【解決手段】粘着部材1は、両面に粘着面11a,11bを有するシート状の粘着部材本体10を備え、粘着部材本体10は、粘着部材本体10の一方の粘着面11aとの間で鋭角θ
前記剥離体は、前記粘着部材本体の端面において前記鋭角が形成された側が、前記粘着部材本体の端面から突出するように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の粘着部材。
前記剥離体は、前記粘着部材本体の端面において前記鋭角が形成された側から突出する長さと、前記粘着部材本体の端面において前記鈍角が形成された側から突出する長さとが異なることを特徴とする請求項3に記載の粘着部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記WiGig等の高速通信用のアンテナは発熱量が大きいため、LCDの周囲に配置した際に、CPU等にも使用されているサーマルラバー(Thermal rubber)をその表面に貼り付けて熱を逃がす対策が必要となる。
【0005】
サーマルラバーは、貼り付け前の状態では、例えばその両面にフィルム状の剥離体(剥離紙)が設けられており、貼り付け時にピンセット等で剥離体を剥離して対象物に貼り付ける。しかしながら、サーマルラバーは、例えば導電性シリコン樹脂等の柔軟な素材で構成されており、かつ剥離体が設けられる両面が粘着面となっている。
【0006】
そのため、例えば作業者が一方の面の剥離体をピンセット等でつまんで剥離しようとすると、その剥離体を剥離する方向にサーマルラバーが変形して剥離体が使用不可能になってしまう場合や、あるいはサーマルラバーの変形につられて反対側の面に設けられた剥離体が意図せずに剥離してしまう場合があった。すなわち、サーマルラバーの両面に剥離体が設けられている場合に、意図する側の剥離体を剥離すること(剥離紙を剥離する側の制御)が困難であった。
【0007】
なお、例えば特許文献1には、剥離体(剥離シート)の剥離性を向上させた粘着記録紙に関する技術が提案されている。しかしながら、同文献で提案された技術は、剥離体が片面のみに設けられている場合に適用可能であり、上記のように剥離体が両面に設けられている場合に意図する側の剥離体を剥離することは困難であった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、粘着部材の粘着面に設けられる剥離体を容易に、かつ作業者の意図通りに剥離することができる粘着部材および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る粘着部材は、両面に粘着面を有するシート状の粘着部材本体を備え、前記粘着部材本体は、前記粘着部材本体の一方の粘着面との間で鋭角を形成する第1の端面と、前記第1の端面と対向するとともに、前記一方の粘着面との間で鈍角を形成する第2の端面と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る粘着部材は、上記発明において、前記粘着面に配置された剥離体を備え、前記剥離体は、前記粘着部材本体の端面において前記鈍角が形成された側が、前記粘着部材本体の端面から突出するように配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る粘着部材は、上記発明において、前記剥離体は、前記粘着部材本体の端面において前記鋭角が形成された側が、前記粘着部材本体の端面から突出するように配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る粘着部材は、上記発明において、前記剥離体は、前記粘着部材本体の端面において前記鋭角が形成された側から突出する長さと、前記粘着部材本体の端面において前記鈍角が形成された側から突出する長さとが異なることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る粘着部材は、上記発明において、前記粘着面に配置された剥離体を備え、前記剥離体は、前記粘着部材本体の端面において前記鈍角が形成された側と、前記粘着部材本体の端面において前記鈍角が形成された側とで異なる形態を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る粘着部材は、上記発明において、前記粘着部材本体は、放熱用のサーマルラバーであることを特徴とする。
