【解決手段】位置検出装置11のn個のホール素子24は、ピストン14の磁石16による磁気に応じたアナログ検出信号を出力する。n個のAD変換器30は、アナログ検出信号をデジタル検出信号にAD変換する。ラダー回路20は、n個の磁気検出部18の各々から出力されたデジタル検出信号を、nビットのデジタル信号として受け、1つのアナログ出力信号にDA変換する。制御IC22は、入力された1つのアナログ出力信号に基づいてピストン14の概略位置を検出する。
移動体に装着された磁石による磁気を検出し、該磁気に応じたアナログ検出信号を出力する磁気センサ素子、及び、前記アナログ検出信号をAD変換し、AD変換後のデジタル検出信号を出力する第1のAD変換器を有し、前記移動体の移動方向に沿って一定の間隔で設けられたn個の磁気検出部と、
前記n個の磁気検出部の各々から出力されたデジタル検出信号を、nビットのデジタル信号として受け、前記nビットのデジタル信号をDA変換し、DA変換されたアナログ出力信号を出力するDA変換部と、
前記DA変換部から入力された前記アナログ出力信号に基づいて前記移動体の位置を検出する位置検出部と、
を有することを特徴とする位置検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、多数の磁気センサの出力を順番に読み取るので、磁気センサの個数分だけ処理時間がかかり、応答性が悪い。
【0006】
そこで、磁気センサ毎に配線し、各磁気センサの出力を一括して読み取ることも考えられる。この場合、磁気センサの数だけ配線が必要となるので、各配線の引き回しスペースが必要となり、装置の大型化やコストがかかるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題を解消するためになされたものであり、磁石が装着された移動体の位置を速やかに検出して応答性を向上させると共に、装置の小型化や低コスト化も実現できる位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る位置検出装置は、n個の磁気検出部、DA変換部及び位置検出部を有する。
【0009】
前記n個の磁気検出部は、移動体に装着された磁石による磁気を検出し、該磁気に応じたアナログ検出信号を出力する磁気センサ素子、及び、前記アナログ検出信号をAD変換し、AD変換後のデジタル検出信号を出力する第1のAD変換器を有し、前記移動体の移動方向に沿って一定の間隔で設けられる。
【0010】
前記DA変換部は、前記n個の磁気検出部の各々から出力されたデジタル検出信号を、nビットのデジタル信号として受け、前記nビットのデジタル信号をDA変換し、DA変換されたアナログ出力信号を出力する。
【0011】
前記位置検出部は、前記DA変換部から入力された前記アナログ出力信号に基づいて前記移動体の位置を検出する。
【0012】
従って、本発明において、前記DA変換部は、前記n個の磁気検出部の各々から出力されたデジタル検出信号を、前記nビットのデジタル信号として受けた後に前記アナログ出力信号にDA変換し、前記位置検出部に出力する。この結果、前記位置検出部は、前記n個のアナログ検出信号又はデジタル検出信号を順次読み出す必要がないので、前記アナログ出力信号に基づき、前記移動体の位置を迅速に検出することができる。
【0013】
また、前記n個の磁気センサ素子は、前記移動体が近接したときに、前記磁石による前記磁気に反応(前記磁気を検出)してハイレベルのアナログ検出信号を出力し、一方で、前記移動体が離間して前記磁気を検出できないときに、ローレベルのアナログ検出信号を出力する。従って、前記位置検出部は、(前記n個のアナログ検出信号に基づく)前記nビットのデジタル信号に応じた前記アナログ出力信号の値と、前記n個の磁気センサ素子の配置位置との関係から、前記磁石(を装着した前記移動体)の位置を容易に検出することができる。
【0014】
