【解決手段】本発明の一実施例によるコモンモードフィルタは、複数の外部電極とそれぞれ連結された複数の信号パターン、接地電極と連結された接地パターン、及び上記複数の信号パターン及び接地パターンの一部の領域を覆う単一の高電圧通電部材を含むESD防止層と、上記ESD防止層上に配置される磁性層と、上記磁性層上に配置され、上記複数の外部電極と連結された少なくとも一つ以上のコイルパターンを含むコイル部と、を含むことができる。
複数の外部電極とそれぞれ連結された複数の信号パターン、接地電極と連結された接地パターン、及び前記複数の信号パターン及び接地パターンの一部の領域を覆う単一の高電圧通電部材を含むESD防止層と、
前記ESD防止層上に配置される磁性層と、
前記磁性層上に配置され、前記複数の外部電極と連結された少なくとも一つ以上のコイルパターンを含むコイル部と、
を含む、コモンモードフィルタ。
前記複数の信号パターンの一端及び前記接地パターンは前記ESD防止層の中央領域で互いに隣接するように配置され、前記単一の高電圧通電部材は前記中央領域上に配置される、請求項1に記載のコモンモードフィルタ。
前記接地パターンは、前記複数の信号パターンのうち一部の信号パターンに隣接する第1の突出部、及び前記複数の信号パターンのうち残りの信号パターンに隣接する第2の突出部を有する、請求項3に記載のコモンモードフィルタ。
前記単一の高電圧通電部材はスクリーンプリンティング及びディスペンシング方式のうち一つを利用して塗布される、請求項1から7のいずれか一項に記載のコモンモードフィルタ。
【背景技術】
【0002】
技術の発展に伴い、電子機器がアナログ方式からデジタル方式に変化し、処理するデータ量の増加によって電子機器に高速インターフェースが適用されている。上記高速インターフェースとして、USB2.0、USB3.0及び高精細マルチメディアインターフェース(high−definition multimedia interface;HDMI(登録商標))が広範囲に普及されており、これらのインターフェースは、現在、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、及びデジタル高精細テレビのような多様なデジタル電子機器で用いられている。
【0003】
これらの高速インターフェースは、長い間一般的に利用されていたシングルエンド(single−end)送信システムとは異なり、一対の信号ラインを用いて差動信号(差動モード信号)を送信する差動信号システムを採用する。しかしながら、デジタル化及び高速化される電子機器は、外部からの刺激に敏感であり、高周波ノイズによって信号の歪みが発生する可能性があり、静電気放電(ESD:Electrostatic Discharge)のような異常電圧によって回路が破損する可能性もある。
【0004】
このような高周波ノイズ及び異常電圧が回路に流入することを防止するために、コモンモードフィルタ(Common Mode Filter:CMF)、及びバリスタ(Varistor)やダイオード(Diode)のようなESD防止素子が用いられることができる。
【0005】
最近では、電子機器の部品集積度が高くなるにつれてESD防止機能を含むコモンモードフィルタが研究されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0012】
図1は、一実施例によるコモンモードフィルタの斜視図であり、
図2は、
図1のESD防止層、磁性層、及びコイル部の分解斜視図である。
【0013】
図1及び2を参照すると、一実施例によるコモンモードフィルタ100は、磁性体ボディ101、複数の外部電極、及び接地電極を含み、上記磁性体ボディ101は、ESD(Electrostatic Discharge)防止層110、磁性層120、及びコイル部130を含む。また、第1の保護層150及び第2の保護層160をさらに含むことができる。
【0014】
図1に示されたコモンモードフィルタ100は第1から第4の外部電極141、142、143、144と第1及び第2の接地電極145、146を含むが、外部電極又は接地電極の数は変更されることができる。
【0015】
第1から第4の外部電極141、142、143、144と第1及び第2の接地電極145、146は、磁性体ボディ101の厚さ方向に延びて形成されることができる。また、第1から第4の外部電極141、142、143、144と第1及び第2の接地電極145、146は、互いに分離されるように配置されることができる。
【0016】
第1から第4の外部電極141、142、143、144と第1及び第2の接地電極145、146は、電気伝導性を付与できる金属からなることができる。具体的には、外部電極は、金(Au)、銀(Ag)、スズ(Sn)、白金(Pt)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。
