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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-119879(P2017-119879A)
(43)【公開日】2017年7月6日
(54)【発明の名称】ウレタンフォーム原料
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20170609BHJP
   A41D 31/00 20060101ALI20170609BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20170609BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20170609BHJP
【FI】
   C08G18/00 F
   A41D31/00 501J
   A41D31/00 502G
   A41D31/00 504D
   C08G18/48 037
   C08G101:00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-45035(P2017-45035)
(22)【出願日】2017年3月9日
(62)【分割の表示】特願2014-5723(P2014-5723)の分割
【原出願日】2014年1月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】和田 浩孝
(72)【発明者】
【氏名】今井 景太
(72)【発明者】
【氏名】近藤 信郎
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034BA08
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DC50
4J034DG03
4J034DG09
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB05
4J034KC02
4J034KC17
4J034KC18
4J034KD02
4J034KD03
4J034KD07
4J034KD12
4J034NA02
4J034NA03
4J034NA06
4J034NA08
4J034PA05
4J034QA01
4J034QB01
4J034QB13
4J034QB14
4J034QB15
4J034QC01
4J034QD03
4J034RA02
4J034RA03
(57)【要約】
【課題】部位による密度および硬度の差が少なく、洗濯耐久性の高い衣料用パッドなどを成形可能なウレタンフォーム原料を提供する。
【解決手段】ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含み小容量の金型成形品に用いられるウレタンフォーム原料において、ポリオールとして、エチレンオキサイド単位の含有率が15〜55%である高EO率ポリオール(ポリオールA〜D)を採用し、高EO率ポリオールの含有量を、ポリオールの全量に対して50質量%以上とする。高EO率ポリオールは、反応速度が高いため、金型内でフォーム原料が適切に発泡する。モールド成形法により成形された衣料用パッドでは、厚さに関わらず、均一に発泡し、部位による密度および硬度の差が少ない。また、ウレタンフォームが圧縮されないため、セルは潰されることなく、均一に残存し、洗濯耐久性が高くなる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含み小容量の金型成形品に用いられるウレタンフォーム原料であって、
前記ポリオールに対して、アルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合のエチレンオキサイド単位の含有率を、EO率と定義した場合に、
前記ポリオールが、高EO率ポリオールを含み、
前記高EO率ポリオールの前記EO率が15〜55%であり、前記高EO率ポリオールの含有量が、前記ポリオールの全量を100質量%とした場合に50質量%以上であり、
前記高EO率ポリオールの官能基数が、2〜4であり、前記高EO率ポリオールの平均分子量が、3500〜10000であり、
前記触媒が、アミン系触媒であり、
前記発泡剤が、水であることを特徴とするウレタンフォーム原料。
【請求項2】
前記ポリオールの全量を100質量%とした場合の前記高EO率ポリオールの含有量が、80質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のウレタンフォーム原料。
【請求項3】
前記ポリオールが、
水酸基価100〜350であり、前記ポリオールの全量を100質量%とした場合の含有量が10〜50質量%である高水酸基価ポリオールを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のウレタンフォーム原料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含み小容量の金型成形品に用いられるウレタンフォーム原料に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、衣料用パッドは、肌に直接、触れる機会が多いことから、柔軟性の高いウレタンフォームが、衣料用パッドとして多く採用されている。ウレタンフォーム製の衣料用パッドの成型方法としては、下記特許文献に記載されているように、スラブ法により形成されたウレタンフォームを平板状に切り出し、平板状のウレタンフォームが、熱プレスにより、所望の形状に成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−035697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載の技術によれば、熱プレスにより所望の形状の衣料用パッドを成形することが可能である。