【解決手段】共振回路を備え、共振回路によって受信された、第1の継続時間と前記第1の継続時間よりも短い第2の継続時間をもって位置検出装置から間欠的に送信された電磁波に基づいて生成された電磁波を位置検出装置に返信する位置指示器である。共振回路が有するロード抵抗の値が第1の継続時間及び前記第2の継続時間のそれぞれに対応して異なった値に設定されるとともに、第2の継続時間に対応して設定されるロード抵抗の値が第1の継続時間に対応して設定されるロード抵抗の値よりも小さく設定されるように、ロード抵抗の値を制御するロード抵抗値制御回路を備えている。
共振回路を備え、前記共振回路によって受信された、第1の継続時間と前記第1の継続時間よりも短い第2の継続時間をもって位置検出装置から間欠的に送信された電磁波に基づいて生成された電磁波を前記位置検出装置に返信する位置指示器であって、
前記共振回路が有するロード抵抗の値が前記第1の継続時間及び前記第2の継続時間のそれぞれに対応して異なった値に設定されるとともに、前記第2の継続時間に対応して設定される前記ロード抵抗の値が前記第1の継続時間に対応して設定される前記ロード抵抗の値よりも小さく設定されるように、前記ロード抵抗の値を制御するロード抵抗値制御回路を備えていることを特徴とする位置指示器。
前記共振特性制御回路は、前記共振回路を構成するコイルの両端が短絡される状態と開放される状態に切り替えるスイッチを有しており、前記スイッチを前記情報生成回路で生成された情報に対応して切り替え制御することで、前記情報生成回路で生成された情報を、前記位置検出装置に送信する
ことを特徴とする請求項4に記載の位置指示器。
前記共振特性制御回路は、前記情報生成回路で生成された情報が前記位置検出装置にて受信された後の所定のタイミングで、前記スイッチを所定時間オン制御することで前記コイルの両端を短絡するようにした
ことを特徴とする請求項5に記載の位置指示器。
前記位置検出装置から送信された前記電磁波の前記第1の継続時間の送信終了時点においても、前記スイッチを所定時間オン制御することで前記コイルの両端を短絡するようにした
ことを特徴とする請求項6に記載の位置指示器。
共振回路を備え、前記共振回路によって受信された、第1の継続時間と前記第1の継続時間よりも短い第2の継続時間をもって位置検出装置から間欠的に送信された電磁波に基づいて生成された電磁波を前記位置検出装置に返信する位置指示方法であって、
前記共振回路が有するロード抵抗の値を前記第1の継続時間及び前記第2の継続時間のそれぞれに対応して異なった値に設定するとともに、前記第2の継続時間に対応して設定される前記ロード抵抗の値を前記第1の継続時間に対応して設定される前記ロード抵抗の値よりも小さく設定するように、前記ロード抵抗の値を制御することを特徴とする位置指示方法。
前記共振回路に並列に接続された、抵抗器とスイッチで構成される直列回路の前記スイッチを、前記第1の継続時間に対応してオフ制御し、前記第2の継続時間に対応してオン制御することで前記ロード抵抗の値が設定されることを特徴とする請求項9に記載の位置指示方法。
【背景技術】
【0002】
この種の位置指示器として、コイルとキャパシタとの並列回路からなる共振回路を備え、位置検出装置側から送信されてくる電磁波を、当該共振回路を介して、位置検出装置側に返すようにするものが広く用いられている。そして、この種の位置指示器では、位置検出装置から間欠的に送信されてくる電磁波に同期したタイミングで筆圧などの送信データに応じて共振回路の特性を制御することで、前記筆圧などの送信データを位置検出装置に返信することができるようにすることが従来から行われている(例えば特許文献1(特開2005‐10844号公報)等参照)。
【0003】
図10は、この種の位置指示器の構成例を示す図であり、また、
図11は、
図10の位置指示器の構成例における各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【0004】
この
図10の例の位置指示器1は、コイル2Lとキャパシタ2Cとの並列回路からなる共振回路2を備える。この例の共振回路2においては、コイル2L及びキャパシタ2Cとに並列にスイッチ2Sが接続されている。この例では、共振回路2のコイル2Lの一端側は接地されており、コイル2Lの他端側には、位置検出装置から間欠的に送信されてくる電磁波a(
図11(A)参照)に応じた誘導信号b(
図11(B)参照)が得られる。
【0005】
なお、位置検出装置から電磁波aとして送信される信号は、位置指示器1の共振回路2の共振周波数に等しい周波数の交流信号であり、その交流信号が例えば500マイクロ秒の時間に亘って継続する信号(以下バースト信号と称する)と、位置指示器1の先端部(ペン先)に印加された圧力、いわゆる筆圧などの送信データを位置指示器1が送信するために、前記送信データのビット数に応じた個数であって、例えば50マイクロ秒などの、バースト信号よりも短時間に亘って継続するデータ伝送同期用信号とからなる。データ伝送用同期信号は、位置指示器1と位置検出装置との間でデータを送受信する際の同期信号であり、位置検出装置側では位置指示器1からの送信データをサンプリングして検出するために用いられる。この場合、位置検出装置は、バースト信号と、当該バースト信号の後に位置指示器1から送信されるデータのビット数分の個数のデータ伝送同期用信号の送信を、周期的に繰り返す。