さらに、前記位置検出部は、前記DA変換部から前記アナログ出力信号のみ読み出すので、前記位置検出部と前記DA変換部との間の配線を減らすことができる。これにより、前記位置検出装置では、必要最小限の配線で前記移動体の位置を検出することが可能となる。この結果、前記位置検出装置の大型化を回避して、コストの削減を図ることができる。
【0015】
従って、本発明によれば、前記磁石が装着された前記移動体の位置を速やかに検出して応答性を向上させると共に、前記位置検出装置の小型化や低コスト化も実現することができる。
【0016】
ここで、前記位置検出部は、入力された前記アナログ出力信号をAD変換する第2のAD変換器を備え、AD変換されたnビットのデジタル出力信号に基づいて前記磁石の位置を特定することにより、当該磁石を装着した前記移動体の位置を検出する。
【0017】
前記nビットのデジタル出力信号は、前記n個の磁気検出部の各々から前記DA変換部に出力される前記デジタル検出信号に対応するデジタル信号である。従って、前記位置検出部は、前記nビットのデジタル出力信号の値と前記n個の磁気センサ素子の配置位置との関係から、前記磁石の位置を速やかに特定し、当該磁石を装着した前記移動体の位置を容易に検出することができる。
【0018】
ところで、前記磁石による前記磁気は、一定の広がりを持っている。そのため、前記位置検出部が前記nビットのデジタル出力信号に基づき検出した前記移動体の位置は、一定の広がりに応じた概略位置となる可能性がある。
【0019】
そこで、本発明では、前記移動体の詳細な位置を特定するため、下記の構成を具備することが好ましい。すなわち、前記位置検出装置は、前記位置検出部と前記n個の磁気検出部とを接続する信号線をさらに有する。前記位置検出部は、検出した前記移動体の位置に対して所定の範囲内にある複数の磁気検出部を特定し、特定した複数の磁気検出部の各々から、前記信号線を介して、アナログ検出信号の値を読み出し、読み出した複数の前記アナログ検出信号の値に基づいて前記移動体の詳細な位置を特定する。
【0020】
これにより、前記位置検出部は、前記nビットのデジタル出力信号を用いて特定された前記移動体の概略位置に基づき、前記所定の範囲内にある複数の磁気検出部からアナログ検出信号の値を読み出すことになる。すなわち、前記位置検出部は、全ての磁気検出部からアナログ検出信号の値を読み出す必要がないので、前記移動体の詳細な位置の特定に係る処理時間を短縮化することができる。従って、本発明では、前記移動体の詳細な位置の特定処理が高速化され、応答性を一層高めることができる。
【0021】
また、前記位置検出部は、特定した複数の前記磁気検出部から読み出した複数の前記アナログ検出信号の値を、特定した複数の前記磁気検出部の配置位置に応じてプロットすることで、前記移動方向に対する複数の前記アナログ検出信号の値の変化を示す波形を求め、求めた前記波形が0と交差するゼロクロスポイントを検索することにより、検索した前記ゼロクロスポイントの位置を前記移動体の詳細な位置として特定することが好ましい。
【0022】
これにより、前記移動体の詳細な位置を高速且つ確実に特定することができる。
【0023】
さらに、前記位置検出部は、特定した前記移動体の詳細な位置に基づいて、前記移動体の移動速度及び/又は移動距離を算出してもよい。
【0024】
なお、本発明において、前記DA変換部は、R−2R型のラダー回路であることが好ましい。
【0025】
また、本発明において、前記n個の磁気センサ素子は、ホール素子であり、前記移動体は、アクチュエータのシリンダチューブ内を前記移動方向に沿って移動するピストンであり、前記磁石は、前記移動方向に沿った磁極の向きで前記ピストンに装着され、前記n個の磁気検出部は、前記シリンダチューブの外側で前記移動方向に沿って一列に配置されている。
【0026】
これにより、前記位置検出装置を前記アクチュエータに適用し、前記シリンダチューブの外側に前記n個の磁気検出部を一列に配置するだけで、前記磁石を装着した前記ピストンの詳細な位置を高速且つ確実に特定することができる。
【0027】
