(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-120003(P2017-120003A)
(43)【公開日】2017年7月6日
(54)【発明の名称】トイレドアの錠構造
(51)【国際特許分類】
E05C 1/04 20060101AFI20170609BHJP
E05B 65/06 20060101ALI20170609BHJP
【FI】
E05C1/04 A
E05B65/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-257641(P2015-257641)
(22)【出願日】2015年12月29日
(71)【出願人】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
(57)【要約】 (修正有)
【課題】公衆トイレなどの不特定多数の人が利用するドアの錠に用いて、忘れ物などの注意を促す音声または音を発することのできる錠の提供。
【解決手段】トイレのドアに用いるかんぬき型錠であって、かんぬきロッド1は、固定柱3にスプリング4を介して係止されており、かんぬきロッド1がかんぬきかすがい部から離れてドアが開いた状態では、かんぬきロッド1に対してスプリング4による力が加わらない状態にあり、かんぬきロッド1がかんぬきかすがいの位置にあってドアが閉まった状態では、かんぬきロッド1に対してスプリング4による戻りの力が加わる状態にあり、かんぬきロッド1がドアを閉から開の状態にするときに、スプリング4による戻りの力を利用して音声発生機構を駆動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレのドアに用いるかんぬき型錠であって、かんぬきのロッドは、固定部にスプリングを介して係止されており、ロッドがかんぬきかすがい部から離れてドアが開いた状態では、ロッドに対してスプリングによる力が加わらない状態にあり、ロッドがかんぬきかすがいの位置にあってドアが閉まった状態では、ロッドに対してスプリングによる戻りの力が加わる状態にあり、ロッドがドアを閉から開の状態にするときに、スプリングによる戻りの力を利用して音声発生機構を駆動するかんぬき型錠。
【請求項2】
スプリングによるロッドの戻りを歯車によって回転運動に変えて音声発生機構を駆動する請求項1記載のかんぬき型錠。
【請求項3】
音声発生機構が、ロッドの戻りによる力を用いる発電機構、蓄電機構を備えた電子的な音声発生機構である請求項1または2に記載のかんぬき型錠。
【請求項4】
音声発生機構が、音叉を用いたオルゴールである請求項1または2に記載のかんぬき型錠。
【請求項5】
公衆トイレのドアに用いる請求項1ないし3のいずれかに記載のかんぬき型錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレドアに用いるかんぬき型錠の構造に関する。さらに詳しくは、トイレの使用後にドアを開けた際に、忘れ物などの注意を促す音声または音を発することのできる錠の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
公園、スーパー、高速道路のサービスエリアなどで不特定多数の人が使用するいわゆる公衆トイレには、その設置場所と使用者を考慮した様々な問題に対応する工夫がされている。例えば、何らかの事故が起こった場合に対応可能なように上部あるいは下部の一部は開放状態にして密閉状態にはしないとか、内側からのロックのための錠は、構造が簡単なかんぬき型にするなどである。
【0003】
公衆トイレでの問題の一つとして、トイレの水の流し忘れも含めた、トイレ内の忘れ物という問題がある。公衆トイレでは一般に物置棚を設けないのが通常であるが、使用者が何らかの方法で物を置くことはあり、その場合に置いた物を忘れてしまうという問題がある。このような忘れ物は、近年の海外からの旅行者の増加に伴って増加することも予想される。
【0004】
このような忘れ物に対しては、注意表示である程度の解決は可能であるが、十分ではなく、直接的に音声で忘れ物の注意を呼びかけることが望ましい。このような注意喚起の音声は、日本語のみならず、英語、中国語などの外国語も含まれることが望ましい。
【0005】
トイレ使用での音声機能を付加した錠の構造としては、ロックのボルトの移動を検知して、これを音声機能につなぐ方法が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、不特定多数の人が使用する場所に設置された公衆トイレの場合には、このような音声機能は、電子的な方法に頼らず、簡便かつ安価な方法で機能させることが好ましい
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−112042
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、機械的な作用により、公衆トイレのドアの開閉に応じて、音声の発生機構を駆動できる機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トイレのドアに用いるかんぬき型錠であって、かんぬきのロッドは、固定部にスプリングを介して係止されており、ロッドがかんぬきかすがい部から離れてドアが開いた状態では、ロッドに対してスプリングによる力が加わらない状態にあり、ロッドがかんぬきかすがいの位置にあってドアが閉まった状態では、ロッドに対してスプリングによる戻りの力が加わる状態にあり、ロッドがドアを閉から開の状態にするときに、スプリングによる戻りの力を利用して音声発生機構を駆動するかんぬき型錠である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のかんぬき型錠は、音声発生機構を備えたものであるが、その駆動の機構が機械的な力を用いるものであるために、構造が簡便であり、保守が容易で、安価に製造できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】かんぬきが水平方向に移動する錠の構造図である。
