【解決手段】弁本体1の流路2に形成された弁座3に対して、回転が規制された状態で前後方向に移動する棒状の弁体4が接離し、弁体4の後端部から前方に形成された挿通孔4a内に嵌合スリーブ11が固定される。弁体4の挿通孔4a内に弁棒5が挿通され、弁棒5の外周部に形成された左ねじの二条ねじである移動用おねじ部と、嵌合スリーブ11に形成された左ねじの二条ねじである移動用めねじ部11bとがねじ結合する。ヨーク7の後端部に固定された支持部材8に支持スリーブ16が回転可能に支持される。支持スリーブ16に形成された右ねじの一条ねじである締結用めねじ部16aと、弁棒5の後端部に形成された右ねじの一条ねじである締結用おねじ部5cとがねじ結合する。
流路を有する弁本体と、その流路に形成された弁座と、回転が規制された状態で前後方向に移動して前記弁座に接離する弁体と、前記弁本体に連結される弁棒と、前記弁棒に取り付けられる操作部材と、前記弁本体に固定されるヨークと、前記弁棒を支持する支持スリーブを有し、前記ヨークに固定される支持部材とを備え、
前記弁体は、後端部から前方に向かって形成された挿通穴と、その挿通穴に嵌め合わされた嵌合スリーブとを有し、前記嵌合スリーブは、内周部に移動用めねじ部を有し、前記支持スリーブは、内周部に締結用めねじ部を有し、前記弁棒は、外周部に形成され、前記弁体の挿通穴に挿通された状態で前記嵌合スリーブにねじ結合する移動用おねじ部と、内周部に形成され、前記支持スリーブにねじ結合する締結用おねじ部とを有し、前記操作部材により回転するものであり、前記移動用めねじ部及び前記移動用おねじ部は、前記締結用めねじ部及び前記締結用おねじ部に対して条数が多く、逆ねじ方向の多条ねじであるバルブ装置。
前記支持スリーブが前記支持部材に対して回転可能に支持され、前記操作部材は、前記弁棒に対して前記支持スリーブを介して取り付けられた状態とした請求項1に記載されたバルブ装置。
前記弁棒が前記移動用おねじ部と締結用おねじ部との間に径方向外向きに突出するストッパを有し、前記ストッパは前記支持部材に対して突き当たる状態で、前記弁棒の軸方向後方への移動を規制するようにした請求項2に記載されたバルブ装置。
流路を有する弁本体と、その流路に形成された弁座と、回転が規制された状態で前後方向に移動して前記弁座に接離する弁体と、前記弁本体に連結される弁棒と、その弁棒に取り付けられる操作部材と、前記弁本体に固定されるヨークと、前記弁棒を支持する支持スリーブを有し、前記ヨークに固定される支持部材とを備え、
前記支持スリーブは、その内周部に嵌り合う嵌合スリーブを有しており、前記操作部材が前記嵌合スリーブを介して前記弁棒に取り付けられた状態となっており、前記弁棒は、外周部に移動用おねじ部を有し、前記支持スリーブは、内周部に締結用めねじ部を有し、前記嵌合スリーブは、内周部に形成され、前記移動用おねじ部にねじ結合する移動用めねじ部と、外周部に形成され、前記締結用めねじ部にねじ結合する締結用おねじ部とを有し、前記操作部材により回転するものであり、前記移動用めねじ部及び前記移動用おねじ部は、前記締結用めねじ部及び前記締結用おねじ部に対して条数が多く、逆ねじ方向の多条ねじであるバルブ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたバルブ装置、及び上述したエア式、電動式のバルブ装置は、流路内の流体の圧力により弁体に対して弁座から離れる方向(開弁方向)への力が作用することがある。このため、通常、閉弁状態を維持する目的で、弁棒とヨークブッシュのねじ結合は、締結力を確保することができる一条ねじのねじ結合となっている。
【0007】
一条ねじはリードがピッチに等しいため、弁の開閉の際、弁体の移動距離が長い場合、特許文献1に記載されたバルブ装置は、ハンドルの回転数が多くなり、また、締結力(ねじ部での摩擦抵抗)に抗してハンドルを回転させる必要があるので、ハンドルの回転に手間と時間がかかるという問題があった。
