【解決手段】光を受光して電気信号に変換する撮像素子を有するイメージセンサ部と、記イメージセンサ部と電気的に接続する基板と、イメージセンサ部と基板との間に介在し、イメージセンサ部と基板とを電気的に接続する中間ユニットと、を備えた。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。実施の形態では、本発明にかかる医療用撮像装置を含む医療用画像取得システムの一例として、患者等の被検体内の画像を撮像して表示する医療用の内視鏡装置について説明する。また、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡装置1の概略構成を示す図である。内視鏡装置1は、医療分野において用いられ、人等の観察対象物の内部(生体内)の被写体を観察する装置である。この内視鏡装置1は、
図1に示すように、内視鏡2と、撮像装置3と、表示装置4と、制御装置5と、光源装置6とを備えている。
【0016】
光源装置6は、ライトガイド7の一端が内視鏡2に接続され、当該ライトガイド7の一端に生体内を照明するための白色の照明光を供給する。ライトガイド7は、一端が光源装置6に着脱自在に接続されるとともに、他端が内視鏡2に着脱自在に接続される。そして、ライトガイド7は、光源装置6から供給された光を一端から他端に伝達し、内視鏡2に供給する。
【0017】
撮像装置3は、内視鏡2からの被写体像を撮像して当該撮像結果を出力する。この撮像装置3は、
図1に示すように、信号伝送部である伝送ケーブル8と、カメラヘッド9とを備える。本実施の形態1では、伝送ケーブル8とカメラヘッド9とにより医療用撮像装置が構成される。
【0018】
内視鏡2は、硬質で細長形状を有し、生体内に挿入される。この内視鏡2の内部には、1または複数のレンズを用いて構成され、被写体像を集光する光学系が設けられている。内視鏡2は、ライトガイド7を介して供給された光を先端から出射し、生体内に照射する。そして、生体内に照射された光(被写体像)は、内視鏡2内の光学系(レンズユニット91)により集光される。
【0019】
カメラヘッド9は、内視鏡2の基端に着脱自在に接続される。そして、カメラヘッド9は、制御装置5による制御の下、内視鏡2にて集光された被写体像を撮像し、当該撮像による撮像信号を出力する。なお、カメラヘッド9の詳細な構成については、後述する。
【0020】
伝送ケーブル8は、一端がコネクタを介して制御装置5に着脱自在に接続されるとともに、他端がコネクタを介してカメラヘッド9に着脱自在に接続される。具体的に、伝送ケーブル8は、最外層である外被の内側に複数の電気配線(図示略)が配設されたケーブルである。当該複数の電気配線は、カメラヘッド9から出力される撮像信号、制御装置5から出力される制御信号、同期信号、クロック、及び電力をカメラヘッド9にそれぞれ伝送するための電気配線である。
【0021】
表示装置4は、制御装置5による制御のもと、制御装置5により生成された画像を表示する。表示装置4は、観察時の没入感を得やすくするために、表示部が55インチ以上を有するものが好ましいが、これに限らない。
【0022】
制御装置5は、カメラヘッド9から伝送ケーブル8を経由して入力された撮像信号を処理し、表示装置4へ画像信号を出力するとともに、カメラヘッド9及び表示装置4の動作を統括的に制御する。なお、制御装置5の詳細な構成については、後述する。
【0023】
次に、撮像装置3及び制御装置5の構成について説明する。
図2は、撮像装置3及び制御装置5の構成を示すブロック図である。なお、
図2では、カメラヘッド9及び伝送ケーブル8同士を着脱可能とするコネクタの図示を省略している。
【0024】
以下、制御装置5の構成、及びカメラヘッド9の構成の順に説明する。なお、以下では、制御装置5の構成として、本発明の要部を主に説明する。制御装置5は、
図2に示すように、信号処理部51と、画像生成部52と、通信モジュール53と、入力部54と、制御部55と、メモリ56とを備える。なお、制御装置5には、制御装置5及びカメラヘッド9を駆動するための電源電圧を生成し、制御装置5の各部にそれぞれ供給するとともに、伝送ケーブル8を介してカメラヘッド9に供給する電源部(図示略)などが設けられていてもよい。
【0025】
信号処理部51は、カメラヘッド9が出力した撮像信号に対してノイズ除去や、必要に応じてA/D変換等の信号処理を行うことによって、デジタル化された撮像信号(パルス信号)を画像生成部52に出力する。
【0026】
また、信号処理部51は、撮像装置3及び制御装置5の同期信号、及びクロックを生成する。撮像装置3への同期信号(例えば、カメラヘッド9の撮像タイミングを指示する同期信号等)やクロック(例えばシリアル通信用のクロック)は、図示しないラインで撮像装置3に送られ、この同期信号やクロックを基に、撮像装置3は駆動する。
【0027】
画像生成部52は、信号処理部51から入力される撮像信号をもとに、表示装置4が表示する表示用の画像信号を生成する。画像生成部52は、撮像信号に対して、所定の信号処理を実行して被写体画像を含む表示用の画像信号を生成する。ここで、画像処理としては、補間処理や、色補正処理、色強調処理、及び輪郭強調処理等の各種画像処理が挙げられる。画像生成部52は、生成した画像信号を表示装置4に出力する。
【0028】
通信モジュール53は、制御部55から送信された後述する制御信号を含む制御装置5からの信号を撮像装置3に出力する。また、撮像装置3からの信号を制御装置5に出力する。つまり通信モジュール53は、撮像装置3へ出力する制御装置5の各部からの信号を、例えばパラレルシリアル変換等によりまとめ出力し、また撮像装置3から入力される信号を、例えばシリアルパラレル変換等により振り分け制御装置5の各部に出力する、中継デバイスである。
【0029】
入力部54は、キーボード、マウス、タッチパネル等のユーザインタフェースを用いて実現され、各種情報の入力を受け付ける。
【0030】
