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特開2017-121566縫合糸アンカー及び縫合糸アンカーシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-121566(P2017-121566A)
(43)【公開日】2017年7月13日
(54)【発明の名称】縫合糸アンカー及び縫合糸アンカーシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/28 20060101AFI20170616BHJP
【FI】
   A61F2/28
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-79526(P2017-79526)
(22)【出願日】2017年4月13日
(62)【分割の表示】特願2014-516988(P2014-516988)の分割
【原出願日】2012年6月5日
(31)【優先権主張番号】61/605,978
(32)【優先日】2012年3月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/500,433
(32)【優先日】2011年6月23日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】513164565
【氏名又は名称】シンセス・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Synthes GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ボウデュバン・ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】レックマン・ビート
(72)【発明者】
【氏名】ゲデット・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】バーキ・パトリック
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA21
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC05
4C097DD04
(57)【要約】
【課題】単一の用具で縫合糸アンカーを骨に移植することを可能にする縫合糸アンカーシステムを提供する。
【解決手段】縫合糸アンカーであって、本体部材であって、前端部と、後端部と、前記本体部材を貫いて前記前端部から前記後端部へと延びるカニューレと、前記縫合糸アンカーを骨の内部に保持するための1つ又は2つ以上の骨係合部材を備える外表面とを有する、縫合糸アンカーと、先端部材であって、前記先端部材は、前端部と、後端部と、前記先端部材を貫いて前記前端部から前記後端部へと延びるカニューレとを有し、前記先端部材の前記後端部は、前記先端部材の前記カニューレが前記本体部材の前記カニューレと軸方向に整合する状態で、前記本体部材の前記前端部に回転自在に連結され、前記先端部材の前端部は少なくとも1つの縫合糸受容切り欠きを有する、先端部材とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸アンカーであって、
本体部材であって、前端部と、後端部と、前記本体部材を貫いて前記前端部から前記後端部へと延びるカニューレと、前記縫合糸アンカーを骨の内部に保持するための1つ又は2つ以上の骨係合部材を備える外表面とを有する、本体部材と、
先端部材であって、前記先端部材は、前端部と、後端部と、前記先端部材を貫いて前記前端部から前記後端部へと延びるカニューレとを有し、前記先端部材の前記後端部は、前記先端部材の前記カニューレが前記本体部材の前記カニューレと軸方向に整合する状態で、前記本体部材の前記前端部に回転自在に連結され、前記先端部材の前記前端部は少なくとも1つの縫合糸受容切り欠きを有する、先端部材と
を備える、縫合糸アンカー。
【請求項2】
前記先端部材の前記前端部は、前記前端部に形成された、直径方向に対向する1対の縫合糸受容切欠きを有する、請求項1に記載の縫合糸アンカー。
【請求項3】
前記縫合糸受容切欠きは実質的にV字形状をなす、請求項1または2に記載の縫合糸アンカー。
【請求項4】
前記本体部材の前記後端部は少なくとも1つの駆動装置受容切欠きを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の縫合糸アンカー。
【請求項5】
前記本体部材の前記後端部は、直径方向に対向する1対の駆動装置受容切欠きを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の縫合糸アンカー。
【請求項6】
前記先端部材は平滑な外表面を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の縫合糸アンカー。
【請求項7】
前記先端部材は先細にされている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の縫合糸アンカー。
【請求項8】
前記本体部材及び前記先端部材は高分子材料から構成される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の縫合糸アンカー。
【請求項9】
縫合糸アンカーシステムであって、
縫合糸アンカー駆動装置であって、
前端部と後端部とを有し、前記前端部は、骨に穴を形成するための少なくとも1つの尖端を有する錐を画定する、ロッドと、
前端部と後端部とを有するインパクタスリーブを備えたインパクタであって、前記ロッドの前記前端部と前記インパクタスリーブの前記前端部との間で、前記ロッド上にアンカー保持エリアが画定されるように、前記インパクタスリーブの前記前端部が前記ロッドの前記前端部から、ある距離だけ離間する後退位置と、前記インパクタスリーブが前記ロッドの前記前端部に向かって移動される前進位置との間で、前記インパクタスリーブが前記ロッドに沿って軸方向に移動可能となるように、前記インパクタスリーブは、前記ロッドの周りに摺動自在に配設される、インパクタと、を備える、縫合糸アンカー駆動装置と、
前記ロッドの前記アンカー保持エリア上に定置された、請求項1〜8のいずれか一項に記載の縫合糸アンカーとを備え、
前記インパクタスリーブが前記後退位置から前記前進位置へと軸方向に移動すると、前記縫合糸アンカーが前記ロッドに沿って軸方向にスライドされるような方式で、前記ロッドが前記本体部材の前記カニューレおよび前記先端部材を貫いて配設され、前記錐が、前記先端部材の前記前端部を越えて延び、前記本体部材の前記後端部が前記インパクタスリーブの前記前端部と係合した状態で、前記縫合糸アンカーは、前記ロッドの前記アンカー保持エリアに定置される、縫合糸アンカーシステム。
【請求項10】
前記ロッドは、前記尖端の近くに形成された少なくとも1つの縫合糸受容切欠きを有し、前記縫合糸アンカーの前記先端部材の前記前端部は、その中に形成された、直径方向に対向する1対の縫合糸受容切欠きを有し、前記先端部材の前記縫合糸受容切欠きは前記ロッドの前記縫合糸保持切欠きと整合される、請求項9に記載の縫合糸アンカーシステム。
【請求項11】
前記インパクタスリーブは、前記インパクタスリーブが前記ロッドの周りで回転自在にかつ前記ロッドに沿って軸方向に移動可能となるように、前記ロッドの周りに回転自在にかつ摺動自在に配設されている、請求項9または10に記載の縫合糸アンカーシステム。
【請求項12】
前記アンカー駆動装置は、
ハンドルであって、前記インパクタスリーブが前記ハンドルを貫いて延び、前記ハンドルに対しては回転可能であるが、長手方向には不動となるような方式で、前記インパクタスリーブに連結された、ハンドルを更に備える、請求項11に記載の縫合糸アンカーシステム。
【請求項13】
前記ハンドルは縫合糸固定カラーを有し、該縫合糸固定カラーは、縫合糸を中に受容及び保持するように適合された少なくとも1つの切欠きを有する、請求項12に記載の縫合糸アンカーシステム。
【請求項14】
前記インパクトスリーブの前記前端部は少なくとも駆動突出部を有し、前記本体部材の前記後端部は、前記インパクトスリーブの前記駆動突出部と嵌合によって係合する少なくとも1つの駆動装置受容切欠きを有する、請求項11に記載の縫合糸アンカーシステム。
【請求項15】
前記ロッドは、前記ロッドの前記後端部に設けられたインパクタヘッドを有し、前記アンカー駆動装置は、前記後退位置にある前記インパクタスリーブを保持するために、また、前記インパクタ及び前記ロッドによって、前記ロッドに対する前記インパクタスリーブの回転位置を固定するために、前記インパクタヘッドと前記ハンドルとの間に脱着自在に定置されたスペーサを更に備える、請求項11に記載の縫合糸アンカーシステム。
【請求項16】
前記アンカー駆動装置は、前記ロッドの前記後端部に連結されたハンドルを更に備え、前記ロッドは、前記前端部から前記後端部に向かって延びるカニューレを更に有し、前記ハンドルは、前記ロッドの前記カニューレと連通する、前記ハンドルの外表面に形成された開口部を有する、請求項9に記載の縫合糸アンカーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2011年6月23日に出願された米国特許仮出願第61/500,433号、及び2012年3月2日に出願された米国特許仮出願第61/605,978号に対する優先権を主張するものであり、これらの米国特許仮出願それぞれの全ての内容が、参照によって本明細書に明白に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
腱及び靱帯などの軟組織は一般に、小さな膠原繊維によって骨に付着されている。これらの繊維は強固でありながらも、腱及び靱帯を柔軟なものにしている。軟組織が骨から引き裂かれており、修復を必要とするとき、外科医は多くの場合、アンカーによって骨に付着される縫合糸で、剥離した軟組織を修復することを要求される。これらのアンカーは通常、広範な外科手技によって、また更に最近では関節鏡視下の外科技術によって患者の骨に移植される。既存のアンカーは、多数の方式で患者の骨に移植されるが、それらの方式は概して、骨の穴あけを必要とするものと、例えば、骨への押込み又はねじ込みなど、穴あけを伴わずに移植され得るものとに分類され得る。
【0003】
