(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-116524(P2017-116524A)
(43)【公開日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】軸方向回転式トルク検出器
(51)【国際特許分類】
G01L 3/14 20060101AFI20170602BHJP
【FI】
G01L3/14 G
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-196874(P2016-196874)
(22)【出願日】2016年10月5日
(31)【優先権主張番号】104143291
(32)【優先日】2015年12月23日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】515254714
【氏名又は名称】健騰精密機電股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】515337464
【氏名又は名称】梁嘉生
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】梁嘉生
(72)【発明者】
【氏名】胡越陽
(72)【発明者】
【氏名】邱盟仁
(57)【要約】
【課題】軸方向回転式トルク検出器を提供する。
【解決手段】軸方向回転式トルク検出器は、アイドラギア及び板状の複数本の弾性部材を備え、前記アイドラギアは入力軸と出力軸との間に配置され、前記入力軸及び出力軸により切線力がそれぞれ形成されて、アイドラギアが駆動されて中心軸の円周に沿って回転を行う。少なくとも1つの弾性部材には少なくとも1つの歪みゲージが配置され、前記弾性部材の一端部に固定され、他端部はアイドラギアにより負荷される反力の吸収にそれぞれ用いられ、前記円周に沿って回転を行う方向に湾曲変形が生成される。前記歪みゲージにより前記湾曲変形が検出されて歪みが生成され、入力軸と出力軸との間の検出トルク値となる。前記弾性部材は入力軸の軸方向にそれぞれ相互に平行し、これにより、従来のトルク検出器の検出精度及び感度の不足、及び径方向の体積が効果的に縮減されない問題を改善させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸と出力軸との間に配置されるアイドラギアであって、前記入力軸及び出力軸により切線力がそれぞれ形成されて、アイドラギアが駆動され、中心軸の円周に沿って回転を行い、前記切線力の総合により反力が生成されて、アイドラギアが前記円周に沿って回転を行う際の負荷トルクとなることと、
板状の複数本の弾性部材であって、少なくとも1つの弾性部材の板体に少なくとも1つの歪みゲージが配置され、前記弾性部材の一端部はそれぞれ固定され、且つ前記弾性部材の他端部はアイドラギアにより負荷される反力の吸収にそれぞれ用いられて、前記円周に沿って回転を行う方向に湾曲変形が生成され、前記歪みゲージにより前記湾曲変形が検出されて歪みが生成され、それを入力軸と出力軸との間の検出トルク値とし、前記弾性部材は入力軸の軸方向にそれぞれ相互に平行すること、
を備えることを特徴とする軸方向回転式トルク検出器。
【請求項2】
前記アイドラギアは駆動部材に枢着されて定位され、前記アイドラギアにより駆動部材が連動されて前記中心軸に沿って自転を行い、前記アイドラギアにより負荷される反力は駆動部材により伝導されて前記弾性部材に湾曲変形を生成させることを特徴とする、請求項1に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項3】
前記駆動部材の中心軸の周縁には複数の係止溝が設けられ、前記弾性部材はアイドラギアにより負荷される反力の吸収に用いられて、端部が係止溝内にそれぞれ滑動可能に覆設されることを特徴とする、請求項2に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項4】
前記駆動部材の中心軸の周縁には複数の係止溝が設けられ、前記弾性部材はアイドラギアにより負荷される反力の吸収に用いられて、端部が係止溝内にそれぞれ固定されることを特徴とする、請求項2に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項5】
前記弾性部材が固定される端部は固定部材により固定され、前記固定部材及び駆動部材は前記中心軸に沿って間隔を開けて配置されることを特徴とする、請求項2に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項6】