しかしながら、熱プレスにより成形された衣料用パッドでは、薄肉部の密度および硬度が、肉厚部の密度および硬度より高くなり、部位によって、密度および硬度が大きく異なる。このため、部位によって、触感,肌触り等が異なり、快適な付け心地を担保できない虞がある。また、熱プレスにより、ウレタンフォームのセルが潰された状態で、可塑的に変形し、部位によって、密度および硬度が異なるため、洗濯が繰り返し行われることで、皺が発生し易くなる。そこで、本発明の課題は、部位による密度および硬度の差が少なく、洗濯耐久性の高い衣料用パッドなどを成形可能なウレタンフォーム原料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のウレタンフォーム原料は、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含み小容量の金型成形品に用いられるウレタンフォーム原料であって、前記ポリオールに対して、アルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合のエチレンオキサイド単位の含有率を、EO率と定義した場合に、前記ポリオールが、高EO率ポリオールを含み、前記高EO率ポリオールの前記EO率が15〜55%であり、前記高EO率ポリオールの含有量が、前記ポリオールの全量を100質量%とした場合に50質量%以上であり、前記高EO率ポリオールの官能基数が、2〜4であり、前記高EO率ポリオールの平均分子量が、3500〜10000であり、前記触媒が、アミン系触媒であり、前記発泡剤が、水であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のウレタンフォーム原料として、EO率が15〜55%の高EO率ポリオールが採用されており、ポリオールの全量を100質量%とした場合の高EO率ポリオールの含有量が、50質量%以上とされている。また、高EO率ポリオールの官能基数が、2〜4であり、高EO率ポリオールの平均分子量が、3500〜10000である。さらに、触媒が、アミン系触媒であり、発泡剤が、水である。高EO率ポリオールは、反応速度が高いため、金型の内部でウレタンフォーム原料が適切に発泡し、適切な形状の衣料用パッドが成形される。モールド成形法により成形された衣料用パッドでは、厚さに関わらず、均一に発泡するため、部位による密度および硬度の差が少ない。また、ウレタンフォームが圧縮されないため、セルは潰されることなく、均一に残存する。これにより、部位による密度および硬度の差が少なく、洗濯耐久性の高い衣料用パッドを成形することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例の胸部用パッドを示す正面図である。
図2図1に示すAA線における断面図である。
図3】実施例1〜8の胸部用パッドを製造するための原料の配合量、および、実施例1〜6の胸部用パッドの成形性の評価を示す表である。
図4】実施例9〜14の胸部用パッドを製造するための原料の配合量、および、実施例9〜14の胸部用パッドの成形性の評価を示す表である。
図5】比較例1〜5の胸部用パッドを製造するための原料の配合量、および、比較例1〜5の胸部用パッドの成形性の評価を示す表である。
図6】比較例6〜10の胸部用パッドを製造するための原料の配合量、および、比較例6〜10の胸部用パッドの成形性の評価を示す表である。
図7】胸部用パッドの測定部位を示す図である。
図8】実施例1、実施例9、および、比較例11の胸部用パッドの測定部位毎の物性評価を示す表である。
図9】実施例1、実施例9、および、比較例11の胸部用パッドの測定部位毎の密度を示すグラフである。
図10】実施例1、実施例9、および、比較例11の胸部用パッドの測定部位毎の25%硬さを示すグラフである。
図11】比較例11の胸部用パッドの測定部位毎の圧縮率と応力との関係を示すグラフである。
図12】実施例1の胸部用パッドの測定部位毎の圧縮率と応力との関係を示すグラフである。
図13】実施例9の胸部用パッドの測定部位毎の圧縮率と応力との関係を示すグラフである。
図14】衝撃荷重を測定するための装置を示す概略図である。
図15】実施例1、実施例9、および、比較例11の胸部用パッドの衝撃荷重を示すグラフである。
図16】胸部用パッドの測定部位を示す図である。
図17】実施例1、実施例9、および、比較例11の胸部用パッドの測定部位毎の物性評価を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に記載の「衣料用パッド」および「衣料用パッド成形方法」では、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含むウレタンフォーム原料が混合され、その混合されたウレタンフォーム原料が金型に注入される。そして、ウレタンフォーム原料が発泡し、金型の形状に応じた、衣料用パッドが成形される。
【0009】
ポリオールは、ウレタンフォーム原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられるが、衣料用パッドは衣料とともに洗濯されることを考慮すると、ポリエーテルポリオールを採用することが好ましい。また、末端水酸基にエチレンオキサイド(EO)が付加重合されたEO付加ポリオールは、反応性が高く、金型の内部で好適に発泡することから、本発明の「衣料用パッド」のポリオールとして、EO付加ポリオールが採用される。
【0010】
EO付加ポリオール中のアルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合のエチレンオキサイド単位の含有率(以下、EO率と記載する)は、高すぎても低すぎても、金型内で適切に発泡しないため、15〜55%であることが好ましい。さらに言えば、15〜20%であることが好ましい。なお、EO率が15〜55%のEO付加ポリオールを、高EO率ポリオールと記載する。
