が入力される入力端子11とPMOSトランジスタMP11のゲートの間に接続された遅延素子D1と、入力端子11とPMOSトランジスタMP11のゲートの間に遅延素子D1と並列に接続されたスイッチ素子SW1と、入力端子11とNMOSトランジスタMN11のゲートの間に接続された遅延素子D2と、入力端子11とNMOSトランジスタMN11のゲートの間に遅延素子D2と並列に接続されたスイッチ素子SW2とを具備する。スイッチ素子SW1、SW2は、出力端子13の電位に応答して動作する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体集積回路は、その高機能化に起因して、消費電力がますます増加する傾向にある。例えば、近年の表示パネルドライバでは、表示パネルの画素数の増加等の要因により、消費電力の増大が顕著になっている。消費電力の低減は、近年の半導体集積回路における重要な課題の一つである。
【0003】
半導体集積回路の消費電力の増加の要因の一つとして、インバータ回路、特に、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)インバータの貫通電流が知られている。以下では、CMOSインバータの貫通電流について議論する。
【0004】
図1は、最も典型的なCMOSインバータ100の構成を示している。CMOSインバータ100は、PMOSトランジスタMP1とNMOSトランジスタMN1とを備えている。PMOSトランジスタMP1、NMOSトランジスタMN1のゲートは、入力信号V
IN1が入力される入力端子101に共通に接続されている。PMOSトランジスタMP1とNMOSトランジスタMN1のドレインは、出力信号V
OUT1を出力する出力端子102に共通に接続されている。PMOSトランジスタMP1のソースは高電位側端子103(例えば、電源端子)に接続され、NMOSトランジスタMN1のソースは低電位側端子104(例えば、接地端子)に接続されている。
図1において、記号“C
LOAD”は、CMOSインバータ100の出力端子102に接続される負荷容量を表している。
【0005】
図2は、
図1のCMOSインバータ100の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図2には、入力信号V
IN1及び出力信号V
OUT1の電位、及び、PMOSトランジスタMP1とNMOSトランジスタMN1とをそれぞれ流れる電流I
p1、I
n1の大きさ|I
p1|、|I
n1|が図示されている。初期状態では、入力信号V
IN1がLowレベル(
図1の動作においては接地電位V
SS)であるとする。この場合、PMOSトランジスタMP1がオン状態、NMOSトランジスタMN1がオフ状態になるため、出力信号V
OUT1がHighレベル(
図1の動作においては電源電位V
DD)になる。
【0006】
入力信号V
IN1がLowレベルからHighレベルに遷移すると、PMOSトランジスタMP1がオフ状態になり、NMOSトランジスタMN1がオン状態になるので、出力信号V
OUT1は、HighレベルからLowレベルに遷移する。詳細には、NMOSトランジスタMN1がオンされることにより負荷容量C
LOADから低電位側端子104にNMOSトランジスタMN1を介して電流が流れ、負荷容量C
LOADから電荷が引き抜かれる。この結果、出力信号V
OUT1がLowレベルになる。なお、
図1において、時刻t
1は、入力信号V
IN1のLowレベルからHighレベルへの遷移が開始される時刻を示しており、時刻t
2は、出力信号V
OUT1がLowレベルになる時刻を表している。出力信号V
OUT1は、時刻t
1から立ち下がり時間t
F1だけ遅れた時刻t
2にLowレベルになる。
【0007】
ここで、時刻t
1から時刻t
2の間においては、PMOSトランジスタMP1とNMOSトランジスタMN1の両方がオン状態になる時間が存在し、当該時間においては、PMOSトランジスタMP1とNMOSトランジスタMN1との両方に電流が流れる。即ち、出力信号V
OUT1がHighレベルからLowレベルに遷移する時刻t
1と時刻t
2の間の時間において、貫通電流が流れてしまう。
【0008】
入力信号V
IN1がHighレベルからLowレベルに遷移する場合も同様である。時刻t
3において、入力信号V
IN1のHighレベルからLowレベルへの遷移が開始されると、時刻t
3から立ち上がり時間t
