特開2017-115995(P2017-115995A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-115995(P2017-115995A)
(43)【公開日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】締結装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/10 20060101AFI20170602BHJP
   F16B 37/00 20060101ALI20170602BHJP
【FI】
   F16B37/10
   F16B37/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-252379(P2015-252379)
(22)【出願日】2015年12月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591105063
【氏名又は名称】みすず精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 宣久
(72)【発明者】
【氏名】上島 直幸
(72)【発明者】
【氏名】室下 善治
(72)【発明者】
【氏名】大森 聡史
(57)【要約】
【課題】着脱が容易であると共に確実に締結を行うこと。
【解決手段】雄ネジ1Aを有する棒状部材1と、棒状部材1の雄ネジ1Aに噛み合う雌ネジ2Aを有するリング状が雌ネジ2Aと共に複数の分割部22に分割されたリング部材2と、棒状部材1が延在する方向で棒状部材1を挿入可能に設けられていると共にリング部材2の外周部の嵌合部2Bと嵌合する嵌合部3Aを有して環状に形成されて相互の嵌合部2B,3Aが嵌合した形態でリング部材2の分割部22がリング状に組み合った形態を保持する保持部材3と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ネジを有する棒状部材と、
前記棒状部材の雄ネジに噛み合う雌ネジを有するリング状が前記雌ネジと共に複数の分割部に分割されたリング部材と、
前記棒状部材が延在する方向で前記棒状部材を挿入可能に設けられていると共に前記リング部材の外周部の嵌合部と嵌合する嵌合部を有して環状に形成されて相互の前記嵌合部が嵌合した形態で前記リング部材の分割部がリング状に組み合った形態を保持する保持部材と、
を備えることを特徴とする締結装置。
【請求項2】
前記保持部材は、工具が取り付けられる外形状を有することを特徴とする請求項1に記載の締結装置。
【請求項3】
前記リング部材は、前記棒状部材に噛み合う形態にて前記棒状部材の延在方向の端部に周状に連続するテーパ面が形成され、前記保持部材は、前記リング部材のテーパ面に接触する逆テーパ面が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の締結装置。
【請求項4】
前記リング部材および前記保持部材に共に挿通する挿通ピンを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の締結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱自在な締結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、鉄塔などに作業者が昇降する際、その鉄塔などを構成する塔脚に開けた通孔に、挿抜自在に取り付ける締結装置(昇降用ステップボルト)が記載されている。この締結装置は、棒状のステップボルト本体の一側に、作業者が足を掛けるステップ部を形成し、ステップボルト本体の他側に、通孔に差し込むボルトのようにねじ山を形成した差込み部を設け、差込み部に位置決めナットを締め付け、かつ差込み部に、半円弧状に分割した一対の分割ナットを着脱自在に噛み合みあわせる抜け止め部材を挟み込みする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−174130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される締結装置(昇降用ステップボルト)では、抜け止め部材は、鋏状になる2本の部材の両先端が対向するような鉤状の鉤状先端部に各分割ナットをそのねじ山が向かい合うようにそれぞれ取り付け、連結軸部で連結すると共に、両鉤状先端部が閉じるように弾性部材を鋏状の両部材に介在させている。さらに、抜け止め部材は、一方の部材の柄部に、揺動自在に棒状のロックバーを取り付け、該ロックバーの揺動端に形成した掛止部を、一方の部材の柄部に設けた被掛止部に着脱自在に掛け止め、両鉤状先端部が開いて両分割ナットが離間しないように構成している。
