特開2017-115328(P2017-115328A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017115328-外壁構造、及び、外壁の施工方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-115328(P2017-115328A)
(43)【公開日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】外壁構造、及び、外壁の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20170602BHJP
【FI】
   E04F13/08 101P
   E04F13/08 101X
   E04F13/08 101D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-249029(P2015-249029)
(22)【出願日】2015年12月21日
(71)【出願人】
【識別番号】305003542
【氏名又は名称】旭トステム外装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】中村 大
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA14
2E110AA42
2E110AB04
2E110AB22
2E110AB27
2E110AB33
2E110BA12
2E110BD23
2E110CA03
2E110CA07
2E110CA23
2E110CC02
2E110CC25
2E110DA03
2E110DC03
2E110DD02
2E110DD10
2E110EA04
2E110GA14Z
2E110GB23W
2E110GB42Z
2E110GB55Z
2E110GB62W
(57)【要約】
【課題】外壁構造について新規な構造を提案する。
【解決手段】横方向に隣接される一方の外壁材1の裏実部11と、他方の外壁材1の裏実部12を接合する箇所を含む外壁構造であって、両裏実部11,12の裏側に形成される空間Kに、柱4などの下地材に固定される接合用役物6の一部が納められた状態で外壁材1が接合されている、こととするものである。これにより、防水性を確保した上で、左右の縦端部に裏実部11,12が構成される外壁材1,1同士を左右に隣り合わせて接合する構成を実現でき、外壁材1については左右勝手が同一のものとなるため、施工時においては左右を意識する必要がなく、施工マニュアルの簡素化や、作業性の向上が図られる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に隣接される一方の外壁材の裏実部と、他方の外壁材の裏実部を接合する箇所を含む外壁構造であって、
前記両裏実部の裏側に形成される空間に、
下地材に固定される接合用役物の一部が納められた状態で外壁材が接合されている、外壁構造。
【請求項2】
横方向に隣接される一方の外壁材の裏実部と、他方の外壁材の段差加工のない縦端面を接合する箇所をさらに含み、
前記裏実部と、段差加工のない縦端面の裏側に形成される空間に、
下地材に固定される接合用役物の一部が納められた状態で外壁材が接合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の外壁構造。
【請求項3】
一方の外壁材と他方の外壁材を直交させて接合する箇所をさらに含み、
両外壁材の裏実部同士が対向されており、
両裏実部の裏側に形成される空間に、
下地材に固定される出隅用接合用役物の一部が納められた状態で外壁材が接合されて出隅が構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の外壁構造。
【請求項4】
前記両裏実部と前記接合用役物の一部の間に止水材が介設される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の外壁構造。
【請求項5】
横方向に隣接される一方の外壁材の裏実部と、他方の外壁材の裏実部を接合する部位を含む外壁の施工方法であって、
一方の外壁材の裏実部と、他方の外壁材の裏実部を対向させることで両裏実部の裏側に形成される空間に、下地材に固定される接合用役物の一部が挿入される工程、
を含む、外壁の施工方法。
【請求項6】