【0008】
また、エア式のバルブ装置では、弁棒の回転数が多くなると、弁棒を回転駆動するエアモータのエア消費量が多くなるという問題がある。電動式のバルブ装置では、電動モータの定格時間内に弁棒を回転駆動して弁体を軸方向に移動させる必要があり、弁棒の回転数が多くなると、出力の大きい電動モータを選択する必要があるという問題があった。
【0009】
そこで、この発明の課題としては、弁の開閉操作を容易に行い得るバルブ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明は、流路を有する弁本体と、その流路に形成された弁座と、回転が規制された状態で前後方向に移動して前記弁座に接離する弁体と、前記弁本体に連結される弁棒と、前記弁棒に取り付けられる操作部材と、前記弁本体に固定されるヨークと、前記弁棒を支持する支持スリーブを有し、前記ヨークに固定される支持部材とを備え、前記弁体は、後端部から前方に向かって形成された挿通穴と、その挿通穴に嵌め合わされた嵌合スリーブとを有し、前記嵌合スリーブは、内周部に移動用めねじ部を有し、前記支持スリーブは、内周部に締結用めねじ部を有し、前記弁棒は、外周部に形成され、前記弁体の挿通穴に挿通された状態で前記嵌合スリーブにねじ結合する移動用おねじ部と、内周部に形成され、前記支持スリーブにねじ結合する締結用おねじ部とを有し、前記操作部材により回転するものであり、前記移動用めねじ部及び前記移動用おねじ部は、前記締結用めねじ部及び前記締結用おねじ部に対して条数が多く、逆ねじ方向の多条ねじである構成を採用することができる。
【0011】
この構成によると、弁棒の移動用おねじ部と嵌合スリーブの移動用めねじ部とは多条ねじのねじ結合である。このため、一条ねじのねじ結合の場合と比較して、一条ねじによるねじ結合よりも締結力が小さくなり、操作部材により回転する弁棒の一回転当たりの前後方向の移動距離(リード)が大きくなる。
【0012】
また、閉弁状態において、流路内の流体の圧力により、弁体に対して弁座から離れる方向(開弁方向)への力が作用することがある。このとき、上述のように弁棒は支持スリーブに対してねじ結合により締結されているので、閉弁状態を維持することができる。
【0013】
また、前記支持スリーブが前記支持部材に対して回転可能に支持され、前記操作部材は、前記弁棒に対して前記支持スリーブを介して取り付けられた状態とした構成を採用することができる。
【0014】
この構成によると、操作部材が支持スリーブに取り付けられているので、操作部材により弁棒が回転して前後方向に移動しても、操作部材の位置は支持スリーブに対して前後方向に移動しない。
【0015】
前記構成において、前記弁棒が前記移動用おねじ部と締結用おねじ部との間に径方向外向きに突出するストッパを有し、前記ストッパは前記支持部材に対して突き当たる状態で、前記弁棒の軸方向後方への移動を規制するようにした構成を採用することができる。
【0016】
この構成によると、操作部材により弁棒を開弁方向に回転させた際、弁棒のストッパを支持部材に対して突き当て、弁棒の軸方向後方への必要以上の移動を規制することができる。
【0017】
上記の課題を解決するために、この発明は、流路を有する弁本体と、その流路に形成された弁座と、回転が規制された状態で前後方向に移動して前記弁座に接離する弁体と、前記弁本体に連結される弁棒と、その弁棒に取り付けられる操作部材と、前記弁本体に固定されるヨークと、前記弁棒を支持する支持スリーブを有し、前記ヨークに固定される支持部材とを備え、前記支持スリーブは、その内周部に嵌り合う嵌合スリーブを有しており、前記操作部材が前記嵌合スリーブを介して前記弁棒に取り付けられた状態となっており、前記弁棒は、外周部に移動用おねじ部を有し、前記支持スリーブは、内周部に締結用めねじ部を有し、前記嵌合スリーブは、内周部に形成され、前記移動用おねじ部にねじ結合する移動用めねじ部と、外周部に形成され、前記締結用めねじ部にねじ結合する締結用おねじ部とを有し、前記操作部材により回転するものであり、前記移動用めねじ部及び前記移動用おねじ部は、前記締結用めねじ部及び前記締結用おねじ部に対して条数が多く、逆ねじ方向の多条ねじである構成を採用することができる。
