前記第1の回路部材の端子上に熱硬化型異方性導電フィルムを配置し、前記第1の回路部材側から、前記第1の回路部材越しに光を照射して、前記熱硬化型異方性導電フィルムの少なくとも前記第1の回路部材側の表面を軟化させて、仮貼りを行う仮貼工程と、
【発明を実施するための形態】
【0011】
(接続方法)
本発明の接続方法は、仮貼工程と、配置工程と、加熱押圧工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記接続方法は、第1の回路部材の端子と第2の回路部材の端子とを異方性導電接続させる方法である。
【0012】
<仮貼工程>
前記仮貼工程としては、前記第1の回路部材の端子上に熱硬化型異方性導電フィルムを配置し、前記第1の回路部材側から、前記第1の回路部材越しに光を照射して、前記熱硬化型異方性導電フィルムの少なくとも前記第1の回路部材側の表面を軟化させて、仮貼りを行う工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0013】
前記熱硬化型異方性導電フィルムの前記第1の回路部材側の表面を軟化させることで、前記第1の回路部材に対する前記熱硬化型異方性導電フィルムの接着性を向上でき、仮貼り後の熱硬化型異方性導電フィルムの位置ずれを防ぐことができる。
更には、前記熱硬化型異方性導電フィルムの前記第1の回路部材側の表面の軟化を、光の照射により行うことで、加熱による前記熱硬化型異方性導電フィルムの硬化を抑制して、本圧着後の接続に悪影響を与えることなく、仮貼りを行うことができる。
【0014】
前記光としては、紫外線が好ましい。前記紫外線とは、可視光線より短く軟X線より長い電磁波であり、例えば、10nm〜400nmの波長である。
前記光を照射する時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5秒間〜5秒間などが挙げられる。
【0015】
<<第1の回路部材>>
前記第1の回路部材としては、光透過性基材上に端子を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、配線基板、電子部品、フレキシブル配線基板(FPC)などが挙げられる。前記配線基板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LCD基板、PDP基板、有機EL基板などが挙げられる。
【0016】
−光透過性基材−
前記光透過性基材としては、例えば、ガラス基材、プラスチック基材などが挙げられる。前記光透過性基材における光透過性は、前記熱硬化型異方性導電フィルムに照射される光を透過可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、照射される光に対する前記光透過性基材の光透過率は100%である必要はない。
【0017】
前記光透過性基材における波長200nm〜750nmの光の透過率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50%〜100%が好ましく、70%〜100%がより好ましい。
【0018】
−端子−
前記第1の回路部材において、前記端子は、前記光透過性基材上に配されている。
前記光透過性基材上に配される前記端子の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
前記端子は、光透過性を有していてもよいし、光透過性を有していなくてもよい。即ち、前記端子は、ITO(インジウム錫酸化物)のような光透過性の導電体であってもよいし、銅、銀、金のような非光透過性の導電体であってもよい。
前記端子は、前記光透過性基材上に間隔をおいて配されているため、たとえ、前記端子が非透過性の端子であっても、前記第1の回路部材越しに前記熱硬化型異方性導電フィルムに照射される光は、前記端子間の隙間から前記熱硬化型異方性導電フィルムに届く。
【0020】
前記第1の回路部材の形状、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
<<熱硬化型異方性導電フィルム>>
前記熱硬化型異方性導電フィルムとしては、加熱されることにより硬化する異方性導電フィルムであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0022】
前記熱硬化型異方性導電フィルムは、1層タイプと、2層タイプとに分けることができる。
【0023】
1層タイプの前記熱硬化型異方性導電フィルムは、例えば、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、熱硬化剤と、導電性粒子と、光熱変換材料とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0024】
2層タイプの前記熱硬化型異方性導電フィルムは、例えば、導電性粒子含有層と、絶縁性樹脂層とを有する。
