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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-112344(P2017-112344A)
(43)【公開日】2017年6月22日
(54)【発明の名称】磁気装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/02 20060101AFI20170526BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20170526BHJP
   H02K 1/02 20060101ALI20170526BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20170526BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20170526BHJP
   B28B 1/00 20060101ALI20170526BHJP
【FI】
   H01F41/02 Z
   B22F3/16
   H02K1/02 Z
   B22F3/105
   B33Y10/00
   B28B1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-257175(P2015-257175)
(22)【出願日】2015年12月28日
(31)【優先権主張番号】104142574
(32)【優先日】2015年12月17日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 偉欽
(72)【発明者】
【氏名】▲荘▼ ▲傅▼勝
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲誌▼賢
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲敬▼智
(72)【発明者】
【氏名】李 文煕
(72)【発明者】
【氏名】鐘 凱▲鈞▼
【テーマコード(参考)】
4K018
5H601
【Fターム(参考)】
4K018AA24
4K018AA26
4K018BA13
4K018BD01
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
4K018KA42
4K018KA43
4K018KA45
5H601AA26
5H601CC01
5H601EE14
5H601EE18
5H601EE35
5H601GA02
5H601HH02
5H601KK10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】透磁性および安定性を改善し、カスタマイズされた外観を作成することのできる磁気装置の製造方法を提供する。
【解決手段】複数磁性粉210を含む磁性材料200の一部をエネルギービームLで選択的に照射し、同時に反応ガスGを導入する。照射された磁性材料200を溶融および凝固させて、凝固層214を形成する。凝固層214の外層が反応ガスと反応して、バリア層212を形成することにより、凝固層214とバリア層212で構成された磁気単位を形成する。同じ層の製造プロセスを終了するかどうかを判断し、終了しない場合は、エネルギービームLを磁性材料200の別の部分に移動させる。上記ステップを繰り返して、複数の磁気単位を重ね合わせて、磁性層を形成する。同じ層の製造プロセスを終了する場合は、第1ステップに戻って、磁性層に別の磁性材料を提供する。上記ステップを繰り返して、3D磁気装置を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料を提供するステップと、
前記磁性材料の一部をエネルギービームで選択的に照射し、同時に反応ガスを導入することにより、前記反応ガスで満たされた環境において、前記エネルギービームが前記磁性材料を溶融および凝結させるプロセスを行うとともに、前記磁性材料の照射された前記部分を溶融および凝固させて、凝固層を形成し、前記凝固層の外層が前記反応ガスと反応して、前記凝固層の表面にバリア層を形成することにより、前記凝固層と前記バリア層で構成された磁気単位を形成するステップと、
同じ層の製造プロセスを終了するかどうかを判断し、終了しない場合、前記エネルギービームの経路を制御して、前記エネルギービームを前記磁性材料の別の部分に移動させ、前記凝固層の前記表面を被覆する前記バリア層を有する前記磁気単位を形成する前記ステップを繰り返すとともに、前記凝固層の前記表面を被覆する前記バリア層を有する前記磁気単位を交互に重ね合わせて、磁性層を形成し、前記同じ層の前記製造プロセスを終了する場合、前記磁性層の表面に前記磁性材料の別の層を提供する前記ステップに戻るステップと、
前記磁性層を形成する前記ステップを繰り返して、3D磁気装置を形成するステップと、
を含む磁気装置の製造方法。
【請求項2】
前記反応ガスが、反応性ガスおよび保護性ガスを含む請求項1に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項3】