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、粘着部材を、放熱が必要な内部機器の表面に配置した電子機器であって、前記粘着部材は、両面に粘着面を有するシート状の粘着部材本体を備え、前記粘着部材本体は、前記粘着部材本体の一方の粘着面との間で鋭角を形成する第1の端面と、前記第1の端面と対向するとともに、前記一方の粘着面との間で鈍角を形成する第2の端面と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、粘着部材本体の2つの対向する端面が粘着面に対して直角以外の角度に傾斜していることにより、粘着部材本体の端面近傍における強度を変えることができるため、粘着部材本体の粘着面に設けられる剥離体を容易に、かつ作業者の意図通りに剥離することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る粘着部材およびそれを用いた電子機器について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0019】
[電子機器の構成]
本発明の実施形態に係る粘着部材を適用可能な電子機器としては、例えば
図1に示すようなノート型PCが挙げられる。電子機器5は、キーボード装置57を有する機器本体5aと、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ装置51、背面カバー53aおよび正面カバー53bを有する矩形平板状の蓋体5bとを備え、蓋体5bを左右のヒンジ52により機器本体5aに対して開閉可能に連結したクラムシェル型のノート型PCである。
【0020】
また、電子機器5は、
図2に示すように、背面カバー53aと正面カバー53bとの間であって、ディスプレイ装置51の周囲に、カメラ54、無線LAN用アンテナ55およびWiGig用アンテナ56が配置される。本発明の実施形態に係る粘着部材の粘着部材本体10は、後記するように放熱用のサーマルラバーを想定している。そして、粘着部材本体10は、
図2に示すように、例えばディスプレイ装置51の周囲に配置されたWiGig用アンテナ56の表面に配置(貼付)され、放熱用部材として用いられる。
【0021】
[粘着部材の構成]
以下、本発明の実施形態に係る粘着部材1の詳細について説明する。粘着部材1は、
図3〜
図5に示すように、粘着部材本体10と、第1剥離体2と、第2剥離体3と、を備えている。
【0022】
粘着部材本体10は、例えば放熱用のサーマルラバーであり、基材となるシリコン樹脂に導電性微粒子を混合させた導電性シリコン樹脂から構成される。粘着部材本体10は、
図4に示すように、両面に粘着面11a,11bを有し、薄いシート状に形成されている。粘着部材本体10は、同図に示すように、
図3をX1−X1方向で切断した断面形状が平行四辺形で形成され、
図5に示すように、
図3をX2−X2方向で切断した断面形状が矩形で形成されている。
【0023】
粘着部材本体10の長手方向における2つの端面12a,12bは、
図4に示すように、粘着部材本体10の粘着面11a,11bに対して、直角以外の角度で傾斜している。すなわち、粘着部材本体10の一方の端面(第1の端面)12aは、粘着部材本体10の一方の粘着面11aとの間で鋭角θ
1を形成しているとともに、粘着部材本体10の他方の粘着面11bとの間で鈍角θ
2を形成している。また、粘着部材本体10の他方の端面(第2の端面)12bは、粘着部材本体10の一方の粘着面11aとの間で鈍角θ
2を形成しているとともに、粘着部材本体10の他方の粘着面11bとの間で鋭角θ
1を形成している。
【0024】
ここで、粘着部材本体10の長手方向における2つの端面12a,12bにおける鋭角θ
1および鈍角θ
2の角度は特に限定されないが、例えば鈍角θ
2を100度以上(鋭角θ
1を80度以下)とすることが好ましく、鈍角θ
2を135度(鋭角θ
1を45度)とすることがより好ましい。これにより、後記するように第1剥離体2および第2剥離体3を粘着部材本体10から容易に剥離することができる。なお、
図4では、端面12a側の鋭角および鈍角と、端面12b側の鋭角および鈍角とを同じ記号(θ
1,θ
2)で示しているが、両者の角度はそれぞれ異なっていても構わない。
【0025】
粘着部材本体10の短手方向における2つの端面13a,13bは、
図5に示すように、上記端面12a,12bとは異なり、粘着部材本体10の粘着面11a,11bに対して、直角に形成されている。なお、粘着部材本体10は、例えばトムソン型やビク型の金型を用いた打ち抜き加工によって形成することができる。また、前記したように粘着部材本体10の端面12a,12bを傾斜させるには、例えば粘着部材本体10を構成する材料を金型の動きに合わせて移動させながら打ち抜き加工を行えばよい。
