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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-116795(P2017-116795A)
(43)【公開日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】撮像レンズおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/04 20060101AFI20170602BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20170602BHJP
【FI】
   G02B13/04 D
   G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-253780(P2015-253780)
(22)【出願日】2015年12月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】萩原 宏行
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087MA03
2H087NA08
2H087PA04
2H087PA05
2H087PA17
2H087PB04
2H087PB05
2H087QA03
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA19
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA34
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087UA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】雰囲気温度が大きく変化した場合でも合焦位置変動や画角変動が少なく、良好な光学性能を確保でき、軽量で安価な撮像レンズおよび撮像装置を提供する。
【解決手段】物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズG11と、後続レンズ群GR1と、が配置されて構成され、後続レンズ群GR1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2レンズG12と、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第3レンズG13と、負の屈折力を有する第4レンズG14と、が配置されて構成され、第3レンズG13および第4レンズG14は、樹脂で構成されており、第3レンズG13と第4レンズG14は、光軸上に空気間隔を隔てて隣接して配置されており、所定の条件式を満足する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に配置された、負の屈折力を有する第1レンズと、複数のレンズで構成された後続レンズ群と、からなり、
前記後続レンズ群は、光軸上に空気間隔を隔てて隣接して配置された少なくとも1組以上の樹脂レンズを備え、
以下に示す条件式を満足することを特徴とする撮像レンズ。
(1) |frp|/f>30
ただし、frpは前記後続レンズ群内に配置されたいずれか1組の樹脂レンズの合成焦点距離、fは前記撮像レンズ全系の焦点距離を示す。
【請求項2】
前記第1レンズは、両面が凹形状であることを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項3】
以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像レンズ。
(2) 0.8<|f1|/f<2.0
ただし、f1は前記第1レンズの焦点距離を示す。
【請求項4】
前記後続レンズ群の最も物体側には、正の屈折力を有する第2レンズが配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の撮像レンズ。
【請求項5】
以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項4に記載の撮像レンズ。
(3) 0.8<f2/f<4.0
ただし、f2は前記第2レンズの焦点距離を示す。
【請求項6】
前記第2レンズは、両面が凸形状であることを特徴とする請求項4または5に記載の撮像レンズ。
【請求項7】
以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載の撮像レンズ。
(4) 60.0<ν2
(5) 10.0<ν2−ν1
ただし、ν2は前記第2レンズのd線に対するアッベ数、ν1は前記第1レンズのd線に対するアッベ数を示す。
【請求項8】
前記後続レンズ群内に隣接して配置されたいずれか1組の樹脂レンズは、以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の撮像レンズ。
(6) −2.0<Rp1a/Rp2a<−0.5
ただし、Rp1aは当該隣接して配置された1組の樹脂レンズのうち、物体側に配置された樹脂レンズの曲率が強い方の面の近軸曲率半径、Rp2aは当該隣接して配置された1組の樹脂レンズのうち、像面側に配置された樹脂レンズの曲率が強い方の面の近軸曲率半径を示す。
【請求項9】
前記後続レンズ群内に隣接して配置されたいずれか1組の樹脂レンズは、以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の撮像レンズ。
(7) −2.0<Rp1b/Rp2b<−0.05
ただし、Rp1bは当該隣接して配置された1組の樹脂レンズのうち、物体側に配置された樹脂レンズの曲率が弱い方の面の近軸曲率半径、Rp2bは当該隣接して配置された1組の樹脂レンズのうち、像面側に配置された樹脂レンズの曲率が弱い方の面の近軸曲率半径を示す。
【請求項10】
前記後続レンズ群内に隣接して配置されたいずれか1組の樹脂レンズは、各樹脂レンズの少なくとも1面に非球面が形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の撮像レンズ。
【請求項11】
前記後続レンズ群は、前記第2レンズの像面側に、順に、正の屈折力を有する第3レンズと、負の屈折力を有する第4レンズと、を備えていることを特徴とする請求項4〜9のいずれか一つに記載の撮像レンズ。
【請求項12】
以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項11に記載の撮像レンズ。
(8) 0.8<f3/f<2.0
ただし、f3は前記第3レンズの焦点距離を示す。
【請求項13】
以下に示す条件式を満足することを特徴とする請求項11または12に記載の撮像レンズ。
(9) −2.0<f4/f<−0.6
ただし、f4は前記第4レンズの焦点距離を示す。
【請求項14】
前記第3レンズは、両面が凸形状であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一つに記載の撮像レンズ。
【請求項15】
前記第4レンズは、両面が凹形状であることを特徴とする請求項11〜14のいずれか一つに記載の撮像レンズ。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一つに記載の撮像レンズと、該撮像レンズによって結像した像を電気的信号に変換する撮像素子と、を備えたことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温時や高温時でも良好な光学性能を確保することが可能な撮像レンズ、およびそれを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの固体撮像素子が備えられた撮像装置において、高機能化とともに、装置全体の小型化が促進されている。とりわけ、屋内外に設置される監視用カメラ、防犯カメラ、車載用カメラなどは、設置されるスペースが限られることが多いことなどから、より小型であることが要求される。これに伴い、監視用カメラ、防犯カメラ、車載用カメラなどに搭載される撮像レンズにおいても、さらなる小型化、高性能化が求められている。
【0003】
監視用カメラ、防犯カメラ、車載用カメラなどに搭載される撮像レンズとしては、長期使用に耐えうる信頼性と低コスト化の観点から、ピント調整を行うアクチュエータを必要としない固定焦点レンズが広く用いられている。監視用カメラ、防犯カメラは、気温の変化が大きい屋外に設置されること多い。また、車載用カメラは、特に夏季に高温になるおそれのある車内に設置されることもある。このため、監視用カメラ、防犯カメラ、車載用カメラに搭載される撮像レンズには、常温での光学性能を確保することはもちろん、温度変化が発生しても合焦位置変動が少なく、さらには高温および低温の環境下でも良好の光学性能を保つことが要求される。そこで、かかる要求に応えるべく、監視用カメラ、防犯カメラ、車載用カメラなどに搭載可能な種々の撮像レンズが提案されている(たとえば、特許文献1〜3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−107532号公報
【特許文献2】特開2011−257462号公報
【特許文献3】特開2015−143796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば、特許文献1に記載の撮像レンズは、物体側から順に、負レンズ、正レンズ、正レンズ、負レンズ、正レンズの5枚のレンズを配置して構成され、全てガラス球面レンズとすることで、低温から高温までの幅広い温度領域における環境耐性を高めている。しかし、特許文献1に記載の撮像レンズのように、全て球面レンズで構成すると、特に像面湾曲の補正が困難になり、小型で良好な光学性能を得ることが難しいという問題がある。特に、監視用カメラ、防犯カメラ、車載用カメラなどでは取得する情報量の拡大を目指しているため、高画素に対応したレンズが求められており、良好な光学性能を得ることが難しい特許文献1に記載の撮像レンズは不適である。