【0006】
位置検出装置から送信された電磁波aによって共振回路2のコイル2Lの他端側に得られた誘導信号bは検波回路3に供給される。この検波回路3では、誘導信号bの包絡線検波出力と、所定の閾値とを比較することで、位置検出装置からの電磁波aと同期したタイミング信号c(
図11(C)参照)が生成される。検波回路3で生成されたタイミング信号cは、例えばマイクロプロセッサからなる制御回路4に供給される。
【0007】
また、共振回路2のコイル2Lの他端側に得られる誘導信号bは、整流回路5に供給されて整流され、その整流信号により、例えば電気二重層キャパシタなどの蓄電用キャパシタ6が充電される。蓄電用キャパシタ6は、制御回路4を駆動するための電源電圧を形成する電源回路を構成するもので、制御回路4は、この蓄電用キャパシタ6の出力電圧を電源電圧Vccとして動作する。
【0008】
この
図10の例の位置指示器1は、筆圧に応じて抵抗値が可変する可変抵抗器7を備えており、制御回路4は、当該可変抵抗器7の抵抗値に応じた電圧を検知することで、筆圧を検出する。そして、制御回路4は、検出した筆圧を複数ビットのデジタルデータに変換し、そのデジタルデータの各ビットの「0」、「1」に応じた制御信号d(
図11(D)参照)を、スイッチ2Sに供給して、このスイッチ2Sのオン、オフを切り替え制御する。
【0009】
すなわち、
図10の例では、筆圧のデジタルデータのビットが「1」のときには、スイッチ2Sをオンとして、コイル2Lの両端を短絡(ショート)することで、共振回路2のコイル2Lに蓄積されている電磁波エネルギーを消失させて、位置指示器1から位置検出装置へは電磁波を返信しないようにする。また、筆圧のデジタルデータのビットが「0」のときには、スイッチ2Sをオフのままとして、コイル2Lとキャパシタ2Cとからなる共振回路2を通じて、位置指示器1から位置検出装置へ電磁波を返信するようにする。こうして、位置指示器1からは、筆圧などのデジタルデータがASK(Amplitude Shift Keying)変調あるいはOOK(On・Off・Keying)されて、位置検出装置側に返信される。
【0010】
位置検出装置では、送信した電磁波aに基づくサンプリングタイミングで位置指示器1から返信されてくるASK変調あるいはOOK変調された電磁波をサンプリングし、当該サンプリングタイミングで位置指示器1から電磁波が返信されない(ゼロ)のときには、デジタルデータのビットを「1」と判定し、当該サンプリングタイミングで位置指示器1から返信された電磁波が所定の閾値以上の信号レベルを有するときには、デジタルデータのビットを「0」と判定して、デジタルデータを復調する。
【0011】
以上のようにして、
図10の例の位置指示器1は、位置検出装置からの電磁波により制御回路4用の電源電圧を生成すると共に、送信しようとするデジタルデータにより、位置検出装置から受信した電磁波を、ASK変調あるいはOOK変調して、位置検出装置に対して返信する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明による位置指示器の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、この実施形態の位置指示器10の回路構成例を示すものである。この実施形態の位置指示器10は、
図1に示すように、コイル11Lとキャパシタ11Cとの並列回路からなる共振回路11を備える。そして、この実施形態の位置指示器10においては、共振回路11のコイル11L及びキャパシタ11Cに並列に、スイッチ回路12が接続されると共に、抵抗器13とスイッチ回路14との直列回路がロード抵抗値制御回路として更に接続される。
【0025】
スイッチ回路12は、後述の制御回路40からの切替制御信号SW1によりオン、オフ制御され、当該スイッチ回路12がオンとされたときには、コイル11Lの両端が短絡(ショート)される。すなわち、スイッチ回路12がオンとされることにより、コイル11Lに蓄積された電磁波エネルギーが消失するように制御される。
【0026】
スイッチ回路14は、共振回路11のロード抵抗の値(ロード抵抗値)の切り替え用であり、後述の制御回路40からの切替制御信号SW2によりオン、オフ制御される。すなわち、このスイッチ回路14がオフであるときには、共振回路11のロード抵抗値は無限大となり、大きな抵抗値となる。また、このスイッチ回路14がオンとされると、抵抗器13が共振回路11に並列に接続される状態となり、共振回路11のロード抵抗値は、この抵抗器13の抵抗値となり、スイッチ回路14がオフの時よりも小さい値となる。
【0027】
共振回路11のコイル11Lの一端側は接地されており、コイル11Lの他端側には、位置検出装置から間欠的に送信されてくる電磁波の誘導信号が得られる。共振回路11のコイル11Lの他端側に得られた誘導信号は検波回路30に供給され、この検波回路30で、包絡線検波処理がなされて、この検波回路30から誘導信号の包絡線検波出力DETが得られる。この検波回路30からの包絡線検波出力DETは、制御回路40に供給される。
【0028】
制御回路40は、この例では、マイクロプロセッサユニットで構成されており、スイッチ回路14を切り替え制御する切替制御信号SW2は、この例では、検波回路30からの包絡線検波出力DETから形成する。また、制御回路40は、スイッチ回路12を切り替え制御する切替制御信号SW1を、この例では、検波回路30からの包絡線検波出力DETと送信データとに基づいて生成する。