前記導電性粒子含有層は、例えば、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、熱硬化剤と、導電性粒子と、光熱変換材料とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記絶縁性樹脂層は、例えば、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、熱硬化剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0025】
−膜形成樹脂−
前記膜形成樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。前記膜形成樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製膜性、加工性、接続信頼性の点からフェノキシ樹脂が好ましい。
前記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより合成される樹脂などが挙げられる。
前記フェノキシ樹脂は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0026】
前記膜形成樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%〜40質量%が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましく、15質量%〜25質量%が特に好ましい。
【0027】
本明細書において、含有量とは、一層における含有量を意味する。
即ち、前記熱硬化型異方性導電フィルムが、1層タイプの場合、含有量とは、前記熱硬化型異方性導電フィルムにおける含有量である。
即ち、前記熱硬化型異方性導電フィルムが、2層タイプの場合、含有量とは、前記導電性粒子含有層、及び前記絶縁性樹脂層のそれぞれの層における含有量である。
【0028】
−熱硬化型樹脂−
前記熱硬化性樹脂(熱硬化成分)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、ラジカル重合性化合物などが挙げられる。
【0029】
−−エポキシ樹脂−−
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、それらの変性エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
−−ラジカル重合性化合物−−
前記ラジカル重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記アクリレートをメタクリレートにしたものが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記熱硬化性樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、それぞれ、20質量%〜70質量%が好ましく、30質量%〜60質量%がより好ましい。
【0032】
−熱硬化剤−
前記熱硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イミダゾール類、有機過酸化物、アニオン系硬化剤、カチオン系硬化剤などが挙げられる。
【0033】
前記イミダゾール類としては、例えば、2−エチル4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
前記有機過酸化物としては、例えば、ラウロイルパーオキサイド、ブチルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。
前記アニオン系硬化剤としては、例えば、有機アミン類などが挙げられる。
前記カチオン系硬化剤としては、例えば、スルホニウム塩、オニウム塩、アルミニウムキレート剤などが挙げられる。
【0034】
前記熱硬化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜10質量%が好ましく、3質量%〜8質量%がより好ましい。
【0035】
これらの中での、低温かつ短時間硬化に適している点で、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であり、熱硬化剤がカチオン系硬化剤である組合せが好ましい。
【0036】
−導電性粒子−
前記導電性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属粒子、金属被覆樹脂粒子などが挙げられる。
【0037】
前記金属粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウム、半田などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ニッケル、銀、銅が好ましい。これらの金属粒子は、表面酸化を防ぐ目的で、その表面に金、パラジウムを施していてもよい。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。
【0038】