R1だけ遅れた時刻t
4に出力信号V
OUT1がHighレベルに立ち上がる。ここで、時刻t
3から時刻t
4の間において、PMOSトランジスタMP1とNMOSトランジスタMN1の両方がオン状態になる時間が存在し、当該時間においてPMOSトランジスタMP1とNMOSトランジスタMN1との両方に電流が流れる。言い換えれば、出力信号V
OUT1がLowレベルからHighレベルに遷移する時刻t
3とから時刻t
4の間において、貫通電流が流れてしまう。
【0009】
貫通電流の低減のための技術は、様々に提案されている。例えば、特開2005−175550号公報(特許文献1)及び特開2010−178038号公報(特許文献2)は、遅延素子(遅延回路)を用いてCMOSインバータのトランジスタ(NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタ)がオンオフするタイミングを制御することで貫通電流を低減する技術を開示している。また、特開2011−87036号公報(特許文献3)は、出力信号を出力する共通ノードの電圧を検知し、その検知結果に応じてCMOSインバータのトランジスタのオンオフを制御する検知回路を備える出力バッファ回路を開示している。
【0010】
しかしながら、発明者の検討によれば、公知の貫通電流の低減のための技術には改善の余地がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、添付図面においては、同一、類似又は対応する構成要素を同一又は類似の参照番号により参照することがあることに留意されたい。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態のインバータ回路10の構成を示す回路図である。インバータ回路10は、入力端子11に入力された入力信号V
IN2に応答して、出力端子12から出力信号V
OUT2を出力するように構成されている。インバータ回路10は、PMOSトランジスタMP11と、NMOSトランジスタMN11と、遅延素子D1、D2と、スイッチ素子SW1、SW2とを備えている。
図3において、記号“C
LOAD”は、インバータ回路10の出力端子12に接続される負荷容量を表している。なお、当業者には周知であるように、PMOSトランジスタは、PチャネルMISFET(metal insulator semiconductor field effect transistor)の一種であり、NMOSトランジスタは、NチャネルMISFETの一種である。
【0019】
PMOSトランジスタMP11は、ドレインが出力端子12に接続され、ソースが高電位側端子13(例えば、電源端子)に接続されている。本実施形態では、高電位側端子13は、電源電位V
DD1に固定されている。NMOSトランジスタMN11は、ドレインが出力端子12に接続され、ソースが低電位側端子14(例えば、接地端子)に接続されている。本実施形態では、低電位側端子14は、接地電位V
SSに固定されている。
【0020】
PMOSトランジスタMP11のゲートと入力端子11の間に、遅延素子D1とスイッチ素子SW1とが並列に接続されており、NMOSトランジスタMN11のゲートと入力端子11の間に、遅延素子D2とスイッチ素子SW2とが並列に接続されている。遅延素子D1、D2は、入力信号V
IN2を遅延し、遅延した入力信号V
IN2を出力する。遅延素子D1、D2は、1つの回路素子で構成されてもよいし、又は2つ以上の回路素子から構成されてもよい。同様に、スイッチ素子SW1、SW2は、1つの回路素子で構成されてもよいし、又は2つ以上の回路素子から構成されてもよい。
【0021】
スイッチ素子SW1、SW2は、いずれも、出力端子12の電位に応答して動作する。本実施形態では、スイッチ素子SW1、SW2は、一方がオンである場合に他方がオフされるように動作する。詳細には、スイッチ素子SW1は、出力端子12がHighレベル(本実施形態では、電源電位V
DD1)である場合にオンし、出力端子12がLowレベル(本実施形態では、接地電位V
SS)である場合にオフするように構成される。一方、スイッチ素子SW2は、出力端子12がHighレベルである場合にオフし、出力端子12がLowレベルである場合にオンするように構成される。
【0022】
このような構成のインバータ回路10は、簡便な回路構成でありながら、貫通電流を有効に低減できる。
