【解決手段】らせん状にアレイ化された単位キャパシタを備えており、周波数の上限および下限の間においてのみ蓄えられた電荷の関数としての出力磁界の線形な増加を示すらせん状キャパシタ−インダクタデバイスとする。
前記アレイの単位キャパシタが、前記単位キャパシタに用いられた誘電材料の構造帯予備前記単位キャパシタ間の化学的または非化学的な結合を変えることによってらせん状アレイにおける漏れ電流を調整し、
単位キャパシタのアレイが単位キャパシタとして振る舞い、いくつかのそのような単位キャパシタが別の単位キャパシタを構成するように三次元の配向にて並び、成長が、可変のスケールおよび周波数バンドにて続き、
仮想の円筒表面に前記単位キャパシタのらせん状アレイによって形成される格子パラメータが生成される磁束を調整するように変化する、
請求項1または2に記載の単位キャパシタのらせん状アレイ。
らせん形状の格子パラメータが、外部の電気的、磁気的、電磁気的、または機械的なエネルギーの印加によって以下のA〜Dから選択される任意の態様で変化するように、容量性材料の分子構造およびそれらのらせん状の結合が選択されている、請求項1または2に記載の単位キャパシタのらせん状アレイ。
A.弾性振動ゆえに、共振状態が高調波周波数の継続したフラクション系列を生成するように振動する。
B.らせん構造における機械的な応力およびひずみゆえに、らせんリングが前記単位キャパシタのらせん状アレイの2つの端部に自発的に蓄えられた電荷を分配し、それが長さの全体に沿って再分配され、前記デバイスが、前記単位キャパシタのアレイの長さに沿った電荷密度勾配を生成することで、電荷勾配によって形成された定在波が複数の高調波及び非調和周波数を生成する異なる形状をとる。
C.らせん構造ゆえに、前記デバイスの長さに沿った電荷密度分布が、その直径が前記デバイスの長さよりも長い定在波の湾曲を生み、前記定在波における機械的振動の相互作用が、前記単位キャパシタからなるらせん配置において電気機械的な振動を生む。
D.誘電材料およびらせん形状が、前記デバイスが入力信号から分断されたバンドギャップに対応する周波数を吸収して緩和後の機械的対称性に応じた信号を放射することで所定の周波数の範囲において電気機械的なアンテナ及びレシーバとして働くことを可能にする構造対称性の特定のグループを有する。
【背景技術】
【0002】
抵抗(R)、キャパシタ(C)、およびインダクタ(L)という3つの回路素子の先を見据えて、最近では、第4の回路素子を作り出すために、たくさんの試みが行われてきている。電荷、電圧、電流、および磁束が、ペアにて変化し、抵抗(R)、キャパシタ(C)、およびインダクタ(L)を定義する。これらの定義において、電荷、電圧、電流、および磁束は、電荷および磁束を除いて2回生じる。1971年に、Leon O Chuaが、電荷と磁束とを相互に関連付けることによって第4の回路素子を提案し、すなわち新たなデバイスHがこれを実現する[非特許文献1]。本特許出願の発明者(以下では、単に「本発明者」という)は、いくつかの企業がすぐにでも第4の回路素子Hとして「メモリスタ(memristor)」[特許文献1、非特許文献2]を実現できるが、全体としての手法に誤りがあると感じた。本発明者は、本発明者の先行の特許(特許文献4)においてこのコンセプトに挑戦し、完全な独自のデバイスを生み出した。本発明者の主張によれば、磁束が遠く離れたデバイスにおいて電圧を誘導し、等価電圧がその遠方のデバイスにおいて生み出され、電流はそこを流れるのであって、磁界のソースを流れるのではない。磁束の変化の速度が、ソースの内部ではなく、遠く離れたデバイスにおけるバイアスを変化させ、したがって、誘導された磁束をバイアスへと変換し、次いでソースを通って流れている電流へと変換する全体としての手法は、数学的には正しいが、概念的には欠点があるように見える。ソースが磁束を生成する必要がないというさらなる主張には、さらなる不備がある。さらに、この誤りを修正するために、後に彼らは、メモインダクタ(mem−inductor)を導入し、3つの基本的な第4の回路素子が存在するはずだと述べた。
【0003】
これは、多くの理由で誤っている。第1に、すべてのメモリスタのすべての特性は、L、C、およびRの組み合わせを使用して生成されている[非特許文献1]。発明者は、CおよびRを使用してLの任意の特性を生成でき、あるいはLおよびRを使用してCの任意の特性を生成できるのか。発明者にとってそれは不可能であり、したがって発明者は、それらを基本的とは呼ばない。したがって、1971年にChuaによって定義されたメモリスタは、基本的素子であり得ない。換言すると、蓄えられた電荷とデバイスにおいて生成される磁束との間の線形な関係を示す第4の回路素子は、まだ発明されていない。この点に関し、第4の回路素子を初めて提案した1971年のChuaの論文も、正しくない。その理由は、その論文において、彼がL、C、およびRの組み合わせを使用して彼の提案する第4の素子の任意の電子的特性を生成できているからである。したがって、発明者は、メモリスタを必要とせずに、L、C、およびRが、彼の自身の主張のようにメモリスタの仕事を行うことができる。
【0004】
本発明者の関心事は、メモキャパシタ(mem−capacitor)またはメモリスタではなく、磁束を生成できるがゆえにメモインダクタである。Chuaは、1971年の自身の提案が完全でなかったことを認めている[非特許文献4]が、いかなる数学的定式化も、メモインダクタに関して提案されていない[非特許文献5]。この概念は、どのようにしてメモインダクタがL、C、Rによって説明されないと考えられるのかの答えを、我々に語っていない。メモインダクタをL、C、またはRと同様の何らかの基本的素子とするメモインダクタの独自のパラメータは何か。これらの疑問が対処されない場合、メモインダクタは、本当の第4の回路素子の特性を獲得するデバイスの架空の未定義の主張である。本発明者は、第4の回路素子についてChuaによる提案とは大きく異なる主張を特許文献4において採用し、本特許出願における電流電圧の特徴および他の応答は、メモリスタという名目で全世界のあらゆるグループによってこれまでに提出されたあらゆる論文または特許から根本的に異なる。今や、本特許出願において、本発明者は、本特許出願の第4の回路素子へとはるかに深く前進し、どのように本特許出願の第4の回路素子がエレクトロニクスおよび技術の独自の範囲を生み出すことができるのかを示した。これらのいずれも、メモインダクタに近くなく、したがって本発明は、依然としてきわめて独創的である。
【0005】
本特許出願の第4の回路素子を研究するときに、本発明者は、本特許出願の主張が、第4の回路素子のChuaのメモリスタまたはメモインダクタの種類から、共通点のただ1つの領域も存在しないくらいにきわめて異なることを発見した。Chuaの第4の回路素子、すなわちメモリスタ(MR)、メモキャパシタ(MC)、およびメモインダクタ(ML)は、メモリを常に有するが、メモリは、第4の回路素子の必須条件ではないはずである。1「ビット」のメモリを、材料の2つの構造対称性に関連付けることができ、メモリ記憶のために、2つの対称性の間での相転移が必要であり、一方の対称状態が1を記憶し、他方が0を記憶する。蓄えられた電荷でらせん状の電束または磁束を制御するために、本発明者は、包括的な数学的定式化を考案し、いかなるメモリ状態も電荷の貯蔵の関数としての磁束の線形な変化に必要でないことを発見した。メモリ特性は、すべての第4の回路素子に含まれてよい付加的な特性であるが、たとえメモリがなくても、すべての第4の回路素子を定義することができる。ChuaのMR、MC、およびMLは、付加的なメモリ特性を有する基本的なR、L、およびCである。
【0006】