【0018】
この構成では、弁棒の移動用おねじ部と嵌合スリーブの移動用めねじ部との多条ねじのねじ結合である。このため、一条ねじのねじ結合の場合と比較して、一条ねじによるねじ結合よりも締結力が小さくなり、操作部材により回転する嵌合スリーブの一回転当たりの弁棒の前後方向の移動距離(リード)が大きくなる。
【発明の効果】
【0019】
この発明は、弁棒の移動用おねじ部と嵌合スリーブの移動用めねじ部とは多条ねじのねじ結合であるため、一条ねじによるねじ結合よりも締結力が小さく、かつ操作部材により回転する弁棒、または嵌合スリーブの一回転当たりの弁棒の前後方向の移動距離が大きくなるので、弁の開閉操作を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の第一実施形態に係るバルブ装置を
図1〜
図3に基づいて説明する。
この実施形態に係るバルブ装置は、樹脂ポリマなどの高粘度の流体、塊を含む粉状、液状流体を移送する配管途中に設けられるものである。
【0022】
バルブ装置は、
図1、2に示すように、流体が流通する流路2を有する弁本体1と、弁本体1の流路2に形成された弁座3と、弁座3に対して前後方向に移動して接離する弁体4と、弁体4に連結され、後端部が弁本体1から突出した弁棒5と、弁棒5の後端部に取り付けられる操作部材としてのハンドル6と、弁本体1の後端部側に固定されたヨーク7と、弁棒5を支持する支持スリーブ16を有し、ヨーク7の後端部に固定される支持部材8とを備える。
【0023】
ここで、前後方向(前後)とは、弁体4が弁座3に向かって移動する向きを前方とし、弁座3から離れて移動する向きを後方としたときの前後方向(前後)を意味する。
【0024】
弁本体1は、
図1に示すように、筒状に形成され、その前端部に同軸状に接続されるシート筒1aと、長さ方向途中位置において分岐する分岐部1bとを有する。弁本体1は、シート筒1aの内部を経て分岐部1b内に至る入口側流路2aと、入口側流路2aに連通し、分岐部1b内に形成された出口側流路2bとからなる流路2を有している。
【0025】
また、弁本体1は、入口側流路2aの中心線と弁体4の中心軸とが一直線上にあって、弁体4の中心軸と出口側流路2bの中心線とが鋭角となっており、後端部の外周部に径方向外向きのフランジ1cが形成されている。
【0026】
シート筒1aは、内面が円筒面であって、前端部の内部に弁座3が形成され、弁本体1の前端部に対してガスケットを介して接続されている。シート筒1aの内面と弁本体1の前端部の内面とは、連続する同径の円筒面を形成する。弁本体1の内部には、弁座3に対して接離する円柱状の弁体4が前後方向に摺動可能に配置されている。
【0027】
また、弁本体1は、その内部において出口側流路2bよりも後方側に大径部1dが形成される。大径部1d内に弁体4を案内するガイド筒9が嵌め合わされている。ガイド筒9内を弁体4が前後方向に摺動する。
【0028】
ガイド筒9の内周部と外周部とにはそれぞれパッキン9a、9bが嵌められており、内周部側のパッキン9aが弁体4に接触し、外周側のパッキン9bが弁本体1の大径部1dに接触して液密性を確保している。
【0029】
ガイド筒9は、弁本体1の後方側端部において、環状体9cを介して、押さえ輪10により、前方に押し付けられている。押さえ輪10は、弁本体1のフランジ1cに対して既存の締結具により固定されている。
【0030】
