特開2017-12143(P2017-12143A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-12143(P2017-12143A)
(43)【公開日】2017年1月19日
(54)【発明の名称】吊り下げ式植物栽培装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20060101AFI20161222BHJP
   A01G 9/00 20060101ALI20161222BHJP
   A01G 9/14 20060101ALI20161222BHJP
【FI】
   A01G9/02 103S
   A01G9/00 C
   A01G9/14 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-140843(P2015-140843)
(22)【出願日】2015年6月26日
(71)【出願人】
【識別番号】515193664
【氏名又は名称】水谷 一江
(72)【発明者】
【氏名】水谷 一江
【テーマコード(参考)】
2B029
2B327
【Fターム(参考)】
2B029GA05
2B029GA07
2B327NB01
2B327NE07
2B327TB03
2B327TC04
2B327TC11
2B327TC13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な構造にすることでコストを掛けることなく製造することができ、作業性に優れ、しかもメンテナンスも楽な吊り下げ式植物栽培装置を提供する。
【解決手段】温室内の水平短径方向に設置した横梁20と、横梁20上に載置した横梁20上を左右に移動する移動部材30と、移動部材30上の略中心付近に横梁20と横梁20を架けるように温室内の水平長径方向に設置した回転可能な駆動軸40と、駆動軸回転手段50と、隣り合う駆動軸40同士を連結するワイヤ部材と、移動部材30に接続した吊り下げ部材70と、吊り下げ部材70に接続した栽培槽80を備える吊り下げ式植物栽培装置とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室内に間隔をおいて複数列の栽培槽を吊り下げた植物栽培装置であって、
温室内の水平短径方向に設置した横梁と、
前記横梁上に載置した横梁上を左右に移動する移動部材と、
前記移動部材上の略中心付近に横梁と横梁を架けるように温室内の水平長径方向に設置した回転可能な駆動軸と、
前記駆動軸回転手段と、
隣り合う前記駆動軸同士を連結するワイヤ部材と、
前記移動部材に接続した吊り下げ部材と、
前記吊り下げ部材に接続した栽培槽を備えることを特徴とする吊り下げ式植物栽培装置。
【請求項2】
前記移動部材は、駆動軸を挿入するためのリング穴、及び横梁上を左右に移動するためのキャスター車輪が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ式植物栽培装置。
【請求項3】
前記移動部材は、下面が開口していて、しかも開口幅が前記横梁の幅よりも広いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吊り下げ式植物栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室内でイチゴ等を栽培するための吊り下げ式植物栽培装置に関する。さらに言えば、部品点数をできるだけ少なくして簡単な構造にすることでコストを掛けることなく製造することができ、かつ、作業性に優れ、しかもメンテナンスも楽な吊り下げ式植物栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温室栽培においてイチゴ等を栽培する際、地面に形成した畝にイチゴを植えて栽培する方式が主流であった。そのため、腰を下ろした姿勢での作業、中腰姿勢での作業が中心となってしまい、作業者が腰を痛めてしまうという問題があった。また、地面栽培による弊害として作物に害虫が付き易く良い作物ができない等の欠点があった(中腰姿勢にならないような高さを確保するために、最近では、高設栽培(地面にパイプを打ち込み土台とし、胸あたりの高さで固定されたベンチに栽培槽を設ける)が導入される例も見られる。)。栽培槽自体の設置位置において高さを確保するために、温室内で吊り下げ式による栽培槽を利用した温室栽培が試みられていた。しかしながら、これらの吊り下げ式による栽培槽を利用した温室栽培では、複数列の栽培槽のそれぞれの間に、作業者が作業できる程度の空間を確保するための作業用通路を配置しなくてはならないため、その分限られた面積の温室内に配置する栽培槽の列数が半減されるので、それに伴ってイチゴ等の収穫量も半減してしまうという問題があった。