制御部55は、制御装置5及びカメラヘッド9を含む各構成部の駆動制御、及び各構成部に対する情報の入出力制御などを行う。制御部55は、メモリ56に記録されている通信情報データ(例えば、通信用フォーマット情報など)を参照して制御信号を生成し、該生成した制御信号を、通信モジュール53を介して撮像装置3へ送信する。また、制御部55は、伝送ケーブル8を介して、カメラヘッド9に対して制御信号を出力する。
【0031】
メモリ56は、フラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリを用いて実現され、通信情報データ(例えば、通信用フォーマット情報など)が記録されている。なお、メモリ56は、制御部55が実行する各種プログラム等が記録されていてもよい。
【0032】
なお、信号処理部51が、入力されたフレームの撮像信号を基に、各フレームの所定のAF用評価値を出力するAF処理部、及び、AF処理部からの各フレームのAF用評価値から、最も合焦位置として適したフレームまたはフォーカスレンズ位置等を選択するようなAF演算処理を行うAF演算部を有していてもよい。
【0033】
なお、上述した信号処理部51、画像生成部52、通信モジュール53及び制御部55は、プログラムが記録された内部メモリ(図示略)を有するCPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて実現される。また、プログラマブル集積回路の一種であるFPGA(Field Programmable Gate Array:図示略)を用いて構成するようにしてもよい。なおFPGAにより構成される場合は、コンフィグレーションデータを記憶するメモリを設け、メモリから読み出したコンフィグレーションデータにより、プログラマブル集積回路であるFPGAをコンフィグレーションしてもよい。
【0034】
次に、カメラヘッド9の構成として、本発明の要部を主に説明する。カメラヘッド9は、
図2に示すように、レンズユニット91と、撮像部92と、駆動部93と、通信モジュール94と、カメラヘッド制御部95とを備える。
【0035】
レンズユニット91は、1または複数のレンズを用いて構成され、内視鏡2にて集光された被写体像を、撮像部92を構成する撮像素子の撮像面に結像する。当該1または複数のレンズは、光軸に沿って移動可能に構成されている。そして、レンズユニット91には、当該1または複数のレンズを移動させて、画角を変化させる光学ズーム機構(図示略)や焦点を変化させるフォーカス機構が設けられている。なお、レンズユニット91は、光学ズーム機構及びフォーカス機構のほか、絞り機構や、光軸上に挿脱自在な光学フィルタ(例えば赤外光をカットするフィルタ)が設けられていてもよい。
【0036】
撮像部92は、カメラヘッド制御部95による制御の下、被写体を撮像する。この撮像部92は、レンズユニット91が結像した被写体像を受光して電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等からなる撮像素子を含んで構成されている。CCDの場合は、例えば、当該撮像素子からの電気信号(アナログ信号)に対して信号処理(A/D変換等)を行って撮像信号を出力する信号処理部(図示略)がセンサチップなどに実装される。CMOSの場合は、例えば、光から電気信号に変換された電気信号(アナログ)に対して信号処理(A/D変換等)を行って撮像信号を出力する信号処理部が撮像素子に含まれる。
【0037】
図3は、撮像部92の要部の構成を説明する模式図である。撮像部92は、
図3に示すように、撮像素子101と、保持ユニット102と、中間ユニット103と、LGA(Lead Grid Array)部104と、基板110とを有する。撮像部92は、保持ユニット102にレンズアダプタ120が設けられており、レンズアダプタ120によってレンズユニット91に取り付けられる。撮像部92では、レンズユニット91に外部からの観察光が、レンズユニット91を介して撮像素子101に入射する。本実施の形態1では、基板110は例えば、常温下における実装面に沿った方向の熱膨張係数が12ppm/℃以上40ppm/℃以下の有機材料を用いて形成されているものとする。本実施の形態1では、撮像素子101及び保持ユニット102により、イメージセンサ部100を構成している。
【0038】
撮像素子101は、上述したCCDやCMOSを用いて実現される。撮像素子101は、レンズユニット91からの光を受光する複数の画素が、二次元的に正方配列(マトリックス状に配列)されている。そして、撮像素子101は、それぞれの画素が受光した光に対して光電変換を行うことにより電気信号(画像信号等とも呼ばれる)を生成する。
【0039】
撮像素子101は基板110に電気的に接続されており、基板110との信号の送受信を行う回路部を内蔵している。
【0040】
保持ユニット102は、撮像素子101を内部に保持する筺体をなす。保持ユニット102は、保持部102aと、環状部102bと、蓋部102cとを有する。
【0041】
保持部102aは、片側有底筒状をなし、底部において撮像素子101を保持している。保持部102aは、熱膨張係数が基板110の熱膨張係数より小さく、例えば常温下における実装面に沿った方向の熱膨張係数が4ppm/℃以上11ppm/℃以下の熱膨張係数を有するセラミックを用いて形成される。
【0042】
環状部102bは、保持部102aの開口端から延びる環状をなす。環状部102bは、例えば、プラスチックなどの樹脂を用いて形成される。
【0043】
蓋部102cは、板状をなしており、環状部102bの保持部102a側と反対側の端部に設けられる。蓋部102cによって、保持部102aと環状部102bとが形成する有底筒状の開口が封鎖される。蓋部102cは、光透過性を有する材料、例えば、ガラスを用いて形成される。
【0044】
なお、本実施の形態1では、イメージセンサ部100を撮像素子101と保持ユニット102とにより構成しているが、これに限らず、イメージセンサ部100は例えば撮像素子101のみで構成されてもよい。
