特開2017-12211(P2017-12211A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-12211(P2017-12211A)
(43)【公開日】2017年1月19日
(54)【発明の名称】ヘルスケア用装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 22/16 20060101AFI20161222BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20161222BHJP
   A63B 24/00 20060101ALI20161222BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20161222BHJP
【FI】
   A63B22/16
   A61H1/02 Z
   A63B24/00
   A63B69/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-128847(P2015-128847)
(22)【出願日】2015年6月26日
(71)【出願人】
【識別番号】311012619
【氏名又は名称】株式会社ソフィアプランニング
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】成田 義哉
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA29
4C046AA47
4C046AA48
4C046BB01
4C046CC17
4C046DD07
4C046EE02
4C046EE03
4C046EE23
4C046EE24
4C046EE32
(57)【要約】
【課題】 意識的ないし無意識的に生じている精神、肉体の緊張状態を解くことに用いることができる装置を提供する。
【解決手段】 内部に空気が注入され弾性を有する球体状のボールと、複数の発光色を有する光源と、前記ボールに利用者が乗った際にボールの角速度と移動角度を計測するセンサと、前記センサにより計測されたセンサ値を解析・計算し、前記光源の発光色を決定する解析・計算手段と、決定された前記光源の発光色の発光を制御する制御手段とを有するように装置を構成する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空気が注入され弾性を有する球体状のボールと、
複数の発光色を有する光源と、
前記ボールに利用者が乗った際にボールの角速度と移動角度を計測するセンサと、
前記センサにより計測されたセンサ値を解析・計算し、前記光源の発光色を決定する解析・計算手段と、
決定された前記光源の発光色の発光を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする、ヘルスケア用装置。
【請求項2】
前記センサ値の解析・計算は、前記センサにより計測された角速度の平均値である平均角速度と、移動角度の総量である総移動角度を算出することにより行われる請求項1に記載のヘルスケア用装置。
【請求項3】
前記光源の発光色の決定は、前記算出された平均角速度と総移動角度を予め区分した閾値に当てはめることにより行う請求項2に記載のヘルスケア用装置。
【請求項4】
前記解析・計算手段によりセンサ値が解析・計算された結果を記憶するメモリを更に有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のヘルスケア用装置。
【請求項5】
ガイド用音声データを再生する音声再生手段を更に有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のヘルスケア用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルスケアを支援するための装置に関する。ここで本発明の「ヘルスケア」には、肉体的な健康維持や増進のほか、心理的、精神的な健康の維持、増進に係るメンタルヘルスのケアが含まれる。
【背景技術】
【0002】
近年、個人的要因、社会的要因、環境的要因など、様々な要因により、何らかの不安、悩み、ストレスを抱える者が増加していることから、肉体的な健康のみならず、メンタルヘルスの向上の必要性につき関心が高まっている。
【0003】
特に、少子高齢化による労働人口が減少している反面、個々の従業者、労働者のメンタルヘルスは労働力・生産性の向上・低下にも大きく影響することなどから、企業等における従業者、労働者のメンタルヘルスの重要性が意識されている。一例として、特定健診制度の導入や事業者によるメンタルヘルスの義務化が国会で審議され、平成26年6月25日には労働安全衛生法が改正、公布され、原則として医師、保健師などによるストレスチェックの実施を事業者に義務付けることとされた。
【0004】
省庁においても、例えば厚生労働省では、メンタルヘルス対策(心の健康確保対策)に関する施策が公表されているほか、平成27年4月15日には、上記改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」の具体的な運用方法を定めた省令、告示、指針を公表している。また、経済産業省では、個々の労働者が力を発揮できる基盤として「教育」と「健康」が重要であるとし、人的生産性の向上を重要な課題と位置付けている。