前記反応性ガスが、水素、酸素、塩素、フッ素、塩化水素、臭化水素、および亜酸化窒素のうちの少なくとも1つを含む請求項2に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項4】
前記保護性ガスが、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、およびクリプトンのうちの少なくとも1つを含む請求項2に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項5】
前記反応ガスで満たされた前記環境における前記反応ガスの濃度が、1.5%〜25%である請求項1に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項6】
各前記磁性層において、複数の前記磁気単位が、配置方向に沿って平行に配置され、周面を介して交互に接続された請求項1に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項7】
各前記磁性層において、前記エネルギービームの前記経路が、前記磁気装置の延伸方向に平行である請求項6に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項8】
隣接する前記磁性層の前記配置方向が、互いに平行であり、前記隣接する前記磁性層における前記磁気単位が、周面を介して交互に積み重ねられた請求項6に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項9】
前記磁気装置の前記延伸方向が、前記磁気単位の前記配置方向に平行である請求項6に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項10】
異なる前記磁性層の複数の前記経路が、互いに交差した請求項6に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項11】
前記隣接する磁性層の前記配置方向が、その間にゼロではない夾角を形成し、前記隣接する磁性層における前記磁気単位が、周面を介して交互に積み重ねられた請求項6に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項12】
前記エネルギービームが、点形式でスキャンする請求項6に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項13】
前記磁性層において、前記隣接する磁気単位の重複領域が、前記エネルギービームの線幅の30%〜80%である請求項1に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項14】
前記磁気装置の前記製造方法が、選択式レーザー焼結(SLS)、選択式レーザー溶融(SLM)、直接金属レーザー焼結(DMLS)、および電子ビーム溶融(EBM)を含む請求項1に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項15】
前記磁気装置の前記製造方法が、レーザー加工ネットシェイピング(LENS)および3Dレーザークラッディングを含む請求項1に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項16】
前記エネルギービームが、レーザービーム、電子ビーム、電弧、または前記ビームのうちの2つ以上を組み合わせた複合エネルギーを含む請求項1に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項17】
前記エネルギービームのエネルギー密度が、1012W/cm3以下である請求項1に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項18】
前記磁性材料が、金属、セラミック、半導体、ポリマー、または前記材料の複合材料である請求項1に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項19】
前記磁性材料が、軟磁性材料または永久磁性材料を含む請求項1に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項20】
前記バリア層が、高抵抗特性を有する請求項1に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項21】
前記磁性材料が、複数の磁性粉を含む請求項1に記載の磁気装置の製造方法。
【請求項22】
前記磁性材料が、磁気板である請求項1に記載の磁気装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造方法に関するものであり、特に、磁気装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、モータの駆動システムの発展に伴い、駆動電力の周波数を制御できるようになったため、変速運転の実現や商用周波数以上の回転数を有することが可能な高速モータが増加している。磁性材料は、モータ等の駆動素子により駆動効果を実現するための鍵である。モータの高速回転プロセスの間、磁性材料は、電磁誘導効果により内部で渦電流現象を起こすことがある。渦電流は、大量の熱を生成するため、磁気装置と外部装置の使用寿命を短縮し、直接的な損傷を与え、発火する可能性もある。また、磁性材料の成形は容易ではないため、上述した問題が様々な設備の開発においてボトルネックにもなっている。