アンカーが骨に移植されると、縫合糸が通常、再付着される軟組織に通され、その縫合糸が次いで、適切な張力でアンカーに固定される。一般に、一部のアンカーは、外科医が縫合糸に結節を作ることを必要とし得るか、あるいは「無結節」と称され得る、すなわち、縫合糸がアンカーと骨によって保持されるため、軟組織を骨に固定するのに結節を必要としないものである。縫合糸を軟組織に通し結節を作るプロセスは時間を浪費するものであり、また、内視鏡下手術の間に、そして時には通常の開放手術の間に直面する狭い空間で取り組むには困難である。
【0004】
骨に穴をあけることによって移植されるアンカーシステムは、別の挿入用具と別の穴あけ用具など、手技の間に切開部に挿入しなければならない複数の用具を使用することを必要とするという点で、利用するのが困難である。そのような複雑な穴あけアンカーシステムは結果として、手技の時間を増加させ、そして長引く手技と用具の交換の間に外科医が誤りを生じる可能性を増大させる。
【0005】
アンカーは一般に、骨への挿入の間に広範な応力を受けることが、当業者には明らかとなろう。従来技術のアンカーには、高分子材料をアンカーの構造に組み込もうとしたものもあるが、それらのアンカーは実際には、概して、不十分な挿入及び保持強度を与えられていた。その結果として、既知のアンカー本体と既知の骨係合手段は一般に、高強度な生体適合性の金属及び合金から作製されてきた。
【0006】
従来技術のアンカー装置の使用がより広範に及ぶと、既知のアンカーは多数の限界を伴うという欠点があることが判明した。例えば、アンカー本体と骨係合手段の両方を生体適合性の金属及び合金から形成することで、製造の費用が増加する。また、多数の医療用途において、手術後に患者の体内に残留する金属を最小にすることが望ましい。そのような金属は、X線のアーチファクトを引き起こすことがあり、また、患者の拒絶反応が原因で移動することがある。
【0007】
金属移植片の欠点により、多種多様な生体適合性高分子及び生体吸収性材料が近年、開発されており、医療移植において広く利用されるようになってきた。そのような材料は、(i)比較的コストが低く、(ii)通常の製作方法と完全に適合性があり、(iii)手術後に患者の身体に吸収されることが可能である。そのような材料で作製された従来技術のアンカーがいくつか存在する。
【0008】
現時点では、しかしながら、利用可能な高分子及び生体吸収性材料は一般に、骨に事前に穴をあけ、アンカーに何らかの金属成分を与えることなく、骨にアンカーを押し込み、適切に保持するのに必要な機械的性質を有していない。従来技術のアンカーの中には、骨へのアンカーのねじ込み又は押し込みが可能となるほど十分に強固な金属製先端部を有する、高分子量で生体適合性の材料から作製されたアンカーを提供することによって、この問題を解決しているものもある。しかしながら、そのようなアンカーの主な欠点は、金属の先端部が患者の骨の中に残留し、それにより、患者の身体が金属の先端部を拒絶することが原因で、アンカーの拒絶及び移動が生じる可能性が増加することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この目的で、単一の用具で縫合糸アンカーを骨に移植することを可能にする縫合糸アンカーシステムが必要とされている。本明細書で開示される発明概念が目的とするのは、そのような縫合糸アンカーシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書で開示される発明概念に従って構成された縫合糸アンカーシステムの実施形態の側面図である。
図2A】本明細書で開示される発明概念に従って構成された縫合糸アンカーの例示的な実施形態の側面図である。
図2B図2Aの縫合糸アンカーの正面図である。
図3A】本明細書で開示される発明的構想に従って構成された縫合糸アンカーの別の実施形態の側面図である。
図3B図3Aの縫合糸アンカーの正面図である。
図4A】本明細書で開示される発明的構想に従って構成された縫合糸アンカーの別の実施形態の側面図である。
図4B図4Aの線4B−4Bに沿った断面図である。
図5図1の縫合糸アンカーシステムの実施形態の横断面図である。
図6】縫合糸アンカーシステムの遠位端部の拡大側面図である。
図7】縫合糸アンカーシステムの別の実施形態の遠位端部の拡大側面図である。
図8図1の縫合糸アンカーシステムの遠位端部の横断面図である。
図9図7の縫合糸アンカー駆動装置と図3A〜3Bに示される縫合糸アンカーとを有する縫合糸アンカーシステムの側面図である。
図10図7の縫合糸アンカー駆動装置と図4A及び4Bの縫合糸アンカーとを有する縫合糸アンカーシステムの実施形態の側面図である。
図11A】本明細書で開示される発明概念に従って構成された縫合糸アンカーシステムの別の実施形態の一部分の斜視図である。
図11B図11Aの縫合糸アンカーシステムの横断面図である。
図12A】縫合糸アンカーを骨に移植する各工程を示す概略図である。
図12B】縫合糸アンカーを骨に移植する各工程を示す概略図である。
図12C】縫合糸アンカーを骨に移植する各工程を示す概略図である。
図12D】縫合糸アンカーを骨に移植する各工程を示す概略図である。
図12E】縫合糸アンカーを骨に移植する各工程を示す概略図である。
図13】本明細書で開示される発明概念に従う縫合糸アンカーシステムの別の実施形態の斜視図である。
図14図13の縫合糸アンカーシステムの側面図である。
図15図14の縫合糸アンカーシステムの遠位端部の拡大側面図である。
図16】本明細書で開示される発明概念に従う縫合糸アンカーの実施形態の斜視図である。
図17図16の線17−17に沿った横断面図である。
図18図14の縫合糸アンカー駆動装置の遠位端部の部分横断面図である。
図19】後退位置に示した図14の縫合糸アンカー駆動装置の近位端部の横断面図である。
図20図16の縫合糸アンカーを定置した、図19の縫合糸アンカー駆動装置の遠位端部の横断面図である。
図21A】前進位置に示した図14の縫合糸アンカー駆動装置の近位端部の横断面図である。
図21B】前進位置に示した図14の縫合糸アンカー駆動装置の遠位端部の部分横断面図である。
図22A図16の縫合糸アンカーを骨に移植する各工程を示す概略図である。
図22B図16の縫合糸アンカーを骨に移植する各工程を示す概略図である。
図22C図16の縫合糸アンカーを骨に移植する各工程を示す概略図である。
図22D図16の縫合糸アンカーを骨に移植する各工程を示す概略図である。
図22E図16の縫合糸アンカーを骨に移植する各工程を示す概略図である。
図23】本明細書で開示される発明的構想に従う縫合糸アンカーシステムの別の実施形態の横断面図である。
図24図23の縫合糸アンカーシステムの前端部の横断面図である。
図25A】本明細書で開示される発明的構想に従う縫合糸アンカーシステムの別の実施形態の横断面図である。
図25B図25Aに示される縫合糸アンカーシステムの後端部の斜視図である。
図26A】縫合糸アンカーを骨に移植するための、図23及び24の縫合糸アンカーシステムの使用法を示す概略図である。
図26B】縫合糸アンカーを骨に移植するための、図23及び24の縫合糸アンカーシステムの使用法を示す概略図である。
図26C】縫合糸アンカーを骨に移植するための、図23及び24の縫合糸アンカーシステムの使用法を示す概略図である。
図26D】縫合糸アンカーを骨に移植するための、図23及び24の縫合糸アンカーシステムの使用法を示す概略図である。
図26E】縫合糸アンカーを骨に移植するための、図23及び24の縫合糸アンカーシステムの使用法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明概念の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に理解されたいこととして、本明細書で開示される発明概念は、その用途において、以下の説明に記載した又は図面に示した各構成要素の構造、実験、例示的データの詳細、及び配置に限定されない。この発明概念は、他の実施形態が考えられ、あるいは多様な方式で実施又は実行が可能である。また、理解されたいこととして、本明細書において用いる表現及び用語は説明を目的としたものであり、限定するものとしてみなされるべきではない。
【0012】
ここで図面を、より具体的には図1〜6を参照すると、縫合糸アンカーシステム100の例示的な実施形態が、本明細書で開示される発明概念に従って構成されている。縫合糸アンカーシステム100は概して、縫合糸アンカー102と、その縫合糸アンカー102を骨に移植するためのアンカーシステム104と、を備えている。
【0013】
図2A及び2Bに最良に示されるように、縫合糸アンカー102は、後端部108と、前端部110と、カニューレ112と、縫合糸受容切欠き114と、整合切欠き116と、1つ又は2つ以上の保持リブ118とを有する本体部材106を有している。縫合糸アンカー102は、任意の好適な材料又は材料の組合わせ、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK(商標)として販売)などの生体不活性の高分子材料から作製され得る。縫合糸アンカー102はまた、例えば、ポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)などの高分子生体吸収性材料から作製され得る。縫合糸アンカー102は圧縮可能な弾性材料から作製されており、そのため、縫合糸アンカー102を骨の内側に圧入して、縫合糸に張力がかかっていないときでも骨の内部で縫合糸アンカー102が確実に保持されるようにすることができる。縫合糸アンカー102は様々な材料から作製され得るが、それらの材料は、コーティングされなくても、コーティングされても、例えば、抗生物質、チタン、APC、及びそれらの組合わせなど、様々な物質を含浸されてもよい。
【0014】
カニューレ112は、本体部材106を貫いて後端部108から前端部110へと延びている。カニューレ112は、円筒状の形状をなすものとして示されているが、カニューレ112は、例えば、正方形、六角形、八角形、五角形、星形、卵形、及び三角形など、他の形状で実現されてもよい。いくつかの実施形態において、図11A〜11Bを参照して以下で説明するように、カニューレ112は、対応する形状をなすロッドが、そのロッドに対する縫合糸アンカー102の回転を制限又は防止するように、長方形、正方形、又は他の好適な形状を有してもよい。
【0015】
本体部材106の前端部110は、縫合糸アンカー102を骨に挿入するのを容易にするために、長手軸120に向かって先細にされてもよい。縫合糸アンカー102は、後端部108が骨の表面と面一となるような、又は後端部108が骨の表面のすぐ下に位するような深さまで、前端部110から先に骨に挿入される。一実施形態において、縫合糸アンカー102は長さが約10mmであるが、当業者には理解されるように、他の好適な寸法が実現され得る。理解されたいこととして、本体部材106は、移植部位の寸法及び縫合糸が受けると予想される負荷に応じて様々な長さ及び直径を有し得る。本明細書で用いるとき、「縫合糸」という用語及びその任意の変化形は、1本以上の縫合糸及び縫合糸ループを含むことが意図される。