【0006】
特許文献2に記載の撮像レンズは、物体側より順に、負レンズ、正レンズ、負レンズ、正レンズを配置して構成し、非球面を設けることで像面湾曲など諸収差を適切に除去し良好な光学性能を維持できるため、特許文献1に記載の撮像レンズが有する問題は解決できる。しかし、非球面をガラスレンズに設けていることから高価であり、製造コストの低減が難しいという問題が残る。
【0007】
特許文献3に記載の撮像レンズは、物体側から順に、負レンズ、正レンズ、樹脂レンズ2枚を接合したレンズを配置して構成し、樹脂レンズに非球面を設けることで、良好な光学性能を維持しつつ製造コストの低減が可能になっていることから、特許文献2に記載の撮像レンズが有する問題は解決できる。しかし、特許文献3に記載の撮像レンズは、樹脂レンズの屈折力配置が適切でなく、雰囲気温度に変化が生じた場合、画角変化の発生が著しいため、好ましくない。
【0008】
近年、樹脂レンズ材料の環境耐性が高まってきたことで、雰囲気温度の変化が大きい場所に設置される監視用カメラ、防犯カメラ、車載用カメラなどにも樹脂レンズの使用が可能になりつつある。しかしながら、樹脂レンズは、ガラスレンズと比較して温度変化による屈折率変化、形状変化が大きいため、温度変化時の合焦位置変動を抑え、光学性能が劣化しない構成が求められる。さらには、撮像レンズと撮像素子とで取得した情報によりセンシング(取得した画像を基に情報抽出)を行う際、温度変化によって取得画像の画角変化がないことが強く求められている。
【0009】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、雰囲気温度が大きく変化した場合でも合焦位置変動や画角変動が少なく、低温時や高温時でも良好な光学性能を確保できる、広角で軽量な撮像レンズを安価で提供することを目的とする。さらに、雰囲気温度が大きく変化した場合でも合焦位置変動や画角変動が少なく、低温時や高温時でも良好な光学性能を確保できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる撮像レンズは、物体側から順に配置された、負の屈折力を有する第1レンズと、複数のレンズで構成された後続レンズ群と、からなり、前記後続レンズ群は、光軸上に空気間隔を隔てて隣接して配置された少なくとも1組以上の樹脂レンズを備え、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(1) 30<|frp|/f
ただし、frpは前記後続レンズ群内に配置されたいずれか1組の樹脂レンズの合成焦点距離、fは前記撮像レンズ全系の焦点距離を示す。
【0011】
本発明によれば、雰囲気温度が大きく変化した場合でも合焦位置変動や画角変動が少なく、低温時や高温時でも良好な光学性能を確保でき、さらには広角で軽量な撮像レンズを安価で提供することができる。
【0012】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、前記発明において、前記第1レンズは、両面が凹形状であることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、第1レンズの小径化を図っても良好な光学性能を確保することができる。
【0014】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、前記発明において、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(2) 0.8<|f1|/f<2.0
ただし、f1は前記第1レンズの焦点距離を示す。
【0015】
本発明によれば、第1レンズの小径化を図るとともに、光学性能を向上させることができる。
【0016】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、前記発明において、前記後続レンズ群の最も物体側に、正の屈折力を有する第2レンズが配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、第2レンズに後続するレンズの小径化を図り、撮像レンズの小型化を促進することができる。
【0018】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、前記発明において、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(3) 0.8<f2/f<4.0
ただし、f2は前記第2レンズの焦点距離を示す。
【0019】
本発明によれば、撮像レンズの小型化と良好な光学性能の確保が可能になる。
【0020】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、前記発明において、前記第2レンズは、両面が凸形状であることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、撮像レンズの小型化と光学性能の向上を図ることができる。
【0022】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、前記発明において、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(4) 60.0<ν2
(5) 10.0<ν2−ν1
ただし、ν2は前記第2レンズのd線に対するアッベ数、ν1は前記第1レンズのd線に対するアッベ数を示す。
【0023】
本発明によれば、色収差を良好に補正することができる。
【0024】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、前記発明において、前記後続レンズ群内に隣接して配置されたいずれか1組の樹脂レンズが、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(6) −2.0<Rp1a/Rp2a<−0.5
ただし、Rp1aは当該隣接して配置された1組の樹脂レンズのうち、物体側に配置された樹脂レンズの曲率が強い方の面の近軸曲率半径、Rp2aは当該隣接して配置された1組の樹脂レンズのうち、像面側に配置された樹脂レンズの曲率が強い方の面の近軸曲率半径を示す。
【0025】
本発明によれば、雰囲気温度の変化に伴う画角変化を抑制することができる。
【0026】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、前記発明において、前記後続レンズ群内に隣接して配置されたいずれか1組の樹脂レンズが、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(7) −2.0<Rp1b/Rp2b<−0.05
ただし、Rp1bは当該隣接して配置された1組の樹脂レンズのうち、物体側に配置された樹脂レンズの曲率が弱い方の面の近軸曲率半径、Rp2bは当該隣接して配置された1組の樹脂レンズのうち、像面側に配置された樹脂レンズの曲率が弱い方の面の近軸曲率半径を示す。
【0027】
本発明によれば、雰囲気温度の変化に伴う画角変化を抑制することができる。
【0028】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、前記発明において、前記後続レンズ群内に隣接して配置されたいずれか1組の樹脂レンズは、各樹脂レンズの少なくとも1面に非球面が形成されていることを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、諸収差をさらに良好に補正することができる。
【0030】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、前記発明において、前記後続レンズ群は、前記第2レンズの像面側に、順に、正の屈折力を有する第3レンズと、負の屈折力を有する第4レンズと、を備えていることを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、撮像レンズの小型化と良好な光学性能の確保が可能になる。
【0032】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、前記発明において、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(8) 0.8<f3/f<2.0
ただし、f3は前記第3レンズの焦点距離を示す。
【0033】
本発明によれば、撮像レンズの小型化と良好な光学性能の確保が可能になる。
【0034】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、前記発明において、以下に示す条件式を満足することを特徴とする。
(9) −2.0<f4/f<−0.6
ただし、f4は前記第4レンズの焦点距離を示す。
【0035】
本発明によれば、撮像レンズの小型化と良好な光学性能の確保が可能になる。
【0036】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、前記発明において、前記第3レンズは、両面が凸形状であることを特徴とする。
【0037】
本発明によれば、撮像レンズの光学性能の向上を図ることができる。
【0038】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、前記発明において、前記第4レンズは、両面が凹形状であることを特徴とする。
【0039】
本発明によれば、撮像レンズの光学性能の向上を図ることができる。
【0040】
また、本発明にかかる撮像装置は、前記撮像レンズと、該撮像レンズによって結像した像を電気的信号に変換する撮像素子と、を備えたことを特徴とする。
【0041】
