【解決手段】服薬カレンダー用収容ボックスは、服薬カレンダーを収容可能な凹部11cを有する木製の第1容器11、並びに、服薬カレンダーを収容可能な凹部12cを有する木製の第2容器12と、第1容器と第2容器を開閉自在に繋ぎ合わせる連結手段13と、第1容器11と第2容器12が閉じた状態で各々を開けられないようにするための錠手段14と、第1容器11の凹部11cと第2容器12の凹部12cそれぞれに服薬カレンダーを着脱自在に吊り下げるための吊り下げ手段15とを備えている。
前記錠手段は、前記第1容器と前記第2容器の一方に設けられた回転自在で進退自在なネジ部を有する錠本体と、前記第1容器と前記第2容器の他方に設けられ前記ネジ部をねじ込み可能なネジ穴を有する受け金具とを備えている、
請求項1に記載の服薬カレンダー用収容ボックス。
前記吊り下げ手段は、前記凹部の内面に取り付けられたレール部品と、前記レール部品に該レール部品に沿って移動自在に設けられたフック付きのスライド部品とを備えている、
請求項1又は2に記載の服薬カレンダー用収容ボックス。
前記吊り下げ手段は、長孔を有し一端にフックを有する可動プレートと、前記長孔に挿入された状態で前記可動プレートを前記凹部の内面に取り付けるためのネジ部品とを備えており、前記ネジ部品を緩めることによって前記可動プレートの位置及び向きを変更できるように構成されている、
請求項1又は2に記載の服薬カレンダー用収容ボックス。
【発明を実施するための形態】
【0010】
先ず、
図1を用いて、本発明を適用した服薬カレンダー用収容ボックス10(以下、単に収容ボックス10と言う)について説明する。
【0011】
図1に示したように、収容ボックス10は、第1容器11と、第2容器12と、連結手段13と、錠手段14と、吊り下げ手段15とを備えている。この収容ボックス10は、第1容器11と第2容器12が閉じた状態(
図1(A)及び
図1(B)を参照)の形状が高さH、幅W及び奥行きDを有する略直方体状となっている。
【0012】
第1容器11は、矩形板部11aの一面の周囲に矩形枠部11bを一体に有するような態様を成し、矩形枠部11bの内側に略矩形輪郭の凹部11cを有している。一方、第2容器12は、第1容器11と同様、矩形板部12aの一面の周囲に矩形枠部12bを一体に有するような態様を成し、矩形枠部12bの内側に略矩形輪郭の凹部12cを有している。第1容器11と第2容器12それぞれの高さはH、幅はWであり、第1容器11の奥行きD11と第2容器12の奥行きD12は略同じである。また、第1容器11の凹部11cの高さH11cと幅W11cと深さはD11cそれぞれは、第2容器12の凹部12cの高さH12cと幅W12cと深さD12cそれぞれと略同じである。なお、第1容器11の矩形枠部11bの一部の幅と第2容器12の矩形枠部12bの一部の幅は後記錠手段14を取り付けるために多少広くなっているため、凹部11cの幅W11cと凹部12cの幅W12cそれぞれは最大幅を示す。
【0013】
収容ボックス10を作製するときの利便性を考慮すると、第1容器11の形状と第2容器12の形状を同じくすることが好ましく、このようにすれば単一の容器を第1容器11と第2容器12とで兼用できる。また、第1容器11の凹部11cの寸法(高さH11c、幅W11c及び深さD11c)と第2容器12の凹部12cの寸法(高さH12c、幅W12c及び深さD12c)は、凹部11c及び凹部12cそれぞれに収容される後記服薬カレンダー(
図2を参照)の最大寸法に見合うように設定されている。
【0014】