【0029】
送信データは、次のようにして制御回路40で生成される。すなわち、この例では、制御回路40には、筆圧検出回路70が接続されている。この例の位置指示器10では、筆圧検出手段として、筆圧に応じて静電容量が変化する容量可変キャパシタ71が用いられ、筆圧検出回路70は、この容量可変キャパシタ71に並列に抵抗器72が接続されて構成されている。なお、この筆圧検出手段は、例えば特許文献:特開2011−186803号公報に記載されている周知の構成の筆圧検出機構を使用した、筆圧に応じて静電容量が変化する容量可変キャパシタの構成や、例えば、特開2013−161307号公報に開示されているような筆圧に応じて静電容量を可変とする半導体素子を用いた容量可変キャパシタの構成を用いることができる。
【0030】
制御回路40は、容量可変キャパシタ71を所定の電位まで充電させた後に、その充電電圧の状態から抵抗器72を通じて放電させて、所定の閾値電圧になるまでの時間Tを計測する。この計測した時間Tは、その時の容量可変キャパシタ71の容量に応じたものであるので、その時間Tから位置指示器10に印加されている筆圧を検出する。そして、制御回路40は、検出した筆圧を複数ビットのデジタルデータに変換して送信データとして生成し、保持する。なお、送信データとしては、この筆圧の情報に限らず、位置指示器10に設けられるサイドスイッチの状態情報や、位置指示器10が備えるメモリに記憶された当該位置指示器10の識別情報などであってもよいし、それらの組み合わせ、あるいは全てであってもよい。
【0031】
制御回路40は、生成した送信データの各ビットの値と、検波回路30からの包絡線検波出力DETとから、スイッチ回路12を切り替え制御する切替制御信号SW1を生成する。背景技術の欄で説明した従来の位置指示器1では、スイッチ回路12は、生成した送信データの各ビットの値によって切り替え制御され、送信データのビットの値が「1」のときに所定時間オンとされる。この実施形態の位置指示器10においても、同様に、生成した送信データのビットの値が「1」のときに、所定時間オンとするように制御することで、送信データをASK変調信号あるいはOOK変調信号として位置検出装置に送信(返信)する。
【0032】
この実施形態の位置指示器10では、さらに、検波回路30からの包絡線検波出力DETを監視して、送信データのビットの値が「0」であるときにも、後述するように、所定のタイミングで、スイッチ回路12を所定時間オンとすることで、送信データのビット周期の短縮化を図るようにしている。
【0033】
共振回路11のコイル11Lの他端側に得られる誘導信号は、また、整流回路50に供給されて整流され、その整流信号により、例えば電気二重層キャパシタなどの蓄電用キャパシタ60が充電される。蓄電用キャパシタ60は、制御回路40を駆動するための電源電圧を形成する電源回路を構成している。制御回路40は、この蓄電用キャパシタ60の出力電圧を電源電圧Vccとして動作する。
【0034】
なお、制御回路40と、スイッチ回路12と、スイッチ回路14及び抵抗器13とにより、共振特性制御回路が構成される。すなわち、制御回路40からの切替制御信号SW1によりスイッチ回路12がオン、オフ制御され、切替制御信号SW2によりスイッチ回路14がオン、オフ制御されることで、共振回路11の共振特性が制御される。
【0035】
図2に、共振特性制御回路の実際的な構成例を示す。すなわち、
図2の例では、スイッチ回路12は、トランジスタ121で構成され、切り替え時点での負側電位のシフトを抑えるためのキャパシタ122が、このトランジスタ121のソース−ドレイン間と直列に接続される。制御回路40からの切替制御信号SW1は、トランジスタ121のゲートに供給される。
【0036】
また、スイッチ回路14は、トランジスタ141で構成され、同様に切り替え時点での負側電位のシフトを抑えるためのキャパシタ142が、このトランジスタ141のソース−ドレイン間及び抵抗器13と直列に接続される。制御回路40からの切替制御信号SW2は、トランジスタ141のゲートに供給される。
【0037】
次に、この実施形態の位置指示器10と共に使用する位置検出装置の構成例について説明する。
図3は、この実施形態の位置指示器10と共に使用する、電磁誘導方式の位置検出装置20の構成例を示す図である。
【0038】
この例の位置検出装置20は、位置検出センサ21を備える。この位置検出センサ21においては、
図3に示すように、X軸方向ループコイル群導体を構成する複数個の矩形のX軸方向ループコイル211Xが、位置指示器10による指示位置の検出領域の横方向(X軸方向)に、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。また、Y軸方向ループコイル群導体を構成する複数個の矩形のY軸方向ループコイル212Yが、位置指示器10による指示位置の検出領域の、前記横方向に直交する縦方向(Y軸方向)に、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。この例では、X軸方向ループコイル211XはX軸方向にn本配置されており、また、Y軸方向ループコイル212YはY軸方向にm本配置されている。
【0039】
