【解決手段】アルカリ現像性及び光硬化性官能基を有するバインダーと、光重合性単量体と、熱硬化性エポキシ樹脂と、シリカと、光重合開始剤と、硬化触媒と、を含み、硬化及び表面粗化処理後に、5×5μm
前記感光性樹脂組成物の総重量に対して、前記アルカリ現像性及び光硬化性官能基を有するバインダーを20〜35重量%、前記光重合性単量体を5〜15重量%、前記熱硬化性エポキシ樹脂を15〜25重量%、前記シリカを30〜50重量%、前記光重合開始剤を0.1〜1重量%、前記硬化触媒を0.1〜1重量%、及びその他に追加の添加剤を含む請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
前記感光性樹脂組成物は、硬化及び表面粗化処理後に表面に露出するシリカの平均粒径が0.1〜1μmである請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、具体的な実施形態及び添付された図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変更可能であり、本発明の範囲が以下に説明された実施形態に限定されることはない。また、本発明の実施形態は、当業界で平均の知識を有した者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。よって、図面における要素の形状及び大きさ等はより明確な説明のために誇張することがあり、図面上の同一の符号を有する要素は同一の要素を意味する。
【0023】
そして、図面では、本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、多層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一の思想の範囲内の機能の同一である構成要素には同一の参照符号を付し、重複説明は省略する。
【0024】
明細書全般にわたって、ある部分がある構成要素を「含む」とする場合、これは特別に言及しない限り、他の構成要素を除外することではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0025】
本発明をより具体的に説明する前に、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的思想に符合する意味や概念で解釈されなければならない。したがって、本明細書に記載された実施例の構成は本発明の一つの例に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0026】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるように、本発明の一実施例を詳細に説明する。本発明を説明するに当たって、本発明の要旨をかえって不明にすると判断される公知技術に関する詳細な説明は省略する。
【0027】
<光硬化性バインダー>
本発明の一実施例に係る感光性樹脂組成物においては、基板の絶縁層及び金属層間の接着力を高めるためにアルカリ現像性及び光硬化性官能基を有するバインダーが上記樹脂組成物の総重量に対して、20〜35重量%使用される。上記アルカリ現像性及び光硬化性官能基を有するバインダーが20重量%以下であると、アルカリに強いアルカリ現像性を有しながらパターニングが可能である効果を十分に発揮できず、また35重量%を超過すると、未反応物質が生じたり、他の組成物の使用量が減少してフィルム成形に問題が発生したりする。
【0028】
一実施例において、上記アルカリ現像性及び光硬化性官能基を有するバインダーは、特に制限されないが、クレゾールノボラック型樹脂、ビスフェノールF型の酸変性エポキシアクリレート樹脂及びこれらの組み合わせから選択することができる。
【0029】
本発明の一実施例に係る感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性及び光硬化性官能基を有するバインダーにより、アルカリに強いアルカリ現像性を有しながらパターニングが可能である効果を有することができる。
【0030】
<光重合性単量体>
本発明の一実施例に係る感光性樹脂組成物には、光重合性単量体が含まれる。上記光重合性単量体は、物理的・機械的物性を向上させるとともにアルカリ現像性のために、上記樹脂組成物の総重量に対して5〜15重量%が使用される。上記含有量が5重量%未満であると、物理的・機械的物性の低下を誘発することがあり、15重量%を超過すると、アルカリ現像性が弱くなる可能性がある。
【0031】
本発明の一実施例に使用される光重合性単量体は、特に制限されないが、2つ以上のアクリル基を有するアクリレート化合物、アクリレート化合物、多官能単量体、及びこれらの組み合わせから選択することができる。
【0032】
