特開2017-112767(P2017-112767A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 村田機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2017112767-リニアモータシステム 図000003
  • 特開2017112767-リニアモータシステム 図000004
  • 特開2017112767-リニアモータシステム 図000005
  • 特開2017112767-リニアモータシステム 図000006
  • 特開2017112767-リニアモータシステム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-112767(P2017-112767A)
(43)【公開日】2017年6月22日
(54)【発明の名称】リニアモータシステム
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20170526BHJP
【FI】
   H02K41/03 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-246317(P2015-246317)
(22)【出願日】2015年12月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【弁理士】
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】角口 謙治
【テーマコード(参考)】
5H641
【Fターム(参考)】
5H641BB06
5H641BB19
5H641GG02
5H641GG04
5H641GG08
5H641GG11
5H641GG12
5H641HH03
5H641JB09
(57)【要約】
【課題】可動子に応じた固定子を容易に作製すること。
【解決手段】リニアモータシステム1は、可動子2と、可動子2の進行経路Rに沿って配列された複数の固定子3と、を備える。固定子3は、進行経路Rに沿って配列されたコア31u及びコア31vと、コア31u及びコア31vを連結する連結部材33uvと、上下方向に延びる軸線AXuを軸としてコア31uに巻回されたコイル32uと、上下方向に延びる軸線AXvを軸としてコア31vに巻回されたコイル32vと、を有し、コア31u及びコア31vは、進行経路Rに沿って積層された複数の鋼板34を有し、可動子2は、上下方向において固定子3を挟む一対の壁部21,22と、進行経路Rに沿って一対の壁部21,22にそれぞれ設けられた複数の磁石24と、を有し、複数の磁石24のうち、固定子3を挟んで対向する一対の磁石24は、異なる極性を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動子と、
前記可動子の進行経路に沿って配列された複数の固定子と、
を備えるリニアモータシステムであって、
前記複数の固定子のそれぞれは、前記進行経路に沿って配列された第1コア及び第2コアと、前記第1コア及び前記第2コアを連結する連結部と、前記進行経路と交差する交差方向に延びる第1軸線を軸として前記第1コアに巻回された第1コイルと、前記交差方向に延びる第2軸線を軸として前記第2コアに巻回された第2コイルと、を有し、
前記第1コア及び前記第2コアは、前記進行経路に沿って積層された複数の鋼板を有し、
前記可動子は、前記交差方向において前記固定子を挟む一対の壁部と、前記進行経路に沿って前記一対の壁部にそれぞれ設けられた複数の磁石と、を有し、
前記複数の磁石のうち、前記固定子を挟んで対向する一対の磁石は、異なる極性を有する、リニアモータシステム。
【請求項2】
前記連結部は非磁性体である、請求項1に記載のリニアモータシステム。
【請求項3】
前記進行経路はカーブ区間を含み、
前記複数の固定子のうちの前記カーブ区間に配置される固定子が有する前記連結部は、前記交差方向から見て台形又は扇形の形状を有する、請求項1又は請求項2に記載のリニアモータシステム。
【請求項4】
前記固定子は、前記第1コアと前記連結部とを接続する接続部材をさらに備え、
前記第1コアの前記連結部と対向する鋼板には、第1凹部が設けられ、
前記連結部の前記第1コアと対向する面には、第2凹部が設けられ、