【0003】
上記イチゴ等の収穫量に係る問題を解決する手段として、「温室内に、複数の横梁を前後方向に所定距離離隔して互いに平行な位置関係に夫々配置し、該横梁の下方に於いて、前記横梁と直交して前記横梁と直交する方向へ水平移動可能な回転シャフトを設け、前記横梁の上方に於いて、前記横梁と90度の角度を有して前後方向に延びる1対の角棒を設け、該1対の角棒は左右方向に所定距離を有して平行に離隔配設され、前記対となる角棒間には連杆を架設し、該連杆には前記横梁上を走行するキャスターを取り付けると共に、前記連杆には支持板を垂設し、該支持板の下部には回転シャフト挿通孔が穿設され、前記回転シャフトには、周方向に正逆回転する回転駆動手段を具備し、前記角棒には吊杆を具備した栽培槽が、吊持されてなることを特徴とする植物栽培装置(特許文献1:請求項1)。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−65961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る発明は、温室内で吊り下げ式による栽培槽を利用した温室栽培において、栽培槽自体を列ごと必要に応じて移動できるようにすることで、作業スペースを確保しようとするものである。具体的な技術内容としては、横梁の上方には左右1対の角棒が直交して交差して配置されていて、横梁の下方にはラックが取り付けられ、角棒には連杆が架設され、連杆にはキャスターが横梁上を走行可能に取り付けられていて、角棒には吊杆付栽培槽が吊り下げられていて、横梁と直行する方向へ水平移動可能な回転シャフトが設けられている。回転シャフトの外周面に固着したピニオンはラックと噛合し、モータの駆動により栽培槽を宙吊り状態で左右水平方向に移動可能にしている。
【0006】
要するに、栽培槽自体を移動させるための機構として、ラックとピニオンの噛合移動機構になっており、以上に記載したように、この機構を実現するための部品点数も多く(特許文献1:図3参照)、しかも動力源としてモータを使用しているためコストが掛かるし、メンテナンスの手間がかかり、メンテナンス費用等ランニングコストも掛かってしまうため好ましくない。出願人は、かかる問題を解決すべく簡単な構造で、しかも製造コストを掛けずに栽培槽自体を列ごと必要に応じて移動できるようにすることが重要であると考え、鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【0007】
本発明の目的は、簡単な構造にすることでコストを掛けることなく製造することができ、作業性に優れ、しかもメンテナンスも楽な吊り下げ式植物栽培装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載した発明は、温室内に間隔をおいて複数列の栽培槽を吊り下げた植物栽培装置であって、温室内の水平短径方向に設置した横梁と、前記横梁上に載置した横梁上を左右に移動する移動部材と、前記移動部材上の略中心付近に横梁と横梁を架けるように温室内の水平長径方向に設置した回転可能な駆動軸と、前記駆動軸回転手段と、隣り合う前記駆動軸同士を連結するワイヤ部材と、前記移動部材に接続した吊り下げ部材と、前記吊り下げ部材に接続した栽培槽を備える吊り下げ式植物栽培装置であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記移動部材は、駆動軸を挿入するためのリング穴、及び横梁上を左右に移動するためのキャスター車輪が設置されている吊り下げ式植物栽培装置であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載した発明は、