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特開2017-114868胎盤由来成分を含有するシワ改善用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-114868(P2017-114868A)
(43)【公開日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】胎盤由来成分を含有するシワ改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/98 20060101AFI20170602BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20170602BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20170602BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20170602BHJP
   A61K 35/50 20150101ALI20170602BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20170602BHJP
   A61K 8/73 20060101ALN20170602BHJP
【FI】
   A61K8/98
   A61Q19/08
   A61P17/16
   A61P17/00
   A61K35/50
   A61Q19/00
   A61K8/73
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-13317(P2017-13317)
(22)【出願日】2017年1月27日
(62)【分割の表示】特願2016-90226(P2016-90226)の分割
【原出願日】2012年5月18日
(11)【特許番号】特許第6117456号(P6117456)
(45)【特許公報発行日】2017年4月19日
(31)【優先権主張番号】特願2011-111299(P2011-111299)
(32)【優先日】2011年5月18日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】505145149
【氏名又は名称】株式会社ニチレイバイオサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100120905
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 伸子
(72)【発明者】
【氏名】田邊 英矢
(72)【発明者】
【氏名】永峰 賢一
【テーマコード(参考)】
4C083
4C087
【Fターム(参考)】
4C083AA071
4C083AA072
4C083AD332
4C083CC02
4C083EE12
4C083EE13
4C083FF01
4C087AA02
4C087AA04
4C087BB58
4C087MA63
4C087NA05
4C087ZA89
4C087ZC52
(57)【要約】      (修正有)
【課題】保湿作用を有し優れたシワ改善効果を有するシワ改善用組成物の提供。
【解決手段】胎盤を25〜600MPaの圧力で高圧処理し、胎盤の高圧処理物を得る工程と、該胎盤の高圧処理物を固液分離して固形状画分を分離除去し、液状画分を得る工程とを含み、酵素添加、熱、酸、またはアルカリによる胎盤の加水分解処理工程は含まない、高圧抽出プラセンタエキスの製造方法。高圧処理が45〜65℃で行われる、製造方法。更に、前記液状画分に対し、濃縮、乾燥及び希釈から選ばれる少なくとも一種の処理を行う、製造方法。
【効果】胎盤の高圧処理物の液状画分は、保湿作用を有し優れたシワ改善効果を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胎盤を25〜600MPaの圧力で高圧処理し、胎盤の高圧処理物を得る工程と、該胎盤の高圧処理物を固液分離して固形状画分を分離除去し、液状画分を得る工程とを含み、酵素添加、熱、酸、またはアルカリによる胎盤の加水分解処理工程は含まないことを特徴とする、高圧抽出プラセンタエキスの製造方法。
【請求項2】
前記高圧処理が、45〜65℃の範囲内で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記液状画分に対し、濃縮、乾燥、および希釈から選ばれる少なくとも1種の処理をさらに行う、請求項1または2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブタ等の胎盤に由来する成分(特に、胎盤の高圧処理物の液状画分)を有効成分として含有するシワ改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シワは加齢によって増加する老化現象のひとつである。しかし、シワの発生の原因としては老化によるもの以外にも皮膚水分量の低下や紫外線による皮膚組織の損傷など多くの事象がある。これらの原因によるシワは、美容の上では大きな課題である。
