【解決手段】操縦ハンドル10と、操縦ハンドル10を支持する機体フレーム11と、機体フレーム11を支持する左右一対のクローラ走行装置12と、クローラ走行装置12の前方において機体フレーム11に支持されるブレード部13と、クローラ走行装置12を駆動する電動モータ21と、電動モータ21から伝達される駆動力をクローラ走行装置12に伝達する動力伝達機構22と、が備えられ、電動モータ21が、動力伝達機構22と前後に並ぶように動力伝達機構22の後方に配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の技術では、電動モータが動力伝達機構と上下に並ぶように動力伝達機構の上方に配置されているため、電動モータの上端位置が高くなり、電動モータが邪魔になって、操縦ハンドルを操作する操縦者の位置からブレード部の後部やブレード部の前方の領域を視認しにくくなるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、操縦ハンドルを操作する操縦者の位置からブレード部の後部やブレード部の前方の領域を視認しやすい歩行型ブレード作業機を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の歩行型ブレード作業機は、
操縦ハンドルと、
前記操縦ハンドルを支持する機体フレームと、
前記機体フレームを支持する左右一対の走行装置と、
前記走行装置の前方において前記機体フレームに支持されるブレード部と、
前記走行装置を駆動する電動モータと、
前記電動モータから伝達される駆動力を前記走行装置に伝達する動力伝達機構と、が備えられ、
前記電動モータが、前記動力伝達機構と前後に並ぶように前記動力伝達機構の後方に配置されているものである。
【0007】
本発明によると、電動モータが動力伝達機構と前後に並ぶように動力伝達機構の後方に配置されているので、電動モータの上端位置を低くすることが可能となり、電動モータが邪魔になることなく、操縦ハンドルを操作する操縦者の位置からブレード部の後部やブレード部の前方の領域を視認しやすくなる。
これにより、例えば、ブレード部の後部側に位置し、ブレード部の姿勢をロックするロック状態とブレード部の姿勢をロック解除する解除状態とに切り換え可能な連結ロック機構を、操縦ハンドルを操作する操縦者の位置から視認しやすくなり、連結ロック機構の状態を視認しながらブレード部の操作を行うことができる。さらに、ブレード部によるすくい作業を行う際に、操縦ハンドルを操作する操縦者の位置からブレード部の前方の領域に位置する雪等の被処理物を視認しやすくなる。
このように、本発明であれば、操縦ハンドルを操作する操縦者の位置からブレード部の後部やブレード部の前方の領域を視認しやすいものにできる。
【0008】
上記構成において、
前記電動モータの駆動を制御する制御ユニットが備えられ、
前記制御ユニットが、前記電動モータの上方に配置されていると好適である。
【0009】
本構成によれば、電動モータが動力伝達機構の後方に配置されているので、電動モータの上方のスペースに制御ユニットを配置しても、制御ユニットが、操縦ハンドルを操作する操縦者の位置からブレード部に向けて前下がりに見下ろす視線を遮りにくいものにできる。
【0010】
上記構成において、
前記制御ユニットが、前方に向かうほど下方に位置する前下がり姿勢で配置されていると好適である。
【0011】
本構成によれば、例えば、制御ユニットを縦向きに配置する場合に比べて、制御ユニットの上端位置が低くなり、操縦ハンドルを操作する操縦者の位置からブレード部に向けて前下がりに見下ろす視線に沿った傾斜姿勢で制御ユニットを好適にレイアウトできる。
【0012】
上記構成において、
前記電動モータの駆動用のバッテリが備えられ、
前記バッテリが、前記電動モータの後方に配置されていると好適である。
【0013】
本構成によれば、バッテリが電動モータの後方に配置されているので、バッテリが操縦ハンドルに近い箇所に位置するものとなり、例えば、ある程度高さの高いバッテリを採用する場合であっても、バッテリが、操縦ハンドルを操作する操縦者の位置からブレード部に向けて前下がりに見下ろす視線を遮りにくいものにできる。
