(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-119060(P2017-119060A)
(43)【公開日】2017年7月6日
(54)【発明の名称】車椅子用駐車ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
A61G 5/02 20060101AFI20170609BHJP
【FI】
A61G5/02 514
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-257865(P2015-257865)
(22)【出願日】2015年12月28日
(71)【出願人】
【識別番号】516019127
【氏名又は名称】中里 幸徳
(72)【発明者】
【氏名】中里 幸徳
(57)【要約】
【課題】安定した高い制動力と、片手で簡単にブレーキ操作できる使いやすさと、認知症などの利用者が誤ってブレーキを解除してしまうことを防ぐための安全装置を備えた、車椅子用の駐車ブレーキ装置を提供する。
【解決手段】車椅子の左右の主車輪を自転車の後輪に広く使用されているバンドブレーキやローラーブレーキなどのハブブレーキ付きのものにし、ブレーキレバーをラチェット式にして車輪のロックと解除を片手で簡単に行えるようにするとともに、別途取り付けた安全装置によりブレーキレバーを二重に固定する手段を設けることでブレーキが安易に解除されないようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)制動方式を 車輪と一体のドラムやディスクをブレーキシューで圧迫あるいは締め付けるなどして車輪の回転を止めるハブブレーキとし、
(ロ)ブレーキワイヤーを繋いだブレーキレバーにラチェットを用い、握るなどして車輪のロックと解除を片手で行える形状にし、
(ハ)車輪をロックした状態で更にブレーキレバーを固定する手段を設けることで、二重にロックする安全装置を備える、
これらを特徴とする車椅子用駐車ブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性と利便性を向上させた車椅子用駐車ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車椅子の駐車ブレーキは、ブレーキレバーを押すまたは引く動作で操作してストッパーをタイヤに押し付け圧迫することで車輪を固定する方式のものである。
【0003】
自転車の後輪に多く使用されているハブブレーキ(バンドブレーキなど)を用いたものもありタイヤの空気圧に関係なく制動力を発揮できるが、それは車椅子の背もたれに付随するハンドルに備えられたものであり、背後から車椅子を押す介助者が一時的に使用するためのものでしかない。そのため正対する介助者や利用者には使用できない。
また駐車のために車輪をロックしたままにしておくこともできない。
【0004】
従来の方式ではブレーキに安全装置が無く、誤って解除してしまうことを防げるようになっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2004−275498
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の方式では、タイヤの空気圧が低いと駐車ブレーキをかけていても効力がまるで無く、車輪が自在に動いてしまうため危険であった。
そのため車椅子の駐車ブレーキをタイヤの空気圧に左右されず安定した制動力を発揮できるものにする。
【0007】
従来の方式では、レバーを押したり引いたりして駐車ブレーキをかけようとする行為そのものが車椅子を動かしてしまう(動いてしまう)ことがままあった。理想の位置のまま片手でブレーキレバーを操作して車輪を固定させるのは難しく、両手を使わざるを得なかったり、固定したあとで位置を直したりしなければならない場合が多い。そのため介助に煩わしさと危険が伴った。
介助者が片手で簡単に駐車ブレーキを操作でき、かつ車椅子の位置をずらしてしまうことのないような操作方法にする。
【0008】
認知症などの利用者は、自分で勝手に駐車ブレーキを解除してしまうことがままあり危険であった。
利用者が簡単自由に駐車ブレーキの解除をできないようにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
車椅子の左右の主車輪を自転車の後輪に広く使用されているバンドブレーキやローラーブレーキなどのハブブレーキ付きのものにし、ブレーキワイヤーで繋いだブレーキレバーを左右の肘掛けの下など車椅子の両側面に設置して、ブレーキレバーを握るなどして閉じることで制動力を得られるような形状にする。
【0010】
そのブレーキレバーにはラチェットを用いる。すなわちレバーを閉じればその位置で固定されてブレーキがかかったままになり、押しボタンに等よって固定が解除されるとレバーが元の位置に戻り(開き)ブレーキが解除されるようにする。
【0011】
そのブレーキレバーに安全装置を設ける。この安全装置をオンにした状態ではブレーキレバーが固定され、ブレーキの解除操作を行ってもブレーキレバーが元の位置に戻らない(ブレーキが解除されない)ようにし、ブレーキを解除するためにはまずこの安全装置をオフにしなければならないようにする。
【発明の効果】
【0012】
車椅子において、いつの間にか空気が抜けたタイヤであっても安定した高い制動力を発揮できるので安全であり事故の危険が減る。
【0013】
