【解決手段】本発明は、エビを特定の形に加工するエビ加工方法であって、エビの足部を除去する足部除去工程と、エビの尾部50を切断することなく、エビの頭部まで、エビの胴体部を長手方向に二分割する長手分割工程と、分割されたエビの頭部(分割頭部81,82)のそれぞれを所定の位置に配置し、分割されたエビの胴体部(分割胴体部71,72)のそれぞれを所定の形に整える配置整形工程とを備えたことを特徴としている。
前記配置整形工程にて、前記エビの頭部同士、前記エビの胴体部同士、あるいは前記エビの頭部と前記エビの胴体部とを重ね合わせ、前記エビの一部を用いて、前記重ね合わせた各部位を固定する
請求項2に記載のエビ加工方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態においては、エビを特定の形に加工するエビ加工方法、およびこのエビ加工方法によって得られるエビ加工物について説明するが、ここで用いられるエビは、特に限定されない。したがって、例えば、エビとしては、アカザエビ科のエビ、クルマエビ科のエビ、イセエビ科のエビ等が使用可能である。これらのエビの中で、本発明に最も好適なものの一つは、アカザエビ科のエビである。
そこで、本実施形態においては、最も好適なアカザエビ科のエビの一つである「ニュージーランドアカザエビ(ラングスティーヌ、スカンピ)」を用いる場合について説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態にて用いるニュージーランドアカザエビ(ラングスティーヌ、スカンピ)(以下、単に「エビ」という。)1の概略図を示したものである。本実施形態においては、このエビ1を用いて、エビ加工方法およびエビ加工物について説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に用いられるエビ1(加工前のエビ)は、胸部10、足部20、頭部30、腹部40、尾部50、および鋏部60を有している。そして、これらの構成要素を有するエビ1を用いて、インパクトを有する特定の形(ハート形)に加工されたエビ加工物の加工が行われる。
【0020】
エビ加工方法の概略を説明すると、本発明の実施形態にかかるエビ加工方法は、このエビ1の足部20および鋏部60をカットして除去する工程(本発明の「足部除去工程」に相当)と、この足部除去工程後のエビ2(足部20および鋏部60が除去されたエビ2であり、後述する「足部除去エビ2」に相当)に対して洗浄処理を行う工程(洗浄処理工程)と、この洗浄処理工程後のエビ3(洗浄処理が行われたエビ3であり、後述する「洗浄等されたエビ3」に相当)に対して一部を接続した状態でハーフカット処理を行う工程(本発明の「長手分割工程」に相当)と、この長手分割工程後のエビ4(ハーフカット処理が行われたエビ4であり、後述する「二分割エビ4」に相当)に対して分割された頭部30(後述する分割頭部81,82)等の配置や形を整える工程(本発明の「配置整形工程」に相当)とを備えている。
【0021】
本実施形態にかかるエビ加工方法に用いられるエビ1は、鋏部60も有するため足部除去工程においては鋏部60も除去される。エビの種類によっては、鋏部を有しないものもあるため、その場合には、この足部除去工程においては、足部の除去のみが行われる。
【0022】
以下、上述した
図1に加え、
図2〜
図10を用いて、本発明の実施形態にかかるエビ加工方法およびエビ加工物について説明する。
【0023】
図2は、本発明の実施形態にかかるエビ加工方法における第一側面部切断工程の概略図を示したものである。ここで、
図2(a)は、第一側面部切断工程の開始段階の概略図を示したものであり、
図2(b)は、第一側面部切断工程の途中段階の概略図を示したものであり、
図2(c)は、第一側面部切断工程の終了段階の概略図を示したものである。
なお、この第一側面部切断工程は、本発明にかかるエビ加工方法の足部除去工程の一部を成す工程である。
【0024】
この第一側面部切断工程は、まず、
図2(a)の開始段階概略図に示すように、エビ1の腹部40に最も近い足部20の一つ(以下「第一足部21」という。)と、この第一足部21の隣に位置する足部(以下「第二足部22」という。)との間を第一切断点C1と定め、この第一切断点C1から胸部10の上方に向かって(後述する第二切断点C2に向かって)ハサミHを入れる。