また、位置検出センサ21にはセンサ回路22が接続されている。このセンサ回路22は、選択回路221、発振器222、電流ドライバ223、送受信切替回路224、受信アンプ225、検波回路226、ローパスフィルタ227、サンプルホールド回路228、A/D(Analog to Digital)変換回路229および処理制御部220を備えている。
【0040】
複数個のX軸方向ループコイル211Xのそれぞれ、及び複数個のY軸方向ループコイル212Yのそれぞれは、選択回路221に接続される。この選択回路221は、複数個のX軸方向ループコイル211X及び複数個のY軸方向ループコイル212Yのうちの1個のループコイルを、処理制御部220からの制御指示に従って順次選択する。
【0041】
発振器222は、位置指示器10の共振回路11の共振周波数に等しい周波数f0の交流信号を発生する。この交流信号は、電流ドライバ223に供給されて電流に変換された後に、送受信切替回路224へ送出される。送受信切替回路224は、処理制御部220の制御により、選択回路221によって選択されたループコイル211X又は212Yが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を、所定時間毎に切り替える。送信側端子Tには電流ドライバ223が、受信側端子Rには受信アンプ225が、それぞれ接続されている。
【0042】
したがって、送信時には、送受信切替回路224の送信側端子Tを介して、電流ドライバ223からの交流信号が、選択回路221で選択されているループコイル211X又は212Yに供給される。この送信時、処理制御部220は、
図4(A)及び
図5(A)に示すような2種類の継続時間を持って交流信号が間欠的に送信されるように、電流ドライバ223を制御する。
【0043】
図5は、この実施形態の位置指示器10の動作を説明するためのタイミングチャートである。そして、
図4においては、スイッチ回路14についての切替制御動作は、
図5の例と同様に行うが、スイッチ回路12は、従来と同様に、送信データにより制御するようにしたときのタイミングチャートを示すものである。
図4は、この実施形態の位置指示器10の作用効果を、
図5との比較により、より明確にするために用いるものである。
【0044】
位置検出装置20からの送信信号は、この例では、
図4(A)及び
図5(A)に示すように、例えば500マイクロ秒からなる比較的長時間の第1の継続時間T1のバースト信号SBと、例えば50マイクロ秒からなる比較的短時間の第2の継続時間T2(T2<T1)のデータ伝送同期用信号SYCの複数個からなる。第2の継続時間T2のデータ伝送同期用信号SYCの個数は、位置指示器10から送信される送信データのビット数分とされる。そして、位置検出装置20は、1個のバースト信号SBを送出し、その後、位置指示器10から送信される送信データのビット数分の個数のデータ伝送同期用信号SYCを送出する動作を、繰り返す。すなわち、1個のバースト信号SBと複数個のデータ伝送同期用信号SYCとを1周期分として、これを繰り返すものである。
【0045】
なお、
図4(B)及び
図5(B)に示すように、位置検出装置20の制御処理部220は、データ伝送同期用信号SYCのそれぞれの継続時間T2の終了時点からわずかな時間経過後のタイミング時点を、位置指示器10からの送信データの受信信号のサンプリング時点として、受信信号から送信データを復号化するようにしている。
図4(B)に示す周期Pa及び
図5(A)に示す周期Pbは、データ伝送同期用信号SYCの送出周期、すなわち、位置指示器10からの送信データのビットの送信周期(ビット周期)である。
【0046】
位置検出装置20からは、上述のバースト信号SB及びデータ伝送同期用信号SYCが、電磁波として位置指示器10に送信される。位置指示器10では、共振回路11においてこの電磁波を受信する。そして、位置指示器10は、後述するように共振特性制御回路による処理を行って、共振回路11から位置検出装置20に電磁波として信号を返信する。
図4(C)及び
図5(C)は、位置指示器10から位置検出装置20に返信される電磁波の波形例を示すものである。
【0047】
位置検出装置20では、位置指示器10から返信された電磁波の受信時には、選択回路221で選択されたループコイル211X又は212Yに発生する誘導電圧は、選択回路221及び送受信切替回路224の受信側端子Rを介して受信アンプ225に供給されて増幅され、検波回路226へ送出される。なお、送受信切替回路224は、選択回路221において1本のループコイル211X又は212Yが選択されている期間の前半で送信側端子Tに、後半で受信側端子Rに、それぞれ切り替えられる。
【0048】
検波回路226では、受信アンプ225からの信号を検波し、その検波出力信号は、ローパスフィルタ227およびサンプルホールド回路228を介してA/D変換回路229に供給される。A/D変換回路229では、アナログ信号をディジタル信号に変換し、処理制御部220に供給する。
【0049】
処理制御部220は、バースト信号SBの継続時間T1の期間において、位置指示器10により指示された位置の検出のための制御を行う。すなわち、処理制御部220は、選択回路221でのループコイル211X又は212Yの選択、送受信切替回路224での信号切り替え制御、サンプルホールド回路228のタイミングなどを制御する。
【0050】