【0003】
既存の磁性材料の成形方法は、主に、ケイ素鋼板(silicon steel sheet)圧縮成形および軟磁性複合(soft magnetic composite, SMC)材料成形を含む。高抵抗層の隔離に基づいて渦電流の流動範囲を制限することによって、渦電流損失の効果および磁性材料の発熱量を減らし、過度の熱によるモータの損壊を防止する。
【0004】
既存の技術のケイ素鋼板圧縮成形は、ケイ素鋼板の成形が非常に制限され、ケイ素鋼板をラミネートすることでしか実現されないため、渦電流損失の問題は、依然として改善の余地がある。既存の技術のSMC材料は、磁性粉および高分子材料を圧縮することによってSMC材料を形成する。高分子材料を圧縮することによって、高抵抗の界面層が形成され、渦電流損失を減らす効果を達成する。しかしながら、高分子界面層は、耐熱温度が低く、透磁率に影響を与えるため、高速モータ装置への応用には適していない。
【0005】
磁性材料が電磁場を受けた時、内部に電磁場が生じて、渦電流(eddy current)と称される誘導電流を生成する。渦電流損失(eddy-currentloss)(Pc)の効果は、ケイ素鋼板の厚さ、モータ回転速度、および磁場の増加とともに、二乗的に増加する。そのため、各ケイ素鋼板の厚さを減らして渦電流の範囲を減らすことができれば、渦電流の効果を大幅に減らすことができる。
【0006】
既存の技術のケイ素鋼板圧縮成形は、上述した原理を用いて厚さの薄い複数のケイ素鋼板をラミネートすることにより渦電流損失を減らす効果を達成するが、既存のケイ素鋼板のラミネート法は、各ケイ素鋼板の厚さが既存の製造プロセスによって制限され、縮小程度が制限されるため、渦電流損失を有効に減らす効果を達成することができない。
【0007】
一方、既存の技術のSMC材料は、SMC材料を複数の小さな磁性材料単位に切断することができるが、既存のSMC材料は、低透磁率、強度不足、放熱効果不良等の問題を有する。
【0008】
モータ等に応用される磁気装置の将来的設計は、小型化、高性能、高回転速度、低発熱量の方向へ徐々に発展するであろう。しかしながら、既存の技術に基づいて製造された製品は、制限されたプロセスによって外観と性能の両方を満たすことができず、磁気装置の開発および改善を大幅に制限する。そのため、いかにして既存のプロセス技術を改善し、渦電流損失が低く、透磁性の高い製品を製造するかが、本業界において早急に解決すべき問題の1つとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
有限要素シミュレーション(finite element simulation)等の関連研究に基づくと、磁性材料の同じ層を複数の小さな単位の組み合わせに切断した場合、磁性材料の性能および発熱現象がさらに改善されるが、ケイ素鋼板の既存のラミネート法は、磁性材料を小さな単位の組み合わせに切断する効果を達成するのが難しい。また、SMC材料は、複数の小さな粒状単位に切断することができるが、低透磁性、強度不足、放熱効果不良等の欠点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下のステップを含む磁気装置の製造方法を提供する。まず、磁性材料を提供する。そして、磁性材料の一部をエネルギービームで選択的に照射し、同時に反応ガスを導入することにより、エネルギービームが磁性材料を溶融および凝結させるプロセスの間、磁性材料を反応ガスで満たされた環境に置く。そして、磁性材料の照射された部分を溶融および凝固させて、凝固層を形成する。凝固層の外層が反応ガスと反応して、凝固層の表面にバリア層を形成することにより、凝固層とバリア層で構成された磁気単位を形成する。そして、同じ層の製造プロセスを終了するかどうかを判断し、終了しない場合は、エネルギービームの経路を制御して、エネルギービームを磁性材料の別の部分に移動させ、凝固層の表面を被覆するバリア層を有する磁気単位を形成するステップを繰り返すとともに、凝固層の表面を被覆するバリア層を有する磁気単位を交互に重ね合わせて、磁性層を形成する。同じ層の製造プロセスを終了する場合は、第1ステップに戻って、磁性層の表面に磁性材料の別の層を提供する。そして、磁性層を形成するステップを繰り返し、3D(three-dimensional)の磁気装置を形成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、電磁誘導電流の渦電流領域および渦電流損失の比率を減らすことにより、磁気装置の透磁性および安定性を改善し、カスタマイズされた外観を作成することのできる磁気装置の製造方法を提供する。
【0012】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)および図1(b)は、本発明の1つの実施形態に係る磁気装置の製造方法の概略図である。
