特開2017-120147(P2017-120147A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017120147-ドレン蒸発シート体 図000003
  • 特開2017120147-ドレン蒸発シート体 図000004
  • 特開2017120147-ドレン蒸発シート体 図000005
  • 特開2017120147-ドレン蒸発シート体 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-120147(P2017-120147A)
(43)【公開日】2017年7月6日
(54)【発明の名称】ドレン蒸発シート体
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/14 20060101AFI20170609BHJP
【FI】
   F25D21/14 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-256497(P2015-256497)
(22)【出願日】2015年12月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】小林 章
(72)【発明者】
【氏名】萩谷 修太郎
【テーマコード(参考)】
3L048
【Fターム(参考)】
3L048AA01
3L048CA01
3L048CE02
3L048CE05
3L048CE06
3L048DA03
3L048DC02
3L048GA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】汚れた場合に簡単に洗浄することができ、例えば、洗濯機を使用して丸洗いすることができるドレン蒸発シート体を提供する。
【解決手段】ドレン蒸発シート体1は、所定間隔をあけて起立状態でほ略平行に配列された複数枚の蒸発シート2と、保持部3aと押圧部3bとを有するL字型に形成され、保持部3aが蒸発シート2の配列方向に沿った一方の側部を貫通するとともに蒸発シート2を抜け止めし、押圧部3bが蒸発シート2の配列方向の一方の端部に位置する一つの蒸発シート2の外側面に弾性的に当接された第一弾性線状保持部材と、保持部と押圧部とを有するL字型に形成され、保持部が蒸発シート2の配列方向に沿った他方の側部を貫通するとともに蒸発シート2を抜け止めし、押圧部が蒸発シート2の配列方向の他方の端部に位置する一つの蒸発シート2の外側面に弾性的に当接された第二弾性線状保持部材とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔をあけて起立状態で略平行に配列された複数枚の蒸発シートと、
保持部と押圧部とを有するL字型に形成され、前記保持部が前記蒸発シートの配列方向に沿った一方の側部を貫通するとともに前記蒸発シートを抜け止めし、前記押圧部が前記蒸発シートの配列方向の一方の端部に位置する前記蒸発シートの外側面に弾性的に当接された第一弾性線状保持部材と、
保持部と押圧部とを有するL字型に形成され、前記保持部が前記蒸発シートの配列方向に沿った他方の側部を貫通するとともに前記蒸発シートを抜け止めし、前記押圧部が前記蒸発シートの配列方向の他方の端部に位置する一つの前記蒸発シートの外側面に弾性的に当接された第二弾性線状保持部材と、
を有するドレン蒸発シート体。
【請求項2】
隣り合う一部の前記蒸発シートの間にエアキャップが介装されていることを特徴とする請求項1記載のドレン蒸発シート体。
【請求項3】
隣り合う前記蒸発シートの間に、櫛歯状のスペーサー部材が介装されていることを特徴とする請求項1又は2記載のドレン蒸発シート体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍・冷蔵ショーケース内で生じたドレンを蒸発させるために使用するドレン蒸発シート体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗では、商品を陳列・販売する機器として冷凍・冷蔵ショーケースが使用されている。これらの冷凍・冷蔵ショーケースでは、結露により或いは冷却器の除霜によりドレンが発生するので、このドレンをドレンパン内に導き、ドレンパン内に導かれたドレンを蒸発シートを用いて蒸発させている。
