【解決手段】遊技機1は、予め定められた抽選条件が成立した場合に抽選処理を実行する抽選手段と、抽選処理の結果が特典の付与に対応していた場合に、遊技者に特典を付与する特典付与手段と、抽選処理の結果に対応した図柄を表示する液晶表示部を有すると共に、予め定められた仮想表示領域560において液晶表示部の図柄に基づく虚像の図柄560Gを遊技者が視認可能にする画像表示手段と、画像表示手段が仮想表示領域560において虚像の図柄560Gを視認可能にしている場合に、仮想表示領域560の後方から前方に向かって仮想表示領域560を通過する特別演出を実行する特別演出実行手段と、を備えている。
前記画像表示手段は、前記仮想表示領域における予め定められた焦点位置に遊技者が焦点を合わせた場合に、前記仮想表示領域において前記特別画像を視認可能にするものであり、
前記可動操作部は、前記特別画像を貫通する場合に前記焦点位置を通過することを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、大当たり図柄が停止したときに大当たり状態を発生させるパチンコ遊技機(遊技機)1に関する例である。この内容について、
図1〜
図7を用いて説明する。
【0010】
図1に例示のパチンコ遊技機1は、始動口12への入賞に応じて大当たり状態(特別遊技状態)の抽選(特図判定)を実行し、抽選結果を表す図柄変動を実行する、いわゆるセブン機である。このパチンコ遊技機1では、大当たり状態以外の遊技状態として、遊技者側の有利度合いが低い通常状態のほか、特図判定の当選確率が高くなる確率変動状態(確変状態)、大当たり図柄の変動時間が短くなる時短状態等が設定されている。
【0011】
パチンコ遊技機1は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉13を有し、その内側の遊技盤130Aの表面側に沿うように略円形状の遊技領域130が形成された遊技機である。遊技領域130の左側下部にはスピーカ131が配置され、遊技領域130の下側には上皿135及び下皿137が遊技者側に張り出すように設けられている。上皿135は、入賞に応じて払い出された賞球や、貸玉等を受け入れて玉を貯留する受け皿である。下皿137は、上皿135の収容限度を超える玉等を受け入れる皿である。上皿135の右下には、上皿135の玉を遊技領域130に向けて発射するための操作ハンドル15が立設されている。
【0012】
開閉扉13は、パチンコ遊技機1に対面して左側に位置するヒンジ133を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。開閉扉13には、遊技領域130に対応する略円形状の透明窓139と、透明窓139の上部両側に配置された装飾ランプ部136と、が設けられている。
【0013】
遊技領域130は、遊技媒体である玉が流下する領域である。遊技領域130には、図柄を変動表示する表示装置5を中心として、始動口12、通過ゲート14、大入賞口160等が配置されている。大入賞口160は、始動口12の下方に設けられ、通常状態よりも大当たり状態(特別遊技状態)において玉が入賞し易くなっている。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するための玉排出口138が開口している。遊技領域130の左側縁部にはLEDよりなる普図表示部182及び普図保留表示部183が配置されている。
【0014】
通過ゲート14は、通過玉を検知するゲートである。玉を通過させるのみの通過ゲート14には、賞球の払い出しが設定されていない。通過ゲート14を玉が通過すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出され、普図判定が実行される。普図当選確率は、通常状態では1/30、確変状態及び時短状態では1/1となっている。
【0015】
普図表示部182は、普図判定結果の表示部である。普図表示部182は、LEDを点灯させることにより普図当選を表示し、消灯に応じてハズレを表示する。なお、普図の変動時間は通常状態で30秒、時短状態で1秒となっている。
普図保留表示部183は、普図保留として記憶(保留)された普図判定結果を表示できるよう、4つのLEDが連設された表示部である。普図保留表示部183は、LEDの点灯個数により普図保留の保留数(上限保留数4個)を表示する。
【0016】