【0003】
そのため、シワを改善させる組成物については多く検討されている。例えば、皮膚外用剤と経口用組成物を同時に作用させることによりシワ改善用の美容セットを提供する方法(特許文献1)やアスタキサンチンと真皮マトリックス成分安定作用を有する化合物または抽出物を含むことを特徴とするシワ改善組成物(特許文献2)など、複数の成分組成からなる抗シワ作用を有する組成物が報告されている。複数の成分を含有する組成物に、プラセンタエキス(胎盤エキス)を配合する技術も多く報告されているが、プラセンタエキスは、美白作用、代謝活性化作用、細胞賦活作用、活性酸素除去作用、創傷修復作用などを有する有効成分として配合されており、プラセンタエキスを、シワを改善するための有効成分として用いられているわけではない。
【0004】
また、ブタ若しくはウマの胎盤を酵素などで加水分解して得られる水溶性成分とポリフェノールを配合した組成物で、紫外線を照射したモデル動物のシワを軽減化する方法(特許文献3)、ヒト胎盤エキスを紙状にすることを特徴とするシワ・シミ改善紙(特許文献4)、細胞・組織・増殖因子にノイラミン酸類及び/又はプラセンタエキス成分を配合することを特徴とする美容組成物をシワやたるみの改善目的に使用する方法(特許文献5)などが報告されているが、さらに効果が明確なシワの改善方法が望まれている。
【0005】
一方、食品組成物等を製造するための技術として原料を高圧処理する技術が知られている。特許文献6には蛋白質分解酵素を含む食品素材に対して、40〜60℃の温度域で50〜100 MPaの圧力を負荷して保持することにより微生物の増殖を抑制しながら酵素の作用を促進することを含む、酵素分解法による調味料の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4666537号公報
【特許文献2】特開2011-63563号公報
【特許文献3】特開2002-212046号公報
【特許文献4】特開2004-182706号公報
【特許文献5】特開2009-234980号公報
【特許文献6】特許第3475328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、保湿作用を有し優れたシワ改善効果を有するシワ改善用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、胎盤を高圧処理することにより保湿成分であるヒアルロン酸を含有する液状画分(プラセンタエキス)が得られること、そして、該液状画分が保湿作用を有し優れたシワ改善効果を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明は以下の発明を包含する。
【0010】
(1) 胎盤の高圧処理物の液状画分又は該画分の処理物を含有する、シワ改善用組成物。
【0011】
(2) 前記胎盤の高圧処理物の液状画分又は該画分の処理物に由来するヒアルロン酸を0.02w/w%以上含有する、(1)に記載の組成物。
【0012】
(3) 前記高圧処理の圧力が50〜150MPaである、(1)または(2)に記載の組成物。
【0013】
(4) 胎盤由来成分を含有する、シワ改善用組成物であって、
前記成分が、固形分重量1に対して窒素重量が0.08以上である成分であり、かつ、前記組成物の全量に対して、前記成分に由来するヒアルロン酸を0.02w/w%以上、前記成分の固形分を0.5w/w%以上含有する、前記組成物。
【0014】
(5) 前記胎盤由来成分が、胎盤の高圧処理物の液状画分又は該画分の処理物である、(4)に記載の組成物。
【0015】
(6) 前記高圧処理の圧力が50〜150MPaである、(5)に記載の組成物。
【0016】
(7) 皮膚にうるおいを与え、乾燥によるシワを目立たなくするためのシワ改善用組成物である、(1)〜(6)のいずれかの組成物。
【0017】
(8) (1)〜(6)のいずれかに記載の組成物を含む、化粧品または医薬品(医薬部外品を含む)。
【0018】
(9) シワ改善用組成物の製造のための、胎盤の高圧処理物の液状画分又は該画分の処理物の使用。
【0019】
(10) 胎盤の高圧処理物の液状画分又は該画分の処理物の、シワ改善のための使用。
【0020】
(11) 胎盤の高圧処理物の液状画分又は該画分の処理物を美容のために皮膚に適用し、シワを改善する方法。
【0021】
本願は、2011年5月18日に出願された日本国特許出願2011−111299号の優先権を主張するものであり、該特許出願の明細書に記載される内容を包含する。
【発明の効果】
【0022】
