【解決手段】シリンジポンプ60は、シリンジ装着部70と検出部71を有している。シリンジ装着部は、シリンジ50の鍔部を両側から挟んで保持する外筒受け部90の下端面及び鍔部押さえ部91を有している。検出部は、鍔部が外筒受け部及び鍔部押さえ部に保持されたときの当該外筒受け部と鍔部押さえ部の間の隙間と、鍔部が外筒受け部の下端面及び鍔部押さえ部に保持されなかったときの外筒受け部の下端面と鍔部押さえ部の隙間との違いを利用して、シリンジ装着部にシリンジが正しく装着されているか否かを検出する。
前記一対の保持部は、互いに近づく方向に働く付勢力により、前記鍔部が前記一対の保持部に保持されなかったときに隙間がなくなるように構成されている、請求項1に記載のシリンジポンプ。
【背景技術】
【0002】
透析治療などの血液浄化治療において患者の血液が循環する血液回路には、例えば管内の血液の凝固を防止するため抗凝固剤が注入される。この抗凝固剤の注入は、シリンジの押し子を所定の速度で押して所定量の液体を吐出するシリンジポンプにより行うのが一般的である。
【0003】
上述のシリンジポンプは、シリンジを血液回路に接続し、装着するためのシリンジ装着部を備えている。シリンジ装着部は、シリンジの外筒の鍔部をスリット状の隙間にはめ込んで保持する。そして、医療従事者は、治療開始前に、抗凝固剤が入ったシリンジをシリンジ装着部に保持させ装着し、治療時には、シリンジポンプがシリンジの押し子を所定速度で押して、所定量の抗凝固剤が血液回路内に送液される。
【0004】
ところで、シリンジの装着は、医療従事者の手作業によって行われるため、シリンジがシリンジ装着部の正しい位置に装着されないことが起こり得る。シリンジがシリンジ装着部に正しく装着されないと、シリンジの外筒が固定されないため、シリンジの押し子を押しても血液回路に所望の量の抗凝固剤が注入されない。例えば血液回路が陰圧の場合には、抗凝固剤が過剰に血液回路内に入り込み、また血液回路が陽圧の場合には、血液回路内の血液がシリンジ内に流入することもある。
【0005】
そこで、シリンジポンプには、シリンジが装着されたことを検知する検出部が設けられたものがある。当該検出部は、シリンジの外筒の鍔部が、シリンジ装着部のスリット内の所定位置まで達した時に、鍔部が棒状の検出部材を押すことによりシリンジが装着されたことを検知している(特許文献1の段落0034、
図8参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の検出部の場合、シリンジの外筒の鍔部が直接検出部材を押している。このため、シリンジの外筒が一定の大きさや形をもっていないと、検出部材を確実に押せないため、シリンジが正しく装着されたか否かを適切に検出できない場合もある。シリンジの外筒の大きさや形は、メーカーにより異なるものであり、病院ごとに使用するシリンジも様々である。また、そもそもシリンジの外筒の鍔部の長さは短く、鍔部により押されたことが正しく検出されないことも起こり得る。
【0008】
本願はかかる点に鑑みてなされたものであり、シリンジの種類によって検出精度が左右されずに、シリンジが正しく装着されたか否かを確実に検出できる検出部を備えたシリンジポンプを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明には、血液浄化装置に設けられ、当該血液浄化装置の血液回路に所定の液体を供給するためのシリンジポンプであって、シリンジを装着するシリンジ装着部と、前記シリンジ装着部にシリンジが正しく装着されているか否かを検出する検出部と、を有し、前記シリンジ装着部は、シリンジの外筒の鍔部を両側から挟んで保持する一対の保持部を有し、前記検出部は、前記シリンジの外筒の鍔部が前記一対の保持部に保持されたときの前記一対の保持部の間の隙間と、前記鍔部が前記一対の保持部に保持されなかったときの前記一対の保持部の間の隙間との違いを利用して、前記シリンジ装着部にシリンジが正しく装着されているか否かを検出する、シリンジポンプが含まれる。なお、隙間の「違い」には、隙間の有無、隙間の幅のみならず、隙間の形状も含まれる。
【0010】
