特開2017-122647(P2017-122647A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-122647(P2017-122647A)
(43)【公開日】2017年7月13日
(54)【発明の名称】蛍光X線分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/223 20060101AFI20170616BHJP
【FI】
   G01N23/223
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-1730(P2016-1730)
(22)【出願日】2016年1月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000250339
【氏名又は名称】株式会社リガク
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 繁生
(72)【発明者】
【氏名】古澤 衛一
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA04
2G001CA01
2G001FA02
2G001GA01
2G001HA10
2G001KA01
2G001LA08
2G001MA02
2G001NA17
(57)【要約】
【課題】放射性元素を含む試料から飛散した物質による装置内汚染度を監視し、清掃メンテナンスの適切な実施を促して、高精度の分析を維持する蛍光X線分析装置を提供する。
【解決手段】本発明の蛍光X線分析装置は、X線放射窓6から1次X線13を放射するX線源5と、X線放射窓6に対設された試料3から発生するX線の強度を測定するように配設された検出手段15と、放射性元素を含まないチェック試料3がX線放射窓6に対設された状態で、または、X線放射窓6に何も試料3が対設されない状態で、検出手段15の視野に1次X線13を照射せずに検出手段15によるX線強度測定を定期的に行ってその結果を保存し、保存したX線強度測定結果を出力する装置内汚染度監視手段22とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線放射窓から1次X線を放射するX線源と、
前記X線放射窓に対設された試料から発生するX線の強度を測定するように配設された検出手段と、
放射性元素を含まないチェック試料が前記X線放射窓に対設された状態で、または、前記X線放射窓に何も試料が対設されない状態で、前記検出手段の視野に前記1次X線を照射せずに前記検出手段によるX線強度測定を定期的に行ってその結果を保存し、保存したX線強度測定結果を出力する装置内汚染度監視手段とを備えた蛍光X線分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蛍光X線分析装置において、
前記X線源のX線放射窓の前面に開閉自在に設けられ、前記1次X線を透過または遮断するX線シャッタを備え、
前記装置内汚染度監視手段が定期的に行うX線強度測定において前記X線シャッタが閉じられる蛍光X線分析装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蛍光X線分析装置において、
前記装置内汚染度監視手段が定期的に行うX線強度測定において所定の上限値を超えるX線強度が測定された場合に、その旨の警告を前記装置内汚染度監視手段が出力する蛍光X線分析装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の蛍光X線分析装置において、
前記装置内汚染度監視手段が、保存したX線強度測定結果に基づいて、所定の時期の推定X線強度および/またはX線強度が所定の基準値に達する推定時期を算出して出力する蛍光X線分析装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性元素を含む試料を分析する蛍光X線分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉の冷却水用配管の劣化状態を管理するために原子炉の冷却水等に含まれる各種の金属またはそのイオン等を検出する場合、冷却水を濾過したフィルタを試料として蛍光X線分析を行う。しかし、このような試料は、それ自体が放射性元素を含む場合があり、この場合、X線の照射により発生する蛍光X線と試料自体から発生する放射線とが同時に検出される。すなわち、試料自体による放射線が、検出しようとする蛍光X線のバックグラウンドとして含まれている場合がある。この放射線によるバックグラウンドを補正しないと正確な分析値を得ることができない。
【0003】
そこで、放射性元素を含む試料にX線を照射しない状態で放射性元素を含む試料から発生する放射線を第1の出力として検出し、次に、放射性元素を含む試料にX線を照射して放射性元素を含む試料から発生する、蛍光X線を含む放射線を第2の出力として検出して、第2の出力から第1の出力を減算することにより、放射性元素を含む試料による測定誤差を補正する蛍光X線分析方法がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−160313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、放射性元素を含む試料を日常的に測定すると、試料から放射性元素を含む金属や化合物の粉などの物質が蛍光X線分析装置内に飛散することで装置内が汚染され、時間経過とともにその汚染が蓄積されて、飛散した物質からのX線(放射線)強度が増大して大きなバックグラウンド(汚染バックグラウンド)となり、上記特許文献1に記載の蛍光X線分析方法によってバックグラウンドを補正しても高精度の分析ができないという問題があった。
