【課題】 コンニャクの弾力的な歯ごたえのある食感を損なうことなく、内部に気泡を混入し得て、にんにくの風味を有する熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法を提供する。
【解決手段】 水とコンニャク粉を混合撹拌してコンニャク液を製造し、コンニャク液に食用石灰液を投入して混合撹拌することによりコンニャク原液を製造し、コンニャク原液を複数のトレーに小分けして、各トレーを沸騰水中に浸漬して茹でることでゲル化した熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法であって、コンニャク原液に熟成黒にんにくペーストを混合して攪拌することにより、熟成黒にんにくペーストが均等に混合し、内部に気泡が混入したコンニャク混合液を生成し、コンニャク混合液をトレーに小分けして、これらのトレーを沸騰水中に浸漬して茹でてゲル化することにより、気泡が混入した状態の熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する。
水とコンニャク粉を混合撹拌してコンニャク液を製造し、上記コンニャク液に食用石灰液を投入して混合撹拌することによりコンニャク原液を製造し、上記コンニャク原液を複数のトレーに小分けして、これらのトレーを沸騰水中に浸漬して茹でることでゲル化した熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法であって、
上記コンニャク原液に熟成黒にんにくペーストを混合して攪拌することにより、熟成黒にんにくペーストが均等に混合し、内部に気泡が混入したコンニャク混合液を生成し、
上記コンニャク混合液を上記トレーに小分けして、これらのトレーを沸騰水中に浸漬して茹でてゲル化することにより、気泡が混入した状態の熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法。
上記コンニャク原液に混合する熟成黒にんにくペーストの量は、上記コンニャク原液3.5リットルに対して40g〜60gの割合であることを特徴とする請求項1記載の熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法。
上記ハンドミキサーでの混合撹拌は、その混合撹拌時間を長くするほど、上記コンニャク混合液中の気泡の数を増加させることができるものである請求項3記載の熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法。
上記コンニャク混合液中に混入される気泡の量は、上記コンニャク混合液の色が黒に近い色の状態では少なく、黒色が薄くなり上記コンニャク混合液の色が茶色の状態では多い状態であり、
上記コンニャク混合液の色によって混入すべき気泡の数を判別し得る請求項4記載の熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の気泡の混入法は、コンニャク糊に卵を混合して泡立てを行うことで気泡を生成するものであるが、卵の性質を利用して泡立てを行うものであるから、卵200g(卵3個から4個分)使用する必要があり、コンニャクの低カロリー性が損なわれるし、最終的にははんぺん様のソフトな食品となり、コンニャク本来の歯ごたえのある食感が損なわれるという課題がある。
【0007】
特許文献2においては、攪拌装置を用いてコンニャク糊を攪拌するものであり、エア供給用ポンプ、原料供給用ポンプ等の複数のポンプに加え、練羽根を回転するための動力源が必要であり、装置構成が大がかりであるし、微細な気泡が生成されるのみであり、気泡の数の調整が難しいという課題がある。
【0008】
特許文献3においては、水を加えて膨潤したこんやく糊をカッター等でほぐした後、野菜ペースト等の副原料を投入して攪拌し、凝固、加熱処理するものであるが、攪拌時に攪拌する際に気泡を混入するものであるが、副原料によってコンニャクのゲル強度が弱められてソフトな食感を有するものであり、コンニャク本来の食感とは異なる食品となっている。
【0009】
特許文献4においては、コンニャク粉と水とを混合する際、にんにくの粉末を混ぜて製造するものであるが、コンニャク内に、にんにくの微細な粉末が散在しているのみであり、気泡は含まれていないので、味付けが難しいとのコンニャク本来的な課題を有しているし、にんにくの粉末を混入するのみでは、多くのにんにくの粉末は、コンニャクのゲル内部に封入されてしまうため、にんにくの風味を感ずるまでには至らないという課題がある。