【0025】
次いで、この第一側面部切断工程においては、
図2(b)の途中段階概略図に示すように、エビ1の頭部30の目の少し下辺りの位置を第二切断点C2と定め、第一切断点C1から第二切断点C2に向かって、胸部10の側面部(左側面部)を切断すべく、ハサミHを移動させる。
【0026】
次いで、この第一側面部切断工程においては、
図2(c)の終了段階概略図に示すように、第一切断点C1から第二切断点C2まで、胸部10の側面部(左側面部)を切断すべく、ハサミHを移動させて、第一切断線L1が形成される。
つまり、
図2に示した第一側面部切断工程を行うことによって、本実施形態によれば、胸部10の左側面部が切断されて、第一切断線L1が形成されることとなる。
【0027】
なお、この第一側面部切断工程においては、第一切断点C1を第一足部21と第二足部22との間に(
図2における第一足部21の左側に)定めた場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、必要に応じて、例えば、胸部10と腹部40との境界部分、すなわち、
図2における第一足部21の右側(腹部40側)に第一切断点を設けてもよい。
【0028】
次に、
図3は、本発明の実施形態にかかるエビ加工方法における正面部切断工程および第二側面部切断工程の概略図を示したものである。ここで、
図3(a)は、正面部切断工程の概略図を示したものであり、
図3(b)は、第二側面部切断工程の途中段階の概略図を示したものであり、
図3(c)は、第二側面部切断工程の終了段階の概略図を示したものである。
なお、この正面部切断工程および第二側面部切断工程も、第一側面部切断工程と同様、本発明にかかるエビ加工方法の足部除去工程の一部を成す工程である。
【0029】
この正面部切断工程は、
図3(a)に示すように、先程説明した第二切断点C2と対称となる位置に(つまり、エビ1の頭部30の目の少し下辺りの位置に)第三切断点C3を定め、第二切断点C2から第三切断点C3まで、エビ1の頭部30の目の少し下辺り(いわゆる、頭部30の正面部)を切断すべく、ハサミHを移動させる。
つまり、
図3(a)に示した正面部切断工程を行うことによって、本実施形態によれば、頭部30の正面部が切断されて、第二切断線L2が形成されることとなる。
【0030】
次いで、この第二側面部切断工程においては、
図3(b)の途中段階概略図に示すように、エビ1の右側面部における腹部40に近接する足部20周辺位置を第四切断点C4と定め、先に定められた第三切断点C3から第四切断点C4に向かって、胸部10の側面部(右側面部)を切断すべく、ハサミHを移動させる。
【0031】
次いで、この第二側面部切断工程においては、
図3(c)の終了段階概略図に示すように、第三切断点C3から第四切断点C4まで、胸部10の側面部(右側面部)を切断すべく、ハサミHを移動させて、第三切断線L3が形成される。
つまり、
図3に示した正面部切断工程および第二側面部切断工程を行うことによって、本実施形態によれば、頭部30正面の目の少し下辺りおよび胸部10の右側面部が切断されて、第二切断線L2および第三切断線L3が形成されることとなる。
【0032】
次に、
図4は、本発明の実施形態にかかるエビ加工方法における腹部切断工程の概略図を示したものである。ここで、
図4(a)は、腹部切断工程の開始段階の概略図を示したものであり、
図4(b)は、腹部切断工程の終了段階の概略図を示したものである。
なお、この腹部切断工程も、第一側面部切断工程、正面部切断工程および第二側面部切断工程と同様、本発明にかかるエビ加工方法の足部除去工程の一部を成す工程である。
【0033】
この腹部切断工程は、まず、
図4(a)の開始段階概略図に示すように、先に定めた第四切断点C4を始点として、この第四切断点C4から足部20を回り込むような形でハサミHを入れる。
【0034】
次いで、この腹部切断工程においては、
図4(b)の終了段階概略図に示すように、第四切断点C4から第一足部21近傍位置まで、腹部40と足部20との境界線辺りを切断すべく、ハサミHを移動させて、第四切断線L4が形成される。
