【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・平成27年10月21日〜23日に開催されたびわ湖環境ビジネスメッセ2015において公開 ・平成27年11月28日に放送の滋賀経済NOWにて公開
【課題を解決するための手段】窓22の下側にある外壁10に容器12を設置する。容器12内に用土68やつる植物156を載せる台座60を設ける。台座60を構成する棚板64に複数の貫通穴66を設ける。容器12の底プレート部14に排水口28を開設し、この排水口28が下方に位置するように底プレート部14を傾斜させる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0014】
実施形態に係る植物栽培装置1は、
図1〜
図3に示すように、窓下の外壁10に設置される容器12を備えている。容器12は、底プレート部14、後プレート部16、前プレート部18、及び一対の横プレート部20を有している。
【0015】
底プレート部14は、窓22の幅方向に長い方形であって、短縁の一方24が他方26よりも低くなるように、傾斜している。また、底プレート部14には、短縁の一方24の近傍に排水口28が開設されている。
【0016】
一対の横プレート部20は、底プレート部14の短縁の各々24,26から鉛直方向に延出し、各々の上端は同一高さとなっている。
【0017】
後プレート部16は、底プレート部14の後側長縁30から鉛直方向に延出しており、上端が横プレート部20の上端と同一高さとなっている。よって、後プレート部16は、斜辺が下向きの台形となっている。
【0018】
前プレート部18は、底プレート部14の前側長縁32から鉛直方向に延出しており、上部が後プレート部16の上部よりも上方に延出している。よって、前プレート部18は、斜辺が下向きの台形であって、その上底と下底が後プレート部16よりも長くなっている。
【0019】
上記のように、容器12は窓22の幅方向に長く形成されている。容器12は、例えば、所定の形状にプレス切断されたアルミニウム合金板を折り曲げて、前プレート部18、横プレート部20、後プレート部16、及び底プレート部14を形成し、さらに、各プレート部14,16,18,20の端部同士を溶接することにより作られる。
【0020】
後プレート部16を外壁10に向けた容器12は、T字脚金具36およびL字脚金具38を介して外壁10に設置される。T字脚金具36は、後プレート部16に溶接により接合される平板状の接合部40、及び接合部40の中心から外壁10に向かって延出する平板状の連結部42を有している。このT字脚金具36が、後プレート部16の長手方向に所定の間隔を開けて複数個所に設けられている。
【0021】
L字脚金具38は、外壁10に固定される平板状の被固定部44、及び被固定部44の一端から前方に向かって延出する平板状の被連結部46を有している。被固定部44には複数の貫通穴48が開設されており、外壁10に設けられたアンカーボルト50が当該貫通穴48に挿通される。このアンカーボルト50にナット52が取り付けられることで、L字脚金具38が外壁10に設置される。このL字脚金具38が、T字脚金具36の各々に相対する位置に設けられている。
【0022】
T字脚金具36の連結部42およびL字脚金具38の被連結部46には、長穴54,56が開設されており、重ね合わされた連結部42および被連結部46の長穴54,56にボルト58が挿通され、ナット(不図示)が取り付けられることで、T字脚金具36とL字脚金具38が連結される。このように連結されることで、容器12が外壁10に設置される。なお、T字脚金具36およびL字脚金具38は、アルミニウム合金製であり、引き抜き加工して成型されている。
【0023】
容器12の内側には、植物を載せる台座60が設けられている。台座60は、一対の棚受け62a,62b、及び棚板64から構成されている。
【0024】
棚受け62a,62bは、帯状であって、容器12の長手方向に長く形成されている。棚受けの一方62aは、水平な姿勢で後プレート部16に溶接されている。棚受けの他方62bは、水平な姿勢で前プレート部18に溶接されている。一対の棚受け62a,62bは、同一高さに配されており、互いの間はあいて開口が形成されている。一対の棚受け62a,62b上に棚板64が載せられている。
【0025】
棚板64は、帯状であって、その幅が前プレート部18と後プレート部16の間隔と同じであり、その長さが一対の横プレート部20の間隔と同じである。この棚板64は、容器12内に嵌め込まれて、一対の棚受け62a,62b上にまたがって配される。また、棚板64には、上記開口の上方に、直径10mm程度の円形の貫通穴66が複数個所に形成されている。なお、貫通穴66は、上記開口の上方だけでなく、棚板64の全面に開設されてもよい。
