【解決手段】床部12は、壁用パネル10の上下方向の端部が差込可能な溝部12aを一単位として複数の前記溝部12aを隣接することで構成され、一室を区画している第一の周囲溝12bを上面に設けており、天井部13は、床部12の第一の周囲溝12bと同一の構成である第二の周囲溝13aを下面に設け、壁用パネル10と同一の形状の出入口用のドア11aを有する、ドア用パネル11の下端部11bが、床部12の第一の周囲溝12bの所定の溝部12aに差し込まれ、複数の壁用パネル10の下端部10aが、床部12の第一の周囲溝12bに差し込まれることで、複数の壁用パネル10及び前記ドア用パネル11で一室の周壁が構成され、ドア用パネル11の上端部11c及び壁用パネル10の上端部10bが、天井部13の第二の周囲溝13aに差し込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0014】
本発明に係る組立式室内用個室1は、
図1に示すように、複数の壁用パネル10と、ドア用パネル11と、床部12と、天井部13と、を備える。ここで、パネルとは、四角い枠の一区画を意味する。
【0015】
ドア用パネル11は、壁用パネル10と同一の形状であり、出入口用のドア11aを有する。床部12は、一つの前記壁用パネル10の上下方向(長手方向)の両端部が差込可能な溝部12aを一単位として複数の前記溝部12aを隣接配置することで構成され、一室を区画している第一の周囲溝12bを上面に設けている。天井部13は、前記床部12の第一の周囲溝12bと同一の構成である第二の周囲溝13aを下面に設けている。
【0016】
図1では、第一の周囲溝12bは、縦方向の寸法(大きさ)を一つの溝部12aで構成し、横方向の寸法を、直列に隣接配置した二つの溝部12aで構成した長方形状の溝部であり、丁度、トイレ程度の一室を区画している。第二の周囲溝13aも同様である。そのため、ドア用パネル11が1つである場合、第一の周囲溝12b及び第二の周囲溝13aに差し込まれる壁用パネル10の数は5つとなり、ドア用パネル11及び壁用パネル10の数を合計すると6つとなる。
【0017】
そして、ドア用パネル11の下端部11bが、前記床部12の第一の周囲溝12bの所定の溝部12aに差し込まれ、前記複数の壁用パネル10の下端部10aが、前記床部12の第一の周囲溝12b(前記ドア用パネル11の下端部11bが差し込まれた所定の溝部12a以外の他の溝部12a)に差し込まれることで、前記複数の壁用パネル10及び前記ドア用パネル11で一室の周壁が構成され、前記ドア用パネル11の上端部11c及び前記複数の壁用パネル10の上端部10bが、前記天井部13の第二の周囲溝13aに差し込まれる。
【0018】
これにより、壁用パネル10及びドア用パネル11は、床部12の第一の周囲溝12bと天井部13の第二の周囲溝13aにそれぞれ差し込む(嵌合する)ことで、
図2に示すように、工具を一切使用せずに、一人で簡単に個室を構成することが出来る。特に、壁用パネル10及びドア用パネル11を隣接して設置するだけで、組み立てられる一室の支柱、例えば、一室の四隅に設けられる支柱を設けていないことから、骨材やパイプを不要としているため、組立に要する時間を顕著に短縮することが出来るとともに、部品点数を減らし、量産化に優れる。又、壁用パネル10及びドア用パネル11を全て同一形状のパネルとすることで、コストダウンを図ることが出来る。
【0019】
又、ドア用パネル11が壁用パネル10と同一形状であるから、組立時において、ドア用パネル11を、前記第一の周囲溝12bを構成する複数の溝部12aのいずれかに差し込むことで、ユーザーはドアの位置を自由に決めることが可能であり、ドアの位置を所望の位置に決定した上で個室を組み立てることが出来る。そのため、屋内で個室を組み立てる際に、ドアの位置が固定されないことから、ユーザーは、個室のドアの位置を、個室の設置予定の屋内の広さや間取りに合わせて自由に決めることが可能となり、どのような室内であっても、ユーザーの使い勝手の良いドアの位置で個室を組立・設置することが可能となる。