【0005】
このような構成の締結装置では、各分割ナットが鋏状の部材で連結軸部を中心に揺動可能に設けたものであることから、当該鋏状の部材の揺動部分が動作不良になると各分割ナットをねじ山を形成した差込み部に噛み合わせて確実に固定することが困難になる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、着脱が容易であると共に確実に締結を行うことのできる締結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明の締結装置は、雄ネジを有する棒状部材と、前記棒状部材の雄ネジに噛み合う雌ネジを有するリング状が前記雌ネジと共に複数の分割部に分割されたリング部材と、前記棒状部材が延在する方向で前記棒状部材を挿入可能に設けられていると共に前記リング部材の外周部の嵌合部と嵌合する嵌合部を有して環状に形成されて相互の前記嵌合部が嵌合した形態で前記リング部材の分割部がリング状に組み合った形態を保持する保持部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この締結装置によれば、リング部材が複数の分割部に分割されて棒状部材の側部からリング状に組み合わせることで、リング部材の雌ネジを棒状部材の雄ネジの先端から螺込む作業を省略することができる。そして、保持部材の嵌合部がリング部材の嵌合部に嵌合してリング部材をリング状に保持することで、リング部材の雌ネジを棒状部材の雄ネジに締め付けることができる。リング状のリング部材に環状の保持部材を嵌合させることから、リング部材のリング状の保持を確実に行うことが可能であり、締結を確実に行える。一方、保持部材の嵌合部をリング部材の嵌合部から外せば、リング部材の分割部を分けて棒状部材から外すことができる。従って、この締結装置によれば、着脱を容易に行うことができ、かつ確実に締結を行うことができる。
【0009】
また、本発明の締結装置では、前記保持部材は、工具が取り付けられる外形状を有することを特徴とする。
【0010】
この締結装置によれば、保持部材によりリング状に保持したリング部材の雌ネジを棒状部材の雄ネジに締め付けるトルクを管理することができる。
【0011】
また、本発明の締結装置では、前記リング部材は、前記棒状部材に噛み合う形態にて前記棒状部材の延在方向の端部に周状に連続するテーパ面が形成され、前記保持部材は、前記リング部材のテーパ面に接触する逆テーパ面が形成されることを特徴とする。
【0012】
この締結装置によれば、保持部材の逆テーパ面がリング部材のテーパ面に接触することで、リング部材のリング状と保持部材の環状との芯合わせを容易に行うことができ、かつ当たり面を多くして保持状態をより確実にすることができる。
【0013】
また、本発明の締結装置では、前記リング部材および前記保持部材に共に挿通する挿通ピンを備えることを特徴とする。
【0014】
この締結装置によれば、保持部材の脱落を防止することができ、保持状態をより確実にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、着脱が容易であると共に確実に締結を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る締結装置の構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る締結装置の分割リング部材の平面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る締結装置の保持部材の平面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る締結装置の保持部材の底面図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る締結装置の他の例の構成図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る締結装置の他の例の構成図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る締結装置の他の例の構成図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る締結装置の他の例の構成図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る締結装置の適用例の平面図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る締結装置の適用例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0018】