【0045】
中間ユニット103は、イメージセンサ部100と基板110との間に設けられている。中間ユニット103は、中間部材103aと、はんだボール103bと、アンダーフィル材103cとを有する。
【0046】
中間部材103aは、内部に電気配線が設けられ、撮像素子101と基板110とを電気的に接続可能である。中間部材103aは、例えば、セラミックやシリコンやガラスやガラス繊維入りエポキシ樹脂等を基材とする回路基板であるが、これに限定されない。中間部材103aの熱膨張係数は、イメージセンサ部100の熱膨張率と同じか、又は、イメージセンサ部100及び基板110のうちイメージセンサ部100と近い熱膨張率を有する材料を用いて形成される。具体的には、中間部材103aは、保持部102aの熱膨張係数の95%以上であり、かつ保持部102aの熱膨張係数と基板110の熱膨張係数との中間値以下となる値の熱膨張係数を有する材料を用いて形成される。
【0047】
はんだボール103bは、中間部材103aと基板110との間に設けられ、基板110からの信号を中間部材103aに伝送したり、中間部材103aからの信号を基板110に伝送したりする。
【0048】
アンダーフィル材103cは、はんだボール103bを囲い中間部材103aと基板110との間に充填されており、はんだボール103bを被覆するように隙間なく充填されていることが好ましいが、この限りではない。アンダーフィル材103cは、中間部材103a及び基板110よりも弾性率の小さい材料である。アンダーフィル材103cは、ガラス転位温度が120℃以上の材料が好ましいがこれに限らない。アンダーフィル材103cの熱膨張係数は、例えば硬化後の常温下における熱膨張係数が30ppm/℃以上50ppm/℃以下の熱膨張係数を有する材料を用いて形成される。アンダーフィル材103cは、中間部材103aと基板110とを固定するとともに、はんだボール103bを囲うことで、はんだボール103bの腐食を抑制している。なお、アンダーフィル材103cは、中間部材103aの熱膨張係数と基板110の熱膨張係数との間の値の熱膨張係数を有する材料を用いて形成されてもよい。
【0049】
LGA(Land Grid Array)部104は、イメージセンサ部100と中間ユニット103とを電気的に接続する複数の平板状の電極パッドを用いて実現される。
【0050】
駆動部93は、カメラヘッド制御部95による制御の下、光学ズーム機構やフォーカス機構を動作させ、レンズユニット91の画角や焦点位置を変化させるドライバを有する。
【0051】
通信モジュール94は、制御装置5から送信された信号をカメラヘッド制御部95等のカメラヘッド9内の各部に出力する。また、通信モジュール94は、カメラヘッド9の現在の状態に関する情報などを予め決められた伝送方式に応じた信号形式に変換し、伝送ケーブル8を介して当該変換した信号を制御装置5に出力する。つまり通信モジュール94は、制御装置5や伝送ケーブル8から入力される信号を、例えばシリアルパラレル変換等により振り分けカメラヘッド9の各部に出力し、また制御装置5や伝送ケーブル8へ出力するカメラヘッド9の各部からの信号を、例えばパラレルシリアル変換等によりまとめ出力する、中継デバイスである。
【0052】
カメラヘッド制御部95は、伝送ケーブル8を介して入力した駆動信号や、カメラヘッド9の外面に露出して設けられたスイッチ等の操作部へのユーザ操作により操作部から出力される指示信号等に応じて、カメラヘッド9全体の動作を制御する。また、カメラヘッド制御部95は、伝送ケーブル8を介して、カメラヘッド9の現在の状態に関する情報を制御装置5に出力する。
【0053】
なお、上述した駆動部93、通信モジュール94及びカメラヘッド制御部95は、プログラムが記録された内部メモリ(図示略)を有するCPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて実現される。また、プログラマブル集積回路の一種であるFPGAを用いて構成するようにしてもよい。なお、FPGAにより構成される場合は、コンフィグレーションデータを記憶するメモリを設け、メモリから読み出したコンフィグレーションデータにより、プログラマブル集積回路であるFPGAをコンフィグレーションしてもよい。
【0054】
なお、カメラヘッド9や伝送ケーブル8に、通信モジュール94や撮像部92により生成された撮像信号に対して信号処理を施す信号処理部を構成するようにしてもよい。また、カメラヘッド9内部に設けられた発振器(図示略)で生成された基準クロックに基づいて、撮像部92を駆動するための撮像用クロック、及び駆動部93を駆動するための駆動用クロックを生成し、撮像部92及び駆動部93にそれぞれ出力するようにしてもよいし、伝送ケーブル8を介して制御装置5から入力した同期信号に基づいて、撮像部92、駆動部93、及びカメラヘッド制御部95における各種処理のタイミング信号を生成し、撮像部92、駆動部93、及びカメラヘッド制御部95にそれぞれ出力するようにしてもよい。また、カメラヘッド制御部95をカメラヘッド9ではなく伝送ケーブル8や制御装置5に設けてもよい。
【0055】
以上説明した構成を有する内視鏡装置1では、イメージセンサ部100(保持部102a)と、基板110との間に中間ユニット103が設けられているため、オートクレーブなどの減菌処理によって高温(例えば120℃)に曝された場合に、基板110の熱膨張(熱ひずみ)による変形によって応力が基板110から保持部102aに伝わることが抑制される。具体的には、基板110が熱膨張に応じた応力は、中間ユニット103のアンダーフィル材103cに伝わるが、アンダーフィル材103cの変形により吸収され、さらに、中間部材103aの熱膨張係数が保持部102aと同じか近いため、保持部102a側にはほとんど伝達されない。このため、保持部102aが、基板110に起因する応力によって中間部材103aとの接続(LGA部104による接合状態)が破壊されることなく、基板110と撮像素子101とを電気的に安定して接続することができる。逆に、イメージセンサ部100(保持部102a)の熱膨張による変形も、同様にして基板110に伝わることが抑制される。これに対し、特許文献1では、この熱膨張については考慮されておらず、基板(駆動用回路基板)からの応力が、スペーサーや撮像素子との接合界面に応力が加わることで撮像素子との間に電気的な接続不良が生じてしまう。
