(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-12170(P2017-12170A)
(43)【公開日】2017年1月19日
(54)【発明の名称】香味変化を順次発現させるガム組成物及びこれを用いたガム製造方法
(51)【国際特許分類】
A23G 4/00 20060101AFI20161222BHJP
【FI】
A23G3/30
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-132394(P2016-132394)
(22)【出願日】2016年7月4日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0094501
(32)【優先日】2015年7月2日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】501401593
【氏名又は名称】ロッテ コンフェクショナリー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】307013857
【氏名又は名称】株式会社ロッテ
(74)【代理人】
【識別番号】100102875
【弁理士】
【氏名又は名称】石島 茂男
(74)【代理人】
【識別番号】100106666
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 英樹
(72)【発明者】
【氏名】パク チゲォル
(72)【発明者】
【氏名】ユーン スック
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン ジンキュン
(72)【発明者】
【氏名】リー キュヨン
(72)【発明者】
【氏名】イェア ミョンジャイ
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB13
4B014GG12
4B014GG18
4B014GK03
4B014GK05
4B014GK07
4B014GL03
4B014GL10
4B014GL11
4B014GP01
4B014GP20
(57)【要約】
【課題】香味が順次変化するガム組成物を提供する。
【解決手段】本発明は香味が順次変化するガム組成物及びこれを用いたガム製造方法に関するもので、より詳しくは香味(flavor)伝達(Delivery)システムの原理を用いて咀嚼と口腔内唾液によって香味成分が溶解されて溶出される時点が異なる異種の香味剤を添加することで、種々の香味が混合されて新しい香味が現れるものではなく、それぞれの香味が連続的、つまり順次味がする新概念のガム組成物及びこれを実現するための製造方法に関するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)香味(flavor)放出時間が1〜100秒である第1香味剤;及び
(B)香味(flavor)放出時間が100〜300秒である第2香味剤;
を含むことを特徴とする、香味が順次変化するガム組成物。
【請求項2】
第1香味剤と第2香味剤の重なる香味(flavor)放出時間は20〜30秒であることを特徴とする、請求項1に記載の香味が順次変化するガム組成物。
【請求項3】
前記第1香味剤はコア/シェルの構造であり、
コアは砂糖、ソルビトール、イソマルトまたはこれらの混合物を含み、
シェルは親油性マトリックスに香味(flavor)粒子を含み、
シェルの表面はアラビアゴムまたはマルトデキストリンまたはこれらの混合物からなるコーティング膜で被覆されたことを特徴とする、請求項1に記載の香味が順次変化するガム組成物。
【請求項4】
前記第2香味剤はゼラチンが含まれたマトリックスに香味(flavor)成分と脂肪が封入されたことを特徴とする、請求項1に記載の香味が順次変化するガム組成物。
【請求項5】
前記第2香味剤は、
ガム、加工澱粉、セルロース誘導体及びこれらの混合物からなる群から選択される第1炭水化物;またはグルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、キシリトール、ソルビトール及びこれらの混合物からなる群から選択される第2炭水化物;またはこれらの混合物をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の香味が順次変化するガム組成物。