【0026】
第1剥離体2および第2剥離体3は、作業者が粘着部材本体10を電子機器5の内部機器(例えばWiGig用アンテナ56)に貼り付ける際の利便性の観点から設けられるものであり、例えば樹脂からなる薄い剥離フィルムや、剥離紙等から構成される。第1剥離体2および第2剥離体3は、
図4に示すように、粘着面11aおよび粘着面11bにそれぞれ配置されている。また、第1剥離体2および第2剥離体3は、粘着面11a,11bに対応する被粘着面21,31に、例えば離型剤がコーティングされている。
【0027】
第1剥離体2および第2剥離体3は、
図4に示すように、粘着部材本体10の長手方向において、粘着部材本体10の端面12a,12bで鈍角θ
2が形成された側が、粘着部材本体10の端面12a,12bから突出するように配置されている。すなわち、第1剥離体2は、端面12bの鈍角θ
2側が長手方向に長さl
2だけ突出した突出部22bを有している。また、第2剥離体3は、端面12aの鈍角θ
2側が長手方向に長さl
2だけ突出した突出部32bを有している。
【0028】
このような構成を備えることにより、突出部22bを把持して粘着面11aから離間する方向に力を加えることにより、第2剥離体3を粘着部材本体10から剥離させることなく、第1剥離体2のみを粘着部材本体10から容易に剥離することができる(後記
図7参照)。また、突出部32bを把持して粘着面11bから離間する方向に力を加えることにより、第1剥離体2を粘着部材本体10から剥離させることなく、第2剥離体3のみを粘着部材本体10から容易に剥離することができる。なお、
図4では、突出部22bの長さと、突出部32bの長さとを同じ記号(l
2)で示しているが、両者の長さはそれぞれ異なっていても構わない。また、第1剥離体2と第2剥離体3のいずれか一方にだけ突出部22bあるいは突出部32bを設けるようにしてもよい。
【0029】
第1剥離体2および第2剥離体3は、
図4に示すように、粘着部材本体10の長手方向において、粘着部材本体10の端面12a,12bにおいて鋭角θ
1が形成された側が、粘着部材本体10の端面12a,12bから突出するように配置されている。すなわち、第1剥離体2は、端面12bの鋭角θ
1側が長手方向に長さl
1だけ突出した突出部22aを有している。また、第2剥離体3は、端面12aの鋭角θ
1側が長手方向に長さl
1だけ突出した突出部32aを有している。
【0030】
このような構成を備えることにより、突出部22aを把持して粘着面11aから離間する方向に力を加えることにより、第1剥離体2を粘着部材本体10から剥離させることなく、第2剥離体3のみを粘着部材本体10から容易に剥離することができる(後記
図6参照)。また、突出部32aを把持して粘着面11bから離間する方向に力を加えることにより、第2剥離体3を粘着部材本体10から剥離させることなく、第1剥離体2のみを粘着部材本体10から容易に剥離することができる。なお、
図4では、突出部22aの長さと、突出部32aの長さとを同じ記号(l
1)で示しているが、両者の長さはそれぞれ異なっていても構わない。また、第1剥離体2と第2剥離体3のいずれか一方にだけ突出部22aあるいは突出部32aを設けるようにしてもよい。
【0031】
ここで、第1剥離体2および第2剥離体3は、粘着部材本体10の端面12a,12bにおいて鋭角θ
1が形成された側から突出する長さl
1と、粘着部材本体10の端面12a,12bにおいて鈍角θ
2が形成された側から突出する長さl
2とが異なる。すなわち、第1剥離体2および第2剥離体3は、突出部22a,32aの長さl
1が突出部22b,32bの長さl
2よりも長くなるように構成されている。
【0032】
このような構成を備えることにより、作業者が粘着部材1の粘着部材本体10を電子機器5の内部機器に配置する際に、突出部22a,32aと突出部22b,32bの長さの違いにより、鋭角θ
1側と鈍角θ
2側とを容易に判別することが可能となる。なお、
図4では、突出部22a,32aの長さl
1が突出部22b,32bの長さl
2よりも長くなるように構成されているが、例えば突出部22a,32aの長さl
1が突出部22b,32bの長さl
2よりも短くなるように構成しても構わない。
【0033】
また、第1剥離体2および第2剥離体3は、粘着部材本体10の端面12a,12bにおいて鋭角θ
1が形成された側と、粘着部材本体10の端面12a,12bにおいて鈍角θ
2が形成された側とで異なる形態を有するようにしてもよい。例えば、鋭角θ