弁体4は、棒状をなし、後端面の中央に前方に向かって形成された挿通穴4aと、前端部の形成されたシート4bとを有する。挿通穴4aは、弁棒5が挿通可能な内径を有し、後端部の内周部に嵌合スリーブ11がねじ結合により固定されている。
【0031】
弁体4の後端部側の外周部にロックリング12がボルト13により固定されている。ボルト13は、ロックリング12の周方向一箇所に径方向にねじ結合され、ヨーク7に形成された長孔7cから径方向外向きへ突き出した状態となっている。
【0032】
ボルト13は、先端部が弁体4の外周部を押し付けることにより、ロックリング12を弁体4に対して回転不能に固定している。弁体4に回転力が作用した場合、ボルト13がヨーク7の長孔7cの周縁部に係止し、弁体4は回転が規制された状態となる。
【0033】
嵌合スリーブ11は、円筒状をなし、後端部に径方向外向きのフランジ11aを有し、フランジ11aが弁体4の後端部に接触する状態に挿通穴4a内にねじ結合される。また、嵌合スリーブ11は、内周部に左ねじの二条ねじとなる移動用めねじ部11bが形成される。
【0034】
弁棒5は、断面円形の軸体であって、長さ方向の後端部寄りに径方向外向きに突き出すストッパ5aを有する。弁棒5は、ストッパ5aよりも前方の外周部に、嵌合スリーブ11の移動用めねじ部11bにねじ結合する左ねじの二条ねじとなる移動用おねじ部5bが形成される。また、弁棒5は、ストッパ5aよりも後方の外周部に右ねじの一条ねじとなる締結用おねじ部5cが形成されている。
【0035】
ヨーク7は、円筒状をなし、その前端部に形成された径方向外向きのフランジ7aと、前端縁の周方向二箇所に形成される切り欠き窓7b、7bと、一方の切り欠き窓7bの後端縁から連続して後方へ延びる長孔7cとを有する。
【0036】
ヨーク7は、フランジ7aと弁本体1のフランジ1cとを突き当てた状態で既存の締結具により、弁本体1のフランジ1cに対して後端側に固定される。
【0037】
支持部材8は、ヨーク7の後端部の内周部に嵌合固定される筒状の基部14と、基部14の内周部に取り付けられる軸受15と、軸受15により回転可能に支持される支持スリーブ16とを備える。
【0038】
基部14は、前端部が閉塞し、後端部が開口する筒状であって、閉塞する前端部の中央に貫通孔14aが形成されている。貫通孔14aは、弁棒5の外径よりも大きく、弁棒5のストッパ5aの外径よりも小さい内径を有する。
【0039】
軸受15は、基部14の内周部の前後方向二箇所に配置されている。支持スリーブ16は、基部14に挿通され、外周部に嵌められた軸受15、15により回転可能に支持されている。
【0040】
また、支持スリーブ16は、基部14の開口する後端部を閉塞する環状のカバー17を貫通し、基部14から後端部が突出した状態となり、その突出部分にボス部18を介してハンドル6が固定される。支持スリーブ16の外径は、基部14の貫通孔14aの内径よりも大きく形成されている。
【0041】
支持スリーブ16の内周部には、弁棒5の締結用おねじ部5cとねじ結合する右ねじの一条ねじとなる締結用めねじ部16aが形成され、弁棒5の締結用おねじ部5cがねじ結合した状態となっている。支持スリーブ16は、弁棒5の後端部に締め付けられたナット19により、位置決めされている。
【0042】
なお、嵌合スリーブ11の移動用めねじ部11b及び弁棒5の移動用おねじ部5bは、左ねじの二条ねじであるが、三条ねじ、四条ねじであってもよい。要は、支持スリーブ16の締結用めねじ部16a及び弁棒5の締結用おねじ部に対して、条数が多く、逆ねじ方向の多条ねじであればよい。
【0043】
また、この実施形態では、操作部材としてハンドル6を採用したものであって、手でハンドル6を回転させる手動式であるが、エアーモータまたは電動モータによりハンドルを回転させるエアー式、電動式を採用することができる。