請求項1または請求項2に記載した発明において、前記移動部材は、下面が開口していて、しかも開口幅が横梁の幅よりも広い吊り下げ式植物栽培装置であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る吊り下げ式植物栽培装置は、温室内の水平短径方向に設置した横梁と、横梁上に載置した横梁上を左右に移動する移動部材と、移動部材上の略中心付近に横梁と別の横梁を架けるように温室内の水平長径方向に設置した回転可能な駆動軸と、駆動軸回転手段と、隣り合う駆動軸同士を連結するワイヤ部材と、移動部材に接続した吊り下げ部材と、吊り下げ部材に接続した栽培槽を備えている。
【0012】
作業者は温室内に設置した吊り下げ部材に接続した栽培槽にてイチゴ等を栽培するので吊り下げ部材の長さ(地上からの高さ)を作業者に合わせることで中腰での作業が無くなった。さらに、吊り下げ式植物栽培装置を、駆動軸回転手段を手動により操作することで、駆動軸を回転させ、隣り合う駆動軸同士を連結するワイヤ部材を巻き上げ、横梁上において移動部材を移動させることで、吊り下げ式植物栽培装置を平行移動させることができるため、必要な作業者用通路を確保することができる。しかも、モータ等の動力を必要とせず、人力のみで移動することができる。吊り下げ式植物栽培装置は、このようにシンプルな構造のためメンテナンスが殆ど不要となる。
【0013】
請求項2に係る吊り下げ式植物栽培装置の移動部材は、駆動軸を挿入するためのリング穴、及び横梁上を左右に移動するためのキャスター車輪が設置されている。駆動軸回転手段を手動により操作し、隣り合う駆動軸同士を連結するワイヤ部材を一方では巻き取り、他方では巻き取り状態から解放することで移動部材を移動させる。移動部材には、横梁上に載置した横梁上を左右に移動しやすいようにキャスター車輪が設置しており、移動部材を横梁上の左右に移動させやすくすることができる。そして、移動部材は横梁毎に設置されているため、駆動軸の長軸方向の長さに対して間隔を置いて複数の押点が存在するので駆動軸自体が撓み難いようになっている。
【0014】
請求項3に係る吊り下げ式植物栽培装置の移動部材は、下面が開口していて、しかも開口幅は横梁の幅よりも広くなるように設計されている。従って、移動部材が横梁上を移動する際、ガイドとして機能するので、移動中に軌道(横梁上)を外れることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る複数の吊り下げ式植物栽培装置を温室内に設置した状態を表す斜視図である。
図2】吊り下げ式植物栽培装置の正面図、及び側面図である。
図3】移動部材の上面図、及び下面図である。
図4】移動部材を横梁に設置した状態を表す図である。
図5】隣り合う駆動軸同士にワイヤ部材が連結された状態を表す下面図である。
図6】複数の駆動軸にワイヤ部材が連結された状態を表す上面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<吊り下げ式植物栽培装置の構造>
以下、本発明に係る吊り下げ式植物栽培装置10について、図1図5を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明に係る複数の吊り下げ式植物栽培装置10を温室内に設置した状態を表す斜視図である。
【0017】
本発明に係る吊り下げ式植物栽培装置10は、温室内に間隔をおいて設置した横梁20毎に複数の栽培槽80を、横梁20上を移動可能に吊り下げて設置するための装置である。横梁20と垂直方向、かつ、同一直線上に設置した複数の栽培槽80(吊り下げ式植物栽培装置10)を一つの纏まりとして1本の駆動軸40により纏めて移動できるようになっている。
【0018】
図1に記載したように、温室内の水平短径方向に設置した複数の横梁20と、横梁20上に載置した横梁20上を左右に移動する複数の移動部材30と、移動部材30上の略中心付近に横梁20と別の横梁20を架けるように温室内の水平長径方向に回転可能に設置した駆動軸40と、駆動軸40を回転させるためのクラウンギアを備えた駆動軸回転手段50と、隣り合う駆動軸40同士を連結するワイヤ部材60と、移動部材30に接続した吊り下げ部材70と、吊り下げ部材70先端に接続した栽培槽80を備えている。
