特開2017-115440(P2017-115440A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-115440集水機能を有するコンクリート二次成形品集水機能を有するコンクリート二次成形品を多数用いて構成された道路構造物集水機能を有するコンクリート二次成形品の成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-115440(P2017-115440A)
(43)【公開日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】集水機能を有するコンクリート二次成形品集水機能を有するコンクリート二次成形品を多数用いて構成された道路構造物集水機能を有するコンクリート二次成形品の成形方法
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/04 20060101AFI20170602BHJP
   E01C 11/22 20060101ALI20170602BHJP
【FI】
   E03F5/04 D
   E01C11/22 A
   E01C11/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-252258(P2015-252258)
(22)【出願日】2015年12月24日
(71)【出願人】
【識別番号】599005240
【氏名又は名称】株式会社ニッコン
(71)【出願人】
【識別番号】501433206
【氏名又は名称】佐々木 孝
(71)【出願人】
【識別番号】594149240
【氏名又は名称】増田 広利
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 孝
(72)【発明者】
【氏名】増田 広利
【テーマコード(参考)】
2D051
2D063
【Fターム(参考)】
2D051AA03
2D051AC05
2D051AF03
2D051AF07
2D051AG14
2D051DA09
2D051DA11
2D051DB01
2D051DB03
2D051DC02
2D051DC09
2D063CB03
2D063CB04
2D063CB30
(57)【要約】
【課題】排水路への流体の排水を可能とするコンクリート二次成形品において、泥・砂や落ち葉などの流体以外のものの排水路への流れ落ちを阻止することで排水路内の清掃手間・清掃コストを軽減させるとともに、コンクリート二次成形品そのものの強度を向上させると同時に集水機能をも向上させる。
【解決手段】排水路上に備えられ、路面上の流体を排水路内に誘導可能なコンクリート二次成形品であって、集水用の開口領域を設けたコンクリート二次成形品本体10と、前記集水孔(集水用の開口領域)18に、流体のみを通過可能としたフィルタ部22を一体成形してなる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水路上に備えられ、路面上の流体を排水路内に誘導可能なコンクリート二次成形品であって、
集水用の開口領域を設けたコンクリート二次成形品本体と、
前記集水用の開口領域に、流体のみを通過可能としたフィルタ部を一体成形してなることを特徴とする透水性コンクリート二次成形品。
【請求項2】
前記フィルタ部は、エポキシ樹脂系の接着剤にセラミック系繊維材を混合してなるバインダと、所定の骨材とを混練してなるフィルタ部材料が、前記コンクリート二次成形品本体の集水用の開口領域に流し込まれて一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載の透水性コンクリート二次成形品。
【請求項3】
前記骨材は、細かい砕石又は自然石であることを特徴とする請求項2に記載の透水性コンクリート二次成形品。
【請求項4】
歩車道境界ブロックであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の透水性コンクリート二次成形品。
【請求項5】
側溝用蓋であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の透水性コンクリート二次成形品。
【請求項6】
所定長さ領域にわたって備えられる排水路と、前記排水路上を覆うようにして多数配設されるコンクリート二次成形品とで構成され、
前記コンクリート二次成形品が、前記請求項1乃至5のいずれかに記載の透水性コンクリート二次成形品であることを特徴とする道路構造物。