本発明によれば、雰囲気温度が大きく変化した場合でも合焦位置変動や画角変動が少なく、低温時や高温時でも良好な光学性能を確保できる撮像装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、雰囲気温度が大きく変化した場合でも合焦位置変動や画角変動が少なく、低温時や高温時でも良好な光学性能を確保でき、さらには軽量な撮像レンズを安価で提供することができるという効果を奏する。また、雰囲気温度が大きく変化した場合でも合焦位置変動や画角変動が少なく、低温時や高温時でも良好な光学性能を確保可能な撮像装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】実施例1にかかる撮像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図2】実施例1にかかる撮像レンズの縦収差図である。
図3】実施例2にかかる撮像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図4】実施例2にかかる撮像レンズの縦収差図である。
図5】実施例3にかかる撮像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図6】実施例3にかかる撮像レンズの縦収差図である。
図7】実施例4にかかる撮像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図8】実施例4にかかる撮像レンズの縦収差図である。
図9】実施例5にかかる撮像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図10】実施例5にかかる撮像レンズの縦収差図である。
図11】実施例6にかかる撮像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図12】実施例6にかかる撮像レンズの縦収差図である。
図13】実施例7にかかる撮像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
図14】実施例7にかかる撮像レンズの縦収差図である。
図15】本発明にかかる撮像レンズを備えた撮像装置の一適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明にかかる撮像レンズおよび撮像装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0045】
本発明は、雰囲気温度が大きく変化した場合でも合焦位置変動や画角変動が少なく、低温時や高温時でも良好な光学性能を確保できる、広角で軽量な撮像レンズを安価で提供することを目的としている。
【0046】
そこで、本発明にかかる撮像レンズは、物体側から順に配置された、負の屈折力を有する第1レンズと、複数のレンズで構成された後続レンズ群と、から構成する。そして、後続レンズ群に、光軸上に空気間隔を隔てて隣接して配置された少なくとも1組以上の樹脂レンズを備えている。
【0047】
本発明にかかる撮像レンズは、取得する情報量の拡大を目指す監視用カメラ、防犯カメラ、車載用カメラなどの撮像装置に対応させるため、最も物体側に配置される第1レンズを負レンズとしたことで広角化(画角が60〜70°程度)を実現する。さらに、後続レンズ群に光軸上に空気間隔を隔てて隣接して配置された少なくとも1組以上の樹脂レンズを備えたことで、製造コストの低減および軽量化を図ることが可能になる。樹脂レンズ同士を隣合わせて配置したことで、ガラスレンズと比較して温度変化による屈折率変化および形状変化を相殺させることが容易になって、雰囲気温度が大きく変化した場合であっても合焦位置変動および画角変動の抑制が可能になる。
【0048】
特に、本発明にかかる撮像レンズにおいて、温度変化時に生じる画角変動を抑制するため、上記構成を前提に、後続レンズ群内に配置されたいずれか1組の樹脂レンズの合成焦点距離をfrp、撮像レンズ全系の焦点距離をfとするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(1) 30<|frp|/f
【0049】
条件式(1)は、撮像レンズ全系の焦点距離に対する後続レンズ群内に配置された、いずれか1組の樹脂レンズの合成焦点距離の比を規定する式である。本発明にかかる撮像レンズは、上記構成のもと、条件式(1)を満足することにより、雰囲気温度が大きく変化した場合でも合焦位置変動や画角変動が少なく、低温時や高温時でも良好な光学性能を確保できる、広角で軽量な撮像レンズを安価で提供することができる。
【0050】
条件式(1)においてその下限を下回ると、後続レンズ群内に配置されたいずれか1組の樹脂レンズの合成屈折力が強くなりすぎてしまい、温度変化時に画角変動が発生して、光学性能の劣化を招くため、好ましくない。
【0051】
なお、上記条件式(1)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(1a) 32<|frp|/f<80
【0052】
この条件式(1a)で規定する範囲を満足することにより、温度変化時に生じうる画角変動をより強く抑制して、さらに良好な光学性能を確保することができる。なお、条件式(1a)の上限を超えない状態であれば、後続レンズ群内に配置されたいずれか1組の樹脂レンズの収斂作用が弱まるのを防止でき、結果として撮像レンズの全長が延びることを防ぐことができるので、より好ましい。
【0053】
さらに、本発明にかかる撮像レンズでは、第1レンズの両面が凹形状であることが好ましい。第1レンズを両凹形状とすることで、負の屈折力を物体側と像側とに分散し、偏心による片ボケの劣化を抑えることが可能になる。この結果、強い負の屈折力を第1レンズに付与し、第1レンズの小径化を図っても、良好な光学性能を確保することができる。
【0054】
さらに、本発明にかかる撮像レンズでは、第1レンズの焦点距離をf1、撮像レンズ全系の焦点距離をfとするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(2) 0.8<|f1|/f<2.0
【0055】
条件式(2)は、撮像レンズ全系の焦点距離に対する第1レンズの焦点距離の比を規定する式である。条件式(2)を満足することで、第1レンズの小径化を図るとともに、光学性能を向上させることができる。
【0056】
条件式(2)においてその下限を下回ると、第1レンズの屈折力が強くなりすぎて、球面収差の補正が困難になり、良好な光学性能の確保が難しくなる。一方、条件式(2)においてその上限を超えると、第1レンズの屈折力が弱くなりすぎて、広角化のためには第1レンズの口径を大きくせざるを得なくなってしまい、撮影レンズの大型化を招くため、好ましくない。監視用カメラ、防犯カメラ、車載用カメラなどは、被写体側からカメラの存在を目立たなくする必要があるため、装置の小型化が要求される。したがって、大型化した撮像レンズは、好ましくない。
【0057】
なお、上記条件式(2)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(2a) 1.2<|f1|/f<1.6
【0058】
さらに、本発明にかかる撮像レンズは、続レンズ群の最も物体側に正の屈折力を有する第2レンズが配置されていることが好ましい。続レンズ群の最も物体側に正の屈折力を有する第2レンズを配置することにより、第1レンズからの光線束を絞り、第2レンズに後続するレンズの小径化を図り、撮像レンズの小型化を促進することができる。
【0059】
さらに、本発明にかかる撮像レンズでは、第2レンズの焦点距離をf2、撮像レンズ全系の焦点距離をfとするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(3) 0.8<f2/f<4.0
【0060】
条件式(3)は、撮像レンズ全系の焦点距離に対する第2レンズの焦点距離の比を規定する式である。条件式(3)を満足することで、撮像レンズの小型化と良好な光学性能の確保が可能になる。
【0061】
条件式(3)においてその下限を下回ると、第2レンズの屈折力が強くなりすぎて、コマ収差や像面湾曲の補正が困難になり、良好な光学性能の確保が難しくなる。また、第2レンズの偏心感度が高くなるため、撮像レンズの組立性も悪化する。一方、条件式(3)においてその上限を超えると、第2レンズでの収斂効果が弱くなり、撮像レンズの全長が延び、撮像レンズの小型化が困難になるため、好ましくない。
【0062】
なお、上記条件式(3)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(3a) 1.1<f2/f<1.7
【0063】
さらに、本発明にかかる撮像レンズでは、第2レンズの両面が凸形状であることが好ましい。第2レンズを両凸形状とすることで、正の屈折力を物体側と像側とに分散し、偏心による球面収差の劣化を抑え、良好な光学性能を確保することができる。また、強い正の屈折力を第2レンズに付与して光線束を収斂させることで、撮像レンズの全長を短くすることができる。
【0064】
さらに、本発明にかかる撮像レンズでは、第2レンズのd線(587.56nm)に対するアッベ数をν2、第1レンズのd線に対するアッベ数をν1とするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(4) 60.0<ν2
(5) 10.0<ν2−ν1
【0065】
条件式(4)は、第2レンズのd線に対するアッベ数を規定し、色収差を良好に補正するための条件を示す式である。
【0066】
条件式(4)においてその下限を下回ると、軸上色収差および倍率色収差が悪化し、光学性能の劣化を招くため、好ましくない。また、条件式(4)においてその下限を下回ると、屈折率の温度係数(dn/dT)が負となる硝材は少ないため、第2レンズを構成する硝材の選択幅が狭まり、コスト高を招くおそれがある。そこで、第2レンズを構成する際の硝材は、条件式(4)の規定範囲内に比較的多く存在する屈折率の温度係数が負となる硝材を選択することが好ましい。なお、第2レンズを屈折率の温度係数が負の硝材を用いて構成する目的は、雰囲気温度の変化に伴う撮像レンズ全系の合焦位置の変動を抑制することを容易にするためである(詳細は後述)。
【0067】
なお、上記条件式(4)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(4a) 65.0<ν2<96
