(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-120128(P2017-120128A)
(43)【公開日】2017年7月6日
(54)【発明の名称】配管内部のチップ除去装置
(51)【国際特許分類】
F16L 55/24 20060101AFI20170609BHJP
F16L 55/033 20060101ALI20170609BHJP
【FI】
F16L55/24 A
F16L55/033
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-252712(P2016-252712)
(22)【出願日】2016年12月27日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0188398
(32)【優先日】2015年12月29日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】517000519
【氏名又は名称】ドンファ インダストリー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DONGHWA INDUSTRY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 敬四郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141302
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 伸一
(72)【発明者】
【氏名】リー ウー カグ
(72)【発明者】
【氏名】ソン ミン ホー
【テーマコード(参考)】
3H025
【Fターム(参考)】
3H025CA01
3H025CB41
(57)【要約】
【課題】高圧流体が流れる配管の穿孔作業時に発生して配管内部に入っている金属チップを外部に除去するために、配管内部の圧力と外部大気圧の圧力差を用いて配管内のチップを流体の一部と一緒に外部に除去することにより、簡便に、速かにチップを除去する装置を提供する。
【解決手段】高圧流体が流れる配管の穿孔部分に取り付けられたフィッティング4と、前記フィッティング4に結合されたサンドイッチバルブ5とを含む配管内部のチップ除去装置であって、前記サンドイッチバルブ5の上部に取り付けられたチップ除去アダプタ10;配管1の内部に入っているチップを除去するために、前記チップ除去アダプタ10を貫いて配管1の内面まで伸びている吸入チューブ20;前記吸入チューブ20を上下に移動させる上下移動手段;チップを移送するために前記吸入チューブ20の上端に連結された移送チューブ40;及び前記移送チューブ40の端部に取り付けられ、移送されて来たチップを分離するストレーナ50を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧流体が流れる配管の穿孔部分に取り付けられたフィッティング(4)と、前記フィッティング(4)に結合されたサンドイッチバルブ(5)とを含む配管内部のチップ除去装置であって、
前記サンドイッチバルブ(5)の上部に取り付けられたチップ除去アダプタ(10);
配管(1)の内部に入っているチップを除去するために、前記チップ除去アダプタ(10)を貫いて配管(1)の内面まで伸びている吸入チューブ(20);
前記吸入チューブ(20)を上下に移動させる上下移動手段;
チップを移送するために前記吸入チューブ(20)の上端に連結された移送チューブ(40);及び
前記移送チューブ(40)の端部に取り付けられ、移送されて来たチップを分離するストレーナ(50)を含むことを特徴とする、配管内部のチップ除去装置。
【請求項2】
前記ストレーナ(50)の流出チューブに取り付けられた消音器(60)、及び前記消音器(60)の流出チューブに取り付けられた排出パイプ(70)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の配管内部のチップ除去装置。
【請求項3】
前記吸入チューブ(20)の下端に、配管内面の屈曲面と対応するように、屈曲した吸入プレート(21)が結合されていることを特徴とする、請求項1に記載の配管内部のチップ除去装置。
【請求項4】
前記吸入チューブ(20)の上下移動手段は、前記チップ除去アダプタ(10)に取り付けられている油圧シリンダ(30)、及び前記油圧シリンダ(30)のロッドに結合され、前記吸入チューブ(20)の上端が結合されているブラケット(31)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の配管内部のチップ除去装置。
【請求項5】
前記チップ除去アダプタ(10)の外部にある吸入チューブ(20)部分に、吸入チューブ(20)の下向移動距離を制限するためのストッパ(22)が取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の配管内部のチップ除去装置。
【請求項6】