【請求項7】
集水用の開口領域を設けたコンクリート二次成形品本体を成形する第一工程と、
前記第一工程によって形成された集水用の開口領域に、流体のみを通過可能としたフィルタ部を一体成形する第二工程を少なくとも有してなることを特徴とする透水性コンクリート二次成形品の成形方法。
【請求項8】
エポキシ樹脂系の接着剤にセラミック系繊維材を混合してなるバインダと、所定の骨材とを混練してフィルタ部材料とし、
前記フィルタ部材料を前記コンクリート二次成形品本体の集水用の開口領域に流し込んで前記フィルタ部が前記集水用の開口領域に一体成形されていることを特徴とする請求項7に記載の透水性コンクリート二次成形品の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、U字溝などの排水路の開口領域上を覆うようにして備えられる、側溝蓋や歩車道境界ブロックなどで、路面上の雨水などの流体を排水路内へと誘導し得る集水機能を有するコンクリート二次成形品、集水機能を有するコンクリート二次成形品を多数用いて構成された道路構造物、及び集水機能を有するコンクリート二次成形品の成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車道や歩道などの端には雨水や生活排水などを集水して流す側溝などの排水路が設けられている。このような排水路のうち、上面を開放しているものにあっては、その開放領域上を覆うようにして蓋(側溝蓋)などを配している。また、車道と歩道との境界を記す境界ブロックを兼ねているタイプ(歩車道境界ブロック)のものもある。
これら側溝蓋や境界ブロックにあっては、道路上を流れる雨水や汚水などを積極的に排水路へと集水するための集水孔(排水用スリット等とも称する。)などを設けているものが数多く提供されている。
【0003】
従来から、このような雨水などを排水路へと誘導するために設けられている集水孔などに、泥や砂、あるいは落ち葉などが詰まり、集水能力が低下してしまう、若しくは全く機能していないという問題が生じている。
【0004】
そこで、このような問題を解決するために、集水孔を排水路方向に向けて拡開したテーパ状(裾広がり状)に形成することで集水孔の詰まりを解消させようとしている先行技術も提供されている(特許文献1参照。)。
【0005】
しかし、このような先行技術の場合、更に別個の問題が生じていた。すなわち、泥・砂や落ち葉などは、雨水などと共に排水路内へと流れ落ちてしまい、集水孔の詰まりは解消されるものの、これらが繰り返されることにより側溝内底にはかなりの高さで堆積物が溜まってしまうこととなる。
このように側溝内底に泥・砂や落ち葉などが体積してしまうと、側溝本来の排水能力の低下を招くこととなり、最悪の場合、排水不能、冠水という状況を招く虞があった。
【0006】
そこで、ある程度側溝内底に堆積物が溜まってくると、地域住民が所定位置の側溝蓋などを開け、堆積物を掻き出して除去したりしている。
あるいは、その堆積物の量が膨大であったり、範囲が広範囲にわたっていたりして、地域住民では手に負えないような場合、行政や地域住民から依頼を受けた専門の清掃業者が、所定位置の側溝用蓋を開けて、特殊車両に接続された高圧洗浄用ホースを側溝内に入れ、高圧洗浄水を放水して堆積物を所定の桝の方向へと流し、そして桝内に溜まった堆積物をバキュームで吸い取る大掛かりな作業を行なわなければならない状況になることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-235365公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような清掃作業には時間と手間が掛かり、また、行政からの依頼で専門の清掃業者に依頼するような場合にあっては、その作業に要する費用は公的費用で賄われることとなるため、このような清掃作業が極力生じないようにしなければならないものである。
【0009】