【0026】
棚板64により区分けされた内部空間の上部には、用土68が入れられており、植物が植えられる。なお、用土68が、貫通穴66を通って落ちないように、棚板64上に透水性を有するシート70を敷くのが好ましい。また、棚板64上にプランターを載せてもよい。
【0027】
本実施形態の植物栽培装置1は、建物の外壁10に設置されているので、雨に晒されて、容器12内に雨が降り注ぐこととなる。多量の雨が容器12内に注がれたときには、雨水は貫通穴66を通って、容器12の内部空間の下部へと落ちる。このように、棚板64に開設された貫通穴66は、雨水などの水分を内部空間の下部に落とす水抜きとなっている。そして、本実施形態の植物栽培装置1によれば、用土68から余分な水を排水できるので、植物の根腐れを防止することができる。
【0028】
また、内部空間の下部へ落ちた雨水は、底プレート部14上に落ちる。このように底プレート部14は、棚板64から落ちた水を受ける水受けとなっている。そして、底プレート部14上に落ちた水は、底プレート部14を伝って排水口28から容器12の外へ排出される。よって、本実施形態の植物栽培装置1は、容器12内に水溜まりができないので、害虫の発生を防止することができる。また、衛生的である。
【0029】
本実施形態の植物栽培装置1は、さらに、容器12の内部空間の上部に横架部72が設けられている。横架部72は、棒状であって、その両端が前プレート部18および後プレート部16に溶接により接合されている。このような横架部72が容器12の長手方向に所定間隔で並んでいる。複数の横架部72を備えることで、容器12の強度を向上させることができる。
【0030】
本実施形態の植物栽培装置1は、さらに、容器12の外側に格子体74が設置されている。格子体74は、底枠部76、前枠部78、及び横枠部80を有している。
【0031】
底枠部76は、容器12の長手方向に長い方形であり、水平な姿勢で容器12の下方に配置されている。底枠部76の枠内には、複数の横棒部82が設けられている。横棒部82は、長手を水平方向かつ外壁10に向けて、容器12の長手方向に所定間隔で並んでおり、その両端が底枠部76に溶接されている。
【0032】
前枠部78は、容器12の長手方向に長い方形であり、鉛直な姿勢で容器12の前方に配置されている。前枠部78の枠内には、複数の縦棒部84が溶接されている。複数の縦棒部84は、長手を鉛直方向に向けて、容器12の長手方向に所定間隔で並んでおり、その両端が前枠部78に溶接されている。横枠部80は、方形であり、鉛直に向けた状態で容器12の左右に配置されている。
【0033】
縦棒部84および横棒部82の各々には、平板状の方形金具86,88が溶接されている。方形金具86,88は容器12に向かって延出しており、長穴90,92が開設されている。この方形金具86,88の各々に相対する複数のT字脚金具94,96が、容器12の前プレート部18および底プレート部14に設けられている。
【0034】
T字脚金具94は、溶接により前プレート部18に接合される接合部98、及び接合部98の中心から前方に延出する被連結部100を有している。T字脚金具96は、溶接により底プレート部14に接合される接合部102、及び接合部102の中心から下方に延出する被連結部104を有している。各T字脚金具94,96の被連結部100,104には、方形金具86,88に開設されている長穴90,92に対応する位置に、長穴106,108が開設されている。方形金具86,88の長穴90,92とT字脚金具94,96の長穴106,108に挿通されたボルト110に、ナット112が取り付けられており、これにより、格子体74が容器12に取り付けられている。
【0035】
格子体74が容器12に取り付けられることで、容器12の剛性が高まり、用土68の重みや地震による容器12の変形を防止することができる。
【0036】
さらに、本実施形態の植物栽培装置1は排水管114を備えている。排水管114は、その一端が容器12の排水口28に接続されており、他端が他の排水管174に接続されている。この他の排水管174は建物の竪樋116に通じている。排水管114,174を備えることで、容器12から排出される余分な水が排水管114,174および竪樋116を流れて、排水される。
【0037】