【0044】
例えば、エアー式の場合、
図4に示すように、操作部材としての支持スリーブ16のボス部18に固定したギア18aと、ギア18aに噛み合うピニオン18bと、ピニオン18bを回転させるエアモータ20とを備える。
【0045】
エアー式の場合、ハンドル6は、支持スリーブ16を後方に延長して、その後端部に取り付け、手動でハンドル6を回転可能とする。また、ハンドル6を支持スリーブ16に取り付けずに上記操作部材のみを取り付け、エアモータ20により支持スリーブ16を回転させてもよい。
【0046】
このエアー式の場合、上述したエアー式のものと比較して、支持スリーブ16の一回転当たりの弁棒5の前後方向の移動距離が大きくなる。すなわち、弁棒5の移動距離が同じであれば、支持スリーブ16の回転数が小さくなり、支持スリーブ16を回転駆動するエアモータのエア消費量を抑制することができる。
【0047】
また、操作部材を構成するエアモータ20の代わりに電動モータを備えたものとした電動式としてもよい。この電動式の場合、上述した電動式のものと比較して、支持スリーブ16の一回転当たりの弁棒5の前後方向の移動距離が大きくなる。このため、弁体4の移動速度が速くなることから、弁の開閉時間が短縮され、出力の大きい電動モータを選択する必要がない。
【0048】
この実施形態のバルブ装置は、上記のように構成され、ハンドル6に正対した状態で、ハンドル6を開弁方向(左回り)に回転させると、軸受15により回転可能に支持される支持スリーブ16が回転する。
【0049】
支持スリーブ16は、その締結用めねじ部と弁棒5の締結用おねじ部5cとのねじ結合により締結している。このため、支持スリーブ16に対して弁棒5が左回りに一体回転する。
【0050】
ここで、弁体4は、ボルト13がヨーク7の長孔7cの周縁部に係止し、その回転が規制された状態となっている。回転が規制された状態の弁体4に対して、弁棒5が左回りに回転すると、その移動用おねじ部5bと嵌合スリーブ11の移動用めねじ部11bとの左ねじのねじ結合により、弁体4が弁棒5に対して後方に移動する。
【0051】
続いて、ハンドル6を左回りに回転させて、支持スリーブ16を介して弁棒5を回転させると、弁体4が弁本体1の分岐部1bよりも後方に移動し、開弁状態となる(
図2参照)。
【0052】
この開弁状態では、弁棒5のストッパ5aが弁体4の嵌合スリーブ11が突き当たり、弁体4の後方への移動が規制される。さらに、ハンドル6と左回りに回転させると、弁棒5の締結用おねじ部5cと、支持スリーブ16の締結用めねじ部16aとの右ねじのねじ結合により、弁棒5と支持スリーブ16が締結される。
【0053】
上記開弁状態において、ハンドル6を閉弁方向(右回り)に回転させると、左回りに回転させた場合と同様に、支持スリーブ16に対してねじ結合する弁棒5が右回りに一体回転する。
【0054】
回転が規制された弁体4に対して、弁棒5が右回りに回転すると、その移動用おねじ部5bと嵌合スリーブ11の移動用めねじ部11bとの左ねじのねじ結合により、弁体4が弁棒5に対して前方に移動する。
【0055】
続いて、ハンドル6を右回りに回転させて、支持スリーブ16を介して弁棒5を回転させると、弁体4が弁座3に接触して閉弁状態となる(
図1参照)。この閉弁状態において、さらに、ハンドル6を右回りに回転させると、弁棒5が後方に移動して、ストッパ5aが支持部材8の前端面に突き当たる(
図3参照)。
【0056】
ストッパ5aが突き当たる状態で、ハンドル6を右回りに回転させると、弁棒5の締結用おねじ部5cと、支持スリーブ16の締結用めねじ部16aとの右ねじのねじ結合により、弁棒5と支持スリーブ16が締結される。
【0057】
このように弁操作されるバルブ装置は、弁棒5の移動用おねじ部5bと嵌合スリーブ11の移動用めねじ部11bとは、二条ねじのねじ結合であるので、一条ねじによるねじ結合よりも締結力が小さくなり、かつリードが大きくなる。