本発明のシワ改善用組成物は、保湿作用により顔面のシワを目立たなくする効果があり、美容上において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は本発明のシワ改善用組成物(高圧抽出プラセンタエキス)を塗布した群(n=21)及び無塗布群(n=21)の目尻部位の角質水分量の経時変化を示す。
図2図2は本発明のシワ改善用組成物(高圧抽出プラセンタエキス)を塗布した群(n=21)及び無塗布群(n=21)の目視評価によるシワグレードの経時変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明において原料として利用できる胎盤としてはブタ、ウマ等の胎盤が挙げられ、好適にはブタの胎盤である。ブタの品種は特に限定されない。胎盤は高圧処理等の処理の前に適宜、洗浄及び粉砕される。
【0025】
高圧処理の圧力は特に限定されないが、典型的には50〜150MPa、好ましくは50〜100MPa、より好ましくは100MPaである。高圧処理時の温度は特に限定されず胎盤の状態等により適宜選択すればよいが、典型的には45〜65℃の範囲である。高圧処理の時間は特に限定されないが、典型的には1〜24時間の範囲である。高圧処理を実施する装置は特に限定されず、例えば特許文献6に記載された装置等を用いることができる。
【0026】
胎盤の高圧処理物から、遠心分離、ろ過、圧搾等の通常の固液分離手段により固形状画分を分離除去し、液状画分(エキス)を取得する。液状画分は必要に応じてステロイドホルモン除去処理等の処理を施してもよい。液状画分はそれ自体がプラセンタエキスとして利用可能であるため、本明細書では胎盤の高圧処理物から分離された液状画分を「プラセンタエキス」、「エキス」又は「高圧抽出プラセンタエキス」と称する場合がある。原料として用いられる胎盤の70〜90%量を液状画分として回収することができる。
【0027】
本発明において「液状画分の処理物」とは、液状画分の減圧蒸留等により濃縮した濃縮物、凍結乾燥法等により乾燥した乾燥物(粉末化された乾燥物も含む)や、液状画分、濃縮物又は乾燥物を水等の溶媒で希釈した希釈物が挙げられる。液状画分を更に水や有機溶媒等の溶媒により抽出処理して得られた抽出物も該画分の処理物に包含される。
【0028】
胎盤の高圧処理物の液状画分又は該画分の処理物は、精製水により抽出された抽出物よりも窒素含量、遊離アミノ酸含量が高く、ヒアルロン酸を含有する。このことは、高圧処理により微生物の増殖が抑制されるとともに細胞が圧力により破砕され、通常は水に溶解しにくい成分が可溶化されるためであると考えられる。上記手順による胎盤の高圧処理物の液状画分又は該画分の処理物の製造方法は、ペプシン等のタンパク質分解酵素添加による酵素分解や、熱、酸、アルカリ等による加水分解が含まれないため、有用な成分(例えば有用なポリペプチド(タンパク質よりも分子量の小さなアミノ酸が複数結合した成分))が分解又は変性される可能性が低いため好ましい。上記手順による胎盤の高圧処理物の液状画分又は該画分の処理物の製造方法は、胎盤を凍結し、融解させる凍結融解法による抽出法と異なり、抽出効率が高い点、臭気を低減できる点、及び、抽出物中に微生物などが繁殖する可能性が低い点において有利である。
【0029】
本発明のシワ改善用組成物は、胎盤の高圧処理物の液状画分又は該画分の処理物を有効成分として含有し、かつ、保湿作用及びシワ改善作用を奏する種々の形態で提供されることができる。胎盤の高圧処理物の液状画分又は該画分の処理物自体をシワ改善用組成物として用いることもできる。本発明のシワ改善用組成物は皮膚外用剤として用いることが好ましく、化粧品、医薬部外品、医薬品等の形態で提供することができる。
【0030】
皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品及び医薬品の製剤化のために通常使用される成分を用いて製剤化することが可能である。本発明のシワ改善用組成物には、他の有効成分が更に含まれてもよい。製剤化用成分及び他の有効成分としては、例えば、精製水、アルコール類、油性物質、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、生薬成分、紫外線吸収剤、色素、美白剤、香料、乳化安定剤、pH調製剤等が挙げられる。皮膚外用剤の剤型は限定されるものではなく、液状、クリーム状、軟膏状、ローション状、ゲル状、パック状、スティック状など、どのような形態でもよいが、好ましくは液状である。また、皮膚外用剤の種類としては、例えば、化粧水、乳液、ジェル、美容液、一般クリーム、パック、マスク、洗顔料、化粧石鹸、ファンデーション、ボディローション等が挙げられるが、これらに限定はされない。また、上記の種々の形態の製品における本発明のシワ改善用組成物の配合量は、シワ改善効果を発揮できる量であればよく、対象製品の一般的な使用量、製品の形態、効能・効果、及びコストなどを考慮して適宜設定すればよい。
【0031】