図2】本発明の1つの実施形態に係る磁気装置の製造方法のフローチャートである。
図3-1】図3(a)〜図3(c)は、本発明の1つの実施形態に係る磁気装置の製造方法の概略図である。
図3-2】図3(d)〜図3(e)は、本発明の1つの実施形態に係る磁気装置の製造方法の概略図である。
図4図4(a)は、本発明の第1実施形態に係る磁気装置の製造方法により形成された磁気装置の概略図である。図4(b)は、本発明の第2実施形態に係る磁気装置の製造方法により形成された磁気装置の概略図である。図4(c)は、本発明の第3実施形態に係る磁気装置の製造方法により形成された磁気装置の概略図である。
図5図5(a)〜図5(c)は、磁気装置の製造方法に基づいてピッチを変えることにより形成された磁気装置の配置ピッチの断面図である。
図6図6(a)および図6(b)は、本発明の磁気装置の製造方法により形成された磁気装置の電子顕微鏡ESD元素分布図である。
図7図5(b)の重複領域がエネルギービームLの線幅の75%である場合に製造された磁気装置の透磁性と性能の間の関係の関係グラフである。
図8】本発明の1つの実施形態に係る磁気装置の製造方法の概略図である。
図9】本発明の磁気装置の製造方法により形成された磁気装置の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、電磁誘導電流の渦電流領域および渦電流損失の比率を減らすことにより、磁気装置の透磁性および安定性を改善し、カスタマイズされた外観を作成することのできる磁気装置の製造方法を提供する。
【0015】
以下、いくつかの実施形態が示される添付の図面を参照して、本発明を説明する。本発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、ここに述べる例示的実施形態に制限されると解釈されるべきではない。これらの図面において、各層および各領域の大きさおよび相対的大きさは、明確にするために誇張されている。
【0016】
図1(a)および図1(b)は、本発明の1つの実施形態に係る磁気装置の製造方法の概略図である。図1(a)を参照すると、本発明は、反応ガスGで満たされた環境で、エネルギービームLを用いて磁性材料200の一部を選択的に照射する磁気装置の製造方法を提供する。磁性材料200は、複数の磁性粉210を含み、図1(b)に示すように、照射された局部領域にある磁性粉210は、溶融および凝固して、凝固層214を形成し、凝固層214の外層が反応ガスGと反応して、凝固層214の表面にバリア層212を形成することにより、凝固層214とバリア層212で構成された磁気単位220を形成する。エネルギービームLのスキャン経路を調整することによって、バリア層212を被覆した凝固層214が異なる積層配置を有するため、渦電流Eの分布範囲が制限され、既存の製造プロセスの成形制限を改善するだけでなく、磁性材料の渦電流損失および性能の問題も軽減する。
【0017】
本実施形態において、三次元(3D)印刷技術および付加製造技術を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されない。詳しく説明すると、選択的レーザー焼結(selective laser sintering, SLS)の技術原理は、材料(例えば、粉末)を作業台の上に置き、材料の特定位置にレーザーエネルギービームの焦点を合わせて粉末焼結を行った後、粉末を置いてレーザー焼結を行うステップを繰り返し、1層ずつ積み重ねて3D加工物にする。従来のサブトラクティブ法の加工技術と比較して、付加製造技術は、効率およびコストの面で利点を有し、複雑な物品の生産時間を短縮することができるため、加工機器を交換するのに必要な複数のプロセスと時間を節約し、大量生産とカスタマイズを達成することにより、製造効率を大幅に上げ、既存の製造プロセスの成形制限を克服する。以下、図面を参照しながら、本発明についてさらに説明する。
【0018】
図2は、本発明の1つの実施形態に係る磁気装置の製造方法のフローチャートであり、図3−1(a)〜図3−2(e)は、本発明の1つの実施形態に係る磁気装置の製造方法の概略図である。図2および図3−1(a)〜図3−2(e)を同時に参照して、さらに説明する。
【0019】
図2のステップS1とS2および図3−1(a)を参照すると、形成したい加工物の3Dデジタルモデル画像データに基づいて、磁性材料200をターゲット表面100に1層ずつ提供する。図3−1(a)は、磁性材料200のうちの1層の概略図である。図2のステップS2および図3−1(a)に示すように、提供された磁性材料200は、複数の磁性粉210を含む。磁性材料200は、金属、セラミック、半導体、ポリマー、またはその複合材料を含んでもよい。また、磁性材料200は、軟磁性材料または永久磁性材料も含む。
【0020】
