(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-115380(P2017-115380A)
(43)【公開日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】樋支持具の交換方法及び壁取付具
(51)【国際特許分類】
E04D 13/08 20060101AFI20170602BHJP
【FI】
E04D13/08 311J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-250770(P2015-250770)
(22)【出願日】2015年12月23日
(71)【出願人】
【識別番号】515358089
【氏名又は名称】株式会社銅秀
(74)【代理人】
【識別番号】100174805
【弁理士】
【氏名又は名称】亀山 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀勝
(57)【要約】
【課題】 樋支持具の交換方法及び壁取付具を提供する。
【解決手段】壁取付具10は、樋Tの支持のために壁Wに固定される。壁取付具10は、アンカーボルトBとの係合を介して壁Wに固定される第1〜2アンカー係合部11〜12と、第1〜2アンカー係合部11〜12の間に設けられ、樋Tに係止された係止具20に対し連結可能な連結部13と、第1〜2アンカー係合部11〜12と連結部13を一体にする板状本体18と、を備える。樋Tに正対するように板状本体18を壁Wに配置した際、第1〜2アンカー係合部11〜12はともに露出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樋の支持のために壁に固定される壁取付具であって、
アンカー部材との係合を介して前記壁に固定される第1〜2アンカー係合部と、
前記第1〜2アンカー係合部の間に設けられ、前記樋に係止された係止具に対し連結可能な連結部と、
前記第1〜2アンカー係合部と前記連結部を一体にする板状本体と、を備え、
前記樋に正対するように前記板状本体を壁に配置した際、前記第1〜2アンカー係合部はともに露出することを特徴とする壁取付具。
【請求項2】
樋に係止された係止具と、樋の支持のために壁に固定される壁取付具と、を備えた樋支持具の交換方法において、
前記壁取付具は、アンカー部材との係合を介して前記壁に固定される第1〜2アンカー係合部と、前記第1〜2アンカー係合部の間に設けられ、前記係止具に対し連結可能な連結部と、前記第1〜2アンカー係合部と前記連結部を一体にする板状本体と、を備えており、
前記樋に正対するように前記板状本体を壁に配する配置ステップと、
前記配置ステップの後に行われ、前記アンカー部材及び前記第1〜2アンカー係合部を介して、前記壁取付具を壁に固定する固定ステップとを備え、
前記配置ステップでは、前記第1〜2アンカー係合部はともに露出することを特徴とする樋支持具の交換方法。
【請求項3】
前記配置ステップの前に行われ、前記壁に固定されていた前記壁取付金具を切断して、前記樋を締結していた前記締結金具を前記樋から取り外す取外ステップを備えたことを特徴とする請求項2記載の樋支持具の交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樋支持具の交換方法及び壁取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に取り付けられ、雨水を通す竪樋が知られている。この竪樋は、所定の間隔で取り付けられた竪樋支持具によって、壁に固定されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の竪樋支持具は、アンカーボルトによって壁に固定されるものであり、アンカーボルトによって壁に固定される壁取付具と、竪樋に係止される係止具と、係止具とアンカーボルトを連結する連結具を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−58848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、いったん取り付けられた竪樋支持具は、その後、長期間にわたり外部に曝されるため傷みやすい。特に、竪樋支持具が比較的重い場合には、その強度の都合から金属製の竪樋支持具を用いる。このような金属製の竪樋支持具においては、竪樋よりも先に竪樋支持具が痛んでしまうことが多い。 したがって、所定期間が経過した建物においては、竪樋支持具の交換作業が必要になる。
【0005】