【0014】
上記構成において、
前記電動モータ、前記動力伝達機構、及び、前記バッテリを覆うカバーが備えられ、
前記カバーの上面が、前方に向かうほど下方に位置するように前下がりに傾斜していると好適である。
【0015】
本構成によれば、カバーの上面の傾斜が、操縦ハンドルを操作する操縦者の位置からブレード部に向けて前下がりに見下ろす視線に沿ったものとなり、操縦ハンドルを操作する操縦者の位置からブレード部に向けて前下がりに見下ろす視線を、カバーが遮りにくいものにできる。
【0016】
上記構成において、
前記カバーに、前記バッテリの上方に位置する開閉式の蓋部が備えられ、
前記蓋部を前記機体フレームに支持される支持部材に揺動自在に連結するヒンジ部材が備えられ、
前記ヒンジ部材が、前記蓋部を閉姿勢にした状態で、前記バッテリを上方から押さえるように構成されていると好適である。
【0017】
本構成によれば、ヒンジ部材によってカバーの蓋部を開姿勢にすることにより、例えば、バッテリの着脱等を行うことができる。そして、カバーの蓋部を閉姿勢にすることにより、蓋部に連結されたヒンジ部材が、バッテリを上方から押さえるので、バッテリを安定して保持できる。このように、蓋部に連結されたヒンジ部材を、バッテリの押さえ部材に兼用するので、専用の押さえ部材が必要なく、部品点数が削減され、構成を簡素化できる。
【0018】
上記構成において、前記電動モータが、側面視で、前記走行装置の上端よりも下方に配置されていると好適である。
【0019】
本構成によれば、走行装置の上方に電動モータが出っ張らないものとなり、電動モータを、高さを低く抑えてコンパクトに配置できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一例である実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、
図2の矢印Fが「前」、矢印Bが「後」、矢印Lが「左」、矢印Rが「右」として説明する。
【0022】
図1〜
図5等に示される歩行型ブレード除雪機(「歩行型ブレード作業機」の一例)は、主に地面に堆積した雪等の被処理物をすくい搬送可能に構成されている。なお、歩行型ブレード除雪機を用いて、土、砂、藁屑等の他の被処理物のすくい搬送を行うこともできる。
【0023】
図1〜
図2等に示されるように、歩行型ブレード除雪機の走行機体には、操縦操作用の左右一対の操縦ハンドル10、操縦ハンドル10を支持する枠状の機体フレーム11、機体フレーム11を支持する左右一対のクローラ走行装置12(「走行装置」の一例)、機体フレーム11に支持されるバケット状のブレード部13、機体フレーム11に搭載される原動部14が備えられている。
【0024】
〔機体フレームについて〕
図2に示されるように、機体フレーム11は、上面視で略四角枠状の形状となっている。機体フレーム11は、底面が開放されている。
図1、
図2等に示されるように、機体フレーム11には、左右方向に沿って延びる縦板状の前部15、前部15の後方に位置する左右方向に沿って延びる縦板状の後部16、前部15と後部16とに亘って連結される前後方向に沿って延びる左右一対の側部17等が備えられている。
【0025】
図1、
図2等に示されるように、左右の側部17には、それぞれ、左右方向に沿って外側に延びる枢支軸18が設けられている。各枢支軸18には、それぞれ、板状の連結フレーム19が、左右方向に沿った枢支軸心X1周りに揺動自在に連結固定されている。左右の連結フレーム19には、それぞれ、前後方向に沿って延びる支持フレーム20の前後中途部が連結固定されている。つまり、支持フレーム20は、左右方向に沿った枢支軸心X1(枢支軸18)周りに回動可能な状態で、機体フレーム11に連結支持されている。
【0026】
図1等に示されるように、支持フレーム20の後端部は、後方に向かうにつれて上方に位置するように斜め後上がりに曲げられている。支持フレーム20の後端部は、前方に向かうにつれて下方に位置するように斜め前下がりに曲げられている。
【0027】
〔原動部の構成について〕