処理制御部220は、送受信切替回路224を送信側端子Tに接続するように切り替えることにより、選択回路221で選択されているループコイル211X又は212Yを通電制御して電磁波を送出させる。位置指示器10のコイル11Lとキャパシタ11Cとからなる共振回路11は、このループコイル211X又は212Yから送出された電磁波を受けて、エネルギーを蓄える。
【0051】
次に、処理制御部220は、送受信切替回路224を受信側端子Rに接続するように切り替える。すると、X軸方向ループコイル群及びY軸方向ループコイル群の各ループコイル211X及び212Yには、位置指示器10から返信される電磁波によって、位置指示器10との距離の遠近に応じた誘導電圧が発生するので、処理制御部220は、その誘導電圧のレベルを検知する。
【0052】
処理制御部220は、この各ループコイル211X及び212Yに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて、位置検出センサ21の検出領域における位置指示器10によるX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。
【0053】
そして、バースト信号SBの継続時間T1の期間の終了後においては、処理制御部220は、位置指示器10から送信されるデータの受信の処理を行う。この場合に、処理制御部220では、バースト信号SBの継続時間T1の期間の間に位置指示器10の指示位置を検出した場合には、その検出した位置の近傍のループコイル211X又は212Yを選択回路221で選択するようにする。
【0054】
そして、処理制御部220は、
図4(B)及び
図5(B)に示した、位置指示器10からの送信データの受信信号のサンプリング時点で、位置指示器10から返信される電磁波の受信レベルをサンプリングして取得する。
【0055】
この場合に、
図10及び
図11を用いて前述したように、位置指示器10では、共振特性制御回路において、位置検出装置20から受信したデータ伝送同期用信号SYCの電磁波を、送信データのビットの値が「0」であるときには、共振回路11を通じて返信すると共に、送信データのビットの値が「1」であるときには、返信しないように制御する。
【0056】
位置検出装置20では、この位置指示器10から返信された電磁波を受信することで、
図4(B)及び(C)、また、
図5(B)及び(C)に示すように、位置指示器10からの送信データの受信信号のサンプリング時点では、位置指示器10から返信される電磁波の受信レベルは、ビットの値が「0」のときにはハイレベルとなり、また、「1」のときにはローレベル(ゼロ)となり、
図4(F)及び
図5(G)に示す位置指示器10からの送信データを復調することができる。
【0057】
この実施形態の位置指示器10においては、前述したように、共振特性制御回路は、制御回路40と、スイッチ回路12と、スイッチ回路14及び抵抗器13とにより構成され、上述の送信データのビットの値に応じたスイッチ回路12のオン、オフ制御のみを行うのではなく、共振回路11のロード抵抗値の切り替え制御及び送信データの伝送レートを向上させるための制御処理をも行う。
【0058】
この実施形態の位置指示器10の、共振特性制御回路での制御処理を中心とした動作について、
図6〜
図9のフローチャートを参照しながら更に説明する。なお、以下の説明においては、
図6〜
図9のフローチャートの各ステップの処理は、制御回路40が全て実行するものとして説明する。
【0059】
位置指示器10の制御回路40は、先ず、位置検出装置20からの電磁波の受信を監視し(ステップS101)、位置検出装置20からの電磁波を所定レベル以上の信号レベルで受信できる電磁結合状態になっているかどうか判別する(ステップS102)。このときには、スイッチ回路12はオフのままとされると共に、スイッチ回路14もオフとされて、共振回路11のロード抵抗値が大きい状態(理論的には無限大)とされる。
【0060】
ステップS102で、位置検出装置20と電磁結合する状態とはなっていないと判別したときには、制御回路40は、処理をステップS101に戻す。また、ステップS102で、位置検出装置20と電磁結合する状態となっていると判別したときには、制御回路40は、共振回路11に得られる位置検出装置20からの電磁波の誘導信号の立ち上がりを検出したか否か判別する(ステップS103)。
【0061】
この実施形態においては、制御回路40は、検波回路30からの包絡線検波出力DETと、予め定められた所定の閾値レベルVthとを比較し、包絡線検波出力DETが閾値レベルVthを超えて大きくなったことを検知したときには、バースト信号SB又はデータ伝送同期用信号SYCの立ち上がりを検出したと判別し、また、包絡線検波出力DETが閾値レベルVthを超えて小さくなったことを検知したときには、バースト信号SB又はデータ伝送同期用信号SYCの立ち下がりを検出したと判別する。また、制御回路40は、検波回路30からの包絡線検波出力DETから周波数f0の交流信号の継続時間を判別することで、バースト信号SBとデータ伝送同期用信号SYCとを判別する。
【0062】
このステップS103の次には、交流信号の継続時間が、所定値、すなわち、データ伝送同期用信号SYCの場合の継続時間よりも長いか否かを判別する(ステップS104)。このステップS104で、交流信号の継続時間が、所定値よりも長くはないと判別したときには、制御回路40は、処理をステップS103に戻す。