ところが、竪樋支持具の交換作業において、竪樋に対して正対する位置にアンカーボルトを打ち込もうとしても、既に竪樋が設置されているため、新設時と同様の打ち込み作業が行いにくい。かかる場合、剛性の低い竪樋の場合には、一旦該当部分だけ撓ませ、アンカーボルトを打ち込み終わった後に竪樋を基に戻すこともできる。しかしながら、剛性の高い竪樋であれば、該当部分を変形させることは現実的ではない。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、作業性のよい樋支持具の交換方法や、これを可能にする壁取付具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、樋の支持のために壁に固定される壁取付具であって、アンカー部材との係合を介して前記壁に固定される第1〜2アンカー係合部と、前記第1〜2アンカー係合部の間に設けられ、前記樋に係止された係止具に対し連結可能な連結部と、前記第1〜2アンカー係合部と前記連結部を一体にする板状本体と、を備え、前記樋に正対するように前記板状本体を壁に配置した際、前記第1〜2アンカー係合部はともに露出することを特徴とする。
【0008】
本発明は、樋に係止された係止具と、樋の支持のために壁に固定される壁取付具と、を備えた樋支持具の交換方法において、前記壁取付具は、アンカー部材との係合を介して前記壁に固定される第1〜2アンカー係合部と、前記第1〜2アンカー係合部の間に設けられ、前記係止具に対し連結可能な連結部と、前記第1〜2アンカー係合部と前記連結部を一体にする板状本体と、を備えており、前記樋に正対するように前記板状本体を壁に配する配置ステップと、前記配置ステップの後に行われ、前記アンカー部材及び前記第1〜2アンカー係合部を介して、前記壁取付具を壁に固定する固定ステップとを備え、前記配置ステップでは、前記第1〜2アンカー係合部はともに露出することを特徴とする。
【0009】
前記配置ステップの前に行われ、前記壁に固定されていた前記壁取付金具を切断して、前記樋を締結していた前記締結金具を前記樋から取り外す取外ステップを備えたことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業性のよい樋支持具の交換方法や、これを可能にする壁取付具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】竪樋支持具の使用状態の概要を示す斜視図である。
【
図3】既設の竪樋支持具の使用状態の概要を示す断面図である。
【
図4】既設の竪樋支持具を取り外した後の壁の様子を示す断面図である。
【
図5】板状本体の連結部に対し支持具を装着した様子を示す斜視図である。
【
図6】竪樋に正対するように板状本体を壁に配した様子を示す断面図である。
【
図7】新しい竪樋支持具を用いて、竪樋を壁に固定させた様子を示す断面図である。
【
図8】壁取付具(変形例)の概要を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜2に示すように、竪樋支持具2は、壁Wに取り付けられ円筒状の竪樋Tを支持するものであり、竪樋Tの支持のために壁Wに直接固定される壁取付具10と、竪樋Tに係止された係止具20と、を備える。
【0013】
ここで、壁Wは、例えば、コンクリート壁または鉄骨壁である。竪樋Tの形成材料は、例えば、ポリ塩化ビニル等のプラスチックである。竪樋Tの径の下限は、例えば、60mm以上であり、より好ましくは、85mm以上である。竪樋Tの径の上限は、特に限定されないが、例えば、200mm以下である。竪樋Tの厚みの下限は、例えば、1mm以上であり、より好ましくは、2.5mm以上である。竪樋Tの厚みの上限は特に限定されないが、例えば、10mm以下である。また、竪樋支持具2を構成する各部品の形成材料は、支持する竪樋の重量などにもよるが、強度の面からステンレスなどの金属であることが好ましい。
【0014】
壁取付具10は、アンカーボルトBとの係合を介して壁Wに固定される第1〜2アンカー係合部11〜12と、第1〜2アンカー係合部11〜12の間に設けられ、竪樋Tに係止された係止具20(連結とバンド)に対し着脱自在な連結部13と、第1〜2アンカー係合部11〜12と連結部13を一体にする板状本体18と、を備える。
【0015】
板状本体18は、壁Wに設けられ、竪樋Tを支持するものであるため、高い剛性が求められる。このため、板状本体18は、平らに形成され、その厚みは、例えば、1mm以上であり、好ましくは、1.5mm以上である。厚みの上限は特に限定されないが、例えば、3mm以下である。
【0016】
第1アンカー係合部11は板状本体18の一端側に設けられた孔11Xを有し、第2アンカー係合部12は板状本体18の他端側に設けられた孔12Xを有する。孔11X及び孔12Xは、いずれも板状本体18の長手方向に長く延びた長穴であることが好ましい。
【0017】
連結部13は、板状本体18において第1〜2アンカー係合部11〜12の中間部分に設けられる。連結部13は、板状本体18の面から起立するように取り付けられた突筒13Tを有する。突筒13Tの外周面には、自身の軸方向に沿って稜線が形成されていることが好ましい。突筒13Tの内周面には、係止具20との着脱を可能にするネジが形成されている。竪樋Tに正対するように板状本体18を壁Wに配した際、竪樋Tを介して壁Wに正対する位置からみた場合に、孔11X及び孔12Xはともに露出することが好ましい。
【0018】
係止具20は、竪樋Tの外周部に取り付けられる開閉バンド21と、竪樋Tに対して開閉バンド21を締結するための締結機構22と、締結機構22を介して、開閉バンド21を支持する支持具23と、を備える。
【0019】