【0011】
高EO率ポリオールの官能基数は、2〜4であることが好ましく、特に、3であることが好ましい。また、高EO率ポリオールの平均分子量は、3500〜10000であることが好ましく、特に、5000〜8000であることが好ましい。
【0012】
また、ポリオールの全量を100質量%とした場合の高EO率ポリオールの含有量を、50質量%以上とすることで、金型内の適切な発泡を担保することが可能となる。さらに、ポリオールの全量を100質量%とした場合の高EO率ポリオールの含有量を、80質量%以上とすることで、柔軟性の高い衣料用パッドを成形することが可能となる。また、高EO率ポリオールだけでなく、比較的分子量の低い活性水素化合物(以下、低分子量活性水素化合物と記載する)を採用することで、低反発性の衣料用パッド、つまり、衝撃吸収性の高い衣料用パッドを成形することが可能となる。低反発性は、衝撃吸収性があるとともに圧縮変形後、応力が除かれた状態で、ゆっくりと変形回復するスローリカバリー特性も備えている。
【0013】
なお、低分子量活性水素化合物は、官能基数が1から3の水酸基末端を有する化合物であり、重量平均分子量が2000以下、3官能の化合物にあっては、600〜800が好ましい。重量平均分子量が600〜800、3官能の化合物を、主たるポリオールである高EO率ポリオールと併用することで、衣料用パッドという小容量の金型成形品に、低反発性を付与することが可能である。
【0014】
また、ポリイソシアネートは、ウレタンフォーム原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート等が挙げられる。芳香族イソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI(ク
ルードMDI)、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が
挙げられる。脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族イソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添MDI等が挙げられる。それら種々のポリイソシアネートのう
ちの1種または2種以上を併用したものを、ウレタンフォーム原料として用いることが可能である。
【0015】
ポリオールとポリイソシアネートとの配合量の比率は、ポリオール中の全活性水素基濃度に対する、ポリイソシアネート中のイソシアネート基濃度の当量比の百分率、所謂、イソシアネートインデックスによって示すことができる。イソシアネートインデックスは、特に限定はされないが、低すぎると、発泡が好適に行われず、高すぎると、良好なクッション性を得られないため、70〜110とすることが好ましく、さらに言えば、80〜100とすることが好ましい。
【0016】
また、触媒は、ウレタンフォーム原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、アミン系触媒、有機金属系触媒等が挙げられる。アミン系触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルホリン、N-エチルモルホリン等が挙げられる。有機金属系触媒としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、オクテン酸鉛、オクチル酸カリウム等が挙げられる。それら種々の触媒のうちの1種または2種以上を併用したものを、ウレタンフォーム原料として用いることが可能である。ただし、発泡剤に水を採用した場合には、金属系触媒が失活する虞があるため、アミン系触媒だけを採用することが好ましい。
【0017】
触媒の配合量は、金型内でのウレタンフォーム原料の適切な発泡を担保するべく、ポリオールの全量を100質量%とした場合に、1.2〜3.5質量%であることが好ましく、特に、1.5〜2.5質量%であることが好ましい。さらに言えば、1.8〜2.3質量%であることが好ましい。
【0018】
また、発泡剤は、ウレタンフォーム原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、水、ペンタン、シクロペンタン、メチレンクロライド、炭酸ガス等が挙げられ、これらを1種または2種以上併用して用いることが可能である。上記発泡剤として、水を用いた場合には、上記ウレタンフォーム原料でのポリオールの全量を100質量%とした場合に、1〜5質量%であることが好ましい。
【0019】
また、ウレタンフォーム原料として整泡剤を含むことが好ましい。整泡剤は、ウレタンフォーム原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、シリコーン系化合物、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。整泡剤の配合量は、ポリオールの全量を100質量%とした場合に、0.5〜2.0質量%であることが好ましい。
【0020】
また、ウレタンフォーム原料に、必要に応じて適宜、添加剤を添加することが可能である。添加剤としては、例えば、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、希釈剤等が挙げられる。
【0021】