上記2つ以上のアクリル基を有するアクリレート化合物は、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ビスフェノールF型エポキシアクリレート、ビスフェニル型エポキシアクリレート、ウレタン系アクリレート、フェノールノボラック型エポキシアクリレート、及びトリフェノールメタン型エポキシアクリレートからなる群より1種以上を選択することができる。
【0033】
上記2つ以上のアクリル基を有する多官能性単量体は、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、グリセリルプロピルトリアクリレート、プロポキシレーテッドグリセリルトリアクリレート、及びジヒドロジシクロペンタ−ジエニルアクリレートからなる群より1種以上を選択することができる。
【0034】
本発明の実施形態において、上記光重合性単量体は、ジペンタエリスリトールヘキサクリレート、ウレタンアクリレート化合物、メタクロイルプロピルトリメトキシシラン及びこれらの組み合わせから選択することができる。
【0035】
<熱硬化性エポキシ樹脂>
本発明の一実施例に係る感光性絶縁樹脂組成物は、樹脂組成物の結合力を増加させるために熱硬化性エポキシ樹脂を含む。
【0036】
本発明の一実施例に係る熱硬化性エポキシ樹脂は、上記樹脂組成物の総重量に対して、15から25重量%を使用することができる。上記エポキシ樹脂の使用量が15重量%未満であると、樹脂組成物間の結合力が弱くなることがあり、30重量%を超過すると、硬化されなかった未反応エポキシ樹脂が組成物内に存在して物性の低下をもたらすことがある。
【0037】
本発明の一実施例によれば、上記熱硬化性エポキシ樹脂は、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルアクリル型エポキシ樹脂、及びポリエステル型エポキシ樹脂からなる群より1種以上を選択することができる。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、上記熱硬化性エポキシ樹脂は、モメンティブ(Momentive)社のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂であることができる。
【0039】
<シリカ>
本発明の一実施例に係る感光性絶縁樹脂組成物は、シリカを含む。
【0040】
上記シリカは、樹脂組成物の熱膨脹係数を低減するための役割及び表面粗度と化学銅との密着力に関連がある。
【0041】
上記シリカは、樹脂組成物の総重量に対して、30から50重量%で使用することができる。上記シリカの組成比が30重量%以下であると、表面粗度が低くなり、熱膨脹係数が高くなることがあり、50重量%を超過すると、露光または現像などのフォトリソグラフィ加工性及び密着力を阻害する可能性がある。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、上記シリカは、特に限定されないが、アミノフェニルトリメトキシシランにより表面処理されたシリカ、またはアクリロイルプロピルトリメトキシシランにより表面処理されたシリカであることができ、好ましくはアクリロイルプロピルトリメトキシシランにより表面処理されたシリカを用いることができる。
【0043】
シリカに対する表面処理は、シリカ総量の2重量%を超過すると、表面粗度が0.2μm 以下に低減することが確認された。また、シリカに対する表面処理は、シリカ総量の2重量% を超過しない範囲内の表面処理剤の量の範囲で表面処理することが、表面粗度及び密着力に優れた性能を有すると確認された。また表面処理のためには、シリカ総量の0.5重量%が最小限必要である。
【0044】
<光重合開始剤>
本発明の一実施例に係る感光性絶縁樹脂組成物は、感光性樹脂の重合反応を進行させるために光重合開始剤を含むことができ、上記樹脂組成物の総重量に対して、0.1〜1重量%を含むことができる。
【0045】
本発明に用いられる上記光重合開始剤は、特に限定されないが、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、α−アミノケトン、及びα−ヒドロキシケトンからなる群より1種以上を選択することができ、具体的な例としては、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロフェニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、4、4'ビス(ジエチルアミノ−)ベンゾフェノン(4、4'−ビス(ジエチルアミノ−)ベンゾフェノン)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノ−フェニル)−ブタノン−1、2、4、6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノ−フェニル)−ブタノン−1のうちのいずれか1種以上を選択することができる。
【0046】
また、本発明の好ましい実施例によれば、上記光重合開始剤としては、α−アミノケトン系を用いることができる。
【0047】