前記中心軸は入力軸の軸心に位置され、前記弾性部材は入力軸の軸心のラジアル線に間隔を開けて位置されることを特徴とする、請求項1または5に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項7】
前記歪みゲージの貼り合わせられる位置は固定部材に対して近接されることを特徴とする、請求項5に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項8】
前記歪みゲージが配置される弾性部材は、その歪みゲージの配置される数量が2つであり、且つ前記2つの歪みゲージは弾性部材の板体の対応し合う2つの端面に対して貼り合わせられることを特徴とする、請求項1または7に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項9】
遊星ギア組を更に備え、前記入力軸は遊星ギア組の内の太陽歯車に軸着され、前記出力軸は遊星ギア組の内の太陽歯車の周囲を周回させるリングギアで形成され、前記アイドラギアの数量は少なくとも2つであり、且つ遊星ギア組の太陽歯車とリングギアとの間にそれぞれ対称に配置される遊星ギアで構成され、前記遊星ギアは入力される太陽歯車及び出力されるリングギアの間の負荷トルクに相互に噛み合わせられることを特徴とする、請求項1に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項10】
前記入力軸の軸着対象及び出力軸の形成対象は互換されることを特徴とする、請求項9に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項11】
前記遊星ギアは駆動部材に枢着されて定位され、前記遊星ギアにより駆動部材が連動されて前記中心軸に沿って自転を行い、前記遊星ギアにより負荷される反力は駆動部材により伝導されて前記弾性部材に湾曲変形を生成させることを特徴とする、請求項9または10に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項12】
前記駆動部材の中心軸の周縁には複数の係止溝が設けられ、前記弾性部材は遊星ギアにより負荷される反力の吸収に用いられて、端部は係止溝内にそれぞれ滑動可能に覆設されることを特徴とする、請求項11に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項13】
前記駆動部材の中心軸の周縁には複数の係止溝が設けられ、前記弾性部材は遊星ギアにより負荷される反力の吸収に用いられて、端部は係止溝内にそれぞれ固定されることを特徴とする、請求項11に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項14】
前記弾性部材が固定される端部は固定部材により固定され、前記固定部材及び駆動部材は前記中心軸に沿って間隔を開けて配置され、前記中心軸は太陽歯車及びリングギアの輪心線であり、前記弾性部材は太陽歯車の輪心のラジアル線にそれぞれ間隔を開けて位置されることを特徴とする、請求項11に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項15】
前記歪みゲージが配置される弾性部材は、その歪みゲージの配置される数量は2つであり、且つ前記2つの歪みゲージは前記弾性部材の板体の対応し合う2つの端面に対して貼り合わせられることを特徴とする、請求項14に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項16】
前記歪みゲージの貼り合わせられる位置は固定部材に対して近接されることを特徴とする、請求項14に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項17】
前記駆動部材及び固定部材の中心にはスルーホールがそれぞれ設けられ、前記入力軸は前記中心のスルーホールを穿通させて太陽歯車に軸着されることを特徴とする、請求項14に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【請求項18】