前記接続部材の一端が前記第1凹部に嵌め合わされ、前記接続部材の他端が前記第2凹部に嵌め合わされことによって、前記第1コアと前記連結部とが連結される、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のリニアモータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コアとコアに巻き回されたコイルとを備える固定子を地上側に設置した地上一次式のリニアモータシステムが知られている。例えば、特許文献1には、外周にコイルが巻き回された鉄心歯部が、継鉄部に所定間隔で形成された嵌合溝に嵌合された一次側コイルを備えるリニアモータ(リニアモータシステム)が記載されている。このリニアモータシステムでは、プレスにて打ち抜かれた複数枚の鉄心を積層することによって鉄心歯部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−130765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、可動子の進行方向に沿ったコアのサイズは、可動子が備える隣り合う磁石間のピッチに応じて決定される。特許文献1に記載のリニアモータシステムでは、可動子の進行方向に対して直交する方向に鉄心が積層されているので、磁石のピッチが変更されるごとに、鉄心のサイズを変更する必要があり、鉄心を打ち抜くための金型を作製する必要がある。
【0005】
本発明は、可動子に応じた固定子を容易に作製可能なリニアモータシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るリニアモータシステムは、可動子と、可動子の進行経路に沿って配列された複数の固定子と、を備えるリニアモータシステムである。複数の固定子のそれぞれは、進行経路に沿って配列された第1コア及び第2コアと、第1コア及び第2コアを連結する連結部と、進行経路と交差する交差方向に延びる第1軸線を軸として第1コアに巻回された第1コイルと、交差方向に延びる第2軸線を軸として第2コアに巻回された第2コイルと、を有する。第1コア及び第2コアは、進行経路に沿って積層された複数の鋼板を有する。可動子は、交差方向において固定子を挟む一対の壁部と、進行経路に沿って一対の壁部にそれぞれ設けられた複数の磁石と、を有する。複数の磁石のうち、固定子を挟んで対向する一対の磁石は、異なる極性を有する。
【0007】
このリニアモータシステムによれば、第1コア及び第2コアは、進行経路に沿って積層された複数の鋼板を有する。このため、可動子が備える磁石間のピッチが変更されたとしても、鋼板の積層枚数を変更することにより、可動子に応じたコアのサイズとすることができる。これにより、磁石間のピッチに応じて鋼板の金型を作り変える必要がなく、鋼板の積層枚数を増減するだけの簡単な作業で、可動子に応じた固定子を作製することが可能となる。
【0008】
連結部は非磁性体であってもよい。連結部が磁性体である場合、連結部を介して第1コア及び第2コアの一方から他方に磁束が漏れることがある。この漏れ磁束に起因して渦電流が流れ、損失が生じてしまう。これに対し、連結部を非磁性体とすることによって、連結部を介して磁束が漏れることを防止できる。これにより、漏れ磁束に起因した損失を低減することが可能となる。
【0009】
進行経路はカーブ区間を含んでもよい。複数の固定子のうちのカーブ区間に配置される固定子が有する連結部は、交差方向から見て台形又は扇形の形状を有してもよい。この場合、カーブ区間用にコアを作製する必要がなく、連結部の形状を変更するだけで、カーブ区間に固定子を配置することが可能となる。
【0010】
固定子は、第1コアと連結部とを接続する接続部材をさらに備えてもよい。第1コアの連結部と対向する鋼板には、第1凹部が設けられてもよい。連結部の第1コアと対向する面には、第2凹部が設けられてもよい。接続部材の一端が第1凹部に嵌め合わされ、接続部材の他端が第2凹部に嵌め合わされことによって、第1コアと連結部とが連結されてもよい。可動子の進行方向に対して直交する方向に複数の鋼板が積層されている構成をコアが有する場合、コアの連結部と対向する面は、複数の鋼板の厚さ方向の面が積層されて成る面である。このような面には、凹部を設けることは困難である。一方、第1コアは、進行経路に沿って複数の鋼板が積層されている構成を有するので、第1コアの連結部と対向する面は、1枚の鋼板の主面である。このため、第1コアに凹部を容易に設けることができる。これにより、第1コアと連結部とを接続部材の嵌合によって連結することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、可動子に応じた固定子を容易に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係るリニアモータシステムの構成例を示す図である。