1が形成された側と鈍角θ
2が形成された側とで、第1剥離体2および第2剥離体3の端面や表面の色、模様または形状を変えることができる。このようにすることで、第1剥離体2および第2剥離体3において鋭角θ
1が形成された側と鈍角θ
2が形成された側とを、見た目や感触で容易に判別できるようになる。第1剥離体2および第2剥離体3は、突出部22a,22b,32a,32bそれぞれの有無に関わらず、このような形態の変化を持たせることができる。
【0034】
第1剥離体2および第2剥離体3は、
図5に示すように、粘着部材本体10の短手方向において、上記長手方向の場合とは異なり、粘着部材本体10の端面13a,13bから突出しておらず、粘着部材本体10と同じ長さ(幅)で構成されている。
【0035】
なお、第1剥離体2および第2剥離体3は、粘着部材本体10を例えばトムソン型やビク型の金型を用いて打ち抜き加工して
図4および
図5に示すような形状に成形した後で、粘着面11a,11bの両面に設けられる。
【0036】
[粘着部材の貼付手順]
以下、本実施形態に係る粘着部材1の粘着部材本体10を、電子機器5の内部機器であるWiGig用アンテナ56に貼り付ける手順(貼付方法)について説明する。以下では、粘着部材本体10の両面に設けられた第1剥離体2および第2剥離体3をそれぞれ把持部材(ピンセット)Pで把持して剥離し、粘着部材本体10をWiGig用アンテナ56に貼り付ける例について説明する。
【0037】
まず、粘着部材本体10から第2剥離体3を剥離する。この場合、
図6に示すように、第2剥離体3を作業者の手指等により支持した状態(図示省略)で、把持部材Pによって第1剥離体2の突出部22aを把持して持ち上げる。すると、同図に示すように、第1剥離体2の被粘着面21と粘着部材本体10の粘着面11aとが密着して貼り付いた状態で、粘着部材本体10の粘着面11bと第2剥離体3の被粘着面31とが徐々に離間し、最終的には粘着部材本体10から第2剥離体3が剥離される。そして、第1剥離体2に貼り付いた状態の粘着部材本体10をWiGig用アンテナ56の表面に載置し、把持部材Pによる把持を解除する(図示省略)。
【0038】
このように、本実施形態に係る粘着部材1は、粘着部材本体10の両面に第1剥離体2および第2剥離体3がそれぞれ配置された状態において、
図6に示すように、第1剥離体2の突出部22a,22bのうち、粘着部材本体10の鋭角θ
1側にある突出部22aを把持して持ち上げることにより、粘着部材本体10から第2剥離体3のみを確実に剥離することができる。
【0039】
一方、
図6とは反対に、例えば第1剥離体2の突出部22a,22bのうち、粘着部材本体10の鈍角θ
2側にある突出部22bを把持して持ち上げた場合、粘着部材本体10から第1剥離体2のみを確実に剥離することができる。すなわち、本実施形態に係る粘着部材1は、持ち上げる突出部(突出部22aまたは突出部22b)に応じて、剥離する剥離体(第1剥離体2または第2剥離体3)を選択することができる。その原理については後記する(
図9〜
図12参照)。
【0040】
続いて、粘着部材本体10から第1剥離体2を剥離する。この場合、
図7に示すように、把持部材Pによって、
図6で把持した突出部22aとは逆側の突出部22bを把持して持ち上げる。すると、同図に示すように、粘着部材本体10の粘着面11bとWiGig用アンテナ56の表面とが貼り付いた状態で、粘着部材本体10の粘着面11aと第1剥離体2の被粘着面21とが徐々に離間し、最終的には粘着部材本体10から第1剥離体2が剥離される。これにより、WiGig用アンテナ56の表面に対する粘着部材本体10の配置が完了する。
【0041】
なお、
図6において、例えば第1剥離体2に貼り付いた状態の粘着部材本体10をWiGig用アンテナ56の表面に載置した際に、載置予定位置からずれてしまった場合、
図8に示すように、把持部材Pによって第1剥離体2の突出部22aを把持して持ち上げる。すると、同図に示すように、第1剥離体2の被粘着面21と粘着部材本体10の粘着面11aとが密着して貼り付いた状態で、粘着部材本体10の粘着面11bとWiGig用アンテナ56の表面とが徐々に離間し、最終的にはWiGig用アンテナ56の表面から粘着部材本体10が剥離される。これにより、粘着部材本体10をWiGig用アンテナ56の表面における載置予定位置に再度貼り直すことができる。
【0042】
[剥離体の剥離の原理]
以下、第1剥離体2および第2剥離体3の剥離の原理について、従来技術と本発明の実施形態との比較を交えて説明する。なお、以下の説明で参照する
図9〜