前記入力軸は前記駆動部材及び固定部材の内の少なくとも1つに枢接されることを特徴とする、請求項17に記載の軸方向回転式トルク検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動機構中の部材により生成される変形量を基にトルク値の検出を行う技術に関し、より詳しくは、軸方向回転式トルク検出器(planet gear train based torque detector)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転駆動機構は、一般的にトルク検出部材(または検出器)が搭載されてトルク値の大きさ及び変化の検出を行うが、前記機構によりトルクが伝達される過程において、前記トルク値の変化をどのように精確に検出を行うか、また、配置されるトルク検出部材(または検出器)の体積をどのように効果的に縮減させるかが、長年悩まされている技術的課題であった。
【0003】
従来の特許文献では、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5及び特許文献6に、歪みゲージ(strain gauge)が検出部材として使用され、回転駆動機構により生成されるトルク値の変化の検出を行う発明が記載されている。
【0004】
なお、一般的なよくある歪みゲージは、金属線が単方向アレイ形式で配列されて形成される金属薄板であり、その両端には歪みゲージ信号処理モジュールに接続されて用いられるピンをそれぞれ有する。応用においては、歪みゲージは回転駆動機構中の受力された後に歪みが生じる機械部材に固定され、歪みゲージが歪みを生じる機械部材に追随して変形される場合、歪みゲージの電気抵抗値の変化により前記機械部材が歪みを反応させ、回転駆動機構中のトルク値の大きさ及び変化の検出を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】アメリカ特許出願第5172774号明細書
【特許文献2】アメリカ特許出願公開第20100139432号明細書
【特許文献3】アメリカ特許出願第8302702号明細書
【特許文献4】アメリカ特許出願公開第20150135856号明細書
【特許文献5】台湾特許出願第M451316号明細書
【特許文献6】台湾特許出願第M417320号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従来の技術では、すなわち、上述の特許に記載されるトルク検出構造及びその歪みゲージの搭載位置は、トルクの変更により生じた歪みの検出効果は理想的とは言えず、同時にトルク検出構造の体積が大きすぎるという問題も存在した。
【0007】
例えば、特許文献1の記載されている複数の歪みゲージがトルクを伝達させる1つのギアで形成される複数のせん断ウェブ(shear web)に直接配置され、前記せん断ウェブはギアのラジアルウェブ面に沿って負荷を伝導させて、せん断ウェブの歪みを発生させるが、但し、検出される歪みは、順方向の歪みのほかにせん断ひずみを更に含み、せん断ウェブにより生成される歪みはギアのトルク値の変化を示すには不十分である。このため、トルクの検出の信頼性及び精確性が失われた。或いは、より多方向の歪みゲージが配置されて順方向の歪み及び剪切方向の歪みの検出が行われるが、これではコスト及び複雑さが相対的に増加した。また、せん断ウェブ上に搭載される歪みゲージの位置及びギアのためにトルクの検出の信頼性及び精確性が損なわれた。さらには、ウェブ部に歪みゲージが搭載される構造設計が採用されたが、径方向の体積が縮減できないという難点が残った。
【0008】
なお、特許文献2に記載されている歪みゲージがフレーム形のトルク伝達部材(torquetransferring element)の径方向の辺リブ平面に嵌装され、前記トルク伝達部材の中心部にはリングギアが連結され、前記歪みゲージによりリングギアのトルクが検出される。しかし、歪みゲージが搭載されるトルク伝達部材(torquetransferring element)の辺リブ平面とリングギアの軸心との間の径方向の間隔が十分に大きくなければ、順方向の歪み及びせん断ひずみが明確に検出できず、しかも、構造の径方向の体積が縮減されにくいという困難が伴った。
【0009】