前記金属被覆樹脂粒子としては、樹脂粒子の表面を金属で被覆した粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂粒子の表面をニッケル、銀、半田、銅、金、及びパラジウムの少なくともいずれかの金属で被覆した粒子などが挙げられる。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。低抵抗を考慮した接続の場合、樹脂粒子の表面を銀で被覆した粒子が好ましい。
前記樹脂粒子への金属の被覆方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無電解めっき法、スパッタリング法などが挙げられる。
前記樹脂粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−シリカ複合樹脂などが挙げられる。
【0039】
前記導電性粒子は、異方性導電接続の際に、導電性を有していればよい。例えば、金属粒子の表面に絶縁皮膜を施した粒子であっても、異方性導電接続の際に前記粒子が変形し、前記金属粒子が露出するものであれば、前記導電性粒子である。
【0040】
前記導電性粒子の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜50μmが好ましく、2μm〜30μmがより好ましく、3μm〜15μmが特に好ましい。
前記平均粒子径は、任意に10個の導電性粒子について測定した粒子径の平均値である。
前記粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡観察により測定できる。
【0041】
前記導電性粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%〜40質量%が好ましく、20質量%〜35質量%がより好ましい。
前記導電性粒子の含有量が多いと、前記導電性粒子を含有する層(1層タイプの場合は異方性導電フィルム自体であり、2層タイプの場合は導電性粒子含有層)の常温での粘着性がなくなる。本発明の接続方法は、そのように、常温で粘着性のない異方性導電フィルムを用いた場合の接続に特に適している。
【0042】
−光熱変換材料−
前記光熱変換材料としては、光を吸収し熱を発生させる有機化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。
【0043】
前記紫外線吸収剤は、紫外線の保有するエネルギーを分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを熱エネルギーとして放出する機能を有する。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0044】
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0045】
前記トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなどが挙げられる。
【0046】
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−5,5’−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−5,5’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(ヒドロキシメチル)−5,5’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(2−ヒドロキシエチル)−5,5’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0047】
前記紫外線吸収剤は、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、LA−31(ADEKA社製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)、TINUVIN234(BASF社製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)、TINUVIN928(BASF社製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)、TINUVIN1577FF(BASF社製、トリアジン系紫外線吸収剤)、TINUVIN477(BASF社製、トリアジン系紫外線吸収剤)、TINUVIN479(BASF社製、トリアジン系紫外線吸収剤)、CYASORB UV−1164(サイテックインダストリーズ社製、トリアジン系紫外線吸収剤)などが挙げられる。
【0048】
前記光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。
前記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
【0049】