1層の磁性材料200をターゲット表面100に提供した後、図2のステップS3、S4および図3−1(b)に示すように、エネルギービームLを用いて磁性粉210を磁性材料200の一部に選択的に照射し、同時に反応ガスGを導入して、エネルギービームLが磁性材料200を溶融および凝結させるプロセスの間、磁性材料200を反応ガスGで満たされた環境に置く。言及すべきこととして、ステップS3およびS4におけるエネルギービームLの提供および反応ガスGの提供は、優先順位を持たず、エネルギービームLが磁性材料200を照射している間に磁性材料200が反応ガスGに包囲されていれば、本発明の精神を満たすものとみなされる。エネルギービームLは、レーザービーム、電子ビーム、電弧、またはこれらのビームのうちの2つ以上を組み合わせた複合エネルギーであってもよく、エネルギービームLのエネルギー密度は、例えば、1012W/cm3以下である。反応ガスGは、反応性ガス、または反応性ガスと保護ガスを混合したガスであってもよい。反応性ガスは、例えば、磁性材料200と反応して高抵抗のバリア層212を生成するのに適しており、例えば、水素、酸素、塩素、フッ素、塩化水素、臭化水素、亜酸化窒素、またはその組み合わせである。保護ガスは、例えば、磁性材料200と反応して高抵抗のバリア層212を生成しないガスであり、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、またはその組み合わせである。さらに、導入した反応ガスGの濃度は、例えば、1.5%〜25%である。
【0021】
エネルギービームLにより部分的に照射された磁性材料200内の複数の磁性粉210を溶融して、磁気液体を形成し、磁気液体を凝固させて、凝固層214を形成する。また、磁気液体は、反応ガスGで満たされた環境にあるため、隣接する凝固層214の間と凝固層214の表面で反応が起こり、高抵抗特性を有するバリア層212を生成する。
【0022】
図2のステップS3、S4および図3(b)を参照して、詳しく説明すると、エネルギービームLで照射された複数の磁性粉210は、焼結や溶融のような現象を受けやすいため、エネルギービームLを他の領域に移動させた時、照射により溶融した複数の磁性粉210が凝結して、別の凝結層214を形成する。また、凝固プロセスの間に反応ガスGを導入して、磁性材料200が反応ガスGと反応し、凝固層214の表面に高抵抗のバリア層212を形成する。上記のステップの後、図3(b)の拡大図に示すように、凝固層214の表面を被覆するバリア層212を有する磁気単位220が形成される。
【0023】
そして、図2のステップS31、S32および図3−1(c)を参照すると、凝固層214の表面を被覆するバリア層212を有する磁気単位220が形成された後、同じ層の製造プロセスを終了するかどうかを判断し(ステップS31)、同じ層の製造プロセスを終了しない場合は、エネルギービームLの経路Pを制御して、磁性材料200内の磁性粉210の別の部分を照射するようエネルギービームLを移動し、凝固層214の表面を被覆するバリア層212を有する磁気単位220を形成するステップを繰り返す。このようにして、磁性材料200の他の部分にある磁性粉210は、図3−1(b)に示すように、エネルギービームLの照射の下で溶融され、導入した反応ガスGと反応して、凝固層214の表面にバリア層212を形成する。この時、前のステップS3およびステップS32において形成され、凝固層214の表面を被覆するバリア層212をそれぞれ有する磁気単位220は、互いに部分的に重なり合い、磁性層240を形成する。
【0024】
図3−1(c)に示すように、ステップS31およびステップS32において形成され、凝固層214の表面を被覆するバリア層212を有する磁気単位220は、例えば、それぞれ円筒形状を示し、磁気単位220は、互いに平行で、その周面を介して互いに接続される。また、磁気単位220は、図1(b)に示すように、周面を介して互いに重なり合うが、重複領域の大きさは、適用されたエネルギービームLの線幅と間隙により決定される。いくつかの実施形態において、磁気単位220の重複領域は、エネルギービームLの線幅の30%〜80%であるが、本発明はこれに限定されない。
【0025】
そして、交互に重ね合わせた複数の磁気単位220を有する磁性層240を形成するステップS32の後、ステップS31に戻って、同じ層の製造プロセスを終了するかを判断する。終了しない場合は、ステップS32を繰り返し、上述したメカニズムに基づいて、磁性粉210の照射されていない領域の別の経路Pに沿ってエネルギービームLを移動させ、別の磁気単位220を形成する。ステップS31において、同じ層の製造プロセスを終了すると判断した場合(すなわち、磁性層240の単層(single layer)が完了した場合)は、ステップS2に戻って、磁性材料200の別の層を提供し、磁性層240の上部に置いて、磁性層240を形成するための上記ステップS3、S4〜S31およびS32を繰り返し、磁性層240を1層ずつ結合して、図2のステップS5およびS6に示した所定の3D磁気装置300を製造する。
【0026】
詳しく説明すると、図2のステップS1〜S6に基づいて製造される3D磁気装置300は、図3−2(d)および図3−2(e)に示した通り、例えば、超高速モータや特殊回転子等に応用される3D磁気装置であり、磁気装置300は、延伸方向Zを有する。
【0027】
