(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-118093(P2017-118093A)
(43)【公開日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】積層セラミック電子部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/232 20060101AFI20170602BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20170602BHJP
【FI】
H01G4/12 361
H01G4/30 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】37
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-140235(P2016-140235)
(22)【出願日】2016年7月15日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0183779
(32)【優先日】2015年12月22日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ビョン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ヘイエ ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー、チュン イエオル
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン モーン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヘイエ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】パーク、ミョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨン ソーク
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC32
5E082GG10
5E082JJ03
(57)【要約】
【課題】本発明は、積層セラミック電子部品及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明の一実施形態によれば、内部電極及び誘電体層を含むボディと、上記ボディの少なくとも一面に配置され、上記内部電極と電気的に接続する第1の電極層と、上記第1の電極層上に配置され、第1の導電性金属粒子、第2の導電性金属、及びベース樹脂を含む伝導性樹脂層と、を含み、上記第2の導電性金属は上記ベース樹脂の硬化温度より低い融点を有する積層セラミック電子部品を提供することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部電極及び誘電体層を含むボディと、
前記ボディの少なくとも一面に配置され、前記内部電極と電気的に接続する第1の電極層と、
前記第1の電極層上に配置され、第1の導電性金属粒子、第2の導電性金属、及びベース樹脂を含む伝導性樹脂層と、
を含み、
前記第2の導電性金属は前記ベース樹脂の硬化温度より低い融点を有する、積層セラミック電子部品。
【請求項2】
前記ベース樹脂は熱硬化性樹脂である、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項3】
前記第2の導電性金属は溶融状態で前記第1の導電性金属粒子を囲む、請求項1又は2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項4】
前記第2の導電性金属は融点が300℃以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項5】
前記第1の導電性金属粒子と第2の導電性金属は直接接触する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項6】
前記第1の導電性金属粒子は、銅、銀、ニッケル及びこれらの合金のうち一つ以上を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項7】
前記第2の導電性金属は、スズ(Sn)、鉛(Pb)、インジウム(In)、銅(Cu)、銀(Ag)及びビスマス(Bi)のうちから選択された二つ以上の合金で形成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項8】
前記伝導性樹脂層上に配置された第2の電極層をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項9】
前記第2の電極層はめっき層である、請求項8に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項10】
前記第2の電極層はニッケルめっき層及びスズめっき層を含む、請求項9に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項11】
前記第1の導電性金属粒子は前記ベース樹脂の硬化温度より高い融点を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項12】
誘電体層及び内部電極を含むボディを形成する段階と、
前記内部電極の一端と電気的に連結されるように前記ボディの端面に第1の電極層を形成する段階と、
前記第1の電極層上に第1の導電性金属粒子、熱硬化性樹脂、及び前記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い融点を有する第2の導電性金属を含む伝導性樹脂組成物を塗布する段階と、
前記伝導性樹脂組成物を硬化して、溶融された第2の導電性金属が前記第1の導電性金属粒子を囲むように伝導性樹脂層を形成する段階と、