図4は、本実施形態のインバータ回路10の動作の例を示すタイミングチャートである。
図4には、入力信号V
IN2及び出力信号V
OUT2の電位、PMOSトランジスタMP11及びNMOSトランジスタMN11のゲート電位V
gp2、V
gn2、並びに、PMOSトランジスタMP11とNMOSトランジスタMN11とをそれぞれ流れる電流I
p2、I
n2の大きさ|I
p2|、|I
n2|が図示されている。
図4には、遅延素子D1、D2の遅延時間が、いずれもT
Dであるとしてインバータ回路10の動作が図示されている。
【0023】
以下の説明においては、初期状態において、入力信号V
IN2がLowレベル(接地電位V
SS)であるとする。この場合、PMOSトランジスタMP11がオン状態、NMOSトランジスタMN11がオフ状態になるため、出力信号V
OUT2がHighレベル(電源電位V
DD)になる。
【0024】
出力信号V
OUT2がHighレベルであると、スイッチ素子SW1がオンになり、スイッチ素子SW2がオフになる。スイッチ素子SW1がオンになると、入力端子11とPMOSトランジスタMP11のゲートとを遅延素子D1を通過せずに電気的に接続する経路が形成される。一方、スイッチ素子SW2はオフであるので、入力端子11とNMOSトランジスタMN11のゲートとは、遅延素子D2を介して電気的に接続される。
【0025】
この状態において、入力信号V
IN2がLowレベルからHighレベルに遷移したとする。
図4において、入力信号V
IN2のLowレベルからHighレベルへの遷移が開始される時刻は、記号“t
11”で示されている。
【0026】
時刻t
11においては、スイッチ素子SW1がオンであり、入力端子11とPMOSトランジスタMP11のゲートとが遅延素子D1を通過せずに電気的に接続されているので、PMOSトランジスタMP11のゲート電位G
gp2については入力信号V
IN2からの遅延が実質的に発生しない。よって、PMOSトランジスタMP11のゲート電位G
gp2は、入力信号V
IN2のLowレベルからHighレベルへの遷移と実質的に同時にLowレベルからHighレベルに遷移する。
【0027】
一方、時刻t
11においては、スイッチ素子SW2がオフであり、入力端子11とNMOSトランジスタMN11のゲートとが遅延素子D2を介して電気的に接続されているので、NMOSトランジスタMN11のゲート電位G
gn2は、入力信号V
IN2から遅延時間T
Dだけ遅れてLowレベルからHighレベルへの遷移を開始する。
図4では、NMOSトランジスタMN11のゲート電位G
gn2のLowレベルからHighレベルへの遷移が開始する時刻が記号“t
12”で示されている。
【0028】
NMOSトランジスタMN11のゲート電位G
gn2がHighレベルになり、NMOSトランジスタMN11がオン状態になると、出力信号V
OUT2は、HighレベルからLowレベルに遷移する。詳細には、NMOSトランジスタMN11がオンされることにより負荷容量C
LOADから低電位側端子14にNMOSトランジスタMN11を介して電流が流れ、負荷容量C
LOADから電荷が引き抜かれる。この結果、出力信号V
OUT2がLowレベルになる。
図4では、出力信号V
OUT2がLowレベルになった時刻が、記号“t
13”で示されている。
【0029】
このような動作では、NMOSトランジスタMN11がオフ状態からオン状態に遷移するタイミングは、PMOSトランジスタMP11がオン状態からオフ状態に遷移するタイミングから遅延素子D2の遅延時間T
Dだけ遅れる。このため、NMOSトランジスタMN11とPMOSトランジスタMP11との両方がオン状態である時間を短縮し、貫通電流を低減することができる。
【0030】
理想的な場合には、遅延素子D2の遅延時間T
Dを十分に長くすることにより、NMOSトランジスタMN11とPMOSトランジスタMP11との両方がオン状態になる時間をゼロにすることも可能である。この場合、貫通電流は、実質的にゼロになる。ただし、遅延素子D2の遅延時間T
Dが短くても、NMOSトランジスタMN11とPMOSトランジスタMP11との両方がオン状態である時間を短縮することができるので、貫通電流を低減する効果は得られることに留意すべきである。
図4には、遅延素子D2の遅延時間T
DがPMOSトランジスタMP11のゲート電位G