また、特許文献3に記載されているハウジングに固定されると共にトルク軸の枢接に用いられる変換器(transducer)は、円盤状を呈すると共にトルク軸が枢接される中心ハブ(hub)を有し、ハブの周辺にはリングの盤面状のウェブ部(web)が延伸されて形成され、且つ前記ウェブ部は上述のキャリア材料となって少なくとも1つの歪みゲージが搭載され、トルク軸のトルクの変化が検出される。しかしながら、前記ウェブ部はリングの盤面状として形成されるため、トルクが変換されることで形成される作用力を集中させて伝導させるのが難しく、換言すれば、ウェブ部がトルク伝導により生成される歪みを受けてリング状のウェブ部の全面域に分散させることにより、歪みゲージにより発生される変形量が減少され、軸心の間ではトルク伝達部材の周辺の辺リブにより作用力が伝導され、前記歪みゲージの嵌装位置は曲げモーメントの作用を受ける。但し、辺リブにより生成される曲げモーメントによるトルクの変化の検出は、信頼性及び精確性が低かった。また、トルク伝達部材の辺リブには同様に、構造体の径方向の体積が大きくなるという問題があった。
【0010】
さらに、特許文献4に記載されている輪座型の力トルクセンサ(force torque sensor)は、システム運動が阻害された際に瞬間的に生成される力またはトルクに対する検出に用いられ、一般的には安全保護のために使用される。前記力トルクセンサの中心部には同様に回転部材が軸着されるハブが形成され、力トルクセンサの径方向の周辺にはリム(rim)が更に形成され、前記ハブの四方とリムとの間の径方向の位置には更に複数の梁(beam)がそれぞれ形成され、且つ各径方向の梁の四方の端面には歪みゲージがそれぞれ固定され、各梁が受ける負荷は案内されて梁に対する曲げ負荷となって引張力、圧力、またはせん断力を発生させ、梁面の歪みゲージにより梁に生成される歪みが検出可能になり、力及びトルク値の変化が更に検出される。但し、この特許には前記梁が受ける負荷がどのように案内されて引張力或いは/及び圧力またはせん断力になるのかの具体的な技術が記載されていない。このため、各梁の四方の端面に歪みゲージが固設されて、計測された値の精度を高めているが、しかし、これが原因で、歪みゲージが応用される数量が多すぎて無駄になり、応力構造がより複雑になった。なお、前記梁にも構造体の径方向の体積が大きくなるという問題があった。
【0011】
このほかに、特許文献5及び特許文献6の記載を示すように、クランク軸にスリーブが設置され、前記スリーブの表面には歪みゲージが貼付され、スリーブがトルク作用を受ける際に発生する歪み量の計測に用いられ、且つ計測された歪み量が歪み信号に変換され、電動モーターの出力動力が制御される。スリーブに歪みゲージが搭載される設計では構造体の径方向の体積を縮減させる効果を達成させるが、但し、歪みゲージは運動部材(スリーブ)に搭載されるため、変圧器及び信号無線伝送部材等のエネルギー伝送部材が組み合わせられる必要がある。これらの付属部材が運動部材(スリーブ)に装設される場合、配置空間が増えてしまい、構造体が更に大きくなった。
【0012】
本発明は、以上の従来技術の課題を解決する為になされたものである。即ち、本発明は、軸方向回転式トルク検出器を提供することを目的とする。すなわち、従来の歪みゲージが搭載されるトルク検出構造では、検出精度及び感度が不足し、径方向の体積が効果的に縮減できないという問題を改善させる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明には、受力された際に湾曲変形が生成される特性を有する弾性部材が応用され、且つ歪みゲージが搭載されて精確且つ敏感に応用部材または設備のトルクの変化が検出される。また、前記弾性部材の配置位置の設計により、応用部材または設備の径方向の体積が効果的に縮減できないという問題が解決される。
【0014】
本発明に係る軸方向回転式トルク検出器は、入力軸と出力軸との間に配置されるアイドラギアであって、前記入力軸及び出力軸により切線力がそれぞれ形成されて、アイドラギアが駆動され、中心軸の円周に沿って回転を行い、前記切線力の総合により反力が生成されて、アイドラギアが前記円周に沿って回転を行う際の負荷トルクとなることと、板状の複数本の弾性部材であって、少なくとも1つの弾性部材の板体に少なくとも1つの歪みゲージが配置され、前記弾性部材の一端部はそれぞれ固定され、且つ前記弾性部材の他端部はアイドラギアにより負荷される反力の吸収にそれぞれ用いられて、前記円周に沿って回転を行う方向に湾曲変形が生成され、前記歪みゲージにより前記湾曲変形が検出されて歪みが生成され、それを入力軸と出力軸との間の検出トルク値とし、前記弾性部材は入力軸の軸方向にそれぞれ相互に平行することとを備える。
【0015】
また、ある好ましい実施形態において、本発明は、遊星ギア組であって、前記入力軸は遊星ギア組の内の太陽歯車に軸着され、前記出力軸は遊星ギア組の内の太陽歯車の周囲を周回させるリングギアで形成され、前記アイドラギアの数量は少なくとも2つであり、且つ遊星ギア組の太陽歯車とリングギアとの間にそれぞれ対称に配置される遊星ギアで構成され、前記遊星ギアは入力される太陽歯車及び出力されるリングギアの間の負荷トルクに相互に噛み合わせられることとを更に備える。