また、前記n個の磁気検出部が前記シリンダチューブの外側で一列に配置されることにより、幅方向(前記シリンダチューブの外周方向)への広がりを抑えることができる。この結果、前記シリンダチューブの長手方向に沿った長方形状のプリント基板に前記n個の磁気検出部を一列に搭載し、該プリント基板を前記シリンダチューブに配置する際(例えば、前記シリンダチューブの長手方向に設けられた溝に前記プリント基板を埋め込み配置する際)、前記プリント基板の配線本数を減らしつつ、前記幅方向の省スペース化を実現することができる。従って、本発明では、前記位置検出装置を前記アクチュエータに適用する場合、従来技術と比較して、フットプリント(設置面積)やコストの面で有利である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、磁石が装着された移動体の位置を速やかに検出して応答性を向上させると共に、位置検出装置の小型化や低コスト化も実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る位置検出装置の好適な実施形態について、図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0031】
[アクチュエータ及び位置検出装置の概略構成]
図1は、本実施形態に係る位置検出装置11が適用されるアクチュエータ10の断面図である。
【0032】
アクチュエータ10は、シリンダチューブ12と、シリンダチューブ12内の空間13を2つの空間13a、13bに区切ると共に、シリンダチューブ12内を矢印A方向(移動方向)に移動するピストン14とを有する。ピストン14には、ピストンロッド14aが接続されている。なお、
図1において、矢印A方向のうち右側方向を矢印a1方向とし、左側方向を矢印a2方向とする。
【0033】
シリンダチューブ12の矢印A方向の両端部には、空間13a、13bへ空気を流入させると共に、空間13a、13b内の空気を排出させるためのエアポート12a、12bが設けられている。この場合、エアポート12bから空気が流入され、エアポート12aから空気が排出されると、ピストン14は、空間13a、13bの圧力差によって矢印a1方向に移動する。逆に、エアポート12aから空気が流入され、エアポート12bから空気が排出されると、ピストン14は、空間13a、13bの圧力差によって矢印a2方向に移動する。
【0034】
ピストン14には、磁石16が設けられている。本実施形態に係る位置検出装置11は、磁石16による磁気を検出し、検出した磁気に基づいて磁石16が装着されたピストン14の位置を検出する磁気式測長センサである。具体的に、アクチュエータ10のシリンダチューブ12の外側には、ピストン14の移動方向(矢印A方向)に沿って、位置検出装置11を構成する磁気検出部18が一定の間隔をあけて一列に複数(n個)設けられている。位置検出装置11では、複数の磁気検出部18の検出信号に基づいて、ピストン14の位置を特定することができる。
【0035】
なお、磁石16の矢印A方向の一方側はN極、他方側がS極となっている。ここでは、磁石16の矢印a2方向側をN極とし、矢印a1方向側をS極とする。従って、磁石16の磁極の向きは、ピストン14の移動方向(矢印A方向)と同じ方向である。また、本実施形態において、シリンダチューブ12には、長手方向(矢印A方向)に沿って図示しない溝が設けられ、当該溝に埋め込み配置される長方形状のプリント基板にn個の磁気検出部18を一列に配置することが好ましい。
【0036】
[位置検出装置の具体的構成及び作用]
次に、本実施形態に係る位置検出装置11の具体的構成について、
図2の概略構成図を参照しながら説明する。
【0037】
磁気式測長センサとしての位置検出装置11は、n個の磁気検出部18、ラダー回路20(DA変換部)及び制御IC22(位置検出部)を備える。磁気検出部18は、1個のホール素子24(磁気センサ素子)及び1個のマイコン26を有する。つまり、磁気検出部18は、1個のホール素子24と1個のマイコン26とが組み合わされてモジュール化されたものである。n個の磁気検出部18のホール素子24には、駆動電位VCC及び基準電位GNDが印加されている。
