特開2017-112872(P2017-112872A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-112872毒餌設置用具及び該毒餌設置用具の設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-112872(P2017-112872A)
(43)【公開日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】毒餌設置用具及び該毒餌設置用具の設置方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 25/00 20060101AFI20170602BHJP
【FI】
   A01M25/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-249918(P2015-249918)
(22)【出願日】2015年12月22日
(71)【出願人】
【識別番号】300086366
【氏名又は名称】株式会社クレアーレ
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】山本 康裕
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA03
2B121BA11
2B121BA51
2B121BA58
2B121CC06
2B121EA21
2B121FA20
(57)【要約】
【課題】毒餌の水濡れを防止することが可能な毒餌設置用具及び該毒餌設置用具の設置方法を提供すること。
【解決手段】土台部と、前記土台部の上面に着脱可能に取り付けられる皿部と、前記土台部及び前記皿部を覆うように前記土台部に着設され、少なくとも一つの開口部を有するカバー部と、を備える毒餌設置用具;該毒餌設置用具を建屋外に設置する毒餌設置用具の設置方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台部と、
前記土台部の上面に着脱可能に取り付けられる皿部と、
前記土台部及び前記皿部を覆うように前記土台部に着設され、少なくとも一つの開口部を有するカバー部と、
を備える毒餌設置用具。
【請求項2】
前記土台部は、コンクリート製である、請求項1記載の毒餌設置用具。
【請求項3】
前記開口部は、前記カバー部の下端部に設けられている、請求項1又は2記載の毒餌設置用具。
【請求項4】
前記土台部は、下面に脚部を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の毒餌設置用具。
【請求項5】
ネズミ駆除用である、請求項1から4のいずれか一項に記載の毒餌設置用具。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の毒餌設置用具を、建屋外に設置する、毒餌設置用具の設置方法。
【請求項7】
前記建屋内への有害生物の侵入を防止するための方法である、請求項6記載の毒餌設置用具の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毒餌設置用具及び該毒餌設置用具の設置方法に関する。より詳しくは、有害生物の駆除を目的として毒餌を設置するための毒餌設置用具及び該毒餌設置用具の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
殺鼠剤や殺虫剤、忌避剤などを含有する毒餌を用いて有害生物を駆除する方法が種々提案されている。例えば、特許文献1には、害虫忌避剤を含有した害虫忌避体により形成された忌避エリアにネズミ用毒餌を配置させることを特徴とするネズミ用毒餌の設置方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−244699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、毒餌を建屋外に設置する場合などにおいては、毒餌が水に濡れてかびてしまい、有害生物を駆除する効果が低下する場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、毒餌の水濡れを防止することが可能な毒餌設置用具及び該毒餌設置用具の設置方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、土台部と、前記土台部の上面に着脱可能に取り付けられる皿部と、前記土台部及び前記皿部を覆うように前記土台部に着設され、少なくとも一つの開口部を有するカバー部と、を備える毒餌設置用具を提供する。
また、本発明は、上記毒餌設置用具を建屋外に設置する毒餌設置用具の設置方法を提供する。
【0007】