を含む、積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記第2の導電性金属は融点が300℃以下である、請求項12に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記第1の導電性金属粒子と溶融された第2の導電性金属は直接接触する、請求項12又は13に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記第1の導電性金属粒子は、銅、銀、ニッケル及びこれらの合金のうち一つ以上を含む、請求項12〜14のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記第2の導電性金属は、スズ(Sn)、鉛(Pb)、インジウム(In)、銅(Cu)、銀(Ag)及びビスマス(Bi)のうちから選択された二つ以上の合金で形成される、請求項12〜15のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項17】
前記伝導性樹脂層上に第2の電極層を形成する段階をさらに含む、請求項12〜16のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項18】
前記第2の電極層はめっきで形成される、請求項17に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項19】
前記第1の導電性金属粒子は前記熱硬化性樹脂の硬化温度より高い融点を有する、請求項12〜18のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項20】
前記第1の電極層は導電性金属及びガラスを含むペーストを焼成して形成される、請求項12〜19のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項21】
内部電極及び誘電体層を含むボディ部と、
前記ボディ部の少なくとも一面に配置され、前記内部電極と電気的に接続する第1の電極層と、
前記第1の電極層上に配置され、ベース樹脂、前記ベース樹脂内に分散された複数の第1の導電性金属粒子、及び前記複数の第1の導電性金属粒子のうち二つ以上を囲む第2の導電性金属を含む伝導性樹脂層と、
を含む、積層セラミック電子部品。
【請求項22】
前記第2の導電性金属によって囲まれた前記複数の第1の導電性金属粒子のうち二つ以上は、第2の導電性金属によって互いに電気的に連結される、請求項21に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項23】
前記第2の導電性金属によって囲まれていない前記複数の第1の導電性金属粒子のうち一つは、前記第2の導電性金属と直接接触する、請求項21又は22に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項24】
前記ベース樹脂の硬化温度は、前記第2の導電性金属の融点より高く、前記複数の第1の導電性金属粒子の融点よりは低い、請求項21〜23のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項25】
前記ベース樹脂は熱硬化性樹脂である、請求項21〜24のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項26】
前記第2の導電性金属は融点が300℃以下である、請求項21〜25のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項27】
前記複数の第1の導電性金属粒子は、銅、銀、ニッケル及びこれらの合金のうち一つ以上を含む、請求項21〜26のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項28】
前記第2の導電性金属は、スズ(Sn)、鉛(Pb)、インジウム(In)、銅(Cu)、銀(Ag)及びビスマス(Bi)のうちから選択された二つ以上の合金で形成される、請求項21〜27のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項29】
前記伝導性樹脂層上に配置されたニッケルめっき層及びスズめっき層をさらに含む、請求項21〜28のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項30】
誘電体層及び内部電極を含むボディを形成する段階と、
前記内部電極の一端と電気的に連結されるように前記ボディの端面に第1の電極層を形成する段階と、
前記第1の電極層上に複数の第1の導電性金属粒子、熱硬化性樹脂、及び前記複数の第1の導電性金属粒子と分離された第2の導電性金属を含む伝導性樹脂組成物を塗布する段階と、
前記第2の導電性金属の融点より高く、前記複数の第1の導電性金属粒子の融点よりは低い前記熱硬化性樹脂を硬化して、前記伝導性樹脂組成物を前記第2の導電性金属が前記複数の第1の導電性金属粒子のうち二つ以上を囲む伝導性樹脂層に変える段階と、
を含む、積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項31】
前記第2の導電性金属によって囲まれた前記複数の第1の導電性金属粒子のうち二つ以上は第2の導電性金属によって互いに電気的に連結される、請求項30に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項32】
前記第2の導電性金属は融点が300℃以下である、請求項30又は31に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項33】
前記第2の導電性金属によって囲まれていない前記複数の第1の導電性金属粒子のうち一つは前記第2の導電性金属と直接接触する、請求項30〜32のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項34】
前記複数の第1の導電性金属粒子は、銅、銀、ニッケル及びこれらの合金のうち一つ以上を含む、請求項30〜33のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項35】