gp2の立ち上がり時間よりも長く、NMOSトランジスタMN11とPMOSトランジスタMP11との両方がオン状態になる時間がゼロである動作が図示されている。
【0031】
入力信号V
IN2がHighレベルからLowレベルに遷移する場合も同様である。
図4において、入力信号V
IN2のHighレベルからLowレベルへの遷移が開始される時刻は、記号“t
14”で示されている。
【0032】
時刻t
14においては、スイッチ素子SW2がオンであり、入力端子11とNMOSトランジスタMN11のゲートとが遅延素子D2を通過せずに電気的に接続されているので、NMOSトランジスタMN11のゲート電位G
gn2については入力信号V
IN2からの遅延が実質的に発生しない。よって、NMOSトランジスタMN11のゲート電位G
gn2は、入力信号V
IN2のHighレベルからLowレベルへの遷移と実質的に同時にHighレベルからLowレベルに遷移する。
【0033】
一方、時刻t
14においては、スイッチ素子SW1がオフであり、入力端子11とPMOSトランジスタMP11のゲートとが遅延素子D1を介して電気的に接続されているので、PMOSトランジスタMP11のゲート電位G
gp2は、入力信号V
IN2から遅延時間T
Dだけ遅れてHighレベルからLowレベルへの遷移を開始する。
図4では、PMOSトランジスタMP11のゲート電位G
gp2のHighレベルからLowレベルへの遷移が開始する時刻が記号“t
15”で示されている。
【0034】
PMOSトランジスタMP11のゲート電位G
gp2がLowレベルになり、PMOSトランジスタMP11がオン状態になると、出力信号V
OUT2は、LowレベルからHighレベルに遷移する。詳細には、PMOSトランジスタMP11がオンされることにより高電位側端子13から負荷容量C
LOADにPMOSトランジスタMP11を介して電流が流れ、負荷容量C
LOADが充電される。この結果、出力信号V
OUT2がHighレベルになる。
図4では、出力信号V
OUT2がHighレベルになった時刻が、記号“t
16”で示されている。
【0035】
このような動作では、PMOSトランジスタMP11がオフ状態からオン状態に遷移するタイミングは、NMOSトランジスタMN11がオン状態からオフ状態に遷移するタイミングから遅延素子D1の遅延時間T
Dだけ遅れる。このため、NMOSトランジスタMN11とPMOSトランジスタMP11との両方がオン状態である時間を短縮し、貫通電流を低減することができる。
【0036】
理想的な場合には、遅延素子D1の遅延時間T
Dを十分に長くすることにより、NMOSトランジスタMN11とPMOSトランジスタMP11との両方がオン状態になる時間をゼロにすることも可能である。この場合、貫通電流は、実質的にゼロになる。ただし、遅延素子D1の遅延時間T
Dが短くても、NMOSトランジスタMN11とPMOSトランジスタMP11との両方がオン状態である時間を短縮することができるので、貫通電流を低減する効果は得られることに留意すべきである。
図4には、遅延素子D1の遅延時間T
DがNMOSトランジスタMN11のゲート電位G
gn2の立ち上がり時間よりも長く、NMOSトランジスタMN11とPMOSトランジスタMP11との両方がオン状態になる時間がゼロである動作が図示されている。
【0037】
以下では、本実施形態のインバータ回路10のより具体的な実施例について説明する。
【0038】
図5は、一実施例におけるインバータ回路10Aの構成を示す回路図である。
図5の回路構成では、
図4のインバータ回路10における遅延素子D1、D2として、それぞれ、抵抗素子R1、R2が用いられる。抵抗素子R1、R2としては、例えば、ポリシリコン抵抗や拡散抵抗が用いられてもよい。また、後述されるように、抵抗素子R1、R2としては、ゲートの電位が固定されたMOSトランジスタが用いられてもよい。
【0039】
また、
図4のインバータ回路10におけるスイッチ素子SW1としてNMOSトランジスタMN12が用いられ、スイッチ素子SW2としてPMOSトランジスタMP13が用いられる。NMOSトランジスタMN12は、そのソース及びドレインの一方が入力端子11に接続され、他方がPMOSトランジスタMP11のゲートに接続される。PMOSトランジスタMP13は、そのソース及びドレインの一方が入力端子11に接続され、他方がNMOSトランジスタMN11のゲートに接続される。
【0040】
図5の構成によれば、簡便な構成でありながら、