第1容器11と第2容器12において肝要な点は、両者が木材から形成されていることにある。この木材には特段の材質制限はなく、単板と合板の別も問わないが、耐久性と加工性が良いものが好ましく使用できる。第1容器11と第2容器12それぞれを木製とした理由は、耐破壊性を考慮した点と、後記吊り下げ手段15の取り付けとその位置変更を考慮した点にある。第1容器11と第2容器12それぞれを木材から形成する場合の好ましい作製方法としては、矩形平板の一面の周囲に4本の四角材を木ネジによって取り付ける方法を挙げることができる。この場合、矩形平板の厚さを10mm以上とし、四角材の幅と厚さを10mm以上とすれば、耐破壊性を十分に確保できるし、後記吊り下げ手段15の取り付けとその位置変更にも特段支障を生じない。
【0015】
連結手段13は、第1容器11と第2容器12を開閉自在に繋ぎ合わせ、第1容器11と第2容器12が閉じた状態で凹部11cと凹部12cそれぞれが互いに閉塞されるように、また、第1容器11と第2容器12が開いた状態で凹部11cと凹部12cそれぞれが開放されるように構成するためのものであり、当該連結手段13としては、
図1に示したような蝶番(以下、蝶番13とも言う)を用いることが好ましい。
図1にあっては収容ボックス10の右側面に2個の蝶番13が高さ方向に間隔をおいて設けられており、各々の一方の蝶番片が第1容器11の幅方向右面に木ネジ(符号無し)によって取り付けられ、他方の蝶番片が第2容器12の幅方向右面に木ネジ(符号無し)によって取り付けられている。
【0016】
錠手段14は、第1容器11と第2容器12が閉じた状態で第1容器11と第2容器12を開けられないようにするためのものであり、当該錠手段14としては、回転自在で進退自在なネジ部14a2を有する錠本体14aと、錠本体14aのネジ部14a2をねじ込み可能なネジ穴14b1を有する受け金具14bとを備えた錠、具体的には
図1に示したようなシリンダー外縛り錠(以下、シリンダー外縛り錠14とも言う)を用いることが好ましい。
図1にあっては収容ボックス10の左側面の高さ方向中央に近接する位置にシリンダー外縛り錠14が設けられており、錠本体14aは第1容器11に木ネジ(符号無し)によって取り付けられ、錠本体14aと対をなす受け金具14bは第2容器12に木ネジ(符号無し)によって取り付けられている。錠本体14aは、専用鍵(図示省略)を挿入可能な鍵穴14a1と、鍵穴14a1に挿入された鍵によって回転と進退ができるネジ部14a2を有しており、一方、受け金具14bは、錠本体14aのネジ部14a2をねじ込み可能なネジ穴14b1を有している。即ち、第1容器11と第2容器12が閉じた状態(
図1(A)及び
図1(B)を参照)で錠本体14aの鍵穴14a1に鍵を差し込んでネジ部14a2を左右一方に回しながら押し込んで、ネジ部14a2を受け金具14bのネジ穴14b1にねじ込む施錠操作を施すことにより、第1容器11と第2容器12は開けられないようになる。また、施錠操作後において錠本体14aの鍵穴14a1に鍵を差し込んでネジ部14a2を左右他方に回しながら引き抜いて、ネジ部14a2を受け金具14bのネジ穴14b1から抜き出す解錠操作を施すことにより、第1容器11と第2容器12は開けられるようになる。
【0017】
吊り下げ手段15は、第1容器11の凹部11cと第2容器12の凹部12cそれぞれに後記服薬カレンダー(
図2を参照)を着脱自在に吊り下げるためのものであり、当該吊り下げ手段15としては
図1に示したようなネジ付きフック(以下、ネジ付きフック15とも言う)を用いることが好ましい。
図1にあっては2個のネジ付きフック15が第1容器11の凹部11cの内面の上部に幅方向に間隔をおいて取り付けられ、また、2個のネジ付きフック15が第2容器12の凹部12cの内面の上部に幅方向に間隔をおいて取り付けられている。各ネジ付きフック15の取り付けは、各々のネジ部を凹部11c及び凹部12cそれぞれの内面にねじ込むことによって為されている。第1容器11と第2容器12が何れも木製であるため、各ネジ付きフック15の取り付けは勿論のこと、各ネジ付きフック15の取り付け位置の変更を簡単に行うことができる。なお、ネジ付きフック15のフック部分の形状はL字形の他、C字形やコ字形等の他の形状であっても良い。
