特開2017-116605(P2017-116605A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017116605-発光シート 図000003
  • 特開2017116605-発光シート 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-116605(P2017-116605A)
(43)【公開日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】発光シート
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20170602BHJP
   G09F 13/20 20060101ALI20170602BHJP
【FI】
   G09F3/02 W
   G09F13/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-248986(P2015-248986)
(22)【出願日】2015年12月21日
(71)【出願人】
【識別番号】515348725
【氏名又は名称】株式会社シーズン
(71)【出願人】
【識別番号】502185582
【氏名又は名称】エルティーアイ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515355066
【氏名又は名称】株式会社エーピーピー
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】吉野 弘芳
(72)【発明者】
【氏名】坂部 直基
(72)【発明者】
【氏名】平岩 一郎
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA02
5C096BA04
5C096BB34
5C096CA03
5C096CA13
5C096CA22
5C096CC15
5C096EA03
5C096FA05
(57)【要約】
【課題】表示が印刷された層を透過する光の損失を抑制して、発光層からの光を効果的に外部に供給する。
【解決手段】 発光層10の表面側に、光を透過可能な合成樹脂からなり、昇華印刷による表示20aが施されてなる光透過層20を設けた。昇華印刷によるインクは、加熱により、合成樹脂の分子構造に入り込んで光透過層を染色し、文字、図柄等の所定の表示を形成する。よって、インクによって光透過層の表面が覆われるわけではないため、シルク印刷等を施す場合と比較して、合成樹脂からなる光透過層20における光の損失が小さくなり、発光層20からの光をより強い光として放出可能で、昇華印刷により施した表示20aの視認性を高めることができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層と、
光を透過可能な合成樹脂からなり、昇華印刷による表示が施されてなると共に、前記発光層の表面側に設けられている光透過層と
を有することを特徴する発光シート。
【請求項2】
前記光透過層を形成する前記合成樹脂が、ポリエチレンテレフタレートである請求項1記載の発光シート。
【請求項3】
前記発光層が、蓄光材料を含んだ蓄光層からなる請求項1又は2記載の発光シート。
【請求項4】
前記発光層の裏面側に、さらに貼着層を有している請求項1〜3のいずれか1に記載の発光シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面側から、再帰性反射層、蓄光層、遮光層の順で積層された再帰性反射型蓄光シートが開示されている。再帰性反射層に入射した光は、一部が反射し、一部は透過して蓄光層に蓄えられる。再帰性反射層の反射による強い光を発することができる一方で、外光が減少した夜間などにおいては、蓄光層からの放光によっても光を供給できるため、例えば、表面に施した文字を光らせる避難誘導板などとして活用されている。また、背面側から強い外光が入射されるような時間帯においては、表面から放射される光が強すぎて、表面の文字などを視認しにくい場合もある。特許文献1は、その点、背面に遮光層を設けることにより、背面からの光の入射を制限し、強い外光が背面側から入射される時間帯における視認性の改善を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−164082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄光シートは、上記のように避難誘導板等として用いられるため、表面に文字等の印刷が施される。その方法として、特許文献1には、再帰性反射層を構成するガラスビーズ層上に、シランカップリング剤による表面処理を施し、その上に、デザイン文様等を印刷する技術を開示している。
【0005】
しかし、シランカップリング剤のような表面処理を行った後に印刷を行うとすると、シルク印刷等のように表面処理層の上に、インクを擦りつけて付着させる方法を用いるのが一般的である。そのため、光強度の強い反射光を利用できる昼間の時間帯はともかく、夜間等、蓄光層から徐々に放出される比較的弱い光を利用する時間帯においては、インク層によって光の一部が遮られ、光が十分には供給されない場合がある。
【0006】
このことは、蓄光層に代えて、蛍光材料を含んでなる蛍光層を用いた場合も同様であり、紫外線に励起されて発光しても、表面側にインク層が存在する場合、蛍光層の光が十分には外部に届かず、所定の表示が浮かび上がりにくいという課題がある。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、表示が印刷された層を透過する光の損失を抑制して、発光層からの光を効果的に外部に供給し、発光層の表面側において印刷されている所定の表示の視認性を高めることができる発光シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の発光シートは、発光層と、光を透過可能な合成樹脂からなり、昇華印刷による表示が施されてなると共に、前記発光層の表面側に設けられている光透過層とを有することを特徴する
【0009】
前記光透過層を形成する前記合成樹脂が、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
前記発光層が、蓄光材料を含んだ蓄光層からなることが好ましい。