また、本発明のシワ改善用組成物は、皮膚外用剤のみならず、経口製剤として用いてもよく、飲食品、好ましくは、シワ改善を目的とした美容ドリンク、美容用健康食品に配合することもできる。
【0032】
本発明のシワ改善用組成物では、有効成分として用いられる胎盤の高圧処理物の液状画分又は該画分の処理物が、固形分(蒸発残留物)重量1に対する窒素重量が0.08以上、好ましくは0.10〜0.15の成分であることが好ましい。また本発明のシワ改善用組成物は、組成物の全量に対して、前記有効成分に由来するヒアルロン酸を0.02w/w%以上、好ましくは0.03〜0.12w/w%、前記有効成分に由来する固形分を0.5w/w%以上、好ましくは0.55〜1.0w/w%、より好ましくは0.60〜0.65w/w%含有することが好ましい。
【0033】
更に、胎盤の高圧処理物の液状画分又は該画分の処理物を有効成分として用いる実施形態には限定されず、上記と同様の組成を有する、胎盤由来成分を有効成分として含有するシワ改善用組成物もまた本発明の範囲に包含される。「胎盤由来成分」とは胎盤を処理して得られる組成物(胎盤処理物)を指し、複数種の物質を含み得る。すなわち本発明は、固形分(蒸発残留物)重量1に対する窒素重量が0.08以上、好ましくは0.10〜0.15である胎盤由来成分を、組成物の全量に対して前記成分に由来するヒアルロン酸を0.02w/w%以上、好ましくは0.03〜0.12w/w%、前記成分に由来する固形分を0.5w/w%以上、好ましくは0.55〜1.0w/w%、より好ましくは0.60〜0.65w/w%となるように含有するシワ改善用組成物を提供する。
【0034】
本発明のシワ改善用組成物は、シワ改善作用のなかでも特に皮膚にうるおいを与え、乾燥によるシワを目立たなくする作用を有する。
【0035】
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明の範囲は実施例には限定されない。
【実施例】
【0036】
(実施例1)高圧抽出プラセンタエキスの製造および成分分析ならびに評価試験
実験1: 高圧抽出プラセンタエキスの製造法(本発明品)
健常な妊娠3〜4ヶ月の種豚から得られた胎盤2770gを解凍し、低温の精製水により血液等を十分に洗浄除去する。洗浄された胎盤は、ワーリングブレンダーにより粉砕する。粉砕された胎盤をポリエチレン製袋に入れ、高圧処理装置(東洋高圧社製)により100MPa、16時間、50℃で処理する。
【0037】
高圧処理豚胎盤を、5000回転/分、30分、5℃で遠心分離処理し、固形分を分離し、上清2210gを回収した。この上清を0.2μmのフィルター(日本ポール社製)でろ過し、ステロイドホルモン除去処理を行い、高圧抽出プラセンタエキスとして1760gを回収した。
【0038】
実験2: 水溶性プラセンタエキスの製造法(比較品)
健常な妊娠3〜4ヶ月の種豚から得られた胎盤100Kgを解凍し、低温の精製水により血液等を十分に洗浄除去する。洗浄された胎盤は、ワーリングブレンダーにより粉砕する。粉砕された胎盤に精製水10Kgを加え、低温下で攪拌抽出する。
【0039】
攪拌抽出処理された豚胎盤を、5000回転/分、30分、5℃で遠心分離処理し、固形分を分離し、上清を回収した。この上清を精製精密ろ過フィルター等で臭気が低減するまで精製し、その後にステロイドホルモン除去処理を行い、水溶性プラセンタエキスとしておよそ80Kgを回収した。
【0040】
評価試験1: 高圧抽出プラセンタエキスと水溶性プラセンタエキスの成分比較試験
高圧抽出プラセンタエキスと水溶性プラセンタエキスの成分として、蒸発残留物(固形分量)、総窒素量(日本薬局方一般試験法 窒素定量法)、ヒアルロン酸量(ELISA法、ヒアルロン酸測定キット・生化学バイオビジネス株式会社)の定量分析を行い、表1に示した。また、遊離アミノ酸の分析も行い、表2に示した。
【0041】
これらの分析の結果、高圧抽出プラセンタエキスは固形分中の窒素量比率が多く、また遊離アミノ酸比率も高いことが判明した。また、胎盤由来のヒアルロン酸は、高圧抽出プラセンタエキスに多く検出された。これらのことから、高圧抽出プラセンタエキスは、アミノ酸を豊富に含有し、ヒアルロン酸も含有し、皮膚の保湿作用がより期待できるプラセンタエキスであると考えられる。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
評価試験2: ヒトに対する保湿性及び抗シワ試験
シワのグレード標準写真(シワグレード0〜7の8段階)(日本香粧品学会の抗シワ製品評価ガイドライン 日本香粧品学会誌 Vol.30, No.4,pp.316-332(2006))により目視評価を行い、シワグレードが2〜3に該当する被験者21名の健常女性パネルを用いた。
【0045】
試験は、日本香粧品学会の抗シワ製品評価ガイドラインに準じて実施した。被験者の目尻周辺に検体である本発明品の高圧抽出プラセンタエキスを、半顔に1日3回(1回、約220mg)塗布し8週間継続した。もう半顔は検体を無塗布とした。0、4、8週目に目視評価、目尻の部位の角質水分量の測定を実施した。
