【解決手段】電子機器10は、携帯用情報機器であるタブレット型PC12と、タブレット型PC12の一側面12aを覆うカバー部材60とを備える。カバー部材60の装着部62は、タブレット型PC12の被装着部16に設けられた係合穴19,20に対して挿入された非係合位置から係合位置に移動することで係合穴19,20の開口縁部20aに係止される係合爪部64aが設けられると共に、開口縁部20aに対する係合方向に向かってタブレット型PC12側に傾斜した傾斜面64bを係合爪部64aに設けたフック64と、フック64が係合穴19,20に係合した状態で、被装着部16に設けられたロック穴70に挿入されることで、フック64の係合方向とは逆方向の移動を規制するロックピン66とを有する。
一側面に被装着部が設けられた携帯用情報機器と、前記被装着部に対して着脱可能な装着部を有し、前記携帯用情報機器の一側面を覆うカバー部材とを備え、前記装着部を前記被装着部に装着することで前記カバー部材を前記携帯用情報機器に対して装着可能な電子機器であって、
前記装着部は、前記携帯用情報機器の被装着部に設けられた係合穴に対して挿入された非係合位置から係合位置に移動することで前記係合穴の開口縁部に係止される係合爪部が設けられると共に、前記開口縁部に対する係合方向に向かって前記携帯用情報機器側に傾斜した傾斜面を前記係合爪部に設けたフックと、
前記フックが前記係合穴に係合した状態で、前記被装着部に設けられたロック穴に挿入されることで、前記フックの前記係合方向とは逆方向の移動を規制するロックピンとを有することを特徴とする電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器10の斜視図であり、タブレット型PC12に拡張装置14を装着して起立させた状態を示している。
図2は、
図1に示す拡張装置14をタブレット型PC12から取り外した状態での底面図である。
【0020】
本実施形態に係る電子機器10は、携帯用情報機器であるタブレット型PC12の一側面12aに拡張装置14を装着することで、タブレット型PC12の電源機能及び周辺機器やネットワークに対する拡張機能等を拡張・補強するものである。携帯用情報機器はタブレット型PC12以外であっても勿論よく、例えばノート型PCやスマートフォン等であってもよい。
【0021】
図1及び
図2に示すように、タブレット型PC12は、タッチパネル式の液晶表示部からなるディスプレイ12bを備える。タブレット型PC12は、その内部に基板、図示しない演算装置及びメモリ等の各種電子部品を収納している。タブレット型PC12の一側面12aには、拡張装置14が装着される被装着部16が設けられている。
【0022】
被装着部16は、タブレット型PC12の左右両端側に設けられた一対の位置決め穴19,19と、左右の位置決め穴19,19間に設けられた4個の係合穴20とを備える。さらに一側面12aの略中央には、コネクタである端子22,23が突設されている。端子22は、例えば当該タブレット型PC12の外部の電源装置或いは拡張装置14との電気的な接続に用いられる。端子23は、例えば当該タブレット型PC12と拡張装置14との間の電気的な接続に用いられる。
【0023】
タブレット型PC12は、ディスプレイ12b側の裏面となる背面12cにスタンド部18を備える。スタンド部18は、一側面12a近傍で該一側面12aに沿った軸方向を有する回動軸18aを中心に回動可能な矩形状のプレートである。スタンド部18は、回動軸18aを中心に開放端18bを背面12cから離間する方向に略90度回動させることで該背面12cから略垂直方向に突出する。これによりスタンド部18は、例えば
図1に示すような所望の起立姿勢にタブレット型PC12を起立保持することが可能となる。
【0024】
拡張装置14は、筐体24と、筐体24の外面に露出した接続端子部25,26とを備えたカートリッジ型の装置である。筐体24は、一側側に絞り形状を有し、タブレット型PC12の一側面12aに沿って延在する断面略涙形の棒形状に形成されている。筐体24の長手方向寸法は、タブレット型PC12の一側面12aの幅寸法と略同一に設定してある。
【0025】