前記発光層の裏面側に、さらに貼着層を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発光層の表面側に、光を透過可能な合成樹脂からなり、昇華印刷による表示が施されてなる光透過層を有している。昇華印刷によるインクは、加熱により、合成樹脂の分子構造に入り込んで光透過層を染色し、文字、図柄等の所定の表示を形成する。よって、インクによって光透過層の表面が覆われるわけではないため、シルク印刷等を施す場合と比較して、合成樹脂からなる光透過層における光の損失が小さくなる。その結果、発光層からの光をより強い光として放出可能で、昇華印刷により施した表示の視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一の実施形態に係る発光シートを示す概略斜視図である。
図2図2は、図1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて、本発明の一の実施形態を説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る発光シート1を示した断面図である。この図に示したように、本実施形態の発光シート1は、発光層10、光透過層20及び貼着層30を有している。
【0013】
発光層10は、本実施形態では、蓄光材料を含む蓄光層として形成されている。蓄光材料としては、アルミン酸ストロンチウム系の顔料等の公知の蓄光材料を挙げることができるが、いずれを用いるかは限定されるものではない。発光層10の厚さは任意であるが、例えば、10〜1500μmとすることができる。発光層10としては、蓄光材料を含有した層のみから構成されるものであってもよいが、特許文献1に記載のように、蓄光材料を含有する層の表面側(光が入射する側)に、ガラスビーズ層と透明反射層とが積層された再帰性反射層を積層した構成とすることもできるし、あるいは、これに加えて、蓄光材料を含有する層の背面側に、背面側からの光の入射を防止する遮光層を設けた構成とすることもできる。
【0014】
光透過層20は、光を透過可能な合成樹脂からなり、昇華印刷による表示20aが施されてなる。光を透過可能とするため、透明性の高いものであることが好ましく、また、昇華印刷を可能とするために、耐熱性の高い材料、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)から構成することが好ましい。厚さは、10〜1500μmとすることが好ましい。
【0015】
光透過層20には、昇華印刷による適宜の表示20aが施されている。表示20aとしては、文字、図形、記号、模様、若しくはこれらのうちの2以上の適宜の組み合わせ等とすることができる。また、表示20aを施す範囲(面積)や位置等も限定されるものではない。昇華印刷は、文字等の表示20aを転写紙に昇華印刷用のインクを用いて印刷し、その後、印刷対象物であるフィルム状やシート状に加工された光透過層20自体に該転写紙を重ね、又は、予め発光層10上に光透過層20が形成された状態で該転写紙を重ね、通常180度前後以上の熱を付与する転写機にかける。これにより、転写紙のインクが気化し、密着している光透過層20の分子間の隙間に定着する。そのため、シルク印刷等と比較して、種々の色を正確に着色できるという利点もある。
【0016】
貼着層30は、発光層10において、上記光透過層20の反対面側に積層形成される。貼着層30は、取り付け対象に少なくとも一時的に付着できる機能を果たすものである。従って、その機能は限定されるものではなく、吸着、粘着、接着のいずれの機能を有するものでもよい。取り付け対象は、本実施形態の発光シート1の用途により種々考えられ、例えば、特許文献1のように避難誘導板に取り付けることもできるし、ステッカーやワッペンとして、例えば、携帯型端末機器(スマートフォン、携帯電話、携帯型ゲーム機等)、壁、机、棚、家電製品、衣服などに取り付けることができる。
【0017】
この場合、避難誘導板のように、貼着時間が長いと想定されるものについては、貼着層30として、接着剤を用いた層とすることが好ましく、携帯型端末機器等のように、一時的に取り付ける場合には、粘着剤を用いた層としたり、細かな凹凸を有して押圧することにより吸着機能を果たす層としたりすることが好ましい。貼着層30の厚さはこれらの機能を果たすことができる限り、限定されるものではないが、通常、10〜500μmの範囲が好ましい。
【0018】
本実施形態によれば、外光を受けると、光透過層20を通して、蓄光材料を含む蓄光層として形成された発光層10に蓄光される。一方、外光がなくなると、蓄光層としての発光層10に蓄えられた光が徐々に、光透過層20を介して、外方に放出される。このとき、本実施形態によれば、光透過層20に施された表示20aが昇華印刷であり、該表示20aは、光透過層20を構成する合成樹脂の分子構造間に定着している。そのため、光透過層20上にシルク印刷等を施す従来の手段と比較して、光を遮ることがなくなって透過率が高くなる。よって、発光層10から発せられる光の外部への放出の損失が少なくなり、光透過層20に施された表示20aを目立ちやすくし、外部からの視認性を高めることができる。
【0019】
上記実施形態においては、発光層10を、蓄光材料を含んでなる蓄光層から構成しているが、蛍光材料を含んでなる蛍光層から構成することもできる。蛍光層として構成した場合にも、光透過層20に昇華印刷によって表示20aを形成していることから、上記と同様に、紫外線照射による発光が外部に放出される際の損失が、シルク印刷等によって表示20aを施す場合よりも小さくなり、光透過層20に施した文字等の表示20aが視認しやすくなる。
【0020】
発光層10は、上記のように、蓄光層、蛍光層のいずれで形成することもできるが、特許文献1のように、主として避難誘導板に貼着して使用する場合には、夜間等においても長時間発光可能な蓄光層として形成することが好ましい。また、壁、机、衣服等に貼着するステッカーやワッペン等として用いる場合も、夜間等でも発光可能な蓄光層として形成すると、視覚的に確認できる時間が増えるため好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の発光シートは、避難誘導板、壁、机、衣服等に貼着するステッカーやワッペン等として用いることができるほか、メモ帳、ノート等として用い、適宜のメモ等を記すことに使用することもできる。この場合も、発光層の光により所定の文字や図形等の表示が浮かび上がる印象を与えることができるため、メモ書き等を行う場合の楽しみが増したり、夜間や非常時などにおいて、メモ帳等の位置を容易に把握できる等の利点がある。
【符号の説明】
【0022】
1 発光シート
10 発光層
20 光透過層
20a 表示
30 貼着層
図1
図2