前記一対の保持部は、互いに近づく方向に働く付勢力により、前記鍔部が前記一対の保持部に保持されなかったときに隙間がなくなるように構成されていてもよい。
【0011】
前記シリンジ装着部は、前記一対の保持部を開く方向と閉じる方向に動かすレバー部を有し、前記検出部は、前記レバー部により前記一対の保持部を閉じる方向に動かしたときの前記一対の保持部の間の隙間に基づいて、前記シリンジ装着部にシリンジが正しく装着されているか否かを検出するようにしてもよい。
【0012】
前記シリンジ装着部は、シリンジの外筒を受ける溝が形成された外筒受け部と、前記外筒受け部の端面に対し進退移動する鍔部押さえ部と、を有し、前記一対の保持部は、前記外筒受け部の端面と、前記鍔部押さえ部から構成され、前記レバー部は、前記外筒受け部の溝上の第1の位置と、前記外筒受け部の溝上から退避した第2の位置との間で回動可能であり、さらに、前記第1の位置において前記外筒受け部の溝に近づいて、前記外筒受け部の溝に収容されたシリンジの外筒を外側から押さえることができるように構成され、前記第2の位置にあるときに前記鍔部押さえ部が前記外筒受け部の端面から離れ、前記第1の位置にあるときに前記鍔部押さえ部が前記外筒受け部の端面に近づくように前記鍔部押さえ部と連動していてもよい。
【0013】
別の観点による本発明には、血液浄化装置に設けられ、当該血液浄化装置の血液回路に所定の液体を供給するためのシリンジポンプであって、シリンジを装着するシリンジ装着部と、前記シリンジ装着部にシリンジが正しく装着されているか否かを検出する検出部と、を有し、前記シリンジ装着部は、シリンジの外筒の鍔部を挟んで保持する保持部を有し、前記検出部は、前記シリンジの外筒の鍔部が前記保持部に挟まれたときに生じる前記保持部のひずみを検出して、前記シリンジ装着部にシリンジが正しく装着されているか否かを検出する、シリンジポンプが含まれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シリンジの種類によって検出精度が左右されずに、シリンジが正しく装着されたか否かを確実に検出できる。この結果、シリンジが確実に正しく装着されるので、血液浄化装置の血液処理を適切に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態の一例について説明する。なお、図面の上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。さらに、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0017】
<血液浄化装置>
図1は、本実施の形態に係るシリンジポンプを有する血液浄化装置1の構成の概略を示す説明図である。血液浄化装置1は、例えば血液浄化器10と、患者の血液を血液浄化器10に送り、血液浄化器10で浄化された血液を患者に戻す血液回路11と、血液浄化器10において血液から除去された老廃物等を排出する排出回路12と、制御装置13等を有している。
【0018】
血液回路11は、例えば採血部20と血液浄化器10とを接続する採血回路21と、血液浄化器10と返血部22とを接続する返血回路23と、採血回路21に所定の液体としての抗凝固剤を供給する抗凝固剤回路24等を備えている。
【0019】
血液浄化器10は、円柱状のモジュール内に中空糸膜などからなる血液浄化膜30を有している。血液浄化膜30の一次側には採血回路21と返血回路23が接続され、血液浄化膜30の二次側には排出回路12が接続されている。したがって、血液浄化器10は、採血回路21から流入した血液を、血液浄化膜30の一次側に流し返血回路23に排出し、その際血液中の老廃物等を血液浄化膜30の二次側に流出させ血液を浄化する。
【0020】
採血回路21には、例えば採血された血液を血液浄化器10側に圧送する血液ポンプ40が設けられている。なお、血液ポンプ40は、返血回路に設けられていてもよい。
【0021】
返血回路23には、例えば図示しないドリップチャンバなどが設けられている。なお、採血回路21又は返血回路23のいずれかには、患者に補液を行うための補液回路(図示せず)等が接続されていてもよい。
【0022】