拡張装置14は、接続端子部25(26)がタブレット型PC12の端子22(23)に接続されることにより、タブレット型PC12にI/Oポート28(
図1参照)やバッテリ装置29(
図2参照)を増設する機器である。拡張装置14は、HDMI(登録商標)やUSB等の所定の接続規格のコネクタを搭載していてもよい。
【0026】
拡張装置14は、
図3に示すようにプロジェクタモジュール30を搭載した構成であってもよい。プロジェクタモジュール30は、例えば筐体24に回転可能に設けられた筒形筐体30aと、筒形筐体30aの外周面に設けられた投射レンズ30bとを有して構成される。拡張装置14は、プロジェクタモジュール30に代えて図示しない2Dカメラや3Dカメラ等のカメラモジュールを搭載していてもよい。
【0027】
筐体24の絞り形状の先端側に形成された一側面24aには、タブレット型PC12の被装着部16に対して着脱される装着部32が設けられている。装着部32は、タブレット型PC12の各位置決め穴19に挿入される一対の位置決め突起34,34と、4個の係合穴20のうちの2個の係合穴20に係合される一対のフック36,36とを備える。また、筐体24の外面には左右一対の着脱操作レバー(操作部材)38,38が回動可能に設けられている。各着脱操作レバー38は、それぞれ近接位置にある各フック36を操作するためのものである。
【0028】
次に、このようなタブレット型PC12に対する拡張装置14の具体的な着脱構造を説明する。
【0029】
図4は、拡張装置14の装着部32の構成を説明するための斜視説明図であり、着脱操作レバー38を起こした状態を示す。
図5は、
図4に示す状態から着脱操作レバー38を倒した状態を示す斜視説明図である。
図6〜
図8は、拡張装置14側のフック36をタブレット型PC12側の係合穴20に係合させる動作を模式的に示す説明図である。
図6〜
図8において、各図(A)は平面断面図を示し、各図(B)は着脱操作レバー38付近の側面図である。また、
図9は、着脱操作レバー38を起こした状態での装着部32の要部拡大斜視図であり、
図10は、
図9に示す状態から着脱操作レバー38を倒した状態での装着部32の要部拡大斜視図である。
【0030】
図4〜
図8に示すように、装着部32は、フック36と、フック36を保持するベース部材40と、ベース部材40を介してフック36を可動させる着脱操作レバー38とを備える。これらフック36、ベース部材40及び着脱操作レバー38は、金属薄板を略U字屈曲させたブラケット42を介して筐体24の内部に取り付けられている(
図4参照)。
【0031】
フック36は、筐体24の一側面24aに長手方向に沿って形成された長孔24cから突出しており、この突出した先端に係合爪部36aを有する。フック36の基端側側面には突起が設けられており、この突起の側面には着脱操作レバー38のフック押圧部38aによって押圧されるフック側第1カム面(フック側カム面)36bが形成されている。フック側第1カム面36bは、フック36の基端から先端に向かう方向で係合爪部36a側とは反対側に傾斜した傾斜面である。
【0032】
フック36の基端側には、略直方体形状のスライダ部44が一体形成されている。スライダ部44におけるフック36の根本部分となる位置には、フック側第1カム面36bと対向するようにフック側第2カム面44aが形成されている。フック側第2カム面44aは、フック36の先端から基端に向かう方向で係合爪部36a側に傾斜した傾斜面である。フック側第2カム面44aは、フック側第1カム面36bとは逆方向の着脱操作レバー38の回動動作時にフック押圧部38aにより押圧される部分である(
図9及び
図10参照)。
【0033】
フック36は、スライダ部44を介してベース部材40に対して左右方向(一側面24aの長手方向に沿う方向)に移動可能な状態で支持されている。スライダ部44の側面とベース部材40を構成する中継部材46との間にはコイルばね(第1弾性部材)48が介在している。コイルばね48は、フック36をベース部材40に対して係合方向(
図6中で右方向)とは逆方向の係合解除方向(
図6中で左方向)に常時付勢している。
【0034】