【0056】
上述した実施の形態1によれば、撮像素子101を保持する保持ユニット102と、基板110との間に中間ユニット103を設け、中間ユニット103が有する中間部材103aの熱膨張係数を、保持ユニット102の保持部102aとおおよそ同じ材料で形成するようにしたので、オートクレーブなどの減菌処理によって高温(例えば120℃)に曝された場合に、基板110の熱膨張による変形によって応力が基板110から保持部102aに伝わることが抑制され、高温に曝された場合であっても撮像素子101と基板110とを電気的に安定して接続することができる。
【0057】
また、上述した実施の形態1によれば、保持ユニット102と中間ユニット103との接続構造をLGA構造としたので、保持ユニット102と中間ユニット103との間の隙間を小さくして、撮像部92の構成を薄型化することができる。
【0058】
また、上述した実施の形態1によれば、中間部材103aと基板110との電気的な接続をはんだボール103bを用いたBGA(Ball Grid Array)構造としたので、例えばLGA構造を用いる場合と比して、中間部材103aと基板110との隙間を大きくでき、アンダーフィル材103cを用いる体積を増大し、アンダーフィル材103cの充填等に係る作業性を向上するとともに、アンダーフィル材103cによる応力吸収の効果を一層確実に得ることが可能である。例えば、はんだボール103bを用いた場合、中間部材103aと基板110との間の距離が400μmであるのに対し、LGA構造を用いた場合、中間部材103aと基板110との間の距離は40μm程度である。
【0059】
また、上述した実施の形態1によれば、イメージセンサ部100と基板110との間に中間部材103aを設けたので、イメージセンサ部100と基板110とを直接接合する場合と比してイメージセンサ部100と基板110との間の間隔が大きくなり、撮像部92の組み立てに係る作業性を向上することができる。イメージセンサ部100には、該イメージセンサ部100よりも大きなレンズアダプタ120が熱硬化性樹脂などにより固着されることがあり、イメージセンサ部100と基板110との間の視野が狭くなる場合があるが、中間部材103aを設けてイメージセンサ部100と基板110との間の間隔を大きくすることによって視野を確保して作業性を向上させることができる。
【0060】
(実施の形態1の変形例1)
続いて、本発明の実施の形態1の変形例1について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1の変形例1にかかる撮像部の要部の構成を説明する模式図である。上述した実施の形態1では、LGA部104により、保持部102aと中間ユニット103とを電気的に接続するものとして説明したが、本変形例では、はんだボールによって保持部102aと中間ユニット103とを電気的に接続する。
【0061】
本変形例では、上述した撮像部92の構成において、LGA部104に代えて、BGA(Ball Grid Array)部104Aを備える。BGA部104Aは、保持部102と中間ユニット103とを電気的に接続する複数の球状の電極(はんだボール)を用いて実現される。
【0062】
なお、BGA部104Aに用いるはんだボールや、前述のはんだボール103bは、はんだのみで構成されていても、例えばコアに銅が設けられた所謂銅コアはんだボールやコアに樹脂が設けられた所謂樹脂コアはんだボール等の、異なる材料を含むはんだボールでもよい。なお、イメージセンサ部100(保持部102a)と基板110との熱膨張係数の違いによる電気的接続不良の低減には、BGA部104Aまたは/およびはんだボール103bに、所謂樹脂コアはんだボールを用いることが好ましい。
【0063】
また、BGA部104Aでありイメージセンサ部100と中間ユニット103との間に、中間ユニット103のアンダーフィル材103cと同様のアンダーフィル材を充填してもよい。
【0064】
本変形例1によれば、上述した実施の形態1と同様、撮像素子101を保持する保持ユニット102と、基板110との間に中間ユニット103を設け、中間ユニット103が有する中間部材103aの熱膨張係数を、保持ユニット102の保持部102aとおおよそ同じ材料で形成するようにしたので、オートクレーブなどの減菌処理によって高温(例えば120℃)に曝された場合に、基板110の熱膨張による変形によって応力が基板110から保持部102aに伝わることが抑制され、高温に曝された場合であっても撮像素子101と基板110とを電気的に安定して接続することができる。
【0065】
また、本変形例1によれば、イメージセンサ部100と基板110との間にBGA部104Aを設けるようにしたので、LGA部104と比してイメージセンサ部100と基板110との間の隙間がさらに大きくなり、撮像部92の組み立てに係る作業性を向上することができる。
【0066】
(実施の形態1の変形例2)
続いて、本発明の実施の形態1の変形例2について説明する。
図5は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかる撮像部の要部の構成を説明する模式図である。上述した実施の形態1では、中間ユニット103として、中間部材103a、はんだボール103b及びアンダーフィル材103cを有し、中間部材103a及びはんだボール103bによってイメージセンサ部100と基板110とを電気的に接続するとともに、アンダーフィル材103cによって基板110からの応力がイメージセンサ部100に伝達するのを抑制するものとして説明したが、本変形例2では、弾性部材103fによって、イメージセンサ部100と基板110とを電気的に接続するとともに、基板110からの応力がイメージセンサ部100に伝達するのを抑制する。