【0005】
ところが、メンタルヘルスケアはいまだ充分に行われていない状況にある。
【0006】
またこれが行われる場合、現在のところ、医師その他専門のカウンセラーのカウンセリングを受けるのが主流である。かかるカウンセリングは近時技術的にも様々な研究が進められており、メンタルヘルスケアとして有効な手段の一つと考えられるものの、カウンセリングは日本国内では一般の認知度が未だ高いとはいえず、専門的なカウンセラーの数自体も不足している。加えて、カウンセリングは高価となりがちであり、恒常的にこれを受けることはコスト面の負担が大きい。そのため、例えば企業が労働者のメンタルヘルス管理の手段としてこれを導入することは容易でなく、特に中小企業がこれを実践していくことは現実的には困難な面が多い。
【0007】
更に、カウンセリングは、本来、本人が心身の不調をある程度明確に意識した後で受けるのが通常であり、これを事前的ないし予防的な手段として取り入れるのは、個人においても企業においても、上記のような専門家の数及び費用の面から難しい。
【0008】
この点、所定のコンピュータプログラムを用いたシステムを利用するものも提案されており、例えばメンタルヘルス不調に陥った患者の復職や復学を支援するものや(特許文献1)、従業者など対象者の情報データを処理することで心の病を発症している可能性の高い者を発見する手段などが提案されている(特許文献2)。
【0009】
しかしながら、かかるシステムの導入は上記同様容易でない。また、これらは主として管理者によるチェックを容易とするものであり、対象者本人によるセルフケアを行うことができない。なお前者は、メンタルヘルス不調に陥った患者を対象とするものであり、予防には適していない。
【0010】
一方、健康の維持、増進には野球、サッカー、テニスその他各種スポーツが有効であり、これらのスポーツはメンタル面にも良い影響を与え得ることから、これをメンタルヘルスケアに応用することも考えられる。
【0011】
しかしながら、この場合は施設確保の必要があるなど物理的、金銭的な問題があるほか、自らスポーツを行うことを好まない人も少なくなく、また競技に対する好みもあり、統一的に実施することには困難が伴う。
【0012】
メンタルヘルスケアを含めたヘルスケアを日常的に簡便に行うことができ、且つ予防的効果が得られる手段が望まれている。
【0013】
ここで、メンタルヘルスに影響を与える重要な要因の一つとして、ストレス、心理的な圧迫等に由来する精神の緊張状態の継続が挙げられるところ、この緊張を解くことがメンタルヘルスケアに資するものと考えられる。
【0014】
ただ、心身の緊張状態を解放するのは難しく、特に精神的な緊張は、本人がこれを解こうと意識しても解くことができないのが通常である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2014−85846号
【特許文献2】特開2008−242703号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、意識的ないし無意識的に生じている精神、肉体の緊張状態を解くのに用いることができる装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
精神的ないし肉体的な緊張状態は、意識してもこれを自らの意思により(主観的ないし能動的に)取り払うのは困難である。むしろ、外的なアプローチにより、何らかの新たな事柄に集中せざるを得ない状況(外的、客観的状況)を対象者に生じさせ、この状況を継続させることが考えられる。これによれば、その後、この状況が終了すると、これに集中していた意識や肉体が緩和することで、自然とこれらの緊張状態が解かれることとなる。
【0018】
そこで、上記課題を解決するため、第1の側面として、本発明は、内部に空気が注入され弾性を有する球体状のボールと、複数の発光色を有する光源と、前記ボールに利用者が乗った際にボールの角速度と移動角度を計測するセンサと、前記センサにより計測されたセンサ値を解析・計算し、前記光源の発光色を決定する解析・計算手段と、決定された前記光源の発光色の発光を制御する制御手段と、を有することを特徴とする、ヘルスケア用装置を提供する。
【0019】
第2の側面として、本発明は、前記センサ値の解析・計算は、前記センサにより計測された角速度の平均値である平均角速度と、移動角度の総量である総移動角度を算出することにより行われる上記ヘルスケア用装置を提供する。
【0020】
第3の側面として、本発明は、前記光源の発光色の決定は、前記算出された平均角速度と総移動角度を予め区分した閾値に当てはめることにより行う上記ヘルスケア用装置を提供する。
【0021】
第4の側面として、本発明は、前記解析・計算手段によりセンサ値が解析・計算された結果を記憶するメモリを更に有する上記いずれかのヘルスケア用装置を提供する。
【0022】