一方、及び/又は、他方の外壁材を切断して横方向の幅寸法を調整する工程と、
切断された縦端面に新たな裏実部を加工する工程と、
新たな裏実部と既存の裏実部同士を対向させることで両裏実部の裏側に形成される空間に、
又は、
新たな裏実部同士を対向させることで両裏実部の裏側に形成される空間に、下地材に固定される接合用役物の一部が挿入される工程と、
をさらに含む、ことを特徴とする請求項5に記載の外壁の施工方法。
【請求項7】
一方の外壁材と他方の外壁材を直交させて接合する工程と、
一方の外壁材の裏実部と、他方の外壁材の裏実部を対向させることで両裏実部の裏側に形成される空間に、下地材に固定される出隅用接合用役物の一部が挿入される工程と、
をさらに含む、ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の外壁の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁材(窯業系サイディング)にて外壁を構成するための技術に関するものであり、より詳しくは、外壁材の接合部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されるように、横方向に隣接される一方の外壁材の裏合じゃくり部と、他方の外壁材の段差加工の無い縦端面を接合する、外壁材の接合構造が知られている。この構成によれば、施工性に優れ、かつ、防水性に優れた外壁材の接合が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5279086号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示される構成では、外壁材について、左右方向の一側の縦端面に裏合じゃくり部が構成され、左右方向の他側に段差加工の無い縦端面が構成されるため、外壁材の左右の縦端面の構造が異なるものであった。
【0005】
このため、外壁材の左右勝手が異なるものとなり、施工マニュアルには左右の取扱についての説明が必要となることや、施工時には作業員が外壁材の左右を意識して取り扱う必要がある。
【0006】
なお、特許文献1では、施工現場での外壁材の合じゃくり加工を不要とすることを課題の一つとしており、外壁材の左右の一方の縦端面は必ず段差加工をしないことを前提としているものである。
【0007】
また、別の課題として、接合用役物のパッキンを段差加工の無い縦端面にのみ当接させる構成であるとすると、作業者が接合用役物の左右を誤って取り付けてしまった場合には、止水性が低下してしまうことになる。
【0008】
また、別の課題として、出隅部については、L字状の専用の出隅コーナー材を用いる必要があり、平板状の外壁材のみでは出隅部の納まりが実現できないものとなっている。
【0009】
本発明は以上の問題に鑑み、外壁構造について新規な構造を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1に記載のごとく、
横方向に隣接される一方の外壁材の裏実部と、他方の外壁材の裏実部を接合する箇所を含む外壁構造であって、
前記両裏実部の裏側に形成される空間に、
下地材に固定される接合用役物の一部が納められた状態で外壁材が接合されている、こととするものである。
【0012】
また、請求項2に記載のごとく、
横方向に隣接される一方の外壁材の裏実部と、他方の外壁材の段差加工のない縦端面を接合する箇所をさらに含み、
前記裏実部と、段差加工のない縦端面の裏側に形成される空間に、
下地材に固定される接合用役物の一部が納められた状態で外壁材が接合されている、こととするものである。
【0013】
また、請求項3に記載のごとく、
一方の外壁材と他方の外壁材を直交させて接合する箇所をさらに含み、
両外壁材の裏実部同士が対向されており、
両裏実部の裏側に形成される空間に、
下地材に固定される出隅用接合用役物の一部が納められた状態で外壁材が接合されて出隅が構成されている、こととするものである。
【0014】
また、請求項4に記載のごとく、
前記両裏実部と前記接合用役物の一部の間に止水材が介設される、こととするものである。
【0015】
また、請求項5に記載のごとく、
横方向に隣接される一方の外壁材の裏実部と、他方の外壁材の裏実部を接合する部位を含む外壁の施工方法であって、
一方の外壁材の裏実部と、他方の外壁材の裏実部を対向させることで両裏実部の裏側に形成される空間に、下地材に固定される接合用役物の一部が挿入される工程、