【
図3】水平動型、回転型のかんぬき錠の開閉を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のかんぬき型錠は、
図3に示されるようなかんぬきのロッドが水平方向にスライドして、かんぬきかすがい部にとどまるタイプの水平移動型かんぬき錠であっても、かんぬきロッドが半回転または1/4回転して水平方向にあるかんぬきかすがい部にとどまるタイプの回転型かんぬき錠のいずれであってもよい。かんぬきかすがい部の構造およびロッドをかんぬきかすがい部にとどめる方法については、スプリングの戻り力によって戻らない程度にかすがいに係止できる構造であればよく、特に制限はない。
【0012】
かんぬきロッドが水平方向にスライドするタイプでは、ロッドの形状は、円筒あるいは角形の棒状のもの、あるいは矩形のものであってもよく、特に制限はない。水平移動するロッドは錠を取り付ける固定部に設けられたスライドガイド上を移動するが、移動にあたってガイドによる抵抗が小さいものであればその構造に制限はない。かんぬきロッドが回転するタイプでは、回転するロッドは、錠を取り付ける固定部上に設けられた円筒状の固定軸に回転可能に取り付けられるが、回転するロッドの構造および回転部の構造についても、通常用いられるものであればよく、回転の抵抗が小さいものであれば特に制限はない。
【0013】
本発明のかんぬき型錠において、かんぬきのロッドは、固定部にスプリングを介して係止されていることを必要とする。かんぬきロッドが水平方向にスライドするタイプでは、スプリングはその一端が錠取り付けの固定部に固定されており、スプリングの他の端は、ロッドに係止されている。かんぬきロッドが回転するタイプでは、スプリングは、その一端が錠を取り付ける固定部上に設けられた円筒状の固定軸に係止または固定されており、スプリングの他の端部は、ロッドの回転軸に係止される。かんぬきロッドが回転するタイプにおけるスプリングは、ドアの蝶番部に用いられるドアの開閉方向を定めるヒンジスプリングに類似した構造を用いることができる。
【0014】
本発明のかんぬき型錠においては、水平移動あるいは回転のいずれのタイプにおいても、スプリングは、かんぬきロッドがかすがい部に移動してドアが閉じた状態では、スプリングによるロッドの戻りの力が働いた状態であり、かんぬきロッドがかすがい部から離れた初期の位置にあるときには、スプリングは力が掛からない状態となるように調整される。
かんぬきがかすがい部から離れた初期の位置にあって、ドアが開いたではスプリングによる力は働かず、かんぬきがかすがい部に移動されて、ドアが閉じた状態では、圧縮スプリングにあっては圧縮、引張りスプリングにあっては引張りの状態の力が働くように調整される
【0015】
本発明のかんぬき型錠は、かんぬきロッドがドアの閉から開の状態に戻るときのスプリングの力を利用して、音声発生機構を駆動するが、スプリングの力を用いる方法としては、ロッドの移動あるいは回転を、歯車、チェーン、プーリー等を用いて、音声発生機構を駆動する回転運動に変えること好ましい。トイレドアのかんぬき錠に用いるという本発明の目的からすると、該かんぬき錠は小さいものとなるために、複雑な機構は用いにくいために、歯車を用いて音声発生機構を駆動する回転運動とする方法が好ましい。
【0016】
本発明のかんぬき型錠は、音声発生機構を備えるが、トイレのドアの注意音声を発するという本発明の目的にかなうものであれば、その音声発生機構に特に制限はない。音声発生機構としては、ロッドの戻りによる回転運動による発電機構、蓄電機構を備えた電子的な音声発生機構を用いることができるし、オルゴールのような、回転運動で櫛歯をはじく注意音発生機構を用いることができる。電子的な音声発生機構では、日本語のみにとどまらず外国語での注意喚起が出来るので好ましい。オルゴール機構を用いる場合には注意音のみとなるが、かんぬき型錠の近くに注意書きを貼り付けておくことによって、注意喚起をすることが可能であり、機械的な要素によらない構造とするという本発明の目的にかなうものとなる。
【実施例1】
【0017】
図1は、かんぬきロッドが水平移動する、本発明のかんぬき錠の一例であって、かんぬきロッドのカバーを省略した内部構造を示す図である。断面が矩形のかんぬきロッド(1)は、スライドガイド(2)に挟まれており、一端を固定柱(3)に固定したスプリング(4)が係止(5)されている。スプリング(4)は引張りスプリングであって、かんぬきロッドがかすがい部にあるときに伸長するように取り付けられる。かんぬきロッドは、音声発生部歯車(6)にかみ合う駆動歯部(7)を有しており、かんぬきロッド(1)がスプリング(4)により戻るときに、音声発生部歯車(6)を回転させ、音声発生部(8)を駆動する。
【実施例2】
【0018】
図2は、かんぬきロッドが回転する、本発明のかんぬき錠の一例であって、回転部のカバーを省略した内部構造を示す図である。かんぬきロッド(1)は、固定柱(3)の上部の回転部(9)に、自在に回転できるように取り付けられている。固定柱(3)はその下部にスプリング(4)が取り付けられ、スプリング(4)の一端は、かんぬきロッドがかすがい部にあるときに戻りの力が働くように、回転部(9)に係止されている。回転部(9)は、音声発生部歯車(6)にかみ合う駆動歯部(7)を有しており、かんぬきロッド(1)がスプリング(4)により戻るときに、音声発生部歯車(6)を回転させ、音声発生部(8)を駆動する。
【符号の説明】
【0019】
1 かんぬきロッド
2 スライドガイド
3 固定柱
4 スプリング
5 係止部
6 音声発生部歯車
7 駆動歯部
8 音声発生部
9 回転部