【請求項6】
前記第1香味剤はガム組成物総重量に対して0.5〜2.0重量%、第2香味剤はガム組成物総重量に対して0.5〜3.0重量%を含むことを特徴とする、請求項1に記載の香味が順次変化するガム組成物。
【請求項7】
前記ガム組成物は、
ガムベース13〜40重量%;
蔗糖脂肪酸エステル0.5〜1.5重量%;
トリアセチン0.1〜0.5重量%;
第1香味剤0.5〜2.0重量%;
第2香味剤0.5〜3.0重量%;及び
残量の甘味料または糖類;
を含むことを特徴とする、請求項6に記載の香味が順次変化するガム組成物。
【請求項8】
前記ガムベースは、
粘度が90±50cpsであるガムベース3〜10重量%;
粘度が200±50cpsであるガムベース5〜15重量%;及び
粘度が400±50cpsであるガムベース5〜15重量%;
を含むことを特徴とする、請求項7に記載の香味が順次変化するガム組成物。
【請求項9】
ガム組成物をミキサーで混合する段階を含むガム製造方法であって、
第1香味剤と第2香味剤の投入時期は、第1香味剤を入れた後に第2香味剤を順次投入し、
第1香味剤は、ミキサーの総回転数を100%にしたとき、総回転数の85〜90%となる時点で投入し、第2香味剤は総回転数の95〜98%となる時点で投入して混合することを特徴とする、香味が順次変化するガムの製造方法。
【請求項10】
前記ガム組成物は、ガムベースと糖類または甘味料を一次混合した後、トリアセチンと蔗糖脂肪酸エステルをさらに添加して二次混合し、第1香味剤と第2香味剤の順に投入して順次混合することを特徴とする、請求項9に記載の香味が順次変化するガムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は香味が順次変化するガム組成物及びこれを用いたガム製造方法に関するもので、より詳しくは香味(flavor)放出時間が相異なる異種の香味剤を添加することで、種々の香味が混合されて新たな香味が出るものではなく、それぞれの香味が連続して、つまり順次出る新概念のガム組成物及びこれを用いたガム製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ガムは味と咀嚼感を与える単純嗜好食品から始まり、口臭除去、歯のホワイトニング、虫歯予防などの口腔清浄機能を持つ機能性ガムに発展して開発されている。一般に、チューイングガムはガムベースに各種添加物などを混合して製造される。
【0003】
消費者の興味を高めるために、香料、酸味剤、甘味剤などの添加物を使い、これによって引き起こされる香味は長時間の咀嚼によってその強度が低下し、最終的にはなくなる。近年では、消費者のガムに対する香味の持続性に対する需要が増えて多くの製品が市販されている。
【0004】
一例として、大韓民国特許公開第2013−0043028号は味と香りを持続的に維持するチューイングガム組成物に関するもので、味または香りを発現する酸味剤、甘味剤、香料のような添加物をポリビニルアセテートと混合して硬い添加剤粉末を製造し、既存のガム組成物に添加することにより、長時間咀嚼しても味と香りとを持続的に維持するようになるチューイングガム組成物を提供する。
【0005】
しかし、これは既存のチューイングガムと同一概念のもので、既存製品の質的な向上は可能であろうが、消費者に新概念のガムを提供することはできない。
【0006】
近年の菓子市場では、健康、天然物、楽しみ(fun)を主題とする傾向の製品が増加し続けていることから、本発明者らは多様なガムの消費を望む消費者の時代的要求に応えることができる新概念のガムを提供しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国第2013−0043028号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明者は消費者に食感の拒否感がないながらも新しい組成のガムを研究したところ、唾液及び咀嚼によって香味(flavor)成分が放出される時間が相異なる香味剤を混合して使用する場合、香味成分が調和して新たな香味を提供するものではなく、香味が順次変化して味の楽しさとバランスが釣り合った新概念のガムを提供することができることが分かって本発明を完成するに至った。