【0010】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、コンニャク特有の弾力的な歯ごたえのある食感を損なうことなく、内部に気泡を混入し得て、しかもにんにくの風味を感ずることのできる熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法を提供することを目的とする。
【0011】
また本発明は、熟成黒にんにく入りコンニャクに混入する気泡の数量の多少を、コンニャク混合液の色によって簡単に判別することのできる熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、水とコンニャク粉を混合撹拌してコンニャク液を製造し、上記コンニャク液に食用石灰液を投入して混合撹拌することによりコンニャク原液を製造し、上記コンニャク原液を複数のトレーに小分けして、これらのトレーを沸騰水中に浸漬して茹でることでゲル化した熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法であって、上記コンニャク原液に熟成黒にんにくペーストを混合して攪拌することにより、熟成黒にんにくペーストが均等に混合し、内部に気泡が混入したコンニャク混合液を生成し、上記コンニャク混合液を上記トレーに小分けして、これらのトレーを沸騰水中に浸漬して茹でてゲル化することにより、気泡が混入した状態の熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法により構成される。
【0013】
このように構成すると、コンニャク特有の弾力的な歯ごたえのある食感を損なうことなく、コンニャクににんにくペーストが均等に混合しているので、コンニャクの低カロリー性を維持したまま、にんにくの風味を有する美味しい味覚のこんにゃくを製造することができ、しかも内部及び表面に気泡が存在しているので、調味料の浸透性もよく、味付けのし易いコンニャクを製造することができる。
【0014】
第2に、上記コンニャク原液に混合する熟成黒にんにくペーストの量は、上記コンニャク原液3.5リットルに対して40g〜60gの割合であることを特徴とする上記第1記載の熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法により構成される。
【0015】
このように構成すると、通常、コンニャクをゲル化するのに使用する方形トレーの1個の容量が3.5リットルであり、この一の方形トレーに対して40g〜60g、好ましくは50gの黒にんにくペーストを投入混合する。この量の熟成黒にんにくペーストを混合することにより、気泡を混入しても、コンニャク特有の弾力性のある歯ごたえを維持することができる。また、1つの方形トレーから例えば約350gの直方体の熟成黒にんにく入りコンニャクを10個程度製造することができる。
【0016】
第3に、ハンドミキサーにて上記コンニャク原液と熟成黒にんにくペーストを混合攪拌するものであり、上記ハンドミキサーでの撹拌は、コンニャク原液と熟成黒にんにくペーストとのコンニャク混合液の色が均一となるまで攪拌混合し、その後、さらに攪拌混合を継続することで、上記コンニャク原液中に気泡を混入するものである上記第1又は2記載の熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法により構成される。
【0017】
このように構成すると、コンニャク原液と熟成黒にんにくペーストが均等に混合し、コンニャクの全体に均等に熟成黒にんにくペーストが存在する熟成黒にんにく入りコンニャクを製造することができる。また、さらに攪拌混合を継続することにより気泡を混入することができるので、容易に気泡入りの熟成黒にんにく入りのコンニャクを製造することができる。
【0018】
第4に、上記ハンドミキサーでの混合撹拌は、その混合撹拌時間を長くするほど、上記コンニャク混合液中の気泡の数を増加させることができるものである上記第3記載の熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法により構成される。
【0019】
このように構成すると、気泡を増加させたい場合は、ハンドミキサーでの混合撹拌時間を長くすればよく、気泡を少なくするには、バンドミキサーでの混合撹拌時間を短くすればよく、容易に気泡の数を増減させることが可能となる。
【0020】
第5に、上記コンニャク混合液中に混入される気泡の量は、上記コンニャク混合液の色が黒に近い状態では少なく、黒色が薄くなり上記コンニャク混合液の色が茶色の状態では多い状態であり、上記コンニャク混合液の色によって混入すべき気泡の数を判別し得る上記第4記載の熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法により構成される。