【0016】
前記アイドラギア(または遊星ギアと呼ばれる)は駆動部材に枢着されて定位され、前記アイドラギア(または遊星ギアと呼ばれる)により駆動部材が連動されて前記中心軸に沿って自転を行い、前記アイドラギア(または遊星ギアと呼ばれる)により負荷される反力は駆動部材により伝導されて弾性部材に湾曲変形を生成させる。前記駆動部材の中心軸の周縁には係止溝が設けられ、前記弾性部材はアイドラギア(または遊星ギアと呼ばれる)により負荷される反力の吸収に用いられて、端部は係止溝内にそれぞれ滑動可能に覆設されるか固定される。
【0017】
前記弾性部材が固定される端部は固定部材により固定され、前記固定部材及び駆動部材は前記中心軸に沿って間隔を開けて配置される。前記中心軸は入力軸の軸心に位置される。或いは、前記中心軸は太陽歯車及びリングギアの輪心線であり、前記弾性部材は入力軸の軸心または太陽歯車の輪心のラジアル線にそれぞれ位置される。前記歪みゲージの貼り合わせられる位置は固定部材に対して近接される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下の効果を有する。
1.アイドラギア(または遊星ギアと呼ばれる)は入力軸及び出力軸(または太陽歯車及びリングギアと呼ばれる)によりそれぞれ形成される切線力を負荷させ、且つ前記負荷が十分伝導されて弾性部材がトグルされることにより湾曲変形の反力が発生され、前記弾性部材に曲げモーメントを生成させ、前記歪みゲージに追随させて変形を生成させることにより、歪みゲージによるトルクの検出精度が向上する。
2.条片状の弾性部材が応用されて歪みゲージが搭載され、弾性部材の一端部にトグルを受力させる状態で敏感に湾曲変形を生成させ、歪みゲージによるトルクの検出精度を高める。
3.弾性部材及び入力軸(または太陽歯車或いはリングギアと呼ばれる)の軸方向が相互に平行に配置され、入力軸(または太陽歯車或いはリングギアと呼ばれる)の径方向に沿って配置されるのではなく、応用部材、設備、またはトルク検出器の径方向の体積が効果的に縮減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による軸方向回転式トルク検出器を示す傾斜の展開図である。
【
図6】
図1における部分部材を示す傾斜の構成図である。
【
図7】
図3に示す遊星ギアによる周方向を示す説明図である。
【
図8a】弾性部材が固定部材に固着される概略図である。
【
図8b】固定部材により連動し弾性部材が曲げられ変形を発生する概略図である。
【
図9】
図4に示す弾性部材が周方向を受ける影響の説明図である。
【
図11】力を受けた後、
図10aに示す弾性部材が曲げられ変形を発生する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
[実施形態]
【0021】
(第1実施形態)
本発明に係るトルク検出器の第一実施形態の態様は、前記トルク検出器は、アイドラギア2と、複数の弾性部材3と、歪みゲージ4と、入力軸5と、出力軸6とを備える(
図1乃至
図5参照)。
【0022】
図1乃至
図2に示すように、前記アイドラギア2は入力軸5と出力軸6との間に配置され、且つ前記アイドラギア2、入力軸5、及び出力軸6はハウジング1内に収納される。前記ハウジング1は実質的に全装置体の固定端となり、前記入力軸5及び出力軸6の枢接に用いられる。更には、前記入力軸5及び出力軸6はベアリング50及びベアリング60によりウジング1内にそれぞれ枢着され、且つ入力軸5及び出力軸6の端部51及び端部61はハウジング1の外にそれぞれ突出される。
【0023】
上述のアイドラギア2と入力軸5、出力軸6との間の具体的な配置について、