なお、本発明において「毒餌」とは、有害生物を駆除するために用いられる、殺生物剤や忌避剤などの成分を含有する餌のことをいう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、毒餌の水濡れを防止することが可能な毒餌設置用具及び該毒餌設置用具の設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る毒餌設置用具1を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る皿部3を土台部2から取り外した状態を示す図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る毒餌設置用具10を示す斜視図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る毒餌設置用具100を示す斜視図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る毒餌設置用具100のカバー部400を取り外した状態を示す斜視図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る毒餌設置用具100の土台部2の下面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。まず、本発明に係る毒餌設置用具の実施形態について説明し、次に、本発明に係る毒餌設置用具の設置方法の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0011】
[1.毒餌設置用具]
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る毒餌設置用具は、土台部と、前記土台部の上面に着脱可能に取り付けられる皿部と、前記土台部及び前記皿部を覆うように前記土台部に着設され、少なくとも一つの開口部を有するカバー部と、を備える。
【0012】
上記毒餌設置用具は、有害生物を駆除する目的で、有害生物に毒餌を喫食させるために用いられる。皿部の上に毒餌を置いた毒餌設置用具を設置すると、有害生物が開口部から毒餌設置用具内に進入して、皿部上の毒餌を喫食する。
【0013】
ここで、「有害生物」とは、衛生的、経済的又は産業的に人に害を与える生物であり、毒餌を用いて駆除することを目的とする生物のことをいう。例えば、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミなどのネズミや、ゴキブリなどが挙げられる。
【0014】
本実施形態に係る毒餌設置用具は、上記有害生物の中でもネズミを駆除対象とすることが好ましい。即ち、上記毒餌設置用具は、ネズミ駆除用として好適に用いられる。
【0015】
(毒餌設置用具1)
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る毒餌設置用具1について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る毒餌設置用具1を示す斜視図である。毒餌設置用具1は、土台部2、皿部3、カバー部4及び開口部5,5を備える。以下、毒餌設置用具1の各構成要素について説明する。
【0016】
(土台部2)
土台部2は、皿部3を設置するための土台となる部分である。土台部2の形状は、皿部3を設置することが可能であれば特に限定されない。例えば、立方体状、直方体状、略直方体状、薄板状、厚みのある平板状などが挙げられる。土台部2のぐらつきを抑える観点からは、土台部2の下面が平面であることが好ましい。有害生物のうち、例えば警戒心が非常に強いネズミなどは、土台部2ががたつくと、その音や動きに反応して警戒し、皿部3上の毒餌を喫食する前に逃げてしまう場合がある。
【0017】
土台部2は、有害生物が接触しても動かないようにするために、重みがある方が好ましい。毒餌設置用具1を建屋外に設置する場合には、風雨により飛ばされないようにする観点からも、土台部2に重みがある方が好ましい。土台部2の重さは、具体的には2.4kg以上であることが好ましい。
【0018】
土台部2の材質は、特に限定されないが、重量のあるコンクリートや金属などの材料により成形されていることが好ましい。これらの中でも、コスト及び加工容易性の観点から、土台部2はコンクリート製であることが好ましい。
【0019】
(皿部3)
皿部3は、毒餌を置く部分である。皿部3の形状は、毒餌を置くことが可能であれば特に限定されない。例えば、円形状、楕円形状、正方形状、矩形状などが挙げられる。
【0020】
また、皿部3の材質も特に限定されないが、皿部3の上に置く毒餌が水分によりかびないように吸湿性の低い材料を用いることが好ましく、また、長期間の使用に耐えられるよう耐食性が高い材料であることが好ましい。具体的には、ステンレス又はアルマイト処理を施したアルミニウムが好適である。
【0021】
皿部3は、土台部2の上面に着脱可能に取り付けられる。このように着脱可能に取り付けられることにより、皿部3がずれ動くのを防ぎつつ、皿部3上に毒餌を乗せる際には皿部3を土台部2から取り外して簡単に毒餌を乗せることができる。
【0022】
皿部3の取り付け手段は、皿部3が着脱可能であれば特に限定されないが、土台部2と皿部3とを着脱可能に取り付けるための取付部を備えることが好ましい。
【0023】