図2図1のII−II線に沿った断面図である。
図3図1の直線区間における固定子の概略構成図である。
図4図1のカーブ区間における固定子の概略構成図である。
図5図2の可動子とは異なる可動子への適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、一実施形態に係るリニアモータシステムの構成例を示す図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示されるように、リニアモータシステム1は、地上一次式のリニアモータシステムであって、可動子2と、複数の固定子3と、を備えるシステムである。リニアモータシステム1は、例えば、搬送対象を搬送するための搬送システムとして用いられる。図1に示される構成例では、リニアモータシステム1は、2つの可動子2を備えているが、1つの可動子2を備えてもよく、3つ以上の可動子2を備えてもよい。
【0015】
可動子2は、固定子3を挟むように設けられ、進行経路Rに沿って移動可能に構成されている。図1に示される構成例では、可動子2の進行経路Rは、環状の経路であり、直線区間R1と、カーブ区間R2と、直線区間R3と、カーブ区間R4と、を含む。直線区間R1、カーブ区間R2、直線区間R3、及びカーブ区間R4は、平面視において時計回りで順に環状に配置されている。以下において、説明の便宜上、可動子2の進行方向Dを前後方向、可動子2が固定子3を挟む方向を上下方向(交差方向)、前後方向及び上下方向に直交する方向を幅方向と称することがある。
【0016】
図1に示される構成例では、可動子2の前後方向から見た形状はU字状である。可動子2は、一対の壁部21,22と、接続部23と、複数の磁石24と、を備えている。
【0017】
一対の壁部21,22は、上下方向において固定子3を挟むように配置される。具体的には、壁部21の対向面21aと壁部22の対向面22aとが固定子3を挟んで対向するように、一対の壁部21,22は配置される。壁部21は、固定子3(進行経路R)の上方に設けられる板状部材である。壁部22は、固定子3(進行経路R)の下方に設けられる板状部材である。接続部23は、一対の壁部21,22を上下方向に接続する板状の部材である。接続部23は、壁部21の幅方向における端部と壁部22の幅方向における端部とを接続する。
【0018】
複数の磁石24は、永久磁石であり、N極の磁石24n及びS極の磁石24sを含む。複数の磁石24は、壁部21の対向面21a及び壁部22の対向面22aにそれぞれ設けられる。具体的には、対向面21aには、前後方向に所定のピッチP1で複数の磁石24が配列されている。同様に、対向面22aには、前後方向に所定のピッチP1で複数の磁石24が配列されている。対向面21aに設けられている複数の磁石24のピッチP1は、対向面22aに設けられている複数の磁石24のピッチP1と同じである。
【0019】
対向面21aにおいて互いに隣り合う磁石24は、異なる極性を有している。対向面22aにおいて互いに隣り合う磁石24は、異なる極性を有している。つまり、対向面21a及び対向面22aにおいて、N極の磁石24nとS極の磁石24sとが交互に配置されている。対向面21aに設けられている磁石24は、対向面22aに設けられている磁石24と固定子3を挟んで対向して対を成している。この一対の磁石24は、異なる極性を有している。つまり、リニアモータシステム1は、固定子3の両側に異なる極性の磁石24を配置した挟み込み型リニアモータシステムである。
【0020】
複数の固定子3は、地上側に固定的に設置され、進行経路Rに沿って配列されている。複数の固定子3は、例えば、進行経路Rに沿って連続的に配列されてもよく、進行経路Rに沿って離散的に配列されてもよい。複数の固定子3のそれぞれ(以下、単に「固定子3」という。)は、3相交流電流によって駆動し、可動子2と磁気的に作用する。固定子3は、コア部31と、コイル部32と、連結部33と、を備えている。