始動口12は、特図判定の契機となる入賞口(払出3玉)である。始動口12に玉が入賞すると、特図判定の抽選用乱数が抽出され大当たり状態を発生させるか否かの抽選(特図判定)が実行される。この始動口12は、一対の可動羽根121を開口部120に設けた電チュー(電動チューリップ)により構成された可変入賞口となっている。
【0017】
通常時の一対の可動羽根121は、隙間を空けて相互に対面するように起立する状態(
図1中、点線で示す状態。)にある。この状態では、上方に向けて開口する玉1個分の隙間を介してのみ玉が入賞する可能性がある。一方、相互に離隔するように回動した一対の可動羽根121(同図中、実線で示す状態。)は、開口部120への玉の流入をガイドする受け皿のように作用する。このような開放状態では、始動口12への入賞が容易に発生する。始動口12は、上記の普図当選に応じて開放し、その開放時間は、通常状態では0.2秒、確変状態では1.5秒×3回となっている。
【0018】
大入賞口160は、アタッカーとも呼ばれる可変入賞装置である。大入賞口160は、始動口12の下側に配置されている。横長の大入賞口160には、開閉可能な蓋部材161が設けられている。大入賞口160は、遊技領域130をなす盤面と略面一をなすように蓋部材161が位置したとき、閉鎖状態となる。蓋部材161が手前側に回動すると大入賞口160が開放状態となり、大入賞口160に玉を導くための受け皿として蓋部材161が機能する。なお、大入賞口160に入賞したときの払出は15玉となっている。
【0019】
表示装置5は、虚像(特別画像)の表示エリアである仮想表示領域560が枠59の内側に配置された表示装置である。表示装置5は、特図判定(大当たり抽選)の結果を報知する機能を有し、仮想表示領域560に表示する虚像の数字図柄(特別画像)560Gにより特図判定の結果を報知する。また、仮想表示領域560の下側に当たる枠59の前面には、4個のLEDが水平方向に配列された特図保留表示部597が配置され、その点灯個数により特図保留数を表示する。
【0020】
図柄変動手段としての表示装置5は、仮想表示領域560において、演出用の虚像の数字図柄560Gを所定時間に亘って変動表示した後、停止表示された虚像の数字図柄560Gの組合せに応じて特図判定の抽選結果を報知する。特図判定の抽選結果としては、大当たり状態の契機となる特図当選(大当たり状態を発生させる旨の抽選結果、大当たり当選)のほか、ハズレがある。
【0021】
特図当選の場合には、所定の図柄変動時間(図柄変動の実行時間)に亘る図柄の変動表示後、ゾロ目の3桁の数字図柄(1〜9のいずれか)が表示される。特に、奇数の数字図柄のゾロ目は、確変大当たり状態の契機となる確変大当たり図柄となっており、偶数の数字図柄のゾロ目は、通常大当たり状態の契機となる通常大当たり図柄となっている。
【0022】
表示装置5の枠59は、遊技領域130を覆う透明窓139に設けられた貫通孔139Hに貫通配置されており、遊技者側に開口している。表示装置5では、枠59の開口部590に位置する仮想表示領域560を通り越して遊技者が手や指先等を内部空間500(
図4)に差し入れ可能となっている。表示装置5は、内部空間500に差し入れられた遊技者の指先に触感を与える特別演出である送風演出や、仮想表示領域560の裏側から押ボタン551が突き出てくる特別演出であるボタン演出を実行可能である。表示装置5は、これらの特別演出を実現するための構成として、送風装置57や押ボタン551の進退機構55等を備えている。これらの構成を含む表示装置5の具体的な構成及び動作については後で詳しく説明する。
【0023】
次に、パチンコ遊技機1の電気的な構成について、
図2を参照して説明する。パチンコ遊技機1は、主回路20を中心として構成されている。主回路20に対しては、玉の払出を制御する払出制御回路33、玉の打込を制御する発射制御回路34、遊技演出を制御する演出制御部35、液晶表示部52を制御する表示制御回路36、入賞玉あるいは通過玉の検出センサ311〜313、始動口12の可動羽根121を駆動する電チューソレノイド321、大入賞口160を開放させる大入賞口ソレノイド324、普図表示部182、普図保留表示部183、特図保留表示部597、外部に各種信号を出力する信号出力部38、電力供給のための電源回路328、表示装置5の内部空間500に収容された押ボタン551、この押ボタン551を進退させる三方弁553、表示装置5の内部空間500に送風する切換弁571、圧縮空気を生成するエアポンプ53等が電気的に接続されている。また、演出制御部35には、スピーカ131を駆動するアンプ351や装飾ランプ部136が電気的に接続されているほか、表示制御回路36が通信可能に接続されている。表示制御回路36には、液晶表示部52が電気的に接続されている。