【0038】
ホール素子24は、磁石16による磁気を検出し、検出した磁気に応じたアナログの検出信号(以下、アナログ検出信号という。)をマイコン26に出力する。この場合、ホール素子24は、ピストン14の移動方向(磁石16の磁極の向き)に直交する磁気の垂直成分に応じたアナログ検出信号(垂直成分のアナログ信号)を出力する。
【0039】
図3は、1個のホール素子24が検出したアナログ検出信号(垂直成分のアナログ信号)の波形を示す図である。ここで、
図3の横軸は、磁石16の位置を示しており、縦軸は、アナログ検出信号の値(電圧値)を示している。
【0040】
ホール素子24に磁石16のN極が近づくと、アナログ検出信号の値は正となり、N極が最も近づくとアナログ検出信号の値は最も高くなる。逆に、ホール素子24に磁石16のS極が近づくと、アナログ検出信号の値は負となり、S極が最も近づくとアナログ検出信号の値は最も低くなる。磁石16のN極とS極との境目がホール素子24に最も近づいた状態では、アナログ検出信号は0[V]となる。
【0041】
例えば、
図2の配置において、左から2番目(矢印a2方向側から数えて2番目)の磁気検出部18に着目した場合、磁石16が矢印a1方向から矢印a2方向(N極側の方向)に向かって一定の速度で当該磁気検出部18のホール素子24に近づくと、アナログ検出信号の値は、0[V]から徐々に高くなって正のピークを迎えた後、徐々に低くなり、その後0[V]になる。そして、磁石16が矢印a2方向に向かってさらに移動すると、アナログ検出信号の値は、さらに低くなって負のピークを迎えた後、徐々に高くなり、その後0[V]になる。
【0042】
一方、
図2の配置において、例えば、最も右側(矢印a1方向側)の磁気検出部18に着目した場合、磁石16が矢印a2方向から矢印a1方向(S極側の方向)に向かって一定の速度で当該磁気検出部18のホール素子24に近づくと、アナログ検出信号の値は、0[V]から徐々に低くなり負のピークを迎えた後、徐々に高くなり、その後0[V]になる。そして、磁石16が矢印a1方向に向かってさらに移動すると、アナログ検出信号の値は、さらに高くなり正のピークを迎えた後、徐々に低くなり、その後0[V]になる。
【0043】
ここで、
図3の波形において、アナログ検出信号が0[V]と交差(クロス)するポイントをゼロクロスポイントPと呼ぶ。
【0044】
図2に戻り、マイコン26は、AD変換器30(第1のAD変換器)、I/Oポート32及び通信部34を少なくとも有する。AD変換器30は、一定の周期でホール素子24が検出したアナログ検出信号を、1ビットのデジタル信号(以下、「デジタル検出信号」と呼ぶ。)に変換して、I/Oポート32に出力する。
【0045】
すなわち、AD変換器30は、ホール素子24が検出したアナログ検出信号の絶対値が閾値より高い場合は、「1」のデジタル検出信号をI/Oポート32に出力し、一方で、アナログ検出信号の絶対値が閾値より低い場合は、「0」のデジタル検出信号をI/Oポート32に出力する。なお、
図3では、AD変換器30によってデジタル検出信号が「1」となるアナログ検出信号の領域を斜線で示している。
【0046】
I/Oポート32は、AD変換器30から送られてきた1ビットのデジタル検出信号をラダー回路20に出力する。従って、ラダー回路20には、n個の磁気検出部18の各々から1ビットのデジタル検出信号が入力される。そのため、ラダー回路20は、n個の磁気検出部18の各々から出力されたデジタル検出信号を、磁気検出部18の数n分のビット数を有するデジタル信号(nビットのデジタル信号)として受ける。例えば、磁気検出部18の数を8個とすると、8個の磁気検出部18の各々から1ビットのデジタル検出信号がラダー回路20に出力されるので、ラダー回路20には、8ビットのデジタル信号が入力されることになる。
【0047】