【0006】
従来の装置は、装置内の汚染度を監視する機能を備えないために、測定者および/または管理者の経験によって、定期的に装置内に飛散した物質を取り除く清掃メンテナンスが行われていたが、装置内の汚染度を反映した適切な時期の清掃メンテナンスでないため、清掃メンテナンス前の分析において、汚染バックグラウンドが増大して高精度の分析ができない場合があった。また、定期的な清掃メンテナンスによっても装置内の汚染が十分に除去しきれず、定常的に高精度の分析ができない場合もあった。
【0007】
そこで、本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、放射性元素を含む試料から飛散した物質による装置内の汚染度を監視し、清掃メンテナンスの適切な実施を促して、高精度の分析を維持できる蛍光X線分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の蛍光X線分析装置は、X線放射窓から1次X線を放射するX線源と、前記X線放射窓に対設された試料から発生するX線の強度を測定するように配設された検出手段と、放射性元素を含まないチェック試料が前記X線放射窓に対設された状態で、または、前記X線放射窓に何も試料が対設されない状態で、前記検出手段の視野に前記1次X線を照射せずに前記検出手段によるX線強度測定を定期的に行ってその結果を保存し、保存したX線強度測定結果を出力する装置内汚染度監視手段とを備える。
【0009】
本発明の蛍光X線分析装置によれば、前記構成の装置内汚染度監視手段を備えるので、清掃メンテナンスの適切な実施が促され、高精度の分析を維持できる。
【0010】
本発明の蛍光X線分析装置においては、前記X線源の電源を遮断することや、前記X線源の切り替え機構で前記X線源自体が移動することなどにより、前記1次X線が試料に照射されない状態にできるが、前記X線源のX線放射窓の前面に開閉自在に設けられ、前記1次X線を透過または遮断するX線シャッタを備え、前記装置内汚染度監視手段が定期的に行うX線強度測定において前記X線シャッタが閉じられるのが好ましい。この場合には、単純な構造の前記X線シャッタを備えているので、X線源の切り替え機構のような複雑な機構を必要とせず、X線源の電源の一時的な遮断も必要なく、前記X線シャッタを開閉するだけで安定にX線強度を測定することができる。
【0011】
本発明の蛍光X線分析装置においては、前記装置内汚染度監視手段が定期的に行うX線強度測定において所定の上限値を超えるX線強度が測定された場合に、その旨の警告を前記装置内汚染度監視手段が出力するのが好ましい。この場合には、装置内汚染度監視手段が、X線強度測定において所定の上限値を超えるX線強度が測定された場合に、その旨の警告を出力するので、清掃メンテナンスまたは装置の更新の必要性を、測定者および/または管理者が知ることができる。
【0012】
本発明の蛍光X線分析装置においては、前記装置内汚染度監視手段が、保存したX線強度測定結果に基づいて、所定の時期の推定X線強度および/またはX線強度が所定の基準値に達する推定時期を算出して出力するのが好ましい。この場合には、所定の時期の推定X線強度および/またはX線強度が所定の基準値に達する推定時期を、測定者および/または管理者が予め知ることができるので、清掃メンテナンスまたは装置の更新の時期について適切な保守計画を立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の蛍光X線分析装置の概略図である。
図2図1におけるII−II断面図である。
図3】X線強度測定結果およびX線強度の上限値を示す図である。
図4】所定の時期の汚染バックグラウンドの推定X線強度を示す図である。
図5】汚染バックグラウンドのX線強度が所定の基準値に達する推定時期を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の蛍光X線分析装置について図にしたがって説明する。図1は、この装置の概略図であり、測定部21のみ縦断面で示している。図2図1におけるII−II断面図である。この蛍光X線分析装置20は、図1に示すように、X線放射窓6から1次X線13を放射するX線源5、例えばX線管5と、X線放射窓6の前面に開閉自在に設けられ、1次X線13を透過または遮断するX線シャッタ7と、X線シャッタ7を介してX線放射窓6に対設された試料3から発生するX線14の強度を測定するように配設された検出手段15とを有する測定部21、および、放射性元素を含まないチェック試料3がX線シャッタ7を介してX線放射窓6に対設された状態で、または、X線シャッタ7を介してX線放射窓6に何も試料3が対設されない状態で、X線シャッタ7を閉じて検出手段15によるX線強度測定を定期的に行ってその結果を保存し、保存したX線強度測定結果を出力する装置内汚染度監視手段22を備える。