さらに、本実施形態の植物栽培装置1は、用土68上に散水ヘッド118が配されている。散水ヘッド118は、円筒状であり、筒軸が容器12の長手方向を向いている。散水ヘッド118の一端から他端にかけて複数の小穴120が開設されている。散水ヘッド118の一端は閉じられており、他端はホース122を介して水道の蛇口(不図示)に通じている。蛇口から出た水が、ホース122内を流れて、散水ヘッド118の複数の小穴120から放出されることで、容器12内に散水される。このような散水ヘッド118およびホース122は、容器12内に散水する散水装置として機能している。
【0038】
散水装置は、
図4に示すように、電気的に駆動されるバルブ124を蛇口と散水ヘッド118の間に備えてもよい。バルブ124は、マイクロコンピュータ126の出力端子128に接続されており、当該出力端子128からの信号に基づいて、バルブ124の開閉を行う。マイクロコンピュータ126は、中央処理装置(以下、「CPU」と称し、符号"130"を付す。)、プログラムが記憶された記憶装置132、及び複数の端子を有している。複数の端子は、上記の出力端子128の他に、リアルタイムクロック(以下、「RTC」と称し、符号"134"を付す。)からの信号が入力される入力端子136を有している。CPU130は、記憶装置132からプログラムをロードして、次の処理をおこなう。
【0039】
CPU130は、周期的にRTC134からの信号を取得し、当該信号を解析して現在時刻を取得する。取得した現在時刻が散水時刻に達すると、CPU130は、出力端子128を制御して、バルブ124を開ける開放信号を出力する。なお、散水時刻は、散水を開始する時刻であって、予めプログラムに定められている。よって、所定の時刻になると、蛇口からの水が散水ヘッド118に供給されて、散水が開始される。
【0040】
さらに、CPU130は、周期的にRTC134から入力された信号に基づいて現在時刻を取得する。この現在時刻が終了時刻に達すると、CPU130は、出力端子128を制御して、バルブ124を閉じる閉鎖信号を出力する。なお、終了時刻は、散水を終了する時刻であって、予めプログラムに定められている。よって、所定の時刻になると、蛇口から散水ヘッド118に流れる水が遮断されて、散水が終了する。このように、バルブ124、マイクロコンピュータ126、及びRTC134は、自動で散水を開始し、また散水を終了させる散水制御手段として機能している。散水制御手段を有する植物栽培装置1は、自動で散水されるので、水やりを忘れることがない。
【0041】
また、本実施形態の植物栽培装置1は、窓22の上下間に張設された複数のワイヤー138を有している。ワイヤー138の上端部は、窓上の外壁10に設置されたL字脚金具140に取り付けられている。L字脚金具140は、窓22の幅方向に延びる帯状の被固定部142と、被固定部142から前方に延出している帯状の取付部144と、を有している。被固定部142には複数の貫通穴(不図示)が開設されており、窓上の外壁10に埋め込まれた複数のアンカーボルト(不図示)が当該貫通穴に通される。そして、ナット146がアンカーボルトに取り付けられることで、L字脚金具38が窓上の外壁10に設置される。取付部144には、複数の貫通穴148が、所定の間隔で開設されている。ワイヤー138の上端部は、貫通穴148に通されて、取付部144に括りつけられる。
【0042】
ワイヤー138の下端部は、後プレート部16上に設置された角棒150に取り付けられている。角棒150は、後プレート部16の上部に形成された折曲部152に沿って、容器12の長手方向に延びており、折曲部152に溶接されている。角棒150には、所定の間隔で複数の貫通穴154が開設されている。ワイヤー138の下端部は、当該貫通穴154に通されて、角棒150に括りつけられる。用土68につる植物156が植えられると、つる植物156がワイヤー138に巻き付きながら上方に成長する。このようにつる植物156が成長することで、窓面が緑化され、つる植物156を、日差しを遮るカーテンとして機能させることができる。
【0043】
また、本実施形態の植物栽培装置1は、容器12(以下、「主容器12」という)に取り付けられる付属容器158を有してもよい。付属容器158は、主容器12よりも小さい角形のアルミニウム合金製容器であって、その前プレート部160が、他の側プレート部よりも上方に長く延出している。前プレート部160の先端部は、前方かつ下方に折れ曲る折曲部162を形成しており、当該折曲部162が主容器12の前プレート部18の先端に形成された折曲部164に嵌め込まれる。
【0044】
付属容器158内には、用土68が入れられており、植物が植えられる。また、付属容器158内には植物が植えられた小鉢が入れられてもよい。このような植物栽培装置1によれば、主容器12でつる植物156を栽培して窓面を緑化しつつ、付属容器158で花を育てることができる。
【0045】