【0009】
したがって、本発明の目的は、香味が順次変化するガム組成物を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、香味が順次変化するガムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を解決するために、本発明は、(A)香味(flavor)放出時間が1〜100秒である第1香味剤;及び(B)香味(flavor)放出時間が100〜300秒である第2香味剤;を含む、香味が順次変化するガム組成物を提供する。
また、本発明は、第1香味剤と第2香味剤の重なる香味(flavor)放出時間は20〜30秒である、香味が順次変化するガム組成物を提供する。
また、本発明は、前記第1香味剤はコア/シェルの構造であり、コアは砂糖、ソルビトール、イソマルトまたはこれらの混合物を含み、シェルは親油性マトリックスに香味(flavor)粒子を含み、シェルの表面はアラビアゴムまたはマルトデキストリンまたはこれらの混合物からなるコーティング膜で被覆された、香味が順次変化するガム組成物を提供する。
また、本発明は、前記第2香味剤はゼラチンが含まれたマトリックスに香味(flavor)成分と脂肪が封入された、香味が順次変化するガム組成物を提供する。
また、本発明は、前記第2香味剤は、ガム、加工澱粉、セルロース誘導体及びこれらの混合物からなる群から選択される第1炭水化物;またはグルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、キシリトール、ソルビトール及びこれらの混合物からなる群から選択される第2炭水化物;またはこれらの混合物をさらに含む、香味が順次変化するガム組成物を提供する。
また、本発明は、前記第1香味剤はガム組成物総重量に対して0.5〜2.0重量%、第2香味剤はガム組成物総重量に対して0.5〜3.0重量%を含む、香味が順次変化するガム組成物を提供する。
また、本発明は、前記ガム組成物は、ガムベース13〜40重量%;蔗糖脂肪酸エステル0.5〜1.5重量%;トリアセチン0.1〜0.5重量%;第1香味剤0.5〜2.0重量%;第2香味剤0.5〜3.0重量%;及び残量の甘味料または糖類;を含む、香味が順次変化するガム組成物を提供する。
また、本発明は、前記ガムベースは、粘度が90±50cpsであるガムベース3〜10重量%;粘度が200±50cpsであるガムベース5〜15重量%;及び粘度が400±50cpsであるガムベース5〜15重量%;を含む、香味が順次変化するガム組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、ガム組成物をミキサーで混合する段階を含むガム製造方法であって、第1香味剤と第2香味剤の投入時期は、第1香味剤を入れた後に第2香味剤を順次投入し、第1香味剤は、ミキサーの総回転数を100%にしたとき、総回転数の85〜90%となる時点で投入し、第2香味剤は総回転数の95〜98%となる時点で投入して混合する、香味が順次変化するガムの製造方法を提供する。
また、本発明は、前記ガム組成物は、ガムベースと糖類または甘味料を一次混合した後、トリアセチンと蔗糖脂肪酸エステルをさらに添加して二次混合し、第1香味剤と第2香味剤の順に投入して順次混合する、香味が順次変化するガムの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるガム組成物は、唾液と咀嚼による香味成分の放出時間が相異なる香味剤を使うことで、香味剤の味と香りの変化をそれぞれ順次感じるという点で消費者に新概念のガムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】咀嚼時間による第1香味剤と第2香味剤の香味強度(flavor intensity)を示したグラフである。
【
図2】本発明に使われる第1香味剤を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を一実施例に基づいてより詳細に説明する。
【0016】
本発明は、(A)香味放出時間が1〜100秒である第1香味剤;及び(B)香味放出時間が100〜300秒である第2香味剤を含む、香味が順次変化するガム組成物を提供する。