図2等に示されるように、原動部14は、上面視で機体フレーム11の枠内に略収まるように、機体フレーム11に支持されている。原動部14には、電動モータ21、動力伝達機構22、電動モータ21を制御する制御ユニット23、電動モータ21に給電するバッテリ24、カバー25等が備えられている。
【0028】
〔クローラ走行装置について〕
図2に示されるように、左右のクローラ走行装置12は、それぞれ、機体フレーム11の左右両外側に備えられている。
図1、
図2等に示されるように、各クローラ走行装置12には、電動モータ21の駆動力が動力伝達機構22を介して伝達される駆動輪26と、駆動輪26の後方に位置し、遊転する従動輪27と、駆動輪26と従動輪27とに亘って巻回され、駆動輪26の駆動に伴い回動駆動されるクローラベルト28と、が備えられている。電動モータ21の駆動により、左右のクローラ走行装置12が駆動され、走行機体が自走するようになっている。
【0029】
〔操縦ハンドルについて〕
図1、
図2等に示されるように、左右一対の操縦ハンドル10には、それぞれ、対応する支持フレーム20の後端部に固定される固定杆部29、固定杆部29の前端部から左右方向内側に折り曲げられてから左右方向内側に向けて延びる折り曲げ部30、固定杆部29から後方に向かうにつれて上方に位置するように斜め後ろ上がりに延びる操作杆部31、操作杆部31の後端部に設けられるグリップ部32等が備えられている。左右の操縦ハンドル10のグリップ部32は、それぞれ、前後方向に沿って延びている。
【0030】
図2に示されるように、左右の折り曲げ部30の端部は、互いに連結固定されており、これにより、左右の操縦ハンドル10は、一体的に連結されている。左右の操縦ハンドル10のうち左右一方(例えば右)の操縦ハンドル10のグリップ部32の後端部は、左右他方(例えば左)の操縦ハンドル10のグリップ部32の後端部よりも前方に位置している。左右の操縦ハンドル10のうち左右一方の操縦ハンドル10のグリップ部32の近傍には、変速操作を行う走行レバー33が備えられている。走行レバー33は、箱状のガイド部材34に、前後方向に沿って揺動可能に支持されている。
【0031】
図2に示されるように、ガイド部材34の上面には、走行レバー33を案内するガイド溝35が設けられている。ガイド溝35には、前部に位置する前進領域FAと、後部に位置する後進領域RAと、前進領域FAと後進領域RAとの間に位置する中立領域NAと、が備えられている。前進領域FAと後進領域RAとは、中立領域NAにおいて段違い状態になっている。前進領域FAは、後進領域RAよりも機体左右外側に位置している。
【0032】
走行レバー33を前進領域FAにおいて中立領域NAから離れる方向に揺動するにつれて、電動モータ21が大きな出力で前進駆動されるようになり、走行機体がより高速に前進走行するものとなる。一方、走行レバー33を後進領域RAにおいて中立領域NAから離れる方向に揺動するにつれて、電動モータ21が大きな出力で後進駆動されるようになり、走行機体がより高速に後進走行するものとなる。走行レバー33を中立領域NAに位置させると、電動モータ21が停止され、走行機体が停止状態となる。
【0033】
図1、
図2等に示されるように、左右の支持フレーム20の前端部には、それぞれ、左右方向に沿って延びる支軸ピン36が支持されている。左右の支軸ピン36を介して、左右の支持フレーム20に、ブレード部13が支持されている。これにより、ブレード部13は、操縦ハンドル10側の支持フレーム20に対して、左右の支軸ピン36の中心の左右方向に沿った揺動軸心X2周りに揺動可能に支持されている。
【0034】
〔ブレード部について〕
図1、
図2等に示されるように、ブレード部13は、原動部14、及び、機体フレーム11の前方に配置されている。ブレード部13は、枢支軸18、連結フレーム19、及び、支持フレーム20を介して機体フレーム11に支持されている。ブレード部13は、クローラ走行装置12の前方において機体フレーム11に支持されている。
【0035】
図1〜