【0067】
本変形例2では、上述した撮像部92の構成において、中間ユニット103及びLGA部104に代えて、中間ユニット103Aを備えるとともに、レンズユニット91を保持するとともに、レンズアダプタ120及び基板110を支持する支持ユニット130を備える。レンズアダプタ120は、ネジB1,B2を介して支持ユニット130に取り付けられている。
【0068】
中間ユニット103Aは、イメージセンサ部100、具体的には保持部102aの回路(電極)に電気的に接続する第1電極パッド103dと、基板110の回路(電極)に電気的に接続する第2電極パッド103eと、第1電極パッド103d及び第2電極パッド103eを電気的に接続可能であるとともに、弾性変形可能な弾性部材103fとを有する。弾性部材103fは、導電性材料、例えば、導電性の金属、または合金を用いて形成され、帯状の部材を屈曲してなる。なお、弾性部材103fは、導電性及び弾性を有するものであればこれに限らず、例えば、導電性のコイルばねであってもよい。
【0069】
支持ユニット130は、レンズユニット91を保持するとともに、ネジB1,B2を介してレンズアダプタ120を保持する保持部131と、保持部131及び基板110の間に設けられて、支持ユニット130に対して基板110を支持する複数の支持部材132とを有する。支持部材132は、ネジB3,B4を介して基板110に取り付けられている。
【0070】
以上説明した構成を有する内視鏡装置では、撮像素子101を保持する保持ユニット102と、基板110との間に、導電性の弾性部材103fを有する中間ユニット103Aが設けられているため、オートクレーブなどの減菌処理によって高温(例えば120℃)に曝された場合に、基板110の熱膨張による変形によって応力が基板110から保持部102aに伝わることが抑制される。具体的には、基板110が熱膨張することで生じた応力は、中間ユニット103Aの弾性部材103fが弾性変形することにより吸収され、保持部102a側にはほとんど伝達されない。このため、保持部102aが、基板110からの応力によって中間ユニット103Aとの接続が破壊されることなく、基板110と撮像素子101とを電気的に安定して接続することができる。
【0071】
本変形例2によれば、撮像素子101を保持する保持ユニット102と、基板110との間に導電性及び弾性を有する弾性部材103fを設けるようにしたので、イメージセンサ部100と基板110とを電気的に接続するとともに、基板110からの応力がイメージセンサ部100に伝達するのを抑制し、高温に曝された場合であっても撮像素子101と基板110とを電気的に安定して接続することができる。
【0072】
(実施の形態1の変形例3)
続いて、本発明の実施の形態1の変形例3について説明する。
図6は、本発明の実施の形態1の変形例3にかかる撮像部の要部の構成を説明する模式図である。上述した変形例2では、中間ユニット103Aとして、第1電極パッド103d、第2電極パッド103e及び弾性部材103fを有するものとして説明したが、本変形例2では、中間ユニット103Aの構成に加え、中間部材103gをさらに備える。
【0073】
本変形例3では、上述した撮像部92の構成において、中間ユニット103Aに代えて、中間ユニット103Bを備える。中間ユニット103Bは、上述した第1電極パッド103d、第2電極パッド103e及び弾性部材103fと、中間部材103gを有する。
【0074】
中間部材103gは、上述した中間部材103aと同様、内部に電気配線が設けられ、撮像素子101と基板110とを電気的に接続可能である。中間部材103gは、ガラス転化温度が120℃以上の材料であって、イメージセンサ部100の熱膨張率と同じか、イメージセンサ部100及び基板110のうちイメージセンサ部100と近い熱膨張率を有する材料を用いて形成される。具体的には、中間部材103gは、保持部102aの熱膨張係数の95%以上であり、かつ保持部102aの熱膨張係数と基板110の熱膨張係数との中間値以下となる値の熱膨張係数を有する材料を用いて形成される。
【0075】
支持ユニット130は、レンズユニット91を保持するとともに、ネジB1,B2を介してレンズアダプタ120を保持する保持部131と、保持部131及び基板110の間に設けられて、支持ユニット130に対して基板110を支持する複数の支持部材132とを有する。支持部材132は、ネジB3,B4を介して基板110に取り付けられている。
【0076】
以上説明した構成を有する内視鏡装置では、撮像素子101を保持する保持ユニット102と、基板110との間に、導電性の弾性部材103fを有する中間ユニット103Bが設けられているため、オートクレーブなどの減菌処理によって高温(例えば120℃)に曝された場合に、基板110の熱膨張による変形によって応力が基板110から保持部102aに伝わることが抑制される。具体的には、基板110が熱膨張することで生じた応力は、中間ユニット103Bの弾性部材103fが弾性変形することにより吸収され、保持部102a側にはほとんど伝達されない。このため、保持部102が、基板110からの応力によって中間ユニット103Aとの接続(LGA部104による接合状態)が破壊されることなく、基板110と撮像素子101とを電気的に安定して接続することができる。
【0077】
本変形例3によれば、撮像素子101を保持する保持ユニット102と、基板110との間に導電性及び弾性を有する弾性部材103fを設けるようにしたので、イメージセンサ部100と基板110とを電気的に接続するとともに、基板110からの応力がイメージセンサ部100に伝達するのを抑制し、高温に曝された場合であっても撮像素子101と基板110とを電気的に安定して接続することができる。