抗凝固剤回路24は、抗凝固剤を収容するシリンジ50(外筒51及び押し子52から構成されている。)と、シリンジ50から採血回路21の血液ポンプ40の上流側に接続された接続回路53を有している。なお、抗凝固剤回路24は、血液ポンプ40の下流側に接続されていてもよい。
【0023】
シリンジ50は、シリンジポンプ60に装着されている。このシリンジポンプ60により、シリンジ50から採血回路21に所望の流量の抗凝固剤が供給される。シリンジポンプ60は、例えば血液浄化装置1の本体(筐体)の前面に設けられている。
【0024】
排出回路12は、血液浄化器10の血液浄化膜30の二次側に接続されており、血液浄化膜30の二次側に排出された老廃物等を例えば図示しないポンプ等を用いて排出できる。
【0025】
制御装置13は、例えば血液浄化装置1の全体の動作を制御するコンピュータであり、例えば血液ポンプ40、シリンジポンプ60等の動作を制御して、血液浄化処理を実行できる。
【0026】
<シリンジポンプ>
ここで本実施の形態にかかるシリンジポンプ60について説明する。
図2は、シリンジ50が装着されていないときのシリンジポンプ60を示す図であり、
図3は、シリンジ50が装着されているときのシリンジポンプ60を示す図である。
図4は、シリンジポンプ60の側面図である。
【0027】
シリンジポンプ60は、シリンジ50を装着するシリンジ装着部70と、シリンジ60がシリンジ装着部70に正しく装着されているか否かを検出する検出部71(
図1、
図5、
図6に示す。)を有している。
【0028】
図2〜
図4に示すようにシリンジ装着部70は、例えばシリンジ50の外筒51を保持する外筒保持部80と、押し子52を保持する押し子保持部81を有している。
【0029】
外筒保持部80は、方盤状の外筒受け部90と、外筒受け部90の下端面90aとの間で外筒51の鍔部51aを挟んで保持する鍔部押さえ部91と、外筒受け部90の外筒51を側面から押さえるレバー部92を有している。
【0030】
外筒受け部90は、外筒51を収容するための縦断面が円弧状の溝100を有している。溝100は、上下方向に向けて延設されている。鍔部押さえ部91は、板状に形成され、上面中央に押し子52を収容するための円弧状の切欠き91aを有している。鍵部押さえ部91は、外筒受け部90の下端面90aに対し上下に進退自在に構成されている。鍵部押さえ部91は、例えば外筒受け部91の下端面90aとの間で外筒51の鍔部51aが挟まれていないときには、下端面90aに密着するように構成されている。
【0031】
例えば鍔部押さえ部91は、
図5に示すように外筒受け部90の内部に挿入されるT字部材101を有している。T字部材101は、鍔部押さえ部91から外筒受け部90側に向けて延びる円柱部102と、円柱部102の先端に設けられ、円柱部102より径が大きい円盤状のヘッド部103を有している。T字部材101のヘッド部103と下端面90aの内壁との間には、バネ104が介在され、鍔部押さえ部91は、バネ104の反発力によって常に上方側(下端面90a側)に付勢されている。この結果、鍔部押さえ部91は、外力が働いていないときには、外筒受け部90の下端面90aに密着する。
【0032】
図2及び
図3に示すようにレバー部92は、回動軸110から上方向に延びる方向(溝100と平行になる方向)と、回動軸110から横方向に延びる方向(溝100と直角になる方向)との間で回動自在に構成されている。
図5及び
図6に示すようにレバー部92と鍔部押さえ部91との間には、回動軸110の回転運動を鍔部押さえ部91の上下運動に変えるカム機構が設けられている。例えばレバー部92の回動軸110には、T字部材101のヘッド部103に接する板カム120が設けられている。これにより、
図5のようにレバー部92を上に向けると、鍔部押さえ部91がバネ104の付勢力に抗して押し下がり、
図6のようにレバー部92を横に向けると鍔部押さえ部91がバネ104の付勢力により上がって元の位置に戻る。なお、
図5におけるレバー部92を上に向けたときの鍔部押さえ部91と外筒受け部90との間の隙間は、シリンジの50の外筒51の鍔部51aの厚みと同程度に設定されていてもよいし、鍔部51aの厚みよりも大きく形成されていてもよい。