<熱重合開始剤>
本発明の一実施例に係る感光性絶縁樹脂組成物は、感光性樹脂の硬化反応を進行させるために、追加の添加剤である熱重合開始剤をさらに含むことができる。
【0048】
熱重合開始剤は、未反応の物質を硬化させて、絶縁フィルムの機械的物性を向上させ、接着力を向上させるために使用される。
【0049】
本発明の一実施例によれば、熱重合開始剤は、上記樹脂組成物の総重量に対して、0.1〜1重量%範囲で含まれることができる。
【0050】
本発明の一実施例に係る熱重合開始剤は、官能基を1つ以上含むことを特徴とするアゾ系またはパーオキサイド系開始剤として、2、2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド、2、2'−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2、2'−アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2、2'−アゾビス[N−(2−プロフェニル)−2−メチルプロピオンアミド]、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、及びベンゾイルパーオキサイドからなる群より1種以上を選択することができる。
【0051】
<硬化触媒>
本発明の一実施例に係る感光性絶縁樹脂組成物は、硬化触媒を含むことができ、上記樹脂組成物の総重量に対して、0.1〜1重量%含まれることができる。
【0052】
本発明の一実施例に係る硬化触媒は、特に限定されないが、イミダゾール系硬化触媒から選択することができる。
【0053】
本発明の一実施例に係るイミダゾール系硬化触媒としては、2−エトキシ−4−メチルベンゾイミダゾールを選択することができる。
【0054】
<UV吸収剤>
本発明の一実施例に係る感光性絶縁樹脂組成物は、UV吸収剤を上記樹脂組成物の総重量に対して、0.1〜1重量%含むことができる。
【0055】
また、本発明の一実施例に係るUV吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、及びベンゾイルメタンからなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。
【0056】
これらは、共役系がベンゼンと同一、あるいはベンゼンより拡張された構造を有し、芳香環及びヘテロ原子を有する化合物である。このようなUV吸収剤が樹脂被膜に含有されることにより、レーザー露光加工時に、レーザー加工波長領域での樹脂被膜のレーザー光吸収率が増加し、レーザー露光工程における加工性を向上することができる。
【0057】
また、レーザー加工後の加工部に対する樹脂被膜の残渣を低減させて、樹脂被膜の隆起や、回路パターンに詰まる問題を防止することができる。
【0058】
本発明の一実施例に係るUV吸収剤としては、特に限定されないが、CuPc(copper phthalocyane)を用いることができる。
【0059】
本発明の一実施例に係る感光性樹脂組成物は、硬化及び表面粗化処理後に表面粗度が、Ra=0.2μm以上確保され、表面に露出されるシリカの平均粒径が、0.1〜1μmであり、5×5μm
2に露出されるシリカの数が、10〜50個であることを特徴とする。
【0060】
本発明の一実施例によれば、5×5μm
2に露出されるシリカの数が10個未満であると、粗度が急激に悪くなることがある。また、5×5μm
2に露出されるシリカの数が50個を超えると、化学銅との密着力が低減されることがある。
【0061】
本発明の一実施例に係る感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性を有しながらパターニングが可能であり、銅メッキ密着力が、0.4kgf/cm以上確保された感光性樹脂組成物を実現することに特徴がある。
【0062】
<絶縁フィルム、プリプレグ及びプリント回路基板>
本発明の好ましい一実施例に係る感光性絶縁樹脂組成物を用いてプリント回路基板の絶縁フィルムを製造することができる。
【0063】
本発明の一実施例により製造された絶縁フィルムの表面粗度(Ra)は、0.2から0.5μmの範囲である場合に化学銅層との接着力が良好となる。
【0064】
絶縁フィルムの表面粗度(Ra)が、0.2μm未満であると、化学銅層との接着力が0.4kgf/cm以下に低減する傾向にある。
【0065】
また、表面粗度(Ra)が、0.5μmを超過すると、絶縁フィルムその自体の厚さが薄いため、上記フィルムの厚さを超過することになり、フィルムの成形に問題点が発生することもある。
【0066】
本発明の一実施例に係る感光性樹脂組成物は、当該技術分野に公知のいずれの一般的な方法を用いて半固相状態のフィルムに製造されることができる。例えば、ロールコーター(roll coater)、カーテンコーター(curtain coater)、またはコンマコーター(comma coater)などを使用してフィルム形態に製造し、乾燥させた後、これを基板上に適用してビルドアップ方式による多層プリント基板の製造時、絶縁フィルムまたはプリプレグとして用いることができる。このような絶縁フィルムまたはプリプレグは、剥離強度特性を向上させることができる。
