【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0008】
手段1.少なくとも付された商品を特定可能な情報である商品情報が記憶され、かつ、記憶された商品情報を外部から読み取り可能に構成された商品情報ICタグがそれぞれ付された複数の商品の中から、受注した商品を特定可能な情報である受注商品情報に基づき、商品をピッキングするピッキング工程と、
前記受注商品情報に基づき、ピッキングされた商品を照合する照合工程と、
商品発送用のケースに対し、ピッキングされた商品を入れる箱詰め工程と、
前記ケースに入れられた商品を取出不可とすべく前記ケースに所定のカバーフィルムを付し、前記ケース及び前記カバーフィルムを備えてなる包装体によって商品を包装する包装工程と、
包装された商品の送り先が記された宛名ラベルを発行するラベル発行工程と、
前記包装体に対し、前記宛名ラベルを付すラベル添付工程と、
を含む商品の出荷方法であって、
前記ピッキング工程の前において、少なくとも商品の送り先を特定可能な情報である送り先情報及び前記受注商品情報を含む受注情報が記憶されるとともに、記憶された受注情報を外部から読み取り可能に構成された受注情報ICタグを具備してなるICタグ付商品明細書を発行する明細書発行工程と、
前記ケースと前記ICタグ付商品明細書とをセットとすることで専用ケースとする専用ケース取得工程とを含み、
前記ピッキング工程及び前記箱詰め工程は、前記専用ケースの前記ICタグ付商品明細書に基づき、商品のピッキングを行うとともに、ピッキングされた商品を当該専用ケースに入れるという一連の作業として実行可能であり、
前記照合工程においては、前記箱詰め工程後に、前記専用ケースに入れられた商品の前記商品情報ICタグ、及び、前記専用ケースにおける前記ICタグ付商品明細書の前記受注情報ICタグより外部から前記商品情報及び前記受注商品情報が読み取られるとともに、読み取られた両情報に基づき照合を行うことで、前記専用ケースに適切な商品が入っているか否かが判定され、
前記包装工程においては、前記照合工程において適切な商品が入っていると判定された前記専用ケースの前記ケースに対し前記カバーフィルムが付されることで、前記包装体によって商品及び前記ICタグ付商品明細書が包装され、
前記ラベル発行工程においては、前記専用ケースにおける前記ICタグ付商品明細書の前記受注情報ICタグから前記送り先情報が読み取られるとともに、読み取られた前記送り先情報に基づき前記宛名ラベルが発行されることを特徴とする商品の出荷方法。
【0009】
尚、「商品情報」及び「受注商品情報」には、商品名やJANコード、型番などの商品を直接的に特定可能な情報だけでなく、商品を間接的に特定可能な情報(例えば、商品データベースにおいて商品ごとに付された管理用の番号など)も含まれる。また、「送り先情報」に関しても、商品送り先の宛名、住所などの送り先を直接特定可能な情報だけでなく、送り先を間接的に特定可能な情報(例えば、商品送り先の宛名、住所と関連づけられた受注番号等)も含まれる(以下、同様)。
【0010】
上記手段1によれば、ピッキング工程に先立って、専用ケース取得工程において、ケースとICタグ付商品明細書とをセットとすることで、専用ケースが得られる。専用ケースは、注文された商品のみに対応するケースといえるものであり、また、そのまま商品の出荷に用いられるものである。そして、作業者は、専用ケースのICタグ付商品明細書に基づき商品をピッキングするとともに、ピッキングした商品をこの専用ケースへと入れることで、ピッキング工程及び箱詰め工程を一連の作業として実行することが可能となる。従って、ピッキング工程に際し、一旦ピッキング用トレー等に商品を載置する(集める)場合と比較して、トレーから出荷用のケースへと商品を移し替える手間等を省略することができる。
【0011】
さらに、上記手段1によれば、外部から、専用ケース内に入っている商品情報ICタグ及び受注情報ICタグより商品情報及び受注商品情報が読み取られるとともに、両情報に基づく照合がなされることで、専用ケースに適切な商品が入っているか否かが判定される。つまり、特に商品に触れることなく、商品が適切であるか否かが判定されるため、照合工程において、専用ケースから商品を出す必要はない。
【0012】