【0016】
保持リブ118は、長手軸120に対して先細となっている表面122と、長手軸120に対して垂直な表面124との2つの交差する表面を有するものとして示されている。保持リブ118の表面122は、縫合糸アンカー102を骨に挿入できるように適合されており、また表面124は、骨に対して保持リブ118を引っ張るか、若しくは圧入することによって、縫合糸アンカー102を骨の内部に保持する。しかしながら、理解されたいこととして、本開示の提示を受けた当業者には明らかとなるように、他の通常の保持構成が、本明細書で開示される発明概念と共に用いられてもよい。例えば、3つ以上の表面122及び124が存在してもよく、そのような表面は、長手軸120に対してあるいは互いに対して種々の角度をなして方向付けられ得る。理解されたいこととして、例えば、棘、隆起、縞、及び同等のもの、並びにそれらの組合わせなど、他の保持手段が、本明細書で開示される発明概念と共に使用され得る。
【0017】
縫合糸受容切欠き114は前端部110と交差しており、1本以上の縫合糸を中に受容するように構成されている。縫合糸受容切欠き114は、前端部110の最も幅広の点で、近位方向に先細となるように、楔形状をなしてもよい。縫合糸アンカー102が骨に挿入されると、少なくとも部分的には、縫合糸受容切欠き114の対向表面が縫合糸に押し付けられることが原因で、縫合糸又は縫合糸ループの一部分が固定され得る。図12A〜12Eを参照して以下で更に詳細に説明するように、縫合糸又は縫合糸ループは、縫合糸又は縫合糸ループを固定するために結節が必要とならないように、保持リブ118と骨との間の圧入によって更に固定され得る。当業者には理解されるように、縫合糸の張力は、縫合糸アンカー102を患者の骨に挿入するのに先立って調節され得る。縫合糸アンカー102は、縫合糸優先式の技術で使用され得るものであり、例えば、縫合糸は、アンカーの挿入に先立って軟組織に取り付けられてきた。
【0018】
整合切欠き116は、アンカー駆動装置104(図8)の移植片整合突起126と協働することができ、移植片整合突起126は、整合ノッチ116と嵌合してアンカー駆動装置104に対する縫合糸アンカー102の回転を制限又は防止するように適合されている。理解されたいこととして、整合切欠き116は、形状において実質的に長方形に示されているが、移植片整合突起126の形状に対応するために、例えば、三角形、正方形、円形、卵形、及び星形など、他の形状が利用されてもよい。また、複数の整合切欠き116が縫合糸アンカー102内に形成され得ることも理解されたい。更に、移植片整合突起126はアンカー駆動装置104のロッド168上の溝又は突起として形成され得ることを理解されたい。縫合糸アンカー102は、例えば、射出成形、プレス成形、及びそれらの組合わせなど、任意の通常のプロセスで形成され得る。
【0019】
ここで図3A及び3Bを参照すると、縫合糸アンカー102aの別の実施形態が示されている。縫合糸アンカー102aは、縫合糸アンカー102と同様に構成されている。縫合糸アンカー102aは本体部材128を有しており、本体部材128は、後端部130と、前端部132と、カニューレ134と、1つ又は2つ以上の保持リブ136と、1つ又は2つ以上の縫合糸チャネル138と、縫合糸受容切欠き140と、を有している。
【0020】
カニューレ134は、本体部材128の中心を貫いて後端部130から前端部132へと延びている。カニューレ134は、円筒状の形状をなすものとして示されているが、理解されたいこととして、本明細書で開示される発明概念に従うカニューレ134は、例えば、正方形、六角形、八角形、五角形、星形、卵形、及び三角形など、他の形状で実現されてもよい。
【0021】
保持リブ136は、長手軸144に対して先細となっている表面142と、長手軸144に対して垂直な表面146とを有するものとして示されている。しかしながら、理解されたいこととして、他の通常の保持構成が、本明細書で開示される発明概念で利用され得る。保持リブ136の表面142は、縫合糸アンカー102aを骨に挿入できるように構成されており、また表面146は、骨の壁に対して保持リブ136を引っ張るか若しくは圧入することによって、縫合糸アンカー102を骨の内部に保持する。
【0022】
縫合糸チャネル138と縫合糸受容切欠き140は、1本又は2本以上の縫合糸を、縫合糸チャネル138のうちの第1の縫合糸チャネルの中へと下に通し、縫合糸受容切欠き140を貫いて、第2の縫合糸チャネル138へと上に通すように協働する。当業者には理解されるように、縫合糸アンカー102aが骨に挿入されるときでも、縫合糸の張力は外科医によって調節され、結節を結ぶことによって固定され得る。縫合糸アンカー102aは、縫合糸アンカー102と同様の材料から、縫合糸アンカー102と同様の方法で作製され得る。
【0023】
ここで図4A及び4Bを参照すると、本明細書で開示される発明概念による縫合糸アンカー102bの別の実施形態が示されている。縫合糸アンカー102bは、縫合糸アンカー102及び102aと同様に構成されている。縫合糸アンカー102bは本体部材148を有しており、本体部材148は、後端部150と、前端部152と、カニューレ154と、1つ又は2つ以上の保持リブ156と、1つ又は2つ以上の縫合糸チャネル158と、1つ又は2つ以上の縫合糸アパーチャ160とを有している。
【0024】
カニューレ154は、実質的に本体部材148の中心を貫いて後端部150から前端部152へと延びている。カニューレ154は、円筒状の形状をなすものとして示されているが、理解されたいこととして、この発明概念に従うカニューレ154は、例えば、正方形、六角形、八角形、五角形、星形、卵形、及び三角形など、他の形状でも実現され得る。
【0025】
保持リブ156は、長手軸164に対して先細となっている表面162と、長手軸164に対して垂直な表面166とを有するものとして示されている。しかしながら、他の通常の保持構成が、本明細書で開示される発明概念で利用され得ることを理解されたい。保持リブ156の表面162は、縫合糸アンカー102bを骨に挿入できるように適合されており、また表面166は、骨の壁に対して保持リブ156を引っ張るか若しくは圧入することによって、縫合糸アンカー102bを骨の内部に保持する。
【0026】
縫合糸チャネル158と縫合糸アパーチャ160は、1本以上の縫合糸を、縫合糸チャネル158のうちの一方の中へと下に通し、縫合糸アパーチャ160を通じて、第2の縫合糸チャネル158へと上に通すように協働する。当業者には理解されるように、縫合糸アンカー102bが骨に挿入されるとき、縫合糸の張力は外科医によって調節され、結節を結ぶことによって固定され得る。縫合糸アンカー102bは、縫合糸アンカー102及び102aと同様の材料から、縫合糸アンカー102及び102aと同様の方法で作製され得る。
【0027】
ここで図5〜7を参照すると、アンカーシステム104が更に詳細に示されている。アンカーシステム104は、ロッド168と、ハンドル176と、インパクタ180とを含む。ロッド168は、長手軸170と、前端部174に形成された錐172と、後端部178とを有している。一実施形態において、錐172は、尖端190(図6)と、少なくとも1つの縫合糸受容切欠き192とを含む。錐172は、ロッド168に力が加えられると骨を穿刺するように構成された尖端190に向かって先細となっている。図6に示されるように、尖端190は、ロッド168の長手軸170と整合するように方向付けられている。それに代わって、図7に示されるように、錐172は、長手軸170に沿って対称的に位置する2つの尖端190を有してもよい。錐172は、例えば、ステンレス鋼、チタン、又は他の好適な金属若しくは合金など、硬質な金属で作製され得る。縫合糸受容切欠き192は、1本以上の外科用縫合糸又は縫合糸ループを中に受容及び保持し、錐172を挿入することによってそのような縫合糸又は縫合糸ループを骨に挿入するように構成されている。
【0028】
ハンドル176は、ロッド168の後端部178に連結されるものであり、任意の通常の外科用器具のハンドル176であってもよい。例えば、ハンドル176は、滑り止め表面を備えて設計され、ユーザーの手でしっかりと把持されるように付形されてもよい。ハンドル176は、例えば、金属及びプラスチックなど、様々な材料から構成されてもよく、また再使用可能となりかつ滅菌されるように適合されてもよい。
【0029】
インパクタ180は、ロッド168の周りに摺動自在に定置されたインパクタスリーブ182と、インパクタスリーブ182に連結されたインパクタヘッド188とを有する。インパクタスリーブ182は、アンカー保持エリア198が画定されるように、インパクタスリーブ182の前方端部184がロッド168の前端部174から、ある距離だけ離間する後退位置(図1、5及び11A〜11B)と、アンカー保持エリア198に位置するアンカー102を錐172に向かってロッド168に沿って前進させるように、インパクタスリーブ182の前方端部184が錐172に向かって移動される前進位置(図6〜10)との間で、ロッド168に沿って摺動自在に移動可能である。アンカー保持エリア198は、錐172からある距離だけ離れて、そのアンカー保持エリア198に位置する縫合糸アンカー102を受容及び保持するように寸法を定められており、そのため、錐172は、縫合糸アンカー102から干渉を受けることなく、選択された深さだけ、骨に挿入され得るようになっている。インパクタスリーブ182は移植片整合突起126を有してもよく、この移植片整合突起126は、インパクタスリーブ182が後退位置にあるとき、アンカー保持エリア198へと延びるものである。
【0030】
インパクタヘッド188は、インパクタスリーブ182の後方端部186に連結されており、縫合糸アンカー102を骨に挿入する間に外科用ハンマーの往復運動によって衝突を受けるように構成及び寸法決めされている。一実施形態において、インパクタヘッド188は、ハンドル176を貫いて摺動自在に配設された複数のロッド200と縫合糸固定カラー194とでインパクタスリーブ182に連結される。縫合糸固定カラー194は、その中に形成された1つ又は2つ以上の切欠き196を有している(図5)。1つ又は2つ以上の切欠き196は、1本以上の縫合糸(図示せず)を中に受容及び保持するように適合されている。縫合糸固定カラー194は、例えば、プラスチック及び金属など、任意の好適な材料から作製されてもよい。インパクタヘッド188は、例えば、ステンレス鋼、チタン、弾性プラスチック、及びそれらの組合わせなど、任意の好適な材料から作製され得る。インパクタヘッド188は、以下で説明するように、ロッド168の周りでインパクタスリーブ182を摺動自在に移動させるように操作され得る。