前記チップ除去アダプタ(10)は、前記サンドイッチバルブ(5)に結合されている本体(11)、前記本体(11)の上部に分離可能に取り付けられ、前記吸入チューブ(20)が貫く貫通孔が形成されている密閉板(12)、及び前記密閉板(12)と吸入チューブ(20)の間を密閉するために取り付けられたパッキング(13)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の配管内部のチップ除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高圧ガスが流れるガス管、地域暖房の温水管、上水道管などの各種配管の穿孔作業時に発生して配管の内部に入っている金属チップ(chip)を外部で除去するための装置に関するもので、より詳しくは配管内部の圧力と外部の大気圧の差を用いて配管内のチップをガスなどの流体の一部と一緒に外部に除去することにより、簡易に、速かにチップを除去するチップ除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建物及び住宅では都市ガスを用いている。人が居住する地域の地中には都市ガス会社から都市ガスを供給するためのガス管が埋め込まれており、さらに地域暖房のための温水管を含めて上下水道管などの各種配管がくもの巣のように埋設されている。このような配管は、都市ガス会社のような供給源と連結されるメイン配管と、そのメイン配管からガス、温水などを必要とする住宅、建物などの使用場所まで敷設された分岐配管などがある。
【0003】
前記のように、メイン配管に分岐配管を連結する場合又は配管の整備のために整備地域の上流の配管を遮断しなければならない場合には、その部分に必要な構成部品を取り付けて配管を穿孔しなければならない。
【0004】
メイン配管と分岐配管の連結装置及びその連結方法については大韓民国特許公告1993−0011585号に詳細に開示されている。この場合、配管を穿孔するとき、配管を円形に切削するが、この時に金属チップが発生して配管の内部に入ることになる。
【0005】
また、配管の交替、修理、分岐管の連結などの整備作業時に配管整備作業場所への流体の流れを一時遮断する装置については大韓民国実用新案登録第20−0157683号に詳細に開示されている。この場合にも、配管を穿孔するとき、管を円形に切削することになる。この際、金属チップが発生して配管の内部に入ることになる。
【0006】
このように配管の内部に入ったチップは、外部に除去しない場合、ガス、温水などの流体と一緒に流れて最終使用場所のノズルを塞ぐなど、色々の好ましくない作用を引き起こすため、除去することが好ましい。
【0007】
従来、このように発生したチップを除去する装置は、大韓民国実用新案登録第20−0153590号のように、磁石を穿孔された開口部を通じて配管の内部に接近させ、チップが磁石にくっつくようにし、その磁石及びチップを上方に引き上げる方式でチップを除去した。
【0008】
しかし、このように磁石を用いたチップ除去装置は一回に全てのチップを除去することができない。前記のような除去作業を4〜5回繰り返さなければならない。ところで、配管の直径は1〜2メートル程度の大型の場合が多く、配管の内部には高圧の流体が流れるため、安全のための措置を行わなければならないのみならず、チップ除去装置の構成部品が重量物であるため、チップ除去1回の作業に多くの時間が必要となる。したがって、磁石を用いたチップ除去装置は多大な労動力及び時間を必要とする問題点があった。
【0009】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】大韓民国特許公告1993−0011585号公報
【0011】
【特許文献2】大韓民国実用新案登録第20−0157683号公報
【0012】
【特許文献3】大韓民国実用新案登録第20−0153590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は前記のような従来技術の問題点を解決することを意図する。一回の作業で配管の内部に入っているチップを除去することを可能とし、迅速で、簡易に配管内部のチップを除去するチップ除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するための本発明の配管内部のチップ除去装置は、高圧流体が流れる配管の穿孔部分に取り付けられたフィッティングと、前記フィッティングに結合されたサンドイッチバルブとを含む配管内部のチップ除去装置であって、前記サンドイッチバルブの上部に取り付けられたチップ除去アダプタ;配管の内部に入っているチップを除去するために、前記チップ除去アダブターを貫いて配管の内面まで伸びている吸入チューブ;前記吸入チューブを上下に移動させる上下移動手段;チップを移送するために前記吸入チューブの上端に連結された移送チューブ;及び前記移送チューブの端部に取り付けられ、移送されて来たチップを分離するストレーナを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明のチップ除去装置は、前記ストレーナの流出チューブに取り付けられた消音器、及び前記消音器の流出チューブに取り付けられた排出パイプをさらに含むことができる。