つまり、
図4に示した腹部切断工程を行うことによって、本実施形態によれば、腹部40と足部20との境界線辺りが切断されて、第四切断線L4が形成されることとなる。
【0035】
次に、
図5は、本発明の実施形態にかかるエビ加工方法における足部除去工程の概略図を示したものである。ここで、
図5(a)は、
図2〜
図4までの工程にて形成された第一切断線L1〜第四切断線L4の概略図を示したものであり、
図5(b)は、これらの切断線L1〜L4によってエビ1の足部20(および鋏部60)が除去された状態の概略図を示したものである。
本実施形態にかかる足部除去工程(ここでは、足部20と鋏部60とを除去する工程)は、先に説明した第一側面部切断工程、正面部切断工程、第二側面部切断工程、および腹部切断工程によって、構成されている。
【0036】
この
図5に示した足部除去工程は、
図5(a)に示した第一切断線L1〜第四切断線L4に沿って行われる。
図2〜
図4にて説明したように、この段階で、エビ1には、足部20および頭部30の周囲に沿って第一切断線L1〜第四切断線L4が形成されている。したがって、このように切断線L1〜L4が形成された状態において、足部20をエビ1から引き離すように力を作用させれば、
図5(b)に示すように、エビ1から足部20および鋏部60が除去される。以下、このように、足部20および鋏部60が除去された状態のエビを、足部除去エビ2(あるいは、単に「エビ2」)という(
図5(b)参照)。
【0037】
次に、
図6は、本発明の実施形態にかかるエビ加工方法における洗浄工程の概略図を示したものである。ここで、
図6(a)は、足部除去エビ2の概略図を示したものであり、
図6(b)は、足部除去エビ2から頭部30の突起部を切断する状態の概略図を示したものであり、
図6(c)は、洗浄工程の概略図を示したものである。
【0038】
この
図6に示すように、本実施形態においては、足部除去エビ2(
図6(a)参照)に対して、ナイフN(あるいはハサミ等)を用いて頭部30の突起部を切断する工程(
図6(b)参照)と、水道設備S等を用いてエビ内部のミソやワタ等を除去する工程(
図6(c)参照)とが行われる。
そして、これらの工程を経たエビを、本実施形態においては、洗浄等されたエビ3(あるいは、単に「エビ3」)と定義する。
【0039】
なお、ここでは、水道設備Sを用いて洗浄工程(エビ内部のミソやワタ等を除去する工程)を実施する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、ミソやワタ等が適切に除去可能であれば、その方法は問わない。したがって、例えば、この
図6に示した洗浄工程は、吸引装置等を用いて、エビ内部のミソやワタ等を除去すべく構成してもよい。
【0040】
次に、
図7は、本発明の実施形態にかかるエビ加工方法における長手分割工程の概略図を示したものである。ここで、
図7(a)は、長手分割工程の開始段階の概略図(拡大概略図)を示したものであり、
図7(b)は、長手分割工程の途中段階(終了直前)の概略図を示したものであり、
図7(c)は、長手分割工程が終了した後のエビ(二分割エビ)の概略図を示したものである。
【0041】
この長手分割工程は、まず、
図7(a)の開始段階概略図に示すように、エビ3の尾部50と腹部40との境界線周辺箇所を第五切断点C5と定め、この第五切断点C5からエビ3の頭部30に向かって(後述する第六切断点C6に向かって)ナイフNを入れる。この際、尾部50そのものを切断せず、尾部50によってエビ3の一体性が保持されるべく、ナイフNを入れる。
【0042】
次いで、この長手分割工程においては、
図7(b)の途中段階(終了直前)概略図に示すように、エビ1の頭部30の目と目の間の位置を第六切断点C6と定め、第五切断点C5から第六切断点C6に向かって、エビ3の腹部40、胸部10、および頭部30を設斬すべく、ナイフNを移動させる。そして、このようにナイフNを移動させることによって、第五切断線L5が形成される。
【0043】
次いで、この長手分割工程においては、