【0017】
香味とは、食品の賞味性に関与する味覚と嗅覚その他の感覚(咀嚼感、口腔内の触感、温度感覚、視覚、聴覚など)を総合したものを意味し、最近では揮発性の香味成分をカプセル化して香味成分の放出(又は発現)を制御するカプセル化したフレーバー(flavor)が提供されている。
【0018】
本発明に使われる第1香味剤も香味成分の放出が制御される粒子で、スイスの香料製造社であるジボダン社(Givaudan)で製造した商品名BURST製品を使うことが好ましい。そのうち、唾液と咀嚼による香味成分の放出が、咀嚼開始から比較的早い時間である1〜100秒後に開始されるBURST製品を使う。
【0019】
具体的には、前記第1香味剤はコア/シェルの構造を持つものであり、そのコアは砂糖、ソルビトール、イソマルトまたはこれらの混合物を含み、シェルは親油性マトリックスに香味粒子を含む。さらに、シェルの表面はアラビアゴム、またはマルトデキストリンまたはこれらの混合物でコーティングされている。
【0020】
また、第1香味剤はマトリックスに香味粒子をカプセル化する過程によって製造されたもので、具体的にカプセルを作るための小粒子の粒子化過程は流動層乾燥機(fluid−bed drier)を用い、3〜4時間繰り返しコーティングして製造することになる。このように製造された第1香味剤の断面は
図2に示したようになる。
【0021】
次に、本発明で使用する第2香味剤は、香味放出時間が100〜300秒、好ましくは120〜300秒の徐放性を持つもので、WO2005/084458に開示された粒子状香味組成物(particulate flavoring composition)技術を基にしてジボダン社(Givaudan)で製品化した商品名BURST製品を使う。
【0022】
具体的に、第2香味剤は、ゼラチンが含まれたマトリックスに香味成分と脂肪が封入されたもので、香味成分をカプセル化させることによって香味成分の放出速度を調節したフレーバー伝達(flavor delivery)システム技術が導入されたものである。
【0023】
前記第2香味剤は、ガム、加工澱粉、セルロース誘導体及びこれらの混合物からなる群から選択される第1炭水化物;またはグルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、キシリトール、ソルビトール及びこれらの混合物からなる群から選択される第2炭水化物;またはこれらの混合物をさらに含むことで、香味成分の放出速度を調節することができる。
【0024】
また、第2香味剤の香味成分は、親油性成分を30%以上含む物質を多重に10〜12時間長時間コーティングすることが特徴である。
【0025】
本発明における第1香味剤と第2香味剤は香味放出の重複時間が最小20秒、最大30秒であるものを選択的に使うことが好ましい。香味放出の重複時間が20秒未満の場合、本発明で目的とする望ましい香味変化のガムと評価することができず、香味放出の重複時間が30秒を超える場合、第1香味剤と第2香味剤の香味の混合により、順次味を発現させるのに限界があるから、前記範囲内で使用することがよい。
【0026】
このような唾液と咀嚼により、香味成分放出時間の差を用いて香味が順次変化するガム組成物は本発明で最初に試されるものである。言い換えれば、香味の放出時間差により、ガムを長時間噛んでもそれぞれの香味が段階的に持続的に発現されるという点で本発明のガム組成物は消費者の好みを満足させることができるものである。
【0027】
また、前記第1香味剤は、ガム組成物の総重量に対して0.5〜2.0重量%使うことが好ましい。第1香味剤が0.5重量%未満の場合、初期に味が弱くなる問題があり、2.0重量%を超える場合、ガムの成形の問題及び原価上昇の問題と、第2香味剤の味が相対的に弱くなる問題があるから、前記範囲内で使うことが良い。
【0028】
また、前記第2香味剤は、ガム組成物の総重量に対して0.5〜3.0重量%使うことが好ましい。第2香味剤が0.5重量%未満の場合、味が弱くて味の変化が明確ではなくなる問題があり、3.0重量%を超える場合、ガムの成形の問題、原価の問題、相対的に第1香味剤の味が弱くなって味の変化が明確ではなくなる問題があるから、前記範囲内で使うことが良い。
【0029】