図1は、本実施形態に係る締結装置の構成図である。図2は、本実施形態に係る締結装置の分割リング部材の平面図である。図3は、本実施形態に係る締結装置の保持部材の平面図である。図4は、本実施形態に係る締結装置の保持部材の底面図である。
【0019】
本実施形態の締結装置は、図1に示すように、被固定体100を固定台101に取り付けるものであり、棒状部材1と、リング部材2と、保持部材3と、を含み構成される。
【0020】
棒状部材1は、長手状に形成された棒状体であって、その端部の周囲に雄ネジ1Aが形成されている。この棒状部材1は、固定台101の被固定体100を取り付ける面から雄ネジ1Aを有する端部が自身の長手方向に沿って延在するように固定台101に取り付けられる。固定台101への棒状部材1の取り付けは、固定台101に棒状部材1を埋設したり、ネジおよびナットで接合したり、どのような手段であってもよい。被固定体100は、固定台101の面から延在する棒状部材1を貫通させる穴100Aが形成されている。
【0021】
リング部材2は、図2に示すようにリング状の内面に棒状部材1の雄ネジ1Aに噛み合う雌ネジ2Aが形成されている。また、リング部材2は、リング状が雌ネジ2Aと共に分割部22として複数に分割して形成されている。図2では、リング部材2は、切断部21を境に2つの分割部22に分割して形成されている。また、リング部材2は、その外周部に保持部材3と相互に嵌合する嵌合部2Bが形成されている。本実施形態の嵌合部2Bは、リング部材2が多角柱形状(図2では六角柱形状)に形成された多角形の外周部にて形成されている。つまり、棒状部材1は、端部に雄ネジ1Aを有するボルトであり、リング部材2は、ボルトである棒状部材1の雄ネジ1Aに噛み合う雌ネジ2Aを有するナットが分割されている。
【0022】
保持部材3は、図3および図4に示すように、棒状部材1が延在する方向に沿って棒状部材1が挿通可能な環状に形成されている。また、保持部材3は、その環状の内周部に、リング部材2の外周部の嵌合部2Bと相互に嵌合する嵌合部3Aが形成されている。本実施形態では、リング部材2の嵌合部2Bが多角形(六角形)に形成されているため、図3および図4に示すように、保持部材3の嵌合部3Aは、多角形(六角形)の穴として形成されている。また、リング部材2は、図1に示すように、棒状部材1に噛み合う形態にて棒状部材1の延在方向の端部に周状に末広がりのテーパ面2Cが形成されており、これに対して保持部材3は、その環状の内周部に、リング部材2のテーパ面2Cに接触する逆テーパ面3Bが形成されている。すなわち、保持部材3は、その内周部の嵌合部3Aがリング部材2の外周部の嵌合部2Bに嵌合しつつ、内周部の逆テーパ面3Bがリング部材2のテーパ面2Cに面同士で接触する。
【0023】
このように構成された締結装置は、図1に示すように、固定台101の面から延在する棒状部材1を挿入するように被固定体100を固定台101の面に置く。そして、リング部材2の各分割部22を被固定体100の上であって棒状部材1の側部から合わせてリング状に組み合わせる。そして、保持部材3を棒状部材1が延在する方向で棒状部材1を挿入するようにリング部材2に接近させ、自身の嵌合部3Aをリング部材2の嵌合部2Bに嵌合させる。このようにして、保持部材3は、分割部22がリング状に組み合ったリング部材2に対し、嵌合部2Bに嵌合部3Aが嵌合することで、リング部材2の分割部22がリング状に組み合った形態を保持する。従って、保持部材3は、リング部材2の各分割部22がリング状に組み合ったナットの形態を保持し、棒状部材1を中心としてリング部材2を伴って回転され、棒状部材1の雄ネジ1Aにリング部材2の雌ネジ2Aを噛み合わせることができる。この結果、図1に示すように、固定台101の面とリング部材2との間で、被固定体100を締結して取り付けることができる。なお、本実施形態では、図1に示すように、被固定体100とリング部材2との間に座金4を介在させている。
【0024】
また、図1に示す状態から、リング状に組み合ったリング部材2に対し、保持部材3の嵌合部3Aをリング部材2の嵌合部2Bから外すことで、リング部材2の分割部22を分け、棒状部材1から外す。この結果、固定台101の面から被固定体100を取り外すことができる。
【0025】