【0021】
コア部31は、3相コイル用のコアであって、コア31u(第1コア)と、コア31v(第2コア)と、コア31w(第3コア)と、を備えている。コア31uはU相用のコアである。コア31vはV相用のコアである。コア31wはW相用のコアである。コア31u、コア31v及びコア31wのそれぞれは、上下方向に延びる部材であり、コア部31のスロットともいう。コア31u、コア31v及びコア31wの前後方向の長さ(厚さ)は、ピッチP1によって定められる。コア31u、コア31v及びコア31wは、その順に進行経路Rに沿って配列されている。コア31u、コア31v及びコア31wは、電磁鋼板等の磁性体である。各コアの詳細構造は後述する。
【0022】
コイル部32は、3相コイルであって、コイル32u(第1コイル)と、コイル32v(第2コイル)と、コイル32w(第3コイル)と、を備えている。コイル32uはU相用のコイルである。コイル32vはV相用のコイルである。コイル32wはW相用のコイルである。コイル32uは、上下方向にコア31uを貫いて延びる軸線AXu(第1軸線)を軸として、コア31uに巻回されている。コイル32vは、上下方向にコア31vを貫いて延びる軸線AXv(第2軸線)を軸として、コア31vに巻回されている。コイル32wは、上下方向にコア31wを貫いて延びる軸線AXw(第3軸線)を軸として、コア31wに巻回されている。
【0023】
連結部33は、進行経路Rに沿って隣り合う2つのコアを連結する。連結部33は、連結部材33uvと、連結部材33vwと、を備えている。連結部材33uvは、コア31uとコア31vとの間に配置され、コア31u及びコア31vを連結する。連結部材33vwは、コア31vとコア31wとの間に配置され、コア31v及びコア31wを連結する。連結部材33uv及び連結部材33vwは、例えば、樹脂及びアルミニウム等の非磁性体である。各連結部の詳細構造は後述する。
【0024】
次に、図3を参照しながら、直線区間R1及び直線区間R3における固定子3の詳細構造を説明する。図3は、直線区間R1及び直線区間R3における固定子3の概略構成図である。なお、説明の便宜上、コイル部32の図示は省略されている。
【0025】
図3の(a)に示されるように、コア31u、コア31v及びコア31wは、進行経路Rに沿って積層されている複数の鋼板34を有する。図3の(b)に示されるように、複数の鋼板34のそれぞれ(以下、単に「鋼板34」という。)は、積層方向から見てH字状の板状部材である。鋼板34の厚さ(積層方向の長さ)は、例えば、0.3mm〜0.5mm程度である。鋼板34は、例えば、電磁鋼板によって構成されている。鋼板34の表面は絶縁膜で覆われている。鋼板34は、上端部34aと、中央部34bと、下端部34cと、を備えている。
【0026】
中央部34bは矩形状の形状を有している。中央部34bの上縁に沿って上端部34aが設けられ、中央部34bの下縁に沿って下端部34cが設けられている。幅方向において、上端部34aの長さ及び下端部34cの長さは略等しく、中央部34bの長さは、上端部34aの長さ及び下端部34cの長さよりも短い。上端部34a及び下端部34cの幅方向の両端は、中央部34bの幅方向の両端よりも突出している。
【0027】
鋼板34の主面34mには、中央部34bの上下方向の中心付近において複数の貫通孔34hが設けられている。複数の貫通孔34hは、鋼板34の厚さ方向に鋼板34を貫通しており、幅方向に配列されている。複数の鋼板34において、貫通孔34hは同じ位置に設けられ、複数の鋼板34が積層されることによって、凹部31a(第1凹部)を成している。つまり、コア31uに設けられる凹部31aは、コア31uを前後方向に貫通する貫通孔であり、コア31vに設けられる凹部31aは、コア31vを前後方向に貫通する貫通孔であり、コア31wに設けられる凹部31aは、コア31wを前後方向に貫通する貫通孔である。
【0028】
このように構成された鋼板34は、略同形状を有しているので、同一の金型を用いて打ち抜き加工で作製され得る。複数の鋼板34は、積層方向に互いにかしめられることによって密着している。複数の鋼板34は、溶接又は接着によって密着されてもよい。
【0029】