図3を参照し、本発明の遊星ギア組を実施形態とする例を挙げて具体的に説明する。前記遊星ギア組はハウジング1内に配置され、前記アイドラギア2、入力軸5、及び出力軸6は遊星ギア組により相互に連動される。前記入力軸5の一端部51はハウジング1の外に突出され、且つ入力軸5の他端部がハウジング11内に延伸されて遊星ギア組の内の太陽歯車52に軸着される。前記出力軸6は太陽歯車52及び遊星ギア20、遊星ギア21の周囲を周回させるリングギア62で形成される。換言すれば、前記出力軸6及びリングギア62は同軸で一体に延出されて形成され、且つ前記出力軸6及び入力軸5は同軸方向に間隔を開けて配置される。このほかに、入力軸5及び出力軸6の軸着対象は互換され、すなわち、入力軸5にはリングギア62が軸着され、出力軸6には太陽歯車52が軸着されることも、本発明の思想概念の応用範疇に含まれ、入力から出力までの駆動対象及び順序は簡単に変更できる。前記アイドラギア2は実施において、太陽歯車52とリングギア62との間に対称に配置される2つの遊星ギア(以下20、21で示す)で構成され、前記遊星ギア20及び遊星ギア21は太陽歯車52及びリングギア62にそれぞれ相互に?み合わせられ、前記遊星ギア20及び遊星ギア21(またはアイドラギアと呼ばれる)は太陽歯車52及びリングギア62の内の何れか1つにより駆動されて中心軸Cの円周に沿って回転を行う(
図2及び
図3参照)。前記中心軸Cは入力軸5(または太陽歯車52或いはリングギア62と呼ばれる)の軸心に位置され、前記中心軸Cは太陽歯車52及びリングギア62の輪心線となる。
【0024】
図1及び
図2を参照すれば、前記遊星ギア20及び遊星ギア21は駆動部材31に枢着されて定位される。具体的には、前記遊星ギア20及び遊星ギア21は2つの遊星ギア軸20a及び遊星ギア軸21aにより駆動部材31にそれぞれ枢着され、前記遊星ギア20及び遊星ギア21が駆動部材31の拘束を受けて各々の枢着位置の箇所で自転を行う。これにより、太陽歯車52またはリングギア62の駆動を受ける遊星ギア20及び遊星ギア21(またはアイドラギアと呼ばれる)により駆動部材31が更に連動されて前記中心軸Cに沿って自転を行う。
【0025】
図1、
図5及び
図6を参照すれば、前記複数の弾性部材3は全て条片状または板片状を呈する形体であり、且つその内の少なくとも1つの弾性部材3の板体には少なくとも1つの歪みゲージ4が配置されなければならない。ここでは、前記少なくとも1つの弾性部材3とは、複数の弾性部材3の中の1つまたは1つ以上の弾性部材の板体に歪みゲージ4が粘着されるのみでよいことを指し、且つ歪みゲージ4の弾性部材3が粘着され、歪みゲージ4の粘着される数量は1つか2つである。単一の弾性部材3に粘着される歪みゲージ4の数量が2つである場合、前記2つの歪みゲージ4は前記弾性部材3の板体の第一端面3c及び第二端面3dに対応し合って貼り合わせられる。前記弾性部材3は、例えば炭素鋼等の金属で製造される条片状の形体であり、板体の各部分は均しく同じ断面を呈し、作用力が伝導されて使用される金属材料の強度の許容範囲内で歪みが生成され、これにより、歪みゲージ4のキャリアとなる。
【0026】
各弾性部材3は全て第一端部3a及び第二端部3bを有する。第一端部3aは固定されなければならず、第二端部3bは遊星ギア20及び遊星ギア21(またはアイドラギアと呼ばれる)により負荷される反力Fの吸収に用いられる。更に詳しくは、前記弾性部材が固定される第一端部3aは固定部材30により固定され、前記固定部材30は台座32に形成されるか、或いはねじ組、溶接、ボルト締め、または一体形成等の方式により固定部材30及び台座32がハウジング1内に一体で固定されて、全装置体の固定端となる。また、固定部材30及び駆動部材31はそれぞれ独立して前記中心軸Cに沿って間隔を開けて配置される。前記駆動部材31の中心軸Cの周縁には複数の係止溝31bが設けられ、前記係止溝の数量は前記弾性部材3の配置される数量と同じかそれより多くなければならず、前記弾性部材3が遊星ギア20及び遊星ギア21(またはアイドラギアと呼ばれる)により負荷される反力Fの吸収に用いられ、第二端部3bは係止溝31b内に滑動可能または固定されて覆設される。これにより、前記弾性部材3は入力軸5の軸方向にそれぞれ相互に平行して配置される。
【0027】
このほかに、前記固定部材30及び駆動部材31(台座32を含む)の中心部にはスルーホール30a及びスルーホール31aがそれぞれ形成されて入力軸5により穿通され、固定部材30及び駆動部材31は入力軸5の軸方向にそれぞれ沿って入力軸5に対称に配置され、且つ前記入力軸5により固定部材30及び駆動部材31のスルーホール30a及びスルーホール31aが穿通されて太陽歯車52に軸着される。更には、前記弾性部材3は固定部材30と駆動部材31との間にそれぞれ配置され、前記弾性部材3が太陽歯車52の輪心(または入力軸5の軸心と呼ばれる)のラジアル線Dにそれぞれ位置される(
図4参照)。
【0028】
図6及び