【0020】
特に、ドア用パネル11の上下は、ひっくり返すことが出来るため、例えば、ドア用パネル11のドア11aのヒンジ部が左側に設けられている場合であっても、このドア用パネル11を180度回転させることで、ドア11aのヒンジ部の位置を左側から右側に変更することが出来る。このように、開閉するドア11aのヒンジ部の位置もユーザーの希望に応じて簡単に調整することが出来る。
【0021】
又、壁用パネル10及びドア用パネル11は、それぞれ左右方向の両端部(側面)を直線状としていることから、ユーザーが、組立時に、壁用パネル10及びドア用パネル11を隣接して並べる感覚で第一の周囲溝12bに差し込むことで、壁用パネル10及びドア用パネル11の左右方向の両端部が、隣接する他の壁用パネル10と当接し、個室の周壁が組み立てられる構成にしている。これにより、パネル組立時に、誰かがパネルを立てた状態にしなければ、次のパネルを立てることが出来ないという不具合を無くし、パネルの立位を簡素化し、一人で個室の組み立てを可能としている。
【0022】
又、本発明に係る組立式室内用個室1は、複数の壁用パネル10と、ドア用パネル11と、床部12と、天井部13とは、ほぼ同等の形状・大きさとなることから、各部を重ねて一つにまとめることが出来るため、搬送が容易である。
【0023】
ここで、本発明に係る組立式室内用個室1は、主に、部屋の内部を外部の音や光から遮断出来る密閉型の個室を想定しており、その用途は、例えば、家での自分だけの趣味の空間用の部屋、間接照明や音響設備を導入したリラックスルーム、家でのホームシアター用の部屋、カラオケ・音楽・楽器の練習用の部屋、音楽作成用の部屋、勉強用の部屋、ゲーム状況・チャット用の部屋、大部屋に対して兄弟・姉妹の子供用の部屋、洗濯物の乾燥用の部屋、物置用の部屋、瞑想用の部屋、書斎用の部屋、仏壇用の部屋、本棚用の部屋等の多目的空間として、ユーザーの希望に応じて利用することが出来る。特に、人間は、密閉された個室1に入ることで落ち着くという心理を有することから、住居部屋以外に落ち着くことが出来る密閉型の個室1を別途設けることで、ユーザーがリラックスする空間を室内に別途提供することが出来る。
【0024】
又、
図1では、ドア用パネル11が1つである場合を想定したが、ドア用パネル11の個数に限定は無く、例えば、
図2に示すように、個室1の側面に一つのドア用パネル11を設置し、個室1の正面にもう一つのドア用パネル11を設置しても良い。ドア用パネル11の個数を2以上とすることで、個室1内に風の通り道を形成することが出来るため、個室1内の空気の入れ替えが容易になる。その他に、2つのドア用パネル11を、相互に対向する位置の2つの溝部12aにそれぞれ配置して差し込んで個室を組み立てることで、個室1を通過出来る2つの出入口が出来る。そのため、例えば、室内の中央付近に個室1を設置すると、この個室が室内のパーテーションとして機能し、室内を分割して使用することが出来る。利用方法は、ユーザーの目的に応じて様々であるが、例えば、この個室1をパーテーションとして、個室設置予定の部屋を、兄弟・姉妹のための子供用の複数の個室に分割することが出来る。
【0025】
又、ドア用パネル11のドア11aの形状に特に限定は無く、例えば、
図2に示すように、個室1の側面に設けられたドア用パネル11のドア11aは、左右半分の部分を開閉可能とする形状とし、個室1の正面に設けられたドア用パネル11のドア11aは、全面の部分を開閉可能とする形状としている。特に、ドア用パネル11のドア11aを全面の部分を開閉可能とすることで、個室1に物を搬入したり搬出したりし易くなる。
【0026】