取付部としては、例えば、一対の面ファスナー、一対の薄片状マグネット(マグネットシート)、薄片状マグネットと薄片状の金属シートの組み合わせなどが挙げられ、これら一対の取付部の一方を土台部2の上面に固定し、他方を皿部3の下面に固定する構成としてもよい。また、取付部として繰り返し離合可能な粘着シートを用いて、当該粘着シートを土台部2又は皿部3に固定してもよい。また、皿部3が磁性を有する材料で成形されている場合には、取付部として薄片状マグネットを用いて、当該薄片状マグネットを土台部2の上面に固定してもよい。これらの中でも、扱い易さ及びコストの観点から、一対の面ファスナーを用いることが好ましい。また、仮に皿部3の下面に水分が付着して水分が蒸発せずに残った場合であっても、面ファスナーは錆びないため、取付部として好適である。
【0024】
次に、図2を参照して、取付部6について説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係る皿部3を土台部2から取り外した状態を示す図である。
【0025】
図2に示す取付部6は、一対の取付用面ファスナー61,62からなる。一方の取付用面ファスナー61は、土台部2の上面に固定されている。他方の取付用面ファスナー62は、皿部3の下面に固定されている。取付用面ファスナー61と取付用面ファスナー62を互いに接合させることにより、皿部3を土台部2の上面に取り付けることができる。
【0026】
また、皿部3の取付位置を明確にする観点から、土台部2は、皿部3が取り付けられる部分に窪み21を備えていてもよい。
【0027】
(カバー部4)
次に、再度図1を参照して、カバー部4について説明する。カバー部4は、土台部2及び皿部3を覆うように土台部2に着設されており、皿部3の上に置く毒餌が水に濡れることを防ぐ役割がある。
【0028】
本実施形態に係る毒餌設置用具1において、カバー部4は中空の略直方体状であり、カバー部4の短手側の両側面が開いて開口部5,5を形成している。土台部2は、毒餌設置用具1の内部に置かれている。毒餌設置用具1においては、土台部2がカバー部4の底面上に置かれることにより、カバー部4の底面と土台部2の下面とが着設されている。このような構成とすることにより、カバー部4がずれ動くのを防止することが可能である。
【0029】
カバー部4が土台部2に着設されていないと、カバー部4がずれ動いてしまい、皿部3上に置いた毒餌が剥き出しの状態となって水に濡れてしまうおそれがある。また、毒餌設置用具1を建屋外に設置する場合、カバー部4が風雨により飛ばされるおそれがある。
【0030】
カバー部4の形状は、土台部2及び皿部3を覆うように土台部3に着設されていれば特に限定されず、例えばトンネル型、ドーム型などを採用することもできる。
【0031】
カバー部4の材料は、毒餌が水に濡れないよう、耐水性を有することが好ましい。毒餌の水濡れを防止することにより、かびの発生を抑制し、有害生物を駆除する効果を維持することが可能である。耐水性を有する材料は、特に限定されないが、加工容易性、耐久性及びコストの観点から、中空プラスチック構造板(プラスチックダンボール)又はアルマイト処理を施したアルミニウム板が好適である。
【0032】
(開口部5)
次に、引き続き図1を参照して、開口部5について説明する。カバー部4は中空の略直方体状であり、カバー部4の短手側の両側面が開いて開口部5,5を形成している。本実施形態に係る毒餌設置用具1において、駆除対象である有害生物は、開口部5から毒餌設置用具1の内部に進入して皿部3上の毒餌を喫食する。
【0033】
開口部5は、カバー部4の下端部に設けられていることが好ましい。有害生物が毒餌設置用具1の内部に進入し易くするためである。また、開口部5は、有害生物が通り抜けることができる大きさであることが好ましい。
【0034】
また、図1に示す毒餌設置用具1は、開口部5を2箇所有しているが、開口部5は少なくとも一つあればよい。
【0035】
<第2実施形態>
次に、図3を参照して、本発明の第2実施形態に係る毒餌設置用具10について説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係る毒餌設置用具10を示す斜視図である。なお、本実施形態は、第1実施形態と異なる点について説明し、同様の点は同じ符号を付すなどして説明を割愛する。
【0036】
図3に示すように、毒餌設置用具10はカバー部40を備え、カバー部40は開口部50,50を有する。カバー部40は、基本的には図1に示す第1実施形態のカバー部4と同様の形状であるが、短手側の両側面の上部にそれぞれ調節部41,41を備えており、調節部41は鋲42でカバー部40に固定されている。
【0037】
調節部41は、開口部50の高さを調節するための部分である。調節部41を備えることにより、開口部50の高さは、上記第1実施形態に係る毒餌設置用具1の開口部5よりも低く形成されている。
【0038】
開口部の高さを適宜調節することで、駆除対象の有害生物以外の生物が毒餌設置用具内に進入して毒餌を喫食する事態を防止することが可能であるため、有害生物の駆除をより効率的に行うことができる。
【0039】
例えば、駆除対象の有害生物がネズミである場合、開口部の高さを5〜7cmとすることが好ましい。このような高さとすることで、ネズミは毒餌設置用具内に侵入可能であるが、ネコやカラスなどのネズミより大きな生物の侵入を防ぐことができるため、効率よくネズミを駆除することが可能である。
【0040】
図3では、調節部41が鋲42によりカバー部40に固定されている例を示したが、調節部41は、例えば接着剤などによりカバー部40に固定されていてもよい。また、調節部41は、カバー部40と一体で成形されていてもよい。