【0024】
入賞玉あるいは通過玉の検出センサとしては、始動口12への入賞玉を検出する特図始動センサ311、通過ゲート14の通過玉を検出する普図始動センサ312、及び大入賞口160への入賞玉を検出する大入賞センサ313がある。特図始動センサ311は、始動口12に入賞した玉を検出できるようにその入賞口に取り付けられている。大入賞センサ313は、大入賞口160に流入した入賞玉を検出できるように取り付けられている。
【0025】
払出制御回路33は、始動口12あるいは大入賞口160への玉の入賞が発生したとき、玉を払い出す払出手段の一例である払出装置331を制御し、所定数の玉の払出により入賞に対して特典を付与する。
発射制御回路34は、操作ハンドル15の操作量に応じて、上皿135の玉を発射する発射手段の一例である発射装置341を制御することで、玉の打ち出し強さをコントロールする。
【0026】
図2に示す主回路20は、CPU(Central Processing Unit)21、記憶素子であるROM(Read Only Memory)22・RAM(Random Access Memory)24、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部27、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部26、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)25等を備えている。
【0027】
ROM22は、CPU21に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、図示しない特図判定用の抽選テーブル及び普図判定用の抽選テーブルを記憶している。
特図判定用の抽選テーブルでは、通常状態及び時短状態での特図当選の当選乱数と、確変状態での特図当選の当選乱数と、が規定されている。確変状態での特図当選の当選乱数の数は、通常状態等での特図当選の当選乱数よりも多く設定され、これにより、確変状態における特図当選の確率が1/60と、通常状態及び時短状態の当選確率1/300よりも高くなっている。なお、特図当選の当選乱数の振分割合は、確変大当たりが50%、通常大当たりが50%となっている。
【0028】
普図判定用の抽選テーブルでは、通常状態での普図当選の当選乱数と、時短状態及び確変状態での普図当選乱数の当選乱数と、が規定されている。通常状態での普図当選の当選乱数の数よりも、時短状態等での普図当選の当選乱数の方が多く設定され、通常状態での普図当選1/30に対して、時短状態及び確変状態での普図当選の当選確率が1/1となっている。
【0029】
RAM24は、CPU21のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。RAM24の記憶エリアには、特図保留エリア241、普図保留エリア243、及び各1データ分の特図読出エリア245、普図読出エリア246が割り当てられている。RAM24は、始動口12への始動入賞に応じた特図判定の抽選結果を記憶する後述の記憶手段としての機能を備えている。
【0030】
特図保留エリア241は、特図判定の当否を表す保留乱数の記憶領域である。普図保留エリア243は、普図判定の保留乱数の4データ分の記憶領域である。特図保留エリア241、普図保留エリア243には、それぞれ4データ分の保留エリアが設定されている。
【0031】
本実施形態の主回路20は、ROM22から読み出したプログラムをCPU21に実行させることにより、以下の各機能を実現している。
(1)抽選手段:予め定められた抽選条件が成立した場合に、大当たり状態を発生させるか否かの抽選処理である特図判定を実行する手段。抽選手段は、始動口12への玉の入賞という抽選条件が成立したとき、特図判定用の抽選用乱数を抽出することで、遊技者に有利な大当たり状態を発生させるか否かの特図判定を実行する。
(2)演出抽選手段:表示装置5で特別演出を実行するか否か、及び実行する特別演出の種類等を抽選により決定する手段。なお、特別演出の一例としては、ボタン演出や送風演出があり、これらの演出内容については後で詳しく説明する。
(3)記憶手段:特図判定用に抽出された抽選用乱数を保留乱数として記憶する手段。記憶手段は、始動口12への始動入賞に応じた特図判定用の抽選用乱数を上記特図保留エリア241に記憶する。なお、上限である4データ分の保留乱数が保留された状態で対応する抽選用乱数が新たに抽出された場合、記憶手段は、その抽選用乱数を保留することなくそのまま消去する。このような抽選用乱数の保留処理は、普図判定についても同様である。