【0078】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図7は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡装置1aの概略構成を示す図である。上述した実施の形態1では、内視鏡2として、硬性鏡を用いた内視鏡装置1を説明したが、これに限られず、内視鏡2に軟性鏡を用いた内視鏡装置としても構わない。本実施の形態2では、軟性の内視鏡の挿入部の先端に撮像部を設ける場合の例を説明する。
【0079】
内視鏡装置1aは、被検体内に挿入部201を挿入することによって観察部位の体内画像を撮像して電気信号を生成する内視鏡20と、内視鏡20の先端から出射する照明光を発生する光源装置21と、内視鏡20が取得した電気信号に所定の画像処理を施すとともに、内視鏡装置1a全体の動作を統括的に制御する制御装置22と、制御装置22が画像処理を施した体内画像を表示する表示装置23と、を備える。内視鏡装置1aは、患者等の被検体内に、挿入部201を挿入して被検体内の体内画像を取得する。
【0080】
内視鏡20は、可撓性を有する細長形状をなす挿入部201と、挿入部201の基端側に接続され、各種の操作信号の入力を受け付ける操作部202と、操作部202から挿入部201が延びる方向と異なる方向に延び、光源装置21及び制御装置22に接続する各種ケーブルを内蔵するユニバーサルコード203と、を備える。
【0081】
挿入部201は、上述した実施の形態1にかかる撮像部92を内蔵した先端部204と、複数の湾曲駒によって構成された湾曲自在な湾曲部205と、湾曲部205の基端側に接続され、可撓性を有する長尺状の可撓管部206と、を有する。
【0082】
以上の構成を有する内視鏡装置1aにおいても、上述した実施の形態1と同様に、先端部204に撮像部92を設ければ、オートクレーブなどの減菌処理によって高温(例えば120℃)に曝された場合に、基板110の熱膨張による変形によって応力が基板110から保持部102aに伝わることが抑制され、高温に曝された場合であっても撮像素子101と基板110とを電気的に安定して接続することができる。
【0083】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態1においては、カメラヘッド9と制御装置5とは、電気信号の送受信や電力供給、グランドの接続等を伝送ケーブル8に設けられた複数の電気配線により行っているが、本実施の形態3においては、例えばカメラヘッド9から制御装置5へ送信される撮像信号等、カメラヘッド9と制御装置5との間で送受信される信号の少なくとも一部に光信号を用いている。
【0084】
図8は、本発明の実施の形態3にかかる内視鏡装置1Aの概略構成を示す図である。
図9は、後述するプラグ8C及びレセプタクル5Bを当該プラグ8Cの基端側(カメラヘッド9側)から見た分解斜視図である。
図10は、プラグ8C及びレセプタクル5Bが接続する方向の中心軸AxAを通る平面で切断した断面図である。上述した構成要素と同じ構成要素には、同一の符号が付してある。内視鏡装置1Aは、内視鏡2と、撮像装置3と、表示装置4と、制御装置5と、光源装置6とを備えている。撮像装置3は、伝送ケーブル8と、カメラヘッド9とを備える。
【0085】
伝送ケーブル8は、ケーブル部8Aと、コネクタ8Bと、プラグ8Cとを備える。ケーブル部8Aは、最外層である外被(図示略)の内側に、カメラヘッド9から出力される、例えば撮像信号等の光信号を伝送する光伝送線である光ファイバ8A1と、その他の電気信号の送受信や電力供給、グランドの接続等に用いる複数の電気ケーブル8A2とを有する複合ケーブルである。そして、ケーブル部8Aの一端は、コネクタ8Bを介してカメラヘッド9に接続される。
【0086】
プラグ8Cは、雄型コネクタであり、本発明に係る光コネクタに相当する。そして、プラグ8Cは、ケーブル部8Aの他端に取り付けられる。
【0087】
レセプタクル5Bは、制御装置5の筐体5Aに設けられた雌型コネクタであり、相手方コネクタに相当する。
【0088】
以上のプラグ8C及びレセプタクル5Bが互いに接続することで、撮像装置3と制御装置5とが光学的及び電気的に接続し、光信号や電気信号の送受信、電力供給、グランドの接続を可能とする。
【0089】
次に、プラグ8C及びレセプタクル5Bの構成について説明する。プラグ8Cは、プラグ側第1外郭81と、プラグ側カバー部材82と、プラグ側コリメータ83と、プラグ側第2外郭84と、コネクタ部85と、プラグ側プリント基板86と、弾性部材87とを備える。
【0090】
プラグ側第1外郭81は、
図9,10に示すように、略円筒形状を有する。なお、プラグ側第1外郭81は、筒状であれば、円筒形状に限られず、楕円、四角、多角形等の断面形状を有する筒体で構成しても構わない。そして、プラグ側第1外郭81は、当該プラグ側第1外郭81の筒内に沿ってケーブル部8Aを構成する光ファイバ8A1が挿通され、光ファイバ8A1における光信号の出射端を覆う。
【0091】
プラグ側カバー部材82は、プラグ側第1外郭81の筒を塞ぐように設けられ、光を透過可能な材料からなる板体で構成されている。プラグ側カバー部材82は、半田、ロウ付、接着、またはガラス封止により、プラグ側第1外郭81に対して気密に接合されている。プラグ側第1外郭81の先端側をプラグ側カバー部材82にて封止することで、プラグ側第1外郭81内への液体や異物の侵入を抑制し、光通信の信頼性を確保することができる。
【0092】
プラグ側カバー部材82は、プラグ側第1外郭81の先端から当該プラグ側第1外郭81の基端側へ退避した位置(当該先端から奥まった位置)に位置付けられる。このため、プラグ側カバー部材82を手で触れにくい構造となり、プラグ側カバー部材82に異物が付着することを抑制することができる。すなわち、当該異物により、光通信の信頼性が損なわれることがない。
【0093】
プラグ側コリメータ83は、