本発明に記載の「衣料用パッド」は、モールド成形法により成形される。詳しくは、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤等を含む2液性、液状ウレタンフォーム原料が、注入機によって混合され、その混合されたウレタン反応混合液が金型に注入される。そして、ウレタン反応混合液が発泡し、金型の形状に応じた、衣料用パッドが成形される。この際、上記ウレタンフォーム原料が混合されてから、反応混合液が、発泡、樹脂硬化し、樹脂硬化の大半が終了するまでの時間、ライズタイムいわゆる硬化時間は、35〜60秒であることが好ましく、特に、35〜40秒であることが好ましい。この時間で、ウレタンフォーム原料の発泡、樹脂硬化が終了することで、金型内でウレタンフォーム原料が適切に発泡する。
【0022】
また、本発明に記載の「衣料用パッド」は、衣料に用いられるものであればよく、肩パッド,胸部用パッド等、種々のパッドに用いることが可能である。ただし、胸部用パッドには、胸を保持する本体部と、本体部の縁部に位置するフランジ部とが一体的に成形されているものがあり、そのような形状のパッドは、本発明に記載の「衣料用パッド成形方法」により成形することが好ましい。つまり、本発明に記載の「衣料用パッド」は、本体部とフランジ部とが一体的に成形される胸部用パッドとして、用いられることが好ましい。
【0023】
詳しくは、胸部用パッドの本体部の厚さは、胸を適切に保持するべく、2〜15mm程度である。一方、胸部用パッドのフランジ部の厚さは、衣類に逢着されるため、0.5〜1mm程度である。このため、フランジ部を有する胸部用パッドを、モールド成形法により成形する際には、薄肉のフランジ部にウレタンフォーム原料が適切に入り込む必要がある。本発明に記載の「衣料用パッド成形方法」では、高EO率ポリオールの採用、および、比較的高濃度の触媒により、金型内でのウレタンフォーム原料の適切な発泡が担保されている。このため、本発明に記載の「衣料用パッド」は、本体部とフランジ部とが一体的に成形される胸部用パッドに用いられることが好ましい。
【実施例】
【0024】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0025】
<胸部用パッドの原料及び製造>
図3ないし図6に示す配合の原料から、実施例1〜14および比較例1〜10の胸部用パッドを製造した。以下に、各原料の詳細を示す。
【0026】
・ポリオールA;ポリエーテルポリオール、平均分子量:7000、官能基数:3、水酸基価:24、EO率:17%
・ポリオールB;ポリエーテルポリオール、平均分子量:6000、官能基数:3、水酸基価:28、EO率:18%
・ポリオールC;ポリエーテルポリオール、平均分子量:5000、官能基数:3、水酸基価:33、EO率:17%
・ポリオールD;ポリエーテルポリオール、平均分子量:4000、官能基数:2、水酸基価:28、EO率:50%
・ポリオールE;ポリエーテルポリオール、平均分子量:3000、官能基数:3、水酸基価:56、EO率:0%
・ポリオールF;ポリエーテルポリオール、平均分子量:5000、官能基数:3、水酸基価:33、EO率:0%
・ポリオールG;ポリエーテルポリオール、平均分子量:3300、官能基数:3、水酸基価:51、EO率:80%以上
・ポリオールH;ポリエーテルポリオール、平均分子量:750、官能基数:3、水酸基価:230、EO率:0%
・触媒;トリメチレンジアミン、商品名:33LV、エアプロジャパン製
・整泡剤;商品名:SZ1346E、東レ・ダウ製
・発泡剤;水
・ポリイソシアネート;MDI(メチレンジフェニルジイソシアネート)、NCO%:29.9%
【0027】
上記原料を、図3ないし図6に示す配合(重量比)で計量する。そして、ポリオール、触媒、整泡剤、発泡剤を混合し、高圧注入器(PB−30、ポリマーエンジニアリング(株)製)の第1のタンクに投入する。また、イソシアネートを、高圧注入器の第2のタンクに投入する。高圧注入器では、第1のタンク内のウレタンフォーム原料と第2のタンク内のウレタンフォーム原料とが高圧で噴射され、混ぜられる。そして、混合されたウレタンフォーム原料が、金型内に投入される。なお、金型は、55〜65℃に加温され、金型に投入されるウレタンフォーム原料は、20〜30℃に加温されている。
【0028】
金型内に投入されたウレタンフォーム原料は発泡した後に、樹脂化し、金型の形状に応じた胸部用パッドが成形される。実施例1〜12および比較例1〜10の胸部用パッド10は、図1および、図1のAA線における断面図である図2に示すように、本体部12とフランジ部14とによって構成されている。本体部12は、お椀型をしており、中央部に近いほど肉厚とされている。なお、本体部12の厚さは、2〜15mm程度である。一方、フランジ部14は、本体部12の縁部の全周に形成されており、0.5〜1mm程度の薄肉部とされている。
【0029】
また、軟質スラブ法を利用して、比較例11の胸部用パッドを成形した。詳しくは、一般的なウレタンフォーム成形用軟質スラブ配合を用いて、ウレタン軟質スラブフォーム(密度:40kg/m)を成形する。そして、そのウレタンスラブフォームから所定の寸法(180mm×350mm×15mm)のウレタンフォームを切り出し、そのウレタンフォームを185℃で450秒間、熱プレスを行う。これにより、比較例11の胸部用パッドが成形される。なお、比較例11の胸部用パッドも、実施例1〜14および比較例1〜10の胸部用パッドと同じ形状である。
【0030】
<胸部用パッドの成形性の評価>
上述のように製造された実施例1〜14および比較例1〜10の胸部用パッドに対して、以下の方法によって成形性の評価を行った。
【0031】
具体的には、胸部用パッド成型時の硬化時間を測定した。ただし、閉じた金型内でウレタンフォーム原料を発泡させた場合には、発泡終了のタイミングが解らないため、上方が開放した直方体の容器を用いて、ウレタンフォームを成形した。つまり、上方が開放した直方体の容器内に、上記配合のウレタンフォーム原料を投入し、常温大気圧下で発泡成形させた。いわゆる自由発泡。その際の硬化時間(秒)を測定した。この硬化時間(秒)は、図3ないし図6の「硬化時間」の欄に記されている。