ベース部材40は、ブラケット42の内側で前後方向(一側面24aに対して接離する方向)に移動可能に支持されたベーススライダ部材50と、ベーススライダ部材50の内側に該ベーススライダ部材50と相対的に前後方向に移動可能に収納された中継部材46とを有する。
【0035】
ベーススライダ部材50は、中央に中継部材46を収容した凹部50aを有し、左右側面にそれぞれベース側カム面50bを有する。各ベース側カム面50bは、フック36の基端から先端に向かう方向で次第に着脱操作レバー38から離間する方向に傾斜した傾斜面である。各ベース側カム面50bは、着脱操作レバー38に設けられた左右一対のベース押圧部38b,38bによって押圧される部分である。
【0036】
ベーススライダ部材50のフック36側とは反対側の面とブラケット42の内面との間にはコイルばね(第2弾性部材)52が介在している。コイルばね52は、ブラケット42(筐体24)に対してベーススライダ部材50(ベース部材40)をフック36が長孔24cから突出する方向(
図6中で上方向)に常時付勢している。
【0037】
中継部材46は、内側にフック36のスライダ部44をスライド可能に収容する収容空間46aを有する。中継部材46の左右側面から突出したフランジ部46bと、ベーススライダ部材50の凹部50aを形成する左右のフランジ部50cとの間には、それぞれコイルばね(第3弾性部材)54が介在している。各コイルばね54は、ベーススライダ部材50に対して中継部材46をフック36が長孔24cに引き込まれる方向(
図6中で下方向)に常時付勢している。
【0038】
着脱操作レバー38は、左右の回動軸56を介して筐体24に回動可能に支持されている。回動軸56が設けられた着脱操作レバー38の回動基端部分には、上記した一方のベース押圧部38b、フック押圧部38a及び他方のベース押圧部38bが軸方向に順に並んで設けられている。着脱操作レバー38は、筐体24の外面に対して横臥され、該外面に形成されたレバー収容凹部58に収容された装着位置(
図5及び
図8(B)参照)から、筐体24の外面から起立した装着解除位置(
図4及び
図6(B)参照)に回動可能に設けられている。これにより、フック36を円滑に操作することができ、しかも装着位置にある着脱操作レバー38は筐体24と一体になるため、拡張装置14の外観を損なうこともない。
【0039】
次に、タブレット型PC12に対する拡張装置14の着脱動作を説明する。
【0040】
図11は、拡張装置14をタブレット型PC12に装着する直前の状態を示す分解斜視図であり、
図12は、
図11に示す状態から拡張装置14をタブレット型PC12に装着した状態を示す斜視図である。
【0041】
拡張装置14をタブレット型PC12に装着する際には、
図11に示すように各着脱操作レバー38のレバー部分を筐体24の外面から起こした装着解除位置とする。この状態では、
図4、
図6(A)及び
図6(B)に示すように着脱操作レバー38のフック押圧部38a及びベース押圧部38bによるフック側第1カム面36b及びベース側カム面50bに対する押圧力が解除されている。このため、装着部32では、ベース部材40がコイルばね52の付勢力によってフック36を長孔24cから突出させる前進位置にあり、同時にフック36はコイルばね48の付勢力によって係合爪部36aが係合穴20の開口縁部(係止片)20aから後退した非係合位置にある。
【0042】
続いて、拡張装置14の装着部32を構成する各位置決め突起34及び各フック36をタブレット型PC12の被装着部16を構成する各位置決め穴19及び係合穴20に対して挿入し、接続端子部25(26)を端子22(23)に接続する。
【0043】
次いで、
図7(B)に示すように各着脱操作レバー38のレバー部分を筐体24の外面に対して押し倒す。そうすると、
図7(A)、
図7(B)及び
図10に示すように着脱操作レバー38のフック押圧部38aによってフック側第1カム面36bが押圧され、コイルばね48の付勢力に抗してフック36が係合穴20に対する係合方向に移動し、係合爪部36aが係合穴20の開口縁部20aに係合した係合位置になる。
【0044】
さらに、
図5、