また、集水孔などを設けることによって、無垢の側溝蓋や境界ブロックと比してそのものの強度面の低下も招くこととなるため、極端に大きな集水孔を設けることは出来ず、集水能力にも限界があった。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、排水路への流体の排水を可能とするコンクリート二次成形品において、泥・砂や落ち葉などの流体以外のものの排水路への流れ落ちを阻止することで排水路内の清掃手間・清掃コストを軽減させるとともに、コンクリート二次成形品そのものの強度を向上させると同時に集水機能をも向上させることが可能な集水機能を有するコンクリート二次成形品、集水機能を有するコンクリート二次成形品を多数連続して用いて構成される道路構造物、および集水機能を有するコンクリート二次成形品の成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、第1の発明は、排水路上に備えられ、路面上の流体を排水路内に誘導可能なコンクリート二次成形品であって、
集水用の開口領域を設けたコンクリート二次成形品本体と、
前記集水用の開口領域に、流体のみを通過可能としたフィルタ部を一体成形してなることを特徴とする透水性コンクリート二次成形品としたことである。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記フィルタ部は、
エポキシ樹脂系の接着剤にセラミック系繊維材を混合してなるバインダと、所定の骨材とを混練してなるフィルタ部材料が、前記コンクリート二次成形品本体の集水用の開口領域に流し込まれて一体成形されていることを特徴とする透水性コンクリート二次成形品としたことである。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、前記骨材は、細かい砕石又は自然石であることを特徴とする透水性コンクリート二次成形品としたことである。
【0014】
第4の発明は、第1の発明乃至第3の発明の透水性コンクリート二次成形品が、歩車道境界ブロックであることを特徴とする。
【0015】
第5の発明は、第1の発明乃至第3の発明の透水性コンクリート二次成形品が、側溝用蓋であることを特徴とする。
【0016】
第6の発明は、所定長さ領域にわたって備えられる排水路と、前記排水路上を覆うようにして多数配設されるコンクリート二次成形品とで構成され、
前記コンクリート二次成形品が、前記第1の発明乃至第5の発明の透水性コンクリート二次成形品であることを特徴とする道路構造物としたことである。
【0017】
第7の発明は、集水用の開口領域を設けたコンクリート二次成形品本体を成形する第一工程と、
前記第一工程によって形成された集水用の開口領域に、流体のみを通過可能としたフィルタ部を一体成形する第二工程を少なくとも有してなることを特徴とする透水性コンクリート二次成形品の成形方法としたことである。
【0018】
第8の発明は、第7の発明において、エポキシ樹脂系の接着剤にセラミック系繊維材を混合してなるバインダと、所定の骨材とを混練してフィルタ部材料とし、
前記フィルタ部材料を前記コンクリート二次成形品本体の集水用の開口領域に流し込んで前記フィルタ部が前記集水用の開口領域に一体成形されていることを特徴とする透水性コンクリート二次成形品の成形方法としたことである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、排水路への流体の排水を可能とするコンクリート二次成形品において、泥・砂や落ち葉などの流体以外のものの排水路への流れ落ちを阻止することで排水路内の清掃手間・清掃コストを軽減させるとともに、コンクリート二次成形品そのものの強度を向上させると同時に集水機能をも向上させることが可能な集水機能を有するコンクリート二次成形品、集水機能を有するコンクリート二次成形品を多数連続して用いて構成される道路構造物、および集水機能を有するコンクリート二次成形品の成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のコンクリート二次成形品を多数連結してなる道路構造物(歩車道境界構造)の一例を部分的に示す概略平面図である。
図2図1に示す道路構造物(歩車道境界構造)の概略側面図である。
図3図1及び図2に示す道路構造物(歩車道境界構造)を構成する歩車道境界ブロック(標準部)の一例を一部省略して示す概略斜視図である。
図4図3の歩車道境界ブロック(標準部)の概略平面図である。
図5図3及び図4に示す歩車道境界ブロック(標準部)の概略縦断正面図で、集水用の開口領域にフィルタ部が一体成形されている部分を拡大して示す。
図6図3の歩車道境界ブロック(標準部)の概略部分拡大断面図である。
図7図3に示す歩車道境界ブロック(標準部)を排水路上に配設して形成されている道路構造物(歩車道境界構造)を部分的に示す概略縦断斜視図である。
図8図1及び図2に示す道路構造物(歩車道境界構造)を構成する歩車道境界ブロック(桝部)の一例を一部省略して示す概略斜視図である。