【0063】
ステップS104で、交流信号の継続時間が、所定値よりも長いと判別したときには、制御回路40は、判別した交流信号はバースト信号SBの区間であると認識し、当該バースト信号SBの立ち下がりを監視する(ステップS105)。そして、このステップS105で、バースト信号SBの立ち下がりを検出したと判別したときには、制御回路40は、切替制御信号SW2によりスイッチ回路14をオンに切り替え、抵抗器13を共振回路11のロード抵抗とする。すなわち、共振回路11のロード抵抗値を、バースト信号SBの継続時間T1の期間のロード抵抗値よりも小さい値に切り替える(ステップS106)。
【0064】
制御回路40からスイッチ回路14に供給される切替制御信号SW2は、
図4(E)及び
図5(E)に示すように、バースト信号SBの継続時間T1に対応する期間でハイレベルとなり、その他の期間ではローレベルとなる。これにより、バースト信号SBの継続時間T1に対応する期間では、共振回路11のロード抵抗値が大きいことから、共振回路11は、位置検出装置20からの電磁波をエネルギーロスが小さい状態で受信して、整流回路50を通じて蓄電用キャパシタ60に蓄電することができる。
【0065】
そして、バースト信号SBの継続時間T1に対応する期間の後の、複数個からなるデータ伝送同期用信号SYCの期間においては、共振回路11のロード抵抗値は、バースト信号SBの継続時間T1の期間の場合よりも小さくなるので、
図10及び
図11を用いて説明した従来の位置指示器1の場合よりも短い周期Pa(
図4(B)参照)で、送信データの送信が可能となる。
【0066】
すなわち、前述の
図10及び
図11を用いて説明した従来の位置指示器1の場合、共振回路2のロード抵抗値は、この実施形態の位置指示器10において、スイッチ回路14がオフであるときに等しく大きな値となっている。データ伝送同期用信号SYCの周期は、当該データ伝送同期用信号SYCの立ち下がり領域の信号が、次に到来するデータ伝送同期用信号SYCの立ち上がり時点までに消失して、データ伝送同期用信号SYCの立ち上がり時点では安定した状態となっているように定める必要がある。しかし、共振回路2のロード抵抗値が大きい場合には、データ伝送同期用信号SYCの立ち下がり領域の信号が長い時間残存することになり、このためにデータ伝送同期用信号SYCの周期は長く設定されていた。
【0067】
これに対して、この実施形態の位置指示器10においては、共振回路11のロード抵抗値は、複数個のデータ伝送同期用信号SYCの期間においては、バースト信号SBの継続時間T1に対応する期間の場合よりも小さくなるように設定されるので、データ伝送同期用信号SYCの立ち下がり領域の信号の継続時間を短くすることができるために、信号伝送速度を向上させることができる。そのため、この実施形態の位置指示器10を用いた位置検出装置20との組み合わせシステムにおいては、データ伝送同期用信号SYCの周期Paを、
図10及び
図11を用いて説明した従来の位置指示器1を用いたシステムの場合よりも短くすることができる。
【0068】
そして、この実施形態の位置指示器10においては、以下に説明するように、複数個のデータ伝送同期用信号SYCの周期を、周期Paよりも更に短縮化することができるように構成している。
【0069】
この実施形態の位置指示器10のバースト信号SBの継続時間T1の後の複数個のデータ伝送同期用信号SYCの期間における動作(
図5のタイミングチャートに示す動作)を説明する前に、比較のために、従来のデータ伝送同期用信号SYCの期間と同様の動作である
図4のタイミングチャートに示す動作を説明する。
【0070】
すなわち、この場合には、制御回路40は、データ伝送同期用信号SYCの立ち上がりを検出すると、バッファメモリに保持している、そのデータ伝送同期用信号SYCで送信する送信データのビット(
図4(F)参照)を参照する。
【0071】
そして、制御回路40は、参照した送信データのビットが「1」であるときには、制御回路40は、当該データ伝送同期用信号SYCの立ち下がりの開始を包絡線検波出力DETから検知し、その検知時点から所定時間tだけ、スイッチ回路12をオンにするように制御して、共振回路11に蓄積されていたデータ伝送同期用信号SYCのエネルギーを消失させることで、位置検出装置20における受信データのサンプリング時点では、返信される電磁波が無い(ゼロ)ようにする(
図4(B)及び(C)の3番目及び5番目のデータ伝送同期用信号SYC参照)。ここで、スイッチ回路12をオンにする所定時間tは、共振回路11に蓄積されていたデータ伝送同期用信号SYCのエネルギーを消失させるのに十分な時間であり、これは、比較的短時間で良く、当該所定時間t経過後に、スイッチ回路12は、オフに戻される。
【0072】
また、制御回路40は、参照した送信データのビットが「0」であるときには、スイッチ回路12は制御せず、共振回路11を通じて当該データ伝送同期用信号SYCの電磁波(
図4(C)の1番目、2番目及び4番目のデータ伝送同期用信号SYC参照)をそのまま位置検出装置20に返信する。
【0073】
これに対して、この実施形態の位置指示器10においては、制御回路40は、