(4)読出手段:特図保留エリア241、普図保留エリア243の保留乱数を、特図読出エリア245あるいは普図読出エリア246に読み出す手段。読出手段は、特図保留エリア241、普図保留エリア243の保留乱数である特図保留あるいは普図保留を1つずつ読み出し、保留数を減少させる。
(5)特典付与手段:特図判定の抽選結果が大当たり状態の発生という特典の付与に対応する特図当選である場合に、大当たり状態の発生という特典を遊技者に付与する手段。
【0032】
次に、
図3及び
図4を用いて表示装置5について説明する。表示装置5は、特図判定の抽選結果(抽選処理の結果)に対応した画像を表示する液晶表示部(表示部)52を有すると共に、予め定められた仮想表示領域560においてこの画像に基づく特別画像として虚像の数字図柄560G等を遊技者が視認可能にする画像表示手段としての機能を備える装置である。
【0033】
さらに、この表示装置5は、ボタン演出や送風演出などの特別演出を実行する特別演出実行手段としての機能を備えている。
ボタン演出を実行する特別演出実行手段は、仮想表示領域560において虚像の数字図柄560G等を視認可能にしている場合に、仮想表示領域560の後方から前方に向かって仮想表示領域560を通過する特別演出を実行する手段である。ボタン演出を実現する特別演出実行手段は、進退機構55により進退可能な押ボタン551、及び押ボタン551の操作に応じて演出を実行する操作演出実行部を含めて構成されている。
【0034】
押ボタン551は、仮想表示領域560よりも後方に設けられ、遊技者が操作することが可能であり、画像表示手段としての表示装置5が仮想表示領域560において虚像の数字図柄560G等の特別画像を視認可能にしている場合に、その特別画像の後方から前方に向かって数字図柄560Gを貫通して突出する可動操作部の一例である。操作演出実行部は、押ボタン551が仮想表示領域560の虚像の数字図柄560G等を貫通して突出した後、押ボタン551を遊技者が操作した場合に、その操作に基づいて演出を実行するように液晶表示部52及び光制御パネル51を組み合わせて構成されている。
【0035】
送風演出を実現する特別演出実行手段は、画像表示手段としての表示装置5が仮想表示領域560において数字図柄(特別画像)560G等を視認可能に実行している場合に、仮想表示領域560の後方において遊技者の触感を利用した送風演出(特別演出の一例)を実行する上側送風装置57及び下側送風装置57を含めて構成されている。
【0036】
表示装置5は、枠59に取り囲まれた開口部590を有する筐体50を有し、その内部には、開口部590を介して遊技者が手や指先を差し入れ可能な内部空間500が形成されている。内部空間500の天井面の手前側近く及び底面の奥側には、それぞれ、上側送風装置57あるいは下側送風装置57を構成する送風口572・574が設けられている。底面の中央付近の位置には、開口部590に向かう斜めの有底孔であるスリーブ550が形成され、略円柱状の押ボタン551が進退可能に収容されている。スリーブ550の底面には、エアチャンバー530の圧縮空気を供給するための空気孔が設けられ、押ボタン551はスリーブ550の内圧によって前進可能である。押ボタン551は、奥側に押し込まれたときに操作信号を出力するように構成されている。
【0037】
表示装置5は、エアポンプ53と圧縮空気を蓄えるエアチャンバー530とを有し、筐体50には、エアチャンバー530の圧縮空気を利用する空気圧回路が形成されている。エアポンプ53は、外部の空気を吸い込んで圧縮して吐き出すポンプである。エアポンプ53が吐出する圧縮空気はエアチャンバーに蓄えられる。エアポンプ53は、エアチャンバー530の内圧が所定圧となるように制御される。
【0038】
表示装置5は、エアチャンバー530の圧縮空気を送風口572・574に供給するか否かを切り換える切換弁571と、圧縮空気をスリーブ550に供給するかスリーブ550を外気に連通させるかを切り換える三方弁553と、を備えている。送風口572と共に上側送風装置57を構成する切換弁571を開弁すると、エアチャンバー530の圧縮空気が送風口572に供給されて、内部空間500において下向きの気流が生じる。送風口574と共に下側送風装置57を構成する切換弁571を開弁すると、圧縮空気が送風口574に供給されて、内部空間500において上向きの気流が生じる。
【0039】