図9図1及び図2に示す道路構造物(歩車道境界構造)を構成する歩車道境界ブロック(歩道切下部)の一例を一部省略して示す概略斜視図である。
図10図1及び図2に示す道路構造物(歩車道境界構造)を構成する歩車道境界ブロック(身障者乗り入れ部)の一例を一部省略して示す概略斜視図である。
図11図1及び図2に示す道路構造物(歩車道境界構造)を構成する歩車道境界ブロック(乗り入れ部)の一例を一部省略して示す概略斜視図である。
図12図1及び図2に示す道路構造物(歩車道境界構造)を構成する歩車道境界ブロック(隅型部)の一例を一部省略して示す概略斜視図である。
図13】集水用の開口領域を大きく設けてフィルタ部領域を大きく配設した歩車道境界ブロックの一例を一部省略して示す概略縦断斜視図である。
図14】本発明のコンクリート二次成形品(暗渠型側溝)を多数連結してなる道路構造物(暗渠型排水路)の一例を部分的に示す概略縦断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る集水機能を有するコンクリート二次成形品、集水機能を有するコンクリート二次成形品を多数連続して用いて構成される道路構造物、及び集水機能を有するコンクリート二次成形品の成形方法について説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施形態に過ぎず、なんらこれに限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
図1乃至図7は本発明の第一実施形態を示し、図8乃至図14は他の実施形態を示す。
【0022】
図1は、本発明のコンクリート二次成形品である集水機能を有するコンクリート二次成形品を多数連結してなる道路構造物(歩車道境界構造)Aの一例を部分的に示す概略平面図、図2はその道路構造物(歩車道境界構造)Aの概略側面図である。なお、本実施形態では、図1において右側が車道、左側が歩道を示す。
【0023】
図1及び図2に示す本実施形態の道路構造物(歩車道境界構造)Aは、所定長さ領域にわたって配設される側溝などの所定の排水路(所定長さ領域にわたって排水機能を有する構造を全て含む)30上を覆うようにして配設されるものであり(図7参照)、例えば、図3に示す標準部タイプの歩車道境界ブロック1、図8に示す桝部タイプの歩車道境界ブロック100、図9に示す歩道切下部タイプの歩車道境界ブロック200、図10に示す身障者乗り入れ部タイプの歩車道境界ブロック300、図11に示す乗り入れ部タイプの歩車道境界ブロック400、図12に示す隅型部タイプの歩車道境界ブロック500が想定される。
【0024】
本実施形態の歩車道境界ブロック1は、集水孔(集水用の開口領域)18を設けてなるコンクリート二次成形品本体10と、前記集水孔(集水用の開口領域)18に一体成形されるフィルタ部22とで構成されている。
【0025】
コンクリート二次成形品本体10は、所定の成形型内にコンクリート材料を流し込んで、境界部分を記す突起部12と、突起部12の両側に略水平方向に突出する平坦板状のエプロン部14,14とを備えて一体成形されている(図3乃至図6及び図7)。
突起部12は、先端(上端)に行くに従って幅を小さくした先窄まり形状としている。突起部12の形状・高さなどは任意であって本発明の範囲内で設計変更可能である。
エプロン部14は、一方のエプロン部(図3乃至図5及び図7で向かって左側のエプロン部)14は車道側、他方のエプロン部(図3乃至図5及び図7で向かって右側のエプロン部)14は歩道側にそれぞれ位置するように配され、本実施形態では、いずれのエプロン部14も同一幅に形成されている。
【0026】
また、それぞれのエプロン部14は、僅かではあるが、それぞれ突起部12に向かって下り傾斜状に角度(勾配)をもって形成されている。
なお、エプロン部14の構成は特に限定解釈されるものではなく、両エプロン部14,14が異なる幅に形成されているものであってもよく、また、いずれか一方のエプロン部14のみが下り傾斜状(勾配を有する)で他方のエプロン部14は平坦状であってもよく、あるいは双方共に平坦状に形成されているものであってもよい。
また、エプロン部14は、歩道側と車道側のいずれか一方のみに設けられているものであってもよい。
【0027】
エプロン部14と突起部12との境目領域には、本体の長さ方向(図にて矢印L1で示す方向)にわたって連続して凹設された集水溝部16と、集水溝部16の所定位置に本体裏面へと連通する集水孔(集水用の開口領域)18が一体成形されている。