図5に示すように、データ伝送同期用信号SYCのそれぞれの立ち下がり領域の信号の信号レベルを、送信データのビットが「0」である場合にも、位置検出装置20側での位置指示器10からの送信データの受信信号のサンプリング時点を過ぎた時点において、強制的に抑制、好ましくは強制的にゼロとする。これにより、データ伝送同期用信号SYCの周期を、周期Paよりも更に短縮された周期Pbとすることができるようにしている。また、この実施形態の位置指示器10では、バースト信号SBの立ち下がり領域の信号の信号レベルも、同様に、強制的に抑制にすることで、よりデータ伝送の高速化を図るようにしている。
【0074】
この例の場合、複数個のデータ伝送同期用信号SYCのそれぞれの立ち下がり領域の信号の信号レベルを強制的に抑制に制御するタイミング時点は、位置検出装置20における位置指示器10からの送信データの受信サンプリング時点よりも後の時点とされる。この位置検出装置20における位置指示器10からの送信データの受信サンプリング時点は、各データ伝送同期用信号SYCの継続時間T2の終了時点から所定時間経過した時点である。そこで、制御回路40では、各データ伝送同期用信号SYCの継続時間T2の終了時点から所定時間経過した受信サンプリング時点よりも更に遅れた時点を、例えば時間計測(クロックをカウント)して検出し、その時点を、複数個のデータ伝送同期用信号SYCのそれぞれの立ち下がり領域の信号の信号レベルを強制的に抑制するためのタイミング時点とすればよい。
【0075】
しかし、この実施形態では、簡易的に、バースト信号SB及び各データ伝送同期用信号SYCの立ち下がり領域の信号の信号レベルを強制的に抑制するタイミング時点は、バースト信号SB及び各データ伝送同期用信号SYCの立ち下がり検出時点とされる。前述したように、バースト信号SB及び各データ伝送同期用信号SYCの立ち下がり検出時点は、包絡線検波出力DETが、閾値レベルVthを超えて低下する時点とされている。そこで、
図4(C)及び
図5(C)に示すように、閾値レベルVthは、データ伝送同期用信号SYCの継続時間T2の終了時点の後の時点であって、位置検出装置20における位置指示器10からの送信データの受信サンプリング時点よりも更に遅れた時点で、データ伝送同期用信号SYCの立ち下がりを検出するようなレべルに選定されている。
図4(D)及び
図5(D)は、検波回路30からの包絡線検波出力DETから、バースト信号SB及び各データ伝送同期用信号SYCの立ち上がり時点及び立ち下がり時点の情報を持つタイミング信号TGを示している。
【0076】
この実施形態の位置指示器10においては、制御回路40は、
図5(C)〜(G)に示すように、
図5(D)に示すタイミング信号TGの立ち下がりに同期して、所定時間tだけ、スイッチ回路12をオンにする切替制御信号SW1(
図5(F)参照)を生成して、これにより、スイッチ回路12をオンに切り替え制御することで、バースト信号SB及びデータ伝送同期用信号SYCの立ち下がり領域の信号の信号レベルを強制的に抑制する処理をする。
【0077】
フローチャートの説明に戻ると、制御回路40は、
図6のステップS105でバースト信号SBの立ち下がりを検出したと判別したときには、ステップS106で、スイッチ回路14をオンに切り替えて、共振回路11のロード抵抗値を小さい値とすると共に、切替制御信号SW1(
図5(F)参照)を、所定時間tだけハイレベルとして、スイッチ回路12を当該所定時間tだけオンとし、共振回路11に蓄積されているバースト信号SBの立ち下がり領域の信号の信号レベルを強制的に抑制する(
図7のステップS111)。
【0078】
次に、制御回路40は、バースト信号SBの後の最初のデータ伝送同期用信号SYCの立ち上がりの検出を待ち(ステップS112)、データ伝送同期用信号SYCの立ち上がりを検出したと判別したときには、バッファメモリに保持している送信データの最初のビットを参照する(ステップS113)。そして、制御回路40は、その参照したビットが「0」か「1」かを判別する(ステップS114)。
【0079】
ステップS114で、参照したビットが「0」であると判別したときには、制御回路40は、当該データ伝送同期用信号SYCの立ち下がりを検出したか否か監視し(ステップS115)、立ち下がりを検出したと判別したときには、切替制御信号SW1(
図5(F)参照)を、所定時間tだけハイレベルとして、スイッチ回路12を当該所定時間tだけオンとし、共振回路11に蓄積されているバースト信号SBの立ち下がり領域の信号の信号レベルを強制的に抑制する(
図5(C)の1番目、2番目及び4番目のデータ伝送同期用信号SYC参照)(ステップS116)。
【0080】
このステップS116の次には、制御回路40は、送信データの全てのビットについての伝送処理が終了したか否か判別し(
図8のステップS123)、終了してはいないと判別したときには、次のデータ伝送同期用信号SYCの立ち上がりの検出を監視し(ステップS124)、次のデータ伝送同期用信号SYCの立ち上がりを検出したと判別したときには、バッファメモリに保持されている送信データの次のビットを参照する(ステップS125)。そして、制御回路40は、このステップS125の次には、処理を
図7のステップS114に戻し、このステップS114以降の処理を繰り返す。
【0081】
また、ステップS123で、送信データの全てのビットについての伝送処理が終了したと判別したときには、制御回路40は、次に到来するバースト信号の立ち上がりを検出するのを監視する(