車椅子の位置をずらしてしまうことなく片手で簡単にブレーキ操作が行えるので、安全かつ楽に介助介護業務を行うことができ事故の危険が減る。
【0014】
利用者が勝手にブレーキを解除しにくいので、事故の危険が減る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明にかかるブレーキ装置の左側面部外観図。右側面も同様になっている。
【
図2】本ブレーキ装置の取り付け例1。肘掛けの直下部分に取り付けた場合の斜視図。
【
図3】本ブレーキ装置の取り付け例2。レバーを上向きにして取り付けた場合の斜視図。
【
図4】取り付け例1における、利用者によるレバーの握り方の例1。
【
図5】取り付け例1における、利用者によるレバーの握り方の例2。
【
図6】本ブレーキ装置の母体部分10。ブレーキレバー20とラチェット部材30と安全装置40と45が取り付けられ、ブレーキワイヤー51を通す。
【
図8】ラチェット部材30。バネによってw方向に付勢されている。
【
図10】ブレーキレバー20とラチェット部材30が噛み合う様子。
【
図12】ブレーキをかけ、さらに安全装置40をオンにした状態でブレーキ解除ボタン34をy方向に押した時の断面図。ブレーキは解除されない。
【
図13】ラチェット部材30を別の例30aに置き換えた場合。
【
図14】ラチェット部材30を別例30bに、安全装置40を別例40aに置き換えた場合。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示されるブレーキ装置を肘掛けの下など車椅子の両側面部に取り付ける。
ブレーキレバー20は主車輪のハブブレーキとブレーキワイヤー51によって直結している。握るなどしてレバーをx方向に閉じることでブレーキがかかる。
ハブブレーキはバネの力によって常にブレーキワイヤー51をz方向に引く力が働いており、ゆえにブレーキレバー20にも常にz方向に開く力がかかっている。
ラチェット部材30は、バネによって常にw方向に付勢されており、22部分に常に押し付けられている。
そのためブレーキレバー20は22部分で33部分と噛み合い、閉じたその位置で固定されるので、
図9に示すように手を放していてもブレーキがかかったままの状態を維持する。
ブレーキがかかった状態で解除ボタン34をy方向に押せば、30は22から一旦離れるので、ブレーキレバー20は拘束を解かれて元の位置に戻り(開き)、同時にブレーキは解除される。
付随する安全装置40は、バネの力によって常にz方向に力が働いている。
図12に示すようにx方向に押し込んだ場合、45に拘束されてそのままの位置で停止する。それがブレーキレバー20をブレーキがかかったままの状態で固定し元の位置に戻る(開く)ことを遮るので、解除ボタン34を押してもブレーキが解除されることはない。
この安全装置40は、解除装置45をw方向に引くことで拘束が解かれて元の位置に戻る。そしてブレーキレバー20は固定を解かれるのでブレーキの解除が可能になる。つまりブレーキを解除するには、まず安全装置40を解除しなくてはならないようにする。
【0017】
図14に示した例は22とラチェット部材30bの位置関係が
図1とは逆になっているが、原理は同じである。
30bはバネの力で常にy方向に力がかかっており、解除するには解除レバー34bをx方向に上げればよい。
また、安全装置40aとブレーキワイヤー部分の位置関係も逆になっている。40aはネジ構造になっており、先端部のツマミ41aを回すことで40aをねじ込ませてブレーキレバー20を固定し、逆方向に回すことで固定を解除する方式の安全装置である。
【符号の説明】
【0018】
10・・・・・本発明にかかるブレーキ機構の母体部分である。
11・・・・・10における20との接合部分である。
12・・・・・10における30や30bとの接合部分である。
13・・・・・ブレーキワイヤー51を通す穴である。
14・・・・・40を通す穴である。
15・・・・・45を通す穴である。この穴を通じて45は40を固定する。
16・・・・・45を通す穴である。
20・・・・・ブレーキレバーである。
21・・・・・20における10との接合部分である。
22・・・・・33や33aや33bと噛み合う部分である。
23・・・・・ブレーキワイヤーの一端を嵌めこむための切れ込みである。
30・・・・・ラチェット機構のための部材である。
31・・・・・30における10との接合部分である。
32・・・・・30をw方向へ付勢するためのキックバネを内包する切れ込みである。
33・・・・・22と噛み合う部分である。
34・・・・・ブレーキ解除ボタンである。
30a・・・・30の別例である。
33a・・・・30aにおける22と噛み合う部分である。
34a・・・・30aにおけるブレーキ解除ボタンである。
30b・・・・30の別例である。
33b・・・・30bにおける22と噛み合う部分である。
34b・・・・30bにおけるブレーキ解除ボタン(レバー)である。
40・・・・・安全装置の一部品である。
41・・・・・安全装置40をオンにするための押しボタン部分である。
42・・・・・40をz方向に付勢するバネである。
45・・・・・安全装置40に付随する解除のための部品である。
46・・・・・45をy方向に付勢するバネである。
40a・・・・40の別例である。45を必要としない。
41a・・・・40aのツマミ部分。
50・・・・・ブレーキワイヤーを内包するカバーである。
51・・・・・ブレーキワイヤーである。
60・・・・・車椅子の左側主車輪である。
61・・・・・車椅子の右側主車輪である。