図4に示された動作を実現し、貫通電流を有効に低減することができる。加えて、遅延素子D1、D2として抵抗素子R1、R2が用いられる
図5の構成は、遅延素子D1、D2それ自体の消費電力が小さいという利点がある。例えば、遅延素子D1、D2として直列接続されたインバータを用いると、遅延素子D1、D2それ自体における消費電力が増大するという問題が生じ得る。遅延素子D1、D2として受動素子である抵抗素子R1、R2を用いれば、このような問題は生じない。
【0041】
抵抗素子R1、R2の抵抗値は、抵抗素子R1、R2において発生する遅延、即ち、
PMOSトランジスタMP11、NMOSトランジスタMN11のゲート電位V
gp2、V
gn2の入力信号V
IN2からの遅延時間に影響し、よって、出力信号V
OUT2の立ち上がり時間(即ち、入力信号V
IN2がHighレベルからLowレベルに立ち下がってから出力信号V
OUT2がLowレベルからHighレベルに遷移するのに要する時間)及び立ち下がり時間(即ち、出力信号V
OUT2がHighレベルからLowレベルに遷移するのに要する時間)に影響する。例えば、抵抗素子R1の抵抗値が増大すると、PMOSトランジスタMP11のゲート電位V
gp2の入力信号V
IN2からの遅延時間が増大し、よって、出力信号V
OUT2の立ち上がり時間が長くなる。同様に、抵抗素子R2の抵抗値が増大すると、NMOSトランジスタMN11のゲート電位V
gn2の入力信号V
IN2からの遅延時間が増大し、よって、出力信号V
OUT2の立ち下がり時間が長くなってしまう。
【0042】
出力信号V
OUT2の立ち上がり時間及び立ち下がり時間は、それぞれ、PMOSトランジスタMP11、NMOSトランジスタMN11のゲート容量にも依存する。詳細には、出力信号V
OUT2の立ち上がり時間は、PMOSトランジスタMP11のゲート電位V
gp2の立ち下がり時間に依存し、PMOSトランジスタMP11のゲート電位V
gp2の立ち下がり時間は、抵抗素子R1の抵抗値R
R1とPMOSトランジスタMP11のゲート容量C
GP11とで定まる時定数R
R1・C
GP11に依存する。同様に、出力信号V
OUT2の立ち下がり時間は、NMOSトランジスタMN11のゲート電位V
gn2の立ち上がり時間に依存し、NMOSトランジスタMN11のゲート電位V
gp2の立ち上がり時間は、抵抗素子R2の抵抗値R
R2とNMOSトランジスタMN11のゲート容量C
GN11とで定まる時定数R
R2・C
GN11に依存する。出力信号V
OUT2の立ち上がり時間と立ち下がり時間との差異が大きいと、設計上の問題が生じ得る。
【0043】
出力信号V
OUT2の立ち上がり時間と立ち下がり時間との差異を小さくするためには、抵抗素子R1、R2の抵抗値R
R1、R
R2は、下記の条件を満たすことが望ましい。
【数1】
ここで、C
GP11、C
GN11は、それぞれ、PMOSトランジスタMP11、NMOSトランジスタMN11のゲート容量である。抵抗素子R1、R2の抵抗値R
R1、R
R2は、下記の条件を満たすことがより望ましい。
【数2】
【0044】
図6は、他の実施例におけるインバータ回路10Bの構成を示す回路図である。
図6の回路構成では、
図5の回路構成と同様に、
図4のインバータ回路10における遅延素子D1、D2として、それぞれ、抵抗素子R1、R2が用いられる。
【0045】
また、
図4のインバータ回路10におけるスイッチ素子SW1、SW2としてトランスファーゲート15、16が用いられる。加えて、トランスファーゲート15、16を動作させるためにインバータIV1が設けられる。インバータIV1は、その入力が出力端子12に接続されており、出力端子12から出力される出力信号V
OUT2と相補の信号を出力する。
【0046】
トランスファーゲート15は、ソースが共通に接続され、且つ、ドレインが共通に接続されたPMOSトランジスタMP12及びNMOSトランジスタMN12を備えている。PMOSトランジスタMP12及びNMOSトランジスタMN12の共通接続されたソース(又は共通接続されたドレイン)が入力端子11に接続されており、共通接続されたドレイン(又は共通接続されたソース)がPMOSトランジスタMP11のゲートに接続されている。PMOSトランジスタMP12のゲートは、インバータIV1の出力に接続され、NMOSトランジスタMN12のゲートは、出力端子12に接続されている。
【0047】