磁気検出部18の数nは、測長距離等によって任意に変更可能である。
図2に示すn個の磁気検出部18から出力される1ビットのデジタル検出信号は、矢印A方向に沿って一番右からから順に、nビットのデジタル信号の1桁目、2桁目、・・・、n桁目に対応する。このnビットのデジタル信号は、ピストン14(磁石16)の位置(概略位置)を示すものである。
図4は、磁気検出部18の数を8個とした場合に、ラダー回路20に入力される8ビットのデジタル信号とピストン14(磁石16)の位置(概略位置)との関係を示すグラフである。なお、
図4においては、ラダー回路20に入力される8ビットのデジタル信号の値(出力値)を10進法で示している。
【0048】
ところで、磁石16による磁気は、一定の広がりを持っている。そのため、「1」のデジタル検出信号を出力する磁気検出部18は、複数存在する。また、ゼロクロスポイントP付近に位置する磁気検出部18が出力するデジタル検出信号は、「0」となる(
図3参照)。従って、ピストン14(磁石16)の位置から所定の範囲内にある複数の磁気検出部18(例えば、6個の磁気検出部18とする)の各々から出力されるデジタル検出信号のデータ列は、a1方向に沿って、例えば、「110011」となる。そのため、
図4に示すようなグラフを用いれば、nビットのデジタル信号から磁石16の位置を特定することは可能であるが、特定される磁石16の位置は、概略位置になることに留意する。
【0049】
図2に戻り、ラダー回路20は、抵抗R、2R(抵抗2Rの抵抗値は、抵抗Rの2倍)で構成されるR−2R型のラダー回路である。すなわち、ラダー回路20の出力端子は、制御IC22に接続され、制御IC22とグランドとの間には、複数の抵抗Rと1個の抵抗2Rとが直列接続されている。また、ラダー回路20の複数の入力端子は、各マイコン26に接続され、抵抗2Rを介して、直列接続された各抵抗R、2R間にそれぞれ接続されている。
【0050】
この場合、ラダー回路20は、n個のマイコン26から入力されたnビットのデジタル信号を1つのアナログ信号(アナログ出力信号)に変換して制御IC22に出力する。なお、ラダー回路20には、一定の周期でn個のマイコン26から新しいnビットのデジタル信号が送られてくる。そのため、ピストン14が移動している場合には、ラダー回路20が制御IC22に出力する1つのアナログ信号も一定の周期で変化する。
【0051】
制御IC22は、AD変換器40(第2のAD変換器)、制御部42及び通信部44を少なくとも備える。ラダー回路20からの1つのアナログ出力信号は、制御IC22のAD変換器40に入力される。AD変換器40は、入力されたアナログ出力信号を一定の周期でnビットのデジタル信号(デジタル出力信号)に変換して、制御部42に出力する。
【0052】
制御部42は、入力されたnビットのデジタル出力信号に基づいて、ピストン14(磁石16)の概略位置を決定する。制御部42は、
図4に示すようなテーブルを有し、入力されたnビットのデジタル信号に基づいて、ピストン14(磁石16)の概略位置を決定する。これにより、即座にピストン14(磁石16)の概略位置を決定することができる。
【0053】
すなわち、一定の周期でn個の磁気検出部18から送られてくるnビットのデジタル信号をラダー回路20でDA変換し、DA変換された1つのアナログ出力信号が制御IC22に入力される。そのため、制御IC22は、全ての磁気検出部18からの信号を、1つのアナログ出力信号の形で一括して取得することができるので、全ての磁気検出部18のアナログ検出信号を順次読み出す必要がなく、迅速にピストン14(磁石16)の位置を検出することができる。
【0054】
なお、制御部42は、一定の周期で求めたピストン14(磁石16)の概略位置に基づいて、ピストン14(磁石16)の移動速度及び/又は移動距離を算出してもよい。
【0055】
通信部44とn個のマイコン26とは、信号線50を介して接続されている。ピストン14(磁石16)の概略位置を決定した場合、制御部42は、決定したピストン14(磁石16)の概略位置に基づき、信号線50を介して、アナログ検出信号を読み出すべき磁気検出部18を複数特定する。