又、ドア用パネル11のドア11aの設置方式に特に限定は無く、例えば、
図2に示すように、金属製やシート状の蝶番等のヒンジ部を用いても良いし、コストダウンの点から、磁石や面ファスナー等の着脱部を用いても構わない。又、引き戸式のドア11aであっても、のれんのような立て掛け式のドア11aであっても構わない。又、例えば、ドア用パネル11に設けられたドア11a用の開口部の左右方向の一方の端部に、ヒンジ用の支柱を設け、ドア11aの左右方向の一方の端部に、前記支柱に装着可能なCの字状の回動部を設ける構成でも良い。これにより、部品点数を減少させ、組立や保守を簡素化する。又、この支柱の位置は、ドア用パネル11に設けられたドア11a用の開口部の上下方向の上端部に設けられ、ドア11aの上下方向の上端部に、前記回動部を設けても良い。
【0027】
又、天井部13の構成に特に限定は無く、例えば、
図2に示すように、天井部13の第二の周囲溝13aと重ならない位置(中央側、内側の位置)に開閉可能な開閉部13bを設けて、ユーザーの希望に応じて開閉部13bを開放して、個室1内の空気の出入りを容易にしたり、開閉部13bを閉塞して、個室1内の音が外部に漏れ出ないようにしたりしても構わない。
【0028】
ここで、本発明では、組み立てられる一室の支柱を設けていないため、一人で個室を組み立てる場合、組立が容易であるが、全ての壁用パネル10の下端部10a及びドア用パネル11の下端部11bを床部12の第一の周囲溝12bに差し込んだ後は、壁用パネル10又はドア用パネル11が微小に搖動する。言い換えると、全ての壁用パネル10の上端部10b及びドア用パネル11の上端部11cが直線状又はL字状に正確に揃いにくい。そのため、ユーザーが、全ての壁用パネル10の上端部10b及びドア用パネル11の上端部11cを、天井部13の第二の周囲溝13aに差し込もうとして、上に置いても、壁用パネル10の上端部10b及びドア用パネル11の上端部11cが円滑に天井部13の第二の周囲溝13aに入り込まない場合がある。そこで、例えば、
図2に示すように、天井部13を、2つに分割可能にし、分割後の一方の天井部13cと、分割後の他方の天井部13dとにそれぞれ装着部を設けて、相互に装着出来るように構成しても良い。装着部として、例えば、工具を用いない相互に装着可能な凹凸部を、一方の天井部13cと他方の天井部13dとの分割断面に設ける。このように構成することで、ユーザーが、一方の天井部13cと、他方の天井部13dとをそれぞれ別個に、壁用パネル10の上端部10b及びドア用パネル11の上端部11cの上に載せてから、壁用パネル10の上端部10b及びドア用パネル11の上端部11cを、一方の天井部13c及び他方の天井部13dの第二の周囲溝13aに差し込んでから、その後、一方の天井部13c及び他方の天井部13dを装着部で装着して、上側で天井部13を組み立てることが出来るため、上側での差込作業が楽になる。尚、床部12にも同様に採用することが出来る。
【0029】
又、天井部13の形状に特に限定は無く、例えば、表面を曲面状にして、デザイン性を向上させても良いし、裏面を曲面状にして、個室1内でプラネタリウム等の映像を投影させ易くしても良い。又、曲面状の裏面は、個室内のユーザーが見ると、内部の空間を広く感じるため、好ましい。
【0030】
又、壁用パネル10及びドア用パネル11のパネルに特に限定は無く、例えば、通常の板材や段ボールでも良いし、防音材、断熱材等の機能性を有する板材でも良いし、板材に防音シート、断熱シート等を張り合わせても良い。パネルは、例えば、アルミ板と発泡板とを貼り合せた板材でも良いし、軽量樹脂で構成された板材でも良い。又、個室1をインテリアとして考える場合には、パネルの表面に、飾り付けや塗装を行っても良い。又、パネルの厚みに特に限定は無く、例えば、厚み方向に膨出して、断面視で曲線を描くような板材を用いても良い。これにより、個室1のデザイン性が向上する。又、パネルに、ガラス製パネルや透明性樹脂製パネルを用いて、外部から内部を視認出来るように構成しても良い。又、パネルの一部に、ガラスや透明性樹脂を設けて窓として機能させても良い。