同様に、トランスファーゲート16は、ソースが共通に接続され、且つ、ドレインが共通に接続されたPMOSトランジスタMP13及びNMOSトランジスタMN13を備えている。PMOSトランジスタMP13及びNMOSトランジスタMN13の共通接続されたソース(又は共通接続されたドレイン)が入力端子11に接続されており、共通接続されたドレイン(又は共通接続されたソース)がNMOSトランジスタMN11のゲートに接続されている。PMOSトランジスタMP13のゲートは、出力端子12に接続され、NMOSトランジスタMN13のゲートは、インバータIV1の出力に接続されている。
【0048】
図6の回路構成によっても
図4に図示された動作が実現できることは、当業者には容易に理解されよう。
【0049】
図7は、更に他の実施例におけるインバータ回路10Cの構成を示す回路図である。
図7の回路構成では、
図4のインバータ回路10における遅延素子D1、D2として、それぞれ、PMOSトランジスタ、NMOSトランジスタのゲートの電位が固定されたトランスファーゲート17、18が用いられる。
【0050】
詳細には、トランスファーゲート17は、ソースが共通に接続され、且つ、ドレインが共通に接続されたPMOSトランジスタMP14及びNMOSトランジスタMN14を備えている。PMOSトランジスタMP14及びNMOSトランジスタMN14の共通接続されたソース(又は共通接続されたドレイン)が、入力端子11に接続されており、共通接続されたドレイン(又は共通接続されたソース)がPMOSトランジスタMP11のゲートに接続されている。PMOSトランジスタMP14のゲートは接地電位V
SSに固定され、NMOSトランジスタMN14のゲートは、電源電位V
DD1に固定されている。
【0051】
一方、トランスファーゲート18は、ソースが共通に接続され、且つ、ドレインが共通に接続されたPMOSトランジスタMP15及びNMOSトランジスタMN15を備えている。PMOSトランジスタMP15及びNMOSトランジスタMN15の共通接続されたソース(又は共通接続されたドレイン)が、入力端子11に接続されており、共通接続されたドレイン(又は共通接続されたソース)がNMOSトランジスタMN11のゲートに接続されている。PMOSトランジスタMP15のゲートは接地電位V
SSに固定され、NMOSトランジスタMN15のゲートは、電源電位V
DD1に固定されている。
【0052】
また、
図7の回路構成では、
図6の回路構成と同様に、
図4のインバータ回路10におけるスイッチ素子SW1、SW2としてトランスファーゲート15、16が用いられる。加えて、トランスファーゲート15、16を動作させるためにインバータIV1が設けられる。インバータIV1は、その入力が出力端子12に接続されており、出力端子12から出力される出力信号V
OUT2と相補の信号を出力する。
【0053】
トランスファーゲート15は、ソースが共通に接続され、且つ、ドレインが共通に接続されたPMOSトランジスタMP12及びNMOSトランジスタMN12を備えている。PMOSトランジスタMP12及びNMOSトランジスタMN12の共通接続されたソース(又は共通接続されたドレイン)が入力端子11に接続されており、共通接続されたドレイン(又は共通接続されたソース)がPMOSトランジスタMP11のゲートに接続されている。PMOSトランジスタMP12のゲートは、インバータIV1の出力に接続され、NMOSトランジスタMN12のゲートは、出力端子12に接続されている。
【0054】
同様に、トランスファーゲート16は、ソースが共通に接続され、且つ、ドレインが共通に接続されたPMOSトランジスタMP13及びNMOSトランジスタMN13を備えている。PMOSトランジスタMP13及びNMOSトランジスタMN13の共通接続されたソース(又は共通接続されたドレイン)が入力端子11に接続されており、共通接続されたドレイン(又は共通接続されたソース)がNMOSトランジスタMN11のゲートに接続されている。PMOSトランジスタMP13のゲートは、出力端子12に接続され、NMOSトランジスタMN13のゲートは、インバータIV1の出力に接続されている。
【0055】
図7の回路構成によっても
図4に図示された動作が実現できることは、当業者には容易に理解されよう。
【0056】