を含むこととするものである。
【0016】
また、請求項6に記載のごとく、
一方、及び/又は、他方の外壁材を切断して横方向の幅寸法を調整する工程と、
切断された縦端面に新たな裏実部を加工する工程と、
新たな裏実部と既存の裏実部同士を対向させることで両裏実部の裏側に形成される空間に、
又は、
新たな裏実部同士を対向させることで両裏実部の裏側に形成される空間に、下地材に固定される接合用役物の一部が挿入される工程と、
をさらに含む、こととするものである。
【0017】
また、請求項7に記載のごとく、
一方の外壁材と他方の外壁材を直交させて接合する工程と、
一方の外壁材の裏実部と、他方の外壁材の裏実部を対向させることで両裏実部の裏側に形成される空間に、下地材に固定される出隅用接合用役物の一部が挿入される工程と、
をさらに含む、こととするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
即ち、請求項1に記載の発明においては、
防水性を確保した上で、左右の縦端部に裏実部が構成される外壁材同士を左右に隣り合わせて接合する構成を実現でき、外壁材については左右勝手が同一のものとなるため、施工時においては左右を意識する必要がなく、施工マニュアルの簡素化や、作業性の向上が図られる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明においては、
施工現場において適宜外壁材の幅方向の寸法を調整して施工を行うことができる。
【0021】
また、請求項3に記載の発明においては、
外壁材を付け合せて出隅部を構成することが可能となり、出隅コーナー材を用いずに出隅を納めることができる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明においては、
止水材により、接合部の止水性を高めることができる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明においては、
防水性を確保した上で、左右の縦端部に裏実部が構成される外壁材同士を左右に隣り合わせて接合する構成を実現でき、外壁材については左右勝手が同一のものとなるため、施工時においては左右を意識する必要がなく、施工マニュアルの簡素化や、作業性の向上が図られる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明においては、
施工現場において適宜外壁材の幅方向の寸法を調整して施工を行うことができる。
【0025】
また、請求項7に記載の発明においては、
外壁材を付け合せて出隅部を構成することが可能となり、出隅コーナー材を用いずに出隅を納めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る外壁材の構成について示す斜視図。
図2】左右に隣り合う外壁材の接合部について説明する平面図。
図3】(A)は裏実部の構成について説明する平面断面図。(B)は接合部における各部材の構成について説明する平面断面図。
図4】接合用役物の構成について説明する斜視図。
図5】(A)は外壁材の貼り方について説明する図。(B)は接合の一形態の例について示す図。(C)は接合の他の形態の例について示す図。
図6】外壁材を用いた出隅部の構成について示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、以下の説明において、位置関係の説明において使用する「裏」の用語は建物室内に近い側を意味し、「表」の用語は建物室内から遠い側を意味するものとする。
【0028】
図1に示すように、外壁材1には、左右方向X(幅方向X)における左側の端部1Lに、裏側が切り欠かれるようにして段差を構成する裏実部11が構成され、同様に、右側の端部1Rにも裏実部12が構成される。このように、外壁材1の幅方向Xの両端に、それぞれ、裏実部11,12が構成されることで、左右勝手が同一の外壁材が構成される。なお、本明細書中において用いられる左、右の用語は各図において位置関係を明確に説明するために便宜的に用いられるものであり、左右の位置を限定することを目的とするものではない。
【0029】