【0018】
次に、
図2を用いて、前記収容ボックス10に収容可能な服薬カレンダー20-1、20-2及び20-3の例について説明する。なお、
図2に例示した3種類の服薬カレンダー20-1、20-2及び20-3は市販の服薬カレンダーの態様の理解を図るために描いたものであって、前記収容ボックス10に収容可能な服薬カレンダーの態様を制限するものでない。
【0019】
図2(A)に例示した服薬カレンダー20-1は、合成樹脂シートや厚紙等から成る矩形状のカレンダー本体21と、カレンダー本体21の一面の上部に設けられた氏名欄22aと、カレンダー本体21の一面の左部に縦長に設けられた曜日欄22bと、氏名欄22aの下に横長に設けられた服薬タイミング欄22cと、氏名欄22aの右に設けられた期間欄22dとを有している。氏名欄22aには患者の氏名が表示され、曜日欄22bには1週間分(日曜日から土曜日)の服薬曜日が表示され、服薬タイミング欄22cにはあさ、ひる、よる、ねる前等の服薬タイミングが表示され、期間欄22dには1週間に対応する日付が1月10日〜1月16日のように表示されている。また、服薬曜日と服薬タイミングとの交差位置それぞれには、透明フィルムによって形成された袋状の薬配置部23が設けられている。さらに、カレンダー本体21の一面の上部には、2個の吊り下げ穴24が左右方向に間隔をおいて設けられている。
【0020】
図2(B)に例示した服薬カレンダー20-2は、
図2(A)に例示した服薬カレンダー20-1の吊り下げ穴24の代わりに、吊り下げ紐25が設けられているものである。また、
図2(C)に例示した服薬カレンダー20-3は、
図2(A)に例示した服薬カレンダー20-1の吊り下げ穴24の代わりに、吊り下げ穴26a付きの吊り下げ片26が設けられているものである。
【0021】
図2に例示した服薬カレンダー20-1、20-2及び20-3の氏名欄22aと曜日欄22bと服薬タイミング欄22cと期間欄22dそれぞれへの表示は直接手書きしても良いが、曜日欄22bに表示される曜日(日曜日から土曜日)は不変であるときにはカレンダー本体21に直接印刷されていても良い。また、使用済みの服薬カレンダー20-1、20-2及び20-3を再利用できるように、氏名が印刷又は手書きされた粘着シールを氏名欄22aに貼り付けるようにしても良く、服薬タイミングが印刷又は手書きされた粘着シールを服薬タイミング欄22cに貼り付けるようにしても良く、期間が印刷又は手書きされた粘着シールを期間欄22dに貼り付けるようにしても良い。なお、服薬曜日と服薬タイミングが表示されていれば服薬カレンダーとしての用は為すため、氏名欄22aと期間欄22dは必ずしも必要なものではない。
【0022】
次に、
図1〜
図3を適宜用いて、前記収容ボックス10の使用方法について説明する。
【0023】
前記収容ボックス10は、自宅や介護施設において患者が食事をとる場所又はこれに近い別の場所等に、第1容器11と第2容器12が閉じた状態(
図1(A)及び
図1(B)を参照)で設置される。設置された収容ボックス10は、シリンダー外縛り錠14に対して前記施錠操作が施されているため、第1容器11と第2容器12は開けられない。また、収容ボックス10の設置方法としては、収容ボックス10の第1容器11に取り付けた2個の木ネジに吊り下げ紐を掛け渡して当該吊り下げ紐を壁面に取り付けたフックに吊り下げる方法や、収容ボックス10の第1容器11を2個以上のL字形ブラケットを用いて壁面に取り付ける方法等、種々の方法が採用できる。