【0031】
ここで図8を参照すると、縫合糸アンカーシステム100の実施形態の拡大図が示されており、この拡大図は、インパクタスリーブ182が前進位置にある状態で、アンカー駆動装置104のロッド168上に定置された縫合糸アンカー102を示している。ロッド168の錐172は、縫合糸アンカー102のカニューレ112を貫き、前端部110を越えて延びて示されている。縫合糸アンカー102の後端部108は、インパクタスリーブ182の前方端部184と当接して示されている。移植片整合突起126は、整合切欠き116に挿入されて示されている。以下で図12A〜12Eを参照して説明するように、縫合糸アンカー102の縫合糸受容切欠き114は、縫合糸の挿入が可能となるように錐172の縫合糸受容切欠き192と整合される。縫合糸のたるみ又はねじれを防止するために、そのような整合が挿入プロセスの全体を通じて維持される。
【0032】
ここで図9を参照すると、本明細書で開示される発明概念による縫合糸アンカーシステム100aの別の実施形態の拡大図が示されている。縫合糸アンカー102aは、インパクタスリーブ182が前進位置にある状態で、アンカー駆動装置104のロッド168上に定置されて示されている。ロッド168の錐172は、2つの尖端190を有し、縫合糸アンカー102aの全体にわたり、かつ後端部132を越えて延びるものとして示されている。縫合糸アンカー102aの後端部130は、インパクタスリーブ182の前方端部184と当接して示されている。縫合糸チャネル138は、縫合糸アンカー102aの全長にわたって延びて示されている。任意選択による縫合糸ガイド202が示されており、この縫合糸ガイド202は、インパクタスリーブ182に形成され、縫合糸チャネル138と整合されている。縫合糸アンカー102aの縫合糸受容切欠き140は、錐172の縫合糸受容切欠き192と整合される。図12A〜12Eを参照して以下で説明するように、縫合糸受容切欠き140と、縫合糸受容切欠き192と、縫合糸チャネル138と、縫合糸ガイド202は、ユーザーが、縫合糸にかかる張力を調節し、縫合糸を結節で固定できるように、縫合糸固定カラー194の切欠き196と協働する。
【0033】
ここで図10を参照すると、本明細書で開示される発明概念による縫合糸アンカー100bの別の実施形態が示されている。縫合糸アンカー102bは、インパクタスリーブ182が前進位置にある状態で、アンカー駆動装置104のロッド168上に定置されて示されている。ロッド168の錐172は、2つの鋭利な尖端190を有し、縫合糸アンカー102bの全体にわたり、かつ後端部152を越えて延びて示されている。縫合糸アンカー102bの後端部150は、インパクタスリーブ182の前方端部184と当接して示されている。縫合糸チャネル158は、縫合糸アンカー102bの全長にわたって延びて示されている。任意選択による縫合糸ガイド202が示されており、縫合糸ガイド202は、インパクタスリーブ182に形成され、縫合糸チャネル158と整合されている。縫合糸アンカー102bの縫合糸アパーチャ160は、錐172の縫合糸受容切欠き192と整合される。図12A〜12Eを参照して以下で説明するように、縫合糸アパーチャ160と、縫合糸受容切欠き192と、縫合糸チャネル158と、縫合糸ガイド202は、ユーザーが、縫合糸にかかる張力を調節し、縫合糸を結節で固定できるように、縫合糸固定カラー194の切欠き196と協働する。
【0034】
ここで図11A及び11Bを参照すると、本明細書で開示される発明概念による縫合糸アンカー100cの更に別の実施形態が示されている。縫合糸アンカー102は、インパクタスリーブ182が後退位置にある状態で、アンカー駆動装置104のロッド168a上に定置されて示されている。ロッド168aの錐172は、縫合糸アンカー102のカニューレ112を貫き、前端部110を越えて延びて示されている。縫合糸アンカー102の後端部108は、インパクタスリーブ182の前方端部184と当接して示されている。図12A〜12Eを参照して以下で説明されるように、縫合糸の挿入を可能にするために、ロッド168aは、縫合糸アンカー102がロッド168aの上に定置されると、縫合糸アンカー102の縫合糸受容切欠き114が錐172の縫合糸受容切欠き192と整合するように、実質的に六角形の形状を有するものとして示されており、カニューレ112はそれに対応する六角形の形状を有して示されている。一実施形態において、ロッド168aとカニューレ112の対応する形状は、縫合糸アンカー102がロッド168a上に定置されるとき、カニューレ112がロッド168aを中心として回転することを部分的にあるいは完全に防止するように協働する。縫合糸のたるみ及びねじれを防止するために、縫合糸アンカー102とロッド168aの対応する六角形の形状により、そのような整合が挿入プロセスの全体を通じて維持される。しかしながら、理解されたいこととして、対応する他の好適な形態がロッド168aを中心とした縫合糸アンカー102の回転を部分的にあるいは完全に防止できるという条件で、そのような対応する形態が縫合糸アンカー102及びロッド168aに用いられてもよい。更に理解されたいこととして、そのような相補的な形状はまた、図8を参照して上述したように、整合切欠き116と移植片整合突起126との組合わせにおいて利用されてもよい。
【0035】
操作の際、本明細書で開示される発明概念による、縫合糸を骨に取り付けるための方法の例示的な実施形態が、骨に付着される軟組織に縫合糸を取り付けることを含んでもよい。縫合糸は、当業者には理解されるように、任意の通常の縫合糸であってもよい。軟組織は、例えば、回旋筋腱板、腱、靱帯、筋肉、結合組織、及びそれらの組合わせであってもよい。当業者には明らかとなるように、縫合糸は、縫合糸ループが形成されるように軟組織に取り付けられる。患者の骨に付着される軟組織に縫合糸が取り付けられると、本明細書で開示される発明概念による縫合糸アンカーシステム100は、ロッド168の前端部174の錐172を骨の中に送り込むことによって、縫合糸を患者の骨に係留するために使用され得る。
【0036】
図12A〜12Eは、骨に軟組織を付着させるための方法の例示的な実施形態を示している。
【0037】
ここで図12Aを参照すると、本明細書で開示される発明概念による縫合糸アンカーシステム100は、アンカー駆動装置104と縫合糸アンカー102とを有するものとして示されている。軟組織206に取り付けられた縫合糸204が、縫合糸受容切欠き192に入れられて示されている。縫合糸204は、骨208に軟組織206を係留するために使用される。縫合糸アンカー102は、縫合糸受容切欠き114が錐172の縫合糸受容切欠き192と実質的に整合されるように、アンカー駆動装置104のアンカー保持エリア198に定置されている。この整合は、整合切欠き116に移植片整合突起126を嵌合式で挿入することによって維持されてもよい。係留される縫合糸204は、縫合糸204が縫合糸受容切欠き114の中に少なくとも部分的に定置されるように、アンカー駆動装置104の錐172に入れられてもよい。移植位置は骨208上で識別及び選択される。
【0038】
ここで図12Bを参照するが、移植位置が選択されると、骨208がアンカー駆動装置104の錐172で穿孔される。骨208を穿孔する力は、ロッド168のハンドル176を加圧、回転、及び捻回して錐172を骨208に送り込む外科医によって、あるいは、例えばアンカーシステム104にハンマーで衝撃を加えることを含めた任意の他の好適な手段によって、手動で供給され得る。
【0039】
ここで図12Cを参照すると、縫合糸204は、骨208に挿入された錐172で張力をかけられている。縫合糸204は、適切な張力が縫合糸204に発生して骨208に対する軟組織206の付着強度と位置が適正となるように、縫合糸アンカー102に対して定置されている。
【0040】
次に、図12Dに示すように、縫合糸アンカー102と縫合糸204は、インパクタヘッド188の操作によって、例えば、縫合糸アンカー102をアンカー保持領域198からロッド168の前端部174に向かってスライドさせるために、インパクタスリーブ182が前進位置に向かってアンカー保持エリア198の上を移動するように、インパクタヘッド188に外科用ハンマーで衝撃を加えることによって、アンカーシステム104と共に骨208に挿入される。インパクタスリーブ182の前方端部184は縫合糸アンカー102の後端部108を圧迫し、ロッド168の錐172は縫合糸アンカー102の案内装置として働く。インパクタスリーブ182及びロッド168上の任意選択によるマーキング(図示せず)が、視覚的な案内装置として働いて、縫合糸アンカー102が適切な深さに挿入されていることを示唆してもよい。
【0041】
図12Eに示されるように、アンカーシステム104は取り除かれ、縫合糸アンカー102は骨208の内部に残留して、軟組織206を骨208に係留する。アンカー駆動装置104は、ロッド168が縫合糸アンカー102から分離されるように、縫合糸アンカー102のカニューレ112から錐172を後退させることによって、骨208から取り除かれ得る。縫合糸アンカー102は、保持リブ118と骨208の壁との間の圧縮力によって、定位置に保持される。縫合糸204は同様に、保持リブ118と骨208との間の圧縮力によって保持される。錐172が取り除かれると、縫合糸アンカー102の縫合糸受容切欠き114もまた、骨208によって縫合糸受容切欠き114に圧縮力が及ぼされるがために、縫合糸204を保持しており、この圧縮力は、楔形状の縫合糸受容切欠き114を縫合糸204に対するクリップとして働かせる。縫合糸204の端部は、必要に応じて刈り取られてもよい。
【0042】
理解されたいこととして、1本、2本、3本、又はそれ以上の縫合糸204、縫合糸ループ、及びそれらの組合わせが、単一又は複数の縫合糸アンカー102によって骨208に付着されてもよい。例えば、特定の縫合糸204又は縫合糸ループが、2箇所以上の位置で2つ以上の縫合糸アンカー102を用いて、骨208に付着されてもよい。別の例として、複数の縫合糸204及び縫合糸ループが、縫合糸アンカー102によって、ある位置で付着されてもよい。更に別の例として、単一の縫合糸204が、単一の縫合糸アンカー102によって骨208に付着されてもよい。
【0043】