以上のように、上記手段1によれば、ピッキング工程後において、ケースからの商品の出入りが通常生じないことになる。そのため、商品の入れ忘れや入れ間違いの発生を著しく減らすことができる。その結果、誤った(注文内容と異なる)商品の発送をより確実に防止することができる。
【0013】
また、上記手段1によれば、ラベル発行工程において、専用ケースにおけるICタグ付商品明細書の受注情報ICタグから送り先情報が読み取られるとともに、読み取られた送り先情報に基づき宛名ラベルが発行される。つまり、専用ケース毎に、個別に宛名ラベルが発行される。従って、誤った送り先へと商品が発送されてしまうことをより確実に防止できる。
【0014】
さらに、上記手段1によれば、包装工程では、照合工程において適切な商品が入っていると判定された専用ケースのケースに対しカバーフィルムが付されることで、商品等が包装される。換言すれば、誤った商品が入っているケースにはカバーフィルムが付されず、商品等が包装されないこととなる。従って、無駄な包装が行われないこととなり、コストの低減を図ることができる。また、誤った商品は、包装されず、発送できない状態となる。そのため、誤った商品の発送を一層確実に防止することができる。
【0015】
手段2.前記包装工程後に、前記包装体内における前記商品情報ICタグ及び前記受注情報ICタグより外部から前記商品情報及び前記受注商品情報を読み取るとともに、読み取った両情報に基づく照合を行うことで、前記包装体内に適切な商品が入っているか否かを判定する包装後照合工程を含むことを特徴とする手段1に記載の商品の出荷方法。
【0016】
上記手段2によれば、包装後照合工程において、包装後においても商品が適切であるか否かが判定される。従って、誤った商品が発送されてしまうことをより一層確実に防止できる。
【0017】
手段3.前記ケースとして、複数種類のサイズの異なるものが使用されることを特徴とする手段1又は2に記載の商品の出荷方法。
【0018】
上記手段3によれば、商品をそのサイズ等に合った適切なサイズのケースへと収容することができ、運送等に係るコストの増大抑制などを図ることができる。
【0019】
手段4.前記包装工程においては、所定のシール手段によって、前記ケースに対し前記カバーフィルムが付され、
前記シール手段として、前記ケースの種類に対応する異なるものが複数使用されることを特徴とする手段3に記載の商品の出荷方法。
【0020】
上記手段4によれば、各種ケースに対するカバーフィルムの取着を適正に行うことができ、包装品質の向上を図ることができる。
【0021】
手段5.前記ICタグ付商品明細書には、自身とセットとされる前記ケースを指定するケース指定情報が含まれ、当該ケース指定情報により指定される前記ケースは、当該ICタグ付商品明細書に係る受注商品を収納可能なものとされることを特徴とする手段3又は4に記載の商品の出荷方法。
【0022】
尚、「ケース指定情報」は、ICタグ付商品明細書に文字等により記載されていてもよいし、ICタグ付商品明細書の受注情報ICタグに電子情報として入力されていてもよい。また、「ケース指定情報」は、所定の算出手段によって、受注した商品のサイズや数などを踏まえて自動的に算出されるものであってもよい(以下、同様)。)
上記手段5によれば、ICタグ付商品明細書にはケース指定情報が含まれており、ケース指定情報により指定されたケースは、受注した商品を収納可能なサイズとなっている。従って、ピッキング完了時には、受注した商品の全てが専用ケースへと収容されることになる。これにより、商品が思ったよりも大きかったり、多かったりすること等により、ピッキング工程の途中や完了後にケースの交換が必要になるといった事態を抑制でき、ひいては商品の出入り(移し替え)をより生じにくくすることができる。その結果、誤った商品の発送をより一層確実に防止することができる。
【0023】
手段6.商品の注文者に対し、注文商品の出荷に係る前記各工程の経過状態を知らせるための経過通知工程を含むことを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の商品の出荷方法。
【0024】
上記手段6によれば、経過通知工程において、例えば、商品の注文者側に電子メールを送信すること等が行われる。これにより、注文者は、注文商品の出荷作業に係る進捗状況を把握することができ、進捗状況が分からないことに伴う注文者の不安や不満などを解消することができる。