図8(B)及び
図12に示すように各着脱操作レバー38のレバー部分を筐体24の外面に対して押し倒し、着脱操作レバー38が筐体24の外面に形成されたレバー収容凹部58に収容された装着位置とする。そうすると、着脱操作レバー38のベース押圧部38bによってベース側カム面50bが押圧され、コイルばね52の付勢力に抗してベース部材40が後退位置に移動する(
図8(A)参照)。その結果、フック36は係合爪部36aが係合穴20の開口縁部20aを拡張装置14側に引き寄せる引寄方向(
図8(A)中で下方向)に移動する。
【0045】
この際、ベース部材40は、フック36を前後方向に移動不能に保持した中継部材46と、中継部材46を前後方向に移動可能に保持したベーススライダ部材50とを有し、中継部材46とベーススライダ部材50との間にコイルばね54が介在している。これにより、着脱操作レバー38のベース押圧部38bによってベース側カム面50bが押圧されると、ベーススライダ部材50はコイルばね54を介して中継部材46、つまりフック36を引寄方向に移動させる(
図8(A)参照)。このため、フック36は、コイルばね54を介して係合爪部36aが係合穴20の開口縁部20aを引寄方向に弾性的に付勢した状態となり、フック36と係合穴との間が強固にがたつきなく係合した状態となる。
【0046】
この状態では、着脱操作レバー38のフック押圧部38aがフック36のフック側第1カム面36bを形成する突起の側面に当接配置され(
図8(A)及び
図10参照)、フック36の係合解除方向への移動が規制されている。その結果、拡張装置14がタブレット型PC12に対して一体的に安定して装着される。さらにこの状態では、
図8(B)に示すように着脱操作レバー38のベース押圧部38bがベーススライダ部材50のベース側カム面50bに設けられた凹部50dに嵌り込む。これにより、着脱操作レバー38ががたつきなく安定して装着位置に保持される。
【0047】
一方、
図8(A)に示す装着状態を解除する際は、着脱操作レバー38を起こして装着解除位置とする。そうすると、
図9中に破線矢印で示したように着脱操作レバー38のフック押圧部38aが今度はフック36のフック側第2カム面44aを押圧する。これにより、着脱操作レバー38のフック押圧部38aによるフック36の係合解除方向への移動規制が解除されると同時に、フック36が係合解除方向に移動する。この際、フック36はコイルばね48によっても係合解除方向に付勢される。その結果、
図4及び
図6(A)に示すようにフック36の係合穴20に対する係合状態が解除されるため、拡張装置14をタブレット型PC12から引き離すことで拡張装置14をタブレット型PC12から取り外すことができる。
【0048】
ところで、本実施形態に係る電子機器10を構成するタブレット型PC12は、拡張装置14を装着しない単独の状態で使用されることもある。この状態では、被装着部16の段差や凹凸形状、さらには使用されない端子22又は端子23が一側面12aに露出してしまう。そこで当該電子機器10では、タブレット型PC12を単独で使用する場合は拡張装置14に代えてカバー部材60(
図13参照)を被装着部16に対して装着することができる。タブレット型PC12は、装着されたカバー部材60によって一側面12aの外観品質が確保され、不要な端子22又は端子23の保護が図られる。
【0049】
次に、拡張装置14に代えてタブレット型PC12の被装着部16に装着されるカバー部材60の構成を説明する。
【0050】
図13は、タブレット型PC12にカバー部材60を装着する直前の状態での底面図であり、
図14は、
図13に示すカバー部材60及びタブレット型PC12を背面12c側から見た斜視図である。また
図15は、タブレット型PC12にカバー部材60を装着した状態での底面図である。
【0051】
図13〜
図15に示すように、カバー部材60は、タブレット型PC12の一側面12aに沿って延在する棒形状の端部部材である。カバー部材60はタブレット型PC12に装着された状態で該タブレット型PC12の外形面を形成するため、その長手方向寸法はタブレット型PC12の一側面12aの幅寸法と略同一に設定してある。カバー部材60の一側面60aには、タブレット型PC12の被装着部16に対して着脱される装着部62が設けられている。
