特開2017-121485(P2017-121485A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッドの特許一覧

特開2017-121485副鼻腔形成術用ロータリーカッターの光学的位置合わせ
<>
  • 特開2017121485-副鼻腔形成術用ロータリーカッターの光学的位置合わせ 図000003
  • 特開2017121485-副鼻腔形成術用ロータリーカッターの光学的位置合わせ 図000004
  • 特開2017121485-副鼻腔形成術用ロータリーカッターの光学的位置合わせ 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-121485(P2017-121485A)
(43)【公開日】2017年7月13日
(54)【発明の名称】副鼻腔形成術用ロータリーカッターの光学的位置合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/24 20060101AFI20170616BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20170616BHJP
【FI】
   A61B17/24
   A61B34/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-372(P2017-372)
(22)【出願日】2017年1月5日
(31)【優先権主張番号】14/989,354
(32)【優先日】2016年1月6日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF60
4C160MM06
(57)【要約】
【課題】 外科用装置を提供する。
【解決手段】 外科用装置は回転可能シャフトと中空挿入管とを含む。そのシャフトは、自身の上に配置される少なくとも1つの光学的マーカーを含む。挿入管は、患者の身体に挿入されるように構成され、シャフトの周りに同軸的に配設される。1つ以上の光学的デバイスが挿入管の内周面の周りに結合され、マーカーを検出してその検出されたマーカーの角度ポジションを示す1つ以上の信号を出力するように構成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自らの上に配置される少なくとも1つの光学的マーカーを備える回転可能シャフト、
該シャフトの周りに同軸的に配設される、患者の身体に挿入するための中空挿入管、及び
該挿入管の内周面の周りに結合され、前記マーカーを検出して前記検出されたマーカーの角度ポジションを示す1つ以上の信号を出力するように構成される1つ以上の光学的デバイス、を備える外科用装置。
【請求項2】
前記光学的デバイスからの前記信号を受信して、該信号に基づいて前記シャフトの前記挿入管に対する回転角度を計算するよう構成されるプロセッサを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記光学的デバイスから受信した前記信号に応じて、前記シャフトを自動的に回転させ、前記挿入管に対する前記シャフトの所望の回転角度を設定するように更に構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記中空挿入管が、開口部を有し、前記回転可能シャフトがカッターを備え、前記カッターは、前記シャフトが回転している際に、前記開口部を介して前記挿入管に入ってくる物体を切断するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記マーカーが、前記カッターに対してあらかじめ定められた回転角度に配置されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記マーカーが、前記挿入管の前記内周面に対向している、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記光学的デバイスのそれぞれが、光源と検出器とを備え、前記光源が、前記内周面を照らすよう構成され、前記検出器が、前記内周面からの光反射を検出することによって、前記マーカーを検出するよう構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記光源が、発光ダイオード(LED)を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
自らの上に配置される少なくとも1つの光学的マーカーを備える回転可能シャフトを提供すること、
中空挿入管を、前記シャフトの周りに同軸的に配設すること、及び、
1つ以上の光学的デバイスを、前記挿入管の内周面の周りに結合させること、を含む、外科ツールを製造するための方法。
【請求項10】