【0041】
<第3実施形態>
次に、図4を参照して、本発明の第3実施形態に係る毒餌設置用具100について説明する。図4は、本発明の第3実施形態に係る毒餌設置用具100を示す斜視図である。なお、本実施形態は、第1実施形態と異なる点について説明し、同様の点は同じ符号を付すなどして説明を割愛する。
【0042】
毒餌設置用具100に係るカバー部400は、土台部2の対向する一組の側面と土台部2の上面とを覆うトンネル型の形状をなしており、図1に示すカバー部4とは異なり底面を有していない。
【0043】
カバー部400を土台部2に着設する手段としては、本発明の効果を損ねない限り特に限定はされないが、図4に示すように毒餌設置用具100が一組の着設部7,8を備えることが好ましい。
【0044】
(一組の着設部7,8)
一組の着設部7,8は、カバー部400を土台部2に着設するために、土台部2の対向する一対の側面に設けられている。着設部7及び着設部8のそれぞれは、例えば、一対の面ファスナー、一対の薄片状マグネット(マグネットシート)、薄片状マグネットと薄片状の金属シートの組み合わせ、繰り返し離合可能な粘着シートなどを用いて形成することができる。また、土台部2が磁性を有する材料で成形されている場合には、カバー部400に固定した2つの薄片状マグネットを着設部7及び着設部8とすることもできる。また、着設部7及び着設部8は、それぞれ異なる材料から形成されていてもよく、例えば、着設部7として一対の面ファスナーを用い、着設部8として一対の薄片状マグネットを用いてもよい。これらの中でも、扱い易く、低コストであり、また、水分が付着しても錆びないことから、着設部7及び着設部8のそれぞれを一対の面ファスナーとすることが好ましい。
【0045】
次に、図5を参照して、一組の着設部7,8について説明する。図5は、本発明の第3実施形態に係る毒餌設置用具100のカバー部400を取り外した状態を示す斜視図である。
【0046】
図5に示す着設部7は、一対の着設用面ファスナー71,72からなる。一方の着設用面ファスナー71は、土台部2の一側面に固定されている。他方の着設用面ファスナー72は、カバー部400の内側部分の着設用面ファスナー71に対応する部分に固定されている。着設用面ファスナー71と着設用面ファスナー72を互いに接合させることにより、土台部2の一側面とカバー部400とを着設することができる。
【0047】
また、着設部8は、一対の着設用面ファスナー81,82からなる。一方の着設用面ファスナー81は、着設用面ファスナー71が固定された土台部2の側面に対向する側面に固定されている。他方の着設用面ファスナー82は、カバー部400の内側部分の着設用面ファスナー81に対応する部分に固定されている。着設用面ファスナー81と着設用面ファスナー82を互いに接合させることにより、土台部2の着設部7が設けられている側面に対向する側面と、カバー部400とを着設することができる。
【0048】
次に、図6を参照して、毒餌設置用具100の土台部2について説明する。図6は、本発明の第3実施形態に係る毒餌設置用具100の土台部2の下面を示す斜視図である。
【0049】
(脚部22)
図6に示すように、毒餌設置用具100の土台部2は、下面に脚部22を備えることができる。脚部22を備えることにより、毒餌設置用具100を設置する場所の表面(地面、床面など)と毒餌設置用具100の下面との間に隙間ができ、毒餌設置用具100の下面と設置場所との接触面積を低減することが可能である。
【0050】
本実施形態に係る毒餌設置用具100は、日常的に水に晒される場所において好適に用いられ、より好適には飲食店の厨房内において用いられる。以下、理由を説明する。
【0051】
ホースにより散水しながら床面を清掃する飲食店の厨房内のように、日常的に水に晒される場所に毒餌設置用具を設置する場合、設置場所と毒餌設置用具の下面とが接触していると、その接触部分に水が溜まりやすくなる。水溜りを長期間放置しておくと水が腐敗して腐敗臭が発生する場合があるため、腐敗臭を抑制する観点から、毒餌設置用具の下面に水溜りができないようにすることが好ましい。
【0052】
本実施形態に係る毒餌設置用具100は、脚部22を備えることにより、毒餌設置用具100の下面と設置場所表面との間に水が流れる隙間ができるため、水の滞留を抑制し、水溜りの発生を防ぐことが可能である。また、毒餌設置用具100の下面と設置場所表面との接触面積が非常に小さくなるため、より効果的に水溜りを抑制することができる。
【0053】
脚部22の数は、特に限定されないが、図6に示すように3本が好適である。有害動物の中でも、例えばネズミは、警戒心が非常に強く土台部2ががたつくと逃げてしまうおそれがあるが、脚部22の数を3本とすることで、設置面が安定して土台部2のがたつきを効果的に抑えることができる。また、製造コストを低減する観点からも3本とすることが好ましい。
【0054】
脚部22は、土台部2と一体成形されてもよく、土台部2とは別部材であってもよいが、脚部22を着脱可能な別部材とすることが好ましい。脚部22を取り外すことで、脚部を有しない土台部2としても使用することできるためである。
【0055】
(脚部取付穴23)