発明者がここで導入において検討したいと考える1つのきわめて重要な問題が存在する。本特許出願の第4の回路素子の動作原理は、並列LC結合回路のまさに正反対である。本発明の第4の回路素子においては、電子および磁気エネルギーが一緒に増減し、すなわち総エネルギーが一定のままではない。対照的に、LC結合共振回路においては、Lが充電されて、その磁気エネルギーが増加するとき、Cは放電して、Cに蓄えられた電気エネルギーが減少し、逆もまた然りである。このように、LC結合回路の共振が、LおよびCの充電および放電の速度によって決定される一方で、本発明においては、磁界および電界が一緒に増加し、飽和する。本発明のらせん状キャパシタ−インダクタデバイスにおいては、共振が、充電および放電によるのではなく、むしろキャパシタの配線の形状に依存する。電流の成長/減衰についてHの式を微分することでは、簡潔な微分方程式を作ることが可能になっていない。さらに、電流の成長についての解を生む式は、超空間関数を含み、これは、ちょうどフラクタル仮想空間がこのシステムのキャリア操作を説明するために必要とされることを示唆する。このように、基本素子のいずれも他の基本素子を生み出すことができないL、C、およびRの場合とちょうど同じように、Hも別個の識別を必要とする。加えて、キャパシタの両端のバイアスが、Lの両端のバイアスと同じでなければならないため、Cは、Lとの並列な組み合わせでなければならない。他方で、キャパシタを充電する電流が、結果としてインダクタンスを増やすため、Cは、Lに直列でなければならない。すなわち、接続は、同時に直列および並列の両方である。これが、発明者がキャリアの成長および減衰を制御する式における仮想空間を観測する理由である。この基本的な議論から、発明者は、R、C、およびLを使用してHの等価回路を設計することが不可能であるとも考える。したがって、Hは、R、L、およびCを使用して生成することができるMR、MC、およびMLとは異なり、基本的素子である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、デバイスにおいて蓄えられた電荷と生成される磁束との間の1対1の対応を示すことができる現実的なデバイスを設計することにある。ここで、発明者は、本特許出願の発明者によって最近に発明された第4の回路素子の自然な発展としてのいくつかの先進の特徴を取り入れた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、らせん状にアレイ化された単位キャパシタを備えており、周波数の上限および下限の間においてのみ蓄えられた電荷の関数としての出力磁界の線形な増加を示すらせん状キャパシタ−インダクタデバイスが提供される。
らせん状キャパシタ−インダクタデバイスは、蓄えられた電荷の関数としての磁界の量子化された線形な増加を示すことができ、
A.量子化は、幾何学的パラメータ、すなわちらせん状キャパシタ−インダクタデバイスのらせんループの直径とピッチとの比によって変調され、
B.デバイスの価電子帯と伝導帯との間で分断されたバンドギャップが、キャパシタの配置の格子パラメータ(形状)を変えることによって調節され、幾何学的パラメータは、らせん状にアレイ化された単位キャパシタのらせんのピッチ、単位キャパシタの直径、およびらせんの半径を含む。
アレイの構成要素としてのキャパシタは、動作の下側周波数限界を決定することができ、動作周波数の上限も決定することができるインダクタの基本的なパラメータを支配する構成要素としてのキャパシタに沿ったらせん状の経路は、キャパシタの構成に使用される誘電材料の構造を変更することによって調節され、キャパシタ間の化学的または非化学的な結合を、誘導の経路を通る伝送を調節するために変更でき、3種類の下側および上側周波数限界の調節を、インダクタを構成するキャパシタのらせん状アレイにおいて実行でき、複数のバンドパスフィルタ処理、カスケードバンドパスフィルタ処理、または広い周波数の動作領域が存在できる。
容量性材料の分子構造、ならびに構成要素としての単位キャパシタに沿ったらせん状の経路を調節するための単位キャパシタ間の化学的または非化学的な結合を、
A.デバイスが、種々の振動モードを使用して構造の機械的な振動によって熱パワーを汲み出すことで、キャパシタ間の結合および機械的な振動エネルギーによって設定される上側および下側温度限界を有する温度範囲において少なくとも1つのノイズのない電子および電磁エネルギー伝送チャネルを維持することによって、デバイスが、前記温度範囲において自動化されたノイズ排除装置として振る舞い、
B.らせん状キャパシタ−インダクタデバイスが、特定の温度において複数の双極相転移を被り、強誘電体スイッチングを呈し、
C.物理的または弾性的な応力が、キャパシタのらせん状配置においてキャリアを生み、したがってキャリア伝播を変調し、焦電性および圧電性を示す、
ように選択することができる。
容量性の材料の分子構造およびそれらのらせん状の結合を、らせん形状の格子パラメータが外部の電気、磁気、電磁気の印加によって変化するように選択することができ、ここで
A.弾性振動ゆえに、共振状態が、高調波周波数の継続したフラクション系列を生成するように振動し、B.らせん構造における機械的な応力およびひずみゆえに、らせんリングが、らせん状キャパシタ−インダクタデバイスの2つの端部に自発的に蓄えられた電荷を分配し、それが長さに沿って再分配される。このように生成された、デバイスの長さに沿った電荷密度勾配が複数の電磁共振バンドを生み、異なる機械的応力−ひずみ変化ゆえに電荷勾配によって形成された定在波が異なる形状をとり、複数の高調波および非調和周波数が生成され、
C.らせん構造ゆえに、デバイスの長さに沿った電荷密度分布がその直径がデバイスの長さよりも長い定在波の湾曲を生み、定在波における機械的振動の相互作用がキャパシタのらせん配置において電気機械的な振動を生み、
D.誘電材料およびらせん形状が、デバイスが入力信号から分断されたバンドギャップに対応する周波数を吸収して緩和後の機械的対称性に応じた信号を放射することで広い周波数の範囲において動作する電気機械的なアンテナおよびレシーバとして働くこと可能にする構造対称性の特定のグループ(composition)を有する。
明瞭に異なる2つ以上の単位キャパシタを、単一のらせん形状に2つ以上の対称性をエンコードすべく異なる間隔で使用することができ、
A.らせんを構成するチェーン上のキャパシタ配置のらせんギャップによって定義される周期に応じて、格子対称性の新たな別個の種類が構造内に生成され、複数の格子パラメータが、複数の定在波、したがって共振ピークの複数のバンドの形成を意味し、
B.周期に応じ、共振周波数のギャップが変化することで、異なる共振ピークの間の結合が変調され、この動作がキャパシタで作られたらせん状の経路を通る非線形なエネルギーチャネル化(canalize)に使用され、
C.振動の周期をらせん構造に記憶することが可能になり、これにより可逆の書き込み、読み出し、消去の形式のメモリスイッチングデバイスとして働くことができるように、複数のキャパシタ分子を使用して、共振ピークのグループが互いに結合し、らせん構造において別個の周期的および非周期的な振動モードを生成する。
【0009】
本発明者は、前例のない電子特性を示すキャパシタデバイスで作られた電子インダクタを考え出した。第1に、それは、特定の周波数領域の範囲内のac信号のもとでのみ動作し、第2に、その電気的および磁気的なエネルギーが、キャパシタおよびインダクタと異なり、時間とともに一緒に増加する。第3に、フラクタルのような仮想の項が、インダクタおよびキャパシタと異なるそのキャリア伝播および生成を説明するために必要とされ、それが量子化された電荷輸送を本質的に制御する。第4に、強誘電性、焦電性、圧電性、異方性、電磁共振、および電気機械的な振動を示すことができる。本発明は、アンテナおよびレシーバにも広がる。
【0010】