押ボタン551の進退機構55を構成する三方弁553は、スリーブ550とエアチャンバー530とを連通させるか、スリーブ550を外部に連通させるかの切換が可能である。エアチャンバー530とスリーブ550とが連通するように三方弁553を切り換えれば、エアチャンバー530の内圧をスリーブ内に作用でき、押ボタン551を前進駆動できる。一方、スリーブ550内を外部に連通させるように三方弁553を切り換えれば、押ボタン551の自重によりスリーブ550の底側まで押ボタン551が後退する。なお、上記の構成に代えて、例えばソレノイドにより押ボタンを駆動することも可能である。押ボタンを後退側に付勢するスプリングを設け、ソレノイドへの通電により押ボタンが前進し、通電停止により押ボタンが後退するように構成できる。
【0040】
表示装置5の内部空間500は、仮想表示領域560に虚像の数字図柄560Gを表示するための光路を形成するために利用される。この内部空間500では、実像の数字図柄等の画像を表示する液晶表示部52が天井に取り付けられ、その数字図柄の虚像を仮想表示領域560に結像させるための光学的手段である光制御パネル51が液晶表示部52に対して斜めの角度(約45度)で相対するように保持されている。液晶表示部52が表示した画像を仮想表示領域560に結像させる結像部の一例である光制御パネル51は、内部空間500の内側面に両端を固定された状態で支持されている。
【0041】
光制御パネル51は、上記の特許文献2に記載された光制御パネルと原理が共通する光学部品である。光制御パネル51は、帯状の反射部を内部に複数配列したシート状の光制御部材を、帯方向が互い違いに直交するように2枚重ね合わせたものである。所定間隔をなすように配列された反射部は、光制御部材の一方の表面から入射した光を反射して裏側から出射させる。液晶表示部52の光は、液晶表示部52側の光制御部材に入射した後、内部の反射部で反射して他方の光制御部材に入射し、内部の反射部でもう一度反射して仮想表示領域560に向けて進行する。つまり、光制御パネル51では、重ね合わせた2枚の光制御部材の反射部の組み合わせが2面直交リフレクタ(2面コーナーリフレクタ)として機能し、光制御パネル51全体では多数の2面直交リフレクタが実現されている。液晶表示部52に表示された数字図柄等の画像は、2面直交リフレクタとしての機能を備える光制御パネル51を介して仮想表示領域560に結像し、遊技者側から見ると仮想表示領域560に表示画面があるかのように視認される。
【0042】
本例では、枠59に取り囲まれた開口部590の内側であって、かつ、透明窓139や枠59の前面に対してほぼ面一となる位置に、仮想表示領域560が形成されるように光制御パネル51を設計している。この仮想表示領域560は、透明窓139と遊技盤130Aとの間隙に形成された遊技領域130よりも奥行き方向において遊技者側に近く位置している。それ故、遊技者側から見れば、遊技領域130に配設された大入賞口160等の役物に対して、仮想表示領域560による表示画面が飛び出して目視される。
【0043】
特に、画像表示手段としての表示装置5は、仮想表示領域560における予め定められた焦点位置560F(
図6)に遊技者が焦点を合わせた場合に、仮想表示領域560において虚像の数字図柄560G等の特別画像を視認可能とするように構成されている。そして、可動操作部としての押ボタン551は、仮想表示領域560の数字図柄(特別画像)560Gを貫通する場合に上記の焦点位置560Fを通過するように構成されている。このように焦点位置560Fを位置させれば、仮想表示領域560の後方から突出する押ボタン551に遊技者が注目したときの視線移動を抑制でき、押ボタン551に注目したときに仮想表示領域560の特別画像が視認できなくなるおそれを抑制できる。
【0044】
次に、以上のような構成のパチンコ遊技機1の遊技の内容を説明する。パチンコ遊技機1は、操作ハンドル15が右回転方向に操作されたとき、その操作量に応じた強度で玉を発射する。発射された玉は、始動口12等が配置された遊技領域130を流下する。始動口12や大入賞口160等に入賞しなかった玉は、遊技領域130の最下部に設けられた玉排出口138から回収される。
【0045】
主回路20は、通過ゲート14を通過する玉を検出したとき、乱数発生部27が発生する乱数の中から普図判定用の抽選用乱数を抽出する抽選を実行する。主回路20は、この抽選用乱数を普図判定用の抽選テーブル(図示略)と照合し、普図判定の当否を決定する。普図判定に当選したとき、主回路20は、普図表示部182を構成するLEDの点滅動作(普図変動)の後、LEDを点灯させる。ハズレの場合には、点滅動作の後、LEDを消灯させる。普図判定に当選すると、主回路20は、可動羽根121を外側に回動させ、これにより、始動口12が開放されて入賞確率が高められる。