【0067】
このように、本発明の一実施例に係る絶縁樹脂組成物を含むワニスに無機繊維または有機繊維等を含浸させた後に硬化させてプリプレグを製造し、これの片面または両面に銅箔を付着して銅張積層板を製造することができる。
【0068】
上記無機繊維または有機繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、サーモトロピック(thermotropic)液晶高分子繊維、リオトロピック液晶高分子繊維、アラミド繊維、ポリピリドビスイミダゾール繊維、ポリベンゾチアゾール繊維、及びポリアリレート繊維から1種以上を選択することができるが、これに限定されることはない。
【0069】
また、上記樹脂組成物で製造された絶縁フィルムは、多層プリント回路基板の製造の際に、内層として用いられる銅張積層板上に積層して多層プリント回路基板の製造に使用することができる。
【0070】
例えば、上記樹脂組成物で製造された絶縁フィルムをパターン加工した内層回路基板上に積層した後、約80から110℃の温度で約30分間硬化させ、デスミア(desmear)工程を行った後、回路層を無電解メッキ及び電気メッキ工程により形成して多層プリント回路基板を製造することができる。
【0071】
図1は、本発明の一実施例に係る絶縁フィルムが積層されたプリント回路基板を概略的に示す断面図である。
【0072】
図1を参照すると、本発明の実施例に係るプリント回路基板は、絶縁層11、12、13を含み、上記絶縁層11、12、13は、本発明による絶縁樹脂組成物を用いて製造したものである。
【0073】
上記回路基板に含まれる絶縁層11、12、13の銅メッキ密着力は、0.4kgf/cm以上であり、剥離強度の特性が改善される。
【0074】
以下、実施例及び比較例を介して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲が下記の例に限定されることはない。
【実施例】
【0075】
<縁樹脂組成物の製造>
[実施例1]
酸変性エポキシアクリレートとしては、感光性樹脂組成物の総量に対して、CCR−1171H(日本化薬、クレゾールノボラック型)22重量%及びZFR−1491H(日本化薬、ビスフェノールF型)9.5重量%を使用した。
【0076】
光重合性単量体としては、感光性樹脂組成物総量に対して、ジペンタエリスリトールヘキサクリレート3.7重量%、UX−5000(日本化薬、ウレタンアクリレート系)0.6重量%、及びメタクロイルプロピルトリメトキシシラン2.5重量%を使用した。
【0077】
熱硬化性エポキシ樹脂としては、感光性樹脂組成物総量に対して、Epikote631(Momentive、ビスフェノールAノボラック型)20重量%を使用し、無機フィラーとしては、アクリロイルプロピルトリメトキシシラン処理のシリカを39.5重量%使用した。
【0078】
光重合開始剤としては、感光性樹脂組成物総量に対して、Irgacure907(BASF、α−アミノケトン系)0.3重量%を、熱重合開始剤としては、VAM−110(WACO、アゾ系)0.3重量%を、硬化触媒としては、2−エトキシ−4−メチルベンゾイミダゾール0.3重量%を、UV吸収剤としては、FA5380(DIC、CuPc(copper phthalocyane))0.13重量%を、溶媒としてはプロピレングリコールメチルエテルアセテート1重量%を使用した。
【0079】
すべての成分を撹拌により均一に混合して感光性樹脂組成物を製造した。
【0080】
[実施例2]
酸変性エポキシアクリレートとしては、感光性樹脂組成物総量に対して、CCR−1171H(日本化薬、クレゾールノボラック型)21重量%及びZFR−1491H(日本化薬、ビスフェノールF型)を9重量%使用した。
【0081】
光重合性単量体としては、感光性樹脂組成物総量に対して、ジペンタエリスリトールヘキサクリレート7.5重量%、及びUX−5000(日本化薬、ウレタンアクリレート系)1.5重量%を使用した。
【0082】
熱硬化性エポキシ樹脂としては、感光性樹脂組成物総量に対して、Epikote631(Momentive、ビスフェノールAノボラック型)19.2重量%を使用し、無機フィラーとしては、アクリロイルプロピルトリメトキシシラン処理のシリカを39.5重量%使用した。
【0083】
その外の成分は、実施例1と同様に組成し、実施例1と同様の方法により感光性樹脂組成物を製造した。
【0084】
[比較例1]
無機フィラーとしてアミノフェニルトリメトキシシラン処理のシリカを39重量%使用したことを除いては実施例2と同様の方法により感光性樹脂組成物を製造した。
【0085】
[比較例2]
酸変性エポキシアクリレートとして、感光性樹脂組成物総量に対して、CCR−1171H(日本化薬、クレゾールノボラック型)14重量%、及びZFR−1491H(日本化薬、ビスフェノールF型)を6重量%使用した。