【0017】
ESD防止層110は、複数の信号パターン及び接地パターン、及び高電圧通電部材を含む。
【0018】
図2に示されたESD防止層110の一例は、第1から第4の外部電極141、142、143、144とそれぞれ連結された第1から第4の信号パターン111、112、113、114を含み、第1及び第2の接地電極145、146と連結された接地パターン115を含む。
【0019】
また、上記ESD防止層110は、第1から第4の信号パターン111、112、113、114及び接地パターン115の一部の領域を覆う単一の高電圧通電部材116を含む。
【0020】
第1から第4の信号パターン111、112、113、114及び接地パターン115は互いに分離されるように形成され、第1から第4の信号パターン111、112、113、114及び接地パターン115の間の空間に高電圧通電部材116が塗布されることができる。
【0021】
上記高電圧通電部材116は、普段は絶縁性を有するが、静電気のような高電圧が第1から第4の信号パターン111、112、113、114に印加されると、電気が流れ、接地パターン115を介して第1及び第2の接地電極145、146に高電圧を放出してコモンモードフィルタ100を保護することができる。
【0022】
磁性層120は、ESD防止層110上に配置され、磁性セラミック材料で形成されることができる。
【0023】
例えば、磁性層120は、磁性セラミック材料であるフェライトシートでもよく、磁性体樹脂複合材を含むシートでもよい。磁性体樹脂複合材を利用して磁性層120を形成する場合、磁性層120に柔軟性が付与され、クラックが発生することを減少させることができる。
【0024】
第1の保護層150はESD防止層110の下部に形成されてESD防止層110を保護することができ、第2の保護層160はコイル部130の上部に形成されてコイル部130を保護することができる。
【0025】
第1及び第2の保護層150、160は、磁性セラミック材料であるフェライトシートであり得る。
【0026】
コイル部130は、磁性層120上に配置され、少なくとも一つ以上のコイル及び上記コイルの一端と連結された引出端子を有する複数のコイル層を含む。
【0027】
図2では、第1から第4のコイル層130a、130b、130c、130dを含むことを示したが、コイル層の数は変更されることができる。
【0028】
以下、
図2を参照して、コイル部130が含む第1から第4のコイル層130a、130b、130c、130dのうち第1のコイル層130aを説明する。
【0029】
第1のコイル層130aは、同一平面上で並んで同じ方向に巻かれた第1及び第2のコイル131a、132aを含むことができる。
【0030】
第1及び第2のコイル131a、132aは、フェライト層に導電性材料で構成されるパターンを少なくとも1回以上巻いた形で形成され、導電性ペースト、フォトレジスト工法などを利用して形成されることができる。
【0031】
第1及び第2のコイル131a、132aの一端は第1及び第2の引出端子133a、134aに連結され、上記第1及び第2の引出端子133a、134aは磁性体ボディ101の側面に露出する。
【0032】
第1及び第2のコイル131a、132aが外部電極141、143に直接接続される場合には、第1及び第2のコイル131a、132aはパターンの幅や厚さが小さいため、外部電極141、143の接続部分の断面積が小さく、連結がうまくいかない可能性がある。
【0033】
したがって、上記第1及び第2の引出端子133a、134aを介して第1及び第2のコイル131a、132aと外部電極141、143が連結される断面積が増加することができる。
【0034】
また、第1及び第2のコイル131a、132aの他端は第1及び第2の内部端子135a、136aに連結され、上記第1及び第2の内部端子135a、136aは内部ビアを介して他のコイル層130b、130c、130dのうち一つ以上のコイル層と連結されることができる。
【0035】
上記第1のコイル層130aの構成は第2から第4のコイル層130b、130c、130dに適用されることができる。
【0036】
コイル部130は、第1から第4のコイル層130a、130b、130c、130dを積層及び圧着して形成されることができる。
【0037】
図3は、一実施例によるESD防止層の平面図である。
【0038】
図3を参照すると、例えば、ESD防止層110は、第1から第4の信号パターン111、112、113、114、接地パターン115、及び高電圧通電部材116を含む。
【0039】