【0031】
又、壁用パネル10の下端部10a、ドア用パネル11の下端部11b、床部12の第一の周囲溝12b(溝部12a)の構成に特に限定は無く、例えば、
図3Aに示すように、壁用パネル10の下端部10aに、壁用パネル10の左右方向に沿って、壁用パネル10の厚み(正背方向のサイズ)よりも狭い厚みの凸部10cを設け、第一の周囲溝12bは、下端部10aの凸部10cに嵌る凹部を構成しても良い。これにより、第一の周囲溝10bに対する壁用パネル10の下端部10aの差込が容易になる。
【0032】
又、壁用パネル10の下端部10aを、そのまま第一の周囲溝12bに差し込む場合には、例えば、
図3Bに示すように、第一の周囲溝12bは、壁用パネル10の下端部10aが差し込まれると、壁用パネル10の厚み方向(正背方向)に一定のクリアランスcを生じさせる溝幅を有し、
図3Cに示すように、前記クリアランスcは、前記差し込まれた壁用パネル10の下端部10aが第一の周囲溝12bの溝壁に当接して、当該壁用パネル10が立位する程度のサイズとすると好ましい。これにより、ユーザーが一人で組み立てる際に、前記クリアランスcの存在により、壁用パネル10の下端部10aを第一の周囲溝12bに容易に差し込むことが出来るとともに、差し込んだ後、壁用パネル10が立位するため、ユーザーが次の壁用パネル10の下端部10aを第一の周囲溝12bに差し込み易くなり、一人での組み立てを容易にする。又、ユーザーが個室1の組立完了後に、クリアランスcに、別途用意したゴム製のシートを挟んで、壁用パネル10を確実に固定しても良い。
【0033】
又、例えば、
図3Dに示すように、壁用パネル10の下端部10aの厚み方向の角部が削られて面取りされても良いし、
図3Eに示すように、第一の周囲溝12bの溝幅方向(壁用パネル10の下端部10aの厚み方向)の角部が削られて面取りされても良い。これにより、いずれの場合であっても、ユーザーが、壁用パネル10の下端部10aを第一の周囲溝12bに容易に差し込むことが出来る。特に、ユーザーが、一人で壁用パネル10の差込を行う際に、パネルの左右方向の寸法により、差込に対して手間取る場合があるため、面取りすることで、面取りされた傾斜面を上手く利用して、壁用パネル10の下端部10aを第一の周囲溝12bの溝部12aに簡単に差し込むことが可能となり、差込に要する時間を短縮出来る。
【0034】
又、
図3Fに示すように、壁用パネル10の下端部10aは面取りされるとともに、第一の周囲溝12bは、前記クリアランスcを備えても良い。尚、
図3A〜
図3Fに示す構成は、ドア用パネル11の下端部11b、壁用パネル10の上端部10b、ドア用パネル11の上端部11c、天井部13の第二の周囲溝13aにも同様に採用することが出来る。ここで、天井部13の第二の周囲溝13aの溝幅は、床部12の第一の周囲溝12bの溝幅よりも大きいと、ユーザーが一人で天井部13の第二の周囲溝13aを壁用パネル10の上端部10b及びドア用パネル11の上端部11cに差し込む際に、差し込み易くなる。天井部13の第二の周囲溝13aに設けられるクリアランスが、床部12の第一の周囲溝12bに設けられるクリアランスよりも大きいと更に好ましい。一人での組立の場合、上側での差込作業は、ユーザーが見え難く、壁用パネル10の上端部10b及びドア用パネル11の上端部11cを、天井部13の第二の周囲溝13aに差し込み難いから、その差込を容易にするために、天井部13の第二の周囲溝13aのクリアランスを大きくすることで、上側での差込作業が楽になる。上側での差込作業の点から、第二の周囲溝13aにのみ、壁用パネル10の上端部10bが差し込まれると、壁用パネル10の厚み方向に一定のクリアランスcを生じさせる溝幅を有するよう構成しても良い。