第1に、本発明は、アレイ化された単位キャパシタで構成されるらせん状キャパシタ−インダクタデバイスであって、特定の周波数領域において蓄えられた電荷と生成される磁界との間の量子化された線形な関係を示し、その量子化を、単にらせん集合体の幾何学的パラメータを変化させることによって調節することができるらせん状キャパシタ−インダクタデバイスを提供する。
【0011】
本明細書において、この電子または光子デバイスは、キャパシタの充電および放電によって電流の流れる経路の抵抗が小さくなり、あるいは大きくなり、結果としてループ経路を通って流れる電流が多くなり、あるいは少なくなることで、デバイスにおいて生み出される磁束が調節されるため、「らせん状キャパシタ−インダクタデバイス」または単に「キャパシタ製インダクタ」と呼ばれる。
【発明の効果】
【0012】
これらの好都合な変化のすべてが、以下に要約される。
【0013】
1.本発明は、上側および下側境界周波数を用いた第4の回路素子の制御を可能にする点で、本発明者のこれまでの第4の回路素子と比べて進歩している。
【0014】
2.本発明は、電子デバイスの電磁応答の位相的制御を可能にする。らせんの半径に対するらせんのピッチの比p、および誘電率が、デバイスにおける量子化の特徴を制御する。これは、使用の容易な調節可能パラメータである。
【0015】
3.本発明は、極度のノイズのもとで外部負荷へと固定された量のパワーをもたらすためにきわめて有用なバンドパスフィルタとしてのキャパシタのらせん状集合体において進歩している。
【0016】
4.本発明は、このデバイスにおいてキャリアを制御する仮想の項の性質を特定することができるため、本発明者のこれまでの種類の第4の回路素子と比べて進歩している。キャパシタで作られたインダクタを構成するための微分方程式の本発明者の以前の導出において、本発明者は、仮想の項(超空間関数)が作用することを発見し、これが我々の微分方程式の生成を停止させる。今や本発明者は、インダクタのらせん状の経路に関して、キャパシタの誘電空間がキャリアの「仮想の供給源」として振る舞い、我々に仮想の項を与えることを解明し、発明者は、フラクタルの場合との強い類似性を発見する。これは、我々がこの電子デバイスにおける仮想のキャリア供給源を思うがままに取り扱い、新たな種類のフラクタル電子工学を発明することを可能にする。
【0017】
5.本発明は、フラクタルバンドを操作するためのツールが今や利用可能であり、単に磁束の量子化された制御を操作することによって、この種類の第4の回路素子の領域のもとで分数電荷エレクトロニクスの開発を開始できるため、本発明者のこれまでの種類の第4の回路素子と比べて進歩している。
【0018】
6.本発明は、発明者が今やこのデバイスを単一のプラットフォームとして使用して複雑な電磁パワー伝送網およびその時間的力学を制御するために経路を支持することができるため、本発明者のこれまでの種類の第4の回路素子と比べて進歩している。
【0019】
7.本発明は、強誘電性、焦電性、圧電性、異方性、電磁共振、および電気機械的振動を自発的に導入できるため、本発明者のこれまでの種類の第4の回路素子と比べて進歩している。したがって、本発明は、アンテナおよびレシーバへと広がる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のらせん状キャパシタ−インダクタの概略図を示す図である。これは、2端子デバイスであり、ループにて配置された単位キャパシタの充電が、アレイ化された経路の伝導度を変化させる。
【
図2】時間の関数としてのいくつかのキャパシタの充電の概略図を示す図である。プロットが、
図1に示した事象を説明している。
【
図3】第4の回路素子のバンド分裂を定義するらせん形状の概略図を示す図である。ここでcは、ピッチ幅であり、Rは、特定のらせんの半径であり、比c/Rが、第4の回路素子を定義するパラメータである。
【
図4】a.例示的な第4の回路素子について波数ベクトルkに対するエネルギーEのプロットを示す図であり、らせんの対称性ゆえに、特定の条件下でバンドが分裂する(上述)。点接触におけるランダム電荷の貯蔵が示されている。b.3つの分裂したバンドを示唆する等電位面の3Dプロットを示す図である。3つの3Dプロットについて、キャリアの伝送信号についてのプロットも示されている。c.チューブリンキャパシタの配置、その立体配座の変化を示唆する微小管表面の走査型トンネル顕微鏡(STM)画像である。異なる共振構造の中で、発明者は、チューブリンまたはたんぱく質の秩序だった配置の切り換わりを観測した。
【
図5】第4の回路素子における信号伝送の阻止を示す図である。
【
図6】a.10K〜300Kの領域(〜1pA)における2プローブdc抵抗(10〜300MΩ)およびac抵抗(40kΩ)を示すグラフである。1MHz(〜100mV
rms)におけるAC抵抗が40kΩを保つようにジャンプしている。b.10K〜300Kにおける特定のMT抵抗の発生の統計的カウント(N)をkによって概略的にプロットした図であり、ピークはフォノン/電子(e−p)のいずれかに起因する。3D E−k(分散)が、e−pシェアリングによって作られた点−接触−スリップをマップしている(右)。
【
図7】(a).微小管の初期の六方晶の格子定数を示す図である。それら(一番上)は、T
c〜397Kにおいて、c=8nm(J
1〜5.76e−21、θ
1〜0°)、b=7nm(J
2〜2.02e−21、θ
2〜45.58°)、a=5.88nm(J
3〜−1.23e−21、θ
3〜58.25°)、d=5nm、e=8nmである。ほぼ矩形の格子(真ん中)については、T
c〜319Kにおいて、c=8nm(J
1〜5.76e−21、θ
1〜0°)、b=6.39nm(J
2〜0.922e−21、θ
2〜51.5°)、a=6nm(J
3〜−0.569e−21、θ
3〜56.4°)、f=0.5nm、g=0.849nmである。一番下の格子については、c=8nm(J
1〜5.76e−21、θ
1〜0°)、b=6.2nm(J
2〜0.302e−21、θ
2〜53.8°)、a=6.13nm(J
3〜0.0262e−21、θ
3〜54.73°)、h=0.325nm、k=0.232nmである。(b)完全に正方形のヒステリック電流電圧特性から計算されたヒステリシス領域を示すグラフがV
maxの関数としてプロットされている。差し込み図は、周囲条件における温度の関数としてのヒステリシス領域(ΔI×ΔV)を示しており、加熱は下方から鉛直方向に行われ、IR放射に起因するコンダクタンスの振動が平均されている。(c)どのようにして格子がキュリー温度の周囲で反転することによって六方晶と正方晶との間で切り換わるのかについての、格子の走査型トンネル顕微鏡(STM)画像であり、これが強誘電性の直接的な証拠である。
【
図8】第4の回路素子の通常のアンテナとの比較を示す図である。通常のアンテナは、サイズが大きく、処理波長λ1は、アクティブ材料の長さ程度である。左側のパネルに、巨視的な(大きい)圧電発振器とナノスケールの圧電発振器との間の概略の比較が示されており、ナノスケールにおいて、デバイスの長さよりも圧電の数桁長い波長がどのように生み出されるのかを示している。右側には、共振バンドのSTM画像およびそれが処理する対応する波長が示されている。
【
図9】a.出力伝送パワー(単位は、dB)が電磁共振ピークを示している微小管の共振バンドを示すグラフである。b.振動する微小管のTEM画像である。c.すべての共振周波数について入力および出力ac信号の間の位相差を示すグラフであり、プロットが、異なる位相値における統計的なカウントを示している(200nm〜2μmの間で変えられたデバイス長)。10kHz〜50MHzの間で、統計的なカウントが特定の位相の発生について行われ、印加ac周波数にかかわらず、45°の倍数としての位相差だけが観測されることを示している。
【