連結部材33uv及び連結部材33vwは、直方体状の形状を有するブロック材である。連結部材33uv及び連結部材33vwの前後方向における両端面には、複数の凹部33a(第2凹部)が設けられている。つまり、連結部材33uvでは、複数の凹部33aは、コア31uと対向する面、及びコア31vと対向する面に設けられている。連結部材33vwでは、複数の凹部33aは、コア31vと対向する面、及びコア31wと対向する面に設けられている。複数の凹部33aは、対向するコアに設けられた凹部31aと対向する位置に設けられ、幅方向に配列されている。凹部33aの径は、凹部31aの径と略等しい。連結部材33uvに設けられる凹部33aは、連結部材33uvを前後方向に貫通する貫通孔であってもよい。同様に、連結部材33vwに設けられる凹部33aは、連結部材33vwを前後方向に貫通する貫通孔であってもよい。
【0030】
固定子3は、接続部材36をさらに備えている。接続部材36は、コア部31(コア31u、コア31v、及びコア31w)と連結部33とを連結するための前後方向に沿って延びる円柱状の部材である。接続部材36の外径は、凹部31a及び凹部33aの径と略等しい。接続部材36は、例えば、ボルト、及びピン等である。接続部材36の材質は特に限定されず、接続部材36は、例えば、磁性体によって構成されてもよく、非磁性体によって構成されてもよい。接続部材36の一端は、凹部31aに挿入されて嵌め合わされ、接続部材36の他端は、凹部33aに挿入されて嵌め合わされる。
【0031】
このようにして、コア31uと連結部材33uvとが連結され、連結部材33uvとコア31vとが連結され、コア31vと連結部材33vwとが連結され、連結部材33vwとコア31wとが連結される。これにより、図3の(c)に示されるように、直線区間R1及び直線区間R3における固定子3が作製される。
【0032】
次に、図4を参照しながら、カーブ区間R2及びカーブ区間R4における固定子3の詳細構造を説明する。図4は、カーブ区間R2及びカーブ区間R4における固定子3の概略構成図である。なお、説明の便宜上、コイル部32の図示は省略されている。
【0033】
図4の(a)に示されるように、コア31u、コア31v及びコア31wは、直線区間R1及び直線区間R3における固定子3のコア31u、コア31v及びコア31wと同じ構成を有している。連結部材33uv及び連結部材33vwは、平面視で台形形状を有するブロック材である。連結部材33uv及び連結部材33vwは、形状を除いて、直線区間R1及び直線区間R3における固定子3の連結部材33uv及び連結部材33vwと同様の構成を有している。
【0034】
直線区間R1及び直線区間R3における固定子3と同様に、接続部材36の一端が凹部31aに挿入されて嵌め合わされ、接続部材36の他端が凹部33aに挿入されて嵌め合わされる。このようにして、コア31uと連結部材33uvとが連結され、連結部材33uvとコア31vとが連結され、コア31vと連結部材33vwとが連結され、連結部材33vwとコア31wとが連結される。これにより、図4の(b)に示されるように、カーブ区間R2及びカーブ区間R4における固定子3が作製される。
【0035】
このように構成されるリニアモータシステム1では、可動子2の対向面21a及び対向面22aに互いに対向して設けられる一対の磁石24において、固定子3のコア31u、コア31v及びコア31wを介して、N極の磁石24nからS極の磁石24sに磁束が向かう。このとき、各固定子3のコイル32u、コイル32v及びコイル32wに3相交流電流が適宜供給されることによって、N極の磁石24n及びS極の磁石24sと、コイル32u、コイル32v及びコイル32wとの吸引力及び反発力を利用して、可動子2が進行方向Dのいずれかの方向に所望の速度で走行する。
【0036】
以上説明したように、リニアモータシステム1によれば、コア31u、コア31v及びコア31wは、進行経路Rに沿って積層された複数の鋼板34を有する。このため、可動子2が備える磁石24間のピッチが変更されたとしても、鋼板34の積層枚数を変更することにより、可動子2に応じて、コア31u、コア31v及びコア31wのサイズを変更することができる。
【0037】
図5に示される構成では、可動子2における磁石24間のピッチP2は、図2の磁石24間のピッチP1よりも大きい。このような場合、図2のコア31u、コア31v及びコア31wと比較して、コア31u、コア31v及びコア31wの進行経路Rに沿った長さを大きくする必要がある。そこで、鋼板34の積層枚数を例えば1枚増やすことによって、コア31u、コア31v及びコア31wの進行経路Rに沿った長さをピッチP2に応じた長さとすることができる。このように、磁石24間のピッチに応じて鋼板34の金型を作り変える必要がなく、鋼板34の積層枚数を増減するだけの簡単な作業で、可動子2に応じた固定子3を作製することが可能となる。