【0024】
図2に例示した服薬カレンダー20-1、20-2又は20-3への薬の配置、即ち、各薬配置部23への薬の配置は薬剤師が行う。
図2(
図3も同様)には、図示の便宜上、1つの薬配置部23のみに袋入りの薬MEが配置されている様子を示してあるが、他の薬配置部23にも服薬曜日と服薬タイミングに応じた袋入りの薬MEが配置される。一度に服用すべき薬MEが複数種類である場合には、薬MEを種類別に入れた複数の袋(好ましくは中身を透視できる透明又は半透明の袋)を配置する方法、或いは、薬ME全てを入れた1つの袋(好ましくは中身を透視できる透明又は半透明の袋)を配置する方法が望ましい。
【0025】
患者本人の服薬管理能力が低い場合、薬が配置された後の服薬カレンダー20-1、20-2又は20-3は患者以外の者(家族、介護福祉士又はホームヘルパー)に手渡しされる。前記収容ボックス10は第1容器11に服薬カレンダー収容用の凹部11cを有し、且つ、第2容器12も服薬カレンダー収容用の凹部12cを有するため、患者以外の者は、最初の段階で少なくとも2枚(1週間分×2)の服薬カレンダー20-1、20-2又は20-3を受け取ることになる。
【0026】
図2(A)に例示した服薬カレンダー20-1を受け取った場合、患者以外の者は、収容ボックス10のシリンダー外縛り錠14に対して前記解錠操作を施してから第1容器11と第2容器12を
図1(C)のように開き、凹部11c及び凹部12cそれぞれに設けられている2個のネジ付きフック15に服薬カレンダー20-1の2個の吊り下げ穴24を引っかけるようにして、凹部11cに1枚の服薬カレンダー20-1を収容すると共に凹部12cにもう1枚の服薬カレンダー20-1を収容する(
図3を参照)。服薬カレンダー20-1の2個の吊り下げ穴24の位置が、第1容器11と第2容器12それぞれの2個のネジ付きフック15の位置と合わないときには、各ネジ付きフック15の取り付け位置を変更してから前記収容を行う。
【0027】
また、
図2(B)に例示した服薬カレンダー20-2を受け取った場合、患者以外の者は、収容ボックス10のシリンダー外縛り錠14に対して前記解錠操作を施してから第1容器11と第2容器12を
図1(C)のように開き、凹部11c及び凹部12cそれぞれに設けられている2個のネジ付きフック15に服薬カレンダー20-2の吊り下げ紐25を引っかけるようにして、凹部11cに1枚の服薬カレンダー20-2を収容すると共に凹部12cにもう1枚の服薬カレンダー20-2を収容する。服薬カレンダー20-2の吊り下げ紐25が長くて、服薬カレンダー20-2の下部が凹部11c及び凹部12cそれぞれから下側にはみ出てしまうときには、各ネジ付きフック15の取り付け位置を変更してから、或いは、吊り下げ紐25を短くしてから前記収容を行う。
【0028】
さらに、
図2(C)に例示した服薬カレンダー20-3を受け取った場合、患者以外の者は、収容ボックス10のシリンダー外縛り錠14に対して前記解錠操作を施してから第1容器11と第2容器12を
図1(C)のように開き、凹部11c及び凹部12cそれぞれに設けられている2個のネジ付きフック15を一旦外し、吊り下げ片26の吊り下げ穴26aの位置に合うように凹部11c及び凹部12cそれぞれに1個のネジ付きフック15を取り付けてから、各1個のネジ付きフック15に服薬カレンダー20-3の1個の吊り下げ穴26aを引っかけるようにして、凹部11cに1枚の服薬カレンダー20-3を収容すると共に凹部12cにもう1枚の服薬カレンダー20-3を収容する。
【0029】
凹部11c及び凹部12cそれぞれへの服薬カレンダー20-1、20-2又は20-3の収容が完了した後、患者以外の者は、収容ボックス10の第1容器11と第2容器12を