開閉バンド21は、2本のアーム21A〜21Bと、アーム21A〜21Bの基端部同士を連結するヒンジ21Hと、を有する。アーム21A〜21Bは、それぞれ半円弧状に形成され、ヒンジ21Hを中心とするアーム21A〜21Bの回動により、開閉バンド21は、閉じた状態(
図2)と開いた状態との間で切替自在となる。開閉バンド21が閉じた状態では、アーム21A〜21Bによって環が形成される。このアーム21A〜21Bが形成する環に竪樋Tが挿入される(
図1)ことで、開閉バンド21は竪樋Tの係止が可能な状態となる。一方、開閉バンド21が開いた状態では、アーム21A〜21Bに対して、竪樋Tの取り外し及び竪樋Tの挿入が可能な状態となる。
【0020】
締結機構22は、アーム21A〜21Bの先端部から、アーム21A〜21Bの径方向外側に延びる締結代22A〜22Bと、締結代22A〜22Bに形成されたボルト孔22Xと、ボルト孔22Xに挿入可能なボルト22Yと、ボルト22Yと螺合可能なナット22Zと、を有する。開閉バンド21が閉じた状態では、締結代22A〜22Bに形成されたボルト孔22X同士が重なる。この状態で、ボルト孔22Xへボルト22Yを挿入し、ナット22Zで締め付けることによって、開閉バンド21は竪樋Tを締結することができる。
【0021】
支持具23は、軸状に形成されたものであり、一端側に設けられたネジ部23Nと、他端側に設けられた係合部23Kと、を有する。ネジ部23Nは、突筒13Tの内周面に形成されたネジと螺合可能となっている。係合部23Kは、平板状に形成されたものであり、ネジ部23Nの他端側から延びる。さらに、係合部23Kは、ボルト22Yが挿入可能なボルト係合孔23Xを有する。ボルト係合孔23Xは、支持具23の長手方向において長く延びる長穴となっていることが好ましい。
【0022】
開閉バンド21が閉じた状態において、締結代22A〜22Bの間に係合部23Kを挟んだ後に、ボルト孔22X及びボルト係合孔23Xへ挿入されたボルト22Yにナット22Zを締め付けることによって(
図1)、係止具20は、板状本体18に対して連結可能な状態となる。すなわち、竪樋Tは、壁Wに対して着脱自在となる。
【0023】
次に、竪樋支持具2の使用方法について説明する。
図3に示すように、既設の竪樋支持具102によって、竪樋Tが壁Wに対して支持されている。既設の竪樋支持具102は、係止具20とほぼ同様の構造を有している。
【0024】
ここで、既設の竪樋支持具102から竪樋支持具2への交換方法は、竪樋Tから既設の竪樋支持具102を取り外す取外ステップと、板状本体18に対して支持具23を装着する装着ステップと、竪樋Tに正対するように板状本体18を壁Wに配する配置ステップと、壁取付具10を壁Wに固定する固定ステップと、壁取付具10に対して竪樋Tを連結する連結ステップと、を備える。
【0025】
取外ステップでは、既設の竪樋支持具102において、開閉バンド21(例えば、
図3のX部分)を切断するとともに、支持具23(例えば、
図3のY部分)を切断する。この取外ステップにより、竪樋Tから既設の竪樋支持具102を取り外すことができる。取外ステップでは、支持具23のうち壁Wから突出した部分を削り、支持具23の残った部分23Zと壁Wとを面一にする(
図4)。装着ステップでは、板状本体18の連結部13に対し支持具23を装着する(
図5)。配置ステップでは、竪樋Tに正対するように板状本体18を壁Wに配する(
図6)。このとき、竪樋Tを介して壁Wに正対する位置からみた場合に、第1〜2アンカー係合部11〜12はともに露出することが好ましい。固定ステップでは、ハンマードリルを用いて、第1〜2アンカー係合部11〜12に対してアンカーボルトBを打ち込む。連結ステップでは、開閉バンド21を用いて竪樋Tを締結するとともに、締結機構22を用いて開閉バンド21を支持具23と連結させる(
図7)。
【0026】
本発明では、第1〜2アンカー係合部11〜12の中間部分に連結部13が設けられた板状本体18を、竪樋Tに正対するように壁Wに配した際、竪樋Tを介して壁Wに正対する位置からみた場合に、孔11X及び孔12Xはともに露出する。このため、ハンマードリルの作業スペースZ(
図6)が竪樋Tに干渉しない位置となる。したがって、ハンマードリルを用いて、第1〜2アンカー係合部11〜12に対してアンカーボルトBを打ち込む際、竪樋Tが邪魔にならずに済む。
【0027】
上記実施形態では、壁取付具10は、別体の支持具23に対して螺合可能なものとしたが、本発明はこれに限られない。
図8に示す壁取付具10のように、連結部13と支持具23とが一体となったものでもよい。
【0028】
上記実施形態では、竪樋Tについて説明したが、本発明はこれに限られず、軒樋など樋全般に適用できる。
【0029】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0030】
2 竪樋支持具
10 壁取付具
11 第1アンカー係合部
12 第2アンカー係合部
13 連結部
18 板状本体
20 係止具
21 開閉バンド
22 締結機構
23 支持具
23K 係合部
23N ネジ部
23X ボルト係合孔
B アンカーボルト
T 竪樋
W 壁