【0003】
ドレンパン内に導かれたドレンを蒸発シートを用いて蒸発させる構造としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものが知られている。下記特許文献1に記載された構造では、ドレンパンの底部に複数のスリットを形成し、矩形状に形成された複数の蒸発シートの下端部をスリットに差し込むとともにこれらの蒸発シートを所定間隔をあけて平行に配列している。さらに、蒸発シートの上部側に長尺状のシート状蒸発布を敷設し、このシート状蒸発布に下向きに折り曲げた側壁を形成するとともにこの側壁に切れ込みを形成し、この切れ込みに蒸発シートの上端側を差し込んでいる。
【0004】
ドレンパン内に導かれたドレンは、蒸発シートに吸い上げられ、蒸発シートから蒸発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−193907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ドレンを吸い上げて蒸発させるための蒸発シートは吸水性の高い材料で形成されているが、塵の付着等により汚れた場合には吸水性が低下し、それに伴ってドレンを蒸発させる性能が低下する。そのため、一定期間毎に定期的に、或いは汚れた場合に適宜、蒸発シートを洗浄する必要がある。
【0007】
特許文献1の蒸発シートの洗浄は、蒸発シートとシート状蒸発布とをドレンパンから取外し、これらの蒸発シートとシート状蒸発布とをバケツ等に入れた洗浄液中に浸し、洗浄液中に浸した蒸発シートとシート状蒸発布とを手で把持し、洗浄液中で上下動させて濯ぎ洗いすることにより行っている。
【0008】
このため、蒸発布片とシート状蒸発布との洗浄に手間がかかっている。また、手で把持して洗浄液中で上下動させる濯ぎ洗い方式では、汚れが充分に取れない場合が多い。さらに、洗浄後にドレンパン内に戻す場合には各蒸発シートの下端部をドレンパンのスリットに差し込まなければならず、洗浄後の後処理に手間がかかっている。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的は、汚れた場合に簡単に洗浄することができ、例えば、洗濯機を使用して丸洗いすることのできるドレン蒸発シート体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るドレン蒸発シート体は、所定間隔をあけて起立状態で略平行に配列された複数枚の蒸発シートと、保持部と押圧部とを有するL字型に形成され、前記保持部が前記蒸発シートの配列方向に沿った一方の側部を貫通するとともに前記蒸発シートを抜け止めし、前記押圧部が前記蒸発シートの配列方向の一方の端部に位置する前記蒸発シートの外側面に弾性的に当接された第一弾性線状保持部材と、保持部と押圧部とを有するL字型に形成され、前記保持部が前記蒸発シートの配列方向に沿った他方の側部を貫通するとともに前記蒸発シートを抜け止めし、前記押圧部が前記蒸発シートの配列方向の他方の端部に位置する一つの前記蒸発シートの外側面に弾性的に当接された第二弾性線状保持部材と、を有する。
【0011】
また、前述のドレン蒸発シート体において、隣り合う一部の前記蒸発シートの間にエアキャップが介装されていることが望ましい。
【0012】
また、前述のドレン蒸発シート体において、隣り合う前記蒸発シートの間に、櫛歯状のスペーサー部材が介装されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るドレン蒸発シート体によれば、所定間隔をあけて起立状態で略平行に配列された複数枚の蒸発シートを有し、周囲の4面が第一弾性線状保持部材と第二弾性線状保持部材とにより囲まれており、各蒸発シートはその配列状態で弾性的に保持されている。このため、このドレン蒸発シート体を洗濯機で洗浄すると、洗浄に伴う外力がドレン蒸発シート体に作用した場合には、ドレン蒸発シート体は各蒸発シートが折り重なる方向に傾いて変形しても、蒸発シートはばらばらにならない。そして、洗浄が終了して外力の作用がなくなると、第一・第二弾性線状保持部材の弾性力により複数の蒸発シートは平行に配列された起立状態に自動的に戻る。従って、ドレン蒸発シート体が汚れた場合には洗濯機を用いて簡単に洗浄することができ、ドレン蒸発シート体の蒸発性能の維持を図ることができる。