【0028】
集水溝部16は、エプロン部14から所定深さをもって凹設されており、エプロン部14の端縁14aから角度をもって傾斜する内壁面16aは、対向するもう一方の内壁面を構成する突起部12の側壁面12aの傾斜と異にしている(図5(b)参照)。
【0029】
集水孔(集水用の開口領域)18は、コンクリート二次成形品本体10の型成形時に併せて一個乃至複数個が仕様に応じて選択して一体成形される。
集水孔(集水用の開口領域)18は、集水溝部16の内底面16bからコンクリート二次成形品本体10の底面10aにわたって貫通して設けられている(図3乃至図6参照)。
【0030】
本実施形態の集水孔(集水用の開口領域)18は、集水溝部16の内底面16aからコンクリート二次成形品本体10の底面10aに向けて徐々に拡開する裾広がり状に形成されている。すなわち、集水溝部16の内底面16a側の開口(入水側開口)に比して、コンクリート二次成形品本体10の底面10aの開口(出水側開口)を大きく形成している(図5及び図7参照。)。
また、集水孔(集水用の開口領域)18は、本実施形態では、溝方向に長尺の平面視で矩形状に形成されているが、この形状に限定解釈されるものではなく、平面視で円形状・三角形状など本発明の範囲内で設計変更可能である。
また、本実施形態では、集水溝部16の内底面16a側の開口(入水側開口)は、内壁面12a,16aとの間にそれぞれ所定の平坦面16b,16bを残して形成されている。
【0031】
本実施形態では、両側のエプロン部14の遊端側上端縁に、本体の長さ方向に連続して凹設された係合溝20が一体成形されている。
この係合溝20は、舗装路の敷設時に舗装路と強固かつ緊密に係合し得るために設けられている。また、この係合溝20は、舗装路の敷設完了までの間に溝内に溜まった泥・砂などを掃き出しやすいように、端部領域に掃き出し用の切り欠き溝20aが型成形時において一体成形されている(図3乃至図7参照。)。
【0032】
フィルタ部22は、雨水や汚水などの流体のみを通過可能な所定の構成、すなわち、透水機能(透水性)を有する所定の構成からなるものが本発明の範囲内で採用可能である(図3乃至図7参照。)。
【0033】
本実施形態におけるフィルタ部22の一例を説明する。
例えば、まず、エポキシ樹脂系の所定の合成樹脂からなる接着剤にセラミック系などの所定の繊維材を充填して混合してなるバインダを構成し、そのように構成された所定のバインダを、細かく砕いた砕石や細かい自然石などの所定の骨材と共に混練してフィルタ部材料を生成する。
【0034】
そして、前記コンクリート二次成形品本体10を所定の型内に収め、このフィルタ部材料を、前記コンクリート二次成形品本体10に一体成形されている集水孔(集水用の開口領域)18に流し込んで一体成形することによりフィルタ部22が形成される。また、上述の通り、コンクリート二次成形品本体10を所定の型内に収める工程を採用せずに、集水溝部16の内底面16a側の開口(入水側開口)と、コンクリート二次成形品本体10の底面10aの開口(出水側開口)のいずれか一方を所定の閉鎖部材を用いて密閉し、開放しているいずれか他方の開口からフィルタ部材料を流し込んで一体成形する工程を採用することも可能である。
なお、フィルタ部材料は、例えば、集水孔(集水用の開口領域)18に流し込んだ後に敷き均しを行ない、その後、加重振動を与える。このように加重振動を与えることにより、バインダ中に含まれるセラミック系繊維が横方向に手をつないだ状態に配列されるため強度が増す。
【0035】
上記バインダの具体的な一例としては、限定解釈されることはないが、例えば、ファイン化成株式会社製の繊維化合成樹脂(商品名:ファインファイバー)などをあげる事が可能である。
なお、本実施形態では、エポキシ樹脂系の所定の合成樹脂からなる接着剤にセラミック系などの繊維材を充填して混合してなるバインダを一例として説明しているが、本発明に用いられるバインダは、本実施形態に限定解釈されるものではなく、例えば、アクリル樹脂系・ウレタン樹脂系などの所定の合成樹脂からなる接着剤に、セラミック繊維系・ガラス繊維系などの所定の繊維材を充填して混合してなるバインダなどの他の周知のバインダが本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0036】
骨材は、コンクリートと同等の膨張率を有するものを採用するのが好ましい。