【0068】
この条件式(4a)で規定する範囲を満足することにより、色収差をより良好に補正することができる。なお、条件式(4a)の上限を超えない状態であれば、色収差の過剰補正という問題が発生するおそれがないため、より好ましい。
【0069】
また、条件式(5)は、第2レンズのd線に対するアッベ数と第1レンズのd線に対するアッベ数との差を規定し、色収差を良好に補正するための条件を示す式である。
【0070】
条件式(5)においてその下限を下回ると、軸上色収差および倍率色収差が悪化し、光学性能が低下してしまうため好ましくない。
【0071】
なお、上記条件式(5)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(5a) 15.0<ν2−ν1<35
【0072】
この条件式(5a)で規定する範囲を満足することにより、色収差をより良好に補正することができる。なお、条件式(5a)の上限を超えない状態であれば、色収差の過剰補正という問題が発生するおそれがないため、より好ましい。
【0073】
本発明では、条件式(4)および条件式(5)を共に満足することが、雰囲気温度の変化に伴う撮像レンズ全系の合焦位置の変動を抑制する上で好ましい。このとき、第2レンズを構成する硝材の屈折率の温度係数が負であり、第1レンズを構成する硝材の屈折率の温度係数が正であることが好ましい。第2レンズおよび第1レンズの各硝材の屈折率の温度係数が上記関係を満足する場合、温度変化に伴う屈折率変化を相殺することができる。この結果、雰囲気温度の変化に伴う合焦位置の変動を抑制し、高温時または低温時の環境下においても鮮明な被写体像を取得することが容易になる。このため、温度変化が大きくなりうる屋外等に設置される撮像装置にも好適な撮像レンズとなる。
【0074】
さらに、本発明にかかる撮像レンズにおいて、後続レンズ群内に隣接して配置されたいずれか1組の樹脂レンズのうち、物体側に配置された樹脂レンズの曲率が強い方の面の近軸曲率半径をRp1a、像面側に配置された樹脂レンズの曲率が強い方の面の近軸曲率半径をRp2aとするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(6) −2.0<Rp1a/Rp2a<−0.5
【0075】
条件式(6)は、当該後続レンズ群内に隣接して配置された1組の樹脂レンズのうち、像面側に配置された樹脂レンズの曲率が強い方の面の近軸曲率半径と、物体側に配置された樹脂レンズの曲率が強い方の面の近軸曲率半径の比を規定する式である。条件式(6)を満足することにより、温度変化時に当該後続レンズ群内に隣接して配置された1組の樹脂レンズのそれぞれの面の屈折力変化を相殺して画角変化を抑制することができる。
【0076】
条件式(6)において規定される範囲から外れた場合、当該後続レンズ群内に隣接して配置された1組の樹脂レンズにおいて、曲率の強い方の面同士の近軸曲率半径の差が大きくなりすぎて、雰囲気温度の変化に伴う樹脂レンズの形状変化量の差が顕著になり、温度変化時の画角変化が大きくなってしまう。この結果、特に被写体情報を元にセンシングを行う際、想定情報と異なる結果が発生してしまうため、好ましくない。
【0077】
なお、上記条件式(6)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(6a) −1.5<Rp1a/Rp2a<−0.8
【0078】
さらに、本発明にかかる撮像レンズにおいて、後続レンズ群内に隣接して配置されたいずれか1組の樹脂レンズのうち、物体側に配置された樹脂レンズにおける、曲率が弱い方の面の近軸曲率半径をRp1b、像面側に配置された樹脂レンズにおける、曲率が弱い方の面の近軸曲率半径をRp2bとするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(7) −2.0<Rp1b/Rp2b<−0.05
【0079】
条件式(7)は、当該後続レンズ群内に隣接して配置された1組の樹脂レンズのうち、像面側に配置された樹脂レンズの曲率が弱い方の面の近軸曲率半径と、物体側に配置された樹脂レンズの曲率が弱い方の面の近軸曲率半径の比を規定する式である。条件式(7)を満足することにより、温度変化時に当該後続レンズ群内に隣接して配置された1組の樹脂レンズのそれぞれの面の屈折力変化を相殺して画角変化を抑制することができる。
【0080】
条件式(7)において規定される範囲から外れた場合、当該後続レンズ群内に隣接して配置された1組の樹脂レンズにおいて、それぞれの曲率の弱い方の面の近軸曲率半径の差が大きくなりすぎて、雰囲気温度の変化に伴う樹脂レンズの形状変化量の差が顕著になり、温度変化時の画角変化が大きくなってしまう。この結果、特に被写体情報を元にセンシングを行う際、想定情報と異なる結果が発生してしまうため、好ましくない。
【0081】
なお、上記条件式(7)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(7a) −1.5<Rp1b/Rp2b<−0.1
【0082】
さらに、本発明にかかる撮像レンズでは、後続レンズ群内に隣接して配置されたいずれか1組の樹脂レンズにおいて、各樹脂レンズの少なくとも1面に非球面が形成されていることが好ましい。このようにすることで、諸収差をさらに良好に補正することができる。後続レンズ群内に隣接して配置された1組の樹脂レンズのうち、物体側に配置された樹脂レンズに少なくとも1面の非球面を形成することで、特に球面収差を良好に補正することが可能になる。一方、像面側に配置された樹脂レンズに少なくとも1面の非球面を形成することで、特にコマ収差を良好に補正することができる。
【0083】
さらに、本発明にかかる撮像レンズでは、後続レンズ群は、第2レンズの像面側に、順に、正の屈折力を有する第3レンズと、負の屈折力を有する第4レンズと、を配置して構成することが好ましい。このようにすることで、本発明にかかる撮像レンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、負の屈折力を有する第4レンズと、が配置された構成になり、少ないレンズ枚数で画角が60〜70°程度の広角化を達成したうえで、良好な光学性能を確保することが可能になる。
【0084】
なお、後続レンズ群を構成するレンズにおいて、第3レンズに負の屈折力を、第4レンズに正の屈折力を付与した構成としても良好な光学性能を確保することができる。しかし、前述のように、第3レンズに正の屈折力を、第4レンズに負の屈折力を付与した構成とすることが、より好ましい。第3レンズに正の屈折力を付与することで、正の屈折力を有する第2レンズとこの第3レンズによって、正の屈折力を分散することができ、明るいレンズでもあっても良好な光学性能を確保することが可能になる。
【0085】
さらに、本発明にかかる撮像レンズでは、第3レンズの焦点距離をf3、撮像レンズ全系の焦点距離をfとするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(8) 0.8<f3/f<2.0
【0086】
条件式(8)は、撮像レンズ全系の焦点距離に対する第3レンズの焦点距離の比を規定する式である。条件式(8)を満足することにより、撮像レンズの小型化と良好な光学性能の確保が可能になる。
【0087】
条件式(8)においてその下限を下回ると、第3レンズの屈折力が強くなりすぎて、球面収差の補正が困難になり、良好な光学性能の確保が困難となる。一方、条件式(8)においてその上限を超えると、第3レンズでの収斂効果が弱くなり、撮像レンズの全長が長くなってしまうため、好ましくない。
【0088】
なお、上記条件式(8)は、次に示す範囲を満足すると、より好ましい効果が期待できる。
(8a) 1.2<f3/f<1.5
【0089】
さらに、本発明にかかる撮像レンズでは、第4レンズの焦点距離をf4、撮像レンズ全系の焦点距離をfとするとき、次の条件式を満足することが好ましい。
(9) −2.0<f4/f<−0.6
【0090】
条件式(9)は撮像レンズ全系の焦点距離に対する第4レンズの焦点距離の比を規定する式である。条件式(9)を満足することにより、撮像レンズの小型化と良好な光学性能の確保が可能になる。
【0091】
条件式(9)においてその下限を下回ると、第4レンズの屈折力が強くなりすぎて、像面湾曲の補正が困難になり、良好な光学性能の確保が難しくなる。一方、条件式(9)においてその上限を超えると、第4レンズでの発散効果が弱くなり、所望の像高を確保するために撮像レンズの全長を長くせざるを得なくなり、好ましくない。
【0092】
さらに、本発明にかかる撮像レンズでは、第3レンズの両面が凸形状であることが好ましい。第3レンズを両凸形状とすることで、正の屈折力を物体側と像側とに分散し、偏心による球面収差および片ボケの劣化を抑え、光学性能を向上させることができる。
【0093】
さらに、本発明にかかる撮像レンズでは、第4レンズの両面が凹形状であることが好ましい。第4レンズを両凹形状とすることで、負の屈折力を物体側と像側とに分散し、偏心による片ボケの劣化を抑え、光学性能を向上させることができる。
【0094】
以上説明したように、本発明にかかる撮像レンズは、上記構成を備え、上記条件式を満足することにより、雰囲気温度が大きく変化した場合でも合焦位置変動や画角変動が少なく、低温時や高温時でも良好な光学性能を確保できる。また、樹脂レンズを採用したことにより、軽量で安価なものになる。さらに、広角で、Fナンバーが小さくなるようにしても、高い光学性能を確保することができる。かかる特徴を備えた本発明の撮像レンズは、特に雰囲気温度の変化が著しい条件下で使用される監視用カメラ、防犯カメラ、車載用カメラなどに好適である。
【0095】
さらに、本発明は、雰囲気温度が大きく変化した場合でも合焦位置変動や画角変動が少なく、低温時や高温時でも良好な光学性能を確保できる撮像装置を提供することを目的としている。この目的を達成するためには、上記構成を備えた撮像レンズと、この撮像レンズによって結像した像を電気的信号に変換する撮像素子と、を備えて撮像装置を構成すればよい。このようにすることで、特に雰囲気温度の変化が著しい条件下での使用に適した撮像装置を実現することができる。