第5の側面として、本発明は、ガイド用音声データを再生する音声再生手段を更に有する上記いずれかのヘルスケア用装置を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、利用者が乗ったボールの動きに応じてボールの発光色が変化するため、利用者がボールの動きを発光色の変化により視覚的に認識することができ、これを緊張状態緩和に利用した装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態を示す図である。
図2】本装置の一例におけるボール以外の部分の全体構造を示すブロック図である。
図3】本発明の一例における処理を示すフロー図である。
図4】本発明の発光色の区分の一例を示す図である。
図5】本発明にかかる装置の使用状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明によるヘルスケア用装置に係る実施形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0026】
図1は、本発明に係る装置の一実施形態を示す図である。図1に示されるように、この装置1は、内部に空気が注入され弾性を有する球体状のボール2を有する。このボールは、塩化ビニール、ゴムなど可撓性を有する材料により構成され、利用者が座ったり、座りながらバランスをとったり、上で膝を立てた状態でバランスをとったりすることができるものである。このボールとして、いわゆるバランスボールを用いることもできる。
【0027】
この装置1は更に、複数の発光色を有する光源と、ボールに利用者が乗った際にボールの角速度と移動角度を計測するセンサと、センサにより計測されたセンサ値を解析・計算し、光源の発光色を決定する解析・計算手段と、決定された光源の発光色の発光を制御する制御手段とを有する。これらは、図1に示すように、一つの筐体3などに収納し、筐体3をボール2の上部に配置するように取り付けてもよい。
【0028】
本実施形態においては、光源として複数の色で発光できるLEDを用いる。この場合、複数のLEDを用い、光量を制御することで、発光色をグラデーションで表示することもできる。
【0029】
LEDの発光によりボール全体が発光してみえるものとなるように、LEDをボールに取付ける。例えば、LEDを筐体に収納し、筐体をボールの上部に取り付ける場合は、筐体に収納されたLEDが筐体の下部に位置するボールに向けて発光できるように配置し、LEDの光がボールの外皮を照らすように構成する。
【0030】
利用者が本装置のボールの上に例えば図5のような状態で乗ると、ボールは不安定な状態となる。ボールの特定の部位(利用者が乗る付近)を基点とした場合、この基点は前後左右に動く。本発明は、この動きを利用する。すなわち、上記のボールの動きを、ボールに取付けられたセンサにより計測し、その計測値に基づき光源から所定の発光色を発するように構成する。この発光色はボールの動きに応じて変化するため、利用者は、このボールの動きを視覚的に認識することができる。利用者は、発光色を視認しながら、ボールを静止させようと集中し、バランスをとるように努める。換言すれば、利用者が飽きることなくボール上でのバランスの具合を発光色で視認しながら集中するための状況が作出される。
【0031】
具体的な構成としては、利用者がボールに乗っている時のボールの動きを角速度と移動角度で捉える。これらの角速度と移動角度を、想定される値において予め複数の区分に分類し、光源が発光すべき色を区分毎に設定しておく。そして、ボールに利用者が乗った際にボールの角速度と移動角度を計測し、この計測値(センサ値)を解析・計算し、前記区分にあてはめることで、所定の発光色を決定し発光させる。
【0032】
ボールの動きの角速度と移動角度は、平均角速度deg/s(平均加速度G)と総移動角度deg(総移動量m)を算出し、発光色を決定することができる。例えば、平均角速度と総移動角度を「速い」「中間」「遅い」「大きい」「中間」「小さい」に分類すると、その組み合わせとして下記表1の(1)−(9)の9つのパターン(区分)が想定される。
【0033】
表1
【0034】
これらの区分に、予め、それぞれ対応する発光色を設定する。そして、後述のように所定の時間計測され解析・計算されることにより得られた平均角速度と総移動角度をこれらの区分に当てはめ、それに応じた色をLEDなどの光源にて発光させる。
【0035】
本実施形態においては、図4に示すように、平均角速度deg/s(平均加速度G)と総移動角度deg(総移動量m)を予め8つの区分に分類した。この例では、各区分に、それぞれ、紫色、青色、水色、赤色、緑色、オレンジ色、黄色、黄緑色といった発光色(光源が発光することとなる色)を設定している。
【0036】
なお、ボールの外皮の色との関係で、LEDにおいて本来意図される発光色と、実際にボールにおいて視認される発光色とが若干異なり得る(例えば、ボールの外皮を白色とし、LEDからの発光色が紫色の場合、ピンク色に近い色で視認されるなど)。
【0037】
あらかじめ設定した区分の閾値は、SDカードの設定ファイル(設定データ記憶部)にて設定しておくことができる。
【0038】
本実施形態において、角速度と移動角度を計測するセンサにはジャイロセンサを用いた。この場合、ジャイロセンサのX軸、Y軸、Z軸の計測値を100ms周期で計測し取得する。