図1(A)のように閉じてからシリンダー外縛り錠14に対して前記施錠操作を施して、第1容器11と第2容器12を開けられないようにする。
【0030】
患者以外の者は、服薬曜日毎の服薬タイミングを把握しておき、服薬タイミングになったときに、収容ボックス10のシリンダー外縛り錠14に対して前記解錠操作を施してから第1容器11と第2容器12を
図3のように開く。続いて、患者以外の者は、服薬曜日と服薬タイミングを確認した上で、該当する薬配置部23から袋入りの薬MEを取り出す。続いて、患者以外の者は、袋を開けて薬MEを取り出し、取り出した薬MEを患者に手渡して服用を促す。薬配置部23から取り出した袋入りの薬MEを袋のまま患者に手渡しして、患者に対して袋を開けて薬を取り出すことを服用と併せて促すようにしても良いが、袋ごと服用される危険性があるような患者には細心の注意が必要である。
【0031】
患者以外の者は、該当する薬配置部23から袋入りの薬MEを取り出した後、或いは、患者が決められた薬ME全てを服用したことを確認した後に、収容ボックス10の第1容器11と第2容器12を
図1(A)及び
図1(B)のように閉じてからシリンダー外縛り錠14に対して前記施錠操作を施して、第1容器11と第2容器12を開けられないようにする。以後も、患者以外の者は、服薬タイミングになった都度、前述の手順を繰り返し実行する。
【0032】
また、患者以外の者は、服薬タイミングにおいて第1容器11と第2容器12を
図3のように開く度に、2枚の服薬カレンダー20-1、20-2又は20-3における薬MEの残量を併せて確認し、少なくとも一方の服薬カレンダー20-1、20-2又は20-3における薬MEの残量が零になったときに、使用済みの服薬カレンダー20-1、20-2又は20-3を未使用の服薬カレンダー20-1、20-2又は20-3に交換する作業を行う。この交換作業は、服薬タイミングにおいて第1容器11と第2容器12を開いたときに行う他、服薬タイミングとは別のタイミングで行うようにしても良い。
【0033】
次に、前記収容ボックス10によって得られる効果について説明する。
【0034】
(1)前記収容ボックス10は、服薬カレンダー(
図2を参照)を収容可能な凹部11cを有する木製の第1容器11、並びに、服薬カレンダー(
図2を参照)を収容可能な凹部12cを有する木製の第2容器12と、第1容器11と第2容器12を開閉自在に繋ぎ合わせ、第1容器11と第2容器12が閉じた状態で凹部11c及び凹部12cそれぞれが互いに閉塞されるように、また、第1容器11と第2容器12が開いた状態で凹部11c及び凹部12cそれぞれが開放されるように構成する連結手段(蝶番)13と、第1容器11と第2容器12が閉じた状態で第1容器11と第2容器12を開けられないようにするための錠手段(シリンダー外縛り錠)14と、第1容器11の凹部11cと第2容器12の凹部12cそれぞれに服薬カレンダー(
図2を参照)を着脱自在に吊り下げるための吊り下げ手段(ネジ付きフック)15とを備えている。
【0035】
即ち、第1容器11と第2容器12が何れも木製であり、しかも、錠手段(シリンダー外縛り錠)14によって第1容器11と第2容器12を開けられないようにできるため、錠手段(シリンダー外縛り錠)14によって施錠を施しておけば、服薬管理能力が低い患者(例えば高齢である患者や認知症を患っている患者等)が服薬タイミング以外で第1容器11と第2容器12を開けて薬を服用する行為を阻止できる。加えて、収容ボックス10を杖等の硬質器具で殴打し破壊して薬を取り出そうとしても、第1容器11と第2容器12がこのような殴打によって簡単に割れない木製であるため、服薬タイミング以外で収容ボックス10を破壊して薬を無理矢理取り出す行為も阻止できる。
【0036】