また、上下方向Zにおける上端部1Hには、表側が切り欠かれるようにして段差を構成する表実部13が構成され、下端部1Dには、裏側が切り欠かれるようにして段差を構成する裏実部14が構成される。そして、下側の外壁材1の上端部1Hの表実部13に対し、上側の外壁材1の下端部1Dの裏実部14を上から覆い被せるようにすることで、上下の外壁材1,1同士が接合される。
【0030】
また、図2に示すように、左右に隣り合う外壁材1,1は、裏実部11,12を対向させた状態で接合される。外壁材1,1は、それぞれ、固定部材20,20により柱4に留め付けられる。固定部材20,20は下地材としての柱4に留め付けられるほか、胴縁や下地合板などの下地材に固定される場合もある。
【0031】
左右の外壁材1,1の接合部Sとなる箇所には、接合用役物6が配置される。接合用役物6は長尺の部材にて構成され、柱4に対しビス7にて留め付けられ、その一部が裏実部11,12の裏側に形成される空間Kに挿入された状態で納められる。
【0032】
接合用役物6は、その左右方向から外壁材1の裏実部11,12を突き合わせることで、外壁材1の位置決めの機能を果たすとともに、外壁材1の裏側の一部に接触することで、接合部Sからの外壁材1の裏側への水の浸入を防止する止水機能を果たすものである。止水機能をより効果的に発揮させるために、裏実部11,12に対し裏側から密着する止水材8を接合用役物6に設けることが好ましい。
【0033】
図3(A)に示すように、左側の外壁材1の右側の端部には裏実部11が構成されている。裏実部11は、外壁面を構成する突出部11aと、突出部11aの裏側の切り欠き部11bと、を有して構成される。切り欠き部11bにおいては、突出部11aの裏側面を構成する裏実裏面11xと、裏実裏面11xと略直交する裏見込み面11yが形成される。裏見込み面11yは、外壁材1の裏面1bと略直交しつつ、当該裏面1bと連続する。右側の外壁材1の裏実部12も同様である。
【0034】
図3(B)に示すように、両裏実部11,12を左右方向に対向させて突き合わせた状態においては、両切り欠き部11b,12bにより、裏側に向かって開放される略コ字状の空間Kが構成される。この空間Kは、縦方向に延びる縦溝空間を構成する。
【0035】
そして、このように空間Kが形成されることで、図2及び図3(B)に示すように、接合用役物6に裏実部11,12を突き合わせた状態では、空間K内に接合用役物6の一部が納められる。
【0036】
図3(B)及び図4に示すように、接合用役物6は、外壁材1よりも室内側に配置される防水シート5側に固定される第一の固定面部61と、第一の固定面部61から室外方向に延設され、一方の外壁材1の裏実部11の裏見込み面11yに対面する第一の見込み面部62と、両外壁材1,1の裏実部11,12の裏実裏面11x,12xに対面する見付面部63と、他方の外壁材1の裏実部12の裏見込み面12yに対面する第二の見込み面部64と、防水シート5側に固定される第二の固定面部65と、を有して構成される。
【0037】
図3(B)に示す例では、接合用役物6と柱4(防水シート5)の間にスペーサー67,67が介設される。このスペーサー67,67は、外壁材の厚みや通気空間の有無などによって適宜用いられる。スペーサー67,67は、第一の固定面部61と第二の固定面部65の裏側に接着剤にて貼付されて一体化されることとするほか、接合用役物6と別体のものをビス7の打ち込みにより固定することとしてもよい。
【0038】
接合用役物6は、第二の固定面部65に打ち込まれるビス7により柱4に対して留め付けられる。ここで、第二の固定面部65の幅は、第一の固定面部61よりも広く構成され、ビス7のビス頭を納めることができるように構成される。また、第一の固定面部61の幅が狭く構成されることで、接合用役物6の全体の幅を狭く構成されてコンパクト化を図ることができ、他の部材との配置関係において、接合用役物6の設置箇所の自由度が高められる。
【0039】
また、図3(B)及び図4に示すように、見付面部63には板状の止水材8が設けられ、止水材8が両外壁材1,1の裏実部11,12の裏実裏面11x,12xに当接する。これにより、接合部Sの隙間(裏実部11,12の突出部11a,12a同士の間の隙間)から水が浸入する場合であっても、この水を止水材8にて止水することができ、外壁材1の裏側への水の浸入を防止することができる。
【0040】
止水材8は、弾性のあるゴムやプラスチック(樹脂)等で構成することが好ましい。これにより、裏実裏面11x,12xとの密着性が高まり、高い止水性を確保することができる。なお、止水材8を設けずに、見付面部63を裏実裏面11x,12xに直接密着させて、止水性を確保することとしてもよい。