【0015】
測定部21は、例えば、試料室1内にターンテーブル2を設けて、その上に複数個の試料3を載置するようにしてある。このターンテーブル2の一部と対向するように試料3の挿入取出口4を設けるとともに試料室1の気密壁に取り付けたX線管5のX線放射窓6をターンテーブル2上における試料3の1つに対向させて、さらに、そのX線放射窓6の前面にX線シャッタ7を設けてある。このシャッタ7は、電動機8で駆動されて図2に実線および鎖線で示すように、X線放射窓6を開閉する。この実施形態の蛍光X線分析装置20は、X線管5に対向する試料3の側部に、いずれも固定された複数組の検出手段15を設けてある多元素同時型蛍光X線分析装置である。各検出手段15は、スリット9、分光素子10、検出器11、スリット12からなり、例えば、Fe、Cu、Ni、Cr、Co、Znなどの元素のいずれかに対応して設けられている。
【0016】
放射性元素を含まないチェック試料3とは、例えば放射性元素による汚染がなく、劣化しにくい安定したビード試料である。測定される未知試料3は、例えば、原子炉の冷却水を濾過したフィルタである。
【0017】
装置内汚染度監視手段22は、定期的に行うX線強度測定において所定の上限値を超えるX線強度が測定された場合に、その旨の警告を出力する。この出力された警告信号に基づいて警告する警告手段23は、清掃メンテナンス、装置の更新の必要性などを警告する。警告手段23は、例えば、ディスプレイ、プリンタ、音声発生器などであり、蛍光X線分析装置20が備えている。
【0018】
また、この出力された警告信号が蛍光X線分析装置20を管理する上位管理コンピュータ25に入力されて、蛍光X線分析装置20の清掃メンテナンス時期、装置の更新時期などが管理されてもよい。
【0019】
装置内汚染度監視手段22からの警告により、清掃メンテナンスまたは装置の更新の必要性を、測定者および/または管理者が知ることができる。
【0020】
また、装置内汚染度監視手段22は、保存したX線強度測定結果を出力する。この出力されたX線強度測定結果を表示する表示手段24、例えばディスプレイ、プリンタは、蛍光X線分析装置20が備えている。警告手段23がディスプレイ、プリンタなどの場合には、警告手段23が表示手段24の機能を有していてもよい。さらに、装置内汚染度監視手段22は、保存したX線強度測定結果に基づいて、所定の時期の推定X線強度および/またはX線強度が所定の基準値に達する推定時期を算出して出力する。この出力された所定の時期の推定X線強度および/またはX線強度が所定の基準値に達する推定時期は、表示手段24に表示される。
【0021】
所定の時期は、例えば、次回の清掃メンテナンスがなされる時期、次回の装置の更新がなされる時期である。所定の基準値は、清掃メンテナンス時期や装置の更新時期そのものを推定する場合には、清掃メンテナンスまたは装置の更新の必要性を警告するための前記所定の上限値のX線強度であり、清掃メンテナンスまたは装置の更新までの準備期間を含めた早めの時期を推定する場合には、前記所定の上限値よりも低いX線強度に設定すればよい。
【0022】
所定の時期の推定X線強度および/またはX線強度が所定の基準値に達する推定時期が、装置内汚染度監視手段22により、算出され出力されて表示手段24に表示されるので、測定者および/または管理者は清掃メンテナンスまたは装置の更新の時期について適切な保守計画を立てることができる。
【0023】
次に、本実施形態の蛍光X線分析装置20の動作について、より詳細に説明する。あらかじめ、清掃メンテナンス、装置の更新の必要性などを警告するためのX線強度の上限値を、装置内汚染度監視手段22に測定者および/または管理者が設定しておく。X線強度の上限値は、清掃メンテナンスをすべき時期、装置の更新をすべき時期など管理する項目ごとに、かつ、測定対象元素ごとに設定されるのが好ましい。例えば、清掃メンテナンスをすべき時期についての上限値をA(kcps)、装置の更新をすべき時期についての上限値をB(kcps)などとして、測定者および/または管理者がA、Bの値を設定する。この蛍光X線分析装置20では、電源がオン状態であると、X線管5から1次X線が放射されている。
【0024】
まず、X線シャッタ7を介してX線放射窓6に何も試料3が対設されない状態で定期的にX線強度測定を行う場合の、蛍光X線分析装置20の動作について説明する。X線シャッタ7を介してX線放射窓6に何も試料3が対設されない状態で、X線シャッタ7を閉じて検出手段15によるX線強度測定を定期的に、例えば毎日午前8時に行ってその結果を汚染バックグラウンドとして保存し、保存したX線強度測定結果を、自動的にまたは測定者等の要求に応じて、装置内汚染度監視手段22が出力して表示手段24に表示する。定期的に行う測定の頻度は、毎日1回、毎週1回、毎月1回など適宜設定すればよい。
【0025】
保存したX線強度測定結果およびこの測定結果に基づいて1次式での最小二乗法により作成されたグラフを図3に示す。図3の横軸は時期、縦軸は汚染バックグラウンドのX線強度である。図3のグラフに示されたa、b、c、d、eは毎日1回測定されたFeに対応する検出手段15でのX線強度測定結果である。
【0026】