つまり、服薬カレンダーに配置されている薬を服薬タイミングに拘わらずに続けて服用してしまう、所謂重ね飲みを確実に防げるため、重ね飲みによって患者の身体に異常を生じる危険や患者が意識不明の重体に陥る危険等を未然に防止できる。換言すれば、前記収容ボックス10を使用すれば、患者本人の服薬管理能力が低い場合でも、服薬カレンダーの利点を生かしつつ患者以外の者(家族、介護福祉士又はホームヘルパー)が服薬管理を適切に補助できる。
【0037】
また、第1容器11が服薬カレンダー収容用の凹部11cを有し、且つ、第2容器12も服薬カレンダー収容用の凹部12cを有しているため、凹部11cに1枚の服薬カレンダー(
図2を参照)を収容できると共に凹部12cにもう1枚の服薬カレンダー(
図2を参照)を収容できる。即ち、収容ボックス10に2枚(1週間分×2)の服薬カレンダーを収容できるため、使用済みの服薬カレンダーを未使用の服薬カレンダーに交換する頻度を低下させて、服薬管理の補助を行う患者以外の者(家族、介護福祉士又はホームヘルパー)の交換に係る負担を軽減できる。
【0038】
さらに、第1容器11と第2容器12が連結手段(蝶番)13によって開閉自在に繋ぎ合わされているため、第1容器11と第2容器12が開いた状態における服薬カレンダー(
図2を参照)からの薬の取り出しを容易に行える他、服薬曜日と服薬タイミングの確認や薬の残量確認を容易に行える。
【0039】
(2)前記収容ボックス10は、錠手段(シリンダー外縛り錠)14が、回転自在で進退自在なネジ部14a2を有する錠本体14aと、錠本体14aのネジ部14a2をねじ込み可能なネジ穴14b1を有する受け金具14bとを備えている。即ち、錠手段(シリンダー外縛り錠)14に対する解錠にはかなりの力と時間を要するため、万が一患者が鍵を手にいれたとしても当該患者が非力な場合や手先が器用でない場合には解錠を行うことが極めて難しい。つまり、錠手段(シリンダー外縛り錠)14として敢えて解錠し難いものを用いることによって、第1容器11と第2容器12を開けて薬を服用する前記行為をより確実に阻止できる。
【0040】
(3)前記収容ボックス10は、吊り下げ手段15が第1容器11の凹部11cと第2容器12の凹部12cそれぞれの内面に着脱自在に取り付けられたネジ付きフックである。ネジ付きフックは木製の第1容器11と第2容器12に対する着脱が容易であるため、服薬カレンダー(
図2を参照)を第1容器11の凹部11cと第2容器12の凹部12cそれぞれに収容するときにネジ付きフックの位置を変更する必要が生じた場合でも、この位置変更に追従できる。
【0041】
次に、
図4を用いて、前記収容ボックス10の第1変形例について説明する。この第1変形例は、
図1に示した吊り下げ手段(ネジ付きフック)15を、別の吊り下げ手段16に変えたものである。なお、
図4(A)には第1容器11の凹部11cの内面に吊り下げ手段16を設けた様子を示してあるが、第2容器12にも同様の吊り下げ手段16が設けられている。
【0042】
吊り下げ手段16は、凹部11cの内面に取り付けられたレール部品16aと、レール部品16aに該レール部品16aに沿って移動自在に設けられたフック16b1付きのスライド部品16b(図中は2個)とを備えている。レール部品16aは全体が横長で、断面形が略矩形状の直線通路16a1を内部に有し、一面に通路16a1と連通する横長の露出孔16a1を有しており、その両端を木ネジ(符号無し)によって凹部11cの内面に取り付けられている。一方、スライド部品16bは、レール部品16aの直線通路16a1を移動可能な態様を成していて、一体に設けられたフック16b1の一部を露出孔16a1から外部に突出している。即ち、2個のフック16b1付きのスライド部品16bは、レール部品16aに沿って移動できる。
【0043】