前記第2の導電性金属は、スズ(Sn)、鉛(Pb)、インジウム(In)、銅(Cu)、銀(Ag)及びビスマス(Bi)のうちから選択された二つ以上の合金で形成される、請求項30〜34のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項36】
前記伝導性樹脂層上に第2の電極層をめっきで形成する段階をさらに含む、請求項30〜35のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【請求項37】
前記第1の電極層は導電性金属及びガラスを含むペーストを焼成して形成する、請求項30〜36のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミック電子部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック電子部品のうち積層セラミックキャパシタは、積層された複数の誘電体層、誘電体層を挟んで対向配置される内部電極、上記内部電極に電気的に接続された外部電極を含む。
【0003】
積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され実装が容易であるという長所により、コンピュータ、PDA、携帯電話などの移動通信装置の部品として広く用いられている。
【0004】
最近では、電子製品の小型化及び多機能化に伴い、チップ部品も小型化及び高機能化する傾向にあるため、積層セラミックキャパシタにおいてもその大きさが小さく且つ容量が大きい高容量製品が求められている。
【0005】
このために、誘電体層及び内部電極層の厚さを薄くして多数の誘電体層を積層した積層セラミックキャパシタが製造されており、外部電極も薄層化されている。
【0006】
また、自動車や医療機器のように高信頼性を求める分野における多くの機能が電子化され需要が増加するにつれて、積層セラミックキャパシタにも高信頼性が求められている。
【0007】
このような高信頼性において問題となる要素としては、めっき工程時に発生するめっき液の浸透、外部衝撃によるクラック発生などがある。
【0008】
よって、上記問題を解決するための手段として外部電極の電極層とめっき層の間に伝導性物質を含有する樹脂組成物を塗布して、外部衝撃を吸収し、めっき液の浸透を防ぎ、信頼性を向上させている。
【0009】
伝導性樹脂層は、熱硬化性樹脂に導電性金属粒子が均一に分散されたペーストを塗布して形成し、塗布されたペーストを乾燥及び硬化する工程を経て形成される。
【0010】
伝導性樹脂層は、導電性金属粒子がランダム分布を有し、電気絶縁特性を有する熱硬化性樹脂がマトリックス状で存在するコンポジット(Composite)構造であり、従来の金属を焼成して形成された高温焼成電極に比べてキャパシタの等価直列抵抗(Equivalent series resistance、ESR)を上昇させるという問題がある。
【0011】
よって、等価直列抵抗(Equivalent series resistance、ESR)が低減され、伝導性樹脂層構造を有する積層セラミックキャパシタが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−051226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、等価直列抵抗(Equivalent series resistance、ESR)が低減され、伝導性樹脂層構造を有する積層セラミック電子部品及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態によれば、内部電極及び誘電体層を含むボディと、上記ボディの少なくとも一面に配置され、上記内部電極と電気的に接続する第1の電極層と、上記第1の電極層上に配置され、第1の導電性金属粒子、第2の導電性金属、及びベース樹脂を含む伝導性樹脂層と、を含み、上記第2の導電性金属は上記ベース樹脂の硬化温度より低い融点を有する積層セラミック電子部品が提供される。
【0015】
本発明の他の実施形態によれば、誘電体層及び内部電極を含むボディを形成する段階と、上記内部電極の一端と電気的に連結されるように上記ボディの端面に第1の電極層を形成する段階と、上記第1の電極層上に第1の導電性金属粒子、熱硬化性樹脂、及び上記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い融点を有する第2の導電性金属を含む伝導性樹脂組成物を塗布する段階と、上記伝導性樹脂組成物を硬化して、溶融された第2の導電性金属が上記第1の導電性金属粒子を囲むように伝導性樹脂層を形成する段階と、を含む積層セラミック電子部品の製造方法が提供される。
【0016】
本発明のさらに他の実施形態によれば、内部電極及び誘電体層を含むボディ部と、上記ボディ部の少なくとも一面に配置され、上記内部電極と電気的に接続する第1の電極層と、上記第1の電極層上に配置され、ベース樹脂、上記ベース樹脂内に分散された複数の第1の導電性金属粒子、及び上記複数の第1の導電性金属粒子のうち二つ以上を囲む第2の導電性金属を含む伝導性樹脂層と、を含む積層セラミック電子部品が提供される。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態によれば、誘電体層及び内部電極を含むボディを形成する段階と、上記内部電極の一端と電気的に連結されるように上記ボディの端面に第1の電極層を形成する段階と、上記第1の電極層上に複数の第1の導電性金属粒子、熱硬化性樹脂、及び上記複数の第1の導電性金属粒子と分離された第2の導電性金属を含む伝導性樹脂組成物を塗布する段階と、上記第2の導電性金属の融点より高く、上記複数の第1の導電性金属粒子の融点よりは低い上記熱硬化性樹脂を硬化して、上記伝導性樹脂組成物を上記第2の導電性金属が上記複数の第1の導電性金属粒子のうち二つ以上を囲む伝導性樹脂層に変える段階と、を含む積層セラミック電子部品の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態によれば、伝導性樹脂層を含んでも等価直列抵抗(Equivalent series resistance、ESR)が低減された積層セラミック電子部品及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品を示す斜視図である。