このようにコンクリートと同等の膨張率を有する砂利・砕石・自然石あるいはコンクリート廃材などを用いてコンクリート二次成形品本体10と一体成形することによって、集水用の開口領域を有してなるコンクリート二次成形品そのものの強度を向上させることが可能となる。
砕石や自然石は特に限定解釈されるものではなく、粒径や石形状などは本発明の範囲内で任意である。
【0037】
本実施形態では、工場生産段階で、コンクリート二次成形品本体10に形成された集水孔(集水用の開口領域)18にフィルタ部22を一体成形し、フィルタ部22を一体成形してなるコンクリート二次成形品(歩車道境界ブロック)を施行現場にて排水路上に設置する形態を採用しているが、フィルタ部22を備えていないコンクリート二次成形品本体を、施行現場にて集水孔(集水用の開口領域)18にフィルタ部22を一体成形する形態を採用することも可能で本発明の範囲内である。
【0038】
また、本発明を構成するフィルタ部材料としては、上述した構成に限定されることなく、種々の構成が本発明の範囲内で採用可能である。例えば、所定の繊維化合成樹脂を用いた株式会社大成イーアンドエル製の「透水パークストーン(登録商標)」などを採用することも可能で本発明の範囲内である。
また、例えば、アクリル系・ウレタン系などの合成樹脂剤にセラミックファイバ・ガラスファイバ・カーボンファイバなどを充填して混合してなるバインダを構成し、そのように構成された所定のバインダを、粉砕陶磁器・リサイクル砕石・などの骨材と共に混練してフィルタ部材料を生成することも可能である。
【0039】
図8乃至図12は、図3乃至図7に示す第一実施形態の歩車道境界ブロックと共に、図1及び図2の道路構造物(歩車道境界構造)Aを構成する他の形態の歩車道境界ブロックに本発明を適用した実施の形態を示す。
すなわち、それぞれのブロックには、所定箇所に集水孔(集水用の開口領域)18を設けるとともに、その集水孔(集水用の開口領域)18にフィルタ部22を一体成形している。
フィルタ部22などの構成は前記実施の形態と同様であるため説明は省略する。
【0040】
図8は、桝部タイプの歩車道境界ブロック100で、第一実施形態の標準部タイプの歩車道境界ブロックと同様の外観形態を有しているが、突起部12の略中央の領域を所定範囲で貫通して開口部(図示省略)を形成し、この開口部の領域を覆うようにして突起部12と同様形態のカバー101を着脱可能に備えて構成されている。そして、このカバー101を取り外すことにより排水路(側溝)内を確認し得るものである。本実施形態では、図1及び図2に示す所定位置に配設している。
本実施形態の桝部タイプの歩車道境界ブロック100にあっては、前記実施形態に示す標準部タイプの歩車道境界ブロックと同様に集水溝部16を設け、この集水溝部16に所定間隔をあけて複数個の集水孔(集水用の開口領域)18を形成し、これら集水孔(集水用の開口領域)18にフィルタ部材料を流し込んでフィルタ部22を一体成形している。
その他の構成・作用効果は前記第一実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0041】
図9は、歩道切下部タイプの歩車道境界ブロック200で、第一実施形態の標準部タイプの歩車道境界ブロックの突起部12を極端に短く(低く)形成している点において形態を異にしているのみでその他の形態は略同一である。
本実施形態の歩道切下部タイプの歩車道境界ブロック200にあっては、前記実施形態に示す標準部タイプの歩車道境界ブロック1と同様に集水溝部16を設け、この集水溝部16に所定間隔をあけて複数個の集水孔(集水用の開口領域)18を形成し、これら集水孔(集水用の開口領域)18にフィルタ部材料を流し込んでフィルタ部22を一体成形している。
本実施形態では、図1及び図2に示す所定位置に配設されている。
その他の構成・作用効果は前記第一実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0042】
図10は、身障者乗り入れ部タイプの歩車道境界ブロック300で、第一実施形態の標準部タイプの歩車道境界ブロック1の突起部12を極端に短く(低く)形成し、かつ短く形成した突起部12の略中央の領域を切除するとともに、車道側から歩道側に向けて所定の昇り傾斜状(勾配を有する)に形成した車椅子の車輪が通過可能な通路301が形成されている点において形態を異にしているのみでその他の形態は略同一である。また、本実施形態では、車道側にのみ集水溝部16とフィルタ部22を備えている形態を採用しているが、第一実施形態と同様に歩道側にも集水溝部16とフィルタ部22を備えるものとすることも可能である。