その後、同様に毎日1回測定し、Feに対応する検出手段15でのX線強度測定結果が実際に上限値Aを超えると、清掃メンテナンスをすべき時期であることを示す警告が装置内汚染度監視手段22から警告手段23に出力されて警告手段23から発せられる。この警告に基づいて蛍光X線分析装置20の清掃メンテナンスが実施されると、汚染バックグラウンドが除去または十分に低減されて高精度の分析を維持することができる。警告が出力されるのは、1つの元素について上限値を超えた場合に限らず、複数の元素についてそれぞれの上限値を超えた場合であってもよく、あるいは、管理上、重要な元素について上限値を超えた場合であってもよい。
【0027】
さらに、装置内汚染度監視手段22は、保存したX線強度測定結果に基づいて、所定の時期の推定X線強度および/またはX線強度が所定の基準値に達する推定時期を算出して表示手段24に出力する。図4は、横軸が時期、縦軸が汚染バックグラウンドのX線強度で、保存したX線強度測定結果に基づいて1次式での最小二乗法により作成されたグラフから所定の時期、例えば2016年12月1日の推定X線強度Eを算出した図であり、保存されたX線強度測定結果から将来の汚染度を推定している。この図4のようなグラフを作成することにより、測定者および/または管理者は清掃メンテナンスまたは装置の更新の時期について適切な保守計画を立てることができる。所定の時期の推定X線強度の算出に用いる式は、1次式に限らず、2次式であってもよいし、単項式でも多項式でもよい。
【0028】
図5は、横軸が時期、縦軸が汚染バックグラウンドのX線強度で、保存したX線強度測定結果に基づいて1次式での最小二乗法により作成されたグラフからX線強度が所定の基準値Fに達する推定時期、例えば2017年5月10日を算出した図である。所定の基準値Fを、例えば清掃メンテナンスをすべき時期のX線強度値に設定して、装置内汚染度監視手段22により図5のようなグラフが作成されることにより、測定者および/または管理者は清掃メンテナンスの時期について適切な保守計画を立てることができる。X線強度が所定の基準値に達する推定時期の算出に用いる式は、1次式に限らず、2次式であってもよいし、単項式でも多項式でもよい。
【0029】
X線シャッタ7を介してX線放射窓6に何も試料3が対設されない状態で測定がなされるので、測定者がターンテーブル2に試料3を載置する必要がなく、測定日時を設定しておくだけで、その測定日時に自動測定がなされる。
【0030】
次に、放射性元素を含まないチェック試料3がX線シャッタ7を介してX線放射窓6に対設された状態で定期的にX線強度測定を行う場合の、蛍光X線分析装置20の動作について説明する。この場合の蛍光X線分析装置20の動作は、放射性元素を含まないチェック試料3がX線シャッタ7を介してX線放射窓6に対設される点だけが前述のX線シャッタ7を介してX線放射窓6に何も試料3が対設されない状態で測定を行う場合の動作と異なり、それ以降は同じである。
【0031】
ターンテーブル2の1つの試料載置箇所に放射性元素を含まないチェック試料3が常時載置されている場合は、測定者が測定のたびに放射性元素を含まないチェック試料3をX線シャッタ7を介してX線放射窓6に対設された状態にする必要がなく、やはり、測定日時を設定しておくだけで、その測定日時に自動測定がなされる。
【0032】
放射性元素を含まないチェック試料3がX線シャッタ7を介してX線放射窓6に対設された状態での測定においても、放射性元素を含まないチェック試料3からは汚染バックグラウンドとなるX線が発生しないので、X線シャッタ7を介してX線放射窓6に何も試料3が対設されない状態での測定と同様の効果を奏することができる。
【0033】
本実施形態の蛍光X線分析装置20によれば、放射性元素を含む試料3から飛散した物質による装置内の汚染度を監視し、清掃メンテナンスの適切な実施を促して、高精度の分析を維持できる。
【0034】
また、本実施形態の蛍光X線分析装置20において、試料室1内で放射性元素を含む試料3が破損した場合にも、放射性元素を含む試料3を取り除いた後、X線シャッタ7を介してX線放射窓6に何も試料3が対設されない状態での測定を行うことにより、装置内の汚染度を監視することができる。
【0035】
なお、本実施形態の蛍光X線分析装置20においては、X線シャッタ7を閉じることによって1次X線13が検出手段15の視野に照射されないようにしたが、これに限らず、X線源(X線管)5の電源を一時的に遮断すること、X線源(X線管)5の管電流値をゼロにすること、X線源の切り替え機構を備えて、この機構により1次X線13が検出手段15の視野に照射されない位置にX線源(X線管)5を移動させることなどによってもよい。また、本実施形態の蛍光X線分析装置20においては、蛍光X線分析装置20が警告手段23、表示装置24を備えているが、本発明においては、蛍光X線分析装置とは別途に警告手段および/または表示装置が備えられていてもよい。また、本実施形態の蛍光X線分析装置20は、多元素同時型蛍光X線分析装置として説明したが、本発明においてはこれに限らず、走査型蛍光X線分析装置やエネルギー分散型蛍光X線分析装置であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
3 試料
5 X線源(X線管)
6 X線放射窓
7 X線シャッタ
13 1次X線
14 試料から発生するX線
15 検出手段
20 蛍光X線分析装置
22 装置内汚染度監視手段
図1
図2
図3
図4
図5