【0033】
レバー部92は、外筒受け部90に対し前後方向(
図4の左右方向)に移動自在に構成されている。これにより、レバー部92は、外筒受け部90から退避したり、外筒受け部90に近づいてシリンジ50を外側から押さえることができる。
【0034】
検出部71は、外筒51の鍔部51aが外筒受け部90の下端面90aと鍔部押さえ部91との間に保持されたときの下端面90aと鍔部押さえ部91の間の隙間と、鍔部51aが下端面90aと鍔部押さえ部91との間に保持されなかったときの下端面90aと鍔部押さえ部91の間の隙間との違いを利用して、シリンジ装着部70にシリンジ50が正しく装着されているか否かを検出する。
【0035】
図5及び
図6に示すように例えば検出部71は、マイクロスイッチ130と、マイクロスイッチ130を押圧する連接部材131を有している。マイクロスイッチ130は、例えば外筒受け部90内に設けられている。連接部材131は、鍔部押さえ部91から外筒受け部90の内部に延びている。連接部材131は、鍔部押さえ部91が外筒受け部90の下端面90aに密着したときにマイクロスイッチ130を押す長さに設定されている。これにより、
図6のように外筒51の鍔部51aが鍔部押さえ部91と外筒受け部90との間に装着されず、鍔部押さえ部91と外筒受け部90との間の隙間がなくなったときには、連接部材131がマイクロスイッチ130を押してONとなり、外筒51の鍔部51aが鍔部押さえ部91と外筒受け部90との間に装着され、
図5のように鍔部押さえ部91と外筒受け部90との間に隙間ができたときには、連接部材131がマイクロスイッチ130を押さずにOFFとなる。
【0036】
例えば検出部71によって検出された情報は、制御装置13に出力され、マイクロスイッチ130がONで外筒51が正しく装着されなかった場合には、例えば制御装置13からアラームが発せられる。
【0037】
図2〜
図4に示すように押し子保持部81は、例えばシリンジ50の押し子52を置く載置部140と、載置部140上で押し子52の後端部52aを保持する保持部141を有している。載置部140と外筒受け部90は、載置部140と外筒受け部90との間の距離を伸縮自在とする支柱142によって接続されている。支柱142は、シリンジポンプ60に内蔵されている駆動機構(図示せず)により伸縮できる。シリンジポンプ60から抗凝固剤を吐出する際には、その駆動機構により支柱142が縮んで載置部140が上方に引っ張られ、押し子52が所定の速度で押され、シリンジ50から所望の流量の凝固剤が吐出される。また、支柱142は、図示しないクラッチにより駆動機構との接続を外すことができ、その状態で作業者の手動により伸縮できる。よって、押し子52を押し子保持部81に装着する際に、押し子52の長さに応じて手動で載置部140の位置を調整できる。
【0038】
<シリンジの装着手順>
次に、以上のように構成されたシリンジポンプ60へのシリンジ50の装着手順について説明する。先ず、初期状態からレバー部92を手前に引き、
図2に示すように上側に回す。このとき、レバー部92のカム機構により鍔部押さえ部91が下側に下がり、鍔部押さえ部91と外筒受け部90との間が開く(
図5)。
【0039】
続いて、抗凝固剤が収容されたシリンジ50をシリンジ装着部70に装着する。先ず
図7に示すようにシリンジ50の外筒51の鍔部51aを鍔部押さえ部91と外筒受け部90との間に入れる。次に、
図8に示すようにレバー部92を横に回す。この際、レバー部92のカム機構とバネ104の付勢力により鍔部押さえ部91が上昇し、外筒受け部90の下端面90aとの間で鍔部51aを挟んで保持する。このとき、鍔部51aが正しく保持されていれば、外筒受け部90と鍔部押さえ部91との間に隙間ができ、検出部71の連接部材131がマイクロスイッチ130に届かず、マイクロスイッチ130がOFFとなる(
図5)。また、例えば
図9に示すように誤って鍔部51aが正しく保持されていなければ、鍔部押さえ部91が、何にも妨げられず、外筒受け部90の下端面90aに密着し、連接部材131がマイクロスイッチ130を押して、マイクロスイッチ130がONとなる(