【0016】
本発明のチップ除去装置は、前記吸入チューブの下端に、配管内面の屈曲面と対応するように、屈曲した吸入プレートが結合されることができる。
【0017】
本発明のチップ除去装置は、前記吸入チューブの上下移動手段が、前記チップ除去アダプタに取り付けられている油圧シリンダ、及び前記油圧シリンダのロッドに結合され、前記吸入チューブの上端が結合されているブラケットを含むことができる。
【0018】
本発明のチップ除去装置は、前記チップ除去アダプタの外部にある吸入チューブ部分に、吸入チューブの下向移動距離を制限するためのストッパが取り付けられることができる。
【0019】
本発明のチップ除去装置は、前記チップ除去アダプタが、前記サンドイッチバルブに結合されている本体、前記本体の上部に分離可能に取り付けられ、前記吸入チューブが貫く貫通孔が形成されている密閉板、及び前記密閉板と吸入チューブの間を密閉するために取り付けられたパッキングを含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明による配管内部のチップ除去装置は、配管内部の高圧の流体圧力と外部の大気圧の差を用いて流体の一部を外部に排出させながらチップも一緒に排出させるようにしているので、一回のチップ除去作業でチップを除去することができ、これにより迅速で、簡易に配管内部のチップを除去することができる効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例による配管内部のチップ除去装置の構成を示す立断面図である。
【0022】
【
図2】本発明の実施例による配管内部のチップ除去装置の一部平面図である。
【0023】
【
図3a】本発明の実施例による配管内部のチップ除去装置の構成部品である吸入プレートの底面図である。
【0024】
【0025】
【
図4】本発明の実施例による配管内部のチップ除去装置の構成部品であるブラケットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例による配管内部のチップ除去装置についてより詳細に説明する。
【0027】
図1及び
図2に示したように、本発明の実施例の配管内部のチップ除去装置は、高圧流体が流れる配管1の穿孔部分に取り付けられたフィッティング(fitting)4、前記フィッティング4に結合されたサンドイッチバルブ5、チップ除去アダプタ10、吸入チューブ20、前記吸入チューブ20を上下に移動させる上下移動手段、移送チューブ40及びストレーナ(strainer)50を備えている。
【0028】
配管1を穿孔する場合には、配管1の穿孔部分の上部と下部にそれぞれ補強板2、3を熔接し、フィッティング4とサンドイッチバルブ5を取り付け、これらは穿孔後にも除去されずにその取り付け状態を維持する。本発明の実施例のチップ除去装置はこれらの部品を用いている。
【0029】
チップ除去アダプタ10は、サンドイッチバルブ5の上部に取り付けられ、サンドイッチバルブ5に結合されている本体11と、前記本体11の上部に分離可能に取り付けられ、前記吸入チューブ20が貫通する貫通孔が形成された密閉板12と、前記密閉板12と吸入チューブ20の間を密閉するために取り付けられたパッキング13とを含む。パッキング13は多数のVパッキングを積層することにより、流体が漏れないようにするとともにパッキングカバー14によってパッキングの設置状態を堅固にしている。
【0030】
前記密閉板12はネジによって本体11に堅固に結合され、その上部に油圧シリンダ30が取り付けられる。配管1の直径によって吸入チューブ20及び油圧シリンダ30の大きさ及び容量を変えることができる。この場合、本体11はそのまま用い、密閉板12のみを他のものに取り替えて用いることができる。
【0031】
吸入チューブ20は、配管1の内部に入っているチップを除去するために、前記チップ除去アダブター10を貫いて配管1の内面から外部に伸びている。吸入チューブ20の下端には漏斗状の吸入管20aが連結されている。
【0032】
そして、前記吸入管20aの下端には、
図3a及び
図3bに示したように、配管1の内面屈曲面と対応するように屈曲した吸入プレート21が結合され、吸入プレート21の中央には貫通孔21aが形成され、底面縁部には案内突条21bが形成されている。案内突条21bはその内部にチップを収容できるようになっており、両側中央のみ開放している。したがって、チップ除去の際、案内突条21bと配管1の間の両側開放部を通じて流体が強く流入しながら内部のチップを吸入し、チューブ20内に吸いこむようになる。
【0033】
吸入チューブ20には吸入チューブ20を上下に移動させる上下移動手段が連結されている。前記上下移動手段は、前記チップ除去アダプタ10の密閉板12に取り付けられている油圧シリンダ30と、前記油圧シリンダ30のロッドに結合されているもので、前記吸入チューブ20の上端が結合されているブラケット31とを含んでなる。
【0034】