【
図4】本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法を示す製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0021】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。また、以下では、積層セラミック電子部品を積層セラミックキャパシタを一例として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100を示す斜視図であり、
図2は、
図1のA−A'線に沿った断面図である。
【0023】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品100は、積層セラミックキャパシタであり得、セラミックボディ110と外部電極130a、130bを含む。
【0024】
上記セラミックボディ110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としての活性領域と、上下マージン部であって活性領域の上下部にそれぞれ形成された上部及び下部カバー層と、を含むことができる。上記活性領域は、誘電体層111と内部電極121、122を含み、誘電体層111を挟んで複数の第1及び第2の内部電極121、122が交互に形成されることができる。
【0025】
本発明の一実施形態において、セラミックボディ110は、形状に特に制限はないが、実質的に六面体形状であり得る。チップの焼成時のセラミック粉末の焼成収縮と内部電極パターンの存否による厚さの差異及びセラミックボディのエッジ部の研磨によって、セラミックボディ110は、完全な六面体形状ではないが、実質的に六面体に近い形状を有することができる。
【0026】
本発明の実施例を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、図面上に表示されたL、W及びTはそれぞれ長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向は、誘電体層が積層された積層方向と同一の概念で用いられることができる。
【0027】
上記内部電極は第1及び第2の内部電極121、122からなり、第1及び第2の内部電極は上記誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置されることができる。第1及び第2の内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する一対の電極であり、誘電体層111上に所定の厚さで伝導性金属を含む伝導性ペーストを印刷して、誘電体層111の積層方向に沿ってセラミックボディ110の両端面に交互に露出するように形成され、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0028】
即ち、第1及び第2の内部電極121、122は、セラミックボディ110の両端面に交互に露出する部分を介して外部電極とそれぞれ電気的に連結されることができる。上記外部電極は第1の外部電極130a及び第2の外部電極130bを含み、第1の内部電極121は第1の外部電極130aと、第2の内部電極122は第2の外部電極130bとそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0029】
したがって、第1及び第2の外部電極130a、130bに電圧を印加すると、互いに対向する第1及び第2の内部電極121、122の間に電荷が蓄積され、このときの積層セラミックキャパシタ100の静電容量は第1及び第2の内部電極121、122の互いに重なる領域の面積に比例する。
【0030】
このような第1及び第2の内部電極121、122の厚さは用途に応じて決定されることができ、例えば、セラミックボディ110の大きさと容量を考慮して0.2から1.0μmの範囲内にあるように決定されることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
また、第1及び第2の内部電極121、122に含まれる伝導性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又はこれらの合金であり得るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
このとき、誘電体層111の厚さは積層セラミックキャパシタの容量設計に合わせて任意に変更することができ、セラミックボディ110の大きさと容量を考慮して一層の厚さは焼成後に0.1〜10μmとなるように構成することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
また、誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック粉末、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系又はチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系粉末を含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
上部及び下部カバー層は、内部電極を含まないことを除いては誘電体層111と同一の材質及び構成を有することができる。上部及び下部カバー層は、単一の誘電体層又は2個以上の誘電体層を活性領域の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成されたものであり、基本的に物理的又は化学的ストレスによる第1及び第2の内部電極121、122の損傷を防止する役割を行うことができる。
【0035】
上記第1の外部電極130a及び第2の外部電極130bは第1の電極層131a、131b及び伝導性樹脂層132を含むことができる。
【0036】
また、上記第1及び第2の外部電極130a、130bは、伝導性樹脂層132上に形成される第2の電極層133、134をさらに含むことができる。
【0037】