【0032】
また、硬化時間を測定する際に形成されたウレタンフォームの外観(セル荒れ、ボイド等)および触感(硬さ、質感)を評価した。外観および触感が優秀である場合には、「◎」と評価し、良好である場合には、「○」と評価した。また、外観および触感が不良である場合には、「×」と評価した。この評価は、図3ないし図6の「自由発泡」の欄に記されている。
【0033】
さらに、閉じた金型を用いて図1および図2に示す形状に成形された実施例1〜14および比較例1〜10の胸部用パッドの外観(セル荒れ、ボイド等)および触感(硬さ、質感)を評価した。外観および触感が優秀である場合には、「◎」と評価し、良好である場合には、「○」と評価した。また、外観および触感が不良である場合には、「×」と評価した。この評価は、図3ないし図6の「型内発泡」の欄に記されている。
【0034】
また、実施例1、実施例9および比較例11の胸部用パッドに対して、以下の方法によって成形性の評価を行った。なお、実施例1、実施例9および比較例11の胸部用パッドの各々に対して、複数の部位の成形性の評価を行った。詳しくは、図7に示すように、実施例1、実施例9および比較例11の各胸部用パッドを、A〜Eの5つの部位に区分し、部位毎に成形性の評価を行った。
【0035】
具体的には、実施例1、実施例9および比較例11の胸部用パッドの部位毎の厚さ(mm)を、φ50mmダイアル式厚み計(バネなしタイプ)を用いて、測定した。この測定値は、図8の「厚さ」の欄に記されている。
【0036】
また、実施例1、実施例9および比較例11の胸部用パッドの部位毎の密度(kg/m)を測定した。具体的には、JIS K 7222に従って、各胸部用パッドの部位毎のサンプルの重量および、体積を計測し、重量を体積で除した。この演算値は、図8の「密度」の欄に記されている。また、実施例1、実施例9および比較例11の胸部用パッド毎に、測定部位(A〜E)と密度(kg/m)との関係を示すグラフが、図9に記されている。
【0037】
また、実施例1、実施例9および比較例11の胸部用パッドの部位毎の25%硬さ(MPa)を測定した。具体的には、JIS K 6400−2に従って、各胸部用パッドの部位毎のサンプルを、厚さの25%に押しつぶした際の反発応力の大きさを測定した。この測定値は、図8の「25%硬さ」の欄に記されている。また、実施例1、実施例9および比較例11の胸部用パッド毎に、測定部位(A〜E)と25%硬さ(MPa)との関係を示すグラフが、図10に記されている。
【0038】
また、実施例1、実施例9および比較例11の胸部用パッドの部位毎の応力(MPa)を測定した。具体的には、各胸部用パッドの部位毎の直径20mmのサンプルを、1mm/minの速度で、0.75Nの荷重により圧縮した。この際の応力を、サンプルの厚さが50%となるまで圧縮し、その後に、元の厚さに戻るまで、継続して測定した。比較例11の測定部位毎のサンプルの圧縮率(%)と応力(MPa)との関係を示すヒステリシス曲線が、図11に記されている。また、実施例1の測定部位毎のサンプルの圧縮率(%)と応力(MPa)との関係を示すヒステリシス曲線が、図12に記されている。さらに、実施例9の測定部位毎のサンプルの圧縮率(%)と応力(MPa)との関係を示すヒステリシス曲線が、図13に記されている。
【0039】
また、実施例1、実施例9および比較例11の胸部用パッドの測定部位Aの衝撃荷重(N)を、IZOD TYPE IMPACT TESTER(IM−501、テスター産業株式会社製)を用いて測定した。具体的には、図14に示すように、長さ320mmの棒部材20が、上端部において搖動可能に支持されており、棒部材20の下端部に、33gのおもり22が取り付けられている。また、各胸部用パッドの測定部位Aのサンプル24が、最下端に位置するおもり22に接触するように配設されており、サンプル24の背面側に、ロードセル26が配設されている。そして、おもり22を所定の高さhまで引き上げた後に、おもり22を離すことで、おもり22がサンプル24に衝突する。この際の荷重が、衝撃荷重(N)として、ロードセル26によって測定される。なお、おもり22を125mmの高さまで引き上げた際のおもり22の位置エネルギー(mJ)は、40mJであり、おもり22を248mmの高さまで引き上げた際のおもり22の位置エネルギー(mJ)は、80mJであり、おもり22を411mmの高さまで引き上げた際のおもり22の位置エネルギー(mJ)は、134mJである。この位置エネルギー(mJ)と衝撃荷重(N)との関係を示すグラフが、図15に記されている。
【0040】
また、実施例1、実施例9および比較例11の胸部用パッドの引張強度(MPa)および、伸び率(%)を測定した。具体的には、図16に示すように、実施例1、実施例9および比較例11の各胸部用パッド10の3つの部位(a〜c)から、図に示す寸法のサンプル30を切り出す。そして、JIS K 6251に従って、部位毎のサンプル30の引張強度(MPa)および、伸び率(%)を測定した。なお、測定時には、ダンベル3号が用いられ、引張速度は、200mm/minとされた。また、部位毎のサンプル30の厚さ(mm)を、φ50mmダイアル式厚み計(バネなしタイプ)を用いて、測定した。引張強度(MPa)および、伸び率(%)の測定値は、図17の「引張強度」および「伸び率」の欄に記され、厚さ(mm)の測定値は、図17の「厚さ」の欄に記されている。
【0041】