前記中空挿入管が、開口部を有し、前記回転可能シャフトがカッターを備え、前記カッターは、前記シャフトが回転している際に、前記開口部を介して前記挿入管に入ってくる物体を切断するように構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記マーカーが、前記カッターに対してあらかじめ定められた回転角度に配置される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記マーカーが、前記挿入管の前記内周面に対向している、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記光学的デバイスのそれぞれが、光源と検出器とを備え、前記光源が、前記内周面を照らすよう構成され、前記検出器が、前記内周面からの光反射を検出することによって、前記マーカーを検出するよう構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記光源が、発光ダイオード(LED)を備える、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には侵襲性が最小限に抑えられた外科手術に関し、具体的にはロータリーカッターの位置合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリーカッターは、侵襲性が最小限に抑えられた様々な医学的用途において用いられている。従来技術の例を以下に示す。
【0003】
米国特許第7,918,784号(その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)には、内視鏡ツールが記載されているが、そのツールは、切る予定の靭帯又はその他の組織を照らしてその像を撮影するために、光ファイバーシステムを用いている。照明及び撮像は、切開ポイントの中に挿入されるプローブの遠位端部側面の開口部の上方で実行される。遠位側から近位側へ向かう方向と近位側から遠位側へ向かう方向との両方向に移動可能な両刃のブレードが、プローブの遠位端部側面の開口部から選択的に展開可能である。
【0004】
米国特許出願公開第2014/0288560号(その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)には、同軸に配列された2つの管状部材を含む外科手術用切断器具が記載されている。第1管状部材は切断先端部を有し、第2管状部材内に同軸に配設されており、第2管状部材は、切断窓を有し、その切断窓を介して、切断先端部を組織及び骨に対して露出させるようになっている。管状部材が互いに対して動くことにより、切断窓に提供された軟組織及び骨の薄片を創面切除する。第2(外側)管状部材は、切断先端部全体の詰まりを減らすのに寄与する1つ以上の特徴を有する。
【0005】
本特許出願中に参照により援用される文献は、いずれかの用語がこれらの援用文献において本明細書に明確に又は暗示的になされる定義と矛盾する形で定義されている場合には本明細書中の定義のみが考慮されるべきである点を除いて、本出願の一部とみなされるものとする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に説明される本発明の1つの実施形態は、回転可能シャフト及び中空挿入管を含む外科用装置を提供する。シャフトは、自らの上に配置される少なくとも1つの光学的マーカーを含む。挿入管は、患者の身体に挿入されるように構成され、シャフトの周りに同軸的に配設される。1つ以上の光学的デバイスが挿入管の内周面の周りに結合され、マーカーを検出してその検出されたマーカーの角度ポジションを示す1つ以上の信号を出力するように構成されている。
【0007】
一部の実施形態においては、外科用装置は、光学的デバイスからの信号を受信して、その信号に基づいてシャフトの挿入管に対する回転角度を計算するよう構成されているプロセッサを更に含む。1つの実施形態においては、プロセッサは、光学的デバイスから受信した信号に応じてシャフトを自動的に回転させ、挿入管に対するシャフトの所望の回転角度を設定するように更に構成される。
【0008】
他の実施形態においては、中空挿入管が開口部を有し、回転可能シャフトがカッターを備え、カッターは、シャフトが回転している際に、開口部を介して挿入管に入ってくる物体を切断するように構成されている。更に他の実施形態においては、マーカーはカッターに対してあらかじめ定められた回転角度に配置されている。
【0009】
1つの実施形態においては、マーカーは挿入管の内周面に対向している。別の1つの実施形態においては、光学的デバイスのそれぞれが光源と検出器とを備え、光源が内周面を照らすよう構成され、検出器が内周面からの光反射を検出することによってマーカーを検出するよう構成されている。更に別の1つの実施形態においては、光源は発光ダイオード(LED)を含む。
【0010】
本発明の1つの実施形態によって、自らの上に配置される少なくとも1つの光学的マーカーを含む回転可能シャフトと、シャフトに同軸的に配設される中空挿入管とを含む外科ツールを提供することを含む方法が追加的に提供される。外科ツールは、患者の身体の中に挿入される。外科ツールが患者の身体内部に存在する間に、挿入管の内周面の周りに結合された1つ以上の光学的デバイスを用いてマーカーが検出される。光学的デバイスは、検出されたマーカーの角度ポジションを示す1つ以上の信号を出力するために用いられる。
【0011】
本発明の1つの実施形態によって、自らの上に配置される少なくとも1つの光学的マーカーを含む回転可能シャフトを提供することを含む、外科ツールを製造する方法が更に提供される。中空挿入管がシャフトの周りに同軸に配設され、1つ以上の光学的デバイスが挿入管の内周面の周りに結合されている。