図5等に示されるように、操縦ハンドル10とブレード部13とは、操縦ハンドル10とブレード部13との間に位置する左右方向に沿った枢支軸18(枢支軸心X1)を中心として、シーソーのように一体的に揺動可能に構成されている。
【0036】
図1、
図2等に示されるように、ブレード部13には、ドーザ部37と、スクレーパ部38と、左右一対の側板部39と、が備えられている。ブレード部13は、ドーザ部37は、上下中央部が後方に凹んだ曲面状の左右方向に長い縦板体で構成されている。スクレーパ部38は、左右方向に長い板体で構成されており、ドーザ部37の下部に連結されている。左右の側板部39は、それぞれ、ドーザ部37の左右方向の端部に連結されている。ブレード部13には、スクレーパ部38の上方に収容空間Sが設けられている。ブレード部13は、雪等の被処理物をスクレーパ部38により収容空間Sにすくい入れるようになっている。
【0037】
図1、
図2等に示されるように、ドーザ部37の後面には、縦板状の左右の固定プレート40と、左右の固定プレート40にそれぞれ固定される上面視でL字状の規制部材41と、左右の固定プレート40に架設される側面視で横向きのU字状の保護フレーム42と、が備えられている。保護フレーム42には、上面部と前面部と下面部とが備えられている。
【0038】
〔連結ロック機構について〕
走行機体には、操縦ハンドル10側の支持フレーム20に対するブレード部13の姿勢の変更をロックするロック状態A1(
図1〜
図4、
図6参照)と、操縦ハンドル10側の支持フレーム20に対するブレード部13の姿勢変更をロック解除する解除状態A2(
図5参照)と、に切り換え可能な連結ロック機構45が備えられている。
【0039】
図1〜
図6に示されるように、連結ロック機構45には、左右方向に沿った架設フレーム44と、左右方向に沿った筒状のピンケース46と、ピンケース46内において左右方向にスライド移動可能に支持されているロックピン47と、ロックピン47を突出方向に付勢しているロックバネ48(
図6参照)と、舌片部材49と、が備えられている。架設フレーム44は、左右の支持フレーム20の前端部を互いに連結するように架設されている。架設フレーム44は、上面部と後面部と側面部とを有し、側面視で、略三角形状となっている。舌片部材49には、ロックピン47が係合可能なピン孔部50と、ピン孔部50に向けてロックピン47をガイド可能なガイド部51と、が備えられている。ロックピン47の突出端部は、面取りされた形状、または、略球形状になっている。
【0040】
また、
図1〜
図6に示されるように、連結ロック機構45を操作する操作機構として、揺動レバー式の解除操作具52と、解除操作具52に一端部が連繋される操作ケーブル53と、チャージバネ54と、が備えられている。
【0041】
図1、
図2等に示されるように、解除操作具52は、左右の操縦ハンドル10のうち左右一方の操縦ハンドル10のグリップ部32に設けられている。解除操作具52は、グリップ部32の近傍に配置されるバネ材により構成されるロックバネ48により、ロックピン47がピン孔部50に係合する方向に付勢されている。操作ケーブル53の他端部は、ロックピン47に連繋されている。チャージバネ54は、解除操作具52の遊端部が左右一方のグリップ部32から離れる側に、解除操作具52を付勢している。
【0042】
図5、
図6等に示されるように、解除操作具52を左右一方のグリップ部32とともに握り込み操作すると、ロックバネ48の付勢力に抗して、操作ケーブル53が引き操作されて、ロックピン47が突出状態から引退状態になる。そして、解除操作具52から手を離すと、ロックバネ48の付勢力によりロックピン47が引退状態から突出状態に復帰するとともに、チャージバネ54の付勢力により解除操作具52の遊端部が左右一方のグリップ部32から離れた状態に復帰する(
図1等参照)。
【0043】
図2、
図6等に示されるように、舌片部材49のガイド部51には、前方から後方に向かうにつれてロックピン47側に位置する傾斜面が設けられている。ガイド部51の傾斜面に沿って、ロックピン47の突出端部が案内されるようになっている。
【0044】
図4、