図7(c)の終了した後の概略図に示すように、第五切断点C5から第六切断点C6までナイフNを移動させて、第五切断線L5に沿って切断工程が行われることによって、尾部50で一体性が保持された状態の二分割されたエビ4(「二分割エビ4」あるいは単に「エビ4」)を得ることができる。
【0044】
この
図7(c)に示した二分割エビ4は、尾部50と、第一分割胴体部71、第二分割胴体部72、第一分割頭部81、および第二分割頭部82とから構成されている。この胴体部71,72は、胸部10および腹部40から構成されている。つまり、これらの胸部10および腹部40から胴体部71,72が構成され、それぞれに分割された状態を第一分割胴体部71および第二分割胴体部72という。
【0045】
次に、
図8は、本発明の実施形態にかかるエビ加工方法における配置整形工程の概略図を示したものである。ここで、
図8(a)は、二分割エビ4の概略図を示したものであり、
図8(b)は、
図8(a)に示した二分割エビ4を成す分割胴体部71,72および分割頭部81,82を所定量(所定角度)動かした状態の概略図を示したものであり、
図8(c)は、
図8(b)に示した二分割エビ4を成す分割胴体部71,72および分割頭部81,82を所定量(所定角度)動かした状態の概略図を示したものであり、
図8(d)は、
図8(c)に示した二分割エビ4を成す分割胴体部71,72および分割頭部81,82を所定量(所定角度)動かしてハート形エビ5を形成した状態の概略図を示したものである。つまり、この
図8は、二分割エビ4を成す分割胴体部71,72および分割頭部81,82を段階的に動かした状態の概略図を示したものである。
【0046】
図8に示すように、二分割エビ4は、各分割胴体部71,72および各分割頭部81,82を容易に配置整形することができる。例えば、
図8(a)に示された二分割エビ4であれば、尾部50を中心として、第一分割頭部81を反時計方向A1に90°程度動かし、第二分割頭部82を時計方向A2に90°程度動かすことによって、容易に
図8(b)の状態に配置整形することができる。また、同様に、
図8(b)に示された二分割エビ4であれば、尾部50を中心として、第一分割頭部81をさらに反時計方向A1に90°程度動かし、第二分割頭部82もさらに時計方向A2に90°程度動かすことによって、容易に
図8(c)の状態に配置整形することができる。さらに、
図8(c)に示された二分割エビ4であれば、尾部50を中心として、第一分割頭部81を反時計方向A1に、第二分割頭部82を時計方向A2に、それぞれ若干動かすことによって、比較的容易に、
図8(d)の状態のハート形エビ5(あるいは、単に「エビ5」)を得ることができる。
【0047】
本実施形態にかかるエビ加工方法においては、
図8に示したように、まず尾部50にて繋がっている二分割エビ4を形成し、この二分割エビ4の各分割部位71,72,81,82を適宜配置整形することによって、所望形状のエビ加工物を得ることができる。
【0048】
例えば、「カモメ形」のエビ加工物であれば、
図8(b)あるいは
図8(c)に示すように二分割エビ4を配置整形することによって、容易に得ることができる。また、「ハート形」のエビ加工物(ハート形エビ5)であれば、
図8(d)に示すように二分割エビ4を配置形成することによって、容易に得ることができる。
【0049】
次に、
図9は、本発明の実施形態にかかるエビ加工方法における頭部固定工程の概略図を示したものである。ここで、
図9(a)は、ハート形エビ5と鋏先端部61(本発明の「エビの一部」に相当)の概略図を示したものであり、
図9(b)は、ハート形エビ5の重ねた分割頭部81,82を鋏先端部61にて貫通して固定したエビ6(固定されたハート形エビ6)の概略側面図を示したものであり、
図9(c)は、
図9(b)の概略上面図(鋏先端部61の両端が切断された状態のエビ6の概略上面図)を示したものである。
【0050】
この
図9に示すように、本実施形態によれば、ハート形のエビ加工物(ハート型エビ5)を形成する場合において、重ねた分割頭部81,82を鋏先端部61にて貫通固定することによって、固定されたハート形エビ6を得ることができる。
【0051】
本実施形態においては、この