なお、前記切除して形成された通路の端縁面303は、車椅子の車輪が引っ掛かり難いようにR状に面取り加工されている。
本実施形態の身障者乗り入れ部タイプの歩車道境界ブロック300にあっては、前記実施形態に示す標準部タイプの歩車道境界ブロック1と同様に集水溝部16を設け、この集水溝部16に所定間隔をあけて複数個の集水孔(集水用の開口領域)18を形成し、これら集水孔(集水用の開口領域)18にフィルタ部材料を流し込んでフィルタ部22を一体成形している。
本実施形態では、図1及び図2に示す所定位置に配設されている。
その他の構成・作用効果は前記第一実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0043】
図11は、乗り入れ部タイプの歩車道境界ブロック400で、第一実施形態の標準部タイプの歩車道境界ブロック1の突起部12を極端に短く(低く)形成するとともに、短く形成した突起部12が、車道側から歩道側に向けて所定の昇り傾斜状(勾配を有する)に形成されている点において形態を異にしているのみでその他の形態は略同一である。
本実施形態の乗り入れ部タイプの歩車道境界ブロック400にあっては、前記実施形態に示す標準部タイプの歩車道境界ブロック1と同様に集水溝部16を設け、この集水溝部16に所定間隔をあけて複数個の集水孔(集水用の開口領域)18を形成し、これら集水孔(集水用の開口領域)18にフィルタ部材料を流し込んでフィルタ部22を一体成形している。
また、本実施形態では、車道側にのみ集水溝部16とフィルタ部22を備えている形態を採用しているが、第一実施形態と同様に歩道側にも集水溝部16とフィルタ部22を備えるものとすることも可能である。
本実施形態では、図1及び図2に示す所定位置に配設されている。
その他の構成・作用効果は前記第一実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0044】
図12は、隅型部タイプの歩車道境界ブロック500で、第一実施形態の標準部タイプの歩車道境界ブロック1の突起部12の長さ方向の一端12aを、R状に面取りして形成されている点において形態を異にしているのみでその他の形態は略同一である。
本実施形態の隅型部タイプの歩車道境界ブロック500にあっては、前記実施形態に示す標準部タイプの歩車道境界ブロック1と同様に集水溝部16を設け、この集水溝部16に所定間隔をあけて複数個の集水孔(集水用の開口領域)18を形成し、これら集水孔(集水用の開口領域)18にフィルタ部材料を流し込んでフィルタ部22を一体成形している。
本実施形態では、図1及び図2に示す所定位置に配設されている。
その他の構成・作用効果は前記第一実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0045】
従って、このようにフィルタ部22を一体成形して構成されたそれぞれの歩車道境界ブロック1、100、200、300、400、500を、施行現場において所定長さで設けた排水路(側溝など)上に多数配設することにより、図1及び図2のように道路の長さ方向に連続した道路構造物(歩車道境界構造)Aが形成される。
本実施形態によれば、上記説明したとおり、フィルタ部22を一体成形した歩車道境界ブロック1(100,200,300,400,500)を配設するため、道路(車道・歩道)上に流れる雨水などは、突起部12の基端側に設けられている集水溝部16に一旦集まり、集水溝部16内を所定の傾斜方向へと流れる。そして、流れてきた雨水は、透水性を有するフィルタ部22から排水路内へと流れ落ちていく。このとき、フィルタ部22が雨水(流体)しか通さないため、排水路内には雨水のみが流れ落ちることとなり、排水路内に砂や泥、あるいは落ち葉やゴミなどが溜まって排水機能を落とすような不具合も減少する。また、フィルタ部22上に残った泥や落ち葉などは、集水溝部16に沿って所定の掻き出し掃除具などを使用して取り除くだけでよい。
【0046】
図13は本発明のその他の実施の一形態を示す。
【0047】
図13は、集水孔(集水用の開口領域)18を大きく設けてフィルタ部22領域を大きく配設した歩車道境界ブロック600の一例を一部省略して示す概略縦断斜視図である。なお、集水孔(集水用の開口領域)18を大きく設けてフィルタ部22領域を大きく配設した以外は前記第一実施形態に示す各形態の構成と同様の構成を有しており、その説明は省略する。集水溝部16を設けることも可能である。