【0096】
以下、本発明にかかる撮像レンズの実施例を図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0097】
図1は、実施例1にかかる撮像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。この撮像レンズは、図示しない物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズG11と、後続レンズ群GR1と、が配置されて構成される。第1レンズG11は、両凹レンズで構成されている。後続レンズ群GR1と、像面IPとの間には、光学ブロックGが配置されている。光学ブロックGは、光学フィルタや、フェースプレート、水晶ローパスフィルタ、赤外カットフィルタ等に相当するものである。
【0098】
後続レンズ群GR1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2レンズG12と、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第3レンズG13と、負の屈折力を有する第4レンズG14と、が配置されて構成される。第2レンズG12は、両凸レンズで構成されている。開口絞りSPは、物体側から像面IP側へ入射する光線束(光量)を制限するためのものである。第3レンズG13は、両凸レンズで構成されている。第4レンズG14は、両凹レンズで構成されている。第3レンズG13および第4レンズG14は、樹脂で構成されている。第3レンズG13と第4レンズG14は、光軸上に空気間隔を隔てて隣接して配置されている。また、第3レンズG13および第4レンズG14は、いずれの面にも非球面が形成されている。
【0099】
以下、実施例1にかかるズームレンズに関する各種数値データを示す。
【0100】
(面データ)
1=-33.400
1=0.600 nd1=1.5688 νd1=56.04
2=4.830
2=7.982
3=6.050
3=3.790 nd2=1.4971 νd2=81.56
4=-8.630
4=0.150
5=∞(開口絞り)
5=0.721
6=25.000(非球面)
6=3.190 nd3=1.5444 νd3=54.79
7=-4.339(非球面)
7=0.384
8=-41.905(非球面)
8=0.700 nd4=1.6397 νd4=23.53
9=4.342(非球面)
9=5.759
10=∞
10=0.800 nd5=1.5168 νd5=64.2
11=∞
11=0.125
12=∞(像面)
【0101】
円錐係数(k)および非球面係数(A4,A6,A8,A10,A12
(第6面)
k=1.5469×10-4
4=-5.5335×10-3,A6=-1.9975×10-4,A8=-7.2714×10-5
10=1.1588×10-5,A12=-1.0882×10-6
(第7面)
k=1.2651,
4=9.2849×10-4,A6=1.5161×10-5,A8=9.3017×10-5
10=-1.5837×10-5,A12=1.5942×10-6
(第8面)
k=1.2717×10-4
4=1.3121×10-3,A6=2.9631×10-4,A8=-3.3508×10-4
10=8.1224×10-5,A12=-6.6253×10-6
(第9面)
k=-7.4779×10-3
4=2.8519×10-3,A6=2.0695×10-4,A8=-3.8195×10-4
10=9.3914×10-5,A12=-8.5586×10-6
【0102】
(各種データ)
焦点距離 5.4643
Fナンバー 2.4
半画角(ω) 32.636
像高 3.15
レンズ全長 24.2
バックフォーカス(空気換算長) 6.412
【0103】
(条件式(1)に関する数値)
|frp|/f=57.37
【0104】
(条件式(2)に関する数値)
|f1|/f=1.35
【0105】
(条件式(3)に関する数値)
f2/f=1.43
【0106】
(条件式(4)に関する数値)
ν2=81.56
【0107】
(条件式(5)に関する数値)
ν2−ν1=25.52
【0108】
(条件式(6)に関する数値)
Rp1a/Rp2a=-1.00
【0109】
(条件式(7)に関する数値)
Rp1b/Rp2b=-0.60
【0110】
(条件式(8)に関する数値)
f3/f=1.29
【0111】
(条件式(9)に関する数値)
f4/f=-1.12
【0112】
図2は、実施例1にかかるズームレンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、Fnoで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はC線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、yで示す)を表し、実線はサジタル平面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル平面(図中、Mで示す)でのd線に相当する波長の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、yで示す)を表し、実線はd線に相当する波長の特性を示している。
【実施例2】
【0113】
図3は、実施例2にかかる撮像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。この撮像レンズは、図示しない物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズG21と、後続レンズ群GR2と、が配置されて構成される。第1レンズG21は、両凹レンズで構成されている。後続レンズ群GR2と、像面IPとの間には、光学ブロックGが配置されている。光学ブロックGは、光学フィルタや、フェースプレート、水晶ローパスフィルタ、赤外カットフィルタ等に相当するものである。
【0114】
後続レンズ群GR2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2レンズG22と、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第3レンズG23と、負の屈折力を有する第4レンズG24と、が配置されて構成される。第2レンズG22は、両凸レンズで構成されている。開口絞りSPは、物体側から像面IP側へ入射する光線束(光量)を制限するためのものである。第3レンズG23は、両凸レンズで構成されている。第4レンズG24は、両凹レンズで構成されている。第3レンズG23および第4レンズG24は、樹脂で構成されている。第3レンズG23と第4レンズG24は、光軸上に空気間隔を隔てて隣接して配置されている。また、第3レンズG23および第4レンズG24は、いずれの面にも非球面が形成されている。
【0115】
以下、実施例2にかかるズームレンズに関する各種数値データを示す。
【0116】
(面データ)
1=-43.250
1=0.850 nd1=1.5688 νd1=56.04
2=5.430
2=10.525
3=5.900
3=3.100 nd2=1.4971 νd2=81.56
4=-15.530
4=0.150
5=∞(開口絞り)
5=1.130
6=8.568(非球面)
6=3.180 nd3=1.5312 νd3=56.05
7=-6.231(非球面)
7=0.178
8=-44.479(非球面)
8=0.700 nd4=1.6355 νd4=23.91
9=4.246(非球面)
9=5.755
10=∞
10=0.800 nd5=1.5168 νd5=64.2
11=∞
11=0.121
12=∞(像面)
【0117】
円錐係数(k)および非球面係数(A4,A6,A8,A10,A12
(第6面)
k=1.0047×10-3
4=-3.0710×10-3,A6=-2.6848×10-4,A8=2.0280×10-6
10=-4.7505×10-6,A12=9.0567×10-8
(第7面)
k=-1.4066×10-3
4=1.7229×10-4,A6=-2.2191×10-3,A8=3.5848×10-4
10=-1.7068×10-5,A12=-4.0588×10-7
(第8面)
k=6.6662×10-6
4=1.7280×10-3,A6=-7.9674×10-4,A8=-7.3621×10-4
10=2.4232×10-4,A12=-2.1075×10-5
(第9面)
k=-4.3396×10-2
4=2.4375×10-3,A6=1.0444×10-3,A8=-1.1384×10-3
10=2.9892×10-4,A12=-2.7174×10-5
【0118】
(各種データ)
焦点距離 5.4684
Fナンバー 2.4
半画角(ω) 32.65
像高 3.15
レンズ全長 26.49
バックフォーカス(空気換算長) 6.404
【0119】
(条件式(1)に関する数値)
|frp|/f=34.17
【0120】
(条件式(2)に関する数値)
|f1|/f=1.54
【0121】
(条件式(3)に関する数値)
f2/f=1.65
【0122】
(条件式(4)に関する数値)
ν2=81.56
【0123】
(条件式(5)に関する数値)
ν2−ν1=25.52
【0124】
(条件式(6)に関する数値)
Rp1a/Rp2a=-1.47
【0125】
(条件式(7)に関する数値)
Rp1b/Rp2b=-0.19
【0126】
(条件式(8)に関する数値)
f3/f=1.34
【0127】
(条件式(9)に関する数値)
f4/f=-1.11
【0128】
図4は、実施例2にかかるズームレンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、Fnoで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はC線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、yで示す)を表し、実線はサジタル平面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル平面(図中、Mで示す)でのd線に相当する波長の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、yで示す)を表し、実線はd線に相当する波長の特性を示している。