【0046】
<シワの評価>
試験開始日、試験開始4週間後及び8週間後(試験終了日)にシワの目視評価を実施した。シワのグレード評価は、各グレードの間を0.5として判定した。
【0047】
シワのグレード
グレード0:シワは無い
グレード1:不明瞭な浅いシワが僅かに認められる
グレード2:明瞭な浅いシワが僅かに認められる
グレード3:明瞭な浅いシワが認められる
グレード4:明瞭な浅いシワの中に、やや深いシワが僅かに認められる
グレード5:やや深いシワが認められる
グレード6:明瞭な深いシワが認められる
グレード7:著しく深いシワが認められる
<保湿性の評価>
試験開始日、試験開始4週間後及び8週間後(試験終了日)に検体の塗布部位及び無塗布部位の角質水分量を Corneometer CM825(Courage-Khazaka, Germany) により測定し、検体の保湿性について検証した。結果は、塗布部位と無塗布部位の差で表した。数値が大きいほど保湿性があることを意味している。
【0048】
<評価結果>
表3、図1及び図2に評価結果を記載した。図1及び図2のグラフにおいてエラーバーは標準誤差を示す。試験開始4週間後に角質水分量は21名中18名で無塗布より多く、目尻周辺のシワグレードは21名中12名で改善が認められた。この結果は、Wilcoxon検定ではp<0.01である。本発明品の高圧抽出プラセンタエキスは、保湿作用を有し、有意に抗シワ改善作用を有することが判明した。通常、4週間では抗シワ効果は有意に認められないことから、本発明品は非常に高い効果を有していると考えられる。さらに8週目では明確な効果が確認できた。
【0049】
【表3】
【0050】
(実施例2)高圧抽出処理条件の検討
(1) 圧力条件の検討
実施例1と同様にして調製した胎盤を用い、抽出温度を50℃、抽出時間を16時間として、25〜600 MPaの範囲の各圧力で抽出を行った。得られた各抽出液(プラセンタエキス)の蒸発残留物(以下「固形分濃度」という)の定量分析を行ない、結果を表4に示した。また、各抽出液のヒアルロン酸量、総窒素量の定量分析も同時に行い、結果を表4に合わせて示した。結果は、抽出圧力100Mpa、抽出温度50℃、抽出時間16時間での抽出液の固形分濃度、ヒアルロン酸量、総窒素量の値を1として相対値で示した。
【0051】
【表4】
【0052】
抽出液中の固形分濃度は100MPaで最も高く、50〜300 MPaでは大きな差は認められなかった。ヒアルロン酸、窒素はいずれの抽出液中にも含有されることが確認できた。
【0053】
また、得られた各抽出プラセンタエキスのpHを表5に示した。
【0054】
【表5】
【0055】
抽出液のpHは、25〜150 MPaでは大きな変化が認められないが、300 MPa以上では上昇していた。
【0056】
以上の抽出液の各分析結果と高圧処理に用いる装置を総合的に考慮すると、プラセンタエキスの高圧処理の圧力条件は、50〜150 MPaが適切である。
【0057】
(2) 温度条件の検討
実施例1と同様にして調製した胎盤を用い、抽出圧力を100MPa、抽出時間を16時間として、40〜75℃の範囲の各温度で抽出を行った。得られた各抽出液の固形分濃度を表6に示した。また、各抽出液のヒアルロン酸量、総窒素量を表6に合わせて示した。結果は、抽出圧力100Mpa、抽出温度50℃、抽出時間16時間での抽出液の固形分濃度、ヒアルロン酸量、総窒素量の値を1として相対値で示した。
【0058】
【表6】
【0059】
ヒアルロン酸、窒素はいずれの抽出液中にも含有されることが確認できた。抽出液中の固形分濃度は60℃で最も高く、プラセンタエキスの高圧処理の温度条件は、45℃〜65℃の範囲が適切と考えられた。
【0060】
(3) 時間条件の検討
実施例1と同様にして調製した胎盤を用い、抽出圧力を100MPa、抽出温度50℃として、2〜48時間の範囲の各時間で抽出を行った。得られた各抽出液の固形分濃度を表7に示した。また、各抽出液のヒアルロン酸量、総窒素量を表7に合わせて示した。結果は、抽出圧力100Mpa、抽出温度50℃、抽出時間16時間での抽出液の固形分濃度、ヒアルロン酸量、総窒素量の値を1として相対値で示した。
【0061】
【表7】
【0062】
ヒアルロン酸、窒素はいずれの抽出液中にも含有されることが確認できた。高圧抽出における処理時間は、長いほど抽出液中の固形分濃度が増加することが確認された。しかしながら、時間単位の抽出効率は処理時間が長くなると低下するため、作業効率と稼動時間を考慮すると、24時間以内が好ましいと考えられる。
【0063】
産業上の利用可能性
本発明は、シワ改善を目的とした化粧品、医薬品、医薬部外品の製造分野において利用できる。
【0064】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書に組み入れるものとする。
図1
図2