【0035】
又、床部12の第一の周囲溝12b、天井部13の第二の周囲溝13aの構成に特に限定は無いが、例えば、
図4に示すように、一枚の壁用パネル10の下端部10aが差し込まれる溝部12aを一部材として別途作成し、床部12の上面に、複数の溝部12aを隣接配置して、一室を区画するよう構成することで、第一の周囲溝12bを設けても良い。このように構成することで、床部12を市販品で構成する等、床部12に予め溝部12aを設けられない構成であっても、別途作成した複数の溝部12aを床部12の上面に貼り付けたり固定したりすれば、第一の周囲溝12bを床部12に形成させることが出来る。尚、天井部13の第二の周囲溝13aにも同様に採用することが出来る。
【0036】
又、第一の周囲溝12bへ差し込んだ壁用パネル10の上端部10b又はドア用パネル11の上端部11cは相互に搖動するため、天井部13の第二の周囲溝12bに差し込み難い場合がある。そこで、第一の壁用パネル10の上端部10bの角部と、これに隣接する第二の壁用パネル10の上端部10bの角部とを相互に連結する連結部を設けても良い。特に、本発明では、支柱が無いため、一人で、複数の壁用パネル10で構成された周壁面を角筒状に固定することは難しい。そのため、前記連結部を用いることで、個室1の周壁面を角筒状に確実に固定して安定化を図り、天井部13の第二の周囲溝13aへの差込を容易にする。
【0037】
例えば、
図5Aに示すように、第一の壁用パネル10と第二の壁用パネル10とが直線状に隣接配置されている場合、前記連結部14は、断面形状が、第一の壁用パネル10の上端部10bに装着可能なコの字状であり、平面視の形状が、第一の壁用パネル10の上端部10bの角部10dと、これ(当該第一の壁用パネル10の上端部10bの角部10d)に隣接する第二の壁用パネル10の上端部10bの角部10eとに跨ることが可能な直線状に構成される。又、例えば、
図5Bに示すように、第一の壁用パネル10と第二の壁用パネル10とがL字状に隣接配置されている場合、断面形状が上述のコの字状であり、平面視の形状が、第一の壁用パネル10の上端部10bの角部10dと、これに隣接する第二の壁用パネル10の上端部10bの角部10eとに跨ることが可能なL字状に構成される。尚、連結部14の断面形状は、
図5Cに示すように、上端部10bにすっぽり入る程度のコの字状でも良いし、上端部10bを把持する程度の略Cの字状でも良い。又、連結部14は、上端部10bとともに、第二の周囲溝13aにも差し込まれることから、厚みを薄く構成される。
【0038】
又、連結部14は、上述のように壁用パネル10とは別途構成されても良いし、
図5Dに示すように、連結部14として、壁用パネル10の上端部10bの二つの角部10d、10eにそれぞれ磁石を内蔵するよう構成しても良い。これにより、連結部14の紛失を防止し、連結部14が邪魔にならずに、上端部10bを第二の周囲溝13aに差し込むことが出来る。更に、二つの壁用パネル10を相互に隣接して強固に固定するために、
図5Eに示すように、連結部14として、壁用パネル10の上端部10bの二つの角部10d、10eと、下端部10aの二つの角部10f、10gのそれぞれにそれぞれ磁石を内蔵するよう構成しても良い。又、二つの壁用パネル10を相互に隣接して配置した際に、少しの隙間が生じることがあり、この隙間が音や光の漏れの原因になることから、当該隙間を内外からテープで覆っても良いが、例えば、
図5Eに示すように、壁用パネル10の左右方向の二つの両端部10h、10iにそれぞれ弾性シート15を設けても良い。これにより、二つの壁用パネル10を相互に隣接して配置した際に、第一の壁用パネル10の左右方向の右端部10hの弾性シート15と、隣接する第二の壁用パネル10の左右方向の左端部10iの弾性シート15とを当接させて、前記隙間の発生を防止するよう構成しても良い。