図10に示すように、プラグ側第1外郭81内において、光ファイバ8A1の出射端に接合された状態で配設されている。すなわち、プラグ側コリメータ83は、プラグ側カバー部材82と光ファイバ8A1の出射端との間に配設されている。そして、プラグ側コリメータ83は、光ファイバ8A1の出射端から出射された光(光信号)を平行光とする。
【0094】
プラグ側コリメータ83を配設した場合、プラグ側コリメータ83を省略した構成と比較して、レセプタクル5Bとの機械的な接続にそれほど高い精度が要求されず、プラグ8Cの製造を容易に行うことができる。
【0095】
プラグ側第2外郭84は、
図10に示すように、先端側外郭841と、基端側外郭842とを備え、全体略円筒形状を有する。なお、プラグ側第2外郭84は、筒状であれば、円筒形状に限られず、楕円、四角、多角形等の断面形状を有する筒体で構成しても構わない。
【0096】
先端側外郭841は、非導電性材料から構成された基部841Aと、導電性材料から構成された複数のプラグ側電気接点841Cが設けられている。プラグ側電気接点841Cは、
図10に示すように、一部が基部841Aの外周面に露出するように設けられている。複数のプラグ側電気接点841Cは、先端側外郭841における周方向に沿って所定の間隔で配設されている。
【0097】
そして、プラグ側第1外郭81は、先端部分が突出するように、基端部分が先端側外郭841に嵌合する。ここで、先端側外郭841とプラグ側第1外郭81との間は、Oリングや、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂等の粘着性の封止材により封止されている。
【0098】
基端側外郭842は、先端側外郭841に対して基端側に配設される。そして、基端側外郭842は、内部にケーブル部8Aが挿通された状態で、先端部分が先端側外郭841の基端側に嵌合する。ここで、基端側外郭842と先端側外郭841との間は、Oリングや、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂等の粘着性の封止材により封止されている。
【0099】
コネクタ部85は、
図10に示すように、基端側外郭842内に配設され、複数のプラグ側電気接点841Cとプラグ側プリント基板86とを中継(電気的に接続)する。このコネクタ部85は、光ファイバ8A1が挿入される孔851Aを有する平板状のインシュレータ851と、導電性材料から構成され、当該インシュレータ851の表裏を貫通する複数のコンタクト(図示略)とを備える。複数のコンタクトは、先端側外郭841の基端側から突出した複数のプラグ側電気接点841Cとそれぞれ電気的に接続するとともに、直接またはコネクタ(不図示)や電気配線88を介してプラグ側プリント基板86に電気的に接続する。
【0100】
プラグ側プリント基板86は、
図10に示すように、中心軸AxAを含む平面に沿って配設され、コネクタ部85を介して、複数のプラグ側電気接点841Cと、ケーブル部8Aを構成する複数の電気ケーブル8A2とを中継する。
【0101】
弾性部材87は、ケーブル部8Aが基端側外郭842における基端部分の内周縁を中心として折れ曲がってしまうことを抑制する部材であり、シリコンゴム等の弾性材料から構成された筒形状を有する。そして、弾性部材87は、内部にケーブル部8Aが挿通された状態で、先端部分が基端側外郭842の基端部分に嵌合する。ここで、弾性部材87と基端側外郭842との間は、Oリングや、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂等の粘着性の封止材により封止されている。
【0102】
レセプタクル5Bは、
図9または
図10に示すように、レセプタクル側第1外郭511と、レセプタクル側カバー部材512(
図10)と、レセプタクル側コリメータ513と、レセプタクル側第2外郭514と、レセプタクル側プリント基板515とを備える。
【0103】
レセプタクル側第1外郭511は、先端側(プラグ8Cに接続する側)に位置する筒状の大孔部511Aと、基端側に位置するとともに、大孔部511Aの内孔寸法よりも小さい内孔寸法を有する筒状の小孔部511Bとが一体形成された筒形状を有する。なお、レセプタクル側第1外郭511は、筒状であれば、円筒形状に限られず、楕円、四角、多角形等の断面形状を有する筒体で構成しても構わない。
【0104】
大孔部511Aは、内孔寸法がプラグ側第1外郭81の外周寸法よりも若干大きくなるように形成されている。また、大孔部511Aは、長さ寸法(筒状の高さ方向の寸法)がプラグ側第1外郭81におけるプラグ側第2外郭84(先端側外郭841)からの突出寸法よりも若干大きくなるように形成されている。
【0105】
レセプタクル側カバー部材512は、透光性を有する板体で構成され、大孔部511A及び小孔部511Bの段差部分にあてがわれ、レセプタクル側第1外郭511に対して接合されている。なお、当該接合方法については、プラグ側第1外郭81に対するプラグ側カバー部材82の接合方法と同一の接合方法を採用してもよく、あるいは、異なる接合方法を採用しても構わない。また、レセプタクル側カバー部材512としては、プラグ側カバー部材82と同一の材料で構成してもよく、光通信が成立する透過率を有していれば、異なる材料で構成しても構わない。
【0106】
レセプタクル側コリメータ513は、
図10に示すように、小孔部511Bに挿通される。そして、レセプタクル側コリメータ513は、プラグ側コリメータ83から出射された光(光信号)を例えば光伝送線である光ファイバ55(
図10)を介して制御装置5の内部回路に導く。
【0107】
レセプタクル側コリメータ513を配設した場合、レセプタクル側コリメータ513を省略した構成と比較して、プラグ8Cとの機械的な接続にそれほど高い精度が要求されず、レセプタクル5Bの製造を容易に行うことができる。
【0108】
レセプタクル側第2外郭514は、内周がプラグ側第2外郭84を挿入可能な筒形状を有する。そして、レセプタクル側第1外郭511は、基端部分が突出するように、先端部分がレセプタクル側第2外郭514内に挿通される。