本発明の磁気装置の製造方法は、選択的レーザー焼結(selective laser sintering, SLS)、選択的レーザー溶融(selective laser melting, SLM)、直接金属レーザー焼結(direct metal laser sintering, DMLS)、および電子ビーム溶融(electron beam melting, EBM)を含む粉体層溶融の付加製造技術であってもよい。また、本発明の磁気装置の製造方法は、レーザー加工ネットシェイピング(laser engineering net shaping, LENS)および3Dレーザークラッディング(3D laser cladding)を含む指向性エネルギー堆積の付加製造技術であってもよい。
【0028】
本実施形態において、3D印刷技術および付加製造技術を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されない。上記の技術は、ラピッドプロトタイピング技術の1つに属し、ユーザーによって設計されたデジタルモデル画像データに基づいて必要な製品を直接製造することができ、製品は、どの形状の3D実態であってもよい。
【0029】
本発明の磁気装置の製造方法と従来の製造方法の間の相違点を比較するとわかるように、本発明の磁気装置の製造方法は、さらに、現在の磁気装置のカスタマイズされた設計開発の需要を満たすことができる。詳しく説明すると、現在のSMC材料は、磁性粉と高分子材料の混合物を圧縮することにより形成され、その生成品は、幾何学形状、強度、放熱効果において大きな制限を有する。また、現在のケイ素鋼板の積層プロセスもケイ素鋼板の製造プロセスにより制限されるため、ケイ素鋼板の圧縮成形を容易に行うことができない。これに対し、本発明の磁性材料の製造方法は、異なる材料特性に基づいて酸化の度合いを調整および制御することができるため、複雑な幾何形状を製造することができる。
【0030】
例えば、本実施形態において、磁気装置300の製造方法は、既存の製造技術の障壁を有効に突き破ることができるため、複雑な幾何形状の磁気装置を成形できるだけでなく、磁気装置300の製造方法は、既存の技術の製造方法と比較して、同じ層の磁性材料をより小さな単位に有効に切断することにより、磁性材料の性能を有効に改善し、磁性材料の発熱現象を軽減することができる。そのため、本発明の磁気装置の製造方法は、将来的にモータ等に応用される磁気装置の設計に適しており、小型化、高性能、高速、低発熱量等の発展傾向を実現することができる。
【0031】
詳しく説明すると、本実施形態の3D印刷技術は、異なる装置および材料によって異なる成形メカニズムを有し、例えば、上述したSLSまたはSLMの3D印刷技術は、金属粉やセラミック粉をレーザー光源の照射の下で溶融し、必要な3D実態を焼結する。
【0032】
上述した製造方法により形成された3D磁気装置に関し、磁気装置内のバリア層の空間的分布を調整する方法は、例えば、バリア層の配置順序、配置ピッチ、および配置方向を制御する方法であり、以下の実施形態において詳しく説明する。
【0033】
第1実施形態
【0034】
図4(a)は、本発明の第1実施形態に係る磁気装置の製造方法により形成された磁気装置の概略図である。図4(a)を参照すると、図3−1(b)および図3−1(c)に示したエネルギービームLのスキャン経路Pの配置ピッチを制御することにより、磁気単位220の配置方向を完成品である磁気装置300の延伸方向Zに沿うように制御する。すなわち、エネルギービームLのスキャン経路Pは、磁気装置300の延伸方向Zに平行であるため、バリア層212を被覆した磁気単位220は、完成品である磁気装置300の延伸方向Zに平行に配置される。以下、詳細について説明する。
【0035】
本実施形態において、図4(a)に示すように、説明をわかりやすくするため、各磁性層240が4組の重複した磁気単位220を含み、3つの磁性層240A、240B、240Cを積み重ねた状況を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0036】
図4(a)に示すように、第1磁性層240Aの磁気単位220は、第1配置方向D1に沿って互いに平行に配置され、その周面を介して互いに接続し、部分的に重なり合う。第2磁性層240Bの磁気単位220は、第2配置方向D2に沿って互いに平行に配置され、その周面を介して互いに接続し、部分的に重なり合う。第3磁性層240Cの磁気単位220は、第3配置方向D3に沿って互いに平行に配置され、その周面を介して互いに接続し、部分的に重なり合う。
【0037】
図4(a)からわかるように、第1磁性層240Aの第1配置方向D1、第2磁性層240Bの第2配置方向D2、および第3磁性層240C第3配置方向D3は、いずれも製造された磁気装置300の延伸方向Zに平行であり、それによって、磁気装置300Aが得られる。磁気単位220の延伸方向を一致させることにより、交差空間および全体的製造時間を削減することができる。また、磁気装置300Aの各磁性層240A、240B、240Cにおいて、渦過電流Eは、各磁気単位220の凝固層214の範囲に限定される。
【0038】
第2実施形態
【0039】