前記ヒンダードアミン系光安定剤は、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63、LA−63p、LA−67、LA−68(いずれもADEKA社製)、Tinuvin744、Tinuvin770、Tinuvin765、Tinuvin123、Tinuvin144、Tinuvin622LD、CHIMASSORB944LD(いずれもBASF社製)、UV−3034(B.F.グッドリッチ社製)などが挙げられる。
【0050】
前記光熱変換材料の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.8質量%〜10質量%が好ましく、3質量%〜8質量%がより好ましい。
【0051】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、例えば、エラストマーなどが挙げられる。
【0052】
−−エラストマー−−
前記エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリウレタン樹脂(ポリウレタン系エラストマー)、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴムなどが挙げられる。
【0053】
前記エラストマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。
【0054】
前記熱硬化型異方性導電フィルムの平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm〜60μmが好ましく、5μm〜45μmがより好ましく、10μm〜30μmが特に好ましい。
前記熱硬化型異方性導電フィルムが、2層タイプの場合、各層の平均厚みは、1μm〜30μmが好ましく、2.5μm〜22.5μmがより好ましく、5μm〜15μmが特に好ましい。
【0055】
前記仮貼工程においては、光の照射とともに、押圧を行ってもよい。前記押圧は、例えば、前記第2の回路部材を押圧することで行ってもよい。前記押圧の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1MPa〜8MPaが好ましい。
前記押圧は、押圧部材を用いて行うことができる。前記押圧の際は、前記押圧部材を加熱せずに常温で押圧を行う。
【0056】
<配置工程>
前記配置工程としては、前記熱硬化型異方性導電フィルム上に前記第2の回路部材を、前記第2の回路部材の端子が前記熱硬化型異方性導電フィルムと接するように配置する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0057】
<<第2の回路部材>>
前記第2の回路部材としては、端子を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、配線基板、電子部品、フレキシブル配線基板(FPC)などが挙げられる。
【0058】
前記配線基板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LCD基板、PDP基板、有機EL基板などが挙げられる。
【0059】
前記電子部品としては、例えば、ICチップ、ICチップを搭載したTABテープなどが挙げられる。
【0060】
前記第2の回路部材の大きさ、形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0061】
<加熱押圧工程>
前記加熱押圧工程としては、前記第2の回路部材を加熱押圧部材により加熱及び押圧する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱押圧部材により加熱及び押圧することができる。
前記加熱押圧部材としては、例えば、加熱機構を有する押圧部材などが挙げられる。前記加熱機構を有する押圧部材としては、例えば、ヒートツールなどが挙げられる。
前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、130℃〜180℃が好ましい。
前記押圧の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10MPa〜100MPaが好ましい。
前記加熱及び押圧の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1秒間〜120秒間などが挙げられる。
【0062】
ここで、本発明の接続方法の一例を、図を用いて説明する。
まず、
図1Aに示すように、第1の回路部材1を用意する。第1の回路部材1は、光透過性を有する基板1Aと、基板1A上に端子1Bとを有する。
次に、
図1Bに示すように、第1の回路部材1の端子1B上に、熱硬化型異方性導電フィルム2を載せる。熱硬化型異方性導電フィルム2は、1層タイプであり、層全体に導電性粒子を含有しているが、
図1B中ではその図示を省略している。
次に、
図1Cに示すように、第1の回路部材1側から、矢印で示すように、熱硬化型異方性導電フィルム2に光を照射する。この際、熱硬化型異方性導電フィルム2をヒートツール10により押圧する。なおヒートツール10は加熱されておらず、常温である。