【0012】
以下の本開示の実施形態の詳細な説明を図面と併せ読むことで本開示のより完全な理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の1つの実施形態による外科手術システムの模式的イラストである。
図2A】本発明の1つの実施形態による外科カテーテルの遠位端部の模式的側面図である。
図2B】本発明の1つの実施形態による、図2Aの外科カテーテルの位置合わせモジュールの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概要
侵襲性が最小限に抑えられた外科手術技法が、様々な外科手術において用いられているが、例えば副鼻腔形成術(sinuplasty)においては、外科医は鼻のポリープのような目標物又は組織を取り除く。施術中、外科医はポリープのある場所まで外科カテーテルの遠位端部を操縦する。カテーテルの遠位端部は、例えば開口部を有する挿入管内に配設される回転可能なカッターのような、様々な種類の外科ツールを備え得る。外科医はポリープを開口部の中に挿入させるように遠位端部を操縦し、次にカッターを回転させてポリープを切除する。一部のケースにおいては、例えばポリープを取り除いた後で、外科医が開口部に対するカッターの角度ポジションを知り、かつこのポジションを調整できることが重要である。
【0015】
以下に説明する本発明の実施形態は、回転可能なカテーテルシャフトがその中で回転する挿入管に対する、シャフトの角度ポジションを特定するための改善された技法を提供する。例えばこれらの技法は、挿入管の開口部に対してシャフトに取り付けられたカッターがどんなポジションにいるかを特定し、そのポジションを制御する目的で、副鼻腔形成術用外科カテーテルにおいて用いられ得る。
【0016】
一部の実施形態においては、回転可能シャフトは、自身の上に配置される1つ以上の光学的マーカーを有する。1つの実施形態においては、マーカーはシャフトの遠位端部付近に、あらかじめ定められた角距離だけカッターから離れて配置され得る。またそれぞれが光放出器と光検出器とを備える1つ以上の光学的デバイスが、挿入管の内周面でマーカーと反対側に結合されている。それぞれの光学的デバイスは、マーカーに対向した際にマーカーを検出し、対応する信号を出力するように構成されている。光学的デバイスが作成した信号をプロセッサが分析し、光学的デバイスに対するマーカーの角度ポジション(すなわち開口部に対するカッターの角度ポジション)を計算する。プロセッサは好適なインターフェイスを用いて、この角度ポジションを外科医に提供し得る。
【0017】
システムの説明
図1は、本発明の1つの実施形態による外科手術システム20を用いた副鼻腔形成手術の模式的イラストである。システム20は、異物又は例えば鼻のポリープ45(差込図40に図示されている)のような腫瘍を取り除くために、患者22の鼻26の中に外科医24が挿入するカテーテル28を備える。カテーテル28は、カテーテルの遠位端部38を制御するよう構成された近位端部30を備える。
【0018】
システム20は、プロセッサ34を備えるコンソール33を更に備えるが、同プロセッサ34は典型的には、信号をケーブル32経由でカテーテル28から受信するため及び本明細書に説明されるシステム20の他の構成要素を制御するために好適なフロントエンド及びインターフェイス回路を有する汎用コンピュータである。コンソール33は、入力装置48及び表示装置36を更に備え、同表示装置36は、プロセッサ34から受信したデータ(例えば画像)又はユーザー(例えば外科医24)により挿入された入力を表示するよう構成されている。
【0019】
差込図40及び43を参照すると、遠位端部38は典型的には、患者22の鼻の中に挿入するための剛性のある中空挿入管58を備える。管58は、回転シャフト56(図2A及び2Bに図示)の周りに同軸的に配設されている。シャフト56は、例えば直流(DC)モーターのような任意の好適な機構を用いて駆動され得るが、直流モーターは、それに印加される電流の極性によって、時計回りにも反時計回りにも回転可能である。
【0020】
一部の実施形態においては、管58は開口部44を有する。シャフト56は、挿入管の開口部44に位置揃えされる副鼻腔形成術用カッター46を備える。カッター46はシャフトとともに回転し、ポリープ45を切除するよう構成されている。
【0021】
差込図40を参照すると、副鼻腔形成手術中に外科医24は、開口部44がポリープ45に対向するようにカテーテル28を操縦する。1つの実施形態においては、ポリープ45が開口部44を通って管58の中に挿入され得るように、カッター46が開口部46をブロックしない。他の実施形態においては、Govariらにより2015年11月16日に出願の米国特許出願第14/942,455号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に図示されたようなマッピング技法を用いて、ポリープ45に対する開口部46の位置を外科医24は確認し得る。
【0022】