【0025】
手段7.前記ケースは、
商品を収容するためのポケット部と、
当該ポケット部の開口端から外側に延出形成されたフランジ部とを有し、
前記包装工程においては、所定のシール手段によって、前記ケースの前記フランジ部に対し前記カバーフィルムが付され、
前記シール手段は、
前記ポケット部に商品が収容された状態で前記ポケット部の開口を塞ぐようにして、所定の位置に予め貫通孔が形成された上層フィルムと所定の下層フィルムとを有する前記カバーフィルムを取着するものであって、
前記ポケット部に商品が収容された状態で、前記ポケット部の開口周縁よりも外周側の第一環状領域において前記フランジ部に対し前記カバーフィルムを圧接させる圧接手段と、
前記圧接手段による圧接状態において、前記フランジ部に対応して配置された前記貫通孔を介して、前記上層フィルム及び前記下層フィルム間に所定のガスを供給して前記下層フィルムのうち前記ポケット部に対応する部分を前記ポケット部の内部空間側へと膨出させるガス供給手段と、
前記圧接手段による圧接状態、かつ、前記下層フィルムの膨出状態において、前記ポケット部の開口周縁の外周側であって、前記第一環状領域よりも内周側の第二環状領域において、前記上層フィルム及び前記下層フィルム間の空間が前記貫通孔に対して非連通の気密状態となるよう前記カバーフィルムを前記フランジ部に対し取着する取着手段と、
を備えることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の商品の出荷方法。
【0026】
尚、シール手段は、後述する手段17〜24の出荷システムが有する技術事項のうちの少なくとも1つを具備するものであってもよい。
【0027】
上記手段7によれば、貫通孔を介して上層フィルム及び下層フィルム間にガスを供給する際に、圧接手段により、第一環状領域において、フランジ部に対しカバーフィルムが圧接された状態となっている。従って、ポケット部の開口周縁と第一環状領域との間に位置する第二環状領域において、上層フィルムの膨出を抑制することができる。そして、フランジ部へとカバーフィルムが押圧された状態、つまり、上層フィルムの膨出が抑制された状態を維持しつつ、第二環状領域において、フランジ部に対しカバーフィルムが取着される。これにより、下層フィルム及び上層フィルム間に十分なガスを封入しつつ、下層フィルム及び上層フィルムをより確実にシールすることができる。その結果、搬送時などにおける商品の損傷を効果的に抑制することができる。
【0028】
また、上記手段7によれば、ケース(ポケット部)と膨出した下層フィルムとによって商品が挟み込まれた状態となる。従って、ポケット部内における商品の移動を規制することができ、包装体に対し振動が加わった際に、ケースに対し商品がぶつかってしまうことをより確実に防止できる。さらに、下層フィルムの膨出に伴い、カバーフィルム(上層フィルム)やケースと商品との間に隙間を形成することができる。そのため、包装体に衝撃が加わったときに、商品に加わる衝撃をやわらげることができる。これらの作用効果により、搬送時などにおける商品の損傷抑制をより効果的に図ることができる。
【0029】
加えて、上記手段7によれば、商品のサイズや数に応じて、供給するガスの量を調節し、下層フィルムの膨出量を調節しさえすれば、ケースと下層フィルムとの間で商品を適切な圧力で挟み込むことができる。従って、各種商品に対して柔軟に対応することができる。
【0030】
加えて、ケースのサイズ、収容されている商品のサイズや数などに基づき、供給すべきガスの量を算出し、この算出したガスの量と実際に供給されたガスの量とを比較することで、適切な商品が入っているか否かを判定するといったことも可能である。つまり、ICタグを用いた照合に加え、商品のサイズ等に基づく照合も行うことができる。これにより誤った商品の発送防止をより確実に図ることができる。
【0031】
手段8.商品の出荷に際して用いられる出荷システムであって、
各商品に付されるとともに、少なくとも付された商品を特定可能な情報である商品情報が記憶され、かつ、記憶された商品情報を外部から読み取り可能に構成された商品情報ICタグと、
前記商品を収容するためのケースと、