本実施形態のインバータ回路(10、10A〜10C)は、半導体集積回路に集積化される様々な回路において使用され得る。本実施形態のインバータ回路は、特に、高速動作は要求されないが大きな駆動能力を要求される出力段として使用されることが好適である。以下では、本実施形態のインバータ回路の好適な応用例について記載する。なお、以下では、
図5に図示されたインバータ回路10Aが用いられる応用例が記載されるが、インバータ回路10Aの代わりに、
図3、
図6、
図7に図示されているインバータ回路10、10B、10Cを用いてもよいことに留意されたい。
【0057】
図8は、本実施形態のインバータ回路10Aを用いたレベルシフタ30の構成の例を示す回路図である。
図8のレベルシフタ30においては、インバータ回路10Aが出力段として用いられる。
【0058】
詳細には、レベルシフタ30は、インバータIV2と、NMOSトランジスタMN16、MN17と、PMOSトランジスタMP16、MP17と、
図5に図示された構成のインバータ回路10Aを備えている。以下では、レベルシフタ30の構成について詳細に説明する。
【0059】
レベルシフタ30の入力端子31は、NMOSトランジスタMN17のゲートに接続されると共に、インバータIV2を介してNMOSトランジスタMN16のゲートに接続されている。NMOSトランジスタMN16は、そのドレインがノード32に接続されており、ソースが低電位側端子33に接続されている。NMOSトランジスタMN17は、そのドレインがノード34に接続されており、ソースが低電位側端子35に接続されている。PMOSトランジスタMP16は、そのドレインがノード32に接続されており、ソースが高電位側端子36に接続されており、ゲートがノード34に接続されている。PMOSトランジスタMP17は、そのドレインがノード34に接続されており、ソースが高電位側端子37に接続されており、ゲートがノード32に接続されている。高電位側端子36、37は、いずれも、電源電位V
DD1に固定されている。ノード34が、インバータ回路10Aの入力端子11に接続される。
【0060】
このような構成のレベルシフタ30は、入力端子31に入力された入力信号V
INに対してレベルシフトを行って出力信号V
OUTを生成する。即ち、入力信号V
INとしてHighレベルがV
DD2(<V
DD1)でありLowレベルが接地電位V
SSである信号が入力されると、レベルシフタ30は、該入力信号V
INに応答して、HighレベルがV
DD1でありLowレベルが接地電位V
SSである出力信号V
OUTを出力する。
【0061】
図9は、本実施形態のインバータ回路10Aを用いた発振回路40の構成の例を示す回路図である。
図9の発振回路40においても、インバータ回路10Aが出力段として用いられる。
【0062】
発振回路40は、発振部41とインバータ回路10Aとを備えている。発振部41は、発振動作を行って周期信号を生成するように構成されており、インバータIV3〜IV5と、抵抗素子R3と、容量素子C1とを備えている。インバータIV3〜IV5は、ノード42、43の間に直列に接続されている。抵抗素子R3は、ノード42、43の間にインバータIV3〜IV5に並列に接続されている。容量素子C1は、インバータIV4の出力(インバータIV5の入力)とノード42の間に接続されている。このような構成では、発振部41は、矩形波の周期信号を生成する。
【0063】
インバータ回路10Aの入力端子11は、ノード43に接続されており、インバータ回路10Aは、発振部41によって生成された周期信号に対応する波形を有する出力信号V
OUT2を出力する。
図9に図示されている構成では、出力信号V
OUT2として矩形波の周期信号を出力端子12から出力することになる。出力端子12を駆動する駆動能力は、インバータ回路10AのPMOSトランジスタMP11、NMOSトランジスタMN11の駆動能力(より具体的には、ゲート幅)によって調節可能である。
【0064】
図10は、本実施形態のインバータ回路10Aを用いた外部出力回路50の構成の例を示す回路図である。
図10の外部出力回路50は、当該外部出力回路50が集積化された半導体ICチップ(integrated circuit chip)の外部にあるデバイスに信号を出力するように構成されており、例えば、液晶表示パネルに集積化されたGIP(gate in panel)回路に制御信号S
OUTを供給する制御出力回路(しばしば、パネルインターフェース回路と呼ばれる)に適用される。ここで、GIP回路とは、液晶表示パネルのゲート線を駆動する回路であり、SOG(system on glass)技術を用いて液晶表示パネルのガラス基板上に集積化される。