【0058】
このため、ハンドル6を軽い力で回転させることができ、ハンドル6の一回転当たりの弁体4の前後方向の移動距離が大きくなることから、弁の開閉操作を容易に行うことができる。
【0059】
また、ハンドル6が支持スリーブ16に取り付けられているので、ハンドル6の回転により弁棒5が前後方向に移動しても、ハンドル6の位置は支持スリーブ16に対して前後方向に移動しない。
【0060】
次に、この発明に係る第二実施形態のバルブ装置を
図5、6に基づいて説明する。この実施形態は、支持部材8において、支持スリーブ16が基部14に対して回転不能に取り付けられている点、弁棒5の後端部に操作部材としてのハンドル6が取り付けられている点、及び弁棒5がストッパ5aを有していない点で、上述した第一実施形態の構造体と相違する。その他の構造は、第一実施形態と同じと考えられ、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0061】
この実施形態のバルブ装置は、支持スリーブ16が支持部材8の基部14の後端部側の内周部に固定され、弁棒5の後端部が基部14の貫通孔14aに貫通している。弁棒5の締結用おねじ部5cが、支持スリーブ16の締結用めねじ部16aにねじ結合している。
【0062】
この実施形態のハンドル6を開弁方向(左回り)に回転させると、弁棒5が一体回転する。上述した第一実施形態の場合と同様、回転が規制された弁体4に対して、弁棒5が左回りに回転すると、弁体4が弁棒5に対して後方に移動する。
【0063】
続いて、ハンドル6を左回りに回転させて、弁棒5を回転させると、開弁状態となり、
図5に示すように、弁体4の嵌合スリーブ11が支持部材8に基部14の前端面に突き当たり、弁体4の後方への移動が規制される。
【0064】
さらに、ハンドル6と左回りに回転させると、弁棒5の締結用おねじ部5cと、支持スリーブ16の締結用めねじ部16aとの右ねじのねじ結合により、弁棒5と支持スリーブ16が締結される。
【0065】
上記開弁状態において、ハンドル6を閉弁方向(右回り)に回転させると、弁棒5が右回りに一体回転する。弁棒5が同方向に回転することで、回転が規制された弁体4が弁棒5に対して前方に移動し、弁体4が弁座3に接触して閉弁状態となる。
【0066】
この閉弁状態において、さらに、ハンドル6を右回りに回転させると、弁棒5の締結用おねじ部5cと、支持スリーブ16の締結用めねじ部16aとの右ねじのねじ結合により、弁棒5と支持スリーブ16が締結される。
【0067】
この実施形態は、弁棒5の移動用おねじ部5bと嵌合スリーブ11の移動用めねじ部11bとは、二条ねじのねじ結合である。このため、第一実施形態の場合と同様に、ハンドル6を軽い力で回転させることができ、ハンドル6の一回転当たりの弁体4の前後方向の移動距離が大きくなることから、弁の開閉操作を容易に行うことができる。
【0068】
なお、この実施形態においても、操作部材としてハンドル6を採用しているが、上述の第一実施形態の場合と同様に、操作部材を構成するエアモータまたは電動モータにより支持スリーブ16を回転させるエアー式、電動式を採用することができる。
【0069】
この発明に係る第三実施形態のバルブ装置を
図7、8に基づいて説明する。この実施形態は、嵌合スリーブ11が支持スリーブ16の内周部にねじ結合されている点、弁棒5の前端部に弁体4の後端部が固定されている点、弁棒5の外周部に移動用おねじ部5bのみが形成される点、及び嵌合スリーブ11にハンドル6が取り付けられている点で、上述した第二実施形態の構造体と相違する。その他の構造は、第二実施形態と同じと考えられ、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0070】