図7を参照すれば、入力端として使用される太陽歯車52が時計回り方向に回転を行う場合、2つの遊星ギア20及び遊星ギア21が連動されて反時計回り方向に回転を行い、前記遊星ギア20及び遊星ギア21により出力端として使用されるリングギア62が連動されて反時計回り方向に回転を行って動力が出力される。リングギア62は外界からの負荷トルクT1及び太陽歯車52により入力されるトルクT2を克服させねばならず、且つトルクT2に減速比が乗算されて得られるトルクがトルクT1を克服させて平衡を達成させなければならない。太陽歯車52と遊星ギア20、遊星ギア21とが相互に?み合わせられる接触点に切線力F2が形成され、且つリングギア62と遊星ギア20、遊星ギア21とが相互に?み合わせられる接触点には切線力F1が形成され、前記切線力F1及びF2は相互に平行する。
【0029】
力系の平衡理論
【数1】
に基づくと、F=F1+F2と分かり、且つF1=F2=F/2であり、よって、前記切線力の総合(F1+F2)により反力Fが生成されて、遊星ギア20及び遊星ギア21(またはアイドラギアと呼ばれる)が前記中心軸Cの円周に沿って回転を行う際の負荷トルクとなる。更には、駆動部材31により遊星ギア20及び遊星ギア21が拘束されるため、原位置で自転を行えるのみになり、上述の式中のFが遊星ギア20及び遊星ギア21がその輪心により生成される反力Fとなり、この反力F(以下では円周方向の力Fと呼ばれる)は円周方向の力の方式で遊星ギア軸20a及び遊星ギア軸21aにより駆動部材31に伝達され、駆動部材31が中心軸Cの円周に沿って自転を行う。より詳しくは、この際の駆動部材31は微量の自転のみ生成でき、且つ駆動部材31が自転を行う際の回転量が各弾性部材3の末端の変形量となり、各弾性部材3が円周方向の力Fの作用を受けることにより湾曲変形が生成される。すなわち、前記遊星ギア20及び遊星ギア21により負荷される反力F(または円周方向の力Fと呼ばれる)は駆動部材31により伝導されることで、各弾性部材が須らく湾曲変形を生成させる。仮にリングギア62のピッチ円半径がRであり、遊星ギア20及び遊星ギア21の数量が2つであるならば、T1=2×(F1×R)、且つF1=T1/(2×R)であると分かる。ちなみに、入力される太陽歯車52及び出力されるリングギア62の軸着対象が互換されても、前記遊星ギア20及び遊星ギア21(またはアイドラギアと呼ばれる)により円周方向の力が形成されて弾性部材3により湾曲変形が生成される事実に影響はない。
【0030】
なお、
図8a及び
図8bを参照すれば、前記弾性部材3の第一端部3aは全て固定部材30に各々固定され(
図8a参照)、且つ前記弾性部材3の第二端部3bは全て滑動方式で駆動部材31の係止溝31bに浮動接触される。このような配置では、駆動部材31が遊星ギア20及び遊星ギア21により伝達される円周方向の力Fにより微量に自転を行って、前記弾性部材3が連動される場合(
図8b参照)、各弾性部材3の第一端部3aが固定されて不動になるため、相対的に、各弾性部材3の第二端部3bは駆動部材31により形成される微量な自転に追随して微量の移動を生じさせ、各弾性部材3により須らく湾曲変形が生成され、且つ各弾性部材3の第一端面3cが圧力を受け、第二端面3dが引張力を受ける場合、貼付方式で少なくとも1つの弾性部材3に搭載される少なくとも1つの歪みゲージ4が同期で湾曲変形の作用を受けて歪みが生成され、入力軸5と出力軸6との間の検出トルク値となる。ちなみに、前記弾性部材3の第二端部3bが固定方式で駆動部材31の係止溝31b内に結合され、前記第二端部3bが係止溝31bに浮動接触されなくなれば、駆動部材31の微量な回転により第二端部3bが追随して移動されると、このような状態では、歪みゲージ4が同様に湾曲変形の作用を受けて歪みが生成される。
【0031】
図9は本発明の以下のデータに基づいて弾性部材3が受ける作用力のシミュレーションを説明する。例えば、リングギア62により負荷されるトルクT1=2.5N-m、リングギア62のピッチ円半径R=10.5mm、及びリングギア62が遊星ギア20及び遊星ギア21に作用させる切線力F1と設定される。ここからは、以下のことが分かる。
T1=2×(F1×R)
F1=T1/(2×R)=2.5/(2×0.0105)=119.0476N=12.1394(kgf)
【0032】
弾性部材3の中心から太陽歯車52の輪心までの間隔R'=9.75(mm)、遊星ギア20及び遊星ギア21の輪心から太陽歯車52の輪心までの間隔R"=7.15(mm)と設定され、遊星ギア20及び遊星ギア21により円周方向の力Fが駆動部材31に伝達される場合、力の平行移動の原理に基づき、遊星ギア20及び遊星ギア21により負荷される円周方向の力Fはトグル弾性部材3の湾曲される順方向の推力に等しくなり、仮に各弾性部材3が受ける順方向の推力がF'であり、前記弾性部材3の数量が4つであり、2×(F×R")=4×(F'×R')である場合、以下のことが分かる。