【0021】
このように構成すると、製造者はコンニャク混合液の色を見ることで、気泡の数の多少を知ることができるので、気泡が多い熟成黒にんにく入りコンニャク、気泡が少ない熟成黒にんにく入りコンニャクを任意に選択して、容易に判別して製造することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、コンニャク特有の弾力的な歯ごたえのある食感を損なうことなく、かつコンニャクの低カロリー性を維持したまま、にんにくの風味を有する美味しい味覚のコンニャクを製造することができ、しかも内部及び表面に気泡が存在しているので、調味料の浸透性もよく、味付けのし易いコンニャクを実現することができる。
【0023】
また、通常、コンニャクをゲル化するのに使用する方形トレーの1個の容量が3.5リットルであり、この一の方形トレーに対して40g〜60gの割合の黒にんにくペーストを投入混合することにより、気泡を混入しても、コンニャク特有の弾力性のある歯ごたえを維持し得る熟成黒にんにく入りコンニャクを実現することができる。
【0024】
また、コンニャク原液と熟成黒にんにくペーストが均等に混合し、コンニャクの全体に均等に熟成黒にんにくペーストが存在し、さらにコンニャクの内部及び表面に気泡が存在するので、にんにくの風味が豊かな熟成黒にんにく入りコンニャクを実現することができる。
【0025】
また、気泡を増減させたい場合は、ハンドミキサーでの混合撹拌時間を調整すればよく、製造時に容易に気泡の数を増減制御することが可能となる。
【0026】
また、製造者はコンニャク混合液の色を見ることで、気泡の数の増減を知ることができるので、気泡が多い熟成黒にんにく入りコンニャク、気泡が少ない熟成黒にんにく入りコンニャクを任意に選択して製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る熟成黒にんにく入りコンニャクを製造する方法について説明する。
【0029】
(1)コンニャク液の製造
まず、
図1に示すように、70リットルの容積を有する容器1に、水55リットルを入れ、該水の中にコンニャク粉1500gを入れて、製造者が攪拌棒4にて攪拌する。これによりコンニャクの素となるコンニャク液を製造する。
【0030】
(2)食用石灰液の製造
一方、
図2に示すように、バケツ2に水を10リットル入れて、該水の中に石灰(水酸化カルシウム)900gを入れて混合し、食用石灰液の原液を作る。その食用石灰液の原液の900mlと水とをバケツ3の中に入れて攪拌混合し、原液と水の合計15リットルの食用石灰液を作る。
【0031】
(3)コンニャク原液の製造
図3に示すように、上記(2)の食用石灰液の15リットルを、上記容器1の中に入れて、全体で70リットルの液体を製造する。この液体を以下、コンニャク原液という。
【0032】
その後、容器1内で上記コンニャク原液20を製造者が攪拌棒4にて手でゆっくり攪拌する。このとき、コンニャク原液20に空気が入らないように静かに攪拌する。この攪拌により、このコンニャク原液20は多少のとろみが生じる。
【0033】
(4)コンニャク原液のトレーへの写し
その後、
図4に示すように、上記容器1内の70リットルのコンニャク原液20を、20個の金属製のトレー5に移す。このトレー5は縦35cm、横29cm、高さ3.5cmであり、約3.5リットルの容積を有しているので、上記70リットルのコンニャク原液20を上記トレー5に移すことで、20個のトレー5に移すことができる。尚、上記コンニャク原液20は上記トレー5の上縁ギリギリのところまで入れる。
【0034】
(5)熟成黒にんにくの製造(
図10参照)
ここで、本発明に使用する熟成黒にんにくの製造方法について説明する。尚、この熟成黒にんにくは、予め以下の方法で製造し、保管しておくものである。
【0035】
熟成黒にんにくの製造は、一般的な公知の製造方法で製造すれば良い。
例えば、皮つきのにんにく17を電気式保温容器(例えば電気式ヒータを有するジャー等)8の中で、内部温度75℃を維持した状態で、その保温容器8の中に20日間入れて熟成させる。
【0036】
その後、上記保温容器8内からにんにくを取り出し、テーブル13上等で、常温でさらに10日間寝かす。
【0037】
すると、にんにくの実の部分の全体が発酵して黒くなった熟成黒にんにく17’を製造することができる。その後、ジューサーミキサー又はフードプロセッサー9内に1kgの熟成黒にんにく17’(実の部分のみ、皮は除く)と150ccのミネラルウォーター(水)を加え、攪拌混合することでペースト状の熟成黒にんにく16を製造する(