図5等に示されるように、操縦ハンドル10側の支持フレーム20に対してブレード部13を姿勢変更する際には、架設フレーム44、ピンケース46、ロックピン47、ロックバネ48が、支持フレーム20と一体となって動く。また、ガイド部51、及び、ピン孔部50を有する舌片部材49、規制部材41、保護フレーム42が、ブレード部13と一体となって動く。
【0045】
〔電動モータについて〕
図1、
図2等に示されるように、電動モータ21は、左右方向に沿ったモータ軸心P1を中心にして回転駆動されるように構成されている。電動モータ21は、クローラ走行装置12を駆動するように構成されている。電動モータ21は、動力伝達機構22と前後に並ぶように動力伝達機構22の後方に配置されている。また、
図1等に示されるように、電動モータ21は、側面視で、クローラ走行装置12のクローラベルト28の上側の巻回経路の上端よりも下方に配置されている。
【0046】
〔動力伝達機構について〕
図1、
図2等に示されるように、動力伝達機構22には、ギヤ機構と、ギヤ機構を格納するケース部56と、が備えられている。動力伝達機構22の前部から駆動軸57が、左右にそれぞれ延びている。左右の駆動軸57の端部は、それぞれ、対応する駆動輪26に連結されている。動力伝達機構22は、ギヤ機構により電動モータ21の駆動力を減速して左右の駆動軸57に出力するように構成されている。言い換えると、電動モータ21の出力部と、左右のクローラ走行装置12の駆動輪26とは、動力伝達機構22を介して連動連結されている。動力伝達機構22のケース部56の下端部は、機体フレーム11の側部17の下端部よりも下方に位置している。
【0047】
図1、
図2等に示されるように、左右の駆動軸57は、それぞれ、機体フレーム11の対応する側部17に回動可能に貫通支持されている。各側部17には、下方に向けて開放される駆動軸57の組み付け用の切り欠き部が設けられている。左右の従動輪27に連動連結される左右方向に沿って延びる従動軸58は、それぞれ、駆動軸57の後方に位置している。各従動軸58は、それぞれ、機体フレーム11の対応する側部17に回動可能に貫通支持されている。
【0048】
図1、
図2等に示されるように、動力伝達機構22の出力軸である駆動軸57の駆動軸心P2は、モータ軸心P1よりも前方に位置している。説明を加えると、モータ軸心P1は、駆動軸心P2よりも上方に位置している。動力伝達機構22は、電動モータ21から伝達される駆動力をクローラ走行装置12に伝達するように構成されている。
【0049】
図2に示されるように、動力伝達機構22と電動モータ21とは、全体として、上面視で、L字状に配置されている。
【0050】
〔制御ユニットについて〕
図1、
図2等に示されるように、制御ユニット23は、支持ステー59を介して、機体フレーム11に支持されている。支持ステー59は、前後方向に沿って延びる固定支持部60と、固定支持部60の後端部から斜め後ろ上がりに延びる支持部61と、が備えられている。制御ユニット23の前面には、排熱のための襞状のヒートシンク62が設けられている。
【0051】
図2に示されるように、制御ユニット23は、電動モータ21の駆動を制御するように構成されている。制御ユニット23は、電動モータ21の上方に配置されている。支持ステー59の支持部61に、制御ユニット23が取り付けられている。つまり、制御ユニット23は、前方に向かうほど下方に位置する前下がり姿勢で配置されている。
【0052】
〔バッテリについて〕
図1、
図2、
図7等に示されるバッテリ24は、電動モータ21や制御ユニット23に電力を供給可能となっている。バッテリ24は、機体フレーム11に支持される支持台63に着脱自在に支持されている。支持台63にバッテリ24を載置すると、バッテリ24のコネクタ部(図示なし)と、支持台63内の被コネクタ部(図示なし)と、が接続され、バッテリ24の電力を、電動モータ21、及び、制御ユニット23に供給可能となる。
【0053】
図1、
図2、