【0038】
連結部材33uvが磁性体である場合、連結部材33uvを介してコア31u及びコア31vの一方から他方に磁束が漏れることがある。同様に、連結部材33vwが磁性体である場合、連結部材33vwを介してコア31v及びコア31wの一方から他方に磁束が漏れることがある。この漏れ磁束に起因して渦電流が流れ、損失が生じてしまう。これに対し、連結部材33uv及び連結部材33vwを非磁性体とすることによって、連結部材33uv及び連結部材33vwを介して磁束が漏れることを防止できる。これにより、漏れ磁束に起因した損失を低減することが可能となる。
【0039】
複数の固定子3のうちのカーブ区間R2,R4に配置される固定子3が有する連結部材33uv及び連結部材33vwは、平面視で台形の形状を有している。このため、直線区間R1,R3に配置される固定子3とカーブ区間R2,R4に配置される固定子3とでは、連結部材33uv及び連結部材33vwの形状が異なるのみである。したがって、カーブ区間R2,R4用にコアを作製する必要がなく、連結部材33uv及び連結部材33vwの形状を変更するだけで、カーブ区間R2,R4に固定子3を容易に配置することが可能となる。
【0040】
可動子2の進行方向Dに対して直交する方向(例えば、上下方向又は幅方向)に複数の鋼板が積層されている構成をコアが有する場合、コアの連結部材と対向する面は、複数の鋼板の厚さ方向の面が積層されて成る面である。このような面には、凹部を設けることは困難である。一方、コア31u、コア31v及びコア31wは、進行方向Dに沿って複数の鋼板34が積層されている構成を有する。このため、コア31uの連結部材33uvと対向する面は、1枚の鋼板34の主面34mである。同様に、コア31vの連結部材33uvと対向する面及び連結部材33vwと対向する面は、1枚の鋼板34の主面34mである。コア31wの連結部材33vwと対向する面は、1枚の鋼板34の主面34mである。したがって、鋼板34の主面34mに貫通孔34hを設けることによって、凹部31aを容易に設けることができる。これにより、コア31u及び連結部材33uv、コア31v及び連結部材33uv、コア31v及び連結部材33vw、並びにコア31w及び連結部材33vwを、それぞれ接続部材36の嵌合によって連結することが可能となる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、進行経路Rの形状は環状に限定されない。
【0042】
また、コア部31(コア31u、コア31v及びコア31w)では、全ての鋼板34に貫通孔34hが設けられていなくてもよく、連結部33(連結部材33uv、及び連結部材33vw)と対向する鋼板34に貫通孔34hが設けられていればよい。つまり、凹部31aは、コア31u、コア31v及びコア31wを貫通する貫通孔でなくてもよい。
【0043】
また、連結部材33uv及び連結部材33vwは、磁束を通過させる必要がないので、ヨーク(磁性体)とする必要はないが、磁性体であってもよい。
【0044】
また、複数の固定子3のうちのカーブ区間R2,R4に配置される固定子3が有する連結部材33uv及び連結部材33vwは、平面視で扇形の形状を有するブロック材であってもよい。
【0045】
固定子3は、3相(U,V,W相)用であるが、2相用であってもよい。つまり、コア部31は、コア31u、コア31v及びコア31wに代えて、2つのコアを有し、コイル部32は、各コアに巻き回されているコイルを有してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…リニアモータシステム、2…可動子、3…固定子、R…進行経路、R2,R4…カーブ区間、21,22…壁部、24…磁石、31u…コア(第1コア)、31v…コア(第2コア)、31w…コア、32u…コイル(第1コイル)、32v…コイル(第2コイル)、32w…コイル、AXu…軸線(第1軸線)、AXv…軸線(第2軸線)、AXw…軸線、33uv,33vw…連結部材(連結部)、34…鋼板、31a…凹部(第1凹部)、33a…凹部(第2凹部)、36…接続部材。
図1
図2
図3
図4
図5