1本又は2本以上の縫合糸が、図12A〜12Eを参照して上で説明された方法と類似した方式で、縫合糸アンカーシステム100a及び100bを用いて骨に付着されてもよい。
【0044】
ここで図13〜21を参照すると、本明細書で開示される発明概念に従って構成された縫合糸アンカーシステム210の別の実施形態が示されている。縫合糸アンカーシステム210は概して、縫合糸アンカー212とアンカー駆動装置214とを備えている。縫合糸アンカー212は、本体部材216と、その本体部材216に回転自在に連結された先端部材218と、を備えている。本体部材216は、先端部220と、後端部222と、カニューレ224と、整合切欠き226と、ねじ付き外表面228とを有している。
【0045】
本体部材216のカニューレ224は、形状において円形であり、本体部材216を貫いて前端部220から後端部222へと延びている。カニューレ224は、以下で説明する方式で、アンカー駆動装置214を中心として本体部材216を回転させるように、形状において円形となっている。
【0046】
整合切欠き226は、以下に説明する方式でアンカー駆動装置214の一部分を受容するように構成されており、アンカー駆動装置214で本体部材216に回転力が付与され得るようになっている。理解されたいこととして、整合切欠き226は、形状において実質的に長方形に示されているが、以下で説明するように、アンカー駆動装置214の一部分に対応するために、例えば、三角形、正方形、円形、卵形、及び星形など、他の形状が利用されてもよい。
【0047】
ねじ付き外表面228上に形成されたねじ山は、例えば、セルフタッピングねじなど、任意の通常のねじ山であってもよい。ねじ山は、例えば、切断、成形、機械加工、及びそれらの組合わせなど、任意の通常の技術によって、本体部材216のねじ付き外表面228に形成されてもよい。ねじ付き外表面228に形成されたねじ山は、望ましくは非外傷性のものであり、すなわち、縫合糸アンカー212が骨の中へと前進又は移植されるとき、ねじ山は、いかなる付加的な又は過剰な組織の損傷又は傷害をも生じない。
【0048】
先端部材218は、後端部230と、前端部232と、縫合糸受容切欠き234と、それらを貫いて延びるカニューレ236とを有している。先端部材218は、縫合糸アンカー212を骨に挿入するのを容易にするために、長手軸238に向かって先細となっている。縫合糸受容切欠き234は前端部232と交差しており、1本又は2本以上の縫合糸を中に受容するように構成されている。縫合糸受容切欠き234は、一方の側を長手軸238に対して平行として、実質的にV字形状をなしてもよく、また近位側の方向に前端部232から先細となっていてもよい。縫合糸アンカー212が骨に挿入されると、縫合糸240の一部分又は縫合糸ループが、縫合糸受容切欠き234の内側で圧迫されるか、締め付けられるか、あるいは挟まれることによって、縫合糸受容切欠き234の楔形状で固定され得る。縫合糸240又は縫合糸ループは、以下で説明されるように、縫合糸204又は縫合糸ループを固定するために結節が必要とならないようにするために、縫合糸アンカー212と骨との間の圧入によって更に固定されてもよい当業者には理解されるように、縫合糸240の張力は、縫合糸アンカー212を患者の骨に挿入するのに先立って調節されてもよい。縫合糸アンカー212は、縫合糸優先式の(suture-first)技術で使用され得るものであり、例えば、縫合糸240は、アンカー212の挿入に先立って軟組織に取り付けられてきた。
【0049】
先端部材218は、例えば、先端部材218を本体部材216の前端部222(すなわち、クリップ留めショルダー)に圧入することなどによって、任意の好適な方式で本体部材216に回転自在に連結される。先端部材218と本体部材216はまた、例えば、溝又はチャネルを使用することによって互いに取り付けられてもよい。
【0050】
本体部材216及び縫合糸アンカー212の先端部材218は、例えば、生体不活性の高分子材料であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK(商標)として販売)、ポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)など、任意の好適な材料又は材料の組合わせから作製されてもよい。縫合糸アンカー212は、コーティングされなくても、コーティングされても、例えば、抗生物質、チタン、APC、及びそれらの組合わせなど、様々な物質を含浸されてもよい。縫合糸アンカー212は、例えば、射出成形、鋳造、機械加工、成形、熱可塑性の硬化、及びそれらの組合わせなど、任意の通常の方法を用いて作製されてもよい。
【0051】
ここで図13〜15及び18〜21を参照すると、アンカー駆動装置214は、ロッド242と、そのロッド242を中心としかつロッド242に沿って移動可能なインパクタ244と、ロッド242とインパクタ244がそれを貫いて配設されるハンドル246と、ロッド242とインパクタ244を互いに対して固定された関係に維持するためのスペーサ248とを備えている。
【0052】
ロッド242は、長手軸250と、前端部254に形成された錐252(図18)と、後端部258に設けられたロッドアンカー256(図19)とを有している。一実施形態において、錐252は、尖端260と、1つ又は2つ以上の縫合糸保持切欠き262とを有する。錐252は、ロッド242に力が加えられると骨を穿刺するように構成された1つの鋭利な尖端260に向かって先細となっていてもよい。図18に示すように、点260は、ロッド242の長手軸250と整合するように方向付けられてもよい。それに代わって、錐252は、長軸250に沿って対照的に位置する2つ以上の鋭利な尖端を含んでもよい。錐252は、例えば、ステンレス鋼、チタン、又は他の好適な金属若しくは合金など、硬質な金属で作製されてよい。縫合糸保持切欠き262は、1本又は2本以上の外科用縫合糸240又は縫合糸ループを中に受容及び保持し、錐252の挿入によってそのような1本又は2本以上の縫合糸240又は縫合糸ループを骨に挿入するように適合されていてもよい。
【0053】
ロッドアンカー256は、ロッド242に連結されるか、あるいはロッド242の後端部258上に形成される。ロッドアンカー256は、一般に、円筒形の形状をなし、ロッド242の直径よりも大きな直径を有している。ロッドアンカー256は、少なくとも1つの横断ピン受容開口部264を設けられている。
【0054】
インパクタ244はインパクタスリーブ266を有しており、インパクタスリーブ266は、ロッド242の周りに回転自在にかつ摺動自在に定置されており、前方端部268(図18)と後方端部270(図19)とを有している。インパクタスリーブ266の回転を容易にするために、インパクタヘッド272がインパクタスリーブ266の後方端部270に連結されている。インパクタスリーブ266は、アンカー保持エリア274が画定されるように、インパクタスリーブ266の前方端部268がロッド242の前端部から、ある距離だけ離間する後退位置(図19及び20)と、アンカー保持エリア274に位置する縫合糸アンカー212を錐252に向かってロッド242に沿って前進させるように、インパクタスリーブ266の前方端部268が錐252に向かって移動される前進位置(図21A及び21B)との間で、ロッド242に沿って回転自在にかつ摺動自在に移動可能である。アンカー保持エリア274は、錐252からある距離だけ置いて位置する縫合糸アンカー212を受容及び保持するように適合されており、そのため、錐252と縫合糸保持切欠き262によって保持されている縫合糸240とが、縫合糸アンカー212から干渉を受けることなく、選択された深さだけ、骨に挿入され得るようになっている。インパクタスリーブ266は、インパクタスリーブ266の前方端部268から延びる駆動突出部276(図15)を有しており、この駆動突出部276は、インパクタスリーブ266によって縫合糸アンカー212に回転力が付与されるように、縫合糸アンカー212の整合切欠き226と嵌合可能である。
【0055】
インパクタヘッド272は、インパクタスリーブ266の後方端部270に連結されており、縫合糸アンカー212を骨に挿入する間に外科用ハンマーの往復運動によって衝突を受けるように、かつ手動で回転されるように構成及び寸法決めされている。一実施形態において、インパクタヘッド272は、ネックを画定するコネクタ278でインパクタスリーブ266に連結される。コネクタ278は、形状において円筒形であり、インパクタヘッド272の回転がインパクタスリーブ266を回転させるような方式で、一方の端部をインパクタヘッド272に連結され、もう一方の端部をインパクタスリーブ266に連結されている。コネクタ278は、ロッドアンカー256を摺動自在に受容するための凹部280を有している。コネクタ278の凹部280(図21A)は、インパクタスリーブ266が後退位置と前進位置との間でロッド242及びロッドアンカー256に対して摺動自在に移動可能となるように、インパクタヘッド272のカニューレ282に対応している。コネクタ278は、1つ又は2つ以上の横断ピン受容開口部284を更に有しており、この横断ピン受容開口部284は、インパクタ244が後退位置にあるとき、ロッドアンカー256のピン受容開口部264と整合可能である。
【0056】
インパクタスリーブ266、インパクタヘッド272、及びコネクタ278は、例えば、ステンレス鋼、チタン、プラスチック、及びそれらの組合わせなど、任意の好適な材料から作製され得る。また、インパクタスリーブ266、インパクタヘッド272、及びコネクタ278は、別々の部品として示されてきたが、インパクタ244が単一の部品として形成されてもよいことが明らかとなろう。
【0057】
ハンドル246は本体部材を有し、本体部材は、インパクタスリーブ266を回転自在に受容するための中央ボア286と、インパクタ244が長手方向の関係において固定されている間にハンドル246に対して回転可能となるように、コネクタ278の一部分を回転自在に受容するためのカウンタボア288とを有している。この目的で、一例として、ハンドル246は、コネクタ278をハンドル246に連結するために、軸受組立体290を有してもよい。
【0058】
ハンドル246は、滑り止め表面を備えて設計され、ユーザーの手でしっかりと把持されるように付形されてもよい。ハンドル246は、例えば、金属及びプラスチックなど、多様な材料から構成され得る。ハンドル246は、縫合糸固定カラー292を更に有してもよい。縫合糸固定カラー292は、その中に形成された1つ又は2つ以上の縫合糸保持切欠き294を有している(図19)。1つ又は2つ以上の縫合糸保持切欠き294は、1本又は2本以上の外科用縫合糸(図示せず)を中に受容及び保持するように適合されている。