【0039】
次に、上記取得した計測値(センサ値)を解析・計算する。かかる解析・計算は、下記計算式により、総移動角度と平均角速度を算出することにより行う。
【0040】

【0041】

【0042】
なお、センサの角速度と角度のXYZ値のログは、センサデータ記憶部に逐次記憶させるように構成することができる。
【0043】
総移動角度と平均角速度は上記8つの区分のいずれかにあてはめられ、それに応じた色が制御されLEDが発光される。
【0044】
解析・計算手段によりセンサ値が解析・計算された結果(総移動角度と平均角速度)が一時的に記憶され発光色に反映されるためのメモリを備えるように構成してもよい。
【0045】
図2に本発明に係る装置一例の、ボールを除いた全体構造を表すブロック図を示す。
【0046】
本装置は、使用のための一連のプログラム(工程)を予め記憶させておくこともできる。プログラムはSDカードを用いて設定データ記憶部に記憶されるものとすることができる。具体的には、センサ計測・演算時間の設定、センサ計測・演算から求めたLED発光色の点灯時間の設定、LEDグラデーション発光時間の設定、LED発光サイクルの回数設定、プログラム最終LED点灯色の点滅時間の設定、後述のフィードバック用LED点灯再生時間(1回分の再生時間の設定)、LEDの発光色(上記の場合、基本となる8色のRGB値)の設定、上級・中級・初級値倍率(例えば上級を1としたとき、中級・初級の演算結果倍率)の設定など、パラメータが設定され、設定データ記憶部に記憶される。例えば約10分間のプログラムの実行中、計測(可変 初期値3秒)とLED点灯(可変 初期値5秒)を交互に行うように設定する。
【0047】
本装置には、ガイド用音声データを再生する音声再生手段を設けることもできる。これにより、記憶された本装置の使用のための(一連の)プログラム(工程)を、音声で案内することにより、利用者の装置利用をサポートすることも可能となる。ガイド用音声でなく、メロディ等を流すように構成してもよい。音声はスピーカを用いて発せられるように構成する。音声データは、SDカードなどの音声データ記憶部に記憶させる。
【0048】
本装置は、前記のとおり解析・計算手段によりセンサ値が解析・計算された結果(総移動角度と平均角速度)を記憶するメモリを備えることができる。これによれば、一定時間ボールに乗った際の光源発光色の変化を後で確認するように構成することができ、ボール利用時(乗っている時)の動きないし動きの流れを利用者が視覚的かつ客観的に確認することができる。また、結果をフィードバックすることにより、該装置を用いたヘルスケアの持続を促し得る。ボールの動きが記録され、後で視覚的に振り返ることができることから、利用者に対し、ボールに乗る際の集中力を高めることを促すものとなり得る。なお、発光色の再生は、倍速とするなど、速度を変えて行えるようにしてもよい。
【0049】
プログラムと音声データを用いた場合の一例を以下に示す。下記(2)以後、下記(12)の前まで、センサ計測、LED点灯が適宜行われる。
(1)(0分00秒)操作開始、動作音。
(2)(0分03秒)音声「これから両手両膝をつき4点でボールに乗ります。」「ではボールに乗ってください。」「ゆっくりと体重を前の方にかけると乗りやすいです。」
(3)(0分40秒、計測開始から30秒)音声「できるだけボールが動かないようにチャレンジしてみてください。」
(4)(1分10秒、計測開始から1分)音声「視点をどこか一点に絞り見つめるとボールのバランスがとりやすいです。」
(5)(1分40秒、計測開始から1分30秒)音声「ボールから降りてしまっても気にせず何度も挑戦してみてください。」
(6)(2分10秒、計測開始から2分)音声「ボールの下にサポート具を取り付けている方は外してみましょう。」「無理であればまた取り付けて構いません。」
(7)(3分10秒、計測開始から3分)音声「リラックスしてゆっくり呼吸をしながら行います。」
(8)(4分10秒、計測開始から4分)音声「ボールがぐらぐらと動かないよう頑張ってみましょう。」
(9)(5分10秒、計測開始から5分)音声「無理をせず自分のペースで行って下さい。」
(10)(6分10秒、計測開始から6分)音声「肩の力を抜いて、体全体でバランスをとりましょう」
(11)(9分、計測終了1分10秒前)音声「乗りながら聞いて下さい。これからの一分間はなるべく地が足につかないよう、またボールがぐらぐらと動かないよう挑戦してみましょう。」「頑張ってください。」
(12)(10分10秒、計測開始から10分)動作音
(13)(同上)音声「終了です。ボールから降りて下さい。」「お疲れさまでした。」
(14)(10分20秒)音声「今日の結果を振り返ってみましょう。」
(15) 発光色の変遷を再生。
(16)(12分56秒)音声「これで終了します。」
(17)(13分01秒)動作音、スイッチオフ。
【0050】
なお、本装置の別の用途として、利用者がボールに乗らずに、地面に座りボールを抱えるようにして用いることなども考えられる。この場合、利用者はボール上でバランスをとることで集中するのではなく、ボールの発光色の変化をみながらリラックスするといった利用方法が考えられる。
【0051】
