【解決手段】セル3aは、半導体基板2に形成された複数のフィン型トランジスタを含む。セル3aには、複数のフィン型トランジスタのそれぞれのソース及びドレインとなるフィン4a〜4iがY方向にピッチPfで複数配置されている。また、セル3aのY方向の長さであるセル高さHselは、ピッチPfの半分の長さのn倍(nは整数)である。配線5a,5bは、セル3aに接続されており、Y方向にセル高さHselの1/m倍(mは整数)のピッチPmで配置されている。
前記セルはスタンダードセルであり、前記スタンダードセルは、前記第1の方向に前記セル高さごとに区切られた複数の領域に複数配置され、前記複数の領域のうち、第1の領域に配置される第1のスタンダードセルは、前記第1の領域と隣接する第2の領域に配置される第2のスタンダードセルと電源線または接地線を共有するように、前記第2のスタンダードセルに対して前記第1の方向に反転して配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
前記第2のピッチは、マクロセルで使用される前記第1の方向の第3のピッチで配置される配線のピッチとは異なることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の半導体装置の一例を示す平面図である。
【0011】
半導体装置1は、半導体基板2と、半導体基板2に形成された複数のセル3a,3bを有している。
図1の例では、図示を簡略化するために、2つのセル3a,3bが示されているが、半導体基板2には3つ以上のセルが形成されていてもよい。
【0012】
セル3a,3bは、たとえば、スタンダードセルである。なお、スタンダードセルとは、たとえば、インバータやフリップフロックなど、特定の論理機能を実行する基本的単位となる回路である。スタンダードセルのセル高さと横幅は標準化されている。
【0013】
セル3a,3bは、複数のFin型トランジスタ(
図5参照)を有している。
図1には、セル3aに含まれる複数のFin型トランジスタのそれぞれのソース及びドレインとなるフィン4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h,4iが示されている。また、セル3bに含まれる複数のFin型トランジスタのそれぞれのソース及びドレインとなるフィン4j,4k,4l,4m,4n,4o,4p,4q,4rが示されている。Fin型トランジスタのゲートについては図示が省略されている。それぞれX方向に伸びるフィン4a〜4rは、Y方向に、半導体装置1内で共通のピッチPfで配置されている。
【0014】
本実施の形態の半導体装置1において、セル3aのセル高さHselは、ピッチPfの半分の長さのn倍(nは整数)となっている。つまり、Hsel=Pf×0.5×nという関係になっている。
【0015】
図1の例では、nは奇数の23であるため、Hsel=Pf×0.5×23となる。また、
図1の例では、セル3bについても同じセル高さとなっている。
なお、nの下限は、たとえば、スタンダードセルとして機能するために最低限のフィン数や、設計基準(たとえば、セル3a,3bのゲートを分離するためにスペースが必要となり、フィンが配置できない、などの設計基準)に基づいて決められる。
【0016】
セル3a,3bの横幅(X方向の長さ)については、たとえば、図示しないゲートが配置されるピッチの長さの整数倍となっている。
また、半導体装置1は、P&R(Place and Route)処理で主軸がX方向となる配線5a,5bを有している。配線5a,5bは、セル3aに接続される。配線5a,5bは、たとえば、X方向のセル間の信号の送受信に用いられるメタル第2層で形成される配線であり、図示しないメタル第1層(たとえば、セル3a内のローカル配線に用いられる)と電気的に接続されている。なお、
図1では、図示の簡略化のために、セル3aに接続されるX方向に伸びる配線を2本としているが、2本に限らず、Y方向にピッチPmで3本以上配置されていてもよい。なお、セル3aに、Y方向に伸びる配線が接続されていてもよいことは言うまでもない。図示を省略しているが、セル3bについても同様に配線が接続されている。
【0017】
本実施の形態の半導体装置1において、Y方向の配線のピッチPmは、セル高さHselの1/m倍(mは整数)となっている。また、ピッチPmは、設計基準に基づく最小の配線ピッチPm_minを用いて、以下の式(1)のように表せる。
【0018】