【0052】
装着部62は、一側面60aの長手方向に沿って6個並設され、それぞれが一側面60aから突出したフック64と、一側面60aから進退可能に突出したロックピン66とを備える。一側面60aとは反対側の他側面60bにおけるロックピン66と近接する位置には、ロックピン66のロック状態を解除するロック解除部材68が設けられている。中央側に並んだ4個のフック64はそれぞれタブレット型PC12の係合穴20に係合される。左右両端のフック64はそれぞれタブレット型PC12の位置決め穴19に係合される。つまり位置決め穴19はカバー部材60に対しては係合穴19として機能するものであり、係合穴20と同様な開口縁部20aを有する構造となっている(
図16参照)。ロックピン66はタブレット型PC12の一側面12aに形成されたロック穴70に挿入される。
【0053】
カバー部材60は、タブレット型PC12に装着された際に端子22に対応する位置に端子逃げ孔72を有し、端子23に対応する位置に端子逃げ凹部74を有する。端子逃げ孔72は端子22を挿通させる孔部であり、カバー部材60を装着した状態で端子22をタブレット型PC12の外形面となる他側面60b側から利用可能とするものである。端子逃げ凹部74は端子23を収容・保護する凹部であり、カバー部材60を装着した状態で端子23がタブレット型PC12の外形面となる他側面60b側に露出することを防止するものである。
【0054】
カバー部材60の他側面60bには、中央の端子逃げ孔72を跨ぐように一対の磁石76,76が設けられている。磁石76は、図示しないキーボードユニット等の外部機器をカバー部材60を装着した状態のタブレット型PC12に対して装着する際等に利用される。
【0055】
次に、このようなタブレット型PC12に対するカバー部材60の具体的な着脱構造を説明する。
【0056】
図16〜
図18は、カバー部材60側のフック64をタブレット型PC12側の係合穴20(19)に係合させる動作を模式的に示す平面断面図であり、
図19は、カバー部材60側のフック64をタブレット型PC12側の係合穴20(19)に係合させた状態からロック解除部材68を操作した状態を模式的に示す平面断面図である。
【0057】
図16〜
図19に示すように、装着部62は、係合穴20(19)に係合するフック64と、ロック穴70に挿入されるロックピン66と、ロックピン66のロック穴70への挿入状態を解除するロック解除部材68とを備える。
【0058】
フック64は、その基端側がカバー部材60の筐体内で固定されている。フック64は、その先端側が一側面60aから突出し、この突出した先端に係合爪部64aを有する。係合爪部64aは、カバー部材60の一側面60aをタブレット型PC12の一側面12aに摺接させるようにスライドさせることで係合穴20の開口縁部20aに係止される。
【0059】
開口縁部20aに係止される係合爪部64aの内面には、傾斜面64bが形成されている。傾斜面64bは、フック64の開口縁部20aに対する係合方向(
図16〜
図19中で右方向)に向かってタブレット型PC12側に傾斜している。傾斜面64bの傾斜角度θは、フック64の大きさや係合穴20(19)の開口縁部20aの板厚等に応じて適宜設定すればよいが、例えば数度程度に設定される。
【0060】
ロックピン66は、カバー部材60の一側面60aから出没可能である。カバー部材60内に配置されたロックピン66の基端側には、受圧面66a及びばね支持面66bが設けられている。
【0061】
受圧面66aは、
図16中で一側面60aに沿う方向で右側に向かって次第に一側面60aから離間する方向に傾斜した傾斜面である。ばね支持面66bは、一側面60aと平行に設けられた面である。ばね支持面66bにはカバー部材60内に配設された板ばね80の作用端部80aが当接支持されている。板ばね80は、一端部に作用端部80aが設けられ、他端部が渦巻き状に屈曲された状態でカバー部材60の筐体に設けられた支持片82に支持されている。板ばね80の作用端部80aは、ばね支持面66bを介してロックピン66を一側面60aから突出する進動方向(