図10の外部出力回路50においても、インバータ回路10Aが出力段として用いられる。
【0065】
外部出力回路50は、制御ロジック51と、レベルシフタ52と、インバータ回路10Aとを備えている。制御ロジック51は、外部から供給される制御信号S
LOGICに応答して、制御信号S
OUTと同一論理の論理信号を出力する。レベルシフタ52は、制御ロジック51から受け取った論理信号に対してレベルシフトを行う。
図10の構成では、レベルシフタ52は、制御ロジック51から受け取った論理信号と相補の論理の論理信号を出力する。レベルシフタ52の出力が、インバータ回路10Aの入力端子11として用いられる。
【0066】
図10の構成では、インバータ回路10Aの高電位側端子13がゲート線のHighレベルの電位V
GHに固定され、低電位側端子14がゲート線のLowレベルの電位V
GLに固定される。このような構成によれば、Highレベルが電位V
GHであり、Lowレベルが電位V
GLであるように生成された制御信号S
OUTをGIP回路に供給することができる。
【0067】
図11は、本実施形態のインバータ回路10Aを含むレベルシフタを用いて構成されたチャージポンプ回路60の構成の例を示す回路図である。チャージポンプ回路60は、制御ロジック61と、レベルシフタ62〜65と、PMOSトランジスタMP21〜MP23と、NMOSトランジスタMN21と、キャパシタC2とを備えている。
【0068】
制御ロジック61は、外部から供給されるクロック信号S
LOGICに応答して、PMOSトランジスタMP21〜MP23と、NMOSトランジスタMN21のオンオフを制御する制御信号を出力する。
【0069】
レベルシフタ62〜64は、それぞれ、制御ロジック61から受け取った制御信号に対してレベルシフトを行って、PMOSトランジスタMP21〜MP23のゲートを駆動するゲート駆動信号を生成する。レベルシフタ62、64は、制御ロジック61から受け取った制御信号と同一の論理のゲート駆動信号を生成し、レベルシフタ63は、制御ロジック61から受け取った制御信号と相補の論理のゲート駆動信号を生成する。
【0070】
レベルシフタ65は、それぞれ、制御ロジック61から受け取った制御信号に対してレベルシフトを行って、NMOSトランジスタMN21のゲートを駆動するゲート駆動信号を生成する。レベルシフタ65は、制御ロジック61から受け取った制御信号と同一の論理のゲート駆動信号を生成する。
【0071】
ここで、本実施形態では、レベルシフタ62〜65として、
図8に図示された構成のレベルシフタが用いられる。ただし、制御ロジック61から受け取った制御信号と相補の論理のゲート駆動信号を生成するレベルシフタ62については、インバータ回路10Aの入力端子11が(ノード34でなく)ノード32に接続される。
【0072】
PMOSトランジスタMP21は、ソースが高電位側端子67に接続され、ドレインがノード68に接続されている。本実施形態では、高電位側端子67が、安定化電源で生成された電源電位V
CIPに固定される。NMOSトランジスタMN21は、ドレインがノード68に接続され、ソースが低電位側端子69に接続される。本実施形態では、低電位側端子69は、アナログ回路用の接地電位AGNDに固定される。
【0073】
キャパシタC2は、ノード68とノード70の間に接続される。キャパシタC2は、昇圧動作のために用いられる。
【0074】
PMOSトランジスタMP22は、ソースが高電位側端子71に接続され、ドレインがノード70に接続されている。本実施形態では、高電位側端子71が、電源電位V
CIPに固定される。上述のように、電源電位V
CIPは、安定化電源によって生成される。
【0075】
PMOSトランジスタMP23は、ソースがノード70に接続され、ドレインが出力端子72に接続される。
【0076】
図11に図示された構成のチャージポンプ回路60は、クロック信号CLKの供給を受けると、キャパシタC2を用いた昇圧動作を行い、電源電位V
CIPの2倍の電位を有する電位V
GHを出力端子72に生成する。
【0077】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されると解釈してはならない。本発明が様々な変更と共に実施され得ることは、当業者には自明的であろう。