上記第2の電極層133、134は、めっき層であって、ニッケルめっき層133とスズめっき層134であり得る。
【0038】
上記第1の電極層131a、131bは、第1及び第2の内部電極121、122と直接的に連結されて外部電極と内部電極間の電気的導通を確保する。
【0039】
上記第1の電極層131a、131bは伝導性金属を含み、上記伝導性金属はニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)又はこれらの合金であり得るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
上記第1の電極層131a、131bは、伝導性金属を含むペーストの焼成によって形成される焼成型電極であり得る。
【0041】
上記第1の電極層131a、131b上には伝導性樹脂層132が配置されることができる。即ち、上記第1の電極層131a、131bの外側には伝導性樹脂層132が配置されることができる。
【0042】
本明細書において、セラミックボディ110が存在する方向を外部電極130a、130bの内側、セラミックボディ110が存在しない方向を外部電極130a、130bの外側と定義する。
【0043】
図3は、
図2のB領域を拡大して示した図である。
【0044】
B領域は第1の外部電極130aの端部を拡大して示したものであり、第1の外部電極は第1の内部電極と電気的に接続し、第2の外部電極は第2の内部電極と接続する点だけが異なり、第1の外部電極と第2の外部電極の構成は類似するため、以下では、第1の外部電極130aを基準に説明するが、これは、第2の外部電極130bに関する説明も含むものである。
【0045】
図3に示されたように、上記伝導性樹脂層132は、第1の導電性金属粒子132a、第2の導電性金属132b及びベース樹脂132cを含む。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、上記第2の導電性金属132bは、上記ベース樹脂132cの硬化温度より低い融点を有する。
【0047】
上記ベース樹脂132cは熱硬化性樹脂を含むことができる。上記熱硬化性樹脂は、これに制限されるものではないが、エポキシ樹脂であり得る。
【0048】
上記第1の導電性金属粒子132aは、銅、銀、ニッケル及びこれらの合金のうち一つ以上を含み、上記第1の導電性金属粒子132aは、銀でコーティングされた銅を含むことができる。
【0049】
上記第1の導電性金属粒子132aは、上記伝導性樹脂層132内に粒子状に配置される。
【0050】
上記伝導性樹脂層132は、熱硬化性樹脂に導電性金属粒子が均一に分散されたペーストを塗布して形成し、塗布されたペーストを乾燥及び硬化する工程を経て形成されるため、従来の焼成によって外部電極を形成する方法とは異なり、第1の導電性金属粒子が溶融されず、伝導性樹脂層132内に粒子状に存在することができる。
【0051】
これに対し、上記第2の導電性金属132bは、上記ベース樹脂132cの硬化温度より低い融点を有するため、乾燥及び硬化工程を経る過程で溶融され、
図3に示されたように、溶融状態で上記第1の導電性金属粒子132aを囲む。
【0052】
上記第2の導電性金属132bは、特に制限されるものではないが、例えば、融点が300℃以下であり得る。
【0053】
具体的には、上記第2の導電性金属132bは、スズ(Sn)、鉛(Pb)、インジウム(In)、銅(Cu)、銀(Ag)及びビスマス(Bi)のうちから選択された二つ以上の合金で形成されることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、上記伝導性樹脂層132は乾燥及び硬化工程を経て形成され、硬化温度は約300℃以下であり、この過程で上記第2の導電性金属132bは溶融される。
【0055】
上記第2の導電性金属132bは溶融状態で上記第1の導電性金属粒子132aを囲むため、上記第1の導電性金属粒子132aと第2の導電性金属132bは直接接触することができる。
【0056】
これにより、上記第1の導電性金属粒子132a間の直接接触だけでなく、第2の導電性金属132bによって第1の導電性金属粒子132aが電気的に連結されるため、等価直列抵抗(Equivalent series resistance、ESR)が低減された積層セラミック電子部品を実現することができる。
【0057】
従来のように金属粒子が分散されたペーストを電極物質として用いる場合、金属−金属間接触のときは電子の流れが円滑であるが、熱硬化性樹脂が金属粒子を囲むときは電子の流れが急速に減少する。
【0058】
このような問題を解決するために、樹脂量を極端に減らし、金属量を増やす場合は、金属粒子間の接触率を高めて伝導性を改善することはできるが、逆に樹脂量の減少によって外部電極の固着強度の低下の問題が発生する可能性がある。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、熱硬化性樹脂の量を極端に減らさなくても、溶融された第2の導電性金属132bによって上記第1の導電性金属粒子132a間の接触率を高めることができるため、外部電極の固着強度の低下の問題がなく、且つ上記伝導性樹脂層132内の電気伝導度が改善されることができる。
【0060】
これにより、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の等価直列抵抗(Equivalent series resistance、ESR)が低減されることができる。
【0061】
図4は、本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法を示す製造工程図である。
【0062】
図4を参照すると、本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法は、誘電体層及び内部電極を含むセラミックボディを形成する段階と、上記内部電極の一端と電気的に連結されるように上記セラミックボディの端面に第1の電極層を形成する段階と、上記第1の電極層上に第1の導電性金属粒子、熱硬化性樹脂、及び上記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い融点を有する第2の導電性金属を含む伝導性樹脂組成物を塗布する段階と、上記伝導性樹脂組成物を硬化して、溶融された第2の導電性金属が上記第1の導電性金属粒子を囲むように伝導性樹脂層を形成する段階と、を含む。