【0039】
又、他の連結部14の例として、
図5Fに示すように、第一の壁用パネル10の上端部10bの一方の角部10dに、角部10dを軸にして回動可能な板状の連結部を設け、当該連結部は、一方の角部10dに隣接配置された第二の壁用パネル10の上端部10bの他方の角部10eに引っ掛かるか固定されるよう構成しても良い。尚、
図5A〜
図5Fに示す構成は、ドア用パネル11にも同様に採用することが出来る。
【0040】
又、壁用パネル10及びドア用パネル11の左右方向(短手方向)の断面形状に特に限定は無く、例えば、
図6に示すように、パネルの左右方向の両端部を内側に突出させて、左右方向の断面形状をコの字状に形成しても良い。この場合、床部12の第一の周囲溝12bの溝部12aの形状が、コの字状に対応し、例えば、複数の溝部12aは、コの字状の突出部が内側に来るように配置され、第一の周囲溝12bの外周形状が長方形状になるようにしている。尚、天井部13の第二の周囲溝13aの形状も同様である。これにより、壁用パネル10の下端部10a又はドア用パネル11の下端部11bを第一の周囲溝12bの溝部12aに装着した際に、コの字状にズレなく差し込まれるため、差込後の壁用パネル10又はドア用パネル11の揺れやブレが生じ難く、組立易くなるとともに、組立後の個室1も全体として揺れにくく強固に立位させることが可能となる。又、第一の周囲溝12bの外周形状が長方形状になることで、壁用パネル10及びドア用パネル11の外面は角筒の周囲面に構成され、個室1として外観が向上する。更に、コの字状の両端部が、丁度、個室の支柱の役割を果たすことから、壁用パネル10の上端部10b又はドア用パネル11の上端部10cの搖動を抑制し、天井部13の装着を容易にする。尚、壁用パネル10の上端部10b又はドア用パネル11の上端部11c、第二の周囲溝13aも同様である。又、パネルの左右方向の両端部を外側に突出させても構わない。
【0041】
又、壁用パネル10の上下端部の形状に特に限定は無く、例えば、
図7に示すように、壁用パネル10の下端部10aの中央に第一の切欠部10jを設け、壁用パネル10の下端部10aに対面する第一の周囲溝12bの溝部12aに、前記第一の切欠部10jに嵌る第一の突起部12cを設けても良い。これにより、壁用パネル10の下端部10aを床部12の第一の周囲溝12bに差し込む際に、第一の切欠部10jを第一の突起部12cに嵌めることで壁用パネル10が位置決めされ、壁用パネル10を第一の周囲溝12bに正確に装着することが出来る。又、壁用パネル10の上端部10bも同様に、中央に第二の切欠部10kを設け、壁用パネル10の上端部10bに対面する第二の周囲溝13aの溝部13cに、前記第二の切欠部10kに嵌る第二の突起部13eを設けても良い。尚、ドア用パネル11の上下端部も同様である。
【0042】
又、天井部13の内面に特に限定は無く、例えば、
図8に示すように、天井部13の内面に着脱可能な保冷部16を設けても良い。この保冷部16は、例えば、保冷剤16aと、保冷剤16aの上面に設けられ、天井部13の内面の雌螺子部13fに螺着可能な雄螺子部16bと、保冷剤16aを覆い、発生する結露を吸収する吸収シート16cとを備えている。これにより、個室1を夏場で使用する場合、予め冷凍庫に保管しておいた保冷部16を天井部13の内面に装着することで、個室1内の温度上昇を防止し、夏場でも快適に過ごすことが可能となる。又、保冷部16を設けることで、別途、個室1にエアコンを設ける必要が無くなり、室外機の設置等を考慮する必要も無くなる。
【0043】
ここで、吸収シート16cの素材に特に限定は無いが、例えば、炭素繊維にすると、水の吸収が促進されるとともに、環境の湿度に応じて吸収水を外部に発散し、調湿機能を付与することが出来る。又、炭素繊維は、吸収水の発散の際に、マイナスイオンを放出することから、個室1内で安らぎを得やすくすることが出来る。