【0086】
光重合性単量体として、感光性樹脂組成物総量に対して、ジペンタエリスリトールヘキサクリレート5重量%、及びUX−5000(日本化薬、ウレタンアクリレート系)1重量%を使用した。
【0087】
熱硬化性エポキシ樹脂として、感光性樹脂組成物総量に対して、Epikote631(Momentive、ビスフェノールAノボラック型)12.8重量%を使用し、無機フィラーとして、アクリロイルプロピルトリメトキシシラン処理のシリカ59.5重量%を使用した。
【0088】
感光性樹脂組成物総量に対して、光合性開始剤としてIrgacure907(BASF、α−アミノケトン系)0.2重量%、熱重合開始剤としてVAM−110(WACO、アゾ系)0.2重量%、硬化触媒として2−エトキシ−4−メチルベンゾイミダゾール0.2重量%、UV吸収剤としてFA5380(DIC、CuPc(copper phthalocyane))0.13重量%、溶媒としてプロピレングリコールメチルエテルアセテート1重量%を使用した。
【0089】
すべての成分を撹拌により均一に混合して感光性樹脂組成物を製造した。
【表1】
【0090】
<絶縁フィルムの製造>
[実施例3及び実施例4]
実施例1及び実施例2で得られた感光性樹脂組成物を20μmにフィルム化した。製造されたフィルムを硬化工程により硬化して実施例3及び実施例4の絶縁フィルムを製造した。 より具体的には、表面処理されたCCLに上記感光性樹脂組成物を塗布し、その後UV硬化器を用いて2000mJ照射後、180℃で1時間の間に加熱硬化を行った。
【0091】
[比較例3及び比較例4]
比較例1及び比較例2の組成物を用いたことを除いては、実施例3と同様の方法により比較例3及び4の絶縁フィルムを製造した。
【0092】
[実験例]
実施例3及び実施例4で得られた絶縁フィルム、及び比較例3及び比較例4で得られた絶縁フィルムを対象にして、粗度、シリカ数及び剥離強度(密着力)を測定し、その結果を表2に示した。
【0093】
上記剥離強度の測定及び評価は、引張強度測定器(Universal Testing Machine、UTM)を用いて銅箔層と絶縁層との間の剥離強度を測定した。
【0094】
また、上記表面粗度は、KEYENCE社のVK−9710modelを用いて測定し、剥離強度は、Instron社の5943modelを用いて幅10mmの試片を90°角度で10mm/minの速度で測定した。シリカ数は、SEM imageのシリカ数を数えて測定した。
【表2】
【0095】
<プリント回路基板の製造>
上述した実施例3及び実施例4で得られた絶縁フィルムを用いて、
図1に示すようなプリント回路基板を製造することができる。
【0096】
図1は、プリント回路基板を概略的に示す断面図(11〜13:絶縁フィルム、21:水平配線、22:ビア電極)であり、回路基板に含まれる絶縁層11、12、13と銅メッキとの密着力に優れた特性を有するプリント回路基板を提供することができる。
【0097】
比較例1は、シリカがアミノフェニルトリメトキシシランで表面処理されたものであり、本発明の好ましい実施例に比べて表面粗度及び密着力が低減することが確認された。
【0098】
また、比較例2は、5×5μm
2に露出するシリカの数が50個を超過して58個に製造されたものであり、表面粗度は0.2以上であるが、密着力が本発明の好ましい実施例に比べて低減することが確認された。
【0099】
本発明の実施例によれば、本発明のシリカは積分球を用いたFT−IR測定時に、1700〜1750cm
−1の間、及び3500cm
−1付近でピークが観察され、優れた性能を示すことが確認された。
【0100】
シリカの表面処理は、シリカ総量の2重量%を超過すると、表面粗度が0.2μm以下に低下することが確認された。また、シリカの表面処理はシリカ総量の2重量%を超過しない範囲内の表面処理剤の量の範囲で表面処理することが表面粗度及び密着力に優れた性能を有することに確認された。表面処理のためには最小限シリカ総量の0.5重量%が必要である。
【0101】
本発明の一実施例によれば、従来行われたレーザードリリングを露光及び現像工程を用いて行うことにより製品の製作のリードタイムが短くなり、通電ホールが5,000,000hole/m
2以上である場合は、5%以上のコストダウンの効果があると示された。
【0102】
以上本発明を具体的な実施例により詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものに過ぎず、本発明がこれらに限定されることはなく、本発明の技術的思想内で当分野の通常の知識を有する者によりその変形や改良が可能であることは明らかである。
【0103】
本発明の単純な変形や変更はすべて本発明の範囲に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付された特許請求の範囲により明確になるであろう。