図6)。マイクロスイッチ130がONになると、例えばその情報が制御装置13に送られ、外筒51が正しく装着されていないことのアラームが発せられる。
【0040】
外筒51が外筒保持部80に正しく装着されると、レバー部92を押し込み、レバー部92によりシリンジ50の外側を押さえる。次に
図3に示すように押し子52の後端部52aを押し子保持部81の保持部141にはめ込む。こうして、シリンジ50の装着が終了する。
【0041】
その後、
図1に示す血液浄化装置1において患者の血液浄化処理が開始されると、患者の血液が採血回路21を通って血液浄化器10に送られ、浄化され、返血回路23を通って患者に戻される。また、シリンジポンプ60が作動し、シリンジ50の押し子52が所定の速度で押され、シリンジ50から所定の流量の抗凝固剤が採血回路21の血中に投与される。
【0042】
本実施の形態によれば、検出部71が、鍔部51aが外筒受け部90と鍔部押さえ部91の間に保持されたときの外筒受け部90と鍔部押さえ部91の間の隙間と、鍔部51aが外筒受け部90と鍔部押さえ部91に保持されなかったときの外筒受け部90と鍔部押さえ部91の間の隙間との違いを利用して、シリンジ装着部70にシリンジ50が正しく装着されているか否かを検出している。この結果、シリンジ50の形や大きさ等の種類によって検出精度が左右されることなく、シリンジ50が正しく装着されたか否かを確実に検出できる。
【0043】
また本実施の形態によれば、外筒受け部90と鍔部押さえ部91が、バネ104の付勢により、鍔部51aが保持されなかったときに隙間がなくなるように構成されているので、検出部71による、鍔部51aが装着されなかったことの検出を簡単に行うことができる。
【0044】
シリンジ装着部70が、鍔部押さえ部91を開く方向と閉じる方向に動かすレバー部92を有し、検出部71は、レバー部92により鍔部押さえ部91を閉じる方向に動かしたときの外筒受け部90と鍔部押さえ部91との間の隙間に基づいて、シリンジ50が正しく装着されているか否かを検出できる。これにより、レバー部92に鍔部押さえ部91を連動させて、シリンジ50が正しく装着されているか否かを検出できるので、シリンジ装着確認作業の操作性が向上する。
【0045】
本実施の形態によれば、レバー部92は、外筒受け部90の溝100上の横向き位置(第1の位置)と、外筒受け部90の溝100上から退避した上向き位置(第2の位置)との間で回動可能であり、さらに、横向き位置において外筒受け部90の溝100に近づいて、シリンジ50の外筒51を外側から押さえることができる。また、レバー部92は、縦向き位置にあるときに鍔部押さえ部91が外筒受け部90の下端面90aから離れ、横向き位置にあるときに鍔部押さえ部91が外筒受け部90の下端面90aに近づくように鍔部押さえ部91と連動している、これにより、レバー部92を横に倒して鍔部押さえ部91が外筒受け部90の下端面90aに近づき鍔部51aを保持し、検出部71は、このときできる隙間の有無により鍔部51aが正しく保持されたことを検出し、正しく保持されたときには、レバー部92を押してシリンジ50の外筒51の外面を固定することができる。よって、一連のシリンジ装着作業を簡単かつスムーズに行うことができる。
【0046】
本実施の形態では、検出部71にマイクロスイッチ130を用いていたが、他のものを用いてもよい。例えば
図10に示すように、検出部71に、発光部150と受光部151を有するフォトセンサを用いてもよい。かかる場合、鍔部押さえ部91と外筒受け部90との間に鍔部51aが保持されず隙間がなくなると、発光部150から受光部151に放射された光が、鍔部押さえ部91に接続された連接部材131により遮断される。鍔部押さえ部91と外筒受け部90との間に鍔部51aが保持されて隙間ができると、発光部150から受光部151に放射された光が、鍔部押さえ部91の連接部材131により遮断されない。これにより、鍔部51aが正しく保持されたか否かを検出できる。
【0047】
また、