【0046】
始動口12に玉が流入して始動入賞が発生した場合には、主回路20は、特図判定用の抽選用乱数を抽出することで特図判定を実行する。主回路20は、抽出した特図判定用の抽選用乱数を特図保留として記憶する。抽選用乱数は、上限保留数の一例である4個を限度として保留される。保留数が4個となっている場合、始動口12への入賞に応じて抽出された新たな抽選用乱数は特図保留として記憶されることなく消去される。なお、特図保留の個数は、上記の特図保留表示部597のLEDの点灯個数により表示される。
【0047】
主回路20は、空中ディスプレイである仮想表示領域560に表示される図柄変動の元となる液晶表示部52による図柄変動が停止しており、かつ、大当たり状態の発生中でもないとき、特図保留エリア241に記憶された保留乱数を1つずつ読み出し、図示しない特図判定用の抽選テーブルと照合して特図判定の当否を判定する。保留乱数の読み出しに当たっては、記憶時点(入賞時点)が古い保留乱数から順番に1つずつ読み出される。
【0048】
主回路20が特図判定の当否を判定したとき、仮想表示領域560において図柄変動が表示されるように液晶表示部52が制御される。仮想表示領域560に表示された横並びの3つの虚像の数字図柄560Gは、左→右→中の順番で停止する。大当たり状態の契機となる特図当選のとき、仮想表示領域560にゾロ目の組合せである大当たり図柄を停止表示させて特図当選を報知する。なお、確変大当たりが当選した場合には奇数のゾロ目となり、通常大当たりの場合は偶数のゾロ目となる。
【0049】
大当たり図柄の停止表示によって特図当選が報知されると、まず、15秒間に亘ってオープニング演出が実行され、その後、大当たり状態が開始される。大当たり状態では、大入賞口160が開放されて玉が入賞可能になるラウンドが繰り返し実行される。なお、主回路20は、大当たり状態の発生中に、その旨を表す大当たり信号を出力する。
【0050】
大当たり状態の実行中に大入賞口160が開放されるラウンドの繰返し回数は、確変大当たり状態であるか通常大当たり状態であるかによらず15回となっている。1回のラウンドは、大入賞口160に玉が10個入賞するか、30秒経過したときに終了する。ラウンド15回分の平均的な出玉は約1500個となっている。大当たり状態においてラウンドが15回消化されると、10秒間に亘るエンディング演出が実行されて大当たり状態が終了する。
【0051】
確変大当たり状態の終了後には、特図当選の確率が高くなる確変状態が発生する。この確変状態は、通常大当たり状態に対応する通常大当たり当選(通常大当たりの特図当選)に応じて終了し、確変大当たり当選(確変大当たりの特図当選)の場合には、対応する確変大当たり状態の終了後に確変状態が再開されて継続する。通常大当たり状態の終了後には、図柄変動50回転に亘る時短状態が発生し、50回転の図柄変動を消化すると通常状態に復帰する。
【0052】
次に、表示装置5が図柄変動を表示する図柄変動演出と共に実行するボタン演出及び送風演出の内容について説明する。
表示装置5は、特図当選が発生したときの図柄変動の際、押ボタン551を利用したボタン演出や、遊技者が差し入れた手や指先等に触感を与える送風演出を実行する場合がある。ボタン演出及び送風演出は、特図判定と同時に実行される演出抽選において対応する演出が当選したときに実行される。特図当選が発生したときの各演出(ボタン演出、送風演出)の当選確率はいずれも10%となっており、特図当選を報知する図柄変動のうちの10%でボタン演出が実行され、10%で送風演出が実行される。なお、表示装置5は、特図当選の場合だけでなく、ハズレの特図判定結果を報知する図柄変動の際にも、それぞれ、0.1%の確率でボタン演出あるいは送風演出を実行するように構成されている。
【0053】
ボタン演出の実行に当選した場合、
図5及び
図6(b)のごとく押ボタン551が仮想表示領域560の後方(裏側)から突出してボタン演出が開始される。このように仮想表示領域560の後側から突出した押ボタン551が遊技者により押し込まれると、その押し込み操作に応じた前記操作信号を契機として、特図判定の当選期待度を報知する演出が実行される。この報知演出は、操作演出実行部を構成する液晶表示部52及び光制御パネル51の組み合わせを利用して実行され、特図判定の当選期待度を表す文字等が仮想表示領域560に虚像で表示される。
【0054】