【0019】
温室内に一定の間隔を置いて設置された複数の横梁20のそれぞれに、複数の吊り下げ式植物栽培装置10が、一定の間隔を置いて横梁20上を左右移動可能に設置されている。横梁20上には、左右に移動し易いように下面にキャスター車輪100(図3参照)を備えた移動部材30が載置されている。移動部材30は吊り下げ部材70に接続されており、吊り下げ部材70の先端には栽培槽80が設置されている。横梁20と垂直方向、かつ、同一直線上に設置した複数の吊り下げ式植物栽培装置10(栽培槽80)を移動させることによって、作業者用のスペースを確保することができる(図1点線部参照)。
【0020】
図2は、吊り下げ式植物栽培装置10の正面図、及び側面図である。図2に記載したように、横梁20の上に移動部材30が載置されている。移動部材30の両端に吊り下げ部材70が横梁20と接触しないように(図2の側面図においてY字形状)下方向に向かって延伸している。吊り下げ部材70の先端部には栽培槽80が設置されている。また、駆動軸40は、隣り合う駆動軸40同士をワイヤ部材60で連結させつつ(図5参照)、移動部材30上の略中心付近に設置したリング穴90を、隙間を生じさせつつ通して横梁20と別の横梁20を架けるように温室内の水平長径方向に回転可能に設置されている。駆動軸40の略先端には、平歯車(回転ギア)と回転軸方向を90度変更させるための冠歯車(クラウンギア)を備えた駆動軸回転手段50が設置されている。
【0021】
図3は、移動部材30の上面図、及び下面図である。移動部材30の上面側は、横梁20と別の横梁20を架けるように駆動軸40を設置するためのリング穴90を備えている。下面側は横梁20の幅よりも広く開口されているとともに、移動部材30が横梁20上を移動しやすいようにキャスター車輪100を備えている。
【0022】
図4は、移動部材30を横梁20に設置した状態を表す図である。図4に記載したように、移動部材30は、開口部が横梁20の幅よりも広いため、移動部材30の側面は、移動部材30が横梁20上を移動する際、軌道を外れないようにするための、要するに横梁20におけるガイドの役割を果たすことになる。
【0023】
<吊り下げ式植物栽培装置の作動原理>
図5は隣り合う駆動軸40同士にワイヤ部材60が連結された状態を表す図である。本発明に係る吊り下げ式植物栽培装置10の技術的な特徴は、隣り合う駆動軸40同士を駆動軸40に巻き付いた状態のワイヤ部材60にて連結された状態にしてあることである。
【0024】
図5に記載したように、隣り合う駆動軸40同士は、テンションの掛った状態のワイヤ部材60により連結されている。図6の左図のように駆動軸40にワイヤ部材60を巻き付けた場合において、吊り下げ式植物栽培装置10を右に移動する際は、手動にて駆動軸回転手段50のハンドル(図2側面図参照)を反時計回りに回転させることにより、駆動軸回転手段50を通じて駆動軸40を反時計回りに回転させる(駆動軸40にワイヤ部材60を図6左図とは反対向きに巻き付けた場合は逆になる)。そうすると、吊り下げ式植物栽培装置10は、一方でワイヤ部材60を駆動軸40に巻き付けつつ、他方ではワイヤ部材60を駆動軸40に巻き付ついた状態から開放させながら移動する(巻きついているワイヤ部材60の長さは一定となる)。そして、吊り下げ式植物栽培装置10を左に移動する際は、手動にて駆動軸回転手段50のハンドル(図2側面図参照)を時計回りに回転させることにより、駆動軸回転手段50を通じて駆動軸40を時計回りに回転させ(駆動軸40にワイヤ部材60を図6左図とは反対向きに巻き付けた場合は逆になる)、ワイヤ部材60を駆動軸40に巻き付けつつ、他方ではワイヤ部材60を駆動軸40に巻き付ついた状態から開放させながら移動させる。
【0025】
吊り下げ式植物栽培装置10の移動部材30は、上面略中央(図3上面図参照)リング穴90が設置されており、駆動軸40が(駆動軸40が回転できるように隙間を生じさせて)挿入されている。さらに、移動部材30には、横梁20上を左右に移動し易いようにするためのキャスター車輪100(図3下面図参照)が設置されているので、手動で駆動軸回転手段50のハンドルを回転させて、駆動軸回転手段50を通じて駆動軸40を回転させることでワイヤ部材60を駆動軸40に巻き付けつつ、他方ではワイヤ部材60を巻き付ついた状態から開放させながら、吊り下げ式植物栽培装置10は横梁20上を移動することになる。