図7等に示されるように、バッテリ24の前部の上端部には、上方に突出する持ち手部64が設けられている。バッテリ24は、電動モータ21の駆動用に構成されている。バッテリ24は、電動モータ21の後方に配置されている。説明を加えると、バッテリ24は、従動輪27の前端部よりも後方に位置している。このようなバッテリ24の配置により、走行機体の全体の重心を後方側に寄せることが可能になるので、走行機体の走行安定性が確保される。
【0054】
〔カバーについて〕
図1、
図2、
図7等に示されるように、カバー25には、本体部65と、本体部65に対して開閉可能な蓋部66と、が備えられている。カバー25の上面は、全体として、前後中央部の後側寄りの箇所が最も高い位置になっており、最も高い位置から前方に向かうほど下方に位置し、最も高い位置から後方に向かうほど下方に位置する形状になっている。つまり、カバー25の上面は、前後中央部の後側寄りの箇所から前方に向かうほど下方に位置するように前下がりに傾斜している。
【0055】
図1、
図7等に示されるように、カバー25における最も高い位置は、バッテリ24の持ち手部64の上方に位置している。カバー25は、電動モータ21、動力伝達機構22、制御ユニット23、及び、バッテリ24を覆うものとなっている。カバー25には、バッテリ24の上方に位置する開閉式の蓋部66が備えられている。カバー25は、螺子部材等の締結部材(図示なし)を介して機体フレーム11の前部15及び後部16に固定されている。
【0056】
〔ブレード部の姿勢変更について〕
図1、
図2、
図6等に示されるように、連結ロック機構45をロック状態A1にして、操縦ハンドル10のグリップ部32から手を離して第一位置B1にすると、ブレード部13の下面を地面に略設置する下降作業姿勢C1となる。ブレード部13が下降作業姿勢C1の状態で、クローラ走行装置12を駆動すると、走行機体が前進し、走行機体の前方に位置する雪等の被処理物がブレード部13の収容空間Sに収容される。なお、連結ロック機構45をロック状態A1にしている状態では、保護フレーム42の上面部の後端部と、架設フレーム44の前端部とが上下方向に重複し、保護フレーム42内の空間に、ピンケース46とロックピン47が収容される。これにより、ピンケース46やロックピン47に雪等が上方から侵入しにくくなっている。
【0057】
次に、
図3に示されるように、操縦ハンドル10のグリップ部32を第一位置B1から少し下方に押し下げて第二位置B2にすると、枢支軸心X1周りにブレード部13が上方に揺動して、ブレード部13が地面から少し持ち上がり、ブレード部13の底面がやや前上がり状態となった搬送姿勢C2となる。ブレード部13が搬送姿勢C2の状態で、クローラ走行装置12を駆動し、走行機体を旋回、及び、前進させて、被処理物を排出する排出場所まで移動する。
【0058】
走行機体が、排出場所に到着すると、
図4に示されるように、操縦ハンドル10のグリップ部32を第二位置B2からさらに下方に押し下げた第三位置B3にして、枢支軸心X1周りにブレード部13を上方に揺動させた上昇姿勢C3にする。
【0059】
次に、
図5に示されるように、操縦ハンドル10のグリップ部32を第三位置B3にした状態で、解除操作具52を左右一方のグリップ部32とともに握り込み操作して、連結ロック機構45を解除状態A2にする。すると、左右方向に沿った揺動軸心X2周りにブレード部13が自重により下方に揺動してブレード部13の下部が地面に接地し、ブレード部13が排出姿勢C4となり、収容空間Sから被処理物が排出される。なお、クローラ走行装置12が接地している地面よりも排出場所の地面の位置が低い場合、規制部材41の上部が、支持フレーム20の下部に当接して、ブレード部13が排出姿勢C4よりも過度に下方に揺動しないようになっている。
【0060】
ブレード部13が排出姿勢C4の状態から、操縦ハンドル10のグリップ部32を第三位置B3から第一位置B1に向けて上方に持ち上げると、ブレード部13の底面が地面に押されて、ブレード部13が排出姿勢C4から下降作業姿勢C1に向けて枢支軸心X1周りに揺動する。すると、
図1、
図3〜
図6から理解されるように、ロックピン47の突出端部が、ガイド部51に当接し、ガイド部51に案内されて引退してゆき、ガイド部51のピン孔部50に達すると、ロックピン47がピン孔部50に向けて突出してピン孔部50と係合し、連結ロック機構45が再びロック状態A1となる。