図11に示すように磁石160とホール素子161からなるセンサを用いてもよい。かかる場合、鍔部押さえ部91と外筒受け部90との間に鍔部51aが保持されず隙間がなくなると、連接部材131の先端に設けられた磁石160がホール素子161に近づき、ホール素子161が磁石160による磁界を検出する。鍔部押さえ部91と外筒受け部90との間に鍔部51aが保持されて隙間ができると、連接部材131の先端の磁石160がホール素子161から離れ、ホール素子161が磁石160による磁界を検出しない。これにより、鍔部51aが正しく保持されたか否かを検出できる。
【0048】
上記実施の形態では、検出部71が外筒受け部90と鍔部押さえ部91の間の隙間に基づいて、シリンジ50がシリンジ装着部70に正しく装着されているか否かを検出していたが、検出部71は、外筒51の鍔部51aが外筒保持部90と鍔部押さえ部91の間に挟まれたときに生じる鍔部押さえ部91のひずみを検出して、シリンジ装着部70にシリンジ50が正しく装着されているか否かを検出するようにしてもよい。
【0049】
かかる場合、例えば
図12に示すように鍔部押さえ部91にひずみゲージ170が設けられる。ひずみゲージ170は、例えばシリンジ50の外筒51の鍔部51aが外筒受け部90と鍔部押さえ部91との間に挟まれたときのたわみの支点に近いT字部材101の近傍に設けられる。これにより、ひずみゲージ170は、鍔部押さえ部91のわずかなひずみでも検出できる。そして、シリンジ50の装着時に、
図13に示すように外筒51の鍔部51aが鍔部押さえ部91と外筒受け部90との間に挟まれた場合には、鍔部押さえ部91が所定以上ひずむので、ひずみゲージ170がそのひずみを検出して、シリンジ50が正しく装着されたことが検出できる。また、鍔部51aが鍔部押さえ部91と外筒受け部90との間に保持されなかった場合には、鍔部押さえ部91が所定以上ひずまないので、ひずみゲージ170がひずみを検出できず、シリンジ50が正しく装着されなかったことを検出できる。
【0050】
また、ひずみゲージ170を用いる場合、
図14に示すように鍔部押さえ部91を外筒受け部90の下端面90aに直接固定し、鍔部押さえ部91のひずみを検出してもよい。かかる場合、例えば鍔部押さえ部91の端部付近を外筒受け部90に固定する。このとき、鍔部押さえ部91と外筒受け部90の間の隙間が、鍔部51aの厚みよりも狭い隙間となるように鍔部押さえ部91を固定する。ひずみゲージ170は、例えば鍔部押さえ部91の固定端付近に設置される。かかる場合、鍔部51aが外筒受け部90と鍔部押さえ部91との間に挟まれた際には、鍔部押さえ部91がひずみ、そのひずみをひずみゲージ170が検出して、シリンジ50が正しく装着されたことを検出する。一方、鍔部51aが鍔部押さえ部91と外筒受け部90との間に保持されなかった際には、鍔部押さえ部91がひずまないので、ひずみゲージ170がひずみを検出できず、シリンジ50が正しく装着されなかったことを検出する。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0052】
例えば以上の実施の形態において鍔部51aを保持する一対の保持部は、外筒受け部90の下端面90aと鍔部押さえ部91であったが、鍔部51aを保持するものであれば他の構造であってもよい。また、必ずしもレバー部92と鍔部押さえ部91(保持部)が連動してなくてもよい。検出部71は、鍔部51aが一対の保持部に保持されたときの前記一対の保持部の間の隙間と、鍔部51aが一対の保持部に保持されなかったときの一対の保持部の間の隙間との違いを利用するものであればよく、隙間の距離を直接測定するものなど他の手段を用いたものであってもよい。例えば
図15に示すように鍔部押さえ部91にポテンショメータ200を付けて鍔部押さえ部91の位置を検出することにより、鍔部押さえ部91と外筒受け部90との隙間の距離を把握してもよい。この場合、鍔部押さえ部91が移動すると、歯車を介してポテンショメータ200が回転して鍔部押さえ部91の外筒受け部90に対する位置を検出できる。以上の実施の形態では、シリンジポンプ60が血液回路11に抗凝固剤を供給するものであったが、血液回路11に、カルシウムなどを含有する補充液などの他の液体を供給するものであってもよい。血液浄化装置1の構成もこれに限られず他の構成を有するものであってもよい。