図10(d)参照)。
【0038】
(6)熟成黒にんにくとの混合
次に、
図5に示す各一の上記トレー5に入れたコンニャク原液(3.5リットル)をボール6に移して、このボール6に50gの熟成黒にんにくのペースト16を入れ、電動ハンドミキサー7にて攪拌する。
【0039】
熟成黒にんにくペースト16を入れて、製造者が電動ハンドミキサー7を以って、上記原液を攪拌すると、当初のコンニャク原液20は灰色であるが、熟成黒にんにくペースト16がコンニャク原液に均等に混合し、その結果、全体としてより黒に近い色になる(
図6参照)。
【0040】
上記電動ハンドミキサー7にて所定時間攪拌(例えば10分程度)すると、コンニャク原液20に熟成黒にんにくペースト16が均等に混合され、コンニャク原液20中に熟成黒ニンニクペースト16が均等に混合されたコンニャク混合液17が生成される。その後、引き続いて、電動ハンドミキサー7により攪拌を継続すると、コンニャク混合液17中に気泡が生成される。
【0041】
上記電動ハンドミキサー7による攪拌時間は長いほど、コンニャク混合液17中に気泡が多く生成され、攪拌時間が短いとコンニャク混合液17中に生成される気泡は少なくなる(
図11(a)(b)(c)参照)。
【0042】
上記電動ハンドミキサー7による攪拌時間が長いと、こんにゃく混合液17中に生成される気泡が多くなり、気泡中の空洞の影響により、コンニャク混合液17の色は黒色から茶色(又は黒よりも茶色に近い色)、薄い茶色に変化する(
図11(a)から(b)を経て(c)への変化)。
【0043】
即ち、ハンドミキサー7による攪拌時間によってコンニャク混合液17は、黒に近い色(気泡19の数は少ない)から(
図11(a)参照)、茶色又は黒よりも茶色に近い色(気泡19の数が多い、
図11(b)参照)、薄い茶色(気泡19の数が非常に多い)(
図11(c)参照)に変化してゆく。従って、製造者は、コンニャク混合液17の色を目視することによって、気泡19の数の多少をコントロールすることができる。
このような色の変化は、コンニャク混合液中の気泡内は空洞であるため、気泡自体は無色透明であり、コンニャク混合液中に無色透明の気泡が増加することにより、コンニャク混合液の黒色中の気泡の無色透明部分が増加し、その結果、コンニャク原液本来の茶系の色が出現してきたものと考えられる。
【0044】
上記の実施形態では、トレー5の3.5リットル(約3.5kg)のコンニャク原液20に対して50gの熟成黒にんにくペースト16を混合したが、熟成黒にんにくペーストの量は40g〜60gの範囲内のいずれでも良い。また、コンニャク原液3.5リットル(約3.5kg)に対する熟成黒にんにくペースト16の量は40g〜60gの割合で良い。従って、例えばコンニャク原液20の容積が1/10の350ミリリットルであれば、熟成黒にんにくペースト16の量も1/10の4g〜6g(好ましくは5g)の範囲内の何れかの量、コンニャク原液20の容積が10倍の35リットルであれば、熟成黒にんにくペースト16の量も10倍の400g〜600g(好ましくは500g)の範囲内の何れかの量として良い。
【0045】
(7)コンニャク混合液のゲル化
コンニャク混合液17の生成から、気泡19を生成するため、電動ハンドミキサー7により、さらに例えば5分間〜15分間攪拌を行い、コンニャク混合液17中に気泡19を混入させる。
【0046】
その後、
図6に示すように、気泡を生成したコンニャク混合液17は、上記ボール6から上記トレー5に戻し、該トレー5を100℃の沸騰水中で20分間茹でることで、トレー5内のコンニャク混合液17をゲル状に固める。
【0047】
具体的には、
図7に示すように、気泡を混入させたコンニャク混合液17を収納した複数の上記トレー5を、天井から吊り下げた昇降枠11の上に載置し、上記昇降枠11を下降させ、100℃の沸騰水18の入った釜12の中に浸漬し、沸騰水にて20分間茹でる。上記トレー5内のコンニャク混合液17は、上記茹でることによりゲル状に固化する。図中12’は釜12のヒータ管である。
【0048】
その後、釜12の中で1時間、寝かせた後、上記昇降枠11と共に上記トレー5を釜12から引き揚げる。
【0049】
そして、引き上げた昇降枠11から上記トレー5を取り卸し、
図8に示すように、1つのトレー5の熟成黒にんにく入りコンニャク14をカッター13で10等分に分割し、10個の直方体形状の熟成黒にんにく入りコンニャク14(1個の熟成黒にんにく入りコンニャクは約350g)を作ることができる。上記トレー5は20個あるので、200個の熟成黒にんにく入りコンニャク14を製造することができる。