図9(b)に示すように、ハート形エビ5の重ねた分割頭部81,82を鋏先端部61にて貫通固定した後、第六切断線L6および第七切断線L7の位置で、ハサミやナイフ等を用いて、この鋏先端部61の両端が切断処理される。つまり、この鋏先端部61の両端が切断処理されることによって、本実施形態においては、固定されたハート形エビ6(
図9(c)参照)を得ることができる。
【0052】
本実施形態にて用いているニュージーランドアカザエビは、非常に鋭く硬い鋏部60を有するため、その先端部(鋏先端部61)を用いることによって、その形状が固定されたエビ加工物を比較的容易に得ることができる。つまり、本実施形態においては、エビ加工物として、固定されたハート形エビ6を容易に得ることができる。さらに、本実施形態にかかる固定されたハート形エビ6は、固定に用いた鋏先端部61の両端が適切に切断されているため、作業者がより安全にエビ6を取り扱うことができる。
【0053】
次に、
図10は、本発明の実施形態にかかるエビ加工方法にて形成されたエビ加工物(固定されたハート形エビ6)をトレイ100上に複数並べた状態の概略図を示したものである。
【0054】
この
図10に示すように、本実施形態にかかるエビ加工方法にて得られたエビ6(エビ加工物)は、通常、加工された後にはトレイ100等に複数並べた状態で冷凍保存される。そして、必要に応じて、冷凍状態のまま、または半解凍状態、あるいは解凍後(強制解凍や自然解凍等の後)、適宜必要な料理に用いられる。
【0055】
また、本実施形態にかかるエビ6が、この
図10に示すような状態に配置されて冷凍保存等される場合、このトレイ100のまま真空袋等でパッキングされることがある。このような場合であっても、本実施形態にかかるエビ6は、
図9(b)にて説明したように、固定に用いた鋏先端部61の両端が適切に切断処理されているため、パッキングの際に真空袋やトレイ100を突き破ることがない。さらに、エビ6を単体で袋等に入れてパッキングする場合においても、鋏先端部61の両端が適切に切断処理されているため、袋等を突き破る可能性が低減される。
【0056】
さて、本実施形態にかかるエビ加工方法およびエビ加工物は、上述したように構成されているため、次のような作用効果を得ることができる。以下、その構成および作用効果等について具体的に説明する。
【0057】
本発明の実施形態にかかるエビ加工物は、エビを特定の形に加工したエビ加工物であって、エビ1の足部20および鋏部60が除去され、エビの尾部50を切断することなく、エビの頭部30まで、エビの胴体部(胸部10および腹部40)が長手方向に二分割され、分割されたエビの頭部30(分割頭部81,82)のそれぞれが所定の位置に配され、分割されたエビの胴体部(分割胴体部71,72)のそれぞれが所定の形に整えられていることを特徴としている。
【0058】
このように、本実施形態にかかるエビ加工物は、エビ1の足部20と鋏部60とを除去した状態で、エビの尾部50の根元(胴体部側)から頭部30まで、エビの胴体部(胸部10および腹部40)が長手方向に二分割されている。つまり、本実施形態によれば、長手方向に二分割されたエビ4の胴体部および頭部30がエビの尾部50にて繋がった状態であるため、エビの頭部30の配置やエビの胴体部の形を整えることによって、エビを特定の形に加工することができる。したがって、本実施形態によれば、尾部50を有しつつ一体的でありながら、特定の形に加工されたエビ加工物を得ることができる。このような構成であれば、インパクトを有する特定の形に加工されたエビ加工物を得ることが可能であり、特にハート形のエビ加工物(ハート形エビ5、固定されたハート形エビ6)を得ることができる。
【0059】
また、本発明の実施形態にかかるエビ加工方法は、エビを特定の形に加工するエビ加工方法であって、エビ1の足部20および鋏部60を除去する足部除去工程と、エビの尾部50を切断することなく、エビの頭部30まで、エビの胴体部(胸部10および腹部40)を長手方向に二分割する長手分割工程と、分割されたエビ4の頭部(分割頭部81,82)のそれぞれを所定の位置に配置し、分割されたエビの胴体部(分割胴体部71,72)のそれぞれを所定の形に整える配置整形工程とを備えたことを特徴としている。
【0060】