F'=(R"/R')×(F/2)=(7.15/9.75)×12.1394=8.9022(kgf)
【0033】
前記弾性部材3の材質がJIS SK7と設定されると、検査表からその引張強度が176kgf/mm
2であり、降伏強度が158.362kgf/mm
2であり、且つヤング率Eが21,000kgf/mm
2であると分かる。また、
図10a及び
図10bを参照して説明する。各弾性部材3の長さL=20mm、幅b=4mm、厚さh=2mmと設定され、各弾性部材3が受ける順方向の推力がF'である場合、各弾性部材3の固定部材30との固定箇所での応力σは、
σ=6×L×F'/(b×h
2)=6×20×8.9022/(4×2
2)=66.766(kgf/mm
2)となる。ここから分かるように、応力σは引張強度158.362kgf/mm
2の半分より小さく、各弾性部材3は須らく十分な疲労寿命があると断定できる。
【0034】
図11に示すように、前記弾性部材3が受ける作用力がF'である場合、各弾性部材3の第二端部3bの偏移量δは、
δ=4×L
3×F'/(b×h
3×E)
=4×20
3×8.9022/(4×2
3×21000)=0.4239(mm)
となる。
【0035】
このほか、歪みゲージ4が弾性部材3に貼り合わせられる位置d=15mmと設定され、ここから、以下のことが分かる。
[曲げモーメントM]
M=F'×d=8.9022×15=133.533(kgf.mm)
[断面二次モーメントI]
I=b×h
3/12=4×2
3/12=2.6667(mm)
[曲率半径r]
r=(M/E×I)-1=(133.533/21000×2.6667)-1=419.377 (mm)
[歪み量ε]
ε=(2π(r+0.5h)-2πr)/2πr=h/2r
=2/(2×419.377)=0.002384=2.384×10-3
【0036】
ここでは、dの位置は装設の利便性及び生成可能な最大の曲げモーメントを考慮して決定され、例えば、弾性部材3上で歪みゲージ4が貼り合わせられる位置は相対的に固定部材30に近接され(すなわち、駆動部材31から離れる)、大きな歪みが生成されてより精確なトルクの計測精度が得られる。
【0037】
上述のシミュレーションに基づき、本発明は条片状の弾性部材3の一端部がトグル状態で受力されて敏感な湾曲が生成され、追随して前記歪みゲージ4により変形を生成させることが可能であることが分かり、且つ歪みゲージ4のトルクの検出精度も更に高まる。また、前記弾性部材3が入力軸5(または太陽歯車或いはリングギアと呼ばれる)の軸方向にそれぞれ相互に平行して配置され、入力軸5(または太陽歯車或いはリングギアと呼ばれる)の径方向に沿って配置されるのではなく、応用部材、設備、またはトルク検出器の径方向の体積が確実に効果的に縮減され、先行技術に対して貢献できる。
【0038】
従って、本明細書に開示された実施例は、本発明を限定するものではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の思想と範囲が限定されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲により解釈すべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。ちなみに、上述のアイドラギア2と入力軸5、出力軸6との間の配置関係は、入力軸5及び出力軸6により切線力がそれぞれ形成されて、アイドラギア2が駆動されて中心軸Cの円周に沿って回転を行い、前記切線力の総合により反力Fが生成されて、アイドラギア2が前記円周に沿って回転を行う場合の負荷トルクとなれば、本発明の思想概念の応用範籌に属し、且つ遊星ギア組に対する制限を受けない。よって、本発明は請求項中で限定される内容に準ずる。
【符号の説明】
【0039】
1 ハウジング
2 アイドラギア
20 遊星ギア
21 遊星ギア
20a 遊星ギア軸
21a 遊星ギア軸
3 弾性部材
3a 第一端部
3b 第二端部
3c 第一端面
3d 第二端面
30 固定部材
31 駆動部材
30a スルーホール
31a スルーホール
31b 係止溝
32 台座
4 歪みゲージ
5 入力軸
50 ベアリング
60 ベアリング
51 端部
61 端部
52 太陽歯車
6 出力軸
62 リングギア
D ラジアル線
C 中心軸