図16中で上方向)に常時付勢している。
【0062】
図16に示すように、装着部62では、フック64とロックピン66との間のピッチと、係合穴20(19)とロック穴70との間のピッチとが異なる。つまり、
図17に示すようにフック64を係合穴20(19)に挿入した状態では、ロックピン66がロック穴70に挿入されず、ロックピン66はタブレット型PC12側の一側面12aに当接してカバー部材60内に没した状態となる。
【0063】
ロック解除部材68は、カバー部材60内で左右方向にスライド可能に設けられている。ロック解除部材68は、カバー部材60の他側面60bに形成された開口60cに配設された操作片68aと、カバー部材60内に配設された押圧面68b及びばね支持面68cとを有する。
【0064】
操作片68aは、カバー部材60の他側面60bの長手方向(左右方向)に沿った開口60c内で左右方向に移動可能に設けられた突起である。押圧面68bは、
図16中で一側面60aに沿う方向で左側に向かって次第に一側面60aに近接する方向に傾斜した傾斜面である。押圧面68bはロックピン66の受圧面66aと対向している。ばね支持面68cは、一側面60aと直交する方向の面である。
【0065】
ばね支持面68cには、カバー部材60内に配設されたコイルばね84の一端部が支持されている。コイルばね84の他端部は、カバー部材60の筐体に設けられた支持片86に支持されている。コイルばね84は、ばね支持面68cを介してロック解除部材68を一側面60aに沿う方向で押圧面68bがロックピン66の受圧面66aに近接する進動方向(
図16中で左方向)に常時付勢している。
【0066】
次に、タブレット型PC12に対するカバー部材60の着脱動作を説明する。
【0067】
カバー部材60をタブレット型PC12に装着する際には、
図13及び
図16に示すように装着部62を構成する各フック64をタブレット型PC12側の各係合穴19,20に対向する位置に設定する。この状態では、カバー部材60は一側面60aがタブレット型PC12の一側面12aに対向配置されると共に、その左右両端部がタブレット型PC12の左右両端部から一方側(フック64の係合穴19,20に対する係合解除方向。
図13中で右方向)に位置ずれして配置される。
【0068】
続いて、
図17に示すように各フック64を各係合穴19,20に挿入すると、カバー部材60の一側面60aがタブレット型PC12の一側面12aに当接又は近接した状態となる。この際、ロックピン66はタブレット型PC12の一側面12aに当接し、板ばね80の付勢力に抗して一側面60aから没した位置に後退する。
【0069】
次いで、フック64を係合穴19,20に係合させる係合方向に向かってカバー部材60をスライドさせる。そうすると、
図18に示すようにフック64はその係合爪部64aに形成された傾斜面64bが係合穴19,20の開口縁部20a、つまり係合穴19,20の縁部を形成する一側面12aの板厚部分に摺接する。これにより、フック64が係合方向に移動しつつ、同時にタブレット型PC12側に移動し、フック64が固定されたカバー部材60自体も係合方向に移動しつつタブレット型PC12側に近接する方向に移動する。つまりフック64によってカバー部材60がタブレット型PC12側に引き寄せられる。
【0070】
そして、
図18に示すようにフック64が係合穴19,20に完全に係合した位置となり、一側面12aに摺接されたロックピン66がロック穴70まで到達すると、ロックピン66は板ばね80の付勢力によって一側面60aから突出してロック穴70に挿入される。
【0071】
これにより、カバー部材60はフック64によるタブレット型PC12側へのガイド作用によってその一側面60aがタブレット型PC12の一側面12aに密着した状態となる。同時に、ロック穴70に挿入されたロックピン66の規制作用によってフック64の係合穴19,20からの係合解除方向への移動が規制された状態となる。その結果、カバー部材60がタブレット型PC12に対して一体的に安定して装着される。