第1変形例の吊り下げ手段16は、2個のフック16b1付きのスライド部品16bをレール部品16aに沿って任意に移動できる構造にあるため、服薬カレンダー(
図2を参照)を第1容器11の凹部11cと第2容器12の凹部12cそれぞれに収容するときにフック16b1の位置を変更する必要が生じた場合でも、スライド部品16bの移動することによってフック16b1の位置変更を簡単に行える。なお、レール部品16aに設けられたスライド部品16bの数は3個以上であっても良く、レール部品16aを凹部11c及び凹部12cそれぞれの内面の最も上、具体的には矩形枠部11b及び12bそれぞれの上側部分の内側に下向きに取り付けても良い。また、フック16b1の形状はL字形の他、C字形やコ字形等の他の形状であっても良い。
【0044】
次に、
図5を用いて、前記収容ボックス10の第2変形例について説明する。この第2変形例は、
図1に示した吊り下げ手段(ネジ付きフック)15を、別の吊り下げ手段17に変えたものである。なお、
図5(A)には第1容器11の凹部11cの内面の上部に幅方向に間隔をおいて2個の吊り下げ手段17を設けた様子を示してあるが、第2容器12にも同様の吊り下げ手段17が凹部11cの内面の上部に幅方向に間隔をおいて2個設けられている。
【0045】
吊り下げ手段17は、長孔17a1を有し一端にフック17a2を有する可動プレート17と、長孔17a1に挿入された状態で可動プレート17aを凹部11cの内面に取り付けるためのネジ部品17bとを備えており、ネジ部品17bを緩めることによって可動プレート17aの位置及び向きを変更できるように構成されている。可動プレート17は全体が横長で、その幅方向中央に長孔17a1を有し、長孔17a1が形成されていない一端部にフック17a2を有している。一方、ネジ部品17bは木ネジであり、可動プレート17aに挿入可能で、且つ、そのネジ部を凹部11cの内面にねじ込むことによって可動プレート17aを凹部11cの内面に固定できる。つまり、ネジ部品17bを緩めて可動プレート17aを左右方向に移動させたり回転させることにより、可動プレート17aの位置及び向きを変更できる。
【0046】
第2変形例の吊り下げ手段17は、フック17a2を有する可動プレート17aの位置及び向きを任意に変更できる構造にあるため、服薬カレンダー(
図2を参照)を第1容器11の凹部11cと第2容器12の凹部12cそれぞれに収容するときにフック17a2の位置を変更する必要が生じた場合でも、可動プレート17aの位置及び向きの変更することによってフック17a2の位置変更に簡単に行える。また、可動プレート17aの位置及び向きを変更することによってフック17a2の位置を二次元的に変更できるため、フック17a2の位置変更をより広い範囲で行える。なお、ネジ部品17bとして木ネジの代わりに蝶ネジを用いれば、工具を用いることなく、指先によって蝶ネジの締め付け及び緩めを行える。また、フック17a2としてL字形のものを図示したが、可動プレート17aの向き変更量(傾き)が大きく取れる場合には、フックの形をC字形やコ字形に変えて、傾きが大きくなっても吊り下げに支障が生じないようにすると良い。
【0047】
次に、
図6を用いて、前記収容ボックス10の第3変形例について説明する。この第3変形例は、服薬カレンダー保持用の弾性保持板18を第2の連結手段19を用いて収容ボックス10内に回転自在に配置したものである。
【0048】
弾性保持板18は、第1容器11と第2容器12が閉じた状態で凹部11c及び凹部12cそれぞれに挿入可能なものであって、輪郭が略矩形状で、外力付加による変形と付加解除による復元を可能とした弾性材から形成されている。この弾性材には特段の材質制限はなく、低反発性や高反発性の別も問わないが、合成樹脂系スポンジや合成ゴム系スポンジが好ましく使用できる。この弾性保持板18の厚さは、凹部11cの深さD11c(