【0063】
以下では、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の製造方法について説明するが、これに制限されるものではなく、積層セラミックキャパシタを一例として説明する。
【0064】
また、本実施形態の積層セラミックキャパシタの製造方法に関する説明のうち上述の積層セラミックキャパシタと重複する説明は省略する。
【0065】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法では、まず、チタン酸バリウム(BaTiO
3)などの粉末を含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布し乾燥して複数個のセラミックグリーンシートを製造し、これにより、誘電体層及びカバー層を形成することができる。
【0066】
上記セラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法で数μmの厚さを有するシート(sheet)状にして製作されることができる。
【0067】
次に、ニッケル粉末を含む内部電極用伝導性ペーストを製造することができる。
【0068】
上記グリーンシート上に上記内部電極用伝導性ペーストをスクリーン印刷工法で塗布して内部電極を形成した後、内部電極が印刷されたグリーンシートを複数層積層し、積層体の上下面に内部電極の印刷されていないグリーンシートを複数積層した後に焼成してセラミックボディ110を製造することができる。上記セラミックボディは、内部電極121、122、誘電体層111及びカバー層を含み、上記誘電体層は、内部電極が印刷されたグリーンシートを焼成して形成されたものであり、上記カバー層は、内部電極が印刷されていないグリーンシートが焼成されて形成されたものである。
【0069】
上記内部電極は、第1及び第2の内部電極で形成されることができる。
【0070】
上記第1及び第2の内部電極とそれぞれ電気的に連結されるようにセラミックボディの外部面に第1の電極層131a、131bが形成されることができる。上記第1の電極層131a、131bは、導電性金属及びガラスを含むペーストの焼成によって形成されることができる。
【0071】
上記伝導性金属は、特に制限されるものではないが、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上であり得る。
【0072】
上記ガラスとしては、特に制限されるものではなく、一般的な積層セラミックキャパシタの外部電極の製作に用いられるガラスと同一の組成の物質を用いることができる。
【0073】
次に、第1の電極層131a、131bの外側に、第1の導電性金属粒子、熱硬化性樹脂、及び上記熱硬化性樹脂より低い融点を有する第2の導電性金属を含む伝導性樹脂組成物を塗布し硬化して伝導性樹脂層132を形成することができる。
【0074】
上記金属粒子は、銅、銀、ニッケル、これらの合金及び銀でコーティングされた銅のうち一つ以上を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0075】
上記熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂を含むことができる。
【0076】
上記熱硬化性樹脂は、これに限定されるものではないが、ビスフェノールA樹脂、グリコールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂又はこれらの誘導体のうち分子量が小さくて常温で液状である樹脂であり得る。
【0077】
上記液状樹脂のより具体的な例としては、ポリプロポキシレートビスフェノールA(Polypropoxylate Bisphenol A、PBPA)及びDOW社のエポキシ製品であるD.E.R 330、D.E.R 332、D.E.R 362、D.E.R 364、D.E.R 383などが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
上記伝導性樹脂組成物を硬化して、溶融された第2の導電性金属が上記第1の導電性金属粒子を囲むように伝導性樹脂層を形成する。
【0079】
また、上記伝導性樹脂層上に第2の電極層を形成する段階をさらに含むことができる。上記第2の電極層はめっきによって形成されることができ、例えば、ニッケルめっき層とその上部にスズめっき層をさらに形成することができる。
【0080】
下記表1は、積層セラミックキャパシタの伝導性樹脂層内の金属粒子間連結性によるESR、外部電極の外観評価及び固着強度を比較したものである。
【0081】
金属粒子間連結性を評価する方法は、伝導性樹脂層の断面SEM写真を基に任意の100個の金属粒子を選定し、各金属粒子の隣接粒子との接触の有無を確認した後、その連結水準を%で表示する方法で行われた。
【0083】
上記表1を参照すると、金属粒子間連結性が20%以上90%以下の場合に、ESR特性に優れ、信頼性にも優れることが分かる。
【0084】
即ち、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品において、第1の導電性金属粒子間の直接接触だけでなく、第2の導電性金属によって第1の導電性金属粒子が電気的に連結されるため、等価直列抵抗(Equivalent series resistance、ESR)が低減されることができ、固着強度にも優れた積層セラミック電子部品を実現することができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0086】
100 積層セラミック電子部品
110 セラミックボディ
111 誘電体層
121、122 第1及び第2の内部電極
130a、130b 第1及び第2の外部電極
131a、131b 第1の電極層
132 伝導性樹脂層
132a 第1の導電性金属粒子
132b 第2の導電性金属
132c ベース樹脂
133、134 第2の電極層