図9のステップS131)。
【0082】
このステップS131で、バースト信号SBの立ち上がりを検出したと判別したときには、制御回路40は、切替制御信号SW2によりスイッチ回路14をオフとして、共振回路11のロード抵抗値を大きい状態(理論的には無限大)とする(ステップS132)。
【0083】
制御回路40は、このバースト信号SBの継続時間T1において、筆圧検出の処理を行う(ステップS133)。すなわち、前述したように、筆圧値に対応した静電容量を有する容量可変キャパシタ71に対して充電を行った後、抵抗器72を通じた放電を行わせ、容量可変キャパシタ71の両端電圧が、予め定めた所定の電圧になるまでの時間を計測する。そして、制御回路40は、その計測した時間から筆圧値に対応した送信データを生成してバッファメモリに保持する(ステップS134)。
【0084】
そして、制御回路40は、このステップS134の次には、処理を
図6のステップS105に戻し、このステップS105以降の処理を繰り返す。
【0085】
以上のようにして、この実施形態の位置指示器10においては、送信データの各ビットの値に関係なく、データ伝送同期用信号SYCの立ち下がり領域の信号の内の、位置検出装置20における受信サンプリング時点以降の信号の信号レベルを強制的に抑制するようにしたので、送信データの1ビット当たりの伝送周期を、
図4の場合の周期Pa(
図4(B)参照)よりも、更に短縮した周期Pb(
図5(B)参照)とすることができる。このため、位置指示器10における送信データの多ビット化に容易に対応することができるという効果がある。
【0086】
また、バースト信号SBの立ち下がり領域の信号の信号レベルも強制的に抑制するようにしたので、バースト信号SBと複数個のデータ伝送同期用信号SYCとからなる1群の繰り返し周期を、更に短縮化することができる。
【0087】
さらに、バースト信号SB及びデータ伝送同期用信号SYCの立ち下がり領域の信号レベルを抑制したことにより、立ち下がり領域の信号レベルに応じた時間の調整が不要になるので、位置指示器10及び位置検出装置20の設計の自由度が増すという効果もある。
【0088】
[上述の実施形態の変形例]
なお、上述の実施形態では、交流信号の継続時間から、基準となるバースト信号SBを検出すると共に、データ伝送同期用信号SYCが、予め定められた送信データのビット数に対応する個数であることに基づいて、後続するバースト信号の立ち上がり時点を検出し、その立ち上がり時点の包絡線検波出力DETが所定の閾値を超える時点を、共振回路11のロード抵抗値を大きい値に切り替えるタイミング時点とした。しかし、共振回路11のロード抵抗値を大きい値に切り替えるタイミング時点は、このようなタイミング時点に限られるものではない。
【0089】
例えば、交流信号の継続時間を常に監視して、当該交流信号の継続時間が、データ伝送同期用信号SYCの場合の交流信号の継続時間よりも長いか否かを判別し、データ伝送同期用信号SYCの場合の交流信号の継続時間よりも長いと判別したときに、その交流信号はバースト信号SBの区間の交流信号であると判断して、当該判別時点で、共振回路11のロード抵抗値を、大きい値に切り替えるようにしてもよい。
【0090】
また、共振回路11のロード抵抗値を大きい値から小さい値に切り替えるタイミング時点も、バースト信号の包絡線検波出力DETが閾値よりも小さくなる時点とするのではなく、バースト信号の立ち下がりを確認できるタイミングであれば、どのような時点であってもよい。
【0091】
また、バースト信号SB及び各データ伝送同期用信号SYCの立ち下がり領域の信号レベルを抑制するタイミング時点は、上述の実施形態では、共振回路11で受信した電磁波を包絡線検波出力DETと、所定の閾値との比較により決定するようにした。この場合に、上述の実施形態では、閾値レベルVthは、バースト信号SBとデータ伝送同期用信号SYCとで同一としたが、異ならせてもよい。
【0092】
また、バースト信号SB及びデータ伝送同期用信号SYCの立ち下がり領域の信号の信号レベルを抑制するタイミング時点は、前述もしたように、バースト信号SBやデータ伝送同期用信号SYCの立ち下がり開始時点から所定時間経過後の時点を時間計測して決定するようにしてもよい。その場合に、立ち下がり開始時点から、信号レベルを抑制するタイミング時点までの所定時間は、バースト信号SBとデータ伝送同期用信号SYCとで異ならせてもよい。
【0093】
また、上述の実施形態では、共振回路のロード抵抗値の切り替えはスイッチ回路14のオン、オフとして、1個の抵抗器を共振回路11に接続するか否かとしたが、大きい抵抗値の第1の抵抗器と、第1の抵抗器よりも小さい抵抗値の第2の抵抗器とを、スイッチ回路で切り替えるように構成してもよい。
【0094】
また、共振回路のコイルに並列に第1の抵抗器を接続すると共に、この第1の抵抗器に対してスイッチ回路と第2の抵抗器との直列回路を並列に接続しておき、スイッチ回路のオン・オフ制御により、第1の抵抗器に対して第2の抵抗器を並列に接続するか否かを制御することで、共振回路のロード抵抗の値を変更可能に構成することに加え、共振回路を所望の共振特性に設定可能に構成するようにしてもよい。
【0095】
また、位置指示器10に設けられる蓄電素子としては、蓄電用キャパシタとしたが、リチウムイオン電池などからなる充電式の2次電池であってもよい。