少なくとも商品の送り先を特定可能な情報である送り先情報及び受注した商品を特定可能な情報である受注商品情報を含む受注情報が記憶されるとともに、記憶された受注情報を外部から読み取り可能に構成された受注情報ICタグを具備し、かつ、前記ケースとセットされることで専用ケースとすることが可能なICタグ付商品明細書を発行する明細書発行手段と、
前記専用ケースに入れられた商品の前記商品情報ICタグ、及び、前記専用ケースにおける前記ICタグ付商品明細書の前記受注情報ICタグより外部から前記商品情報及び前記受注商品情報を読み取るとともに、読み取った両情報に基づき照合を行うことで、前記専用ケースに適切な商品が入っているか否かを判定する照合手段と、
前記照合手段により適切な商品が入っていると判定された前記専用ケースの前記ケースに対し所定のカバーフィルムを付し、前記ケース及び前記カバーフィルムを備えてなる包装体によって商品を包装するシール手段と、
前記専用ケースにおける前記ICタグ付商品明細書の前記受注情報ICタグから前記送り先情報を読み取るとともに、読み取った前記送り先情報に基づき、商品の送り先が記された宛名ラベルを発行するラベル発行手段と、
を備えることを特徴とする出荷システム。
【0032】
上記手段8によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
【0033】
手段9.前記包装体内における前記商品情報ICタグ及び前記受注情報ICタグより外部から前記商品情報及び前記受注商品情報を読み取るとともに、読み取った両情報に基づく照合を行うことで、前記包装体内に適切な商品が入っているか否かを判定する包装後照合手段を備えることを特徴とする手段8に記載の出荷システム。
【0034】
上記手段9によれば、上記手段2と同様の作用効果が奏される。
【0035】
手段10.前記ケースは、サイズの異なるものが複数種類存在することを特徴とする手段8又は9に記載の出荷システム。
【0036】
上記手段10によれば、上記手段3と同様の作用効果が奏される。
【0037】
手段11.前記シール手段は、前記ケースの種類に対応する異なるものが複数存在することを特徴とする手段10に記載の出荷システム。
【0038】
上記手段11によれば、上記手段4と同様の作用効果が奏される。
【0039】
手段12.前記ICタグ付商品明細書には、自身とセットとされる前記ケースを指定するケース指定情報が含まれ、当該ケース指定情報により指定される前記ケースは、当該ICタグ付商品明細書に係る受注商品を収納可能なものとされることを特徴とする手段10又は11に記載の出荷システム。
【0040】
上記手段12によれば、上記手段5と同様の作用効果が奏される。
【0041】
手段13.前記専用ケースが載置されるピッキング用カートを備え、
当該ピッキング用カートは、前記ICタグ付商品明細書の前記受注情報ICタグから少なくとも前記受注商品情報を読み取り可能な明細書タグ読取手段と、
当該明細書タグ読取手段により読み取られた前記受注商品情報に基づく情報を表示可能なカート用表示手段とを有することを特徴とする手段8乃至12のいずれかに記載の出荷システム。
【0042】
尚、「受注商品情報に基づく情報」とあるのは、受注商品情報自体であってもよいし、受注商品情報と関連付けて記憶された各種情報(例えば、商品の置き場やサイズ、商品に関する注意事項など)であってもよい。
【0043】
上記手段13によれば、明細書タグ読取手段により読み取られた受注商品情報に基づき、カート用表示手段において情報が表示される。従って、表示される情報に基づき、ピッキング作業を容易に行うこと等が可能となり、利便性や作業性等を向上させることができる。また、ピッキングミス(ピッキング時の商品選択間違い)の発生抑制などを図ることができる。
【0044】
手段14.商品の注文者に対し、注文商品の出荷に係る工程の経過状態を知らせるための経過通知動作を実行可能な経過通知手段を備えることを特徴とする手段8乃至13のいずれかに記載の出荷システム。
【0045】
尚、「経過通知動作」としては、例えば、注文者(の指定したメールアドレス)に対し、各工程の経過状態を知らせるための電子メールを送信する動作や、注文者からの求めに応じて、各工程の経過状態を知らせるための情報を注文者側へと送信する動作などを挙げることができる。
【0046】
上記手段14によれば、上記手段6と同様の作用効果が奏される。
【0047】