【0059】
スペーサ248は、錐252が骨に挿入されているとき、ロッド242とインパクタ244を互いに対して不動に維持するように働く。スペーサ248が取り除かれると、インパクタ244は、ロッド242及びロッドアンカー256の周りで回転し、かつ互いに対して長手方向にスライドできるようになる。スペーサ248は、カラー296と、ピン298と、タブ300と、を備えている。スペーサ248は、例えば、チタン、ステンレス鋼、プラスチック、ポリマー、樹脂、非金属、及びそれらの組合わせなど、任意の好適な材料から構成され得る。
【0060】
カラー296は、コネクタ278を選択的に把持するように適合されており、そのため、スペーサ248をコネクタ278に取外し自在に取り付けることができる。カラー296は、例えば、所定の大きさの力がタブ300に加えられたときに、スペーサ248をコネクタ278から分離するように構成されている。理解されたいこととして、カラー296は半円形の構造物として示されているが、本明細書で開示される発明概念のいくつかの実施形態は、例えば、ばね押しカラー296を備えてもよい。更に理解されたいこととして、カラー296は、本明細書で開示される発明概念のいくつかの例示的な実施形態において省かれてもよい。
【0061】
ピン298は、円筒形の形状をなして示されており、コネクタ278のピン受容開口部284のうちの1つ又は2つ以上を通じて、そしてロッドアンカー256のピン受容開口部264を通じて、取外し自在に挿入されるように適合されている。
【0062】
タブ300は、ユーザーがスペーサ248をコネクタ278の周りに定置できるように構成及び寸法決めされており、そのため、ピン298が、コネクタ278のピン受容開口部284を通じて、そしてロッドアンカー256のピン受容開口部264を通じて挿入されるとき、カラー296がインパクタヘッド272とハンドル246との間に配設されるようになっている。
【0063】
スペーサ248をコネクタ278に取り付けるために、ロッドアンカー256がコネクタ278の凹部280に嵌め込まれ、必要に応じて回転されて、ロッドアンカー256及びコネクタ278それぞれのピン受容開口部264と284が整合される。次に、ピン298が、整合されたピン受容開口部284とピン受容開口部264とを通じて挿入され、カラー296がコネクタ278と係合される。
【0064】
使用において、縫合糸アンカーシステム210は、縫合糸240などの1本以上の縫合糸で軟組織302を骨304に付着させるために使用されてもよい。縫合糸240は、当業者には理解されるように、任意の通常の縫合糸240であってもよい。軟組織302は、例えば、回旋筋腱板、腱、靱帯、筋肉、結合組織、及びそれらの組合わせであってもよい。当業者には明らかとなるように、縫合糸240は、縫合糸ループが形成されるように軟組織302に取り付けられる。患者の骨304に付着される軟組織302に縫合糸240が取り付けられると、本開示による縫合糸アンカーシステム210は、縫合糸240を患者の骨304に係留するために使用され得る。
【0065】
軟組織302を骨304に付着させるための方法の例示的な一実施形態が、概して、図22A〜22Eに記載するように進行する。縫合糸受容切欠き234が錐252の縫合糸受容切欠き262と実質的に整合されるように、縫合糸アンカー212が、アンカー駆動装置214のアンカー保持エリア274に定置され得る。係留される縫合糸240は、縫合糸240が少なくとも部分的に縫合糸保持切欠き262内に位置するように、縫合糸保持切欠き262に入れられる。
【0066】
移植部位が、患者の骨304(図22B)上で識別及び選択される。錐252を骨304に中に前進させることによって、その位置で骨304が穿刺される(図22C)。骨304を穿刺する力は、ハンドル246及び/又はインパクタヘッド272に加圧して錐252を骨304の中に前進させる外科医によって、あるいは、例えばアンカー駆動装置214のインパクタヘッド272に外科用ハンマーで衝撃を加えることを含めた任意の他の好適な手段によって、手動で供給され得る。図22Cに示すように、縫合糸240は、錐252と共に骨304の中に前進される。錐252が骨304の中に前進されるときに、縫合糸240が回転又は捻回されることを防止するために、縫合糸240は(例えば、縫合糸240を縫合糸保持切欠き294の中に固定することによって)張力下に維持される。縫合糸240は、適切な張力が縫合糸240に発生して骨304に対する軟組織302の付着強度と位置が適正となるように、アンカー駆動装置214に対して引っ張られている。加えて、縫合糸アンカー212の尖端部材218は、アンカー駆動装置214と共に骨304の中に前進され、尖端部材218が骨304に挿入されるようになっている。
【0067】
所定の大きさの力をタブ300に加えてカラー296をコネクタ278から離脱させ、ピン受容開口部284から、そして横断ピン受容開口部264からピン298を取り外すことなどによって、スペーサ248がインパクタ244から取り外される。スペーサ248は、処分されても、滅菌され再使用されてもよい。当業者には理解されるように、スペーサ248を取り外すことにより、ロッドアンカー256はコネクタ278に対して回転及びスライドできるようになる。次に、これにより、インパクタスリーブ266がロッド242に対して回転及びスライドできるようになる。ロッドアンカー256は、図21Aに示されるように、この工程の間にインパクタヘッド272のカニューレ282によって受容され得る。
【0068】
図22Dに示されるように、インパクタスリーブ266が本体部材216を回転させ、ねじ付き外表面228が骨304と係合し、縫合糸アンカー212が骨304の中へと前進するように、回転力がインパクタヘッド272に加えられる。インパクタスリーブ266上の任意選択によるマーキング(図示せず)は、縫合糸アンカー212が骨304の中へと所望の深さまで前進されていることを示唆する視覚的な案内装置として働き得る。
【0069】
当業者には理解されるように、骨304から尖端部材218に及ぼされる圧縮力は、本体部材216が回転され骨304の中へと前進されるときに、尖端部材218が回転するのを防止し、そのため、縫合糸アンカー212が骨304に移植されるとき、縫合糸受容切欠き234と縫合糸保持切欠き262との間の整合が実質的に維持される。インパクタスリーブ266は、縫合糸アンカー212が所望の深さまで骨304の中に前進されるまで回転される。
【0070】
図22Eに示されるように、アンカー駆動装置214は、縫合糸アンカー212がロッド242から外れるように錐252を骨304から引き抜くことによって、骨304から取り外され得る。縫合糸240の端部は、必要に応じてあるいは所望により、刈り取られてもよい。理解されたいこととして、1本、2本、3本、又はそれ以上の縫合糸240、縫合糸ループ、及びそれらの組合わせが、単一又は複数の縫合糸アンカー212によって骨304に付着されてもよい。例えば、特定の縫合糸240が、2箇所以上の位置で2つ以上の縫合糸アンカー212を用いて、骨304に付着されてもよい。別の例として、複数の縫合糸240が、縫合糸アンカー212によって1箇所の位置で付着されてもよい。更に別の例として、単一の縫合糸240が、単一の縫合糸アンカー212によって骨304に付着されてもよい。
【0071】
ここで図23及び24を参照すると、本明細書で開示される発明概念に従って構成された縫合糸アンカーシステム310の別の実施形態が示されている。縫合糸アンカーシステム310は、縫合糸アンカー312とアンカー駆動装置314とを有している。
【0072】
縫合糸アンカー312は、後端部318と、前端部320と、カニューレ322と、縫合糸受容切欠き324と、整合切欠き(図示せず)と、1つ又は2つ以上の保持リブ326とを有する本体部材316を有している。縫合糸アンカー312は、例えば、縫合糸アンカー102と同様に構成又は提供されてもよい。いくつかの実施形態においては、縫合糸アンカー312は、例えば、上述した縫合糸アンカー102a、縫合糸アンカー102b、縫合糸アンカー102c、又は縫合糸アンカー212と同様に構成又は提供されてもよい。カニューレ322は、本体部材316を貫いて後端部318から前端部320へと延びている。
【0073】
アンカーシステム314は、ロッド328と、ハンドル336と、インパクタ340と、を有する。ロッド328は、長手軸330と、前端部334に形成された錐332と、後端部338と、を含む。アンカー駆動装置314は、以下で議論する方式でロッド328の前端部334に隣接して縫合糸ループを形成できるようにアンカー駆動装置314がカニューレ付きとなっていることを除き、上述したアンカー駆動装置104と類似している。一実施形態において、ロッド328は、前端部334から後端部338へと延びるカニューレ350を設けられる。カニューレ350はハンドルのカニューレ351と整合されて、ロッドの前端部334からハンドル336の近位端部へと延びるカニューレが形成される。
【0074】
カニューレ350は端部354で開口し、縫合糸ループ352が端部354を越えて、あるいは突起356を越えて延び得るようになっている(この場合、当業者には明らかとなるように、縫合糸ループ352もまた端部354を越えて延びることになる)。縫合糸ループ352は、1本又は2本以上の縫合糸を捕捉するように適合されている。
【0075】
カニューレアクセス開口部362がハンドル336の端部364上に位置して示されており、また、実質的にハンドル336の端部364を貫いて延びるカニューレ350は、カニューレアクセス開口部へと開口している。カニューレアクセス開口部362は、実質的にカニューレ350と同軸であるものとして示されているが、理解されたいこととして、カニューレアクセス開口部362は、例えば、約0度〜約90度の様々な角度で、カニューレ350に対して斜行していてもよい。カニューレアクセス開口部362は、例えば、外科医が縫合糸ループ352をカニューレ350に通すことができるように、また所望により、縫合糸ループ352の張力及び位置を調節できるように適合されている。縫合糸ループ352は、例えば、縫合糸ループ352が端部354を越えてあるいは突起356を越えて延びるように、外科用縫合糸を折り、カニューレ350に挿入することによって形成されてもよい。縫合糸ループは同様に、例えば、縫合糸の一方の端部を、カニューレアクセス開口部362に通し、カニューレ350の全体に通し、端部354又は突起356を越えさせ、次いで、折り返して再びカニューレ350に通し、カニューレアクセス開口部362から出して、縫合糸ループ352が端部354を越えて、あるいは突起356を越えて延びる状態に残すことによって形成されてもよい。