具体的に、本発明のガム組成物は、ガムベース13〜40重量%;蔗糖脂肪酸エステル0.5〜1.5重量%;トリアセチン0.1〜0.5重量%;第1香味剤0.5〜2.0重量%;第2香味剤0.5〜3.0重量%;及び残量の甘味料または砂糖を含む。
【0030】
この際、前記ガムベースは、粘度が90±50cpsであるガムベース3〜10重量%;粘度が200±50cpsであるガムベース5〜15重量%;及び粘度が400±50cpsであるガムベース5〜15重量%を含むことが好ましい。粘度の相異なるガムベースを使うことは添加される香味を相異なる時間で発現させることに役立つからである。
【0031】
次に、前記蔗糖脂肪酸エステルは互いに混合されない液体や固体を液体に均一に分散させるために使われる添加物で、ガム組成物の総重量に対して0.5〜1.5重量%を使うことが好ましい。蔗糖脂肪酸エステルが0.5重量%未満の場合、ガムの混合性の問題、製造工程の問題、歯牙に付着する問題があり、1.5重量%を超える場合、感触が柔らかくなる問題があるから、前記範囲内で使うことが良い。
【0032】
また、トリアセチンはガムを軟化させるもので、ガム組成物の総重量に対して0.1〜0.5重量%使うことが好ましい。トリアセチンが0.1重量%未満の場合、感触が固くなる問題があり、0.5重量%を超える場合、感触が柔らかくなる問題があるから、前記範囲内で使うことが好ましい。第1香味剤と第2香味剤の使用含有率は前述した通りである。
【0033】
また、ガム組成物の残量は甘味料または糖類を含むことができる。シュガーレスガムの場合には甘味料を使い、砂糖ガムの場合には糖類を使う。これはガムの特性によって設計及び変更可能である。
【0034】
具体的に、シュガーレスガムの場合、前記甘味料はキシリトールまたはD−マルチトールまたはこれらの混合物である。この際、キシリトールはガム組成物の総重量に対して40〜60重量%を使うことが好ましい。キシリトールが40重量%未満の場合、ガムの味と清涼感に問題があり、60重量%を超える場合、原価上昇の問題があるから、前記範囲内で使うことが良い。また、D−マルチトールは20〜30重量%を使うことが好ましい。D−マルチトールが20重量%未満の場合、ガムの適切な粘性維持に問題があり、30重量%を超える場合、ガムの味と清涼感が足りなくなる問題があるから、前記範囲内で使うことが良い。
【0035】
次に、砂糖ガムの場合、砂糖はガム組成物の総重量に対して40〜60重量%、水飴3〜10重量%、及び葡萄糖5〜10重量%を使うことが好ましいが、これはガムの性質によって変更可能である。
【0036】
また、コーティングガムはアラビアゴムをさらに含む。これはコーティングガムを糖衣がけするときにコーティング層の被膜剤の役目をするもので、ガム組成物の総重量に対して1〜3重量%を使うことが好ましい。アラビアゴムが1重量%未満の場合、糖シロップの粘性が弱くなってコーティングがうまくできない問題があり、3重量%を超える場合、粘性があまりにも強くてコーティング表面が滑らかにならないという問題があるから、前記範囲内で使うことが良い。
【0037】
終わりに、本発明のガム組成物でコーティングガムを製造する場合、被膜剤をさらに含むことができ、これはガムの全組成物に対して0.05〜0.5重量%を使うことが好ましい。被膜剤が0.05重量%未満の場合、コーティングガムの光沢が低下する問題があり、0.5重量%を超える場合、温度30度、湿度75%の夏季にガム付着の問題が発生し得ることから、前記範囲内で使うことが良い。
【0038】
前述したように、本発明のガム組成物は、唾液と咀嚼によって溶解し、香味成分の放出が開始されるまでの時間が異なる香味剤を混合して使用する場合、香味成分が同時に溶解して混合された新たな香味を提供するものではなく、それぞれの香味成分が順次香味を発現させながら味の楽しさとバランスとが均衡をもたらす新概念のガムを提供することができる。
【0039】
また、本発明は、ガム組成物をミキサーで混合する段階を経てガムを製造する方法において、第1香味剤と第2香味剤の投入時期は、第1香味剤を入れた後に第2香味剤を順次投入する。この際、第1香味剤はミキサーの総回転数を100%にしたとき、総回転数の85〜90%となる時点に投入し、第2香味剤は総回転数の95〜98%となる時点に投入して混合することを特徴とする香味が順次変化するガムの製造方法を提供する。