手段15.前記受注情報ICタグに記憶された前記注文商品情報は、商品を直接特定可能な情報ではなく、商品と関連付けられた、商品を間接的に特定可能な情報であることを特徴とする手段8乃至14のいずれかに記載の出荷システム。
【0048】
上記手段15によれば、受注情報ICタグには、注文商品情報として、例えば、商品と関連付けられた管理用の番号など商品を間接的に特定可能な情報が記憶されており、商品名など商品を直接的に特定可能な情報は記憶されていない。従って、発送後などにおいて、第三者が外部から受注情報ICタグの情報を読み取ったとしても、読み取った情報に基づき、商品を特定することはほぼ不可能となる。これにより、注文者のプライバシーをより確実に保護することができる。
【0049】
手段16.前記ケースは、
商品を収容するためのポケット部と、
当該ポケット部の開口端から外側に延出形成されたフランジ部とを有し、
前記シール手段は、
前記ポケット部に商品が収容された状態で前記ポケット部の開口を塞ぐようにして、所定の位置に予め貫通孔が形成された上層フィルムと所定の下層フィルムとを有する前記カバーフィルムを取着するものであって、
前記ポケット部に商品が収容された状態で、前記ポケット部の開口周縁よりも外周側の第一環状領域において前記フランジ部に対し前記カバーフィルムを圧接させる圧接手段と、
前記圧接手段による圧接状態において、前記フランジ部に対応して配置された前記貫通孔を介して、前記上層フィルム及び前記下層フィルム間に所定のガスを供給して前記下層フィルムのうち前記ポケット部に対応する部分を前記ポケット部の内部空間側へと膨出させるガス供給手段と、
前記圧接手段による圧接状態、かつ、前記下層フィルムの膨出状態において、前記ポケット部の開口周縁の外周側であって、前記第一環状領域よりも内周側の第二環状領域において、前記上層フィルム及び前記下層フィルム間の空間が前記貫通孔に対して非連通の気密状態となるよう前記カバーフィルムを前記フランジ部に対し取着する取着手段と、
を備えることを特徴とする手段8乃至15のいずれかに記載の出荷システム。
【0050】
上記手段16によれば、上記手段7と同様の作用効果が奏される。
【0051】
手段17.前記圧接手段は、
前記ガス供給手段からガスが供給される内部空間を有し、当該内部空間が前記ケースにおける前記ポケット部の開口側に向けて開口するチャンバー部と、
当該チャンバー部における前記内部空間の開口側端部との間で前記カバーフィルム及び前記ケースを挟む位置に配置される支持部とを備え、
前記チャンバー部における前記開口側端部及び前記支持部により前記カバーフィルム及び前記フランジ部を挟み込むことで、前記貫通孔と前記チャンバー部の内部空間とを連通させた状態で前記フランジ部に対し前記カバーフィルムを圧接させ、
前記ガス供給手段は、前記チャンバー部の内部空間にガスを供給することで、前記貫通孔を介して前記上層フィルム及び前記下層フィルム間にガスを供給するように構成されていることを特徴とする手段16に記載の出荷システム。
【0052】
上記手段17によれば、圧接手段を構成するチャンバー部の内部空間を介して、ガス供給手段から上層フィルム及び下層フィルム間にガスが供給される。すなわち、圧接手段は、フランジ部に対しカバーフィルムを圧接させる機能とともに、ガスの流路としての機能をも具備する。従って、ガス供給手段から両フィルム間にガスを供給するための器具(例えば、貫通孔を通して両フィルム間に挿通されるパイプ等)を別途設ける必要がなくなる。その結果、装置の簡素化を図ることができ、コストを低減させることができる。
【0053】
手段18.前記取着手段は、
前記第二環状領域に対応する形状の発熱部を有してなるシール部と、
前記発熱部との間で前記カバーフィルム及び前記ケースを挟む位置に配置される受け部とを備え、
前記発熱部及び前記受け部により、前記フランジ部及び前記カバーフィルムを挟み込むことで、前記フランジ部に対し前記カバーフィルムを熱融着するように構成され、
前記発熱部は、前記チャンバー部の内部空間に配置されていることを特徴とする手段16又は17に記載の出荷システム。
【0054】
上記手段18によれば、取着手段の発熱部は、チャンバー部の内部空間に配置されている。そのため、装置のまとまりをよくすることができ、装置の小型化をより確実に図ることができる。
【0055】
手段19.前記取着手段により前記カバーフィルムを前記フランジ部に対し取着してなる中間包装体を打抜き、前記包装体を得るための打抜手段が設けられ、