以上の評価結果から、ウレタンフォーム原料としてEO率が18〜50%のポリオールA〜Dを用いることで、金型内でのウレタンフォーム原料の適切な発泡を担保し、外観および触感のよい胸部用パッドを成形することが可能であることが解る。具体的には、比較例1,2,6,7の胸部用パッドでは、ウレタンフォーム原料としてEO率が0%のポリオールE,Fが用いられており、図5および図6に示すように、金型内で適切にウレタンフォーム原料が発泡せず、モールド成形法により胸部用パッドを成形することができなかった。また、上方が開口した直方体の容器では、ウレタンフォームが成形されたが、外観および触感が不良であった。また、比較例8の胸部用パッドでは、ウレタンフォーム原料としてEO率が80%のポリオールGが用いられているが、比較例1,2,6,7の胸部用パッドと同様の結果であった。さらに、比較例3の胸部用パッドでも、ウレタンフォーム原料としてEO率が80%のポリオールGが用いられているが、金型、および、上方が開口した直方体の容器内で、ウレタンフォーム原料が発泡した後に収縮し、胸部用パッドおよびウレタンフォームを成形することができなかった。
【0042】
一方、実施例1〜14の胸部用パッドでは、ウレタンフォーム原料としてEO率が18〜50%のポリオールA〜Dが用いられており、図3および図4に示すように、外観および触感の優秀、若しくは、良好な胸部用パッドおよびウレタンフォームが成形される。このように、ウレタンフォーム原料としてEO率が18〜50%のポリオールA〜Dを用いることで、外観および触感のよい胸部用パッドを、モールド成形法により成形することが可能となる。
【0043】
また、触媒の含有量を、ポリオールの全量を100質量%とした場合に1.2〜3質量%とすることで、外観および触感のよい胸部用パッドを成形することが可能となる。具体的には、比較例4,9の胸部用パッドでは、触媒の含有量が、ポリオールの全量を100質量%とした場合に0.7質量%であり、反応性が低く、硬化時間が非常に長い。このため、図5および図6に示すように、上方が開口した直方体の容器では、外観および触感の良好なウレタンフォームが成形されたが、金型では、外観および触感の不良な胸部用パッドしか成形できなかった。また、比較例5,10の胸部用パッドでは、触媒の含有量が、ポリオールの全量を100質量%とした場合に4.5質量%であり、反応性が高くなりすぎ、硬化時間が非常に短い。このため、比較例4,9の胸部用パッドと同様の結果であった。
【0044】
一方、実施例1〜14の胸部用パッドでは、触媒の含有量が、ポリオールの全量を100質量%とした場合に1.2〜3質量%であり、硬化時間が30〜60秒である。このため、ウレタンフォーム原料が金型および、上方が開口した直方体の容器内で適切に発泡し、図3および図4に示すように、外観および触感の優秀、若しくは、良好な胸部用パッドおよびウレタンフォームが成形される。このように、触媒の含有量を、ポリオールの全量を100質量%とした場合に1.2〜3質量%とすることで、外観および触感のよい胸部用パッドを、モールド成形法により成形することが可能となる。
【0045】
また、モールド成形法を用いることで、密度(kg/m)および、25%硬さ(MPa)の均一な胸部用パッドを成形することが可能となる。具体的には、比較例11の胸部用パッドは、スラブ法を用いて成形されており、図8ないし図10に示すように、密度(kg/m)および、25%硬さ(MPa)が不均一である。詳しくは、厚さ(mm)が薄いほど、密度(kg/m)および、25%硬さ(MPa)が高くなっており、最も高い密度と最も低い密度との差は、80kg/mであり、最も高い25%硬さと最も低い25%硬さとの差は、0.069MPaである。
【0046】
一方、実施例1および、実施例9の胸部用パッドは、モールド成形法を用いて成形されており、図8ないし図10に示すように、密度(kg/m)および、25%硬さ(MPa)は略均一である。詳しくは、実施例1の胸部用パッドでは、最も高い密度と最も低い密度との差は、39kg/mであり、最も高い25%硬さと最も低い25%硬さとの差は、0.007MPaである。また、実施例9の胸部用パッドでは、最も高い密度と最も低い密度との差は、21kg/mであり、最も高い25%硬さと最も低い25%硬さとの差は、0.007MPaである。つまり、実施例1および、実施例9の胸部用パッドでは、厚さ(mm)に関わらず、密度(kg/m)および、25%硬さ(MPa)が略均一となっている。このように、モールド成形法を用いることで、密度(kg/m)および、25%硬さ(MPa)の均一な胸部用パッドを成形することが可能となる。これにより、胸部用パッドの部位毎の触感が同じとなり、着用感の良い胸部用パッドを成形することが可能となる。
【0047】
なお、実施例1の胸部用パッドの密度(kg/m)および、25%硬さ(MPa)は、実施例9の胸部用パッドの密度(kg/m)および、25%硬さ(MPa)より、低い。実施例1の胸部用パッドでは、前記ポリオールの全量を100質量%とした場合の高EO率ポリオールの含有量は100%であり、実施例9の胸部用パッドでは、高EO率ポリオールの含有量は85%以下である。このため、誤差等を考慮し、高EO率ポリオールの含有量を80%以上とすることで、柔軟な胸部用パッドを成形することが可能となる。
【0048】
また、モールド成形法を用いることで、圧迫感の少なく、着用感の良い胸部用パッドを成形することが可能となる。具体的には、比較例11の胸部用パッドは、スラブ法を用いて成形されており、図11に示すように、50%圧縮時における測定部位毎の最大応力(MPa)は、0.06〜0.37MPaとなっている。一方、実施例1および、実施例9の胸部用パッドは、モールド成形法を用いて成形されており、図12および、図13に示すように、測定部位毎の最大応力(MPa)は、0.03〜0.06MPaとなっている。つまり、スラブ法を用いて成形された胸部用パッドでは、反発応力により圧迫感が高くなり、モールド成形法により成形された胸部用パッドでは、圧迫感が少なくなる。また、比較例11の胸部用パッドでは、図11に示すように、測定部位によって、最大応力(MPa)が大きく異なる。一方、実施例1および、実施例9の胸部用パッドでは、図12および、図13に示すように、測定部位毎の最大応力(MPa)は、殆ど同じである。つまり、スラブ法を用いて成形された胸部用パッドでは、部位によって、圧迫感が異なり、着用感が悪いが、モールド成形法により成形された胸部用パッドでは、部位毎の圧迫感は同じであるため、着用感が良い。このため、モールド成形法を用いることで、圧迫感の少なく、着用感の良い胸部用パッドを成形することが可能となる。