【0050】
(8)保存
その後、上記熟成黒にんにく入りコンニャク14は、別の保存用水槽15の石灰水中に投入し保存することができる。
【0051】
熟成黒にんにく入りコンニャク14を販売するときは、保存用水槽15から取り出して、パッケージ等を行って販売する。
【0052】
尚、熟成黒にんにく入りの刺身コンニャクとして販売する場合は、当該保存の行程は行わず、上記20分間茹でて、1時間寝かせた後、すぐにパッケージされて、販売に供されるものである。
【0053】
(6)本発明に係る熟成黒にんにく入りコンニャク
本発明に係る熟成黒にんにく入りコンニャク14は、上記電動ハンドミキサー7によって攪拌することで、コンニャク混合液17中に多数の気泡19が混入しており、その気泡19を混入した状態のコンニャク混合液を100℃の沸騰水にて茹でることで、その気泡19が混入した状態のままゲル化しているものである(
図12参照)。
【0054】
従って、ゲル化した熟成黒にんにく入りコンニャク14の内部に気泡19が生成されていると共に、コンニャク14の表面14a(全6面)においても気泡19’が表れている(
図12参照)。
【0055】
にんにくは、熟成して黒にんにくとすることにより、所謂にんにく臭さは減少するが、この熟成黒にんにく入りコンニャク14は、コンニャクの全体に熟成黒にんにくペーストが均等に混合しているため、程良いにんにくの風味を有している。
【0056】
また、上述のように、コンニャクの表面14aに気泡19’が形成されているので、気泡が存在しない状態に比較して、表面積が広くなり、よりにんにくの風味、香りが外部に発散し、にんにく風味のコンニャクを生成することができる。また、これはコンニャク14をナイフで、任意の場所にて切断したときも同様であり、切断面の表面には気泡19’が現れるため、切断時も同様に、にんにくの風味を感ずることができる。
【0057】
また、熟成黒にんにく入りコンニャク14の表面に多数の気泡19’が形成されているので、当該コンニャク14に調味料(醤油、焼き肉のたれ等)をかけたとき、調味料が表面の気泡19’中に入り込み、これにより調味料の付着性を高めることができる。
【実施例】
【0058】
A 実施例1(表1参照)
(1)70リットルの容積を有する容器1に、水55リットルを入れ、該水の中にコンニャク粉1500gを入れて、攪拌棒4にてコンニャク粉が水に完全にとけるまで攪拌棒4で攪拌した(攪拌時間10分〜15分)。
【0059】
(2)食用石灰液の15リットルを容器1に入れて70リットルのコンニャク原液20とし、このコンニャク原液20を製造者が攪拌棒4にて手でゆっくり攪拌した(攪拌時間10分〜15分)。
【0060】
(3)その後、上記容器1内の70リットルのコンニャク原液20を、20個のトレー5(容量3.5リットル)に移した。
【0061】
(4)熟成黒にんにくペーストとの混合
次に、一の上記トレー5に入れたコンニャク原液20(3.5リットル)をボール6に移して、このボール6に50gの熟成黒にんにくのペースト16を入れ、電動ハンドミキサー7にて攪拌した。
【0062】
本実施例1では上記電動ハンドミキサー7で10分間混合撹拌し、さらに5分間混合撹拌を継続し、
図11(a)に示す気泡の数の比較的少ない状態とした。このときのコンニャク混合液の色は黒に近い色である。
【0063】
その後、
図6に示すように、気泡を生成したコンニャク混合液17は、上記ボール6から上記トレー5に戻した。その他のトレー5中のコンニャク原液20も同様にして熟成黒にんにくペースト16と混合してトレー5に戻し、コンニャク混合液17をトレー20個分製造した。
【0064】
(5)上記トレー5を、天井から吊り下げた昇降枠11の上に載置し、上記昇降枠11を下降させ、100℃の沸騰水18の入った釜12の中に浸漬し、沸騰水にて20分間茹でた。その後、釜12の中で1時間、寝かせた後、上記昇降枠11と共に上記トレー5を釜12から引き揚げた。
【0065】
引き上げた昇降枠11から上記トレー5を取り卸し、
図8に示すように、1つのトレー5の熟成黒にんにく入りコンニャク14をカッター13で10等分に分割し、10個の直方体形状の熟成黒にんにく入りコンニャク14を製造した。
【0066】
(8)切り分けた上記熟成黒にんにく入りコンニャク14は、別の保存用水槽15の石灰水中に投入し保存した。
【0067】
【表1】
【0068】
B 実施例2(表1参照)
上記工程4において、コンニャク原液20(3.5リットル)と50gの熟成黒にんにくのペースト16を入れ、電動ハンドミキサー7にて攪拌する際、10分間混合撹拌し、さらに10分間混合撹拌を継続し、
