源、40・・・供給チャンバ、401・・・第2蒸着材料供給源、402・・・接続部、403・・・ゲートバルブ、404・・ゲート部、405・・・接続部(排気管)、406・・・真空ポンプ、407・・・蒸着材料供給部、408・・・第2蒸着材料、408S・・・蒸着材料溶液、409・・・シリンダ型駆動部、410・・・遮蔽板。
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