【0072】
一方、
図18に示す装着状態を解除する際は、ロック解除部材68の操作片68aを指先等でロック解除方向(
図18中で左方向)にスライドさせる。そうすると、
図19に示すようにロック解除部材68がコイルばね84の付勢力に抗してロック解除方向に移動し、押圧面68bがロックピン66の受圧面66aを摺接しながら押圧する。これにより、ロックピン66は板ばね80の付勢力に抗して一側面60aから没した位置に後退するため、カバー部材60を係合解除方向にスライドさせることで、フック64の係合穴19,20への係合状態が解除される。その結果、カバー部材60をタブレット型PC12から引き離すことでカバー部材60をタブレット型PC12から取り外すことができる。
【0073】
以上のように、本実施形態に係る電子機器10は、一側面12aに被装着部16が設けられた携帯用情報機器であるタブレット型PC12と、被装着部16に対して着脱可能な装着部32を有し、タブレット型PC12の機能を拡張する拡張装置14とを備える。そして、装着部32は、タブレット型PC12の被装着部16に設けられた係合穴20に対して挿入された非係合位置から係合穴20に対して係合する係合位置に向かう係合方向に移動可能に設けられると共に、係合方向と直交する方向であってタブレット型PC12を拡張装置14側に引き寄せる引寄方向に移動可能に設けられたフック36と、フック36を係合方向及び引寄方向に移動させる操作部材である着脱操作レバー38とを有する。
【0074】
従って、拡張装置14をタブレット型PC12に装着する際に着脱操作レバー38を操作してフック36を係合穴20に係合させる。これにより、フック36を係合穴20に係合させると、フック36によってタブレット型PC12と拡張装置14との間が互いに引き寄せられた装着状態となる。このため、タブレット型PC12のように一側面12aが薄型構造の携帯用情報機器であっても拡張装置14をがたつきなく安定して装着することができる。
【0075】
当該電子機器10では、拡張装置14の装着部32は、タブレット型PC12の被装着部16に設けられた位置決め穴19に対して挿入される位置決め突起34を備える。これにより、拡張装置14をタブレット型PC12に装着した状態では、位置決め突起34が位置決め穴19に嵌挿された状態となる。このため、拡張装置14とタブレット型PC12との間を一層安定して装着することができ、互いに装着された一側面12a,24aを回動軸として互いを回動させる方向の折り曲げ強度も向上する。
【0076】
当該電子機器10では、装着部32は、フック36をベース部材40に対して係合解除方向に向かって付勢するコイルばね48と、ベース部材40を拡張装置14の筐体24に対して引寄方向の逆方向に向かって付勢するコイルばね52とを有する。これにより、フック36及びベース部材40のがたつきが防止されると共に、着脱操作レバー38のフック押圧部38a及びベース押圧部38bでフック36及びベース部材40を円滑に押圧移動させることができる。
【0077】
当該電子機器10では、フック36とベース部材40との間にはコイルばね54が介在しており、装着部32はベース部材40が引寄方向に移動した際にフック36をコイルばね54を介して引寄方向に移動させる。すなわち、着脱操作レバー38によってフック36で係合穴20の開口縁部20aを引き寄せる際に、着脱操作レバー38で押圧されるベース部材40とフック36との間にコイルばね54が介在している。このため、フック36の係合爪部36aを係合穴20の開口縁部20aに確実に密着させることができる。しかも、フック36は、コイルばね54によって係合爪部36aが係合穴20の開口縁部20aを引寄方向に弾性的に付勢した状態となるため、フック36と係合穴20との間が強固にがたつきなく係合した状態となる。
【0078】