図10】a.第4の回路素子の上に作られたアンテナレシーバを示す図である。b.ナノスケールにおいて試験対象の2つの第4の回路素子の間でどのように無線通信が実行されるのかを示す2つの微小管にもとづくデバイスのAFM画像である。MおよびNは、2つのバリア電極であり、MT1およびMT2は、無線エネルギー交換に関与する2つの微小管デバイスである。c.パネルbのアンテナレシーバシステムの動作性能を示すグラフである。ここで、上から下へと4枚のパネルが提示されている。1オクターブの周波数(右側に列挙)におけるac周波数がポンピングされ、次いでポンピングされたデバイスまたは遠く離れた他のデバイスにおける出力が測定される。MT1がパネルbに示される2つの電極を使用してMT2出力手段をポンピングし、MT1がオクターブの列挙のすべてのac周波数においてポンピングされ、次いでMT2デバイスにおいてどの程度のパワーが伝送されるかが測定される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1の発明のらせん状キャパシタの説明>
上述のように、第1の発明は、アレイ化された単位キャパシタで構成され、周波数の上限および下限の間において出力磁界Mが、蓄えられた電荷Qの関数として線形に増加するらせん状キャパシタ−インダクタデバイスである。比例定数Hが、M=QHとして存在し、Hは、Hインダクタンスと称され、その単位はオーム(Ohm)であるが、値はデバイスのdc抵抗と無関係であり、したがって発明者は、単位をHindとすることを提案する。
【0023】
このデバイスのdc抵抗は、常に絶縁物の範囲にある。1つのキャパシタ(漏れがある)の両端の抵抗Rは、約400Mオームであり、わずか2つのキャパシタが直列に接続されるとき、抵抗は数ギガオームを超える。しかしながら、本発明に従って生成された種々の装置の実験的に割り出されたH値は、超電導体において普通に観測されるマイクロおよびミリオームの範囲である。したがって、第4の回路素子についてのHおよびRは、2つの基本的に異なる概念である。ユーザが電流を送るとき、すべてのキャパシタは、最初にあたかもソースが接地されているかのように充電される。電荷で磁束を変調するために、らせん状の経路は、ac信号を使用して電荷の貯蔵をトリガすることによって経路が活性化されるときに限り、電流を流すと考えられる。充電されたキャパシタを接続する経路のコンダクタンスは、キャパシタが直列のキャパシタおよび組み合わせられたインダクタのしきい値周波数よりも高い周波数でポンピングされるときに、より高く数桁をジャンプしなければならない。インダクタは、しきい値周波数を上回るacを遮る特性を有する。したがって、デバイスは、下側および上側周波数限界の間において、ac信号のバンドパスフィルタとして機能し、これらの限界の内側では、ac信号がキャリアをポンピングし、これが磁界を発生させる。ここで、ac信号が分極を変化させる場合、ユーザは1方向における充電をトリガできず、したがってユーザは有限の磁束を生成することができない。したがって、ユーザは、dcバックグラウンド上のac信号を必要とする。明らかに、ユーザは、acまたはdc信号だけで基本特性を生成するために充分である従来からのLおよびCと異なり、充電を解放して磁界を生成するために、ac周波数およびdcバイアスという2つの同時の追加の制御パラメータを必要とする。第4の回路素子HにおけるLおよびCの特徴が、動作の上側および下側周波数限界を決定する。ac信号が上側限界にあるとき、それはキャパシタの誘電性分子によって吸収され、電流出力はゼロであり、下側限界にあるとき、キャリアがキャパシタから解放され、電流出力が最大である。さまざまなそのような動作周波数バンドが存在するため、各々のバンドが、入力および出力ac信号の間の独特な位相関係を発展させる。
【0024】
<第2の発明のらせん状キャパシタの説明>
第2の発明は、磁界の量子化された線形な増加を示す第1の発明のアレイ化された単位キャパシタで構成されたらせん状キャパシタ−インダクタデバイスである。
A.量子化は、らせんループの幾何学的パラメータ、すなわちらせん状キャパシタ−インダクタデバイスのらせんループの直径およびピッチの比によって変調される。
B.デバイスの分断されたバンドギャップが、材料のらせんおよび/または格子形状を変えることによって調節される。
【0025】
電荷の貯蔵によるらせん状の導電経路の成長/減衰は、幾何学的パラメータPに依存する。らせんの半径に対するらせんのピッチの比が、Pであり、Pおよびらせんの経路の誘電率εが、φ−q関係の基本的な特徴を制御する。Pおよびεを調節することにより、Hの信号増幅およびエネルギー貯蔵の特徴を変調することができる。らせんの周期性および量子化された充電ゆえに、デバイスは、電磁エネルギーの伝送を正確に調節する。らせんのピッチを変えることによって、量子化の特徴を変化させることができる。同時に、磁束が増加し、その長さの変化における階段の特徴を示す。
【0026】
最近では、らせんナノチューブおよびロゼット構造の合成が、広く注目を集めており、1つの波及効果は、らせんエレクトロニクスについての広範囲にわたる理論の生成である。円筒形の導体において、一端から注入された2D電子ガスは、分極に起因して表面上にらせん状の対称パターンで分布する。電子密度のピークは、長さに沿って周期的である。らせんナノチューブにおいて、バンドギャップは、伝導度が低く、あるいは半導体の性質である場合に、フェルミ接触点と呼ばれる点において閉じる。しかしながら、ギャップは、伝導度が金属に変わる場合により多くの点接触において閉じ、システムが特定の条件においてコヒーレント輸送を呈することを可能にする。電流がらせんナノチューブを通って流れるとき、フェルミ接触点は、ゲートチャネルとして働き、電荷の量子化された輸送を可能にする。これは、分断バンドの生成と同様の状況である。Hは、本質的に絶縁体であり、幾何学的経路が、その重要なキャリア伝送を決定すると考えられ、したがって、このデバイスのパワーの使用はシミュレートされており、アトワット〜フェムトワット(ピコアンペア、マイクロボルト)の領域における範囲を有する。また、らせん電流が特定の周波数においてのみ磁束を生成し、これが、量子化された磁束の数に等しいエネルギーレベルの全体のバンドをシフトさせる。
【0028】
k空間において、Hによるエネルギーの貯蔵を可能にする。
【0029】
<第3の発明のらせん状キャパシタの説明>
第3の発明は、第1または第2の発明のアレイ化された単位キャパシタで構成されたらせん状キャパシタ−インダクタデバイスであり、動作周波数の下側限界を決定するキャパシタおよび上側限界を決定する誘導性経路が、容量性の材料の構造ならびに誘導性経路を調節するためのキャパシタ間の化学的、非化学的結合を変えることによって調節される。複数のバンドパスフィルタ処理、カスケードなバンドパスフィルタ処理、または広い周波数の動作領域が存在できる。
【0030】
キャパシタは、単純に誘電体であり、複数のキャパシタの間の結合も、電気双極子として挙動する。(i)キャパシタのしきい値周波数および(ii)インダクタのしきい値周波数という2つのパラメータがアーキテクチャを修正することによって調節される場合に単に材料の組成を変えることによって、材料のキャパシタンスおよびインダクタンス値が変更される。これらの値をしきい値周波数を変えるために調節することができる。キャパシタンスが、バンドパス周波数の下側限界を決定し、インダクタンスが、上側限界を決定する。
【0031】
<第4の発明のらせん状キャパシタの説明>
第4の発明は、第1または第2の発明のアレイ化された単位キャパシタで構成されたらせん状キャパシタ−インダクタデバイスであり、容量性の材料の分子構造およびそれらのらせん結合が、以下のように選択される。A.デバイスが、機械的な振動によって熱パワーを汲み出すことで、電子的および/または光学的な特性を特定の温度限界の範囲内に保つ。したがって、デバイスが、この領域において自動的なノイズ排除装置として機能する。B.特定の温度における複数の双極相転移を被り、強誘電体のスイッチングを呈する。C.物理的または弾性的な応力が、配線においてキャリアを生み、キャリア伝播を変調する。第4の回路素子Hは、強誘電性、焦電性、および圧電性を示す。