この締結装置によれば、リング部材2が複数の分割部22に分割されて棒状部材1の側部からリング状に組み合わせることで、リング部材2の雌ネジ2Aを棒状部材1の雄ネジ1Aの先端から螺込む作業を省略することができる。そして、保持部材3の嵌合部3Aがリング部材2の嵌合部2Bに嵌合してリング部材2をリング状に保持することで、リング部材2の雌ネジ2Aを棒状部材1の雄ネジ1Aに締め付けることができる。リング状のリング部材2の外周部に環状の保持部材3の内周部を嵌合させることから、リング部材2のリング状の保持を確実に行うことが可能であり、締結を確実に行える。一方、保持部材3の嵌合部3Aをリング部材2の嵌合部2Bから外せば、リング部材2の分割部22を分けて棒状部材1から外すことができる。従って、この締結装置によれば、固定台101に対して被固定体100の着脱を容易に行うことができ、かつ確実に締結を行うことができる。
【0026】
また、本実施形態の締結装置では、保持部材3は、多角柱形状(図2および図3では六角柱形状)に形成された多角形の外周部にて形成されている。すなわち、保持部材3は、レンチなどの工具が取り付けられる外形状を有する。
【0027】
この締結装置によれば、保持部材3を工具が取り付けられる外形状を有することで、保持部材3によりリング状に保持したリング部材2の雌ネジ2Aを棒状部材1の雄ネジ1Aに締め付けるトルクを管理することができる。
【0028】
また、本実施形態の締結装置では、図1に示すように、リング部材2は、棒状部材1に噛み合う形態にて棒状部材1の延在方向の端部に周状にテーパ面2Cが形成され、保持部材3は、リング部材2のテーパ面2Cに接触する逆テーパ面3Bが形成されている。
【0029】
この締結装置によれば、保持部材3の逆テーパ面3Bがリング部材2のテーパ面2Cに接触することで、リング部材2のリング状と保持部材3の環状との芯合わせを容易に行うことができ、かつ当たり面を多くして保持状態をより確実にすることができる。
【0030】
図5は、本実施形態に係る締結装置の他の例の構成図である。図5に示す締結装置では、リング部材2および保持部材3に共に挿通する挿通ピン5を備える。
【0031】
挿通ピン5は、リング部材2および保持部材3に嵌め込みにより挿通される。また、図5において側部から挿通される形態として示されているが、リング部材2および保持部材3に共に挿通する構成であれば挿通方向に限定はない。
【0032】
この締結装置によれば、挿通ピン5を備えることで、リング部材2に対して保持部材3の脱落を防止することができ、保持状態をより確実にすることができる。
【0033】
図6は、本実施形態に係る締結装置の他の例の構成図である。図6に示す締結装置では、保持部材3は、上述した逆テーパ面3Bを有さず嵌合部3Aのみの構成で嵌合部3Aにリング部材2の嵌合部2Bを挿通してリング部材2のリング状を保持するように設けられている。この構成によれば、保持部材3の嵌合部3Aがリング部材2の嵌合部2Bを挿通することで、保持部材3をリング部材2から棒状部材1の延在方向に抜けにくくすることができる。
【0034】
図7は、本実施形態に係る締結装置の他の例の構成図である。図7に示す締結装置では、図1に示す締結装置に対し、棒状部材1の延在方向において、保持部材3とリング部材2とを逆向きに設けた形態である。この場合、リング部材2よりも保持部材3を先に棒状部材1に設置し、この保持部材3に嵌合するようにリング部材2の分割部22を組み合わせて設置した後、保持部材3をリング部材2と共に回転させ、リング部材2で保持部材3と共に被固定体100を締め付ける。この構成によれば、リング部材2のテーパ面2Cが保持部材3の逆テーパ面3Bと接触して、保持部材3を棒状部材1の延在方向へ抜け止めすることができる。
【0035】
図8は、本実施形態に係る締結装置の他の例の構成図である。図8に示す締結装置では、保持部材3は、リング部材2と被固定体100との間に挟まれる鍔部3Cを有する。この場合、リング部材2よりも保持部材3を先に棒状部材1に設置し、この保持部材3に嵌合するようにリング部材2の分割部22を組み合わせて設置した後、保持部材3をリング部材2と共に回転させ、リング部材2で保持部材3と共に被固定体100を締め付ける。この構成によれば、リング部材2と被固定体100との間に鍔部3Cが挟まれるため、保持部材3を棒状部材1の延在方向へ抜け止めすることができる。
【0036】
図9は、本実施形態に係る締結装置の適用例の平面図である。図10は、本実施形態に係る締結装置の適用例の側面図である。
【0037】