脚部22を着脱可能に形成する手段は特に限定されないが、加工容易性の観点から、図6に示すように、土台部2の下面に脚部取付穴23を設け、脚部取付穴23に脚部22を挿入する構成とすることが好適である。また、脚部22と脚部取付穴23にねじ山を設けて、脚部22と脚部取付穴23を螺合する構成としてもよい。
【0056】
[2.毒餌設置用具の設置方法]
次に、本発明の一実施形態に係る毒餌設置用具の設置方法を説明する。本実施形態に係る設置方法で用いられる毒餌設置用具は、上記[1.毒餌設置用具]で説明した毒餌設置用具と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
【0057】
本実施形態に係る設置方法において、毒餌設置用具の設置場所は特に限定されない。当該毒餌設置用具は、毒餌の水濡れを防止するカバー部を備えているため、水に晒される場所にも設置可能である。そのため、設置場所としては雨水にあたる可能性のある建屋外が好適である。
【0058】
毒餌設置用具を建屋外に配置することにより、建屋外に生息する有害生物を駆除することが可能である。更に、毒餌設置用具を建屋外に設置することにより、建屋内への有害生物の侵入を防止することも可能である。即ち、建屋内での有害生物による被害を軽減することも可能である。
【0059】
ここで、建屋内の有害生物を駆除する手段としては、毒餌を建屋内に配置することが一般的である。しかしながら、人又は物の出入りや移動が激しい場所では毒餌設置用具の設置場所が非常に限られることがあり、この場合、有害生物に効率的に毒餌を喫食させることが困難であった。また、有害生物は、建屋内に保管されている食品類を喫食するために、建屋内に侵入するとすぐに食品の梱包材を齧ってしまう場合が多く、毒餌を建屋内に配置しても被害を食い止められないことがあった。更に、有害生物が建屋内に侵入して徘徊すること自体が、衛生上の観点から問題であった。
【0060】
建屋内での有害生物による被害を軽減するためには、建屋内に侵入した有害生物を建屋内で駆除することが有効な手段の1つである。しかしながら、本発明者は、建屋内に毒餌を配置する場合の問題点に鑑み、そもそも有害生物が建屋内に侵入しないような措置を講じることが重要であると考えた。そして、毒餌設置用具を建屋外に配置することにより、建屋内への有害生物の侵入を防止することが可能であること、また、これにより建屋内での有害生物の被害を軽減できることを見出した。
【0061】
建屋外の有害生物が建屋内に侵入するこということは、有害生物にしてみれば、人間に捕獲される危険を負うことになると考えられる。そのため、建屋外に毒餌を配置しておくことにより、有害生物は、より危険の少ない建屋外の毒餌を喫食することを選択し、結果として、有害生物の建屋内への侵入防止という優れた効果が発揮されると考えられる。
【0062】
以上、毒餌設置用具を建屋外に設置する場合について説明したが、毒餌設置用具の設置場所は、勿論建屋内であってもよい。
【0063】
従来は、建屋内の天井裏や屋根裏など、人目に触れにくい場所に毒餌設置用具を設置する場合、有害生物の死後即時にその死骸を回収することが難しく、死骸が長時間放置されることで悪臭が発生する原因となっていた。しかしながら、上述のように建屋外に毒餌設置用具を設置することにより、有害生物を建屋外で死に至らしめることが可能であるため、従来のように建屋内で悪臭が発生する可能性が低減される。
【0064】
毒餌設置用具の設置場所は、建屋内の中でも、日常的に水に晒される場所が好適である。更に好適には、飲食店の厨房内である。
【0065】
飲食店の厨房内において、厨房機器の下は有害生物が徘徊する場所の一つであるため、有害生物を駆除するためには毒餌を厨房機器の下に配置することが効果的である。飲食店の厨房内は、清掃時にホースで散水するため、厨房内に毒餌を配置する場合は毒餌が水に濡れてかびないようにする必要がある。しかしながら、従来の毒餌設置用具は、毒餌の水濡れを十分に防ぐことができず、厨房内の使用には適していなかった。
【0066】
これに対して、本実施形態に係る設置方法において使用される毒餌設置用具は、毒餌の水濡れを防止することができるため、厨房機器の下においても好適に用いられる。これにより、厨房内を徘徊する有害生物を効率よく駆除することが可能である。
【0067】
日常的に水に晒される場所に毒餌設置用具を設置する際は、上記[1.毒餌設置用具]で述べたように水溜り発生を抑制する観点から、設置場所との接触面積が少ない毒餌設置用具、具体的には土台部の下面に脚部を備える毒餌設置用具を用いることが好ましい。
【0068】
本実施形態に係る毒餌設置用具の設置方法は、有害生物の駆除に好適であり、特にネズミ駆除に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0069】
1,10,100 毒餌設置用具
2 土台部
3 皿部
4,40,400 カバー部
5,50 開口部
6 取付部
7,8 一組の着設部
21 窪み
22 脚部
23 脚部取付穴
41 調節部
42 鋲
61,62 一対の取付用面ファスナー
71,72 一対の着設用面ファスナー
81,82 一対の着設用面ファスナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6