図7のごとく、特図当選であれば、75%の確率で「大吉」の文字を仮想表示領域560に表示する一方、25%で「吉」の文字を表示する。特図当選がハズレであれば、押ボタン551が押し込まれたとき、25%の確率で「大吉」の文字を仮想表示領域560に表示する一方、75%で「吉」の文字を表示する。なお、押ボタン551の前記操作信号が検出されると、スリーブ550内を外部に連通させるように三方弁553が切換制御されて押ボタン551は押し込まれた位置に留まる。
【0055】
送風演出の実行に当選して特別演出を実行する際には、特別演出実行手段としての表示装置5は、まず、仮想表示領域560の数字図柄(特別画像)560Gの前方から後方に向けて遊技者に手を入れさせる演出を実行する。例えば「手を差し入れてください。」というメッセージを仮想表示領域560に表示した上で、いずれかの送風口572・574からの送風を開始し、これにより遊技者が差し入れた手に風を吹きかけて触感を与える送風演出を実行する。
【0056】
送風演出では、特図当選であるか否かによって送風方向が異なっている。特図当選であれば、75%の確率で上側送風装置57を駆動して上から下に向かって送風し、25%の確率で下側送風装置57を駆動して下から上に向かって送風する。特図判定がハズレの場合の送風演出では、25%の確率で上から下に送風し、75%の確率で下から上に送風する。送風演出では、遊技者が差し入れた手の触感によって風向きを特定でき、特定できた風向きによって特図当選か否かを推測できる。
【0057】
以上のような構成のパチンコ遊技機1は、特図判定の当否に対応した図柄を表示する液晶表示部52を有すると共に、予め定められた仮想表示領域560においてこの図柄に基づく虚像の数字図柄560G等(特別画像)を遊技者が視認可能に表示すると共に、仮想表示領域560において虚像の数字図柄等が視認可能であるとき、仮想表示領域560の後方から前方に向かって仮想表示領域560を通過する特別演出であるボタン演出を実行可能である。このように、特別画像である虚像の数字図柄560G等の後方から前方に向かって通過してくる演出という斬新な演出を実行すれば、遊技に対する遊技者の注目度を高くすることができる。
【0058】
特別演出実行手段としての表示装置5は、仮想表示領域560よりも後方に設けられ、遊技者が操作することが可能な押ボタン551を備えている。この押ボタン551は、仮想表示領域560において虚像の数字図柄560G等の特別画像が視認可能である場合に、後方から前方に向かってこの虚像の数字図柄560G等を貫通して突出する可動操作部の一例となっている。表示装置5は、可動操作部としての押ボタン551が虚像の数字図柄560G等を貫通して突出した後、押ボタン551が遊技者により操作されたとき、この操作に基づいて特図判定の当否を示唆する演出を実行する。このようにパチンコ遊技機1によれば、可動操作部の一例をなす押ボタン551が、特別画像の一例をなす虚像の数字図柄560G等から飛び出してくるように遊技者に視認させることが可能であり、演出効果が高くなっている。
【0059】
表示装置5では、仮想表示領域560における予め定められた焦点位置560Fに遊技者が焦点を合わせた場合に、仮想表示領域560において特別画像である虚像の数字図柄560G等を視認可能にするように構成されている。一方、可動操作部の一例をなす押ボタン551は、特別画像である虚像の数字図柄560G等を貫通する場合に焦点位置560Fを通過するように構成されている。押ボタン551が飛び出してくるときには、視線を押ボタン551に集中させ、押ボタン551に焦点を合わせる遊技者が多くなると推測できる。押ボタン551が上記の焦点位置560Fからずれていると、押ボタン551に焦点を合わせたときには、仮想表示領域560において虚像の数字図柄560Gを視認できなくなるおそれがある。これに対して上記のように押ボタン551が焦点位置560Fを通過するように構成すれば、押ボタン551に焦点を合わせても仮想表示領域560において虚像の数字図柄560Gが視認できなくなるおそれを低減できる。
【0060】
表示装置5は、液晶表示部52が表示した画像を仮想表示領域560に結像させる結像部の一例として光制御パネル51を備えている。光制御パネル51を採用すれば、液晶表示部52が表示する画像を仮想表示領域560に結像させるための光学的な経路を効率良く形成できる。
【0061】