【0056】
すなわち、前述のように、磁石16による磁気が一定の広がりを持つことにより、nビットのデジタル出力信号から特定される磁石16の位置は、概略位置となる。そこで、磁石16の詳細な位置(詳細位置)を特定すべく、制御部42は、ゼロクロスポイントPを検索するため、決定したピストン14(磁石16)の概略位置から所定の範囲内、つまり、決定したピストン14の概略位置から矢印a1方向及び矢印a2方向に向かってそれぞれ所定個目までの磁気検出部18を、アナログ検出信号を読み出すべき磁気検出部18として特定する。なお、このアナログ検出信号を読み出すべきものと特定される磁気検出部18の数は、シリンダチューブ12の外側に配置される全ての磁気検出部18の数nよりはるかに少ない。
【0057】
この場合、制御部42(制御IC22)は、信号線50を介して、特定した複数の磁気検出部18のマイコン26に制御信号を順次送る。制御信号を受け取った磁気検出部18のマイコン26は、ホール素子24が検出したアナログ検出信号を、信号線50を介して制御IC22(制御部42)に送る。これにより、制御部42(制御IC22)は、特定した複数の磁気検出部18のマイコン26からのアナログ検出信号を、信号線50を介して順次取得することができる。
【0058】
なお、上述の信号線50を介したアナログ検出信号の送信は、マイコン26と制御IC22とのシリアル通信により、通信部34及び通信部44を介して行われる。この場合、当該シリアル通信は、IIC(I2C)バス(IIC及びI2Cは登録商標)、SPIバス等によって行われる。
【0059】
制御部42は、複数の磁気検出部18から受け取ったアナログ検出信号に基づいて、ピストン14(磁石16)の正確な位置を特定する。具体的には、制御部42は、複数の磁気検出部18から受け取ったアナログ検出信号の値(電圧値)を、磁気検出部18の配置位置に応じてプロットすることで、
図5に示すような波形を求め、ゼロクロスポイントPを特定する。そして、制御部42は、特定したゼロクロスポイントPの位置をピストン14(磁石16)の詳細位置として特定する。
【0060】
このように、全て(n個)の磁気検出部18からのアナログ検出信号を順次取得する必要がないので、ピストン14(磁石16)の詳細位置を迅速且つ正確に特定することができる。なお、制御部42は、特定したピストン14(磁石16)の詳細位置に基づいて、ピストン14(磁石16)の移動速度及び/又は移動距離を算出してもよい。
【0061】
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る位置検出装置11では、DA変換部としてのラダー回路20は、n個の磁気検出部18の各々から出力されたデジタル検出信号を、nビットのデジタル信号として受けた後に1つのアナログ出力信号にDA変換し、制御IC22に出力する。この結果、制御IC22は、n個のアナログ検出信号又はデジタル検出信号を順次読み出す必要がないので、1つのアナログ出力信号に基づき、磁石16が装着されたピストン14の位置を迅速に検出することができる。
【0062】
また、n個のホール素子24は、ピストン14が近接したときに、磁石16による磁気に反応(磁気を検出)してハイレベルのアナログ検出信号を出力し、一方で、ピストン14が離間して磁気を検出できないときに、ローレベルのアナログ検出信号を出力する。従って、制御IC22は、(n個のアナログ検出信号に基づく)nビットのデジタル信号に応じた1つのアナログ出力信号の値と、n個のホール素子24の配置位置との関係から、磁石16(を装着したピストン14)の概略位置を容易に検出することができる。
【0063】
さらに、制御IC22は、ラダー回路20から1つのアナログ出力信号のみ読み出すので、制御IC22とラダー回路20との間の配線を減らすことができる。これにより、制御IC22では、必要最小限の配線でピストン14の概略位置を検出することが可能となる。この結果、位置検出装置11の大型化を回避して、コストの削減を図ることができる。