【0109】
レセプタクル側プリント基板515は、基板本体515Aと、複数のレセプタクル側電気接点515Bとを備える。
【0110】
基板本体515Aは、
図10に示すように、略中心部分に、表裏を貫通する孔515Cを有する。そして、孔515Cには、レセプタクル側第1外郭511が嵌合する。
【0111】
複数のレセプタクル側電気接点515Bは、導電性材料から構成されて基板本体515Aに電気的に接続するとともに、レセプタクル側第2外郭514の筒内に向けて突出する。このレセプタクル側電気接点515Bは、レセプタクル側第1外郭511における周方向に沿って所定の間隔で配設されている。
【0112】
そして、基板本体515Aは、複数のレセプタクル側電気接点515Bと、制御装置5の内部回路とを、例えば複数の電気ケーブル56(
図10)を介して中継する。
【0113】
上述したプラグ8C及びレセプタクル5B同士が機械的に接続した状態では、プラグ側第1外郭81がレセプタクル側第1外郭511(大孔部511A)内に挿通される。そして、この状態では、プラグ側コリメータ83(光ファイバ8A1の出射端)及びレセプタクル側コリメータ513(光ファイバ55の入射端)が互いに対向する。すなわち、カメラヘッド9から出力されケーブル部8A(光ファイバ8A1)を介した光信号(撮像信号)を、プラグ8C及びレセプタクル5Bを介して、制御装置5の内部回路に伝送可能な状態(光通信可能な状態)となる。
【0114】
また、プラグ8C及びレセプタクル5B同士が機械的に接続した状態では、プラグ側第2外郭84がレセプタクル側第2外郭514内に挿通され、複数のプラグ側電気接点841Cと複数のレセプタクル側電気接点515Bとがそれぞれ電気的に接続する。そして、この状態では、制御装置5の内部回路から出力された制御信号や供給電力等を、レセプタクル5B及びプラグ8Cを介して、伝送ケーブル8(カメラヘッド9)に伝送可能な状態となる。
【0115】
図11は、本発明の実施の形態3にかかる内視鏡装置の要部の構成を示す図であって、
図8に示す内視鏡装置1Aのプラグ8Cの構成を示す斜視分解図である。
図12は、本発明の実施の形態3にかかる内視鏡装置の要部の構成を示す図であって、
図8に示す内視鏡装置1Aのプラグ8Cの構成を示す部分断面図である。
図12に示す断面図は、中心軸AxAと略平行な平面を切断面とする部分断面図である。
【0116】
プラグ8Cは、
図10〜
図12に示すように、プラグ側プリント基板86に支持され、基板上を通過する光ファイバ8A1を保護する保護ケース89をさらに備える。光ファイバ8A1は、保護ケース89とプラグ側プリント基板86との対向する面同士により形成される中空空間内を挿通している。
【0117】
保護ケース89は、例えば、SUSをプレス加工することによって成形される。保護ケース89は、例えばネジ止めによってプラグ側プリント基板86に取り付けられている。保護ケース89をプラグ側プリント基板86に対して圧接して固定することにより、保護ケース89とプラグ側プリント基板86との間における隙間の形成を抑制することで、光ファイバ8A1が、保護ケース89とプラグ側プリント基板86との間に形成される隙間に挟まることなく配設することができる。なお、保護ケース89が、樹脂、例えばポリフェニレンサルファイド(Poly Phenylene Sulfide:PPS)樹脂を用いて形成されるものであってもよいし、金属を切削加工し形成されるものであってもよいし、樹脂と金属の複合材料で形成されるものであってもよい。
【0118】
また、光ファイバ8A1は、
図12に示すように、保護ケース89の内壁に案内されながら円を描くように屈曲して、光ファイバ8A1の余長分が周回する。この周回部分は、伝送ケーブル8が屈曲や捻転した際に、光ファイバ8A1の伸長方向に係る力を吸収する。ここで、本実施の形態3に係る保護ケース89の内壁には、光ファイバ8A1を周回させる方向に対して接線方向に延びる平面部891〜894を有する。これにより、一層安定して光ファイバ8A1を周回させることができる。
【0119】
上述した実施の形態3によれば、プラグ側プリント基板86上を通過する光ファイバ8A1を保護する保護ケース89を備えるようにしたので、光ファイバ8A1の保護に係る構成を設けるとともに、保護ケース89とプラグ側プリント基板86との間の隙間の形成を抑制し、簡易に製造し、保護ケース89を簡易かつ確実に取り付けることが可能である。
【0120】
また、本実施の形態3によれば、保護ケース89の内壁の一部を光ファイバ8A1の周回方向に対して接線方向に延びる平面部891〜894を形成するようにしたので、保護ケース89上において余長分の光ファイバ8A1を周回させる際に、壁面が角部であるような構成と比して、一層円滑に周回させ、周回の形状を維持させることができる。
【0121】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。上述した実施の形態では、制御装置5が信号処理などを行うものとして説明したが、カメラヘッド9側で行うものであってもよい。
【0122】
ここで、上述した実施の形態1,2及び変形例1〜3において、カメラヘッド9に用いられるイメージセンサ部100の大きさは、例えば8×6(mm)〜50×40(mm)であり、内視鏡装置1aの先端部204に設けられるイメージセンサ部100の大きさは、例えば2×2(mm)〜6×6(mm)である。カメラヘッド9に用いられるイメージセンサ部100は、軟性鏡である内視鏡装置1aのイメージセンサ部の大きさと比して大きく、熱膨張による変形が大きい。このため、上述した実施の形態1にかかる撮像部92の構成は、特に、カメラヘッド9に用いられるイメージセンサ部100に対して有効であるといえる。
【0123】
以上のように、本発明にかかる医療用撮像装置及び内視鏡装置は、高温に曝された場合であっても撮像素子と基板とを電気的に安定して接続するのに有用である。