この実施形態のバルブ装置の弁体4は、挿通穴4aを有しておらず、その後端部に弁棒5が同軸上に固定されている。弁棒5は、外周部に移動用おねじ部5bのみが形成されている。
【0071】
支持スリーブ16は、内周部に形成された締結用めねじ部16aを有し、支持部材8の基部14の後端部側の内周部に固定される。嵌合スリーブ11は、外周部に右ねじの一条ねじとなる締結用おねじ部11cを有し、内周部に左ねじの二条ねじとなる移動用めねじ部11bを有する。
【0072】
嵌合スリーブ11は、支持スリーブ16の締結用めねじ部16aにねじ結合し、基部14の貫通孔14aに貫通する弁棒5の移動用おねじ部5bにねじ結合する。嵌合スリーブ11は、後端部にボス部18を介してハンドル6が固定されている。
【0073】
この実施形態のハンドル6を開弁方向(左回り)に回転させると、嵌合スリーブ11が同方向に一体回転する。嵌合スリーブ11が回転すると、上述した第二実施形態の場合と同様に、回転が規制された弁体4に固定された弁棒5が後方に移動する。
【0074】
続いて、ハンドル6を左回りに回転させて、嵌合スリーブ11を回転させると、開弁状態となり、
図8に示すように、弁体4が支持部材8に基部14の前端面に突き当たり、弁体4の後方への移動が規制される。
【0075】
さらに、ハンドル6と左回りに回転させると、嵌合スリーブ11の締結用おねじ部11cと支持スリーブ16の締結用めねじ部16aとの右ねじのねじ結合により、嵌合スリーブ11は後方に移動し、支持スリーブ16に締結される。
【0076】
上記開弁状態において、ハンドル6を閉弁方向(右回り)に回転させると、嵌合スリーブ11が同方向に一体回転し、回転が規制された弁体4に固定された弁棒5が前方に移動する。弁棒5が前方に移動することで、弁体4は前方に移動して、弁座3に接触し閉弁状態となる。
【0077】
この閉弁状態において、さらに、ハンドル6を右回りに回転させると、支持スリーブ16の締結用めねじ部16aと、嵌合スリーブ11の締結用おねじ部11cとの右ねじのねじ結合により、弁棒5と嵌合スリーブ11が締結される。
【0078】
この実施形態では、弁棒5の移動用おねじ部5bと嵌合スリーブ11の移動用めねじ部11bとは二条ねじによるねじ結合となる。このため、第二実施形態の場合と同様に、ハンドル6を軽い力で回転させることができ、ハンドル6の一回転当たりの弁体4の前後方向の移動距離が大きくなることから、弁の開閉操作を容易に行うことができる。
【0079】
なお、この実施形態においても、操作部材としてハンドル6を採用しているが、操作部材として、嵌合スリーブ11のボス部18に固定したギアと、ギアに噛み合うピニオンと、ピニオンを回転させるエアモータとを備え、その操作部材を構成するエアモータまたは電動モータにより嵌合スリーブ11を回転させるエアー式、電動式を採用することができる。
流路を有する弁本体と、その流路に形成された弁座と、回転が規制された状態で前後方向に移動して前記弁座に接離する弁体と、前記弁本体に連結される弁棒と、前記弁棒に取り付けられる操作部材と、前記弁本体に固定されるヨークと、前記弁棒を支持する支持スリーブを有し、前記ヨークに固定される支持部材とを備え、
前記弁体は、後端部から前方に向かって形成された挿通穴と、その挿通穴に嵌め合わされた嵌合スリーブとを有し、前記嵌合スリーブは、内周部に移動用めねじ部を有し、前記支持スリーブは、内周部に締結用めねじ部を有し、前記弁棒は、外周部に形成され、前記弁体の挿通穴に挿通された状態で前記嵌合スリーブにねじ結合する移動用おねじ部と、外周部に形成され、前記支持スリーブにねじ結合する締結用おねじ部とを有し、前記操作部材により回転するものであり、前記移動用めねじ部及び前記移動用おねじ部は、前記締結用めねじ部及び前記締結用おねじ部に対して条数が多く、逆ねじ方向の多条ねじであるバルブ装置。