図9および図10は、上述した締結装置が適用される空気浄化設備を示している。空気浄化設備は、建屋51に空気浄化装置52が設置されて構成される。建屋51は、例えば、原子力プラントにおける事故時の避難先であって密閉空間をなす。空気浄化装置52は、この建屋51の密閉空間に設置され、密閉空間の空気を浄化するもので、給気フィルタユニット53と、送風機ユニット54と、空気浄化ユニット55と、を含み構成されている。
【0038】
給気フィルタユニット53は、ケーシング53Aの内部に給気フィルタ53Bが収容されている。給気フィルタ53Bは、ケーシング53A内に供給された空気に含まれる塵埃を捕捉して除去する。ケーシング53Aは、給気フィルタ53Bにより捕捉された塵埃に放射性物質が含まれていることを想定し、この放射性物質が放出する放射線を遮蔽できる遮蔽材により筐体が構成されている。
【0039】
送風機ユニット54は、ケーシング54Aの内部に送風機54Bが収容されている。送風機54Bは、ケーシング54Aの入口から出口に空気を送る。
【0040】
空気浄化ユニット55は、ケーシング55Aの内部に空気浄化フィルタ55Bが収容されている。空気浄化フィルタ55Bは、ケーシング55A内に供給された空気に含まれ得る放射性物質を捕捉して除去する。ケーシング55Aは、空気浄化フィルタ55Bにより捕捉された放射性物質が放出する放射線を遮蔽できる遮蔽材により筐体が構成されている。
【0041】
そして、送風機ユニット54の入口側に給気フィルタユニット53が接続され、送風機ユニット54の出口側に空気浄化ユニット55が接続されている。給気フィルタユニット53は、建屋51の外部であって外気に開放されている。また、空気浄化ユニット55は、建屋51の内部に開放されている。従って、送風機ユニット54の送風機54Bの稼働により、給気フィルタユニット53のケーシング53Aに外気が供給されて給気フィルタ53Bを経た後に、送風機ユニット54を介して空気浄化ユニット55のケーシング55Aに供給されて空気浄化フィルタ55Bを経て浄化された空気が建屋51の内部に送られる。
【0042】
このような空気浄化装置52は、可搬できるように構成されている。具体的に、給気フィルタユニット53、送風機ユニット54、および空気浄化ユニット55は、それぞれケーシング53A,54A,55Aの底板53Aa,54Aa,55Aaが建屋51の床51Aに対して着脱可能に設けられている。また、給気フィルタユニット53、送風機ユニット54、および空気浄化ユニット55は、それぞれケーシング53A,54A,55Aの底板53Aa,54Aa,55Aaにアイプレート53Ab,54Ab,55Abが設けられて、当該アイプレート53Ab,54Ab,55Abに連結された天井クレーンなどにより吊り上げられて搬送される。
【0043】
この空気浄化装置52の給気フィルタユニット53、送風機ユニット54、および空気浄化ユニット55に対し、本実施形態の締結装置は、建屋51の床51Aを構成する基礎51Aaを固定台101とし、棒状部材1が固定される。すなわち、棒状部材1は、基礎51Aaに埋設され、床51Aの面から雄ネジ1Aを有する端部が自身の長手方向に沿って延在するように取り付けられている。そして、リング部材2は、上述した保持部材3によりリング状に保持されて棒状部材1に噛み合わされ、ケーシング53A,54A,55Aの底板53Aa,54Aa,55Aaを被固定体100として床51Aに締結する。
【0044】
従って、空気浄化装置52の給気フィルタユニット53、送風機ユニット54、および空気浄化ユニット55は、本実施形態の締結装置によって、床51A(固定台101)に対して底板53Aa,54Aa,55Aa(被固定体100)の着脱を容易に行うことができ、かつ確実に締結を行うことができる。
【0045】
なお、空気浄化装置52において、給気フィルタユニット53および空気浄化ユニット55は、ケーシング53A,55Aが遮蔽材により筐体が構成されているため数トンの重量となる。このため、空気浄化装置52の設置時において地震の揺れに耐えるため、棒状部材1である位置決ボルト、およびリング部材2である位置決ナットは、例えば、M80程度の大型のものが適用される。従って、このような原子力プラントにおける空気浄化装置52に適用される大型の締結装置において、着脱を容易に行い、かつ確実に締結を行うことは、放射線に曝されるおそれのある環境での空気浄化装置52の設置や取り替えに際して重要な役割を担うものである。
【符号の説明】
【0046】
1 棒状部材
1A 雄ネジ
2 リング部材
2A 雌ネジ
2B 嵌合部
2C テーパ面
21 切断部
22 分割部
3 保持部材
3A 嵌合部
3B 逆テーパ面
3C 鍔部
4 座金
5 挿通ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10