前記打抜手段は、打抜いて得られた前記包装体に前記貫通孔が存在しなくなる位置にて前記中間包装体を打抜くように構成されていることを特徴とする手段16乃至18のいずれかに記載の出荷システム。
【0056】
上記手段19によれば、得られた包装体には、貫通孔が存在しないものとなる。そのため、包装体における、外観品質の向上やコンパクト化を図ることができる。また、包装体の取扱いを容易なものとすることができる。
【0057】
手段20.前記ケースには、前記下層フィルムを膨出させたときに前記ポケット部内の空気が抜けるようにするための孔部が形成されていることを特徴とする手段16乃至19のいずれかに記載の出荷システム。
【0058】
上記手段20によれば、ポケット部の内部側へと下層フィルムを膨出させる際に、ケースに形成された孔部から空気が抜けることになる。そのため、上層フィルム及び下層フィルム間に十分なガスをより容易に、かつ、より確実に充填することができ、商品の損傷防止をより効果的に図ることができる。
【0059】
また、上層フィルム及び下層フィルム間に十分なガスを充填するために、ガスの供給圧を過度に増大させる必要がなくなる。そのため、充填されたガスが高圧であることに伴い、上層フィルムや下層フィルム、両フィルムのシール部分等に破損が生じてしまうことをより確実に防止できる。また、上層フィルムの膨出を一層抑制することができるため、両フィルムをより一層確実にシールすることができる。これらの結果、商品の損傷を抑制できる包装体を一層確実に得ることができる。
【0060】
手段21.前記ポケット部は、その内部空間側に向けて突出形成されてなるリブ部を備え、
前記ガス供給手段は、ガスの供給により前記下層フィルムを膨出させることで、前記リブ部に対し前記商品を押し当てた状態とするように構成されていることを特徴とする手段16乃至20のいずれかに記載の出荷システム。
【0061】
上記手段21によれば、リブ部によって、ポケット部と商品との間に隙間を形成することができる。これにより、包装体に衝撃が加わったときに、その衝撃が商品に対して直接加わりにくくなる。また、膨出した下層フィルムとリブ部とによって商品をより確実に挟み込んで保持することができる。これらの結果、得られた包装体において、商品の破損を一層効果的に抑制することができる。
【0062】
手段22.前記リブ部は、前記商品が押し当てられることとなる自身の先端部側に向けて徐々に細くなる錐台状をなすことを特徴とする手段21に記載の出荷システム。
【0063】
上記手段22によれば、下層フィルムの膨出に伴い、リブ部の先端部に対し商品が押し当てられたときに、リブ部の先端部が潰れ変形しやすくなる。これにより、リブ部から商品に対し加わる圧力が過度に増大してしまうことを抑制できる。また、膨出した下層フィルムと、潰れ変形したリブ部とによって商品を一層確実に挟み込んで保持することができる。これらの結果、得られた包装体において、商品の破損をより一層効果的に防止することができる。
【0064】
手段23.前記ガス供給手段による前記上層フィルム及び前記下層フィルム間へのガスの供給時に、前記ポケット部の開口上において前記上層フィルムに接触又は近接し、前記ポケット部の内部とは反対側に向けた前記上層フィルムの膨出を規制する膨出規制手段を備えることを特徴とする手段16乃至22のいずれかに記載の出荷システム。
【0065】
上記手段23によれば、膨出規制手段によって、上層フィルムの膨出を一層確実に抑制することができる。そのため、上層フィルムの過度の膨出による外観品質の低下を防止できるとともに、商品の損傷抑制を図るべく上層フィルム及び下層フィルム間に十分なガスを封入しつつ、両フィルムをより一層確実にシールすることができる。従って、商品の破損を抑制可能な包装体をより一層確実に得ることができる。
【0066】
手段24.前記上層フィルムは、前記下層フィルムよりも厚くされていることを特徴とする手段16乃至23のいずれかに記載の出荷システム。
【0067】
上記手段24によれば、上層フィルム及び下層フィルム間にガスを充填する際における上層フィルムの膨出をさらに抑制することができる。そのため、上層フィルム及び下層フィルムのシールを一層容易に、かつ、一層確実に行うことができる。その結果、商品の破損を抑制可能な包装体をより一層確実に得ることができる。