【0032】
らせんのアーキテクチャの埋め込まれたばねが伸縮する場合、構造的な対称性が破れ、ディラック点が分かれ、点接触におけるバンドが分離される。しかしながら、対称性が回復される場合、縮退が現れ、2フォノンバンドが遠い点で触れる。このようにして、ディラックゲートの点接触が連続的に開閉し、2つの限界の間のソリトン部分の永久の相互作用が、どのようにしてエネルギーの純粋に機械的な(フォノン)輸送が、たとえノイズが処理信号よりも大きい場合でも、純粋な電子信号を保護するのかを解明する。学習段階において、ソリトンが局所的に同期させられ、微小管が入力信号/ノイズを受け付け、ソリトン部分を調節することによって誤差を補正する。
【0033】
単一のらせん構造の完全に正方形またはロスレスのヒステリックな電流電圧(IV)特性は、ヒステリシス領域が最大印加バイアス/電流の関数である特許文献4に示されるとおりの理想的な強誘電メモリのスイッチングを描く。本発明者は、ナノワイヤにおいて、たんぱく質で作られた構成要素の双極子が規則的なやり方で切り換わる場合に、伝導度が電流電圧特性において観測されるとおりに切り換わることを生で実証した(http://www.nature.com/articles/srep07303において入手することができる本発明者の最近の論文の裏付けのオンライン資料としてのライブビデオ)。らせんの強誘電性がその圧電および焦電の特徴につながるため、それは2つの限界長の間をばねのように振動する。
【0034】
<第5の発明のらせん状キャパシタの説明>
第5の発明は、第1または第2の発明のアレイ化された単位キャパシタで構成されたらせん状キャパシタ−インダクタデバイスであり、容量性の材料の分子構造およびそれらのらせん結合が、らせん形状の格子パラメータが外部の電気、磁気、電磁気の印加につれて変化するように選択される。
A.弾性振動ゆえに、多数の共振状態が生成される。
B.異方性が生成され、複数の電磁共振バンドが生み出される。
C.電気機械的な振動が、材料において生み出される。
D.ちょうどアンテナおよびレシーバのように、材料が特定の周波数信号を吸収し、特定の周波数信号を放射する。
【0035】
インダクタ−キャパシタの機械的振動で作られたらせんが、格子の特徴が縦方向および横方向の振動における非対称性に起因して変化する可能性を考慮しない等方性の連続体モデルを使用して最初に計算された。このようにして、これらのデバイスが強く異方性な弾性特性に従うことが試験および確認され、プロトフィラメントに沿った縦方向の結合が、隣接するプロトフィラメントの間の横方向の結合よりも強力であることが証明された。単に縦方向のモードを計算することによって、振動がその双極子にもとづく計算値よりも1000分の1に減少すると考えられることが明らかになった。後に、これらのらせんアーキテクチャの中空構造のようなより一般的な2Dシェルにおける異方性を含んだ厳格な直交異方性のシェルモデルにもとづく研究が、たとえユーザが横方向のシアリングを含まない場合でも、実験的観察だけを再現する。局所ひずみが全体的な力の集合的な出力であることを考慮する非局所的な弾性の小規模効果が導入される場合、結果は10,000倍も低い共振振動を示唆する。しかしながら、この概念において、円周モードまたは局所的径方向ひずみが含まれる場合、振動開始周波数は100000倍も下げられる。このようにして、典型的なモードに応じて、らせんの共振は、数kHz〜GHzの範囲にあり、1:1000000倍のバンド幅の振動が観測されることを意味する。
【0036】
2D中空円筒メッシュにおけるキャパシタ分子構造が、無線かつロスのない電磁的なパワーの伝送のためのアンテナおよびレシーバとして機能するようなやり方で、共振周波数において発展する回路として機能する。この無線伝送の輝きは、(i)送信側のナノワイヤデバイスが束にして最大のパワー伝送に適した受信側のナノワイヤを自動的に選択し、(ii)小さなコードの一部を無線で送信することによっても、全体の情報パケットを伝送でき、(iii)動作パワーを「通信雪崩」において自動的に増幅できる点にある。そのような大きい規模のパワー伝送は、ロスがないだけでなく、むしろ追加のパワーを必要とされるとおりに論理的に生成し、これは従来からの通信工学においては不可能であると常に考えられてきた。
【0037】
<第6の発明のらせん状キャパシタの説明>
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれかのアレイ化された単位キャパシタで構成されたらせん状キャパシタ−インダクタデバイスであり、明確に異なる2つ以上のキャパシタが1つのらせん構造内に2つ以上の対称性をエンコードするために異なる間隔で使用される。
A.らせんを作るチェーンにおけるキャパシタの配置の周期または空間ギャップに応じて、対称性の新たな別個の種類が構造に生成される。複数の周期は、共振ピークの複数のバンドを意味する。
B.周期に応じて、共振周波数ギャップが変化し、したがって異なる共振ピークの間の結合が変調され、それが非線形なエネルギー運河化に使用される。
C.共振ピークのグループが互いに結合し、らせん構造において別個の振動モードを生成するので、複数のキャパシタ分子を使用して、コードの階層ネットワークをらせん構造に記憶することができる。
【0038】
通常は、らせん構造は、ただ1種類のキャパシタまたは容量性分子を使用することによって作られる。第1に、線形なチェーンが設計され、構造の典型的な特徴ゆえに、線形な構造がらせんの形状をとる。通常は、らせん構造の生成の原理は、それが決して構造の頭から尾への結合ではなく、むしろYおよびZ軸に向かう小さな逸脱が、線形なチェーンをらせん構造へと変換する。ここで、2つ以上の容量性分子が使用される場合、それらは線形なチェーン上の典型的な配置にて組み合わせられる。結果として、それぞれの分子が共振ピークを生み、それらの構成も生むと考えられる。しかしながら、分子配置の何らかのパターンをとり、周期と呼ばれるらせん集合体上のその同じパターンが繰り返される場合、パターンの組み合わせも新たなパターンを発展させる。この新たなパターンは、一緒に配置された構成パターンで実際に作られる。新たに生成されたパターンは、共振のための新たな周波数バンドに応答し、したがってユーザは別の共振バンドを観測する。同様の周期的なエンコーディングを、チェーン上で適切な距離だけ離れて位置する異なる容量性分子を使用することによって生成することもできる。
【0039】
したがって、構造は、理想的ならせんではなく、むしろいくつかの異なる種類のらせんの重ね合わせであると考えられる。
【0040】
図1が、本発明のキャパシタ製インダクタの概略図を示している。デバイスは、各々が黒球として示された単位キャパシタの超分子アセンブリである。この図は、キャパシタが充電され、インダクタも充電するときの小さな時間間隔における2つのらせんの体系を示しており、Eが電界のみの領域を指し、E+Bが電界および磁界を生成している領域である。磁束生成領域が、時間に依存して増加または減少し、したがって時間が基本的な制御パラメータである。充電および放電の時間は、全体としてのらせんアセンブリが一杯でなく、完全に空でもない場合に、デバイスが連続的に動作可能であるように変化する。すなわち、充電/放電の最大時間が存在し、それを下回るとデバイスが比例的な電荷−磁束の挙動を示さない下側周波数限界も存在する。
【0041】
本特許出願の第4の回路素子の定義は、電荷が蓄えられるにつれて生み出される磁束が増加するというものであるため、ひとたびデバイスが充電されると、磁束が増加する機会が存在しない。