【0061】
このような動作を繰り返すことにより、作業対象の場所に蓄積した雪等の被処理物をすくい搬送して排出場所において排出する作業を簡単に行うことができる。
【0062】
〔目線等と原動部のカバーとの関係について〕
図8に示されるように、歩行型ブレード除雪機の使用状態(例えば、ブレード部13が下降作業姿勢C1の場合、原動部14のカバー25は、操縦ハンドル10を持った操縦者からブレード部13の後部側の連結ロック機構45を見下ろした目線L1に、干渉しないようになっている。また、原動部14のカバー25は、操縦ハンドル10のグリップ部32の後端部とブレード部13の後部側の連結ロック機構45とを結ぶ直線L2に、干渉しないようになっている。
【0063】
〔ヒンジ部材について〕
図7等に示されるように、カバー25の内側には、蓋部66と機体フレーム11との間には、ヒンジ部材67が備えられている。ヒンジ部材67は、蓋部66を機体フレーム11の後部16に連結支持され、縦方向に沿って延びる棒状の支持部材68に揺動自在に連結されている。ヒンジ部材67は、左右方向に沿った開閉軸心Q周りに揺動可能となっており、バッテリ24の上方を覆う閉姿勢D1と、バッテリ24の上方を開放する開姿勢D2と、の間で状態変更可能に構成されている。ヒンジ部材67は、蓋部66を閉姿勢D1にした状態で、バッテリ24を上方から押さえるように構成されている。
【0064】
ヒンジ部材67は、後端部が左右方向に沿った開閉軸心Q周りに支持部材68の上端部に揺動可能に連結されている取付部69と、取付部69の前端部から上方に向けて延びる縦部70と、縦部70の前端部から前方に向けて延びる横部71と、横部71の前端部から上方に向けて延びる延設部72と、延設部72から前方に向けて延びる固定部74と、が備えられている。固定部74と、バッテリ24との間には、上下方向に隙間が設けられている。蓋部66の下面側に形成された複数のボス部73と、ヒンジ部材67の固定部74とは、固定部74の下方から螺着される螺子部材75により固定されている。
【0065】
蓋部66を閉姿勢D1にすると、ヒンジ部材67の縦部70の前面により、バッテリ24の後面が後方から押さえられる。また、蓋部66を閉姿勢D1にすると、ヒンジ部材67の横部71の下面により、バッテリ24の上面が上方から押さえられる。
【0066】
〔インジケータについて〕
図2に示されるように、バッテリ24の上面には、充電状態、使用状態等の状態をランプ等により表示するインジケータ部76が設けられている。蓋部66を閉姿勢D1にすると、蓋部66におけるインジケータ部76に対応する箇所に設けられた開口77を通じて、インジケータ部76を上方から視認できる。
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態について説明する。下記の各別実施形態は、矛盾が生じない限り、複数組み合わせて上記実施形態に適用してもよい。なお、本発明の範囲は、これら実施形態の内容に限定されるものではない。
【0067】
(1)上記実施形態では、「走行装置」としてクローラ走行装置12が例示されているが、これに限られない。例えば、前輪及び後輪を有するホイール走行装置等の他の「走行装置」であってもよい。
【0068】
(2)上記実施形態では、前後中央部の後側寄りの箇所から前方に向かうほど下方に位置するように上面が前下がりに傾斜しているカバー25が例示されているが、これに限られない。例えば、上面の全体が、前下がりに傾斜している他のカバーであってもよい。
【0069】
(3)上記実施形態では、ロックピン47が左右方向にスライド可能に設けられている連結ロック機構45が例示されているが、これに限られない。例えば、ロックピンが上下方向にスライド可能に設けられている他の連結ロック機構であってもよい。
【0070】
(4)上記実施形態では、左右一対の枢支軸18が設けられているものが例示されているが、これに限られない。例えば、左右の機体フレーム11に亘る一つの枢支軸が設けられていてもよい。