【0048】
本実施形態では、上記した各実施形態の集水孔(集水用の開口領域)18と比して極端に大きく集水孔(集水用の開口領域)18を設け、前記集水孔(集水用の開口領域)18に一体成形されるフィルタ部22を大きく形成することとした実施の一形態である。なお、歩車道境界ブロック600の全体形態は特に限定されず周知の形態が採用されている。
【0049】
本実施形態における集水孔(集水用の開口領域)18は、エプロン部(平面部)14と突起部12の側壁面(立ち上がり面部)12aとにわたって連続して断面視で略L字形状に大きく形成されている。すなわち、入水側開口も出水側開口も前記各実施形態と比して極端に大きく形成している。
フィルタ部22は、この大きく形成した集水孔(集水用の開口領域)18一杯にフィルタ部材料を流し込んで一体成形されている。
フィルタ部22の構成などは前記した実施形態と同じであるためその説明は省略する。
本実施形態では、いわゆる標準部タイプの歩車道境界ブロックを一例として採用しているが、図8乃至図12に示す各タイプの歩車道境界ブロックにも利用可能である。
【0050】
また、集水孔(集水用の開口領域)18をエプロン部14の上下面にわたって貫通するように構成し、その集水孔(集水用の開口領域)18にフィルタ部22を一体成形するものであったり、集水孔(集水用の開口領域)18を突起部12の側壁面12aから、突起部12の内部を通って底面まで貫通するように構成し、その集水孔(集水用の開口領域)18にフィルタ部22を一体成形するものであったりしてもよく任意である。
【0051】
本実施形態によれば、透水性を有するフィルタ部22領域を大きく取ることができ、大きくとった場合であってもフィルタ部22はコンクリート二次成形品本体10と一体成形されるものであるため、強度面の低下を招くこともない。
よって、大量の雨水や汚水が発生したとしてもそれらの大量の雨水などをスムーズに排水路(側溝)内へと流し落とすことが可能となるため、予定降雨量を超えたような場合であっても道路上に雨水などが溜まったりする虞もなくなり、かつ冠水するような虞も減少する。
【0052】
図14は本発明のその他の実施の一形態を示す。
【0053】
図14は、本発明のコンクリート二次成形品(暗渠型側溝)700を多数連結してなる道路構造物(暗渠型排水路)Aの一例を部分的に示す概略縦断斜視図である。
本実施形態では、コンクリート二次成形品として、排水路702を備えた暗渠型の側溝を採用しており、その外面(外部に露出する表面)701に集水孔(集水用の開口領域)18を複数個設けており、これら集水孔(集水用の開口領域)18にフィルタ部22を一体成形して構成されている。
【0054】
本実施形態における集水孔(集水用の開口領域)18は、外面701から内面に向けて貫通して形成されており、この集水孔(集水用の開口領域)18にフィルタ部材料を所定量流し込んでフィルタ部22を一体成形するものとしている。
また、本実施形態の集水孔(集水用の開口領域)18は、入水側開口から出水側開口まで同一の大きさをもって形成されているが、前記実施形態と同様に入水側開口から出水側開口に向けて裾広がり状に拡開形成してなるものであってもよく任意である。
本実施形態によれば、このように構成された暗渠型側溝700上を歩行しているときであっても集水孔(集水用の開口領域)18はフィルタ部22によって平面でフラット状に構成されているため、歩行者の靴のヒールなどが挟まったりする虞もなくなる。
フィルタ部22、その他の構成などは前記した各実施の形態と同じであるためその説明は省略する。
本実施形態では、図示した暗渠型側溝700を一例として採用しているが、その他の形態を有する暗渠型の側溝図にも利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、集水孔(集水用の開口領域)を設けてなるコンクリート二次成形品であれば、歩車道境界ブロック、暗渠型側溝以外のコンクリート二次成形品、例えば側溝用蓋など、集水用の開口領域を備えることが可能な全てのコンクリート二次成形品に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 透水性コンクリート二次成形品
10 コンクリート二次成形品本体
18 集水用の開口領域
22 フィルタ部
30 排水路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14