次に、
図1Dに示すように、熱硬化型異方性導電フィルム2上に第2の回路部材3を、第2の回路部材3の端子3Aが熱硬化型異方性導電フィルム2と接するように配置する。第2の回路部材3は、端子3Aを有している。第2の回路部材3は、端子3Aが、第1の回路部材1の端子1Bと対向するように配置される。
次に、
図1Eに示すように、第2の回路部材3をヒートツール11により加熱押圧する。そうすることにより、第1の回路部材1の端子1Bと、第2の回路部材3の端子3Aとが、導電性粒子を介して異方性導電接続される。
【実施例】
【0063】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0064】
(比較例1)
<異方性導電フィルムの作製>
以下の配合を均一に混合し、混合物を作製した。
−配合−
フェノキシ樹脂(商品名:YP70、新日鉄住金化学社製)20質量部
液状エポキシ樹脂(商品名:EP828、三菱化学社製)30質量部
固形エポキシ樹脂(商品名:YD014、新日鉄住金化学社製)20質量部
導電性粒子(商品名:AUL704、積水化学工業社製、平均粒子径4μm)30質量部
熱カチオン系硬化剤(商品名:SI−80L、三新化学社製)5質量部
得られた混合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが20μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、異方性導電フィルム(ACF)を作製した。
【0065】
(実施例1−1)
<異方性導電フィルムの作製>
以下の配合を均一に混合し、混合物を作製した。
−配合−
フェノキシ樹脂(商品名:YP70、新日鉄住金化学社製)20質量部
液状エポキシ樹脂(商品名:EP828、三菱化学社製)30質量部
固形エポキシ樹脂(商品名:YD014、新日鉄住金化学社製)20質量部
導電性粒子(商品名:AUL704、積水化学工業社製、平均粒子径4μm)30質量部
熱カチオン系硬化剤(商品名:SI−80L、三新化学社製)5質量部
紫外線吸収剤(商品名:LA−31、ADEKA社製)5質量部
得られた混合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが20μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、異方性導電フィルム(ACF)を作製した。
【0066】
(実施例1−2)
<異方性導電フィルムの作製>
以下の配合を均一に混合し、混合物を作製した。
−配合−
フェノキシ樹脂(商品名:YP70、新日鉄住金化学社製)20質量部
液状エポキシ樹脂(商品名:EP828、三菱化学社製)30質量部
固形エポキシ樹脂(商品名:YD014、新日鉄住金化学社製)20質量部
導電性粒子(商品名:AUL704、積水化学工業社製、平均粒子径4μm)30質量部
熱カチオン系硬化剤(商品名:SI−80L、三新化学社製)5質量部
紫外線吸収剤(商品名:LA−36、ADEKA社製)5質量部
得られた混合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが20μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、異方性導電フィルム(ACF)を作製した。
【0067】
(実施例1−3)
<異方性導電フィルムの作製>
以下の配合を均一に混合し、混合物を作製した。
−配合−
フェノキシ樹脂(商品名:YP70、新日鉄住金化学社製)20質量部
液状エポキシ樹脂(商品名:EP828、三菱化学社製)30質量部
固形エポキシ樹脂(商品名:YD014、新日鉄住金化学社製)20質量部
導電性粒子(商品名:AUL704、積水化学工業社製、平均粒子径4μm)30質量部
熱カチオン系硬化剤(商品名:SI−80L、三新化学社製)5質量部
紫外線吸収剤(商品名:LA−31、ADEKA社製)1質量部
得られた混合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが20μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、異方性導電フィルム(ACF)を作製した。
【0068】
(実施例1−4)
<異方性導電フィルムの作製>
以下の配合を均一に混合し、混合物を作製した。
−配合−
フェノキシ樹脂(商品名:YP70、新日鉄住金化学社製)20質量部
液状エポキシ樹脂(商品名:EP828、三菱化学社製)30質量部
固形エポキシ樹脂(商品名:YD014、新日鉄住金化学社製)20質量部
導電性粒子(商品名:AUL704、積水化学工業社製、平均粒子径4μm)30質量部
熱カチオン系硬化剤(商品名:SI−80L、三新化学社製)5質量部
紫外線吸収剤(商品名:LA−31、ADEKA社製)10質量部