Pm=(Hsel/(Integer(Hsel/(0.5×Pm_min))−k))×2 (1)
式(1)においてInteger(Hsel/(0.5×Pm_min))は、Hsel/(0.5×Pm_min)の整数部分を示している。kは、セル高さHselを、Integer(Hsel/(0.5×Pm_min))で割り切れるようにするための係数である。
【0019】
なお、セル3a,3bの上下端には、電源線または接地線(図示せず)が設けられる。セル3a,3bにおいて、三角形のマーク6a,6bがある方が下端を示し、マーク6a,6bがない方が上端を示している。セル3aは、Y方向に隣接するセル3bと、電源線または接地線を共有するために、上下反転して配置されている。つまり、セル3aは、下端(マーク6aのある側)が紙面上側に位置するように配置されている。
【0020】
このようにセル3a,3bが配置されていることによって、Hsel=Pf×0.5×nのnが
図1のように奇数の場合でも、セル3aのフィン4a〜4iと、セル3bのフィン4j〜4rとの位置関係を同じにできる。
【0021】
たとえば、セル3aのフィン4iは、セル3aの上端(反転しているため紙面下側の端)から1.5×Pf離れた位置に配置されている。一方、セル3bでも、セル3bの上端から1.5×Pf離れた位置にフィン4jが配置されている。同様に、セル3aのフィン4hは、セル3bのフィン4kに対応する位置に配置されており、セル3aのフィン4gは、セル3bのフィン4lに対応する位置に配置されている。このように、セル3aのフィン4a〜4iと、セル3bのフィン4j〜4rとの位置関係を同じにできるので、セル3a,3bを同じ構造とすることができる。
【0022】
図2は、整数n、セル高さHsel、ピッチPm、係数kの一例の関係を示す図である。なお、
図2の例では、ピッチPfが48nm、設計基準に基づく最小の配線ピッチPm_minが64nmであるものとしている。
【0023】
たとえば、
図1に示した半導体装置1のように、n=23の場合、セル高さHselは552nm(配線ピッチPm_min=64nmを1トラックとすると8.625トラック分)である。
【0024】
このとき、ピッチPmは、式(1)においてk=1としたとき、69nmとなっている。つまり、ピッチPmは、セル高さHselの1/8倍となっている。
このように、本実施の形態の半導体装置1では、セル高さHselは、ピッチPmとは独立に決定されている。また、セル高さHselは、Hsel=Pf×0.5×nという関係で決まっており、細かく選択できる。
図2の例では、24nm単位でセル高さHselが選択可能である。このため、セルサイズの選択肢を増やすことができる。
【0025】
(比較例)
図3は、比較例の半導体装置の一例を示す図である。
図1の半導体装置1と同じ要素については同一符号が付されている。
【0026】
図3に示す半導体装置1aでは、セル3cのセル高さHselaは、設計基準に基づくY方向の最小の配線ピッチPm_minの半分の長さと、ピッチPfとの最小公倍数のna倍(naは整数)となっている。
【0027】
図4は、比較例の半導体装置における整数naとセル高さHselaの一例の関係を示す図である。なお、
図4の例では、ピッチPfが48nm、設計基準に基づく最小の配線ピッチPm_minが64nmであるものとしている。
【0028】
たとえば、na=6の場合、セル高さHselaは576nm(配線ピッチPm_min=64nmを1トラックとすると9トラック分)である。
図4に示すように、比較例の半導体装置1aでは、セル高さHselaは、96nm単位での選択しかできない。これに対し、半導体装置1では、
図2に示したように、比較例の半導体装置1aの1/4の細かさでセル高さHselを選択可能である。
【0029】
また、ピッチPmは、セル高さHselに基づき決定されているので、ピッチPfとの不整合により、セル高さHselの選択肢を狭めてしまうことがない。
(フィン型トランジスタの一例)
図5は、フィン型トランジスタの一例を示す斜視図である。
【0030】
フィン型トランジスタ10は、FET(Field Effect Transistor)であり、
図5に示すように、ソース及びドレインとなるフィン11と、フィン11を包むように、フィン11と直交して配置されるゲート12を有している。
【0031】
図1に示したセル3a,3bは、上記のようなフィン型トランジスタ10を複数含んでいる。
(セルの配置例)
図6は、セルの配置例を示す図である。
【0032】