さらに、パチンコ遊技機1は、表示装置5が仮想表示領域560において虚像の数字図柄560G等の特別画像を視認可能に実行している場合に、仮想表示領域560の後方において遊技者の触感を利用した特別演出の一例である送風演出を実行する。さらに、表示装置5は、送風演出を実行する際、虚像の数字図柄560G等の特別画像を表示する仮想表示領域560の前方から後方に向けて遊技者に手を入れさせるためのメッセージを仮想表示領域560に表示する。虚像の数字図柄560G等の特別画像を通過するように遊技者に手を差し入れさせる演出を実行可能となり、演出の多様化を実現できる。
【0062】
以上のように、本例のパチンコ遊技機1は、遊技に対する遊技者の注目度を高めることができる優れた特性の遊技機である。
【0063】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、パチンコ遊技機1について例示したが、その他の遊技機に適用しても良い。例えば玉が封入してあり、得点を消費して玉を発射する封入式パチンコ遊技機や、メダルを消費して抽選を行うことでゲームが進行するスロットマシンや、得点を消費して抽選を行うことでゲームが進行するクレジット式スロットマシン等が考えられる。なお、大当たり状態やボーナスゲームの発生を特典の付与とする構成について説明したが、この構成に代えて、あるいは加えて、メダル、玉、及び得点のいずれかを付与する構成を特典の付与に対応させることも可能である。
【0064】
本例では光制御パネル51を用いて仮想表示領域560に画像が表示されているように視認させる構成としたが、かかる構成に限定されない。例えば、液晶表示部52を遊技者の正面に配置すると共に、左目用画像と右目用画像とを表示し、立体的に遊技者に視認させる構成が考えられる。立体表示には、遊技者に専用の3Dメガネを装着させても良く、液晶表示部の表示画面にレンチキュラーレンズを配置して裸眼による立体視を可能としても良い。
【0065】
仮想表示領域560の位置を変更しても良く、例えば、遊技機よりも遊技者側に近く仮想表示領域が位置する様にしても良い。また、光制御パネル51の後方に仮想表示領域が位置する様にしても良い。枠59よりも奥まっており、かつ、遊技盤130Aよりも手前となる位置に仮想表示領域560を設け、遊技領域130に設けた役物とほぼ面一をなすように仮想表示領域560を位置させることも良い。仮想表示領域の位置の変更方法としては、光制御パネルの構成や配置を変更する方法がある。また、レンチキュラーレンズや3Dメガネ等を利用した立体視により仮想表示領域560を生成する場合であれば、左目用画像及び右目用画像の視差バランスを調整する方法等を採用することも良い。
【0066】
図柄変動を実行する場合に、仮想表示領域560に画像が表示されているように遊技者に視認させる構成としたが、かかる構成に限定されない。例えば、一部の図柄変動においては、仮想表示領域560に画像が表示されているように遊技者に視認させる一方、残りの図柄変動においては光制御パネル51に画像が表示されているように遊技者に視認させる構成が考えられる。
また、図柄変動を実行していない場合に、仮想表示領域560に画像が表示されているように遊技者に視認させるようにしても良い。例えば、デモ画面を表示する場合に、その画像が仮想表示領域560に表示されているように遊技者に視認させる構成が考えられる。
【0067】
光制御パネル51の上方に液晶表示部52を設置する構成としたが、光制御パネル51の下方に液晶表示部52を設置する構成としても良い。
仮想表示領域560の後方から前方に向けて実行する演出の内容としてボタン演出を例示したが、演出の内容は適宜変更しても良い。例えば、押ボタン551以外の役物が後方から前方に向けて移動してくる構成や、仮想表示領域560の後方から前方に向けて送風する構成等が考えられる。
【0068】
送風演出における風向きは本例に限定されるものではなく、例えば、仮想表示領域560の後方から前方に向けて送風する構成としても良い。この構成を採用すれば、画像を突き抜けて風が来るように遊技者に感じさせることが可能となる。
また、遊技者の触感によって風向きを特定させる構成を例示したが、触感を利用する演出の内容を変更しても良く、例えば、仮想表示領域560の後方に役物を設置しておき、役物を遊技者に触らせる演出を実行する構成が考えれる。この構成においては、役物の固さや形で遊技者に情報を特定させるようにすることも可能となる。
図柄変動中に送風演出やボタン演出を実行する構成を例示したが、これらの演出の実行タイミングを変更しても良い。例えば、遊技が行われていない場合の待機画面において特別演出を実行するようにしても良い。
【0069】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。