ひとたびポリープ45が開口部44を通過すると、カッター46を含むシャフト56を、外科医24はコンソール33又は近位端部30を用いて回転させて、ポリープ45の少なくとも一部を取り除く。一部の実施形態においては、ポリープを取り除いた後で外科医24は、開口部44に対して任意の所望の角度ポジションにシャフト56を回転させる場合がある。例えば差込図43に図示されるように、カッター46が管58の右側に対向し、シャフト56の本体が開口部44をブロックするように、外科医24はシャフト56を回転させ得る。カテーテル28は、例えば近位端部30に配置される排出管(不図示)の中に、取り除いたポリープを引き込む。
【0023】
一部の実施形態においては、遠位端部38は位置合わせモジュール42を更に備え、同モジュール42は、外科医24が開口部44に対するカッター46の回転角度を制御するのを助けるように構成されている。モジュール42については、図2A及び2Bを参照して後程更に説明する。
【0024】
図1を平易で明瞭なものとするため、開示されている技法に関連する要素のみを同図には示している。システム20は典型的には、開示されている技法とは直接には関連しない追加的なモジュール及び要素を備えるが、それらは図1及び対応する説明からは意図的に省略されている。
【0025】
プロセッサ34は、システムによって使用される機能を実行し、処理又はその他の方法でソフトウェアにより使用されるデータをメモリ(不図示)に記憶させるようにプログラムされ得る。このソフトウェアは、例えばネットワークを介して電子的形態でプロセッサにダウンロードするか、又は光学的、磁気的若しくは電子的記録媒体など、持続性の有形媒体上に提供されてもよい。あるいは、プロセッサ34の機能の一部又は全てが、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。
【0026】
副鼻腔形成術用ロータリーカッターの光学的位置合わせ
副鼻腔形成手術は典型的には、カテーテルを挿入してポリープ45のある場所に操縦すること、そのポリープを取り除くこと、及びカテーテルを患者の鼻から撤収させることを伴う。開口部44は典型的には、挿入のフェーズにおいてはシャフト56によってブロックされるので、開口部44に意図せずに入り込んだ組織を損傷せずに、遠位端部38をポリープ45に向けてスムーズに操縦することが可能となる。ポリープを取り除いた後、開口部44に対するカッター46の角度ポジションを知り、必要に応じてこの角度ポジションを調整することが、外科医24にとっては重要である。
【0027】
例えば外科医24がポリープ45の付近の別のポリープ(不図示)を取り除く必要があるという場合には、カッター46を回転させてその2つ目のポリープを開口部44に挿入させて取り除くことができる。他のケースにおいては、カテーテル28を撤収させる際に、外科医24がシャフトを回転させて開口部44をブロックし、鼻26からカテーテル28がスムーズに撤収できるようにするのを好む場合がある。施術中、遠位端部38は患者22の鼻の中の深い位置にあるため、外科医24は開口部44に対するカッター46の位置を見ることができない。本開示の技法においては、位置合わせモジュール42をカテーテル28に組み込み、外科医24がカッター46の位置を特定できるようにすることで、この制約が克服される。
【0028】
図2Aは、本発明の1つの実施形態による遠位端部38の、y軸方向の模式的側面図である。図2Aの例においては、シャフト56が回転してカッター46を開口部44の角度ポジションと同様の角度ポジションに位置決めして、開口部に入り込んだ対象物(例えば図1に示すポリープ45)を切除するようになっている。
【0029】
位置合わせモジュール42は、シャフト56の外周の表面57上に配置された少なくとも1つの光学的マーカー50を備える。マーカー50は典型的には、管58により覆い隠されているが、説明を明瞭にするという目的のみのために図2Aにおいては図示されている。
【0030】
一部の実施形態においては、マーカー50及び表面57はそれぞれの光学的属性が異なる。1つの実施形態においては、マーカー50の反射率が、表面57の反射率より実質的に高くなっている場合がある。例えば表面57に黒いコーティングを施してマーカー50には白いコーティングを施すこと(あるいはその逆)により、反射率のレベルを制御し得る。別の1つの実施形態においては、マーカー50は表面57とは異なる表面の微細構成(例えば、楔形の突出又は貫入)を有し、反射光を直角方向以外の方向に散乱させて、表面57とは異なる反射とする場合がある。
【0031】
一部の実施形態においては、実質的に同一の6つの光学的デバイス60A〜60Fが表面59、すなわち挿入管58の内周面の周りに搭載されている。光学的デバイスが位置決めされる内周面は、図2A及び2Bに図示されるようにマーカー50に対向している。
【0032】
図2Aの例においては、デバイス60A、60B、60C、及び60Dのみが図示されているが、それはデバイス60E及び60Fは管58の後ろ側に配置されているからである。管58は典型的には不透明であるため、光学的デバイス60A〜60Fはy軸方向からは覆い隠されているが、明瞭さの目的のみで図2Aにおいて図示されている。他の実施形態においては、光学的デバイスが光学的マーカー50からの光の反射を検出することが可能となる遠位端部の任意の好適な場所に、デバイスは配置され得る。