【0064】
従って、本実施形態による位置検出装置11によれば、磁石16が装着されたピストン14の概略位置を速やかに検出して応答性を向上させると共に、位置検出装置11の小型化や低コスト化も実現することができる。
【0065】
また、制御IC22のAD変換器40は、入力された1つのアナログ出力信号をnビットのデジタル出力信号にAD変換し、制御部42は、nビットのデジタル出力信号に基づいて磁石16の概略位置を特定することにより、磁石16を装着したピストン14の位置を検出する。すなわち、nビットのデジタル出力信号は、n個の磁気検出部18の各々からラダー回路20に出力されるデジタル検出信号に対応するデジタル信号である。そのため、制御部42は、nビットのデジタル出力信号の値とn個のホール素子24の配置位置との関係(
図4参照)から、ピストン14の概略位置を容易に検出することができる。
【0066】
なお、上記の説明では、磁石16による磁気を検出する磁気センサ素子がホール素子24である場合について説明した。本実施形態では、ホール素子24に限定されることはなく、磁気を検出できるのであれば、他の磁気センサ素子を用いてもよい。例えば、ホール素子24に代えて、コイル又はMRセンサを採用してもよい。
【0067】
また、制御部42は、nビットのデジタル出力信号を用いて特定されたピストン14の概略位置に基づき、所定の範囲内にある複数のマイコン26から、信号線50を介して、アナログ検出信号の値を読み出す。すなわち、制御部42は、全てのマイコン26からアナログ検出信号の値を読み出す必要がないので、ピストン14の詳細位置の特定に係る処理時間を短縮化することができる。従って、本実施形態に係る位置検出装置11では、ピストン14の詳細位置の特定処理が高速化され、応答性を一層高めることができる。
【0068】
また、制御部42は、特定した複数のマイコン26から読み出した複数のアナログ検出信号の値を、特定した複数の磁気検出部18の配置位置に応じてプロットすることで、矢印A方向に対する複数のアナログ検出信号の値の変化を示す
図5の波形を求め、求めた波形が0と交差するゼロクロスポイントPを検索することにより、検索したゼロクロスポイントPの位置をピストン14の詳細位置として特定する。これにより、ピストン14の詳細位置を高速且つ確実に特定することができる。また、ピストン14の詳細位置が特定されることで、特定したピストン14の詳細位置に基づいて、ピストン14の移動速度及び/又は移動距離を算出することもできる。
【0069】
そして、本実施形態に係る位置検出装置11において、磁石16は、ピストン14の移動方向に沿った磁極の向きでピストン14に装着され、n個の磁気検出部18は、シリンダチューブ12の外側で当該移動方向に沿って一列に配置されている。これにより、位置検出装置11をアクチュエータ10に適用し、シリンダチューブ12の外側にn個の磁気検出部18を一列に配置するだけで、磁石16を装着したピストン14の詳細位置を高速且つ確実に特定することができる。
【0070】
また、n個の磁気検出部18がシリンダチューブ12の外側で一列に配置されることにより、幅方向(シリンダチューブ12の外周方向)への広がりを抑えることができる。この結果、シリンダチューブ12の長手方向(矢印A方向)に沿った長方形状のプリント基板にn個の磁気検出部18を一列に搭載し、該プリント基板をシリンダチューブ12に配置する際(例えば、シリンダチューブ12の長手方向に設けられた溝にプリント基板を埋め込み配置する際)、プリント基板の配線本数を減らしつつ、幅方向の省スペース化を実現することができる。従って、本実施形態では、位置検出装置11をアクチュエータ10に適用する場合、従来技術と比較して、フットプリント(設置面積)やコストの面で有利である。
【0071】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。