【0044】
又、床部12の上面の構成に特に限定は無く、例えば、
図9に示すように、第一の周囲溝12bの内側に、長手方向に沿って平行に配置された2本のレール部12dを設け、2本のレール部12dに装着され、2本のレール部12dに沿って移動可能な移動床部12eを設けても良い。これにより、移動床部12eに置かれた物を個室1内で簡単に移動させることが可能となる。又、移動床部12eの上面に、マッサージチェア等の椅子12fや机12gを設置することで、ユーザーが個室1内でリラックスしたり、飲食したり、作業したりすることが可能となる。尚、レール部12dの構成を溝として、溝に挿入可能なコロを移動床部12eの底面に設けても良いし、レール部12dの構成をVレールとして、Vに挿入可能な山部を移動床部12eの底面に設けても良い。
図9では、移動床部12eを2つ設けたが、1つでも構わない。
【0045】
又、床部12は、例えば、
図9に示すように、下面に複数のキャスター17を設けて、全体として台車とすることが出来る。床部12を台車とすれば、一度設置した個室1を簡単に移動することが可能となり、室内の配置変更や清掃を容易にすることが可能となる。このキャスター17は、固定式でも回転式でも構わない。
【0046】
又、第一の周囲溝12b及び第二の周囲溝13aの寸法(個室1内の寸法)に特に限定は無いが、例えば、縦方向の寸法が90cmであり、横方向の寸法が180cmであると好ましい。そして、パネルの上下方向の寸法は、160cm〜200cmの範囲内であると好ましい。これにより、ユーザーが個室1に入った際に、心地よいパーソナルスペースを確保することが出来るため、リラックスルームとして好適となる。これらの寸法は、例えば、トイレの一室程度である。
【0047】
又、床部12の構成に特に限定は無いが、例えば、上述のようにキャスター17を設置しても良いし、
図10に示すように、床部12の下面の四隅に、支柱18の上端部をそれぞれ接続し、別途用意した台部19の上面の四隅に、当該支柱18の下端部をそれぞれ接続して、個室を上側に設置出来るように構成しても良い。支柱18は、例えば、金属製パイプで、耐荷重性を有する素材を用いる。上方で組み立てられた個室1には、階段20を用いて出入りする。これにより、上方の空間は、室内のロフトのように利用することが出来るとともに、下方の空間は、物置に利用することが出来るため、空間の有効利用を図ることが出来る。
【0048】
又、本発明に係る組立式室内用個室では、全ての複数の壁用パネル10とドア用パネル11とを第一の周囲溝12b及び第二の周囲溝13aに差し込むことで密閉空間を構成することが出来るが、一部の壁用パネル10を外して、開放空間を構成し、他の用途に活用しても良い。
【0049】
<実施例、実験結果等>
以下、実施例等によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0050】
先ず、
図1、
図2に基づいて、
図11に示すように、組立式室内用個室の試作品を作成した。人が出入りする小型のドアを有する第一のドア用パネルは1枚とし、物を搬入・搬出する大型のドアを有する第二のドア用パネルは1枚とし、壁用パネルは4枚とし、第一の周囲溝及び第二の周囲溝は、長方形状で、丁度、トイレ程度の一室を区画するように構成した。
【0051】
図11Aに示すように、床部、第一のドア用パネル、第二のドア用パネル、複数の壁用パネル、天井部は、相互に重ねて一つにまとめることが出来る。これにより、搬送が容易となる。
【0052】
ユーザーが、一つにまとめられた部材を受け取ると、室内において床部を所望する場所に配置して、第一のドア用パネル、第二のドア用パネル、複数の壁用パネルを、床部の第一の周囲溝に差し込んでいく。例えば、