【0014】
また、隣り合う一部の蒸発シートの間にエアキャップを介装することにより、このエアキャップによってドレン蒸発シート体に浮力を与えることができ、洗濯機での洗浄時にドレン蒸発シート体が洗濯槽の底部に配置されて回転している回転体に接触することを防止することができ、洗浄時にドレン蒸発シート体が回転体に接触することにより生じるドレン蒸発シート体の損傷を防止することができる。
【0015】
また、隣り合う蒸発シートの間に櫛歯状のスペーサー部材を介装することにより、隣り合う蒸発シート間の隙間を確保することができ、特に、洗濯機で洗浄した後においても隣り合う蒸発シート間の隙間を確保することができ、蒸発シートからのドレンの蒸発促進を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態のドレン蒸発シート体を示す斜視図である。
図2】ドレン蒸発シート体を図1で示す方向と反対方向から示す斜視図である。
図3】ドレン蒸発シート体を示す正面図である。
図4】スペーサー部材を拡大して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態のドレン蒸発シート体1について、図面に基づいて説明する。スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗では、商品を陳列・販売する機器として冷凍・冷蔵ショーケース(図示せず)が使用されている。これらの冷凍・冷蔵ショーケースでは、結露により或いは冷却器の除霜によりドレンが発生するので、このドレンを導くドレンパン(図示せず)が冷凍・冷蔵ショーケースの底部に設けられている。ドレンパン内には、導かれたドレンを吸い上げて蒸発させるためのドレン蒸発シート体1が設置されている。
【0018】
図1は、ドレン蒸発シート体1を示す斜視図であり、図2は、ドレン蒸発シート体1を図1で示す方向と反対方向から示す斜視図である。ドレン蒸発シート体1は、複数枚の蒸発シート2と、第一・第二弾性線状保持部材3、4と、エアキャップ5と、スペーサー部材6とを備え、略直方体形状に形成されている。ドレン蒸発シート体1は、矩形状の蒸発シート2と、その矩形状の一部に切欠きを形成した蒸発シート2との2種類の形状の蒸発シート2により形成されている。蒸発シート2に形成された切欠きの部分は、ドレンをドレンパに導くドレン配管の逃げ部とされている。なお、ドレン蒸発シート体1を形成する蒸発シート2の形状については、全てが同一の形状であってもよい。
【0019】
蒸発シート2は、吸水性の高い材料(例えば、不織布)を用いて扁平な矩形状に形成されており、複数枚の蒸発シート2がそれぞれの面を対向させるとともに対向した面の間に所定間隔(例えば、7mm)の隙間を有して起立状態で略平行に配列されている。これらの蒸発シート2の配列方向に沿った両側部には、T字形状に形成された切れ込み7が上下2段に形成されている。
【0020】
第一弾性線状保持部材3は、図1に示すように、線状のワイヤを折り曲げることにより保持部3aと押圧部3bとを有するL字型に形成されている。保持部3aは、蒸発シート2の配列方向の一方の側部に形成された上下の切れ込み7に貫通されている。押圧部3bは、蒸発シート2の配列方向の一方の端部に位置する蒸発シート2の外側面に弾性的に当接されている。また、上下の切れ込み7を貫通した保持部3aの先端部には図2に示すように、蒸発シート2を保持部3aから抜け止めする一対の抜け止め用屈曲部3cが形成されている。これらの抜け止め用屈曲部3cは、互いに向かい合う方向に折り曲げられるとともに先端側の一部が重なり合う位置まで延出され、蒸発シート2の配列方向の他方の端部に位置する蒸発シート2の外側面に当接されている。
【0021】