【0041】
また、図2に示すごとく、第一の固定面部61において、第一の見込み面部62の反対側となる位置には、第三の見込み面部68が室外方向に延設されており、この第三の見込み面部68の先端に形設される止水部68aが、外壁材1の裏面1bに当接し得るようになっている。これにより、第一の固定面部61と、第一の見込み面部62と、裏面1bと、第三の見込み面部68によって取り囲まれた上下方向の縦溝部70aが形成されるようになっている。なお、止水部68aについては、図3(B)に示すように折り返して設けるほか、裏面1bと平行に設けて裏面1bに当接させ、止水部68aと裏面1bの間に幅を有するシール面を構成することとしてもよい。
【0042】
同様に、図2に示すごとく、第二の固定面部65において、第二の見込み面部64の反対側となる位置には、第四の見込み面部69が室外方向に延設されており、この第四の見込み面部69の先端に形設される止水部69aが、外壁材1の裏面1bに当接し得るようになっている。これにより、第二の固定面部65と、第二の見込み面部64と、裏面2bと、第四の見込み面部69によって取り囲まれた上下方向の縦溝部70bが形成されるようになっている。なお、止水部69aについては、図3(B)に示すように折り返して設けるほか、裏面2bと平行に設けて裏面2bに当接させ、止水部69aと裏面2bの間に幅を有するシール面を構成することとしてもよい。
【0043】
以上のような接合用役物6の構成とすることで、接合用役物6による接合部Sの止水を確保することができる。また、図3(B)に示すように、接合用役物6は第一の固定面部61と第二の固定面部65の幅寸法は異なるものの左右対称に構成されているため、左右反転しても用いることが可能であり、施工時においては左右を意識する必要がなく、施工マニュアルの簡素化や、作業性の向上が図られる。
【0044】
次に、外壁材の貼り方に関する内容について説明する。
図5(A)に示すように、左右に裏実部11,12が形成される外壁材1を左右方向に張り合わせることで一連の外壁が構成される。外壁材1は、左右方向Xの中央部から順に取り付けることとする他、右端/左端から一方向に順に取り付けることができる。
【0045】
また、出隅部においては、外壁材1を二つに切断して外壁材1A,1Bを構成し、両者を直交して配置することで出隅部を構成することができる。これは、外壁材1について左右に裏実部11,12が構成されるために可能となるものであり、これにより、出隅コーナー材を用いずに出隅を納めることができる。なお、当然に外壁材1を切断せずに用いて出隅部を構成することも可能である。
【0046】
図6は、出隅部の納まりの一例であり、出隅用接合用役物50を介して外壁材1A,1Bの裏実部11,12同士を接合する構成を示すものである。両裏実部11,12の裏側に形成される空間K1に、柱4などの下地材に固定される出隅用接合用役物50の一部が納められた状態で外壁材1,1が接合されて出隅部墨部が構成されることとしている。
【0047】
ここで、図5(B)に示すように、外壁材1Aの切断端面について、新たな裏実部15を形設するように段差加工することによれば、裏実部15,11同士を接合用役物6を用いて接合することができる。また、図5(C)に示すように、外壁材1Aの切断端面は切りっ放しの縦端面1kとしておき、裏実部11側にのみ一部が挿入される接合用役物6Aを用いて接合をしてもよい。
【0048】
また、図5(A)に示すように、例えば、施工現場において、外壁材1Dを切断して幅を調整し、幅の狭い外壁材1Xを作製することとしてもよい。このように幅の狭い外壁材1Xを作製することで、施工現場の全体面幅Xzに適宜対応することが可能となり、横幅寸法の異なる複数種類の外壁材を準備する必要がなく、一種類の外壁材により対応することが可能となる。なお、幅の狭い外壁材1Xについても、図5(B)又は(C)の接合の形態を採用することができる。
【0049】
以上のようにして本発明を実施することができる。
即ち、図1及び図2に示すごとく、
横方向に隣接される一方の外壁材1の裏実部11と、他方の外壁材1の裏実部12を接合する箇所を含む外壁構造であって、
両裏実部11,12の裏側に形成される空間Kに、
柱4などの下地材に固定される接合用役物6の一部が納められた状態で外壁材1が接合されている、こととするものである。
【0050】