本発明の植物栽培装置は、上記の実施形態に限定されず、
図5および
図6に示す態様であってもよい。
【0046】
この植物栽培装置3は、窓22の幅方向に長く形成された角形の容器166を備えている。容器166の内側には、台座60が設けられている。台座60は、水平な姿勢で設けられる棚板62と、この棚板62を受ける棚受け62a,62bと、から構成される。棚板62には、複数の貫通穴66が開設されている。
【0047】
台座60の下方には、傾斜板168が設けられている。傾斜板168は、容器166の内側に広がっており、短縁の一方170が他方172よりも下がった姿勢で、容器166の内面に溶接されている。また、短縁の一方170の近傍には排水口28が形成されている。
【0048】
排水口28には排水管114が接続されている。排水管114は、容器166の底に開設された穴を通って、容器166外に垂下している。排水管114の下部には、建物の竪樋(不図示)に繋がった他の排水管174が接続されている。
【0049】
上記の容器166は、窓下の外壁10に設置された格子体176内に収納されている。格子体176は、容器166の周りに設けられる底枠部178、前枠部180、後枠部182、及び横枠部184を有している。
【0050】
底枠部178は、容器166の長手方向に長い方形であり、水平な姿勢で容器166の外底面186側に設けられている。底枠部178の枠内には、複数の横棒部188が溶接されている。複数の横棒部188は、長手を水平方向かつ外壁10に向けた状態で、所定の間隔をあけて並べられている。
【0051】
前枠部180は、容器166の長手方向に長い方形であり、鉛直姿勢で容器166の前面190側に設けられている。後枠部182は、容器166の長手方向に長い方形であり、鉛直姿勢で容器166の後面192側に設けられている。横枠部184は、方形であり、鉛直姿勢で容器166の左面194側および右面196側に設けられている。
【0052】
前枠部180、後枠部182、及び横枠部184の枠内には、複数の縦棒部198が形成されている。後枠部182の枠内の縦棒部198には、L字脚金具38の一方の板部200が溶接されている。このL字脚金具38の他方の板部202には、貫通穴48が形成されており、外壁10に設けられたアンカーボルト50が貫通穴48に通されてナット52により固定される。このようにして格子体176が外壁10に設置される。
【0053】
このような植物栽培装置3によれば、格子体176を外壁10に設置し、この格子体176に容器166を嵌め込めばよいので、上記植物栽培装置1に比べて施工が簡単である。
【0054】
また、ワイヤー138の下端部を取り付ける取付金具204を外壁10に設置してもよい。取付金具204は、外壁10に固定される被固定部206を有している。被固定部206には貫通穴208が開設されており、外壁10に設けられたアンカーボルト50が当該貫通穴208に通されてナット52が取り付けられる。被固定部206の上部から前方に向かって取付部210が形成されている。取付部210には、ワイヤー138が挿通される穴(不図示)が開設されており、ワイヤー138の下端部が当該穴に通されて括りつけられる。
【0055】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものであり、これらの態様はいずれも本発明の範囲に属するものである。
【0056】
例えば、水受けは、排水口28に向かって下方に傾斜する傾斜部を有していれば、種々の態様を採用することができる。例えば、水受けは、山折り状に形成された傾斜面を有し、その下部の両方に排水口を設けてもよい。他には、水受けは、谷折り状に形成された傾斜面を有し、その下部に排水口を設けてもよい。また、傾斜部は、平坦な面に限られず、樋状に湾曲した面であってもよい。さらに、傾斜部は、排水口に向かって傾斜する傾斜溝であってもよい。
【0057】
容器12を外壁10に設置する設置具として、T字脚金具36やL字脚金具38を用いたが、他の形状の金具を用いてもよい。また、単一の金具を用いて容器12を外壁10に設置してもよい。また、格子体176を外壁10に設置する設置具も同様に、L字脚金具38に限定されず、他の形状の金具を用いてもよい。
【0058】
アルミニウム合金から成る容器12,166、T字脚金具36、L字脚金具38、格子体74,176、付属容器158は、腐食を防止するとともに、美観を保つために、電解着色塗装を施すのが好ましい。また、これの部材は、ステンレスなどの他の金属を用いてもよい。
【0059】
図2および
図3に示すように、格子体74の外側に化粧板212を取り付けてもよい。また、化粧板212の外側にルーバー状の部材214を取り付けてもよい。