本実施形態にかかるエビ加工方法によれば、足部除去工程および長手分割工程を経て、エビの尾部50にて繋がっていると共に胴体部(胸部10および腹部40)が長手方向に二分割された、エビ(二分割エビ4)を得ることができる。そして、本実施形態にかかるエビ加工方法によれば、この二分割エビ4に対して、配置整形工程が施される。つまり、本実施形態によれば、二つの工程(足部除去工程、長手分割工程)にて整形等を容易に行うことができる二分割エビ4を得ることができ、この二分割エビ4を用いて、比較的容易に、特定の形に加工されたエビ加工物を得ることができる。したがって、本発明によれば、インパクトを有する特定の形(例えば、ハート形)にエビを加工するためのエビ加工方法を得ることができる。
【0061】
さらに、本発明の実施形態にかかるエビ加工方法は、上述した配置整形工程にて、二分割エビ4の頭部同士、二分割エビ4の胴体部同士、あるいは二分割エビ4の頭部と二分割エビ4の胴体部とを重ね合わせ、エビの一部(鋏先端部61)を用いて、重ね合わせた各部位(二分割エビ4の頭部同士)を固定することを特徴としている。前記エビの一部としては、例えば、鋏部、足部、ヒゲ部等があげられる。つまり、具体的には、本実施形態にかかるエビ加工方法としては、例えば、二分割エビ4の分割頭部81,82のそれぞれを重ね合わせ、その重ね合わせた分割頭部81,82に、エビの鋭角な鋏部の一部(鋏先端部61)を貫通させることによって、エビの頭部を固定する方法があげられる。また、エビの一部としてヒゲ部等を用いる場合には、重ね合わせた部位をそのヒゲ部等にて結びつけて固定する方法があげられる。
【0062】
このように構成されたエビ加工方法によれば(ニュージーランドアカザエビを用いたエビ加工方法によれば)、エビの一部を用いて、特定の形に加工されたエビ加工物の形状を固定することができる。つまり、このようなエビ加工方法によれば、何等かの異物(金属やプラスチック等の他の部材)を用いることなく、前記エビの一部にて、前記エビ加工物の形状を固定可能であるため、安全であり食品衛生上も好ましい、前記エビ加工物を得ることができる。
但し、使用するエビの種類によっては、必要に応じて、エビの一部以外のもの(例えば、竹串等)を利用してエビ加工物の形状を固定してもよい。このように、竹串等を用いる場合には、調理後は事前に取り除くことが好ましい。
【0063】
また、本実施形態においては、エビとして、「ニュージーランドアカザエビ(ラングスティーヌ、スカンピ)」を用いている。本実施形態は、このように、ニュージーランドアカザエビを用いているため、容易にハート形に整形することができる。つまり、ニュージーランドアカザエビであれば、身や殻の性質上、ハート形等の形に容易に整形することができる。また、このニュージーランドアカザエビであれば、鋏先端部61が比較的鋭角であるため、この鋏先端部61を用いることによって、整形されたエビを容易に固定することができる。
【0064】
<その他の実施形態>
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0065】
上記実施形態においては、エビ加工物が主として「ハート形」「カモメ形」である場合について説明したが、本発明はこの形状に限定されない。したがって、例えば、二分割エビ4を用いて配置や整形可能であれば、どのような形状であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態においては、エビとして「ニュージーランドアカザエビ(ラングスティーヌ、スカンピ)」を用いる場合について説明したが、本発明はこの形状に限定されない。したがって、例えば、エビとして、クルマエビ科のエビや、イセエビ科のエビ等を用いることも可能である。このようなエビを用いれば、上述した実施形態のように、ハート形に整形されたエビ加工物を得ることができる。
【0067】
さらに、上記実施形態においては、ナイフNを用いて二分割エビ4を形成する場合(
図7等参照)について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、二分割エビ4を適切に形成可能であれば、切断等を行う道具は特に限定されず、例えば、ハサミやバンドソー等の切断機を用いてもよい。