図11Bに示すように、先ず、第二のドア用パネル21bを差し込み、次に、壁用パネル20を差し込む。次に、ユーザーは、第一のドア用パネル21aを差し込む。差し込む順番に特に限定は無い。
【0053】
ここで、
図11Cに示すように、例えば、ユーザーは、第一のドア用パネル21aを、第二のドア用パネル21bと対向する位置に差し込んだり、
図11Dに示すように、第一のドア用パネル21aを、壁用パネル20と対向する位置に差し込んだりして、自由にドアの位置を決定することが出来る。
【0054】
又、第一のドア用パネル21aの上下は、ひっくり返すことが出来るため、
図12Aに示すように、例えば、ユーザーは、ドアのヒンジ部が左側に設けてある第一のドア用パネル21aをそのまま差し込んで配置しても良いし、第一のドア用パネル21aを180度回転させて、
図12Bに示すように、ドアのヒンジ部を右側に変更した状態で第一のドア用パネル21aを差し込んで配置しても良い。
【0055】
そして、ユーザーが、全ての壁用パネル20を差し込み、前記壁用パネル20及び前記ドア用パネル11で一室の周壁を構成し、天井部の第二の周囲溝に、第一のドア用パネル、第二のドア用パネル、複数の壁用パネルの全てを差し込めば、
図12Cに示すように、個室1が完成する。ここまでで工具を一切使用していない。更に、
図12Dに示すように、第一のドア用パネルの位置を変更した上で、個室1を完成させることが出来る。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、本発明に係る新規な組立式室内用個室を完成させた。即ち、本発明は、複数の壁用パネルと、ドア用パネルと、床部と、天井部と、を備える。ドア用パネルは、前記壁用パネルと同一の形状であり、出入口用のドアを有する。床部は、前記壁用パネルの上下方向の両端部が差込可能な溝部を一単位として複数の前記溝部を隣接配置することで構成され、一室を区画している第一の周囲溝を上面に設けている。天井部は、前記床部の第一の周囲溝と同一の構成である第二の周囲溝を下面に設けている。前記ドア用パネルの下端部が、前記床部の第一の周囲溝の所定の溝部に差し込まれ、前記複数の壁用パネルの下端部が、前記床部の第一の周囲溝に差し込まれることで、前記複数の壁用パネル及び前記ドア用パネルで一室の周壁が構成され、前記ドア用パネルの上端部及び前記壁用パネルの上端部が、前記天井部の第二の周囲溝に差し込まれる。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、本発明に係る新規な組立式室内用個室を完成させた。即ち、本発明は、複数の壁用パネルと、ドア用パネルと、床部と、天井部と、を備える。ドア用パネルは、前記壁用パネルと同一の形状であり、出入口用のドアを有する。床部は、前記壁用パネルの上下方向の両端部が差込可能な溝部を一単位として複数の前記溝部を隣接配置することで構成され、一室を区画している第一の周囲溝を上面に設けている。天井部は、前記床部の第一の周囲溝と同一の構成である第二の周囲溝を下面に設けている。前記ドア用パネルの下端部が、前記床部の第一の周囲溝の所定の溝部に差し込まれ、前記複数の壁用パネルの下端部が、前記床部の第一の周囲溝に差し込まれることで、前記複数の壁用パネル及び前記ドア用パネルで一室の周壁が構成され、前記ドア用パネルの上端部及び前記壁用パネルの上端部が、前記天井部の第二の周囲溝に差し込まれる。前記壁用パネル及び前記ドア用パネルの左右方向の二つの両端部にそれぞれ弾性シートを設け、前記複数の壁用パネル及び前記ドア用パネルのうち、二つのパネルを相互に隣接して配置した際に、第一のパネルの左右方向の右端部の弾性シートと、当該第一のパネルに隣接する第二のパネルの左右方向の左端部の弾性シートとを当接させて、前記第一のパネルの右端部と前記第二のパネルの左端部との隙間の発生を防止する。