【実施例3】
【0129】
図5は、実施例3にかかる撮像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。この撮像レンズは、図示しない物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズG31と、後続レンズ群GR3と、が配置されて構成される。第1レンズG31は、両凹レンズで構成されている。後続レンズ群GR3と、像面IPとの間には、光学ブロックGが配置されている。光学ブロックGは、光学フィルタや、フェースプレート、水晶ローパスフィルタ、赤外カットフィルタ等に相当するものである。
【0130】
後続レンズ群GR3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2レンズG32と、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第3レンズG33と、負の屈折力を有する第4レンズG34と、が配置されて構成される。第2レンズG32は、両凸レンズで構成されている。開口絞りSPは、物体側から像面IP側へ入射する光線束(光量)を制限するためのものである。第3レンズG33は、両凸レンズで構成されている。第4レンズG34は、両凹レンズで構成されている。第3レンズG33および第4レンズG34は、樹脂で構成されている。第3レンズG33と第4レンズG34は、光軸上に空気間隔を隔てて隣接して配置されている。また、第3レンズG33および第4レンズG34は、いずれの面にも非球面が形成されている。
【0131】
以下、実施例3にかかるズームレンズに関する各種数値データを示す。
【0132】
(面データ)
1=-33.430
1=0.600 nd1=1.5688 νd1=56.04
2=4.842
2=7.941
3=6.045
3=3.836 nd2=1.4971 νd2=81.56
4=-8.455
4=0.150
5=∞(開口絞り)
5=0.699
6=30.477(非球面)
6=3.185 nd3=1.5444 νd3=54.79
7=-4.225(非球面)
7=0.403
8=-40.049(非球面)
8=0.700 nd4=1.6397 νd4=23.53
9=4.363(非球面)
9=5.853
10=∞
10=0.800 nd5=1.5168 νd5=64.2
11=∞
11=0.026
12=∞(像面)
【0133】
円錐係数(k)および非球面係数(A4,A6,A8,A10,A12
(第6面)
k=5.6113×10-5
4=-5.7480×10-3,A6=-2.0839×10-4,A8=-7.0843×10-5
10=1.1431×10-5,A12=-1.0721×10-6
(第7面)
k=1.1147,
4=9.6863×10-4,A6=1.2069×10-4,A8=6.5798×10-5
10=-1.2385×10-5,A12=1.3752×10-6
(第8面)
k=-4.4878×10-5
4=1.2444×10-3,A6=4.7755×10-4,A8=-3.6257×10-4
10=8.2319×10-5,A12=-6.5960×10-6
(第9面)
k=3.4610×10-2
4=2.6446×10-3,A6=2.8498×10-4,A8=-3.8834×10-4
10=9.3614×10-5,A12=-8.5603×10-6
【0134】
(各種データ)
焦点距離 5.4643
Fナンバー 2.4
半画角(ω) 32.636
像高 3.15
レンズ全長 24.2
バックフォーカス(空気換算長) 6.407
【0135】
(条件式(1)に関する数値)
|frp|/f=69.79
【0136】
(条件式(2)に関する数値)
|f1|/f=1.35
【0137】
(条件式(3)に関する数値)
f2/f=1.42
【0138】
(条件式(4)に関する数値)
ν2=81.56
【0139】
(条件式(5)に関する数値)
ν2−ν1=25.52
【0140】
(条件式(6)に関する数値)
Rp1a/Rp2a=-0.97
【0141】
(条件式(7)に関する数値)
Rp1b/Rp2b=-0.76
【0142】
(条件式(8)に関する数値)
f3/f=1.29
【0143】
(条件式(9)に関する数値)
f4/f=-1.12
【0144】
図6は、実施例3にかかるズームレンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、Fnoで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はC線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、yで示す)を表し、実線はサジタル平面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル平面(図中、Mで示す)でのd線に相当する波長の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、yで示す)を表し、実線はd線に相当する波長の特性を示している。
【実施例4】
【0145】
図7は、実施例4にかかる撮像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。この撮像レンズは、図示しない物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズG41と、後続レンズ群GR4と、が配置されて構成される。第1レンズG41は、両凹レンズで構成されている。後続レンズ群GR4と、像面IPとの間には、光学ブロックGが配置されている。光学ブロックGは、光学フィルタや、フェースプレート、水晶ローパスフィルタ、赤外カットフィルタ等に相当するものである。
【0146】
後続レンズ群GR4は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2レンズG42と、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第3レンズG43と、負の屈折力を有する第4レンズG44と、が配置されて構成される。第2レンズG42は、両凸レンズで構成されている。開口絞りSPは、物体側から像面IP側へ入射する光線束(光量)を制限するためのものである。第3レンズG43は、両凸レンズで構成されている。第4レンズG44は、両凹レンズで構成されている。第3レンズG43および第4レンズG44は、樹脂で構成されている。第3レンズG43と第4レンズG44は、光軸上に空気間隔を隔てて隣接して配置されている。また、第3レンズG43および第4レンズG44は、いずれの面にも非球面が形成されている。
【0147】
以下、実施例4にかかるズームレンズに関する各種数値データを示す。
【0148】
(面データ)
1=-214.700
1=0.900 nd1=1.5688 νd1=56.04
2=4.830
2=9.426
3=6.920
3=4.000 nd2=1.5503 νd2=75.5
4=-9.640
4=0.150
5=∞(開口絞り)
5=1.027
6=24.543(非球面)
6=3.200 nd3=1.5444 νd3=54.79
7=-5.142(非球面)
7=0.150
8=-245.430(非球面)
8=0.880 nd4=1.6397 νd4=23.53
9=4.500(非球面)
9=5.411
10=∞
10=0.800 nd5=1.5168 νd5=64.2
11=∞
11=0.311
12=∞(像面)
【0149】
円錐係数(k)および非球面係数(A4,A6,A8,A10,A12
(第6面)
k=0,
4=-4.9764×10-3,A6=-2.2736×10-4,A8=-6.9573×10-5
10=1.0562×10-5,A12=-1.0882×10-6
(第7面)
k=2.2991,
4=-7.6754×10-3,A6=1.4018×10-3,A8=-2.4462×10-5
10=-1.2304×10-5,A12=1.5942×10-6
(第8面)
k=-1.1813×10-6
4=-5.4771×10-3,A6=5.2322×10-4,A8=-1.7533×10-4
10=6.3345×10-5,A12=-6.6253×10-6
(第9面)
k=9.4182×10-3
4=3.4658×10-3,A6=-9.1146×10-4,A8=-7.8354×10-5
10=6.8723×10-5,A12=-8.5586×10-6
【0150】
(各種データ)
焦点距離 5.4175
Fナンバー 2.4
半画角(ω) 32.496
像高 3.15
レンズ全長 26.26
バックフォーカス(空気換算長) 6.248
【0151】
(条件式(1)に関する数値)
|frp|/f=60.82
【0152】
(条件式(2)に関する数値)
|f1|/f=1.53
【0153】
(条件式(3)に関する数値)
f2/f=1.48
【0154】
(条件式(4)に関する数値)
ν2=75.50
【0155】
(条件式(5)に関する数値)
ν2−ν1=19.46
【0156】
(条件式(6)に関する数値)
Rp1a/Rp2a=-1.14
【0157】
(条件式(7)に関する数値)
Rp1b/Rp2b=-0.10
【0158】
(条件式(8)に関する数値)
f3/f=1.50
【0159】
(条件式(9)に関する数値)
f4/f=-1.27
【0160】