本装置の電源には電池(バッテリ)を用いることができる。
【0052】
利用者は、操作部により本発明に係る装置を操作する。
【0053】
本装置に使用プログラムが記憶されてこれが用いられる場合の処理(一例)の流れを示したフローチャートを図3に示す。
【0054】
図3を参照して説明すると、特定のプログラム(任意)を用いて本装置を使用する場合、利用者はプログラムの選択を行う。一例として、ボールに乗るプログラムかボールに乗らないプログラムかを選択する。
【0055】
ボールに乗るプログラムにおいて、本装置が音声再生手段を有する場合、音声再生手段が再生され音声ガイドが開始される。
【0056】
利用者がボールに乗ると、センサによりボールの動きが感知され、信号が解析・計算手段に送信される。解析・計算手段はこの信号を受信し、解析・ログ記録を行い、ボールの動きの平均角速度と総移動角度を算出し、あらかじめ設定された区分にあてはめ、予め区分に設定された色に応じたLED発光色を決定する。制御手段によりLED制御が行われ、決定された発光色(決定色)がLEDにより点灯される。
【0057】
発光色の遷移はグラデーション発光にて行ってもよい。グラデーション発光は、演算処理を行い制御することができる。演算処理は各RGBの中間色を随時変更する。
【0058】
センサによる計測が終了した後、プログラム実行時の発光色が再生され(センサ値が記憶されている)、発光色の変遷を利用者が確認し(LED発光パターンの振り返り)、プログラムが終了する。
【0059】
ボールに乗らないプログラムを選択すると、音声ガイドが開始された後、LED発光が開始される。例えば、プログラムは、例えば発光色の変化に応じ、音声ガイドにより適宜指示を与えるものとする。所定のプログラムが実行された後、プログラムが終了する。
【0060】
本装置においては、ボールの動きにおける平均角速度と総移動角度の関係と、所定の内容を対応させるという利用方法も考えられる。例えば、図4及び下記表2に示されるように、利用者がボールに乗った際のボールの平均角速度と総移動角度から本装置の利用者の緊張度や集中度といった状態を措定し、各区分に分類させる。ここでは状態を、緊張とリラックス、分散と集中にそれぞれ分類し、平均角速度と総移動角度の関係に対応させている。これによれば、ボールの動きに基づき、発光色を通じて、措定された内容を認識することができる。
【0061】
表2
【0062】
この場合、メモリを用いると、一定時間ボールに乗った際の光源発光色の変化を後で確認することにより、ボール利用時の自己の緊張度や集中度を利用者が視覚的に確認するといった利用も考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によれば、装置の利用者は装置の動きに連動した発光色の変化を認識することができるため、利用者に対し、バランス状態を得ようとすること及び得られたバランス状態を継続することを促すことが可能となる。これにより、装置の利用者に対して集中するための状況が作出され、これが継続される。そして、一連の工程が終了した時に、集中していた意識を解放すると同時に、意識的ないし無意識的に生じている精神、肉体の緊張状態を解くことができる。また、短時間で気持ちを転換することもできる。メモリにより発光色を後で確認できるように構成すると、ボールに乗っていた時の状況を視覚的に客観的に振り返ることもできる。
【0064】
本発明の装置では、カウンセラーやシステムなどによらずに、自らヘルスケア(セルフケア)を行うことができるので、日常に導入し易く、近年特に要請されているメンタルヘルスの維持、向上に資するものである。
【0065】
そのため本発明にかかる装置やこれを用いたプログラムは企業などでも導入し易く、従業員の心身の健康の低下に伴う生産性低下などの予防にも役立てることが可能である。
【0066】
このように、本発明の産業上の利用可能性は極めて高い。
【符号の説明】
【0067】
1 ヘルスケア用装置
2 ボール
3 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2016年8月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空気が注入され弾性を有する球体状のボールと、
複数の発光色を有する光源と、
前記ボールに利用者が乗った際にボールの角速度と移動角度を計測するセンサと、
前記センサにより計測されたセンサ値を前記角速度の平均値である平均角速度と、前記移動角度の総量である総移動角度を算出することにより解析・計算し、前記平均角速度と前記総移動角度とを複数の区分に予め分類し、区分ごとに対応する発光色を設定し、算出された平均角速度と総移動角度とをこれにあてはめることにより前記光源の発光色を決定する解析・計算手段と、
決定された前記光源の発光色の発光を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする、ヘルスケア用装置。
【請求項2】
前記解析・計算手段によりセンサ値が解析・計算された結果を記憶するメモリを更に有する請求項1に記載のヘルスケア用装置。
【請求項3】
ガイド用音声データを再生する音声再生手段を更に有する請求項1又は2に記載のヘルスケア用装置。