図2から、キャパシタが充電後に導通せず、導通の唯一のやり方は漏れ電流によることを、学ぶことができる。この漏れ電流は、キャパシタの数とともに増加し、それは、単に漏れ電流が印加バイアスとは常に無関係で、むしろ有効なキャパシタの数に依存するがゆえ、自然である。したがって、本発明の第4の回路素子の特徴は、(i)漏れ電流デバイスであること、(ii)印加バイアスまたは電流に依存しないこと、(iii)時間または周波数が第4の回路素子の動作特性を決定することを含む。
【0042】
これは、第4の回路素子の磁束の変化が印加バイアスまたは電流の関数として動作すべきではなく、そのようであるならば、決して第4の回路素子ではなく、単なるインダクタに変わってしまう点で、きわめて重要である。理由は単純であり、第4の回路素子を順に生成する4つのパラメータが存在する。第4の回路素子に関して、電圧および電流はいかなる役割も果たしてはならず、生成される磁束の漏れ電流のみへの依存が、印加バイアスまたは電流が電荷の貯蔵と生成される磁束との間の関係についていかなる役割も果たさないことを確実にする。
【0043】
最後に、蓄えられた電荷と生成される磁束との間の比例関係は、充電されるキャパシタの数が多いほど漏れ電流も多くなるという事実によって保証される。要素キャパシタからの漏れ電流が合計され、らせんの経路を通って移動し、磁束の生成につながる。Hインダクタとも称される本特許出願の第4の回路素子の技術は、漏れの多いキャパシタとdc電流またはdcバイアスを阻止するインダクタとで構成されるデバイスに類似することができる。デバイスを、dcバイアスまたは電流を使用して直接動作させることはできず、それらは間接的な制御パラメータである。連続的な動作のために、dcバイアスまたは電流が変化しなければならず、すなわち動作モードが、主としてac信号、バイアス、または電流である。
【0044】
図3は、らせんのピッチcおよび周囲が協働して、材料の誘電率とともに、システムの時間制御および導通制御の支配において基本的な役割を果たすことを示している。これは、らせん構造の漏れ電流の輸送の制御が、第1の発明の説明において詳しく説明した特徴を有するらせんシステムの形状に依存することに気付くために顕著である。発明者がここで注目する1つの特定の問題は、本発明の第4の回路素子が形状制御装置であり、らせんアーキテクチャの材料の特徴の定義に欠くことができない唯一の特性が誘電率であることにある。単に形状および容量性材料の誘電率を操作することによって、幅広い範囲のデバイスを生み出すことができ、発明者は、第4の回路素子を生成するために、デバイスのらせんの経路に従うイオンの拡散を使用することができる。特許文献4において、発明者は、この目的に使用することができる材料に関して詳しく説明した。
【0045】
図4aは、幾何学的な特性および誘電の特徴がどのように現実の第4の回路素子の原子スケールの特性を実際に規定するのかを説明している。幾何学的特徴がキャリアの輸送を制御するとき、次々に連続して位置する狭いエネルギートラップが存在し、これはバンド理論に含まれず、したがってバンド構造が分解し、それはバンド分裂と呼ばれ、この状況において、それは価電子帯および伝導帯が特定の点においてより近くなるように生じる。点接触が存在する場合、熱ノイズkTゆえに、多数の自由キャリアが点接触の底に到達でき、したがって小さな電気バイアスが、価電子帯から伝導帯への電流の量子の通過をトリガすることができる。実際には、点接触の形成は、特定の幾何学的経路の存在を意味し、そこでは小さなエネルギーを要素分子(ここでは、キャパシタ)へと送ることで、らせんネット、すなわちデバイスの全体にわたるキャリアの伝播を可能にすることができる。幾何学的経路は重要であり、この経路以外では、そのような事象が生じ得ない。
【0046】
図4bは、脳ニューロン抽出の微小管ナノワイヤについてのケーススタディを示している。実際に、微小管表面の新たな位相的経路の各々について、別個の分断されたバンドが得られる。これらの個々の経路は、波数ベクトル空間において明瞭に分離され、共通の重なり合いの点が存在しても、存在しなくてもよい。
図4cが、微小管表面について走査型トンネル顕微鏡によって取得された量子トンネリング画像を示している。ここで、発明者は、伝送経路を変更するために、キャパシタの配置に関する限りにおいて、らせん表面が根本的変化を受けることを観測する。ここで、チューブリンたんぱく質分子が、漏れのあるキャパシタとして機能する構造である。これらのキャパシタは、新たな伝送経路を生成するために数原子間距離だけ自身を再配置する。たんぱく質分子またはキャパシタの構造の変化が、その誘電率を変化させ、2つの隣接するらせん経路の間のピッチを変化させる。これらのデータが、微小管が圧電および強誘電体材料であり、これらの特性は、バンド構造が割られ、キャパシタがそれらの機械的特性において弾性的であるという基本的事実から現れることの直接的証拠であることに、注意すべきである。このように、ここで、第4の回路素子の構成要素としてのキャパシタが、第4の回路素子の好ましいキャリア伝送経路を調節するための電気機械的特性を有さなければならないという本発明の第4の回路素子についての基本的情報が追加される。同じ特徴は、変形を自然に、すなわち電気機械的特性を介して排除するために、機械的な弾性を利用することを可能にする。
【0047】
第4の回路素子の1つのきわめて興味深い特性は、動作の下側および上側周波数限界を有することである。
図5は、特定の周波数未満ではデバイスが働かないことを示している。
図1を説明しつつ上記で説明された1つの理由は、このデバイスが有効な動作のために連続的な充電/放電を必要とするというものである。さて、上述のように、デバイスがしきい値時間よりも長く充電または放電される場合、いかなる効果もなく、デバイスを満充電よりももっと充電し、あるいは空よりも少なく充電することは不可能である。このように、しきい値最大時間または最低周波数が存在する。これは、デバイスの容量特性にf起因する。ここで、別の問題、すなわち誘導の限界も存在する。本発明の第4の回路素子(Hインダクタ)の充電/放電が特定の時間よりも短い場合、らせん経路に沿ったいかなるキャリアの伝送もトリガすることができず、したがって誘導特性が有効にならない。最小時間限界は、最大周波数限界を意味し、したがって本発明の第4の回路素子の最大周波数限界が得られる。
【0048】
図6は、第4の回路素子の注目すべき特徴を示している。温度とは無関係な伝導度が、漏れ電流で動作するデバイスから期待される。
図4に関連して説明されるとおり、点接触ギャップは基本的にトンネルギャップであり、キャリアは接合部に蓄えられ、温度が特定の上限よりも低い場合、らせん構造の両端の導通は、依然として点接触ギャップの制御下にある。
図6において、任意の温度においてメモリビットに書き込み、5K〜320Kの間で温度をスイープするとき、ビットを表すdcまたはac伝導度が等間隔の値への小さなジャンプを除いて一定のままであることが発見されたことが示される。極度の熱ノイズ1K/分のもとでも、2つの限界の伝導度の間の振動性のスイープが観測される。厳格に機械的なばね作用の存在から離れて、統計的分析は、ジャンプが常にペアにて生じ、これらのジャンプが伝導度領域においてきわめて先鋭であり、きわめて狭いゲート制御を示しており、ソリトンがこのゲートに蓄積し、しきい値の大きさが達成されるとすぐに汲み出されることを示唆している。
【0049】