図8は、実施例4にかかるズームレンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、Fnoで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はC線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、yで示す)を表し、実線はサジタル平面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル平面(図中、Mで示す)でのd線に相当する波長の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、yで示す)を表し、実線はd線に相当する波長の特性を示している。
【実施例5】
【0161】
図9は、実施例5にかかる撮像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。この撮像レンズは、図示しない物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズG51と、後続レンズ群GR5と、が配置されて構成される。第1レンズG51は、両凹レンズで構成されている。後続レンズ群GR5と、像面IPとの間には、光学ブロックGが配置されている。光学ブロックGは、光学フィルタや、フェースプレート、水晶ローパスフィルタ、赤外カットフィルタ等に相当するものである。
【0162】
後続レンズ群GR5は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2レンズG52と、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第3レンズG53と、負の屈折力を有する第4レンズG54と、が配置されて構成される。第2レンズG52は、両凸レンズで構成されている。開口絞りSPは、物体側から像面IP側へ入射する光線束(光量)を制限するためのものである。第3レンズG53は、両凸レンズで構成されている。第4レンズG54は、両凹レンズで構成されている。第3レンズG53および第4レンズG54は、樹脂で構成されている。第3レンズG53と第4レンズG54は、光軸上に空気間隔を隔てて隣接して配置されている。また、第3レンズG53および第4レンズG54は、いずれの面にも非球面が形成されている。
【0163】
以下、実施例5にかかるズームレンズに関する各種数値データを示す。
【0164】
(面データ)
1=-353.255
1=0.870 nd1=1.5688 νd1=56.04
2=4.435
2=8.337
3=5.587
3=4.000 nd2=1.4971 νd2=81.56
4=-9.555
4=0.150
5=∞(開口絞り)
5=1.045
6=56.339(非球面)
6=3.200 nd3=1.5444 νd3=54.79
7=-3.971(非球面)
7=0.150
8=-37.604(非球面)
8=1.090 nd4=1.6397 νd4=23.53
9=4.500(非球面)
9=5.319
10=∞
10=0.800 nd5=1.5168 νd5=64.2
11=∞
11=0.206
12=∞(像面)
【0165】
円錐係数(k)および非球面係数(A4,A6,A8,A10,A12
(第6面)
k=5.2325×10-7
4=-5.7551×10-3,A6=-3.0223×10-4,A8=-7.6820×10-5
10=1.1293×10-5,A12=-1.0721×10-6
(第7面)
k=8.2648×10-1
4=7.9088×10-4,A6=-7.0891×10-5,A8=1.2888×10-4
10=-1.7393×10-5,A12=1.3752×10-6
(第8面)
k=-9.8491×10-6
4=-4.2853×10-3,A6=9.0332×10-4,A8=-3.2995×10-4
10=7.9621×10-5,A12=-6.5960×10-6
(第9面)
k=5.4695×10-2
4=-4.0549×10-3,A6=1.0037×10-3,A8=-4.5005×10-4
10=1.0148×10-4,A12=-8.5603×10-6
【0166】
(各種データ)
焦点距離 5.4543
Fナンバー 2.4
半画角(ω) 32.676
像高 3.15
レンズ全長 25.16
バックフォーカス(空気換算長) 6.045
【0167】
(条件式(1)に関する数値)
|frp|/f=51.85
【0168】
(条件式(2)に関する数値)
|f1|/f=1.41
【0169】
(条件式(3)に関する数値)
f2/f=1.43
【0170】
(条件式(4)に関する数値)
ν2=81.56
【0171】
(条件式(5)に関する数値)
ν2−ν1=25.52
【0172】
(条件式(6)に関する数値)
Rp1a/Rp2a=-0.88
【0173】
(条件式(7)に関する数値)
Rp1b/Rp2b=-1.50
【0174】
(条件式(8)に関する数値)
f3/f=1.27
【0175】
(条件式(9)に関する数値)
f4/f=-1.14
【0176】
図10は、実施例5にかかるズームレンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、Fnoで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はC線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、yで示す)を表し、実線はサジタル平面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル平面(図中、Mで示す)でのd線に相当する波長の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、yで示す)を表し、実線はd線に相当する波長の特性を示している。
【実施例6】
【0177】
図11は、実施例6にかかる撮像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。この撮像レンズは、図示しない物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズG61と、後続レンズ群GR6と、が配置されて構成される。第1レンズG61は、両凹レンズで構成されている。後続レンズ群GR6と、像面IPとの間には、光学ブロックGが配置されている。光学ブロックGは、光学フィルタや、フェースプレート、水晶ローパスフィルタ、赤外カットフィルタ等に相当するものである。
【0178】
後続レンズ群GR6は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2レンズG62と、開口絞りSPと、負の屈折力を有する第3レンズG63と、正の屈折力を有する第4レンズG54と、が配置されて構成される。第2レンズG62は、両凸レンズで構成されている。開口絞りSPは、物体側から像面IP側へ入射する光線束(光量)を制限するためのものである。第3レンズG63は、両凹レンズで構成されている。第4レンズG64は、両凸レンズで構成されている。第3レンズG63および第4レンズG64は、樹脂で構成されている。第3レンズG63と第4レンズG64は、光軸上に空気間隔を隔てて隣接して配置されている。また、第2レンズG62、第3レンズG63、および第4レンズG64は、いずれの面にも非球面が形成されている。
【0179】
以下、実施例6にかかるズームレンズに関する各種数値データを示す。
【0180】
(面データ)
1=-92.771
1=0.900 nd1=1.5688 νd1=56.04
2=4.060
2=7.422
3=8.698(非球面)
3=2.326 nd2=1.5503 νd2=75.5
4=-5.460(非球面)
4=1.127
5=∞(開口絞り)
5=2.871
6=-4.104(非球面)
6=0.800 nd3=1.6355 νd3=23.91
7=27.723(非球面)
7=0.150
8=3.531(非球面)
8=1.954 nd4=1.5312 νd4=56.05
9=-30.796(非球面)
9=5.235
10=∞
10=0.800 nd5=1.5168 νd5=64.2
11=∞
11=0.355
12=∞(像面)
【0181】
円錐係数(k)および非球面係数(A4,A6,A8,A10,A12
(第3面)
k=0,
4=-9.1032×10-4,A6=1.4724×10-5,A8=-2.9406×10-6
10=8.0157×10-8,A12=0
(第4面)
k=0,
4=1.4667×10-3,A6=7.7049×10-6,A8=-4.4913×10-6
10=2.4527×10-7,A12=0
(第6面)
k=1.5045,
4=4.0721×10-2,A6=-9.7906×10-3,A8=2.5670×10-3
10=-3.9610×10-4,A12=2.7200×10-5
(第7面)
k=1.6000×10-3
4=1.8122×10-2,A6=-4.1929×10-3,A8=1.4953×10-3
10=-3.0108×10-4,A12=2.1100×10-5
(第8面)
k=1.8123×10-1
4=-1.7674×10-2,A6=4.1438×10-3,A8=-4.8684×10-4
10=1.4479×10-5,A12=4.0600×10-7
(第9面)
k=3.3952×10-4
4=8.5219×10-4,A6=2.1901×10-4,A8=9.6280×10-5
10=-6.7331×10-6,A12=-9.0600×10-8
【0182】
(各種データ)
焦点距離 5.4599
Fナンバー 2.4
半画角(ω) 32.66
像高 3.15
レンズ全長 23.93
バックフォーカス(空気換算長) 6.106
【0183】
(条件式(1)に関する数値)
|frp|/f=32.06
【0184】
(条件式(2)に関する数値)
|f1|/f=1.25
【0185】
(条件式(3)に関する数値)
f2/f=1.19
【0186】
(条件式(4)に関する数値)
ν2=75.50
【0187】
(条件式(5)に関する数値)
ν2−ν1=19.46
【0188】
(条件式(6)に関する数値)
Rp1a/Rp2a=-1.16
【0189】
(条件式(7)に関する数値)
Rp1b/Rp2b=-0.90
【0190】