【0049】
また、モールド成形法を用いることで、衝撃吸収率の良い胸部用パッドを成形することが可能となる。具体的には、比較例11の胸部用パッドでは、図15に示すように、位置エネルギー(mJ)毎の衝撃荷重(N)は、45〜284Nとなっている。一方、実施例1および、実施例9の胸部用パッドでは、位置エネルギー(mJ)毎の衝撃荷重(N)は、0〜117Nとなっている。つまり、モールド成形法を用いて成形された胸部用パッドは、スラブ法を用いて成形された胸部用パッドより、多くの量の衝撃を吸収する。このため、モールド成形法を用いることで、衝撃吸収率の良い胸部用パッドを成形することが可能となる。
【0050】
特に、実施例9の胸部用パッドでは、位置エネルギー(mJ)に関わらず、衝撃荷重(N)は0Nとなっている。実施例9の胸部用パッドでは、ポリオールとして、高EO率ポリオール(ポリオールA〜D)だけでなく、水酸基価の非常に高いポリオールHも用いている。このため、高EO率ポリオール(ポリオールA〜D)と、分子量の低いポリオールHとを併用することで、衝撃吸収率の非常に良い胸部用パッド、つまり、低反発性の胸部用パッドを成形することが可能となる。
【0051】
また、モールド成形法を用いることで、引張強度(MPa)および、伸び率(%)の均一な胸部用パッドを成形することが可能となる。具体的には、比較例11の胸部用パッドでは、図17に示すように、引張強度(MPa)および、伸び率(%)が不均一である。詳しくは、厚さ(mm)が薄いほど、引張強度(MPa)および、伸び率(%)が高くなっており、最も高い引張強度と最も低い引張強度との差は、0.46MPaであり、最も高い伸び率と最も低い伸び率との差は、61%である。
【0052】
一方、実施例1および、実施例9の胸部用パッドでは、引張強度(MPa)および、伸び率(%)は略均一である。詳しくは、実施例1の胸部用パッドでは、最も高い引張強度と最も低い引張強度との差は、0.25MPaであり、最も高い伸び率と最も低い伸び率との差は、13%である。また、実施例9の胸部用パッドでは、最も高い引張強度と最も低い引張強度との差は、0.05MPaであり、最も高い伸び率と最も低い伸び率との差は、9%である。つまり、実施例1および、実施例9の胸部用パッドでは、厚さ(mm)に関わらず、引張強度(MPa)および、伸び率(%)が略均一となっている。このように、モールド成形法を用いることで、引張強度(MPa)および、伸び率(%)の均一な胸部用パッドを成形することが可能となる。引張強度(MPa)および、伸び率(%)が、胸部用パッドの部位毎に大きく異なると、洗濯時に変形しやすく、皺が発生しやすい。このため、モールド成形法を用いることで、洗濯耐久性の高い胸部用パッドを成形することが可能となる。
【0053】
以下、本発明の諸態様について列記する。
【0054】
(1)ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含むウレタンフォーム原料を用いて、モールド成形法により成形される衣料用パッドであって、
前記ポリオールに対して、アルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合のエチレンオキサイド単位の含有率を、EO率と定義した場合に、
前記ポリオールが、
前記EO率が15〜55%であり、前記ポリオールの全量を100質量%とした場合の含有量が50質量%以上である高EO率ポリオールを含むことを特徴とする衣料用パッド。
【0055】
(2)前記ポリオールの全量を100質量%とした場合の前記高EO率ポリオールの含有量が、80質量%以上であることを特徴とする(1)項に記載の衣料用パッド。
【0056】
(3)前記ポリオールが、
水酸基価100〜350であり、前記ポリオールの全量を100質量%とした場合の含有量が10〜50質量%である高水酸基価ポリオールを含むことを特徴とする(1)項に記
載の衣料用パッド。
【0057】
(4)前記ポリオールの全量を100質量%とした場合の前記触媒の含有量が、1.2〜3.5質量%であることを特徴とする(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド。
【0058】
(5)前記触媒が、アミン系触媒であることを特徴とする(4)項に記載の衣料用パッド
【0059】
(6)前記高EO率ポリオールの官能基数が、2〜4であることを特徴とする(1)項な
いし(5)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド。
【0060】
(7)前記高EO率ポリオールの平均分子量が、3500〜10000であることを特徴とする(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド。
【0061】
(8)前記衣料用パッドの最も高い25%硬さ(JIS K 6400−2)と最も低い25%硬さ(JIS K 6400−2)との差が、0.03MPa以下であることを特徴とする(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド。
【0062】
(9)前記衣料用パッドの最も高い密度(JIS K 7222)と最も低い密度(JIS K 7222)との差が、50kg/m以下であることを特徴とする(1)項ない
し(8)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド。
【0063】
(10)前記衣料用パッドの最も高い引張強度(JIS K 6251)と最も低い引張強度(JIS K 6251)との差が、0.3MPa以下であることを特徴とする(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド。