図1(B)を参照)と凹部12cの深さD12c(
図1(B)を参照)との和よりも僅かに小さな寸法、或いは、当該和と略同じ寸法となっている。また、弾性保持板18の高さは、凹部11cの高さH11c(
図1(C)を参照)と凹部12cの高さH12c(
図1(C)を参照)それぞれよりも小さな寸法となっている。さらに、弾性保持板18の幅は、凹部11cの幅W11c(
図1(C)を参照)と凹部12cの幅W12c(
図1(C)を参照)それぞれよりも僅かに小さな幅、或いは、各幅W11c及びW12cと略同じ寸法となっている。弾性保持板18の高さを凹部11cの高さH11cと凹部12cの高さH12cそれぞれよりも小さな寸法とした理由は、各吊り下げ手段15との接触による損傷を避けるためであるが、弾性保持板18の材質等の関係から接触しても損傷を生じない場合や生じ難い場合には、弾性保持板18の高さを凹部11cの高さH11cと凹部12cの高さH12cそれぞれと略同じにしてもよい。
【0049】
第2の連結手段19は、
図6(B)及び
図6(C)に示したように、弾性保持板18を第1容器11と第2容器12の少なくとも一方に回転自在に繋ぎ、第1容器11と第2容器12が閉じた状態で凹部11c及び凹部12cそれぞれに弾性保持板18が挿入されるように、また、第1容器11と第2容器12が開いた状態で凹部11c及び凹部12cの一方に弾性保持板18を挿入できるように構成するためのものであり、当該第2の連結手段19としては、
図6に示したような柔軟シート(以下、柔軟シート19とも言う)、例えば柔軟性のある布や不織布やフェルトや合成樹脂フィルムを用いることが好ましい。
図6にあっては、弾性保持板18よりも高さ寸法が小さい矩形輪郭の柔軟シート19の一辺19aが弾性保持板18の幅方向一面に接着剤又はネジ(図示省略)を用いて取り付けられ、他辺19bが第1容器11と第2容器12の隙間を通じて外部に引き出されて第1容器11と第2容器12の一方の外面に接着剤又はネジ(図示省略)を用いて取り付けられている。
【0050】
第3変形例では、第1容器11と第2容器12が閉じた状態(
図6(B)を参照)で凹部11c及び凹部12cそれぞれに弾性保持板18が挿入されるようになっているため、弾性保持板18自らの弾性変形に基いて、凹部11c及び凹部12cそれぞれに収容されている服薬カレンダー(
図3を参照)を押さえ付けて保持することができる。即ち、服薬カレンダー(
図2を参照)が収容され閉じられている収容ボックス10を移動させるとき、例えば当該収容ボックス10の設置位置を変えるときや、当該収容ボックス10を車両に搭載して搬送するとき等において、振動や衝撃等を原因として、服薬カレンダーの各薬配置部から袋入りの薬が飛び出して、後の使用ができなくなってしまうことや、服薬カレンダーが吊り下げ手段15から外れて、当該服薬カレンダーから袋入りの薬が飛び出してしまうことを確実に防止できる。
【0051】
また、第3変形例では、第1容器11と第2容器12が開いた状態(
図6(C)を参照)で、第2の連結手段(柔軟シート)19に回転自在に繋がれた弾性保持板18を適宜回転させて凹部11c及び凹部12cの一方に挿入できるようになっている。即ち、凹部11c及び凹部12cそれぞれに服薬カレンダー(
図2を参照)が収容されてる状態で、弾性保持板18を
図6(C)において左右に回転させ、当該弾性保持板18を凹部11c及び凹部12cの一方に挿入することによって、使用済の服薬カレンダーや使用していない方の服薬カレンダーを弾性保持板18により目隠しすることができる他、使用中の服薬カレンダーの各薬配置部から袋入りの薬を取り出すときに弾性保持板18が邪魔になることも回避できる。