【0033】
更に他の実施形態においては、光学的デバイスの数は、開口部44に対するマーカーの角度ポジションを提供する任意の好適な数(6以外)を含み得る。一部の実施形態においては、1つ以上のマーカー50が用いられる。
【0034】
1つの実施形態においては、デバイス60Aは、例えば発光ダイオード(LED)又は任意の他の好適な光源のような光源52Aを備える。デバイス60Aは、光源54に極めて近接して配置される検出器54Aを更に備える。光源は光を表面57に向けて発するように構成され、検出器54Aは表面57からの反射光を検出するように構成されている。
【0035】
一部の実施形態においては、シャフト56が回転するにつれて、全ての光学的デバイス(例えば60A〜60F)が表面57を照射して、対応する反射光を検出する。例えば、マーカー50がデバイス60Aの前を通ると、光源52Aがマーカー50を照射して、検出器54Aが同マーカーから反射してくる光を検出し、検出された通過マーカーを示す短時間の信号をケーブル32経由でプロセッサ34に出力する。典型的には、所与の時点で、1つの検出器だけがマーカーが存在することを検出したと示す。したがって、その他の検出器(例えば54Bから54F)もまた、それぞれ対応する信号を表面57からプロセッサ34へと出力するが、それらの信号の中には、マーカー50の検出を示す信号を含む信号は1つもない。
【0036】
マーカー50が光学的デバイスのうちの1つに対向した状態でシャフト56が静止している場合、その光学的デバイスの検出器が常にマーカー50を検出する一方で、それ以外の全ての検出器はマーカー50の検出を示さない信号を表面57から出力する。
【0037】
本発明の1つの実施形態による位置合わせモジュール42を、y−z平面で見た模式的断面図である図2Bを参照する。1つの実施形態においては、シャフト56は反時計回りに回転するので、図2Bの例においては、マーカー50の場所を示す最近の信号をデバイス60Bからプロセッサ34が受信した後で、次の対応する信号をデバイス60Cから受信すると予想される。1つの実施形態においては、マーカー50は遠位端部38に沿って、カッター46に対してあらかじめ定められた角度的変位(例えば90°)の位置に配置される。プロセッサ34は開口部44に対するカッター46の角度ポジションを計算する際に、このあらかじめ定められた角度的変位を考慮する。
【0038】
プロセッサ34は、検出器52A〜52Fからの検出信号(マーカーの検出を示す信号を含む)を受信して、開口部44に対するカッター46の回転角度を計算し表示する。1つの実施形態においては、プロセッサ34は回転角度の数量的な値を表示し得る。別の1つの実施形態においては、プロセッサ34は計算された回転角度を用いて開口部44の状態、例えば開口部44が開放されているか、閉塞されているか、又は部分的に開放されているかを判定して表示させることができる。更に、プロセッサ34は開口部44の状態を示すアイコンを、表示装置36上に表示し得る。任意の他の好適な視覚化方法又は提示方法を、代替的な実施形態において用いることが可能である。
【0039】
一部の実施形態においては、外科医24は近位端部30を用いてシャフト56を回転させ、開口部44に対するカッター46の場所を制御し得る。例えばポリープ45の除去を完了した後で、カテーテル28を鼻26から撤収させる前に開口部44をブロックするように、外科医24はシャフト56を回転させ得る。1つの代替的な実施形態においては、プロセッサ34が近位端部30を制御して、光学的デバイスから受信した信号に基づいてシャフト56を自動的に回転させることができる。例えば、ポリープ45を切除する前に、プロセッサ34は開口部44に対するカッター46の角度ポジションを計算し得る。例えば、開口部44が閉塞されているか又は部分的に開放されている一部のケースにおいては、プロセッサ34はシャフト56を回転させて、開口部44の完全に開放されたポジションを得ることができる。同様に、プロセッサ34は、カテーテル28を撤収させる前に、シャフトを自動的に回転させて、開口部44を閉塞するようにしてもよい。
【0040】
図1、2A、及び2Bの例は、概念的な明瞭さの目的のみで選択された、位置合わせモジュール42のある具体的な構成(例えば、マーカー、光源、及び検出器)を参照するものである。代替的な実施形態においては、開示された技法に必要な変更を加えることにより、様々な他のタイプの外科、診断、及び治療用カテーテルに、その技法が使用可能である。上記に述べた実施形態は実として挙げたものであり、本発明は上記に具体的に示し、説明したものに限定されない点は理解されよう。むしろ本発明の範囲は、上記に述べた様々な特徴の組み合わせ及び下位の組み合わせ、並びに上記の記載を読むことで当業者により想到されるであろう、従来技術において開示されていない変形例及び改変例を含むものである。
【0041】
〔実施の態様〕
(1) 自らの上に配置される少なくとも1つの光学的マーカーを備える回転可能シャフト、
該シャフトの周りに同軸的に配設される、患者の身体に挿入するための中空挿入管、及び
該挿入管の内周面の周りに結合され、前記マーカーを検出して前記検出されたマーカーの角度ポジションを示す1つ以上の信号を出力するように構成される1つ以上の光学的デバイス、を備える外科用装置。