【0026】
<吊り下げ式植物栽培装置の効果>
本発明に係る吊り下げ式植物栽培装置10は、温室内の水平短径方向に設置した横梁20と、横梁20上に載置した横梁20上を左右に移動する移動部材30と、移動部材30上の略中心付近に横梁20と別の横梁20を架けるように温室内の水平長径方向に設置した回転可能な駆動軸40と、駆動軸回転手段50と、隣り合う駆動軸40同士を連結するワイヤ部材60と、移動部材30に接続した吊り下げ部材70と、吊り下げ部材70に接続した栽培槽80を備えている。
【0027】
作業者は温室内に設置した吊り下げ部材70に接続した栽培槽80にてイチゴ等を栽培するので吊り下げ部材70の長さ(地上からの高さ)を作業者に合わせることで中腰での作業が無くなった。さらに、吊り下げ式植物栽培装置10を、手動により駆動軸回転手段50のハンドル(図2側面図参照)を回転させ、駆動軸回転手段50を操作することで、駆動軸40を回転させ、隣り合う駆動軸40同士を連結するワイヤ部材60を巻き上げ、横梁20上において移動部材30を移動させることで、吊り下げ式植物栽培装置10を平行移動させる。このようにして、必要な作業者用通路を確保することができる。しかも、モータ等の動力を必要とせず、人力のみで移動することができる。吊り下げ式植物栽培装置10は、このようにシンプルな構造のためメンテナンスが殆ど不要となる。
【0028】
吊り下げ式植物栽培装置10の移動部材30は、駆動軸40を挿入するためのリング穴90、及び横梁20上を左右に移動するためのキャスター車輪100が設置されている。手動により駆動軸回転手段50のハンドル(図2側面図参照)を回転させ、駆動軸回転手段50を操作し、隣り合う駆動軸40同士を連結するワイヤ部材60を巻き取る(他方では巻き取った状態から解放する)ことで、横梁20上に載置した横梁20上を左右に移動しやすいようにキャスター車輪100が設置された移動部材30を、横梁20上を左右に移動させることができる。そして、移動部材30は横梁20毎に設置されているため、駆動軸40の長軸方向の長さに対して間隔を置いて複数の押点が存在するので、移動時において駆動軸40自体が撓み難くなっている。
【0029】
さらに、吊り下げ式植物栽培装置10の移動部材30は、下面が開口していて、しかも開口幅は横梁20の幅よりも広くなるように設計されている。従って、移動部材30が横梁20上を移動する際、ガイドとなるので、移動中に軌道(横梁20上)を外れることが無い(図4参照)。
【0030】
<吊り下げ式植物栽培装置の変更例>
本発明に係る吊り下げ式植物栽培装置10は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、横梁20、移動部材30、駆動軸40、駆動軸回転手段50、ワイヤ部材60、吊り下げ部材70、栽培槽80、リング穴90、車輪100等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。例えば、駆動軸40に巻き付けるワイヤ部材60の巻き方向を隣り合う駆動軸40毎に互い違いにすることでワイヤ部材60を駆動軸40に巻き付ける位置が駆動軸40を通過する毎にズレを生じないようにすることもできる(図6参照)。さらに、駆動軸回転手段50を電動式にすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る吊り下げ式植物栽培装置は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、例えば、温室内でイチゴ等を栽培するような温室栽培に関する分野で好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
10・・吊り下げ式植物栽培装置
20・・横梁
30・・移動部材
40・・駆動軸
50・・駆動軸回転手段
60・・ワイヤ部材
70・・吊り下げ部材
80・・栽培槽
90・・リング穴
100・・キャスター車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6