【0064】
(11)前記衣料用パッドの最も高い伸び率(JIS K 6251)と最も低い伸び率(JIS K 6251)との差が、30%以下であることを特徴とする(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド。
【0065】
(12)前記衣料用パッドが、
(a)本体部と、(b)その本体部の縁部に位置し、前記本体部より薄肉のフランジ部とからなり、モールド成形法により一体的に成形されることを特徴とする(1)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド。
【0066】
(13)前記衣料用パッドが、胸部用パッドであることを特徴とする(1)項ないし(12)
項に記載の衣料用パッド。
【0067】
(14)前記ウレタンフォーム原料が混合されてから、前記ウレタンフォーム原料の発泡が終了するまでの時間が、35〜60秒であることを特徴とする(1)項ないし(13)項の
いずれか1つに記載の衣料用パッド。
【0068】
(15)ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤を含むウレタンフォーム原料を混合する混合工程と、その混合工程で混合された前記ウレタンフォーム原料を金型に注入する注入工程とを含み、その金型内部で衣料用パッドを成形する衣料用パッド成形方法であって、
前記ポリオールに対して、アルキレンオキサイド単位の全量を100質量%とした場合のエチレンオキサイド単位の含有率を、EO率と定義した場合に、
前記ポリオールが、
前記EO率が15〜55%であり、前記ポリオールの全量を100質量%とした場合の含有量が50質量%以上である高EO率ポリオールを含むことを特徴とする衣料用パッド成形方法。
【0069】
(16)前記ポリオールの全量を100質量%とした場合の前記高EO率ポリオールの含有量が、80質量%以上であることを特徴とする(15)項に記載の衣料用パッド成形方法。
【0070】
(17)前記ポリオールが、
官能基数2〜4、水酸基価200〜250であり、前記ポリオールの全量を100質量%とした場合の含有量が10〜50質量%である高水酸基価ポリオールを含むことを特徴とする(15)項に記載の衣料用パッド成形方法。
【0071】
(18)前記ポリオールの全量を100質量%とした場合の前記触媒の含有量が、1.2〜3.5質量%であることを特徴とする(15)項ないし(17)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド成形方法。
【0072】
(19)前記触媒が、アミン系触媒であることを特徴とする(18)項に記載の衣料用パッド成形方法。
【0073】
(20)前記高EO率ポリオールの官能基数が、2〜4であることを特徴とする(15)項ないし(19)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド成形方法。
【0074】
(21)前記高EO率ポリオールの平均分子量が、3500〜10000であることを特徴とする(15)項ないし(20)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド成形方法。
【0075】
(22)前記衣料用パッドの最も高い25%硬さ(JIS K 6400−2)と最も低い25%硬さ(JIS K 6400−2)との差が、0.03MPa以下であることを特徴とする(15)項ないし(21)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド成形方法。
【0076】
(23)前記衣料用パッドの最も高い密度(JIS K 7222)と最も低い密度(JIS K 7222)との差が、50kg/m以下であることを特徴とする(15)項ないし(22)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド成形方法。
【0077】
(24)前記衣料用パッドの最も高い引張強度(JIS K 6251)と最も低い引張強度(JIS K 6251)との差が、0.3MPa以下であることを特徴とする(15)項ないし(23)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド成形方法。
【0078】
(25)前記衣料用パッドの最も高い伸び率(JIS K 6251)と最も低い伸び率(JIS K 6251)との差が、30%以下であることを特徴とする(15)項ないし(24)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド成形方法。
【0079】
(26)前記衣料用パッドが、
(a)本体部と、(b)その本体部の縁部に位置し、前記本体部より薄肉のフランジ部とからなり、前記金型内部で一体的に成形されることを特徴とする(15)項ないし(25)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド成形方法。
【0080】
(27)前記衣料用パッドが、胸部用パッドであることを特徴とする(15)項ないし(26)項に記載の衣料用パッド成形方法。
【0081】
(28)前記ウレタンフォーム原料が混合されてから、前記ウレタンフォーム原料の発泡が終了するまでの時間が、35〜60秒であることを特徴とする(15)項ないし(27)項のいずれか1つに記載の衣料用パッド成形方法。
【符号の説明】
【0082】
10:胸部用パッド(衣料用パッド)
12:本体部
14:フランジ部
20:棒部材
22:おもり
24:サンプル
26:ロードセル
30:サンプル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17