図11(b)に示す気泡の数の比較的多い状態とした。このときのコンニャク混合液17の色は黒に近い色よりも多少薄くなり、全体として茶色又は黒よりも茶色に近い色となった。上記工程4以外は、上記実施例1と同様とし、熟成黒にんにく入りコンニャク14を製造した。
【0069】
C 実施例3(表1参照)
上記工程4において、コンニャク原液20(3.5リットル)と50gの熟成黒にんにくのペースト16を入れ、電動ハンドミキサー7にて攪拌する際、10分間混合撹拌し、さらに15分間混合撹拌を継続し、
図11(b)に示す気泡19の数の非常に多い状態とした。このときのコンニャク混合液17の色は薄い茶色となった。上記工程4以外は、上記実施例1と同様とし、熟成黒にんにく入りコンニャク14を製造した。
【0070】
D 実施例4,5(表1参照)
上記工程4において、コンニャク原液20(3.5リットル)に混合する熟成黒にんにくペーストの量を40g(実施例4)と、60g(実施例5)とし、上記実施例1−3の攪拌時間(攪拌10分+5分、攪拌10分+10分、攪拌10分+15分)の各パターンにて同様に熟成黒にんにく入りコンニャクを製製造した。尚、表1には、攪拌時間は10分+10分のケースのみを示す。
【0071】
【表2】
【0072】
B 結果(表2参照)
何れの実施例においても、弾力性があり、気泡19,19’が混入しているにも拘わらず、コンニャクの質感を有する熟成黒にんにく入りコンニャク14を製造することができた。
【0073】
また、何れの熟成黒にんにく入りコンニャク14も、気泡19,19’の多少にかかわらず、歯ごたえの成る弾力性のある熟成黒にんにく入りコンニャクを製造することができた。
【0074】
また、何れの実施例の場合においても、出来上がった熟成黒にんにく入りコンニャク14は、にんにくの香りがするものであり、そのままでも例えば酒の肴として食することができることがわかった。これは、コンニャク全体に熟成黒にんにくペーストが均等に混合されており、かつ多数の気泡19,19’、特に表面及び表面近くに多数の気泡19’を有しており実質的な表面積が広いので、多数の各気泡19,19’の内側においても熟成黒にんにくペーストが存在していることにより、多数の気泡19,19’を通じて熟成黒にんにくの香りがコンニャク表面から外側に広がることに起因するものと考えられる。
【0075】
また、熟成黒にんにく入りコニャク14を酒の肴等として食する場合に、しょうゆ等の調味料の付着性も良い。これは、上述のように、特に表面に多数の気泡19’を有しており、しょうゆ等は表面の気泡19’内に入り込むためと考えられる。
【0076】
また、熟成黒にんにく入りコンニャク14を焼いてソテーとする場合は、熟成黒にんにく入りコンニャク14の表面及び内部に気泡19,19’が形成されているため、火の通りがよく、調理時間を短くすることができる。また、焼き肉の垂れ等の調味料の浸透性をも高くすることができる。
【0077】
比較例として、熟成黒にんにくペーストを混合しない、通常のコンニャクを製造した。その結果を表2に示す。通常のコンニャクは、にんにくの香りはなく、調味料の付着性が悪く、火の通りも悪いという結果であった。
【0078】
以上のように、本発明によれば、コンニャク特有の弾力的な歯ごたえのある食感を損なうことなく、かつコンニャクの低カロリー性を維持したまま、にんにくの風味を有する美味しい味覚のコンニャクを製造することができ、しかも内部及び表面に気泡19,19’が存在しているので、調味料の浸透性もよく、味付けのし易い熟成黒にんにく入りコンニャクを製造することができる。
【0079】
また、通常、コンニャクをゲル化するのに使用する方形トレー5の1個の容量が3.5リットルであり、この一の方形トレー5に対して40g〜60gの割合にて黒にんにくペーストを投入混合することにより、気泡を混入しても、コンニャク特有の弾力性のある歯ごたえを維持し得る熟成黒にんにく入りコンニャクを製造することができる。
【0080】
また、コンニャク原液と熟成黒にんにくペーストが均等に混合し、コンニャクの全体に均等に熟成黒にんにくペーストが存在するため、にんにくの風味の豊かな熟成黒にんにく入りコンニャクを実現することができる。
【0081】
また、気泡を増減させたい場合は、ハンドミキサーでの混合撹拌時間を長く又は短くすればよく、製造時に、容易に気泡の数を増減させることが可能となる。
【0082】
また、製造者はコンニャク混合液の色を見ることで、気泡の数の増減を知ることができるので、気泡が多い熟成黒にんにく入りコンニャク、気泡が少ない熟成黒にんにく入りコンニャクを任意に選択して、熟成黒にんにく入りコンニャクを製造することができる。