図7は、構造が微小管のように漏れのあるキャパシタで作られたインダクタとして機能する場合に、どのように格子特性が変化するのかを示している。強誘電状態(情報)を記入する最大スイープバイアスの関数としてプロットされるヒステリシス領域は、原点を線形に通過し、250Kおよび300Kについてのプロットの2つの系列は、分極可能性がフィールドによって誘発され、300Kまで温度と無関係であることを示している。それをさらに拡張するとき、319K(46℃)において、伝導度は量子化されたジャンプをなし、〜397K(124℃)における第2のジャンプにおいて、強誘電性の分極可能性を測定するヒステリシス領域は、消失する。ヒステリシス領域は、微小管が自発的に低下から回復しようと試みるため、319Kよりも上で振動する。チューブリンが319Kおよび397Kにおいて恒久的な変化を被り、プロトフィラメントが離れ、したがって完全に正方形のIVが直線のIVへと変わり、ヒステリシス領域がゼロになり、したがってキュリー温度T
cは319Kである。ハミルトニアン
【0053】
を使用して定数J
ijを見出して、それらを微小管の格子の値
【0055】
を使用してDombらの式に適用して、T
Cを確かめる。最初に、微小管は、T
C〜397Kにおける六方晶の格子を有し(
図7aの上部)、電界のもとで、プロトフィラメント「左」および「右」が「中心」に対して0.849nm後方および0.05nm前方に移動し、T
C〜319Kにおけるほぼ六方晶の格子を生成する。T
C〜319Kを不変に保ち、微小管は、電界がより対称な格子を生成する場合に(
図7c)、その双極子を逆にすることができる。双安定なメモリの切り換わりのために、しきい値バイアスにおける電圧スイープがチューブリンの電荷中心を移動させ、物理的な運動は必須でない。さらに、ヒステリシスの低下が
図7bに存在し、キャパシタ(ここでは、たんぱく質)の配置を自発的に修正するための能力を有する第4の回路素子の特徴が、強誘電性、焦電性、および圧電性につながるが、上記提案の追加の条件が満たされない場合に、Hインダクタのような第4の回路素子が、それらの重要な特性を呈さない可能性があるということについて、さらなる実験的な裏付けを提供している。
これは、温度の関数として格子の形状が2つの異なる構成の間で可逆に切り換わり、両方の構成がそれらの電気的特性において異なるという無二の物理的特性だけが、一般的な第4の回路素子においてもっぱら可能である点で、注目されるべきである。しかしながら、格子形状における相転移の実現の程度は、漏れのあるキャパシタの典型的な構造パラメータに応じてさまざまであると考えられる。
【0056】
図8は、共振と非共振状態との間の可逆な切り換わり、および格子構造がどのように変更されるかを示している。走査型トンネル顕微鏡(STM)画像のアレイにおいて、単一の微小管が共振周波数ac信号でトリガされると同時にその表面が撮像されるとき、格子画像全体が消失し、ac信号が除去されるとすぐに、格子構造が初期の構成に戻ることが見られることが示されている。本発明において提案される第4の回路素子の種類は、電気機械的特性を有し、これらの特性は、局所電子密度分布を可逆に変化させる。この特定の特徴を、例示的なシステムにおいてhttp://www.nature.com/articles/srep07303でライブで観測することができる。
【0057】
図9は、微小管の共振バンドを示している。MHzバンドにおいて
図9aに示されている微小管のこの三重項(triplet)バンドは、微小管が単なる単純ならせん構造ではなく、らせんの対称性の内部にエンコードされた複数の周期を有する点で、特筆すべきである。1つの特定の対称性が、1つの共振ピークを生成する。しかしながら、より多数の分子が、微小管ナノワイヤまたはデバイスを構成するようにらせんループへと畳まれたチューブリンまたはデバイスの構成キャパシタの線形なチェーンの内側にドープされる場合、1つではなくて複数の共振ピークが観測される。チューブリンたんぱく質の内部にいくつかのドープされた分子が存在し、それらのドープされた分子は、微小管らせん構造を横断して単独で共振によってトリガされ、したがって発明者は、1つの微小管における複数の共存するらせんの存在を実験的に観測した。これが、第4の回路素子の内部の第4の回路素子である。これは、第4の回路素子の複雑な動作回路へのスケールアップがこの経路(1つの内側に別の1つ)に従って達成されるがゆえに、本発明の重要な特徴である。この特定の問題は、一般的な性質である第6の発明の主張において詳しく述べられている。異なるらせんの重ね合わせを生み出すために、いくつかの異なるやり方が存在する。別の例は、核酸A、T、G、Cで作られたDNAであり、4つすべてが、4つの異なる種類の漏れのあるキャパシタである。これらA、T、G、およびC酸は、それらの基本的な配置が周期の1つの特定の組を生み出すようなやり方で配置される。らせんが円対称性を意味し、したがって特定のらせんが得られるように特定の配置の周期的または反復的配置が常に必要であることに、注意すべきである。今や、1つのチェーンにおいて、いくつかの周期的なコードを小さな周期で横並びで記入することができる。次いで、それらの周期は、別の周期的なユニットへとアレンジすることができる。このように、より小さい周期が、コードの1つの組を形成し、より大きな周期が、コードの別の組を形成する。チェーンの長さLは固定であるが、同じ空間Lを使用して、コードのいくつかの層を記入することができ、各々がLという長さを有するn個の層が存在する場合、有効空間はnLである。微小管において、漏れのあるキャパシタはチューブリンであり、いくつかの分子が、いくつかの別個の共存するらせんを生み出すために内部にドープされるが、DNAの場合には、コードが横並びで記入される。第4の回路素子の統合のために、材料に応じて特定の手順が採用される必要があり、微小管およびDNAは2つの例にすぎない。本発明者は、商業的応用のためにインダクタの形態に配置されたキャパシタを使用するいくつかの例示的な装置を作成した。
【0058】
微小管の機械的振動が、
図9bのTEM画像を使用して示されている。1つの構造中に複数の別個の対称性の重ね合わせが存在する場合は常に、材料を通過するac信号がきわめて独特な位相遅れを被ることを、観測することができる。微小管の場合に、発明者は、それが45度の倍数であることを
図9cにおいて観測する。しかしながら、それは、複数のらせん対称性の重ね合わせを生み出すために採用された原理の種類に応じてさまざまであると考えられる。しかしながら、本発明の第4の回路素子が入力および出力信号の間の位相差の量子化を示すと考えられることは、確かである。それは、発明者が観測する異なる種類の位相遅れについて、付随する特定の規則が存在することを意味する。
【0059】
図10は、本発明の第4の回路素子、すなわちHインダクタを備える統合されたチップを生み出すための1つの経路を示している。我々は、本特許出願の発明を実証するために、微小管を再び使用した。ここで、本発明の第4の回路素子が、単一のハードウェアにおいて
図10aに示されるアンテナおよびレシーバのような特性を示すことが、実証される。また、2つの単一の微小管デバイスが、きわめて短い距離にわたるそれらの間の無線通信を実証するために、
図10bに示されるように横並びに置かれることも示されている。
図10cは、一方のデバイスが周波数信号の特定の成分によってトリガされる場合に、同じ信号が他方の微小管へと運ばれ、特定のバンドがトリガされることを示している。この特定のアンテナおよびレシーバのような特徴が、アンテナソフトウェアを使用することによってシミュレートされており、結果が
図10dに示されている。さらに、同様の実験を、仔ウシ胸腺DNAを使用して実行した。これは、短距離無線通信が電気機械的な振動ゆえに可能であり、そのような無線通信をデバイスが液体または半流動体あるいはガスの媒体に浸されている場合でさえも使用できる点で、注目されるべきである。
【0060】
図9に示された共振バンドおよび
図10cにおける通信データの興味深い特性の1つは、ポンピングされたエネルギーが、異なる共振ピークの間で非線形に運河化されることである、したがって、本発明の第4の回路素子は、その異なる共振レベルの間での非線形なエネルギー運河化を実行する。システムの構造における形態変化をトリガし、共振ピークをわずかに動かすことで、微小管の束を使用してメモリ状態をエンコードし、複数の別個の意思決定を実行することが可能である。