セル20〜28のそれぞれは、たとえば、セル3a,3bと同様の構造であり、Y方向にセル高さHsel(Hsel=Pf×0.5×n)ごとに区切られた領域30,31,32に配置されている。なお、セル20〜28の上下端には、接地線40,41または電源線42,43が設けられている。セル20〜28において、三角のマーク(たとえば、マーク20a)のある方が下端であり、三角のマークがない方が上端である。
【0033】
図6の例では、セル20〜28の下端に接地線40,41が設けられており、上端に電源線42,43が設けられている。接地線40,41や電源線42,43はセル20〜28内の図示しないフィン型トランジスタに接続される。
【0034】
図6に示すように、Y方向に隣接する領域に配置されているセルは、電源線または接地線を共有するように、Y方向に反転(上下反転)して配置されている。たとえば、領域31に配置されているセル22,23,24は、領域32に配置されているセル20,21と接地線41を共有するように、セル20,21に対してY方向に反転して配置されている。つまり、セル22〜24は、下端が紙面上側に位置するように上下反転されている。
【0035】
このように配置することにより、Hsel=Pf×0.5×nのnが奇数であっても、前述したセル3a,3bにおけるフィン4a〜4rの位置関係のように、セル20〜28におけるフィンの位置関係を同じにできる。
【0036】
(断面構成例)
図7は、半導体装置の一例の断面図である。
図7では、
図1のA−A線における半導体装置1の断面が示されている。
図7において、
図1に示した要素と同じものについては同一符号が付されている。
【0037】
図7では、
図1では図示を省略していたゲート50,51が示されている。
グリッド60,61,62,63は、ピッチPfごとに設定されているが、ゲート50,51をセル境界で分離するために、たとえば、セル境界から1グリッド以内は、フィンの配置が禁止される。たとえば、グリッド61,62にフィンがあると、フィン4i,4jを包むようにして形成されるゲート50,51を、セル3a,3b間で切断することが難しくなる、などの理由のためである。
【0038】
図3に示したような比較例の半導体装置1aのように、セル高さHselaを、Hsela=Pf×nとしたときには、最もセル境界に近いフィンは、セル境界からPf×2離れたグリッドに配置される。これに対し、本実施の形態の半導体装置1では、セル高さHselを、Hsel=Pf×0.5×nとしたことで、
図7に示すように、セル境界から、Pf×1.5離れたグリッド60,63にフィン4i,4jを配置できる。このため、セル境界付近の無駄な領域を少なくできる。これにより、1つのセルにおけるフィン数を増やすこともできる。
【0039】
(チップイメージ例)
図8は、半導体装置のチップイメージ例を示す図である。
半導体装置70は、I/O(Input / Output)部71,72,73,74、SRAM(Static Random Access Memory)75,76、IP(Intellectual Property)部77、コアロジック領域78を有している。
【0040】
図1に示したようなセル3a,3bは、スタンダードセルとして、
図8に示すようなコアロジック領域78に配置される。
本実施の形態の半導体装置70では、コアロジック領域78のフィンの配列方向の配線のピッチは、I/O部71〜74、SRAM75,76、IP部77などのマクロに含まれるセル(マクロセル)の配線のピッチよりも大きな値となりうる。
【0041】
たとえば、SRAM75,76のマクロセルでは、SRAM75,76のサイズを縮小するために設計基準に基づく最小の配線ピッチPm_minで配線(ワード線やコラム選択線は除く)が形成される。これに対し、コアロジック領域78では、前述したピッチPm(>Pm_min)で配線が形成される。
【0042】
(半導体装置の変形例)
図1に示した半導体装置1では、セル3a,3bのセル高さHselがピッチPf×0.5の奇数倍であったが、偶数倍とすることもできる。
【0043】
図9は、半導体装置の変形例を示す図である。
図9において、
図1に示した要素と同じものについては同一符号が付されている。
図9に示されている半導体装置1bのセル80は、セル高さHselbが、Hselb=Pf×0.5×22となっている。
【0044】
以上、実施の形態に基づき、本発明の半導体装置の一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。