得られた混合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが20μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、異方性導電フィルム(ACF)を作製した。
【0069】
(実施例2)
<異方性導電フィルムの作製>
<<導電性粒子含有層(ACF層)の作製>>
以下の配合を均一に混合し、混合物を作製した。
−配合−
フェノキシ樹脂(商品名:YP70、新日鉄住金化学社製)20質量部
液状エポキシ樹脂(商品名:EP828、三菱化学社製)30質量部
固形エポキシ樹脂(商品名:YD014、新日鉄住金化学社製)20質量部
導電性粒子(商品名:AUL704、積水化学工業社製、平均粒子径4μm)30質量部
熱カチオン系硬化剤(商品名:SI−80L、三新化学社製)5質量部
紫外線吸収剤(商品名:LA−31、ADEKA社製)5質量部
得られた混合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが10μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、導電性粒子含有層(ACF層)を作製した。
【0070】
<<絶縁性接着層(NCF層)の作製>>
以下の配合を均一に混合し、混合物を作製した。
−配合−
フェノキシ樹脂(商品名:YP70、新日鉄住金化学社製)20質量部
液状エポキシ樹脂(商品名:EP828、三菱化学社製)30質量部
固形エポキシ樹脂(商品名:YD014、新日鉄住金化学社製)20質量部
熱カチオン系硬化剤(商品名:SI−80L、三新化学社製)5質量部
得られた混合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが10μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し絶縁性接着層(NCF層)を作製した。
【0071】
導電性粒子含有層(ACF層)と、絶縁性接着層(NCF層)とを、圧着ローラを用いて貼り合わせることで、平均厚み20μmの異方性導電フィルムを得た。
【0072】
(比較例2)
<異方性導電フィルムの作製>
<<導電性粒子含有層(ACF層)の作製>>
以下の配合を均一に混合し、混合物を作製した。
−配合−
フェノキシ樹脂(商品名:YP70、新日鉄住金化学社製)20質量部
液状エポキシ樹脂(商品名:EP828、三菱化学社製)30質量部
固形エポキシ樹脂(商品名:YD014、新日鉄住金化学社製)20質量部
導電性粒子(商品名:AUL704、積水化学工業社製、平均粒子径4μm)30質量部
熱カチオン系硬化剤(商品名:SI−80L、三新化学社製)5質量部
得られた混合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが10μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し、導電性粒子含有層(ACF層)を作製した。
【0073】
<<絶縁性接着層(NCF層)の作製>>
以下の配合を均一に混合し、混合物を作製した。
−配合−
フェノキシ樹脂(商品名:YP70、新日鉄住金化学社製)20質量部
液状エポキシ樹脂(商品名:EP828、三菱化学社製)30質量部
固形エポキシ樹脂(商品名:YD014、新日鉄住金化学社製)20質量部
熱カチオン系硬化剤(商品名:SI−80L、三新化学社製)5質量部
紫外線吸収剤(商品名:LA−30、ADEKA社製)5質量部
得られた混合物をシリコーン処理したPET(ポリエチレンテレフタレート)上に乾燥後の平均厚みが10μmとなるようにバーコーターで塗布し、70℃で5分間乾燥し絶縁性接着層(NCF層)を作製した。
【0074】
導電性粒子含有層(ACF層)と、絶縁性接着層(NCF層)とを、圧着ローラを用いて貼り合わせることで、平均厚み20μmの異方性導電フィルムを得た。
【0075】
〔仮貼り試験〕
幅4.0mm×長さ40.0mmの大きさの異方性導電フィルムを用意した。異方性導電フィルムは、ベースフィルムと、カバーフィルムとに挟まれている。
厚み0.5mmのガラス基板上に、カバーフィルムを剥がした異方性導電フィルムを置いた。そして、異方性導電フィルムを、緩衝材〔テフロン(登録商標)、厚み0.050mm〕を介して、加熱押圧ツール(幅10.0mm×長さ40.0mm)により、室温、1MPa、1秒間で押し付けつつ、ガラス基板側から、UV照射機を用いて、1秒間、UV光を異方性導電フィルムに照射して、仮貼りを行った。
仮貼り後に、異方性導電フィルムからベースフィルムを剥がした。その際、ベースフィルムとともに異方性導電フィルムがガラス基板から剥がれてしまったものを「NG」とした。この仮貼り試験を10回行い、「NG」の回数をカウントした。結果を表1及び表2に示した。
【0076】
なお、各種条件は以下のとおりである。
ガラス基板:ITOコーティングガラス、ガラス厚み0.7mm
ベースフィルム:ポリエチレンテレフタレートフィルム
カバーフィルム:ポリエチレンテレフタレートフィルム
緩衝材:テフロン(登録商標)、厚み0.050mm
加熱押圧ツール:幅10.0mm×長さ40.0mm
UV照射条件:
・UV照射機:SP−9、ウシオ電機社製
・UV強度:365nmで300mW/cm
2
・UV照射範囲:幅約4.0mm×長さ約44.0mm
【0077】
また、実施例2及び比較例2の異方性導電フィルムを仮貼りする際は、導電性粒子含有層がガラス基板と接するようにした。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
次に、実施例1−1の異方性導電フィルムを用いて、仮貼り条件を変えて、仮貼り試験、及び導通抵抗測定を行った。結果を表3に示した。
【0081】
〔仮貼り試験〕
仮貼り試験は、上述の仮貼り試験方法において、仮貼り条件を以下のように変更した以外は、上述の仮貼り試験方法と同様にして試験を行った。
比較例3:75℃、1MPa、1秒間、UV照射なし
比較例4:60℃、1MPa、1秒間、UV照射なし
実施例3:室温、1MPa、1秒間、UV照射あり(上述の仮貼り試験と同じ条件)
【0082】
〔導通抵抗測定〕
導通抵抗測定は以下のようにして行った。
幅4.0mm×長さ40.0mmの大きさの異方性導電フィルムを用意した。異方性導電フィルムは、ベースフィルムと、カバーフィルムとに挟まれている。
厚み0.5mmの評価用ガラス基板上に、カバーフィルムを剥がした異方性導電フィルムを置いた。次に、ベースフィルムを剥がし、緩衝材を介して、加熱押圧ツールを用い、上記仮貼り条件で仮貼りを行った。
次に、評価用ICチップを、前記異方性導電フィルム上に置いた。
次に、緩衝材を介して、加熱押圧ツールにより、150℃、70MPa、5秒間で本圧着を行い、接合体を得た。
【0083】
評価用ガラス基板:ITOコーティングガラス(デクセリアルズ株式会社評価用基材、全表面ITOコート)
ベースフィルム:ポリエチレンテレフタレートフィルム
カバーフィルム:ポリエチレンテレフタレートフィルム
緩衝材:テフロン(登録商標)、厚み0.050mm
加熱押圧ツール:幅10.0mm×長さ40.0mm
UV照射条件:
・UV照射機:SP−9、ウシオ電機社製
・UV強度:365nmで300mW/cm
2
・UV照射範囲:幅約4.0mm×長さ約44.0mm
緩衝材:テフロン(登録商標)、厚み0.050mm
加熱押圧ツール:幅10.0mm×長さ40.0mm
評価用ICチップ:
・外径:1.8mm×20mm
・厚み:0.2mm
・Bump仕様:金メッキ、高さ9μm、サイズ30μm×85μm
【0084】
<<導通抵抗>>
接合体について、初期、及び高温高湿保存(85℃、85%RH、500時間)後の導通抵抗値(Ω)を以下の方法で測定した。
具体的には、デジタルマルチメータ(品番:デジタルマルチメータ7555、横河電機株式会社製)を用いて4端子法にて電流1mAを流したときの抵抗値を測定した。30チャンネルについて抵抗値を測定し、最大の抵抗値を測定値とした。
【0085】
【表3】
【0086】
実施例1−1〜1−4、実施例2及び実施例3では、確実に仮貼りすることができた。即ち、異方性導電フィルムに配合された光熱変換材料が、仮貼り時に照射されたUVに反応し、熱を発生させ、ガラス基板との界面の異方性導電フィルムの表面を一時的に軟化させることで、ガラス基板との密着性が向上し、仮貼り性が良好であった。
比較例1では、異方性導電フィルムに光熱変換材料が配合されていないため、仮貼り時のUV照射において、異方性導電フィルムの軟化が生じなかった。そのため、ガラス基板と異方性導電フィルムとの密着性が向上せず、仮貼り性が不十分であった。
比較例2では、導電性粒子含有層と絶縁性接着層とを有する異方性導電フィルムに光熱変換材料を含有させている。しかし、光熱変換材料を含有させている絶縁性接着層が、ガラス基板と接していない。そのため、光熱変換材料により絶縁性接着層が軟化しても、ガラス基板と接している導電性粒子含有層は軟化されていないため、ガラス基板と導電性粒子含有層との密着性の向上には寄与しない結果、仮貼り性は不十分であった。
【0087】
実施例3及び比較例3は、仮貼り性が良好であった。
比較例4は、60℃で仮貼りしたものの、仮貼り性は不十分であった。
なお、実施例3の仮貼りにおいては、ガラス基板と、異方性導電フィルムとの界面において、異方性導電フィルムの温度が60℃程度に上昇していた。
加熱押圧ツールにより加熱した場合には、ガラス基板と異方性導電フィルムとの界面の温度は、加熱押圧ツールの設定温度よりも少し低い温度になる。そのため、ガラス基板側からのUV照射と、異方性導電フィルムに含まれる光熱変換材料と、を利用して異方性導電フィルムを加熱したほうが、ガラス基板側の異方性導電フィルムの表面を効率的に加熱できるとともに、異方性導電フィルム全体に掛かる熱を抑えることができる。
【0088】
比較例3では、仮貼り性は良好であったものの、導通抵抗値が上昇していた。これは、仮貼り時の熱により、硬化が生じていたためである。
実施例3では、比較例3、及び4と比較して、仮貼り性と、低い導通抵抗とを両立することができた。
なお、実施例1−2〜1−4、実施例2の異方性導電フィルムを用いた場合でも、実施例3と同様の結果が得られ、仮貼り性と、低い導通抵抗とを両立することができた。