(2) 前記光学的デバイスからの前記信号を受信して、該信号に基づいて前記シャフトの前記挿入管に対する回転角度を計算するよう構成されるプロセッサを備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記プロセッサが、前記光学的デバイスから受信した前記信号に応じて、前記シャフトを自動的に回転させ、前記挿入管に対する前記シャフトの所望の回転角度を設定するように更に構成されている、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記中空挿入管が、開口部を有し、前記回転可能シャフトがカッターを備え、前記カッターは、前記シャフトが回転している際に、前記開口部を介して前記挿入管に入ってくる物体を切断するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記マーカーが、前記カッターに対してあらかじめ定められた回転角度に配置されている、実施態様4に記載の装置。
【0042】
(6) 前記マーカーが、前記挿入管の前記内周面に対向している、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記光学的デバイスのそれぞれが、光源と検出器とを備え、前記光源が、前記内周面を照らすよう構成され、前記検出器が、前記内周面からの光反射を検出することによって、前記マーカーを検出するよう構成されている、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記光源が、発光ダイオード(LED)を備える、実施態様7に記載の装置。
(9) 自身の上に配置される少なくとも1つの光学的マーカーを備える回転可能シャフトと、該シャフトの周りに同軸に配設される中空挿入管とを備える外科ツールを提供すること、
該外科ツールを患者の身体の中に挿入すること、
前記外科ツールが前記患者の身体内部に存在する間に、前記挿入管の内周面の周囲で結合された1つ以上の光学的デバイスを用いて前記マーカーを検出すること、及び
前記光学的デバイスにより、前記検出されたマーカーの角度ポジションを示す1つ以上の信号を出力すること、を含む方法。
(10) 前記光学的デバイスからの前記信号を受信すること、及び前記信号に基づいて前記シャフトの前記挿入管に対する回転角度を計算すること、を備える、実施態様9に記載の方法。
【0043】
(11) 前記光学的デバイスから受信した前記信号に応じて前記シャフトを自動的に回転させて、前記挿入管に対する前記シャフトの所望の回転角度を設定することを含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記中空挿入管が、開口部を有し、前記回転可能シャフトがカッターを備え、前記カッターは、前記シャフトが回転している際に、前記開口部を介して前記挿入管に入ってくる物体を切断するように構成される、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記マーカーが、前記カッターに対してあらかじめ定められた回転角度に配置される、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記マーカーが、前記挿入管の前記内周面に対向している、実施態様9に記載の方法。
(15) 前記光学的デバイスのそれぞれが、光源と検出器とを備え、前記光源が、前記内周面を照らすよう構成され、前記検出器が、前記内周面からの光反射を検出することによって、前記マーカーを検出するよう構成される、実施態様9に記載の方法。
【0044】
(16) 前記光源が、発光ダイオード(LED)を備える、実施態様15に記載の方法。
(17) 自らの上に配置される少なくとも1つの光学的マーカーを備える回転可能シャフトを提供すること、
中空挿入管を、前記シャフトの周りに同軸的に配設すること、及び、
1つ以上の光学的デバイスを、前記挿入管の内周面の周りに結合させること、を含む、外科ツールを製造するための方法。
(18) 前記中空挿入管が、開口部を有し、前記回転可能シャフトがカッターを備え、前記カッターは、前記シャフトが回転している際に、前記開口部を介して前記挿入管に入ってくる物体を切断するように構成される、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記マーカーが、前記カッターに対してあらかじめ定められた回転角度に配置される、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記マーカーが、前記挿入管の前記内周面に対向している、実施態様17に記載の方法。
【0045】
(21) 前記光学的デバイスのそれぞれが、光源と検出器とを備え、前記光源が、前記内周面を照らすよう構成され、前記検出器が、前記内周面からの光反射を検出することによって、前記マーカーを検出するよう構成される、実施態様17に記載の方法。
(22) 前記光源が、発光ダイオード(LED)を備える、実施態様21に記載の方法。
図1
図2A
図2B
【外国語明細書】
2017121485000001.pdf