図4(b)は、本発明の第2実施形態に係る磁気装置の製造方法により形成された磁気装置の概略図である。本実施形態の磁気装置300Bは、第1実施形態の磁気装置300Aに類似している。磁気装置300Bの異なる層の製造フローに関する図2および図3(c)を参照すると、ステップS31からステップS2に戻る時、エネルギービームLのスキャン経路Pが変わり、異なる磁性層のスキャン経路Pが互いに交差するため、生成された磁気単位220は、交差したスキャン経路Pに基づいて配置され、異なる配置方向で第1磁性層240A、第2磁性層240B、および第3磁性層240Cを段階的に形成する。第1磁性層240A、第2磁性層240B、および第3磁性層240Cの配置方向の交差角は、磁気装置の設計に応じて動的に調整することができる。
【0040】
詳しく説明すると、図4(b)において、第1磁性層240Aの第1配置方向D1および第2磁性層240Bの第2配置方向D2は、これらの間に夾角θを形成する。夾角θは、ゼロではなく、夾角θの範囲は、限定されない。1つの実施形態において、夾角θは、約45度、67度、または90度に設定される。第2磁性層240Bの第2配置方向D2と第3磁性層240C第3配置方向D3の関係も同じである。本実施形態において、夾角θは、例えば、67度であり、それによって、磁気装置300Bが得られる。本実施形態において、磁性層240A、240B、および240Cは、異なる角度で積み重ねられるため、製造された磁気装置300Bは、優れた密度および変形量を有する。また、交差する構造設計は、渦電流Eの流量範囲をさらに小さくするため、優れた磁気装置性能を達成し、発熱量を減らすことができる。本実施形態の磁気装置300Bは、各磁性層240A、240B、および240Cの渦電流Eが、各磁気単位200の凝固層214の範囲に制限される。詳しく説明すると、磁性層240A、240B、および240Cは、異なる角度に沿っているため、生成される渦電流Eの方向は、各磁気単位220の分布位置に応じて異なる。
【0041】
第3実施形態
【0042】
図4(c)は、本発明の第3実施形態に係る磁気装置の製造方法により形成された磁気装置の概略図である。本実施形態の磁気装置300Cは、上述した実施形態の磁気装置300Aおよび300Bに類似している。本実施形態の磁気装置300Cは、エネルギービームLのスキャン経路Pが変わり、点(dot)形式でスキャンを行う。このようにして、スキャン経路Pと二次反復スキャンの交差により生成された磁気単位220を配置して、ブロック構造分布を達成することによって、図4(c)に示すように、平行に配置されたブロック構造分布をそれぞれ有する磁性層240を形成する。
【0043】
詳しく説明すると、第1実施形態および第2実施形態において、各磁気単位220の配置方向は、エネルギービームLの連続したスキャン経路Pにより形成される。しかしながら、第3実施形態において、エネルギービームLのスキャン経路Pは、連続しておらず、点形式で実現される。隣接する磁性層240A、240B、および240Cの磁気単位220は、その周面を介して交互に積み重ねられ、磁気単位220のブロック構造分布を形成するため、磁性層は、内部空間に小分布を有し、渦電流損失を減らす効果を達成する。本実施形態の磁気装置300Cは、各磁性層240A、240B、および240Cの渦電流Eが各磁気単位220の凝固層214の範囲に制限される。
【0044】
上述した3つの実施形態において、異なる応用および巻線方法に基づいて、磁気装置を共同で使用することにより、優れた透磁性を達成し、渦電流損失を減らすことができる。
【0045】
従来のSMC材料または圧縮形成成形されたケイ素鋼板と比較して、磁気装置300A、磁気装置300B、および磁気装置300Cは、各磁性層を小さな磁気単位に切断することができる。各磁気単位220の凝固層214は、バリア層212を被覆し、磁気単位220は、積み重ねられ、3D磁気装置300を形成する。バリア層212は、渦電流損失の効果を有効に減らすことができるため、従来の技術と比較して、磁気装置300A、磁気装置300B、および磁気装置300Cは、いずれも磁気材料の渦電流損失および発熱量を有効に減らす技術効果を有し、モータ等の製造された製品が過熱によって損傷するのを防ぐ。
【0046】
図5(a)〜図5(c)は、磁気装置の製造方法に基づいてピッチを変えることにより形成された磁気装置の配置ピッチの断面図である。上述した第2実施形態に基づいて、エネルギービームLをレーザービームとし、反応ガスを酸素とし、その濃度を5%に設定すると仮定し、且つスキャン経路を調整して、レーザービームのピッチを変えることにより、隣接する磁気単位の重複領域をエネルギービームLの線幅の62.5%、75%、および87.5%とする。形成された磁気装置の配置ピッチの断面の観察結果は、図5(a)〜図5(c)に示した通りである。
【0047】
図5(a)に示すように、重複範囲がエネルギービームLの線幅の62.5%である場合に製造された磁気装置400Aの構造分布については、酸化したバリア層212の被覆分布(covered distribution)が相対的に密集しているが、磁気装置400Aは、エネルギーの一極集中により欠陥を有する可能性が高い。図5(b)に示すように、重複範囲がエネルギービームLの線幅の75%である場合に製造された磁気装置400Bは、比較的優れた密度を有する。図5(c)に示すように、重複範囲(overlapping region)がエネルギービームLの線幅の87.5%である場合に製造された磁気装置400Cは、扁平な(flat)構造分布を有する。