図12は、実施例6にかかるズームレンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、Fnoで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はC線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、yで示す)を表し、実線はサジタル平面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル平面(図中、Mで示す)でのd線に相当する波長の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、yで示す)を表し、実線はd線に相当する波長の特性を示している。
【実施例7】
【0191】
図13は、実施例7にかかる撮像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。この撮像レンズは、図示しない物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズG71と、後続レンズ群GR7と、が配置されて構成される。第1レンズG71は、両凹レンズで構成されている。後続レンズ群GR7と、像面IPとの間には、光学ブロックGが配置されている。光学ブロックGは、光学フィルタや、フェースプレート、水晶ローパスフィルタ、赤外カットフィルタ等に相当するものである。
【0192】
後続レンズ群GR7は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2レンズG72と、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第3レンズG73と、負の屈折力を有する第4レンズG74と、正の屈折力を有する第5レンズG75と、が配置されて構成される。第2レンズG72は、両凸レンズで構成されている。開口絞りSPは、物体側から像面IP側へ入射する光線束(光量)を制限するためのものである。第3レンズG73は、両凸レンズで構成されている。第4レンズG74は、両凹レンズで構成されている。第3レンズG73および第4レンズG74は、樹脂で構成されている。第3レンズG73と第4レンズG74は、光軸上に空気間隔を隔てて隣接して配置されている。また、第3レンズG73および第4レンズG74は、いずれの面にも非球面が形成されている。
【0193】
以下、実施例7にかかるズームレンズに関する各種数値データを示す。
【0194】
(面データ)
1=-53.553
1=0.810 nd1=1.5688 νd1=56.04
2=4.124
2=6.347
3=5.913
3=4.000 nd2=1.5503 νd2=75.5
4=-9.500
4=0.150
5=∞(開口絞り)
5=1.025
6=16.660(非球面)
6=3.200 nd3=1.5444 νd3=54.79
7=-4.960(非球面)
7=0.150
8=-29.169(非球面)
8=1.260 nd4=1.6397 νd4=23.53
9=4.440(非球面)
9=1.482
10=47.027
10=1.450 nd5=1.7292 νd5=54.67
11=-87.850
11=2.600
12=∞
12=0.800 nd6=1.5168 νd6=64.2
13=∞
13=0.200
14=∞(像面)
【0195】
円錐係数(k)および非球面係数(A4,A6,A8,A10,A12
(第6面)
k=-3.9026×10-3
4=-4.5376×10-3,A6=-1.9531×10-4,A8=-9.8210×10-5
10=9.9237×10-6,A12=-1.1086×10-6
(第7面)
k=1.9240,
4=-5.7426×10-3,A6=2.6955×10-4,A8=1.6797×10-4
10=-2.4889×10-5,A12=1.5752×10-6
(第8面)
k=-2.5113×10-3
4=-9.0937×10-3,A6=5.1726×10-4,A8=-1.7759×10-4
10=7.7173×10-5,A12=-7.8433×10-6
(第9面)
k=-9.8109×10-4
4=-3.3059×10-3,A6=6.3848×10-4,A8=-4.4088×10-4
10=1.1927×10-4,A12=-1.0745×10-5
【0196】
(各種データ)
焦点距離 5.4565
Fナンバー 2.4
半画角(ω) 32.684
像高 3.15
レンズ全長 23.48
バックフォーカス(空気換算長) 3.327
【0197】
(条件式(1)に関する数値)
|frp|/f=49.91
【0198】
(条件式(2)に関する数値)
|f1|/f=1.23
【0199】
(条件式(3)に関する数値)
f2/f=1.34
【0200】
(条件式(4)に関する数値)
ν2=75.50
【0201】
(条件式(5)に関する数値)
ν2−ν1=19.46
【0202】
(条件式(6)に関する数値)
Rp1a/Rp2a=-1.12
【0203】
(条件式(7)に関する数値)
Rp1b/Rp2b=-0.57
【0204】
(条件式(8)に関する数値)
f3/f=1.36
【0205】
(条件式(9)に関する数値)
f4/f=-1.09
【0206】
図14は、実施例7にかかるズームレンズの縦収差図である。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(λ=587.56nm)、短破線はg線(λ=435.84nm)、長破線はC線(λ=656.28nm)に相当する波長の特性を示している。非点収差図において、縦軸は像高(図中、yで示す)を表し、実線はサジタル平面(図中、Sで示す)、破線はメリディオナル平面(図中、Mで示す)でのd線に相当する波長の特性を示している。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、yで示す)を表し、実線はd線に相当する波長の特性を示している。
【0207】
なお、上記各実施例中の数値データにおいて、r1,r2,・・・・はレンズ、開口絞り面などの曲率半径、d1,d2,・・・・はレンズ、開口絞りなどの肉厚またはそれらの面間隔、nd1,nd2,・・・・はレンズなどのd線(λ=587.56nm)に対する屈折率、νd1,νd2,・・・・はレンズなどのd線(λ=587.56nm)に対するアッベ数を示している。そして、長さの単位はすべて「mm」、角度の単位はすべて「°」である。
【0208】
また、上記各非球面形状は、非球面の深さをZ、曲率をc(1/r)、光軸からの高さをh、円錐係数をk、4次,6次,8次,10次,12次の非球面係数をそれぞれA4,A6,A8,A10,A12とし、光の進行方向を正とするとき、以下に示す式により表される。
【0209】
【数1】
【0210】
以上説明したように、上記各実施例の撮像レンズは、上記各条件式を満足することにより、雰囲気温度が大きく変化した場合でも合焦位置変動や画角変動が少なく、低温時や高温時でも良好な光学性能を確保できる。したがって、この撮像レンズは、温度変化が著しい屋外に設置される監視用カメラや、防犯カメラ、夏季高温になりがちな車内に備えられる車載用カメラ等にも問題なく用いることができる。また、樹脂レンズを採用したことにより、軽量で安価なものになる。さらに、広角で、Fナンバーが小さくなるようにしても、高い光学性能を確保することができる。適宜非球面が形成されたレンズを配置したことにより、収差補正能力を向上させることができる。
【0211】
<適用例>
以下、本発明の実施例1〜7に示した撮像レンズを撮像装置に適用した例を示す。図15は、本発明にかかる撮像レンズを備えた撮像装置の一適用例を示す図である。図15に示すように、撮像装置200は、撮像レンズ100と、固体撮像素子201と、を備えて構成される。撮像レンズ100は、実施例1〜7に示したものである。
【0212】
撮像レンズ100と固体撮像素子201とを備えた撮像装置200において、実施例1〜7に示した像面IPが固体撮像素子201の撮像面202に相当する。固体撮像素子201としては、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの光電変換素子を用いることができる。
【0213】
撮像装置200において、撮像レンズ100の物体側から入射した光が最終的に固体撮像素子201の撮像面202に結像する。そして、固体撮像素子201が受像した光を光電変換して電気信号として出力する。この出力信号が図示しない信号処理回路によって演算処理され、被写体の像に対応したデジタル画像が生成される。デジタル画像は、たとえばHDD(Hard Disk Device)やメモリカード、光ディスク、磁気テープなどの記録媒体に記録することが可能である。なお、撮像装置200が銀塩フィルムカメラである場合は、撮像面202がフィルム面に相当する。
【0214】
以上のように、撮像レンズ100を備えることにより、雰囲気温度が大きく変化した場合でも合焦位置変動や画角変動が少なく、低温時や高温時でも良好な光学性能を確保できる撮像装置200を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0215】
以上のように、本発明にかかる撮像レンズは、低温から高温までの幅広い温度領域において高い光学性能が要求される撮像装置に有用であり、特に、監視用カメラ、防犯カメラ、車載用カメラなどに適している。
【符号の説明】
【0216】
11,G21,G31,G41,G51,G61,G71 第1レンズ
12,G22,G32,G42,G52,G62,G72 第2レンズ
13,G23,G33,G43,G53,G63,G73 第3レンズ
14,G24,G34,G44,G54,G64,G74 第4レンズ
75 第5レンズ
GR1,GR2,GR3,GR4,GR5,GR6,GR7 後続レンズ群
SP 開口絞り
G 光学ブロック
IP 像面
100 撮像レンズ
200 撮像装置
201 固体撮像素子
202 撮像面
図1
図2
図3
図4
図5
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図14
図15