油圧シリンダ30は、吸入チューブ20を左右揺れなしに垂直に移動させるために、三つが均一な間隔で取り付けられており、ブラケット31は、
図2及び
図4に示したように、角部に油圧シリンダ30の先端が結合され、中央に吸入チューブ20の上端が貫通する三角形板で構成されている。
【0035】
油圧シリンダ30はエアシリンダに取り替えることができる。吸入チューブ20の上下移動距離が大きいため、多段シリンダを使うことが好ましい。
【0036】
前記チップ除去アダプタ10の外部の吸入チューブ20部分には、吸入チューブ20の下向移動距離を制限するためのストッパ(stopper)22が取り付けられている。ストッパ22は、吸入チューブ20の外部に取り付けられたストッパリングを蝶形ボルトで締結して固定する形態になっている。
【0037】
移送チューブ40は前記吸入チューブ20の上端に連結され、適切な場所にチップを移送するチューブである。移送チューブ40には開閉バルブ41、42が取り付けられている。
【0038】
前記移送チューブ40の端部には、移送されて来たチップを分離するストレーナ50が取り付けられている。ストレーナ50はチップ(chip)を流体から分離するとともに流体は排出させるもので、チップが一定量だけ集まれば分解して廃棄処理できる。
【0039】
前記ストレーナ50から流体が直接空気中に流出される場合には大きな騷音が発生するため、ストレーナ50の流出チューブに消音器60が取り付けられている。また、前記消音器60の流出チューブには、流体が地上より高い所で排出されるように、排出パイプ70が取り付けられている。
【0040】
このように構成された本発明の実施例のチップ除去装置の作用について、配管がガス管である場合を例として説明する。
【0041】
サンドイッチバルブ5が閉まった状態で、吸入チューブ20及び油圧シリンダ30などが結合されたチップ除去アダブター10をサンドイッチバルブ5に結合し、吸入チューブ20の上端にはストレーナ50と連結された移送チューブ40を連結する。この状態では、吸入プレート21がチップ除去アダブター10の内部に位置している。
【0042】
ついで、サンドイッチバルブ5を開放し、油圧シリンダ30を作動させてブラケット31及び吸入チューブ20を徐々に下降させ、吸入プレート21が所定の位置に到逹するとき、油圧シリンダ30の作動を停止させる。吸入プレート21は吸入チューブ20と一緒に自重によってずっと下方に移動することができるが、ストッパ22が密閉板12に接触すれば、それ以上下降しない。この状態では、吸入プレート21の下部、具体的に案内突条21bの内部にチップを収容できる。
【0043】
そして、移送チューブ40の開閉バルブ41、42を開放すれば、配管1の内部圧力によって吸入プレート21の底面のガスが吸入チューブ20及び移送チューブ40を通じてストレーナ50側に流れる。この時、吸入プレート21の底面下方にあるチップはガスと一緒に排出されてストレーナ50に移送される。吸入チューブ20の下端にある漏斗状の吸入管20aによってチップが大きな抵抗を受けずに吸入チューブ20の内部に吸入される。
【0044】
ストレーナ50ではチップが濾され、ガスが消音器60を通過する過程で騷音が消滅された後、後排出パイプ70を通じて地上よりずっと高い所で排出される。流体が温水や上水である場合には、前記消音器60又は排出パイプ70はなくても構わない。
【0045】
このようなチップ除去作業が完了すれば、移送チューブ40の開閉バルブ41、42を閉め、油圧シリンダ30を上昇させて吸入プレート21をチップ除去アダブター10の内部に引き上げ、サンドイッチバルブ5を閉めて流体の流出を完全に遮断する。その後、チップ除去アダプタ10をサンドイッチバルブ5から除去することでチップ除去作業を完了する。
【0046】
チップ除去作業の後、ストレーナ50に集まったチップはストレーナ50を分解して除去する。
【0047】
本発明の実施例によるチップ除去装置は、配管内部の高圧の流体圧力と外部の大気圧の差を用いて、高圧の流体一部を外部に排出させながらチップも一緒に排出させるようにしているので、一回のチップ除去作業でチップを除去することができ、これにより迅速で、簡易に配管内部のチップを除去することができる。
【0048】
本発明は前述した具体例に限定されない。実施例について詳細に説明したが、本発明の思想及び範囲内で多様に変更又は変形することができるのは本発明が属する当該技術分野の当業者には明らかなものであり、よってそのような変更又は変形は添付の特許請求範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0049】
1 配管
2、3 補強板
4 フィッティング
5 サンドイッチバルブ
10 チップ除去アダプタ
11 本体
12 密閉板
13 パッキング
14 パッキングカバー
20 吸入チューブ
20a 吸入管
21 吸入プレート
21a 貫通孔
21b 案内突条
22 ストッパ
30 油圧シリンダ
31 ブラケット
40 移送チューブ
41、42 開閉バルブ
50 ストレーナ(strainer)
60 消音器
70 排出パイプ