【0048】
図6(a)および図6(b)は、本発明の磁気装置の製造方法により形成された磁気装置の電子顕微鏡ESD元素分布図である。図6(a)および図6(b)からわかるように、バリア層212として用いる酸化層は、磁性粉210を焼結することによって形成された凝固層214の周辺に集中し、凝固層124の内部の酸化成分は、比較的少ない。
【0049】
図7は、図5(b)の重複領域がエネルギービームLの線幅の75%である場合に製造された磁気装置の透磁性と性能の間の関係の関係グラフであり、X軸およびY軸は、それぞれ磁場強度(エルステッド、Oe)および磁化強度(Emu/g)を示す。図7に示すように、従来のケイ素鋼板圧縮成形により製造された磁気装置と比較して、本実施形態の磁気装置400Bの透磁性は、約35%改善された。言及すべきこととして、本実施形態の磁気装置400Bは、異なる磁性材料によって異なる透磁性を有することができる。また、本実施形態の磁気装置400Bは、下記の表に示すように、渦電流損失と熱伝導率の両方において大幅に改善された。
【0050】
【表1】
【0051】
表1からわかるように、従来のSMC材料またはケイ素鋼板圧縮成形により製造された磁気装置と比較して、本発明の磁気装置の製造方法により製造された磁気装置は、透磁性の効果が少なくとも35%、特に、SMC材料により製造された磁気装置と比較して、約4倍改善された(55Emu/gから285Emu/gに改善された)。渦電流損失を見ると、本実施形態の強度は、従来のケイ素鋼板の強度の2倍以上であり、従来のSMC材料の強度の40倍である。熱伝導率を見ると、本実施形態の磁気装置の熱伝導率は、従来のケイ素鋼板の熱伝導率よりも優れており、従来のSMC材料の熱伝導率よりもさらに10倍大きい。また、従来のサブトラクティブ法の加工技術と比較して、本発明の磁気装置の製造技術は、既存の製造技術の障壁を有効に突き破り、カスタマイズされた外観を提供することができるため、効率およびコストの面で利点を有する。
【0052】
第4実施形態
【0053】
図8は、本発明の1つの実施形態に係る磁気装置の製造方法の概略図である。図8を参照すると、本実施形態と図1(a)の実施形態の間の相違点は、磁性材料200が磁気板210’を含むことである。本実施形態において、反応ガスGで満たされた環境において、エネルギービームLを用いて磁性材料200の一部を選択的に照射し、照射された局部領域の磁気板210’を溶融および凝固させて、凝固層214を形成する。凝固層214の外層が反応ガスGの影響を受けて、凝固層214の表面にバリア層212を形成することにより、凝固層214とバリア層212で構成された磁気単位220を形成する。エネルギービームLのスキャン経路を調整することによって、バリア層212を被覆した凝固層214は、異なる積層および配置方法を有するため、渦電流Eの分布範囲を制限することができる。上述した実施形態において詳しいステップを説明したため、ここでは繰り返し説明しない。
【0054】
図9は、本発明の磁気装置の製造方法により形成された磁気装置の外観図である。従来のケイ素鋼板圧縮成形と比較して、巻線密度が比較的大きく、且つより複雑な形状および外観を有する磁気装置を作ることができ、例えば、モータ等の磁気装置の将来的設計と一致するため、容易な製造プロセスを提供するだけでなく、高性能、高速、低発熱量等の要求も満たす。
【0055】
以上の説明からわかるように、本発明の磁気装置の製造方法は、革新的な付加製造技術を提供し、反応ガスを調整することによって、磁性材料の凝固成形プロセスの間に、磁性材料が反応ガスと反応して、凝固層の表面に高抵抗特性を有するバリア層を形成するため、電磁誘導電流の渦電流面積および渦電流損失の比率が減る。それにより、発熱量が減るため、モータ等に応用される磁気装置の効率および安定性を改善するとともに、より自由な成形特徴を有する磁気装置の製造方法を提供する。
【0056】
以上のように、本発明の磁気装置の製造方法は、透磁性を改善するだけでなく、渦電流損失および放熱の問題も大幅に軽減することにより、磁気装置の発熱量が高く、性能が悪い長期問題を克服することができる。また、付加製造技術を用いて様々な軽量小型で複雑な幾何形状を有する磁気装置を製造することができるため、付加製造および磁性材料業界に新規の技術方案を提供することができる。
【0057】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【符号の説明】
【0058】
200 磁性材料
210 磁性粉
210 磁気板
212 バリア層
214 凝固層
220 磁気単位
240 磁性層
240A 第1磁性層
240B 第2磁性層
240C 第3磁性層
300、300A、300B、300C、400A、400B、400C 磁気装置
D1 第1配置方向
D2 第2配置方向
D3 第3配置方向
E 渦電流
G 反応ガス
L エネルギービーム
S1、S2、S3、S31、S32、S4、S5、S6 ステップ
P 経路
Z 延伸方向
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】
2017112344000001.pdf