【0076】
ここで図25A〜25Bを参照すると、別の縫合糸アンカーシステム380の例示的な実施形態が示されている。縫合糸アンカーシステム380は、構造及び機能において、上述した縫合糸アンカーシステム310と類似している。縫合糸アンカーシステム380は、縫合糸アンカー312とアンカー駆動装置384とを含むように示されている。アンカーシステム384がカニューレに横方向からアクセスできるように構成されていることを除き、アンカーシステム384は、構造及び機能においてアンカーシステム314と類似している。より具体的に言えば、アンカーシステム384は、長手軸388、前端部392に形成された錐390を有するロッド386と、ロッド386の後端部392に設けられたハンドル394と、インパクタ396とを有し、インパクタ396は、ロッド386の周りに摺動自在に定置されたインパクタスリーブ398を有し、前方端部400及び後方端部402と、インパクタスリーブ398の後方端部402に連結されたインパクタヘッド404とを有している。一実施形態において、ロッド386は、前端部392から後端部394へと延びるカニューレ406を設けられる。ハンドル384は、ハンドル384の側部にカニューレアクセス開口部408を設けられており、そのため、1つ又は2つ以上の縫合糸ループ352が、このカニューレアクセス開口部408を介してカニューレ406に挿入され得るか、あるいは通され得るようになっている。カニューレアクセス開口部408は、実質的にカニューレ406に対して垂直をなすものとして示されているが、理解されたいこととして、カニューレアクセス開口部408はカニューレに対して斜行していてもよい。
【0077】
図25Bに最良に示されるように、ハンドル384は、ハンドル384のカニューレアクセス開口部408から近位端部へと長手方向に延びる縫合糸受容スロット410を有している。同様に、インパクタヘッド404は縫合糸受容スロット412を設けられており、この縫合糸受容スロット412は、ハンドル384の縫合糸受容スロット410と整合して、インパクタヘッド404に沿って長手方向に延びている。インパクタヘッド404は、側方縫合糸受容スロット414を更に設けられてもよく、この側方縫合糸受容スロット414は、縫合糸受容スロット410と連通して、インパクタヘッド404を横方向に横断して延びている。更に、インパクタヘッド404は、インパクタヘッド404が環状溝416を有するスプールのように構成されてもよい。
【0078】
縫合糸受容スロット410、縫合糸受容スロット412、側方縫合糸受容スロット414、及び環状溝416は、それらの中に、1つ又は2つ以上の縫合糸ループを形成する1本又は2本以上の縫合糸を受容及び保持するために利用されてもよく、そのため、1つ又は2つ以上の縫合糸ループ352を形成する1本又は2本以上の縫合糸は、以下で説明するように、外科手技の間にインパクタヘッド404の周りにしっかりと巻き付けられるかあるいは又は巻き取られ得る。いかなる余分な縫合糸も、例えば縫合糸アンカー312の移植後に、インパクタヘッド404の周りに巻き取られ得る。
【0079】
ここで図26A〜26Eを参照すると、本明細書で開示される発明概念による縫合糸アンカーシステム310を使用する例示的な方法が示されている。
【0080】
図26Aに示されるように、縫合糸アンカー312が駆動装置314の上に定置されており、縫合糸ループ352が、前端部334を越えて延びて示されている。縫合糸ループ352は、例えば、縫合糸の自由端部がアクセス開口部362又は408から延びる状態で、縫合糸を送り込むかあるいはループ状にしてカニューレ350及び351に通すことによって形成され得る。縫合糸418は、軟組織420に取り付けられ、前端部334を越えて延びる縫合糸ループ352に通して配設されて示されている。
【0081】
図26Bに示されるように、縫合糸418は、縫合糸ループ352を縫合糸アンカー312及び/又はロッド328のカニューレ350の中に引き込むか、あるいは後退させることによって、縫合糸アンカー312の縫合糸受容切欠き324内に定置される。例えば、縫合糸ループ352のうちの、カニューレアクセス開口部408から延びる部分は、外科医によって引っ張られ、任意の所望の張力で固定され得る。操作の一様式において、縫合糸418は、縫合糸受容切欠き324の対向する部分に縫合糸418が定置された状態で、縫合糸アンカー312を横断する。しかしながら、理解されたいこととして、1本以上の縫合糸488の一部分が、少なくとも部分的にカニューレ350の中に延びてもよい。
【0082】
図26Cに示されるように、錐332は、例えば、好適な移植位置が外科医によって識別及び選択されると、骨422に穿刺するために使用され得る。錐332は、例えば、外科医による手作業、外科用ロボットアーム、又は、外科医用ハンマーでインパクタヘッド348を叩くことなどによって、任意の所望の方式で骨422の中に送り込まれ得る。錐332で骨422に穴を形成するために、錐332は回転されてもよい。
【0083】
図26Dに示されるように、縫合糸アンカー312は次に、インパクタスリーブ342によって骨422の中に送り込まれる。その結果、縫合糸418は、縫合糸アンカー312によって骨の中に移送される。
【0084】
図26Eに示すように、縫合糸352を縫合糸418から分離するために、縫合糸ループ352の一方の端部が解放されてもよく、次いで、錐332が縫合糸アンカー312から引き抜かれて、縫合糸アンカー312が骨422に移植された状態に残されてもよい。縫合糸418のいかなる余分な部分も、必要又は所望により、刈り取られるかあるいは切り取られてもよい。
【0085】
理解されたいこととして、図26A〜26Eに記載された方法は、例えば、図26A〜26Bを参照して上述したように、縫合糸ループ352を用意し、縫合糸アンカーシステム310のカニューレアクセス開口部362と同様に縫合糸アンカーシステム380のカニューレアクセス開口部408を利用することなどによって、縫合糸アンカーシステム380で実現するために改善され得る。
【0086】
本明細書で用いるとき、「患者」という用語は、軟組織と骨とを有する任意の種を含めて、生死に関わらず、全ての器官を包含することを意図したものである。例えば、本明細書で開示される発明概念によるある方法が、生きたヒト、ウマ、雌ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌなどにおける軟組織剥離の傷害を修復するために利用され得る。別の例において、本明細書で開示される発明概念によるある方法が、医療従事者に外科技術を身につけさせるために、死んだ器官にて利用され得る。更に別の例として、本開示によるある方法が、置換用の関節、ペースメーカーなどの医療装置を、そのような装置を骨に係留することによって、器官に移植するために利用され得る。更に別の例として、本明細書で開示される発明概念によるある方法が、肩の手術において回旋筋腱板の不安定性及び断裂を修復するために、あるいは、様々な膝、肘、股関節、手首、足首、又は他の軟組織の剥離及び関節損傷を修復するために利用され得る。
【0087】
上述の説明から明らかとなることとして、本明細書で開示及び主張する発明概念は、その目的を果たすように、また、本明細書で述べた利点、並びにこの発明概念に固有の利点を実現するように、十分に適合される。発明概念の例示的な実施形態について本開示において説明してきたが、当業者には容易に連想され、添付の特許請求の範囲で開示されかつ/又は定義されるような発明概念の趣旨の範囲で達成される多数の変更がなされ得ることが理解されよう。
【0088】
〔実施の態様〕
(1) 縫合糸アンカーであって、
本体部材であって、前端部と、後端部と、前記本体部材を貫いて前記前端部から前記後端部へと延びるカニューレと、前記縫合糸アンカーを骨の内部に保持するための1つ又は2つ以上の骨係合部材を備える外表面とを有し、前記前端部が少なくとも1つの縫合糸受容切欠きを有する、本体部材を備える、縫合糸アンカー。
(2) 前記前端部は、前記前端部に形成された、直径方向に対向する1対の縫合糸受容切欠きを有する、実施態様1に記載の縫合糸アンカー。
(3) 前記縫合糸受容切欠きは実質的にV字形状をなす、実施態様2に記載の縫合糸アンカー。
(4) 前記本体部材の前記後端部は少なくとも1つの整合切欠きを有する、実施態様1に記載の縫合糸アンカー。
(5) 前記前端部は、前記縫合糸アンカーの骨への挿入が容易となるように先細となっている、実施態様1に記載の縫合糸アンカー。
【0089】
(6) 前記前端部は弾性的に変形可能である、実施態様1に記載の縫合糸アンカー。
(7) 前記本体部材は高分子材料から構成される、実施態様6に記載の縫合糸アンカー。
(8) 先端部材を更に備え、前記先端部材は、前端部と、後端部と、前端部と、前記先端部材を貫いて前記前端部から前記後端部へと延びるカニューレとを有し、前記先端部材の前記後端部は、前記先端部材の前記カニューレが前記本体部材の前記カニューレと軸方向に整合する状態で、前記本体部材の前記前端部に回転自在に連結される、実施態様1に記載の縫合糸アンカー。
(9) 前記先端部材の前記前端部は、前記前端部に形成された、直径方向に対向する1対の縫合糸受容切欠きを有する、実施態様8に記載の縫合糸アンカー。
(10) 前記縫合糸受容切欠きは実質的にV字形状をなす、実施態様9に記載の縫合糸アンカー。
【0090】
(11) 前記本体部材の前記後端部は少なくとも1つの駆動装置受容切欠きを有する、実施態様8に記載の縫合糸アンカー。
(12) 前記本体部材の前記後端部は、直径方向に対向する1対の駆動装置受容切欠きを有する、実施態様8に記載の縫合糸アンカー。
(13) 前記先端部材は平滑な外表面を有する、実施態様8に記載の縫合糸アンカー。
(14) 前記先端部材は先細にされている、実施態様13に記載の縫合糸アンカー。
(15) 前記本体部材及び前記先端部材は高分子材料から構成される、実施態様8に記載の縫合糸アンカー。
【0091】
(16) 縫合糸アンカー駆動装置であって、
保持されるように適合された後端部と、骨に穴を形成するための少なくとも1つの尖端を有する錐を画定する前端部とを有するロッドと、
前端部と後端部とを有するインパクタスリーブを備えたインパクタであって、前記ロッドの前記前端部と前記インパクタスリーブの前記前端部との間で、前記ロッド上にアンカー保持エリアを画定するように、前記スリーブの前記前端部が前記ロッドの前記前端部から、ある距離だけ離間する後退位置と、前記インパクタスリーブが前記ロッドの前記前端部に向かって移動される前進位置との間で、前記インパクタスリーブが前記ロッドに沿って軸方向に移動可能となるように、前記インパクタスリーブは、前記ロッドの周りに摺動自在に配設される、インパクタと、を備える、縫合糸アンカー駆動装置。