第1から第4の信号パターン111、112、113、114の一端及び接地パターン115はESD防止層110の中央領域Cで互いに隣接するように配置され、高電圧通電部材116は上記中央領域C上を覆うように配置される。
【0040】
このとき、接地パターン115は、中央領域Cで第1から第4の信号パターン111、112、113、114の一端に隣接する第1から第4の突出部115−1、115−2、115−3、115−4を有することができる。
【0041】
所定の電圧レベル以上で高電圧を通電するために、中央領域Cで隣接した第1から第4の信号パターン111、112、113、114と接地パターン115間の間隔W
1は20μm以上であり得るが、これに制限されるものではない。
【0042】
また、第1から第4の信号パターン111、112、113、114間に高電圧が通電されることを防止するために、第1から第4の信号パターン111、112、113、114の相互間の間隔W
2は50μm以上であり得るが、これに制限されるものではない。
【0043】
また、第1から第4の信号パターン111、112、113、114の幅W
3と接地パターン115の幅W
4は100μmであり得るが、これに制限されるものではない。
【0044】
一方、高電圧通電部材116は、スクリーンプリンティング及びディスペンシング方式のうち一つを利用して塗布されることができる。
【0045】
例えば、第1から第4の信号パターン111、112、113、114の一端及び接地パターン115はESD防止層110の中央領域Cで互いに隣接するように配置されるため、上記中央領域Cを覆うように配置される高電圧通電部材116の横の長さW
5は250μmで形成され、縦の長さW
6は220μmで形成されることができる。
【0046】
これにより、一実施例によるコモンモードフィルタの高電圧通電部材は、塗布時、整列マージン(align margin)が確保され、信号パターン又は接合パターンとの接合性が向上することができる。
【0047】
したがって、一実施例によるコモンモードフィルタは、製造工程不良が最小化し、品質安定性が改善されるという効果を有する。
【0048】
図4を参照すると、ESD防止層210は、第1から第4の信号パターン211、212、213、214、接地パターン215、及び高電圧通電部材216を含む。
【0049】
図4に示されたESD防止層210は、
図3に示されたESD防止層110と比較して接地パターンが2個の突出部を有するという差異がある。したがって、それ以外の構成及び機能は
図3に示されたESD防止層110から理解されることができるため、重複する説明は省略する。
【0050】
接地パターン215は、第2及び第4の信号パターン212、214に隣接する第1の突出部215−1、及び第1及び第3の信号パターン211、213に隣接する第2の突出部215−2を有する。
【0051】
所定の電圧レベル以上で高電圧を通電するために、中央領域Cで隣接した第1から第4の信号パターン211、212、213、214と接地パターン215間の間隔W
1'は20μm以上であり得るが、これに制限されるものではない。
【0052】
また、第1から第4の信号パターン211、212、213、214間に高電圧が通電されることを防止するために、第1から第4の信号パターン211、212、213、214の相互間の間隔W
2'は50μm以上であり得るが、これに制限されるものではない。
【0053】
図5は、一実施例による高電圧通電部材の断面図である。
【0054】
図5に示されたように、高電圧通電部材116としては、伝導性粒子116−1が絶縁性材料116−2に分散されたものを用いることができる。
【0055】
例えば、伝導性粒子116−1はCu、Agなどの導電性金属となり、絶縁性材料116−2はAl2O3、TiO2、ZnO、ポリマー樹脂などとなることができる。
【0056】
高電圧通電部材116は、普段は不導体として動作し、静電気のような高電圧(ESD)が、例えば、第1の信号パターン111を通して印加されると、伝導性粒子116−1を介して通電されることができる。
【0057】
これにより、第1の信号パターン111に印加された高電圧(ESD)は、接地と連結された接地パターン115を通して放出されることができる。
【0058】
高電圧通電部材116はスクリーンプリンティング方式で印刷されることができる。この場合、高電圧通電部材116が形成される位置に対応して開口部が形成されたマスク(mask)を第1から第4の信号パターン111、112、113、114(
図3)と接地パターン115(
図3)上に配置させた後、開口部内に高電圧通電部材116を塗布することができる。高電圧通電部材116は印刷された後、高温で硬化されることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。