【0040】
第1香味剤の投入時期が総回転数の85%未満の場合、香味成分が溶解して初期に放出がうまくできない問題があり、90%を超える場合、均一に混合されない問題があり、第2香味剤の投入時期が総回転数の95%未満の場合、長時間の混合によって熱と圧力に伴う香料成分が溶解して後半に発現がうまくできない問題があり、98%を超える場合、均一に混合されない問題があるから、前記範囲内で投入することが良い。
【0041】
具体的に、本発明によるガム組成物は、ガムベースと糖類または甘味料を一次混合した後、トリアセチンと蔗糖脂肪酸エステルをさらに添加して二次混合し、第1香味剤と第2香味剤の順に投入して混合することが好ましい。
【0042】
一次混合及び二次混合の後に第1香味剤と第2香味剤を順次投入することは、第1香味剤と第2香味剤が前半と後半に口腔内で順次うまく発現するようにするためである。
【0043】
本発明は、ガム組成物だけでなく、投入順序及び投入時期に合うように組成物を投入することで、第1香味剤と第2香味剤がそれぞれの固有の香味を発現することができる香味が順次変化するガムを提供することができるものである。
【0044】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。しかし、これら実施例は本発明を例示するためのもので、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
下記表1に示したガム組成物を用意した。この際、ガム組成物の総含有率は100重量%であり、香味剤の含有率によってキシリトールの含有率は変更して適用される。
【0049】
製造例で用意した前記表1に示したガム組成物に、下記表2の第1香味剤及び第2香味剤を順次混合して最終ガム組成物を製造し、最終ガム組成物をローラーで成形して厚さ0.3mmの板ガムを製造した。この際、第1香味剤は、ミキサーの総回転数を400にしたとき、回転数が340となる時点に投入し、第2香味剤は回転数が380となった時点で投入して混合した。
【0051】
比較例1〜4:板ガムの製造
製造例で用意した前記表1に示したガム組成物に、下記表3に示した香味剤を設定された投入時期に添加して混合することで、最終ガム組成物を収得した。これをローラーで0.3mmの厚さに成形して板ガムを製造した。
【0053】
実験例1:実施例1で製造した板ガムに対する香味分析
ガムの香味変化分析は、ガムの咀嚼、香味成分抽出、機器分析の順に進行させた。
【0054】
具体的には、実施例1で製造した板状のチューイングガム2.875gを咀嚼機械(AB Fia Odarsvs Molla社の「Chewing Apparatus」)に入れ、37℃の蒸留水内で30秒の間隔で蒸留水を入れ替えながら総5分間咀嚼させた。5分の咀嚼過程中に50秒単位で味と香を分析して
図1のグラフで示した。
図1から、本発明による組成物は時間間隔を置いて他の味が発現されることを確認することができた。
【0057】
実施例1〜4及び比較例1〜4で製造したガムを用意した。
【0059】
ガム製造分野で5年以上勤めた10人のパネル要員を選定してガムの香味に対する基本教育を実施した後、咀嚼開始後、50秒単位で香味をテストした。
【0060】
【表4】
前記表4の官能検査結果から、実施例1〜4で製造された板ガムの場合、初期100秒までは第1香味剤の香味が発現し、100秒以後には第2香味剤の香味が発現することが分かる。
【0061】
しかし、比較例1〜3の場合、第1香味剤や第2香味剤が本発明の含有率を外れる場合であり、第1香味剤と第2香味剤の香味が同時に発現する時点が発生するため、順次味を発現させるガムを提供することには限界があることが確認された。
また、比較例4は一般的な香味剤を使ったもので、咀嚼初期から同時に2種の香味剤が発現し、150秒以後には香味が急激に落ちて香味の持続力が低下したことを確認することができる。
【0062】
したがって、本発明による香味成分の放出時間が相異なる香味剤を特定の投入時期に混合して製造したガム組成物の場合、投入された香味剤の香味成分が混合されて新たな香味を提供するものではなく、それぞれの香味成分が順次発現することにより、従来になかった新概念のガムを提供するもので、老若男女のだれでも好むガムを提供することができる。