(17) 前記インパクタスリーブは、前記インパクタスリーブから延びる移植片整合突起を有し、前記移植片整合突起は、縫合糸アンカーが前記ロッドの長手軸を中心として回転するのを実質的に防止するために、前記縫合糸アンカーの対応する移植片整合切欠きと嵌合するように適合されている、実施態様16に記載の縫合糸アンカー駆動装置。
(18) 前記錐の前記尖端は前記ロッドの前記長手軸と整合される、実施態様16に記載の縫合糸アンカー駆動装置。
(19) 前記ロッドは、前記尖端の近くに形成された少なくとも1つの縫合糸受容切欠きを有する、実施態様16に記載の縫合糸アンカー駆動装置。
(20) 前記錐は複数の尖端を有し、前記尖端は離間して縫合糸受容切欠きを画定している、実施態様16に記載の縫合糸アンカー駆動装置。
【0092】
(21) 前記インパクタスリーブは、前記インパクタスリーブが前記ロッドの周りで回転自在にかつ前記ロッドに沿って軸方向に移動可能となるように、前記ロッドの周りに回転自在にかつ摺動自在に配設されている、実施態様16に記載の縫合糸アンカー駆動装置。
(22) 前記アンカー駆動装置は更に、
ハンドルであって、前記インパクタスリーブが前記ハンドルを貫いて延び、前記ハンドルに対しては回転自在であるが、長手方向には不動となるような方式で、前記インパクタスリーブに連結された、ハンドルを備える、実施態様21に記載の縫合糸アンカー駆動装置。
(23) 前記ハンドルは縫合糸固定カラーを有し、該縫合糸固定カラーは、縫合糸を中に受容及び保持するように適合された少なくとも1つの切欠きを有する、実施態様22に記載の縫合糸アンカー駆動装置。
(24) 前記ロッドは、前記ロッドの前記後端部に設けられたインパクタヘッドを有し、前記アンカー駆動装置は、前記後退位置にある前記インパクタスリーブを保持するために、また、前記インパクタ及び前記ロッドによって、前記ロッドに対する前記インパクタスリーブの回転位置を固定するために、前記インパクタヘッドと前記ハンドルとの間に脱着自在に定置されたスペーサを更に備える、実施態様21に記載の縫合糸アンカー駆動装置。
(25) 前記ロッドは前記前端部から延びるカニューレを有する、実施態様16に記載の縫合糸アンカー駆動装置。
【0093】
(26) 縫合糸アンカーシステムであって、
縫合糸アンカー駆動装置であって、
前端部と後端部とを有し、前記前端部は、骨に穴を形成するための少なくとも1つの尖端を有する錐を画定する、ロッドと、
前端部と後端部とを有するインパクタスリーブを備えたインパクタであって、前記ロッドの前記前端部と前記インパクタスリーブの前記前端部との間で、前記ロッド上にアンカー保持エリアが画定されるように、前記インパクタスリーブの前記前端部が前記ロッドの前記前端部から、ある距離だけ離間する後退位置と、前記インパクタスリーブが前記ロッドの前記前端部に向かって移動される前進位置との間で、前記インパクタスリーブが前記ロッドに沿って軸方向に移動可能となるように、前記インパクタスリーブは、前記ロッドの周りに摺動自在に配設される、インパクタと、を備える、縫合糸アンカー駆動装置と、
前記ロッドの前記アンカー保持エリア上に定置された縫合糸アンカーであって、
本体部材であって、前端部と、後端部と、前記本体部材を貫いて前記前端部から前記後端部へと延びるカニューレと、前記アンカーを骨の内部に保持するための1つ又は2つ以上の骨係合部材を備える外表面とを有する、本体部材を備える、縫合糸アンカーとを備え、
前記インパクタスリーブが前記後退位置から前記前進位置へと軸方向に移動すると、前記本体部材が前記ロッドに沿って軸方向にスライドされるような方式で、前記ロッドが前記本体部材の前記カニューレを貫いて配設され、前記錐が、前記縫合糸アンカーの前記前端部を越えて延び、前記本体部材の前記後端部が前記インパクタスリーブの前記前端部と係合した状態で、前記縫合糸アンカーは、前記ロッドの前記アンカー保持エリアに定置される、縫合糸アンカーシステム。
(27) 前記ロッドは、前記尖端の近くに形成された少なくとも1つの縫合糸受容切欠きを有し、前記縫合糸アンカーの前記前端部は、その中に形成された、直径方向に対向する1対の縫合糸受容切欠きを有し、前記縫合糸アンカーの前記縫合糸受容切欠きは前記ロッドの前記縫合糸保持切欠きと整合される、実施態様26に記載の縫合糸アンカーシステム。
(28) 前記インパクタスリーブは、前記インパクタスリーブが前記ロッドの周りで回転自在にかつ前記ロッドに沿って軸方向に移動可能となるように、前記ロッドの周りに回転自在にかつ摺動自在に配設されている、実施態様26に記載の縫合糸アンカーシステム。
(29) 前記縫合糸アンカーは、先端部材を更に備え、前記先端部材は、前端部と、後端部と、前端部と、前記先端部材を貫いて前記前端部から前記後端部へと延びるカニューレとを有し、前記先端部材の前記後端部は、前記先端部材の前記カニューレが前記本体部材の前記カニューレと軸方向に整合する状態で、前記本体部材の前記前端部に回転自在に連結される、実施態様28に記載の縫合糸アンカーシステム。
(30) 前記アンカー駆動装置は、
ハンドルであって、前記インパクタスリーブが前記ハンドルを貫いて延び、前記ハンドルに対しては回転可能であるが、長手方向には不動となるような方式で、前記インパクタスリーブに連結された、ハンドルを更に備える、実施態様28に記載の縫合糸アンカーシステム。
【0094】
(31) 前記ハンドルは縫合糸固定カラーを有し、該縫合糸固定カラーは、縫合糸を中に受容及び保持するように適合された少なくとも1つの切欠きを有する、実施態様30に記載の縫合糸アンカーシステム。
(32) 前記ロッドの前記前端部は少なくとも駆動突出部を有し、前記本体部材の前記後端部は、前記ロッドの前記駆動突出部と嵌合によって係合する少なくとも1つの駆動装置受容切欠きを有し、前記ロッドの前記駆動突出部は、前記ロッドの前記縫合糸保持切欠きと整合する、実施態様28に記載の縫合糸アンカーシステム。
(33) 前記ロッドは、前記ロッドの前記後端部に設けられたインパクタヘッドを有し、前記アンカー駆動装置は、前記後退位置にある前記インパクタスリーブを保持するために、また、前記インパクタ及び前記ロッドによって、前記ロッドに対する前記インパクタスリーブの回転位置を固定するために、前記インパクタヘッドと前記ハンドルとの間に脱着自在に定置されたスペーサを更に備える、実施態様28に記載の縫合糸アンカーシステム。
(34) 前記アンカー駆動装置は、前記ロッドの前記後端部に連結されたハンドルを更に備え、前記ロッドは、前記前端部から前記後端部に向かって延びるカニューレを更に有し、前記ハンドルは、前記ロッドの前記カニューレと連通する、前記ハンドルの外表面に形成された開口部を有する、実施態様26に記載の縫合糸アンカーシステム。
(35) 軟組織を骨に係留するための方法であって、
縫合糸アンカーをロッド上に支持することであって、前記ロッドは前端部と後端部とを有し、前記前端部は、骨に穴を形成するための少なくとも1つの尖端を備えた錐を画定し、前記ロッドは、前記前端部から前記後端部に向かって延びるカニューレを有し、前記縫合糸アンカーは、本体部材を備え、前記本体部材は、前端部と、後端部と、前記本体部材を貫いて前記前端部から前記後端部へと延びるカニューレと、少なくとも1つの骨係合部材とを有する、支持することと、
少なくとも1本の縫合糸を前記縫合糸アンカーに投入することと、
前記骨上の係留位置を選択することと、
前記ロッドの前記錐で前記骨上の前記係留位置に穿刺することと、
前記縫合糸を前記骨の中に送り込むことと、
前記縫合糸アンカーを前記ロッドに沿って前記骨の中に軸方向に送り込むことと、
前記ロッドを前記骨から取り除き、それによって前記縫合糸アンカーと前記縫合糸を前記骨に残すことと、を含む、方法。
【0095】
(36) 前記ロッドは、前記前端部から前記後端部に向かって延びるカニューレを有し、前記少なくとも1本の縫合糸を前記縫合糸アンカーに投入する工程は、
縫合糸のループが前記ロッドの前記前端部に露出するように、少なくとも1本の捕捉縫合糸を前記ロッドの前記カニューレに通すことと、
前記ロッドの前記前端部にて前記縫合糸を前記縫合糸のループに供給することと、
前記縫合糸のループを締め付けることと、を含む、実施態様35に記載の方法。
(37) 前記縫合糸アンカーの前記前端部は、前記前端部に形成された、直径方向に対向する1対の縫合糸受容切欠きを有し、前記少なくとも1本の縫合糸を前記縫合糸アンカーに投入する工程は、前記少なくとも1本の縫合糸を前記縫合糸アンカーの前記縫合糸受容切欠きに定置し、それによって、前記少なくとも1本の縫合糸が前記縫合糸アンカーによって前記骨の中に運ばれることを含む、実施態様35に記載の方法。
(38) 軟組織を骨に係留するための方法であって、
縫合糸アンカーをロッド上に支持することであって、前記ロッドは前端部と後端部とを有し、前記前端部は、骨に穴を形成するための少なくとも1つの尖端を備えた錐を画定し、前記ロッドは、前記尖端の近くに形成された少なくとも1つの縫合糸保持切欠きを有し、前記縫合糸アンカーは、
本体部材であって、前端部と、後端部と、前記本体部材を貫いて前記前端部から前記後端部へと延びるカニューレと、ねじ付き外表面とを有する、本体部材と、
先端部材であって、前端部と、後端部と、前記先端部材を貫いて前記前端部から前記後端部へと延びるカニューレとを有し、前記先端部材の前記後端部は、前記先端部材の前記カニューレが前記本体部材の前記カニューレと軸方向に整合する状態で、前記本体部材の前記前端部に回転自在に連結される、先端部材とを備える、支持することと、
少なくとも1本の縫合糸を前記ロッドの前記縫合糸保持切欠きに投入することと、
前記骨上の係留位置を選択することと、
前記ロッドが前記縫合糸の一部分を前記骨の中に運ぶようにするために、前記ロッドで前記骨上の前記係留位置に穿刺することと、
前記縫合糸アンカーの前記先端部材を前記骨の中に押し込むことと、
前記縫合糸アンカーを前記骨にねじ係合によって挿入するために、また前記縫合糸アンカーが前記ロッドに沿って軸方向にスライドするようにするために、前記縫合糸アンカーの前記本体部材を回転させることと、
前記ロッドを前記骨から取り除き、それによって前記縫合糸アンカーと前記縫合糸を前記骨に残すことと、を含む、方法。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図22C
図22D
図22E
図23
図24
図25A
図25B
図26A
図26B
図26C
図26D
図26E