図12では、粘着部材1,101の片側半分のみを図示し、残り半分の図示を省略する。
【0043】
従来技術に係る粘着部材101は、例えば
図9に示すように、粘着部材本体110の長手方向における端面112aが、粘着部材本体110の粘着面11a,11bに対して直角に形成されている。そのため、粘着部材本体110の端面112a近傍において、粘着部材本体110の強度(粘着部材本体110の厚み方向に働く力に対する強度)が一定となる。
【0044】
従って、従来技術に係る粘着部材101は、
図10に示すように、作業者が突出部22aを持ち上げた際に、第1剥離体2と第2剥離体3のどちらが剥離するのか、言い換えると、粘着部材本体110が第1剥離体2と第2剥離体3のどちらに追従するかが分からず、作業者の意図通りに第1剥離体2または第2剥離体3を剥離することが困難である。
【0045】
一方、本実施形態に係る粘着部材1は、
図11に示すように、粘着部材本体10の長手方向における端面12aが、粘着部材本体10の粘着面11a,11bに対して直角以外の角度に傾斜している。そのため、粘着部材本体10の端面12a近傍において、粘着部材本体10の強度(粘着部材本体10の厚み方向に働く力に対する強度)が一定ではなくなる。すなわち、粘着部材本体10の端面12a近傍において、鋭角θ
1側の強度が低くなり、鈍角θ
2側の強度が高くなる。
【0046】
従って、本発明の実施形態に係る粘着部材1は、
図12に示すように、作業者が突出部22aを持ち上げた際に、粘着部材本体10における鋭角θ
1側が鈍角θ
2側よりも先に変形することにより、第1剥離体2の被粘着面21と粘着部材本体10の粘着面11aとの密着状態が維持される。そして、同図に示すように、粘着部材本体10が第1剥離体2に追従し、粘着部材本体10から第2剥離体3が剥離される。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る粘着部材1は、粘着部材本体10の2つの対向する端面12a,12bが粘着面11a,11bに対して直角以外の角度に傾斜していることにより、粘着部材本体10の端面12a,12b近傍における強度を変えることができる。従って、粘着部材本体10の粘着面11a,11bに設けられる第1剥離体2および第2剥離体3を容易に、かつ作業者の意図通りに剥離することが可能となる。また、粘着部材1は、貼り直しも容易であるため、リワーク性も向上する。
【0048】
以上、本発明に係る粘着部材およびそれを用いた電子機器について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0049】
例えば、
図1および
図2では、粘着部材1を適用可能な電子機器5としてノート型PCを例示したが、粘着部材1は、その他にもタブレット型PC、スマートフォンおよび携帯電話等の電子機器5において、放熱が必要な内部機器の表面に配置しても構わない。
【0050】
また、
図1および
図2では、粘着部材1の粘着部材本体10をWiGig用アンテナ56の表面に配置した例について説明したが、電子機器5の内部において、放熱が必要な他の内部機器の表面に配置しても構わない。
【0051】
また、本発明の実施形態に係る粘着部材1では、粘着部材本体10として放熱用のサーマルラバーを想定していたが、粘着部材本体10は、例えば電子機器5の内部機器に使用される衝撃吸収ゲルや、フォーム材からなる両面テープ等であっても構わない。
【0052】
また、本発明の実施形態に係る粘着部材1では、粘着部材本体10の長手方向における2つの端面12a,12bを直角以外の角度で傾斜させ、粘着部材本体10の短手方向における2つの端面13a,13bを直角に形成していたが、それとは反対に、端面12a,12bを直角に形成し、端面13a,13bを直角以外の角度で傾斜させても構わない。この場合、第1剥離体2および第2剥離体3は、粘着部材本体10の短手方向において、粘着部材本体10の端面13a,13bから突出するように形成する。
【0053】
また、本発明の実施形態に係る粘着部材1では、粘着部材本体10の断面形状が平行四辺形で形成されていたが、端面12aおよび端面12bが、粘着部材本体10の一方の粘着面(粘着面11aまたは粘着面11b)との間で、それぞれ鋭角θ
1および鈍角θ
2を形成する構成であれば、その他の形状(台形を除く)であっても構わない。
前記剥離体は、前記粘着部材本体の端面において前記鋭角が形成された側から突出する長さと、前記粘着部材本体の端面において前記鈍角が形成された側から突出する長さとが異なることを特徴とする請求項1に記載の粘着部材。