また、本実施形態に係る電子機器10は、一側面12aに被装着部16が設けられた携帯用情報機器であるタブレット型PC12と、被装着部16に対して着脱可能な装着部62を有し、タブレット型PC12の一側面12aを覆うカバー部材60とを備える。そして、装着部62は、タブレット型PC12の被装着部16に設けられた係合穴19,20に対して挿入された非係合位置から係合位置に移動することで係合穴19,20の開口縁部20aに係止される係合爪部64aが設けられると共に、開口縁部20aに対する係合方向に向かってタブレット型PC12側に傾斜した傾斜面64bを係合爪部64aに設けたフック64と、フック64が係合穴19,20に係合した状態で、被装着部16に設けられたロック穴70に挿入されることで、フック64の係合方向とは逆方向の移動を規制するロックピン66とを有する。
【0079】
従って、タブレット型PC12にカバー部材60を装着してその一側面12aを覆う場合には、カバー部材60のフック64をタブレット型PC12側の係合穴19,20に挿入し、カバー部材60を係合方向にスライドさせる。これにより、フック64は、その係合爪部64aに設けた傾斜面64bが係合穴19,20の開口縁部20aに摺接する。その結果、フック64が係合方向に移動しつつタブレット型PC12側に移動することで、カバー部材60自体も係合方向に移動しつつタブレット型PC12側に近接する方向に移動し、カバー部材60とタブレット型PC12とが確実に密着した装着状態となる。このため、フック64に傾斜面64bを設けた簡素な構造でフック64を係合穴19,20に強固に安定して係合させることができ、カバー部材60をタブレット型PC12に対して安定した状態で且つ強固に装着することができる。しかもフック64が係合穴19,20に係合した状態では、ロックピン66がタブレット型PC12側のロック穴70に挿入される。その結果、ロック穴70に挿入されたロックピン66の規制作用によってフック64の係合穴19,20からの係合解除方向への移動が規制された状態となり、カバー部材60とタブレット型PC12の装着状態が一層安定し、カバー部材60の脱落防止が図られる。
【0080】
当該電子機器10では、フック64はカバー部材60の筐体に固定されており、ロックピン66は装着部62が被装着部16に対向する方向に沿ってカバー部材60の筐体から進退可能な状態で弾性支持されている。これにより、カバー部材60をスライドさせることでフック64を係合穴19,20に係合させることができる。また、ロックピン66はロック穴70以外でタブレット型PC12の一側面12aに当接した際には没し、ロック穴70に配置された際は突出するため、円滑な装着動作が可能となる。
【0081】
当該電子機器10では、カバー部材60には、ロックピン66のロック穴70に対するロック状態を解除するロック解除部材68が設けられ、ロックピン66のロック状態を解除する際のロック解除部材68の操作方向と、フック64の係合穴19,20に対する係合状態を解除する際のカバー部材60の移動方向とが同一方向(
図19中で左方向)に設定されている。これにより、ロック解除部材68によってロックピン66をロック解除操作する動作に続いて、フック64の係合穴19,20への係合状態を解除する係合解除方向へとカバー部材60を円滑に移動させることができる。このため、カバー部材60をタブレット型PC12から取り外す際の操作性が向上する。
【0082】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0083】
上記実施形態では、拡張装置14の装着部32にフック36を2個設け、カバー部材60の装着部62にフック64を6個設けた構成を例示したが、フック36,64の設置数は適宜変更可能である。但し、カバー部材60は拡張装置14に比べて細径棒状であり、曲げ変形に対する剛性の点で拡張装置14よりも劣るため、装着部62のフック64は装着部32のフック36よりも多く設置することが望ましい。
【0084】
上記実施形態では、カバー部材60の装着部62として傾斜面64bを設けたフック64とロックピン66とを備えた構成を設けるものとしたが、この装着部62は拡張装置14の装着部32に代替して設けてもよい。
【0085】
上記実施形態では、カバー部材60の装着部62を構成する全てのフック64に傾斜面64bを設けた構成を例示したが、例えばカバー部材60の中央に対して左側及び右側に設けた1個ずつのフック64にのみ傾斜面64bを設けた構成等としてもよい。