これにより、防水性を確保した上で、左右の縦端部に裏実部11,12が構成される外壁材1,1同士を左右に隣り合わせて接合する構成を実現でき、外壁材1については左右勝手が同一のものとなるため、施工時においては左右を意識する必要がなく、施工マニュアルの簡素化や、作業性の向上が図られる。また、外壁材1が横方向にずれようとした場合には、裏実部11,12が接合用役物6に突き当たることで、外壁材1の横ズレを防止することができる。
【0051】
また、図5(A)及び(C)に示すように、
横方向に隣接される一方の外壁材1の裏実部11と、他方の外壁材1Aの段差加工のない縦端面1kを接合する箇所をさらに含み、
裏実部11と、段差加工のない縦端面1kの裏側に形成される空間に、
下地材に固定される接合用役物6Aの一部が納められた状態で外壁材が接合されている、こととする。
【0052】
施工現場において適宜外壁材の幅方向の寸法を調整して施工を行うことができる。
【0053】
また、図6に示すように、
一方の外壁材1Aと他方の外壁材1Bを直交させて接合する箇所をさらに含み、
両外壁材1A,1Bの裏実部11,12同士が対向されており、
両裏実部11,12の裏側に形成される空間K1に、
柱4などの下地材に固定される出隅用接合用役物50の一部が納められた状態で外壁材1,1が接合されて出隅が構成されている、
こととするものである。
【0054】
これにより、外壁材1を付け合せて出隅部を構成することが可能となり、出隅コーナー材を用いずに出隅を納めることができる。
【0055】
また、図3(B)に示すように、
両裏実部11,12と接合用役物6の一部の間に止水材8が介設される、こととするものである。
【0056】
これにより、止水材8により、接合部の止水性を高めることができる。
【0057】
また、図2及び図5(A)に示すごとく、
横方向に隣接される一方の外壁材1の裏実部11と、他方の外壁材1の裏実部12を接合する部位を含む外壁の施工方法であって、
一方の外壁材1の裏実部11と、他方の外壁材1の裏実部12を対向させることで両裏実部11,12の裏側に形成される空間に、柱4などの下地材に固定される接合用役物6の一部が挿入される工程、
を含むこととするものである。
【0058】
これにより、防水性を確保した上で、左右の縦端部に裏実部11,12が構成される外壁材1,1同士を左右に隣り合わせて接合する構成を実現でき、外壁材1については左右勝手が同一のものとなるため、施工時においては左右を意識する必要がなく、施工マニュアルの簡素化や、作業性の向上が図られる。また、外壁材1が横方向にずれようとした場合には、裏実部11,12が接合用役物6に突き当たることで、外壁材1の横ズレを防止することができる。
【0059】
また、図5(A)(B)に示すごとく、
一方、及び/又は、他方の外壁材1を切断して横方向の幅寸法を調整する工程と、
切断された縦端面に新たな裏実部15を加工する工程と、
新たな裏実部15と既存の裏実部11同士を対向させることで両裏実部15,11の裏側に形成される空間に、
又は、
新たな裏実部15同士を対向させることで両裏実部15,11の裏側に形成される空間に、柱4などの下地材に固定される接合用役物6の一部が挿入される工程と、
をさらに含む、こととするものである。
【0060】
これにより、施工現場において適宜外壁材の幅方向の寸法を調整して施工を行うことができる。
【0061】
また、図6に示すごとく、
一方の外壁材1Aと他方の外壁材1Bを直交させて接合する工程と、
一方の外壁材1Aの裏実部11と、他方の外壁材1Bの裏実部12を対向させることで両裏実部11,12の裏側に形成される空間K1に、柱4などの下地材に固定される出隅用接合用役物50の一部が挿入される工程と、
をさらに含む、こととするものである。
【0062】
これにより、外壁材1を付け合せて出隅部を構成することが可能となり、出隅コーナー材を用いずに出隅を納めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の構成は、窯業サイディングなどの板状の外壁材を用いる場合において、出隅部を構成する場合に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 外壁材
4 柱
5 防水シート
6 接合用役物
8 止水材
11 裏実部
12 裏実部
50 出隅用接合用役物
K 空間
S 接合部

図1
図2
図3
図4
図5
図6