第二弾性線状保持部材4は、図2に示すように、線状のワイヤを折り曲げることにより保持部4aと押圧部3bとを有するL字型に形成されている。保持部4aは、蒸発シート2の配列方向の他方の側部に形成された上下の切れ込み7に貫通されている。押圧部4bは、蒸発シート2の配列方向の他方の端部に位置する蒸発シート2の外側面に弾性的に当接されている。また、上下の切れ込み7を貫通した保持部4aの先端部には図1に示すように、蒸発シート2を保持部4aから抜け止めする一対の抜け止め用屈曲部4cが形成されている。これらの抜け止め用屈曲部4cは、互いに向かい合う方向に屈曲されるとともに先端側の一部が重なり合う位置まで延出され、蒸発シート2の配列方向の一方の端部に位置する蒸発シート2の外側面に当接されている。
【0022】
エアキャップ5は、内部に空気が封入された中空のシート状部材であり、図3に示すように、蒸発シート2の配列方向の両端部に位置する蒸発シート2とその内側に位置する蒸発シート2との間に溶着されている。
【0023】
スペーサー部材6は、図4に示すように櫛歯状に形成された部材であり、図3に示すように切れ込み7に嵌め込まれている。
【0024】
このような構成において、複数枚の蒸発シート2を起立状態で平行に配列して直方体形状に形成されたドレン蒸発シート体1は、スペーサー部材6を切れ込み7に嵌め込むことにより隣合った各蒸発シート2間の間隔が一定に確保されている。そして、第一弾性線状保持部材3は、押圧部3bが蒸発シート2の配列方向の一方の端部に位置する一つの蒸発シート2の外側面に弾性的に当接され、抜け止め用屈曲部3cが蒸発シート2の配列方向の他方の端部に位置する一つの蒸発シート2の外側面に当接されている。さらに、第二弾性線状保持部材4は、押圧部4bが蒸発シート2の配列方向の他方の端部に位置する一つの蒸発シート2の外側面に弾性的に当接され、抜け止め用屈曲部4cが蒸発シート2の配列方向の一方の端部に位置する一つの蒸発シート2の外側面に当接されている。
【0025】
このため、ドレン蒸発シート体1は、周囲の4面が第一弾性線状保持部材3と第二弾性線状保持部材4とにより囲まれており、各蒸発シート2は第一・第二弾性線状保持部材3、4から外れることなくその配列状態を弾性的に保持されている。
【0026】
このドレン蒸発シート体1を洗濯機で洗浄し、洗浄に伴う外力がドレン蒸発シート体1に作用した場合、ドレン蒸発シート体1は蒸発シート2が折り重なる方向に傾いて変形しても、各蒸発シート2が保持部3a、4aから抜け落ちてばらばらになることはない。そして、洗浄が終了して外力の作用がなくなると、複数の蒸発シート2は、第一・第二弾性線状保持部材3、4の弾性力により平行に配列された起立状態に自動的に戻る。従って、ドレン蒸発シート体1が汚れた場合には洗濯機を用いてドレン蒸発シート体1を丸ごと洗浄することができ、ドレン蒸発シート体1の洗浄を簡単に行うことができるとともにドレン蒸発シート体1の蒸発性能を良好な状態に維持することを容易に行える。
【0027】
また、洗濯機で洗浄した後のドレン蒸発シート体1は、蒸発シート2が平行に配列された起立状態に自動的に戻るので、洗浄後にはドレン蒸発シート体1をドレンパン内に戻すだけでよく、洗浄したドレン蒸発シート体1をドレンパン内に戻す前に形を整形するという作業が不要となり、洗浄後のドレン蒸発シート体1の取り扱いが容易になる。
【0028】
また、ドレン蒸発シート体1には、蒸発シート2の配列方向の両端部の蒸発シート2側にエアキャップ5が介装されているので、このエアキャップ5によって洗濯機で洗浄されるドレン蒸発シート体1に浮力を与えることができる。このため、洗濯機での洗浄時にドレン蒸発シート体1が洗濯槽の底部に配置されて回転している回転体に接触することを防止することができ、洗浄時にドレン蒸発シート体1が回転体に接触することにより生じるドレン蒸発シート体の損傷を防止することができ、洗浄時の耐久性を向上させることができる。
【0029】
また、隣り合う蒸発シート2の間に櫛歯状のスペーサー部材6が介装されているので、洗濯機で洗浄する前及び洗浄後のいずれにおいても、蒸発シート2間の隙間を確保することができ、蒸発シート2からのドレンの蒸発促進を維持することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 ドレン蒸発シート体
2 蒸発シート
3 第一弾性線状保持部材
3a 保持部
3b 押圧部
3c 抜け止め用屈曲部
4 第二弾性線状保持部材
4a 保持部
4b 押圧部
4c 抜け止め用屈曲部
5 エアキャップ
6 スペーサー部材
7 切れ込み
図1
図2
図3
図4