【0061】
[実施形態]
発明者は、検証のための生物学的サンプルとして微小管を使用した。しかしながら、市販のキャパシタを使用し、それらをらせんの形態にはんだ付けして、いくつかの研究を、産業上の応用が生み出されるように実行した。
微小管が、Cytoskeleton(Denver,CO,USA)によって豚の脳から抽出された。精製されたMTサブユニット(チューブリン)が、−80℃で保存された。チューブリンを長さ6.5μmの微小管へと重合させるために、160μlの微小管クッションバッファ(60% v/v グリセロール、80mM PIPES pH6.8、1mM EGTA、1mM MgCl
2)を、830μlの一般的なチューブリンバッファ(80mM PIPES pH7、1mM EGTA、2mM MgCl
2)および10μlの100mM GTP溶液へと加えた。この混合物を、10分間にわたって氷の槽内に保った。この混合物から、200μlの溶液を1mgのチューブリンへと加え、それを再び10分間にわたって氷の槽内で培養した。その後に、この素材を、40分間にわたって35〜37℃のインキュベータ内に配置した。次いで、微小管を安定させるために、無水DMSOに溶解させたパクリタキセル20μlを溶液へと加え、それを37℃でさらなる10分間にわたって培養した。MT長を、約4〜20μmへと調節した。
【0062】
フィルムを準備するために、溶液を微小管クッションバッファおよびパクリタキセルDMSO溶液を使用して8倍に希釈し、一晩にわたって−20℃に保たれた45°に傾けられたSi(100)基板および趾間電極へと落下させた。電界を、MTの平行な整列のために、基板を横断して印加した。余分なMT溶液を、フィルタ紙(Whatman)を使用して基板から除去した。次いで、基板を一般的なチューブリンバッファへと浸し、同様のやり方でN
2を吹き付けることによって再び乾燥させた。このプロセスを、2回繰り返した。次いで、基板を3時間にわたって冷蔵庫に配置し、表面を部分的に乾燥させた。
【0063】
αおよびβチューブリンの、寸法46×80×65Å
3のヘテロダイマーへの再構成を、超微細チップによる原子間力顕微鏡観察によって確認した。MTの電位マッピングにより、格子Aの構成を確認した。
【0064】
単一の微小管チェーンの2つの端部において、2つの金電極パッドを、電子ビームリソグラフィによってデバイスを構成するために作製した。2つの端部電極を、外部の電子測定回路に接続した。
【0065】
メモリスタと異なり、微小管MTは、本発明者の先行の特許出願、すなわち特許文献4において作表されたとおりの既存の3つの素子の一つ一つの特性についての対称の議論の正当性を立証する。本特許出願のHは、Cのように電荷を貯蔵/放出するらせん状ナノチューブ/ナノワイヤであり、らせん電流が、Lのような磁束を生成する。たとえLおよびCが内部で一緒に成長/減衰しても、理想的なHは、dc出力において顕著に線形である。純粋に幾何学的な理由で、正確な磁束調節器ならびにLおよびCの共存は、入力ac信号を位相不一致に変える。Hは、全体のアーキテクチャが特定のフィールドのもとでコヒーレントなシステムになることができるため、バリスティック輸送を開始することができる。最近において、Hのように見えるらせん/ロゼットナノチューブが厳格な研究のもとにあり、本特許出願のHの特徴は、それらの特性に似ている。MTは、その長さを変化させることによって電磁エネルギーの貯蔵/輸送を調節し、バイオシステムへと不可欠な位相不一致な信号変換能力を提供する。
【0066】
対照的に、Chuaは、第4の素子のメモリスタを定義するために、ただ1つの対称性の偏角Φ∞Qだけを使用している。らせんの周期性および量子化された充電ゆえに、MTは、自身の電磁エネルギー/パワーを自身の長さの変化によって正確に調節することができる。バリスティックレジームへの切り換わりのためのしきい値バイアスは、その長さにつれて増加する。同時に、磁束が、階段の様相で増加する。したがって、長さの変化によって、MTは、自身のエネルギー貯蔵およびそのコヒーレントな輸送に必要な臨界信号を変調することができる。最終的に、それは、それが処理することができる最大の論理状態も変化させる。したがって、生きた細胞の内部の第4の素子MTは、細胞骨格を通じたきわめて複雑なマルチレベル信号処理において活発な部分を引き受けることができる。本発明者の研究の以前においては、MTは単にキャパシタとして使用されるだけであった(特許文献5)。
【0067】
微小管の再構成、単離、4プローブ電極アーキテクチャ:
いくつかの種類のチューブリンを、Cytoskeleton(Denver,CO,USA)から受け取り、−80℃で保存した。チューブリンを微小管へと重合させるために、微小管クッションバッファ(60% v/v グリセロール、80mM PIPES pH6.8、1mM EGTA、1mM MgCl
2)を、一般的なチューブリンバッファ(80mM PIPES pH7、1mM EGTA、2mM MgCl
2)および/またはGTP溶液へと加えた。この混合物を、10分間にわたって氷の槽内に保った。この混合物から、200μlの溶液を1mgのチューブリンへと加え、それを再び10分間にわたって氷の槽内で培養し、40分間にわたって35〜37℃のインキュベータにおいて培養した。次いで、微小管を安定させるために、無水DMSOに溶解させたパクリタキセル20μlを溶液へと加え、それを37℃でさらなる10分間にわたって培養した。単一の微小管を、誘電泳動を使用して単離し、電極を、電子ビームリソグラフィを使用して成長させた。
【0068】
微小管のフォノンおよび電子ソリトンの基本的なパラメータ:
AFM画像において観測された突起を、3つの理由でソリトン凝縮物として確認し、突起は毎分約1μm移動し、長さ25μmのワイヤ上で測定された。
図4bのソリトン密度が、ソリトン凝縮物(個々のソリトンではない)の総数を数え、スキャンの面積によって除算し、50%の視認性を絶対として考慮することによって得られた。周期性λを
を使用することによって計算し、ここで波数ベクトル
であり、aは格子パラメータであって、8nmであり、1/nは
図4c、dにプロットされたバンド充てんである。ソリトンの質量を式
を使用することによって計算し、ここでu
0は格子ひずみであり、Mは欠陥場所または非対称の点を捕らえる3つのチューブリンモノマーの質量であり、2lはソリトン長であり、aは格子パラメータであり、フォノンソリトン周期性3についてM
s〜300m
eである。たとえ電子ソリトンが質量Ms〜15meを有するとしても、統計的に、フォノンソリトン周期性3が同時性を正確に反映し、したがって電子の質量は、この検討において無視される。2つのフォノンソリトンリングが間にギャップを有さない場合、電子ソリトンは存在すべき空間を得ず、したがって電子およびフォノンソリトンの最大バンド充てんファクタは0.5である。さらに、>96nmの周期性は観測されておらず、したがってバンド充てん比の最小値は0.09である。統計的に、わずかに4つの周期性が観測され、これは厳格に量子化されたバンド充てんレベルを生む。フォノン保護が、たとえESの質量が〜300me(me=電子の質量)でもESの速度を400km/時へと減少させる。
【0069】
DNA、アクチン、マイクロおよびニューロフィラメント、コラーゲン、などを、第4の回路素子の特性を確認するために同様に測定した。測定を、ZnOならびに他の半導体および絶縁らせんについても実行した。請求および検討は、すべての材料において得られた一貫した結果にもとづく。得られた原理は、本発明者の提案による配置にもとづくキャパシタで作られたインダクタが、第4の回路素子の挙動につながるという仮定を証明している。